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「ドゥムカ」その後

 以前お気に入りの曲だと紹介したチャイコフスキーの「ドゥムカ op.59」。この曲を収録しているCDは少ないのだが、この間見つけたのがこれ。

グランド・ソナタ
チャイコフスキー/上原彩子/ EMIミュージック・ジャパン

 珍しいことに、オール・チャイコフスキーのこのアルバム。チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で優勝した上原彩子さんのデビューアルバムでもあります。…ごめんなさい、上原さんのことは全く知りませんでした。どうも私は日本人音楽家に疎い。

 このCDの解説によると、上原さんはチャイコフスキーコンクールのためだけにチャイコフスキーを演奏したのではないらしい。コンクールでも多くのピアニストが弾くこの「ドゥムカ」や「グランド・ソナタ」を弾かずに、マイナーな曲を演奏している。チャイコのピアノ曲をしっかりと学び、自分にあった曲を吟味してコンクールに臨んだらしい。そしてデビューアルバムはショパンでもラフマニノフでもリストでもなく、ピアノ曲ではそんなに有名ではないチャイコフスキー。しかも協奏曲は入っていない。チャイコを自分の音楽として、真摯に受け止めているように感じられて好印象。

 そんな上原さんの「ドゥムカ」。冒頭からしんみりと入ってゆく。この「しんみり感」を出すのが上手いと感じる。柔らかくて、優しくもある。ずっと聴き続けているアシュケナージのダイナミックな演奏はまさにスラヴの風景を思い出させるけど、上原さんの演奏はより寂れたロシアの農村の、細部までもが見えてくる。チャイコ特有の暗さが、じわじわと伝わってくる。

 これまで私は、スラヴ・ロシア的な暗さが苦手だった。北欧の暗さとは違う、「枯れた暗さ」が漂っていて、救いようがなくて、聴いているのが辛かった。でも、この曲だけは気に入っていて、だんだんチャイコの交響曲・バレエ曲、ラフマニノフやショスタコーヴィチも聴けるようになってきた。暗い曲にも色々合って、救いのない暗さも受け入れる。音楽の嗜好が広かっただけでなく、暗さの違いを認められるようになったのかも知れない。

 このアルバムに収められている「組曲『くるみ割り人形』よりパ・ド・ドゥ ~アンダンテ・マエストーソ」と「グランド・ソナタ」はお見事な演奏。チャイコの魅力をここまで主張した上原さんの心意気に拍手。ちなみに、解説に書いてあったのだが、コンクールで上原さんはリヒテルも好んで引いていたという「ロマンスop.5」という曲を演奏したのだとか。聴いたことがないけど、何故か気になる。是非聴いてみたい。

前の記事は以下
哀しきチャイコフスキー
by halca-kaukana057 | 2007-10-31 22:08 | 音楽

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by 遼 (はるか)
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