人気ブログランキング |

宇宙めし! 1

 新しい宇宙漫画が出ていました。

宇宙めし! 1
日向なつお/小学館、ビッグコミックス/2019

 久世晴可は宇宙に憧れていたが、身長が低いため宇宙飛行士になることを諦めていた。就活中に、「誰もが行ける宇宙」を目指して」というキャッチコピーに惹かれてJAXAを受験。合格する。JAXAで配属されたのは、「宇宙食開発グループ」。主任の畠山、研究開発員の茅野、晴可と同じ新人の早坂未央が主なメンバー。宇宙日本食の紹介をされた晴可と未央は、宇宙食の献立を考え作ってくるという課題を出される。その宇宙食を、ISSに滞在中に日本人宇宙飛行士にプレゼンする。宇宙食の条件、何が求められるのか、美味しいものを作りたい…悩む晴可。そして晴可が思いついたのは…


 「宇宙」と書いて「そら」と読みます。「そらめし!」。あと、晴可は男性です。同期の未央よりも背が低い。

 宇宙を舞台、テーマにした作品は色々とありますが、宇宙食グルメ漫画は初めてではないかと思う。作者の日向さんはこれまでもグルメ漫画を描いて来られた方だそう。グルメ漫画…「クッキングパパ」とか、「ワカコ酒」あたりを少し読んだぐらい…。普段はあまり読まないジャンルです。NHK教育(Eテレ)で放送していた「味楽る!ミミカ」のコミカライズは入りますかね?


 色々とツッコミたいところはあります。晴可は宇宙が好きなはずなのに、何故最初にJAXAに応募しなかったのか。宇宙に関わる仕事ができるところと言えば真っ先にJAXAが出てくるはずなのに。あと、宇宙食に関する知識が乏し過ぎる。1話でサバの缶詰を見て、「これで、宇宙に行けるのかな?」(16ページ)…宇宙日本食のサバの缶詰やカレーは市販もされているのに…。
 あと、5話で宇宙飛行士の設楽が登場するが、その設楽が中学生の頃から筑波宇宙センターの「スペースドーム」にやって来ていたという話。スペースドームが開館したのは2010年。この物語は未来ではなく現代が舞台の模様(宇宙日本食の数がまだ少ない)なので、計算が合わなくないか?さすがに20代前半で宇宙飛行士になるのは無理じゃないか?(宇宙飛行士選抜試験に応募するためには3年以上の実務経験が必要)
 読むのは宇宙マニアだけじゃない、むしろ宇宙にそんなに詳しくない一般の人がターゲットだろうから、主人公が学んでいく形の方が読者も一緒に学べて親近感も沸くと思う。が、ちょっと設定が緩くないかな…厳し過ぎるかな…。

 その辺は置いておくことにして、晴可は普段はあんパンが好物で、昼ごはんもカップめんで節約。美味しいものを食べ歩いているという感じではないが、料理はそれなりに出来る。食べることや味覚に関しては独特のセンスや感覚がある模様。宇宙食を食べた時の表現がファンタジックで独特。現実よりもアイディアやイメージを大事にしているが、晴可のこんな空想家なところは面白いなと思った。

 今年はアポロ11号の月面着陸から50年。宇宙開発黎明期や、アポロの時代では、宇宙での食はそれほど重視されなかった。栄養が取れればいい、食べられればいい。それが、アメリカはスペースシャトル、ロシアはミール、そして現在のISSと宇宙での活動の幅が広がり、時間も伸びるにつれて、宇宙での衣食住も重視されるようになってきた。宇宙医学の進歩に連れて、宇宙空間・微小重力下での身体の変化や地上と異なる必要な栄養素についてもわかってきた。さらに、国籍や文化の異なる宇宙飛行士たちが一緒に、閉鎖環境で長期にわたって共同生活する上で、食は心の支えであり、コミュニケーションツールでもある。出来るだけ地上と変わらないものを食べたい。宇宙でも美味しいものを食べたい。宇宙開発に携わる国が増えれば、その国の食文化も新しく入ってくる。宇宙日本食もそのひとつであるし、イタリア人宇宙飛行士がISSに滞在することになった時、エスプレッソマシーンと無重力でも使えるカップも開発されたほど。現在、宇宙で食事は重要な要素となっている。

 私は、NHKの「サラメシ」という番組が好きだ。サラメシ=働く大人の昼ごはん。日本各地の様々な現場で働く人たちのお昼ご飯を取材する。街角の通りすがりの働く大人たちにお昼に何を食べたか取材する。その仕事らしいランチもある。職場の個性が出るまかないも美味しそう。気合を入れたい時や、大事な仕事が終わってお祝いしたい気持ちの時に食べるものもある。食べて、働いて…。番組を観た後、私もこんなお昼にしようとか思う。
 宇宙食はいわば、宇宙の、宇宙飛行士の「サラメシ」だ。

 自由な発想から始まった晴可の宇宙食。研修を終え実際に宇宙食の開発に携わるようになると、現実にぶち当たる。特に、同期の未央は健康オタクで宇宙食の現実を重視している。普段は忙しくてあまりいない宇宙食開発グループの糸川主任は、保守的で無駄なことが大嫌い。それでも、地上と変わらない、且つ、宇宙にいると実感できる宇宙食を作ろうと工夫する。赤飯のある"プラスアルファ"の開発は、食品会社の三浦も一緒になって奮闘。
 晴可のこの言葉が好きだ。
美味しい物食べたり好きな物食べると元気になるし、食べることって"生きる"ってことなんだなーって。
それって絶対地上でも宇宙でも変わらないですよね。
いろんな人に美味しく楽しく食べてもらいたい。(143~144ページ)

 私はずっと、宇宙がもっと身近になればいいと考えてきた。地上の生活の延長線上に宇宙での暮らしがあって、その延長線がどんどん短くなっていけばいい。宇宙食は、それを叶えるものだと思う。

 この作品はJAXAが取材協力しているという。全面協力でいいと思います。あまり現実に近過ぎると、漫画として面白くないのかな?どこまでノンフィクションで、どこからフィクションにするか…難しい。今後に期待です。
 晴可が作った宇宙食の簡単なレシピも載っています。夜など、飯テロにはご注意を…。1巻の中ではサンドイッチが美味しそう…。
by halca-kaukana057 | 2019-05-23 23:42 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30