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ロケットガール1 女子高生、リフトオフ!




「ロケットガール1 女子高生、リフトオフ!」(野尻抱介、富士見書房・富士見ファンタジア文庫、2006)

 野尻抱介氏の名前を知ったのは何年も前のことだ。冥王星の命名者・野尻抱影に名前が似ているので何か関係があるのかとも思ったが、何も関係ないらしい。その野尻抱介氏の名前を知るきっかけになったのがこの「ロケットガール」シリーズ。1995年に刊行されていたが手に入らず、そのままにしておいたらアニメ化されるというので新装版が出た。これはいいチャンスだ。この際だから読んでみた。


 女子高生・森田ゆかりは新婚旅行で行方不明になった父を探すため、ソロモン諸島のアクシオ島にやって来た。そのアクシオ島には日本人がいっぱいいるロケット基地があるという話を聞いたゆかりは、そのロケット基地を目指す。ひょんな出来事からそのソロモン宇宙協会のロケット基地の人々と出会ったゆかり。そのソロモン宇宙協会の所長・那須田はゆかりを見るなり、父親を探すのを手伝う代わりにアルバイトをしないかと言い出した。父親探しに協力してもらえるならと承諾。しかし、その仕事とは史上最年少の宇宙飛行士だったのだ。推力の劣るロケットエンジンを使うため、載せるペイロードはできる限り軽くしなければならない。そこで、体重の軽いゆかりが選ばれたのだった。しぶしぶ宇宙飛行士を引き受けたゆかりは、すぐ厳しい訓練でしごかれる。その後、訓練中に熱帯雨林で出会ったタリホ族の少女・マツリもバックアップクルーに選ばれ、共に(ゆかりはあまり気は進まなかったが)宇宙を目指すことになる。



 女子高生が体重が軽いからというそれだけの理由で宇宙飛行士に選ばれる前代未聞の話。ストーリーもぶっ飛んでいて面白い。でも、メカニックは現実のものに基づいている。その上非常に薄いスキンタイト宇宙服(これまでのモコモコの宇宙服とは違い、ダイビングスーツのように薄くて体にフィットし、動きやすいメリットがある。)など、そのうち実現されるであろう新技術に関しても触れている。これは凄い。読みながらこんなものがあるんだーと興味津々。それを1995年、10年前に描いていたのだからますます凄い。このシリーズ、ただもんじゃない。

 その一方で、ライトノベルSFらしい面白さも忘れない。普通のかわいい女子高生がいきなり宇宙飛行士になってしまうのだから、ゆかりの戸惑いや葛藤はかなりのものだ。度胸と行動力で乗り越えつつも、不安や疑問は敏感に感じる繊細さ。でも、宇宙飛行士である誇りと使命感がだんだんと高まってゆく姿にはドキドキしてしまった。個性豊かな登場人物も楽しい。訓練を担当する鬼教官、セクシーな女医に、化学主任はマッドサイエンティスト。もう何でもあり。こんなところはアニメで良く映えると思う。アニメも観られたら是非観たい。

 今後11月に第2弾「天使は結果オーライ」、12月に第3弾「私と月につきあって」も新装版で刊行される。よーし、全部読んでみよう。



<参考リンク>
ソロモン宇宙協会 「ロケットガール」公式サイト
 アニメ版「ロケットガール」の公式サイト。まだ準備段階だが、冒頭フラッシュはいい。

秋田大学・ものづくり創造工学センター「ロケットガール養成講座」
 「ロケットガール」アニメ化に便乗(?)して、文部科学省「女子中高生理系進路選択支援事業」の一環として行われるイベント。女子高校生がロケット作りから打ち上げまでを体験し、宇宙開発に興味を持ってもらおうという企画。なかなか本格的。秋田県能代市では毎年、「能代宇宙イベント」というのを行っており、それでタイアップしやすかったのだろう。ネットで講座の様子が配信される予定なのだそう。これは楽しみにしていよう。
by halca-kaukana057 | 2006-11-04 20:13 | 本・読書

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