2019年 12月 04日
暗い、孤高の音楽 ヤンソンスのシベリウス
11月30日、指揮者のマリス・ヤンソンスさんが亡くなられました。あまりにも突然で、驚きました。ショックです。今もまだ感情をどう表現したらいいかわからずにいます。ただただかなしいです。
ヤンソンスさんというと、まず出てくるのがショスタコーヴィチ。CDでもライヴでもヤンソンスさんのショスタコーヴィチは楽しみに聴いていました。その他ロシアもの、ドイツもの、レパートリーの幅が広い。私としては、やっぱりシベリウスも外せません。聴いたのはオスロ・フィル時代の録音。
◇Spotify :Sibelius :Symphonies No.1,2,3,5
◇Spotify :Sibelius :Symphonies No.2,3,5 etc
他にフィンランディア、悲しきワルツ、トゥオネラの白鳥、アンダンテ・フェスティーヴォが収録されています。アンダンテ・フェスティーヴォはまだこの曲があまり知られていない時期の録音だったと思います。
交響曲は1番、2番、3番、5番。シベリウスの交響曲の中ではマイナーな3番も入っているのが嬉しい。どれも重め、暗めの演奏です。特に1番と2番は聴いていて、「北の孤高の巨人」という表現がぴったりだと思った。時々シベリウスはそういう表現をされることがあるが、ヤンソンス盤にぴったりの表現でないかと思う。暗く、凍てつくような感触で、容易く人間を寄せ付けないような。毅然としている。
管楽器がうまいなぁと思う。それぞれの管楽器がどんなフレーズを奏でているのか、はっきりとわかる。弦もなめらかで、管と弦のバランスがちょうどいい。1番の冒頭のクラリネットソロの音色が印象的。ほの暗い、でも堂々としている。独りで黙って前を見据えているよう。若いシベリウスの様々な感情が聞こえてくる。でもそれは全体的には暗い。
2番は他の演奏を聴いていると、明と暗が入り混じりながら第4楽章へ進んでいく…感じなのだが、ヤンソンス盤は暗さが強い。でも重くのしかかってくるわけではなく、かといって軽いわけではない。ただ、遠くまでずっと暗さに包まれているような感じだ。第1楽章は弦のささやきが印象的だが、とても静かに、美しい。2番はティンパニを印象的に使っていると感じました。目立つ。いい目印、いいアクセントになっている。
3番、5番でも暗め。テンポの揺らし方が面白い。どの曲でも、こんな表現があったんだな、こんな聴かせる箇所があったんだなと思う。シベリウスは聴き慣れているはずなのに。聴き慣れているからこそ、新たな発見を見いだしやすいのかも知れない。
一緒に収録されている悲しきワルツ、トゥオネラの白鳥はまさに追悼にはぴったりで…ぴったりになってしまったのがかなしい。アンダンテ・フェスティーヴォも「フェスティーヴォ」=「祝祭」なのに、どこかもの悲しい。いい演奏だなと思います。
シベリウス以外のことも書くと、以前、ネットラジオでマーラーの7番を聴いて、いいなと思いました。マーラーの7番はなかなか親しめず、難しく、途中で止めてしまう演奏もありましたが、ヤンソンスさんの演奏は最後まで聴いて、いいなと思えました。
最後に取り上げたいのが、ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの名演の数々。ヤンソンスさんのニューイヤーは楽しくて大好きです。お茶目な演出も多く、楽しませてもらいました。笑顔で指揮しているのが忘れられません。
◇Vienna New Years Concert 2006, Telephon, Eduard Strauss
2006年の「電話ポルカ」ユーモアたっぷりです。
◇2012 New Year Concert - Josef Strauss -- Feuerfest (Polka francaise, op. 269)
2012年の「鍛冶屋のポルカ」ウィーン少年合唱団も共演です。楽しそうに金床を叩くヤンソンスさん。
◇Mariss Jansons, Wiener Philharmoniker - Radetzky-Marsch, Op. 228
2016年のラデツキー行進曲。観客の指揮がうまい。
