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舘野泉:アイノラ抒情曲集

 以前「タピオラ幻景」で聴いた舘野泉さんが弾く、吉松隆氏の左手のためのピアノ曲集。「タピオラ~」が結構気に入ったので、先日出た新曲も聴いてみました。


アイノラ抒情曲集
舘野泉 with平原あゆみ/吉松隆/エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ

 「アイノラ」はシベリウスが住んだ家のこと。シベリウス・フィンランドつながりの2人なので、またもやこんなタイトルになってしまいました。「タピオラ~」と同じく、不思議な響きのする7曲。吉松氏の音楽って、響きが印象的で、どこか寂しげ。静けさはアイノラの風景そのもの。

 今回のCDの作品は、全て吉松氏による作編曲。舘野さんのお弟子さん・平原あゆみさんとの三手連弾も何曲か。その中の、「4つの小さな夢の歌」第1曲「春:5月の夢の歌」は一番のお気に入り。今の季節にぴったりな優しい、朗らかでのびやかな曲。時間を止めて聞き入っていたい、そんな曲。

 「ゴーシュ舞曲集」はこれまでの雰囲気がガラリと変わる、ノリノリな曲ばかり。以前このCDに関しての情報を知った時(「秋のフィンランド本まつり「音遊人」2006年10月号」)、「ゴーシュ」とは宮澤賢治の「セロ弾きのゴーシュ」だと思っていたが違うのだそうだ。元々、左手のことをフランス語で「ゴーシュ(Gauche)」と言うのだそうだ。そう言えば、その宮澤賢治は「ヘタクソな」という意味で「ゴーシュ」と名づけたんだっけか。(……曲の話は何処に行った)

 「3つの聖歌」は、シューベルト、カッチーニの「アヴェ・マリア」と、シベリウスの「フィンランディア賛歌」を左手のために編曲したもの。左手でフィンランディア賛歌。実はこれが一番聴きたかった。シンプルな、あの有名なメロディーから始まって、どんどん音が重なり、響きが深く重くなってゆく。2つの「アヴェ・マリア」と共に祈りをささげたい気分になってくる。

 前回と同じく、左手で弾いているかどうかなんてどうでもいい、こういう曲があって、ひとりの人間が演奏している。それだけでいい。再びそんなことを思ってしまった一枚。

 ちなみに「左手のための」と言っても、所々右手も使って録音したのだそうです。それから、先日の「ピアノ好きのねえさんに100の質問」の、55問目「ジャケットが気に入っているCD」でこのCDを選びました。表ではなく、内側。アイノラの写真がたまらんです。
by halca-kaukana057 | 2007-05-19 21:24 | 音楽

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by 遼 (はるか)
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