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ドリトル先生のキャラバン

 ドリトル先生シリーズ第6弾。4巻「サーカス」の続きのお話です。

ドリトル先生のキャラバン
ヒュー・ロフティング/井伏鱒二:訳/岩波書店・岩波少年文庫


 「サーカス」でサーカス団の団長になったドリトル先生。そのドリトル・サーカスのもとにやってきたのが今回の主役であるカナリアのピピネラ。メスであるにも関わらず、素晴らしい歌を歌い、またこれまで波乱の人生(鳥生?)を歩んできた。そんなピピネラを主役にしたオペラを作り、サーカスで上演することに。

 このピピネラの生き様がドラマティックで生き生きしている。飼っている鳥かごの鳥、水槽の金魚はいつも同じ景色だけを見て、退屈ではないのだろうかと子どものころ思ったことがある。ピピネラはひとつの場所に留まらない生きかたをしていたが、鳥は鳥で、金魚は金魚で毎日違うものを見ているのかもしれない…そう思った。

 そのピピネラのカナリア・オペラには、なんとあのパガニーニもやってきます。そう、あのヴァイオリンの名手であるパガニーニ。まさかドリトル先生シリーズに実在した音楽家が出てくるなんて驚いた。ということは、ドリトル先生のお話の舞台はパガニーニと同じ時代…19世紀前半だったのか。物語自体は第一次大戦中に書かれたので、そのぐらいの時代を設定しているのかと思っていた。その時代であれば、ドリトル先生の動物への愛情と活動は人の目にますます奇妙に映るのではないか。やっぱり当時としては革新的なお話だったと思う。

 これまで、動物と話が出来ることを、変だと人々に見られていたドリトル先生。しかし、この「キャラバン」ではちょっと事態が変わってきます。ドリトル先生の動物と話が出来る能力と、動物に対する知識を活用させてほしいという人々が現れる。カナリア・オペラで成功した結果のひとつなのだが、それでもドリトル先生のこと、動物のことを理解しようという人々が現れたことは、物語のひとつの転換に当たると見た。これからはドリトル先生と周りの人々についてもよく読んでいこう。

 さて、7巻から9巻までは月シリーズ。ドリトル先生が月へ向かいます。これは楽しみだ。
by halca-kaukana057 | 2008-05-19 21:59 | 本・読書

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by 遼 (はるか)
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