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ドリトル先生航海記

 大人になってから読む"「ドリトル先生」シリーズ"。第2作目です。

ドリトル先生航海記
ヒュー・ロフティング/井伏鱒二・訳/岩波書店・岩波少年文庫

 ドリトル先生は相変わらず動物たちの診察と、先生自身の研究で大忙し。そんなドリトル先生のもとへ、トミー・スタビンズ少年がやってくる。怪我をしたリスを保護し、そのリスの手当てをして欲しかったからだ。トミーはドリトル先生が動物の言葉を理解し話せること、ありとあらゆる生き物の研究をしていること、そしてその研究のために世界中を旅していることを聞き、ドリトル先生の助手になる。ドリトル先生は貝の研究をしていたが、その手がかりを南米に住むインディアンの博物学者・ロング・アローに学びたいと思っていた。しかし、ドリトル先生に使われてロング・アローを探していた紫ゴクラクチョウは、ロング・アローが行方不明になっていると告げる。ドリトル先生とトミー、動物たちは船でロング・アローが住んでいる島へ向かうのだが…。


 この第2作で、物語の語り手となるトミーが登場。第2作はトミー視点で語られているところもポイント。

 「航海記」の冒険は第1作「アフリカ行き」のそれとはケタが違います。「アフリカ行き」で海賊をやっつけたシーンでドリトル先生のカッコよさ、勇ましさに惚れてしまったのですが、「航海記」はそれ以上。研究熱心で真面目、勇敢で力もある。正義を大切にし、人も動物も思いやる。権力や地位に驕ることなく、質素に自分のすべきことだけを遂行する。ドリトル先生の凄さについて作品中で何度も触れられているが、こういう形で触れなくても読み手はその凄さを読みながら噛みしめていける。ドリトル先生なりの生き方・生き様・哲学は、現代人の生き方にいいヒントを与えてくれるのではないかと思う。この作品が書かれたのは第1次世界大戦中。その当時は、ドリトル先生のような生き方は斬新だったのではないだろうか。

 先日はてなハイク:いま読んでる本にドリトル先生のことを書いたら、予想以上に反応が返ってきた。皆子どもの頃に読んで、強く印象に残っていたんだな…と思いながらレスを読ませていただきました。このレスで、ドリトル先生の名前について面白いことが書いてあった。この「航海記」で王様にされてしまうドリトル先生。その際、「ドリトル」では偉い人に似つかわしくないので「ジョング・シンカロット」という名前にされてしまう。何故「ドリトル」では偉そうではないのか。理由はこうだ。
ぼくは子供のときに読んだので、ドリトル先生が「シンカロット」って別名を名乗るのがわかりませんでした。
do little→think a lot なんだよな。
いま読んでる本:lovelovedogさんの回答より

 「ドリトル」=「Do little」,「シンカロット」=「Think a lot」だったのです。確かに、「little」では偉そうに聞こえない。「a lot」ならまさしく。実際のドリトル先生は「Think a lot,do a lot」だと私は思うのですが。机上の研究も、旅で得られるものも大切にしている。こういう姿勢で学び、生きられたらと思う。

 ちなみに、私がこの「ドリトル先生」シリーズを読むきっかけになったマンガ「本屋の森のあかり」2巻第7話にも、このドリトル先生の名前の秘密が関係しているんじゃないかと思っている。書店副店長で超読書家の寺山と、彼に想いを寄せる店員の主人公・あかり。寺山がドリトル先生で、あかりがトミーと例えているのだが、この寺山がまさに「Do little,think a lot」な人間に思える。本ばっかり読んで、ゾウを実際に見たこともない。知識と思考だけは沢山あるのに、それを裏付ける体験・経験は多くは無い。そういう意味なのかな?と考えた。深読みしすぎ?

 そう言えば、ドリトル先生シリーズって全12巻でした。13巻と間違えてた…。
by halca-kaukana057 | 2008-03-05 22:45 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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