たくさんの素敵な音楽をありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。
ヤンソンスさんというと、まず出てくるのがショスタコーヴィチ。CDでもライヴでもヤンソンスさんのショスタコーヴィチは楽しみに聴いていました。その他ロシアもの、ドイツもの、レパートリーの幅が広い。私としては、やっぱりシベリウスも外せません。聴いたのはオスロ・フィル時代の録音。
◇Spotify :Sibelius :Symphonies No.1,2,3,5
◇Spotify :Sibelius :Symphonies No.2,3,5 etc
他にフィンランディア、悲しきワルツ、トゥオネラの白鳥、アンダンテ・フェスティーヴォが収録されています。アンダンテ・フェスティーヴォはまだこの曲があまり知られていない時期の録音だったと思います。
交響曲は1番、2番、3番、5番。シベリウスの交響曲の中ではマイナーな3番も入っているのが嬉しい。どれも重め、暗めの演奏です。特に1番と2番は聴いていて、「北の孤高の巨人」という表現がぴったりだと思った。時々シベリウスはそういう表現をされることがあるが、ヤンソンス盤にぴったりの表現でないかと思う。暗く、凍てつくような感触で、容易く人間を寄せ付けないような。毅然としている。
管楽器がうまいなぁと思う。それぞれの管楽器がどんなフレーズを奏でているのか、はっきりとわかる。弦もなめらかで、管と弦のバランスがちょうどいい。1番の冒頭のクラリネットソロの音色が印象的。ほの暗い、でも堂々としている。独りで黙って前を見据えているよう。若いシベリウスの様々な感情が聞こえてくる。でもそれは全体的には暗い。
2番は他の演奏を聴いていると、明と暗が入り混じりながら第4楽章へ進んでいく…感じなのだが、ヤンソンス盤は暗さが強い。でも重くのしかかってくるわけではなく、かといって軽いわけではない。ただ、遠くまでずっと暗さに包まれているような感じだ。第1楽章は弦のささやきが印象的だが、とても静かに、美しい。2番はティンパニを印象的に使っていると感じました。目立つ。いい目印、いいアクセントになっている。
3番、5番でも暗め。テンポの揺らし方が面白い。どの曲でも、こんな表現があったんだな、こんな聴かせる箇所があったんだなと思う。シベリウスは聴き慣れているはずなのに。聴き慣れているからこそ、新たな発見を見いだしやすいのかも知れない。
一緒に収録されている悲しきワルツ、トゥオネラの白鳥はまさに追悼にはぴったりで…ぴったりになってしまったのがかなしい。アンダンテ・フェスティーヴォも「フェスティーヴォ」=「祝祭」なのに、どこかもの悲しい。いい演奏だなと思います。
シベリウス以外のことも書くと、以前、ネットラジオでマーラーの7番を聴いて、いいなと思いました。マーラーの7番はなかなか親しめず、難しく、途中で止めてしまう演奏もありましたが、ヤンソンスさんの演奏は最後まで聴いて、いいなと思えました。
最後に取り上げたいのが、ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの名演の数々。ヤンソンスさんのニューイヤーは楽しくて大好きです。お茶目な演出も多く、楽しませてもらいました。笑顔で指揮しているのが忘れられません。
◇Vienna New Years Concert 2006, Telephon, Eduard Strauss
2006年の「電話ポルカ」ユーモアたっぷりです。
◇2012 New Year Concert - Josef Strauss -- Feuerfest (Polka francaise, op. 269)
2012年の「鍛冶屋のポルカ」ウィーン少年合唱団も共演です。楽しそうに金床を叩くヤンソンスさん。
◇Mariss Jansons, Wiener Philharmoniker - Radetzky-Marsch, Op. 228
2016年のラデツキー行進曲。観客の指揮がうまい。
たくさんの素敵な音楽をありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。
by halca-kaukana057
| 2019-12-04 23:08
| 音楽