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てのひらの中の宇宙


「てのひらの中の宇宙」(川端裕人、角川書店、2006)


 川端さんの最新作を図書館で見つけたので読んでみた。…最近川端さんの作品の感想が多い気もするが気にしない。時には一人の作家を読み深めてゆくのもいいじゃないか。それほど長い作品ではないが、密度が濃い。ありとあらゆるものが一杯詰まっている。


 二児の父である「ぼく」は、ガンで入院している妻・今日子の不在の間「ぼく」の母であるたーちゃんと共に子どもの面倒を見ている。5歳の長男・ミライと遊んで帰る途中、公園の池で不思議な少年を見かけたがすぐに見失ってしまう。かわりに、池の豊かな生態系に気付いた「ぼく」とミライは、生き物を捕って家で飼うことにする。メダカやヤゴなどの捕って来た生き物に興味津々のミライ。それをきっかけに「ぼく」はミライに様々なものを見せ、ミライも多くのものを学んでゆく。ミクロの生物、恐竜と化石、物質の成り立ち、数学、宇宙…。死が迫っているかもしれない今日子のことも関連付け、ミライは様々なことを考える。


 こんなあらすじを書いてはみたが、説明しきれない。勿論ネタバレしないように書くつもりだが、とにかく扱っている分野の幅が広すぎてどれをどう書いたらいいかわからなくなってしまった…。一言で言うならば、科学少年による全ての科学好きのための本…と言ったらいいのだろうか。科学が好きな人ならきっとワクワクするはず。

 今日子のガン治療、死ぬかもしれない現実からミライが考えることが深い。科学を知ることは、子どもにとっては酷な現実を突きつけられることにもつながる。それでもミライは知ることをやめない。そこに強く共感した。ガンでなくても、生きているものはいつか死ぬ。手に負えないほど広く、膨大な時間の中にある宇宙を思うと自分の存在が小さすぎて不安になる。でも、宇宙の謎や生命の不思議を知ることは楽しい。その不安を忘れさせてくれる。何故そうなのかは私も分からない。矛盾した、でもその矛盾をそのまま納得できてしまう不思議な気持ちにさせてくれる話です。


 作中で、「ぼく」はある物語を書く。内容は書かないことにするが、これまた深くてびっくりした。実際に絵本として出版したら面白いかも。もう一つ、私のツボはアスカ(ミライの妹)の「ちゅとろーまい!あんもない!」。可愛すぎる。



 なんだか「天体観測」(BUMP OF CHICKEN)聴きたくなる話、とも言えるかも。
by halca-kaukana057 | 2006-11-02 20:07 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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