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宇宙へのパスポート3

宇宙へのパスポート(3) 宇宙開発現場取材日記
笹本 祐一・松浦晋也/朝日ソノラマ/2006


 「ARIEL」や「星のパイロット」シリーズで知られるSF作家・笹本祐一と宇宙作家クラブの仲間たちが世界中のロケット打ち上げを観に行く「宇宙へのパスポート」も第3弾が既に出ていた。これまでのシリーズも本当に面白かった。H-2・8号機からH-2Aシリーズ、M-5シリーズ、果てはスペースシャトルにアリアン5…と世界中の代表的なロケットはだいたい網羅してあるため、ロケット観測旅行ガイドブックとしても重宝しているようだ(私もこれをお供に種子島に行きたいです、心から)。日本のロケットのみを取材した第2弾とは打って変わって、第3弾は宇宙開発ジャーナリスト・松浦晋也と共に再び世界各地を駆け巡ります。


 第3弾で取材したのはヨーロッパ宇宙局(ESA)の「アリアン4(実際はローマ数字)」、ロシアの民間ロケット「ユーロコット」、NASAのスペースシャトル・ディスカバリー号(STS-114,野口聡一さんが搭乗)、そして日本・JAXAの「H-2A」7号機に「M-5」6号機、さらにはロケット打ち上げではないが小惑星探査機「はやぶさ」の小惑星イトカワへの着陸を相模原で取材したのと、結構ボリュームあり。だが、ロケット打ち上げはそうそうスケジュールどおりに進むものではない。天候に左右されたり、最終チェックでエラーが出たりでスケジュールは大きく変化する。いつもそれに合わせて取材できるとは限らない。この巻でも延期で打ち上げに立ち会えなかった回がある。だからこそ、打ち上げに立ち会うことが出来、天を切り裂く光と轟音を目の当たりにした時の興奮は忘れられないだろうし、病み付きにもなるんだと思う。

 旅の楽しみはロケットだけではない。世界各地の博物館・科学館を観たり、美味しいものを食べたり(どちらかと言うと食べ物に悩まされることの方が多いらしい…)、珍道中もまた楽しい。ロケット打ち上げのスケジュールに左右されてしまうため、臨機応変な対応を求められるがそれはロケット打ち上げと同じぐらい困難な任務になってしまったりもする。印象的なのはユーロコット取材でモスクワを訪れた時、旧ソ連のロケット技術者コロリョフの自宅を訪れた場面。ロシア語はさっぱり分からないが、コロリョフ夫人が案内してくれた家の中に神がかったものを読んでいる側も感じることが出来る。

 この本を読んでいて思うのは、宇宙開発の現場にはニュースにはならないけどとても興味深いものが詰まっているということ。ロケット技術者たちの人間くさい一面や、宇宙を夢見る野心や憧れもそうだし、予算や政治のために紆余曲折をたどってきた歴史とか。そして何より現場の臨場感が感じられる。私は宇宙に限らず、何でも「現場」を見るのが好きだ。工場やエンジニアや職人の作業の様子などは何時間見ていても飽きない。子どもの頃は社会見学が大好きだった。宇宙なんてまさに雲の上の話のようだが、こんな人間の息遣いを感じるテクノロジーがある現場がこの地球上に、さらに日本にもあると思うとちょっとでもいいから見に行きたいと思ってしまう。一般人はなかなか立ち入ることの出来ない宇宙開発の現場を取材したこのシリーズを、私はとても貴重なモノだと感じる。


 ところで、航空宇宙関係の本なのに75・76ページで突然楽器の話が出てくるのだが…。笹本さんは、実は高校時代ブラスバンドでフルートとピアノを担当していたのだそうだ。パリの楽器博物館を覗いたのだそうだが、いやはや驚いた。笹本さんが楽器にも詳しかっただなんて。




「宇宙へのパスポート ロケット打ち上げ取材日記1999-2001」
 こちらが第1弾。H-2シリーズ最後の打ち上げとなった8号機、若田光一さんが搭乗したスペースシャトル・ディスカバリー号STS-92、アリアン5を取材。「まんがサイエンス」シリーズや「なつのロケット」で知られる漫画家・あさりよしとお氏のイラストがかわいい。


「宇宙へのパスポート2 M-5&H-2Aロケット取材日記」
 これは第2弾。日本のロケットばかりを取材してあるため、種子島&内之浦ロケット観測ガイドにもなる。旧ISAS内之浦の管制室の古臭さに驚いた。それでも数多くの人工衛星を打ち上げているわけだから凄い。また、種子島もそうだけど地元の人の協力体制も面白かった。


 ところで以前笹本さんのSF宇宙小説「星のパイロット」を読んでとても面白いと思っていたのだが、続編をなかなか入手できずにいた。しかし、先日古本屋で第2弾から第4弾まで見つけ、即入手してきた。今後読むのがとても楽しみ。でも第1作のあらすじがうろ覚え…。
by halca-kaukana057 | 2007-01-20 20:52 | 本・読書

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by 遼 (はるか)
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