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ドリトル先生の動物園

 「ドリトル先生」シリーズ第5弾。トミー君との「航海記」の続編に当たります。トミー君が登場して語る巻の文章が好きだ。

ドリトル先生の動物園
ヒュー・ロフティング/井伏鱒二・訳/岩波書店・岩波少年文庫


 タイトルの「動物園」は、現代の人に動物を見せるための施設のことではなく、動物たちの町のことを指します。パドルビーの自宅に、動物たちの町を作ったドリトル先生。「雑種犬ホーム」や「ネズミ・クラブ」など、動物たちが幸せに暮らせる町・家を作ることは、ドリトル先生最大の願いだったと思う。

 物語の大半は、「ネズミ・クラブ」の個性豊かなネズミたちの思い出話。代表して4匹のネズミの思い出話、経験談、そして武勇伝が語られる。世界中のいたるところに棲み付くネズミたちが、彼らの経験談を話してくれたら…。きっと、人間の視点では理解しきれない物語が詰まっているんじゃないかと思う。何かを聞き、読み、理解しようとする時、その人の視点や考え方のパターンは大きく影響してくると思う。その視点や考え方のパターンから脱却して、新しい考え方で物事を見るのは難しいと私は感じる。だから、ドリトル先生の物事の考え方、世界を見る視点は私のものとはずっと違っているのではないか。ドリトル先生のお話を読んでいると、そんな狭い・固まった自分の視点に気付く。そして、人間の視点とは違う視点の世界を、ドリトル先生がそっと見せてくれていると感じる。

 物語の後半は、名探偵犬・クリングの謎解きミステリー。ドリトル先生のお話は冒険ものだけじゃない。ミステリーまであったなんて。でも、普通のミステリーのように「犯人はお前だ!」と突き止め、犯人が逮捕されてめでたしめでたし…ではない終わり方がドリトル先生らしい。余計なことは言わない。言葉は少ないけれど、言葉以上にものを語る何か…雰囲気とか、空気とか、そういうものがドリトル先生からにじみ出ていて、そこがこの物語の面白さだと感じた。

 そのクリングの登場シーンがユニーク。ネズミを食べて(ネズミばかりが出てくる、しかもそのネズミたちが活躍する物語で、いきなりこの流れは厳しい…)、お腹を壊したクリングに、ドリトル先生の犬・ジップがこう言う。
「いまどき、ネズミをたべるなんて、きみは何も知らないのかい?Rのはいらない月には、ネズミをたべちゃいけないんだぜ。ものすごく毒があるんだから。」
「そのRっていうのは、何のことですか?」
「そりゃ、もちろんRatのことさ。」(277ページ)

…ネズミは牡蠣ですか。
by halca-kaukana057 | 2008-04-29 21:24 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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