人気ブログランキング |

続・君について行こう 女房が宇宙を飛んだ

 以前読んだ向井千秋宇宙飛行士と旦那様・万起男さんのエッセイ「君について行こう」の続編です。「君に~」は千秋さんが宇宙に行くまででしたが、続編は宇宙飛行中~帰還後まで。

続・君について行こう 女房が宇宙を飛んだ
向井 万起男/講談社・講談社プラスアルファ文庫/2002

 1994年、スペースシャトル・コロンビア号で宇宙へと旅立った千秋さん。地球で見守る万起男さんはまたもや千秋さんのことを色々と心配してしまう。宇宙での科学実験、ケーブルテレビの映像で観る千秋さんたちクルーの様子、千秋さんが宇宙で体験したこと。そして帰還後、千秋さんが一番衝撃を受けたものとは…。



 まずは「君に~」の最後とちょっとかぶるが打ち上げのシーン。打ち上げの時、千秋さんが考えたのは千秋さんの控えのフランス人宇宙飛行士・ジャン・ジャック・ファビエさんのこと。以前千秋さんも毛利衛さんの控えだった経験がある。打ち上げの瞬間、それは控えの宇宙飛行士が宇宙に行けないと確定する瞬間。ファビエさんが今感じているだろう辛さを思いつつも、「ジャン・ジャック、悪いね。やっぱり、私が行くからね」と思った千秋さん。ロケットの打ち上げはいつも興奮するけど、その陰で切ない思いをしている人もいる。その人のことを考えるからこそ、自分が宇宙へ行って精一杯いい仕事をしてこようと思える。そんな千秋さんの複雑な心境と、振り切った瞬間が何とも爽快。前作でもそうだったけど、千秋さんは本当に凛とした、爽快な生き方をしている人だと感じる。たまらなく素敵だ。

 宇宙へ着いた千秋さんたちクルーは、早速ミッションの科学実験を始める。STS-65のミッションって何でしたっけ…?とすっかり忘れていたので、いいおさらいにもなりました。初耳な実験内容も合った…。飛行中のシャトルの運用に関しても、現場だからこそ聞ける興味深い内容も多く、宇宙バカとしてたまりませんわコレ…。特にキャプコムの存在。シャトルを地上から支援するミッション・コントロール・センターで、一番トップにいるのはフライト・ディレクター。しかし、フライト・ディレクターは飛行中の宇宙飛行士と直接交信することが出来ない。出来るのは「キャプコム」という立場の人のみ(飛行士の健康状態を管理する医師も含むが)。キャプコムは宇宙飛行士の中から選ばれる。宇宙飛行士同士だからこそ理解しあえることがあるからだ。NASAはそういう配慮をちゃんとしている。NASAは技術だけがすごいんじゃなかったんだ。ここにあらためて驚いた。

 忙しい科学実験の合間の食事や、「天井歩きツアー」も楽しい。そして地球の姿。しかし、それ以上に千秋さんに衝撃を与えたもの。それが重力の存在。帰還後、身体や物が重いことにひどく驚く千秋さん。私たちは全く気にしないのに、宇宙から還って来ると意識せざるを得ない重力の存在。物から手を離すと落ちる。どんな軽いものにも重さがある。そんな当たり前のことが、当たり前じゃなくなる宇宙。千秋さんが驚く姿を読んでいて、ああ、私もその物の重さを実感するために宇宙に行きたい!と思ってしまった。

 帰還後、宇宙飛行士の言葉に期待する人々に疲れてしまうなんて部分も。忘れてはいけないのは、宇宙飛行士だって同じ人間だってこと。それぞれ性格も違うし、ものの感じ方も違う。私たちは宇宙へ行って感動した、地球は青くてキレイだったとお決まりの言葉を期待してしまう。それが宇宙飛行士たちを困らせることもある。彼らは宇宙へ観光ではなく、仕事をしに行っているだけなのに。宇宙へ行くことが今はとても珍しいから色々期待してしまうけれども、もっと宇宙飛行が一般的になれば違う視点も見えてくるかもしれない。その鍵となるものを、この本で見つけたと感じました。

 最後がまたとても爽やか。離れてばっかりだけど、こんな夫婦もいいなとも感じます。前作と一緒に読むことをオススメします。
by halca-kaukana057 | 2007-07-23 22:59 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31