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おごそかな渇き

「おごそかな渇き」(山本周五郎、新潮文庫)

 ようやく読み終わりました。かなり前から読んでいたのですが、なかなか進まなかった。歴史ものだからか?日本史は苦手なので。でも、日本史の知識がなくても十分楽しめるのは、山本周五郎のすごいところです。

 短編もの9作と絶筆となった表題作を収録。どの作品も、一般庶民の視点で人間の生き様を描いたもの。主君に全てをささげた武士の意思にがっちりと心をつかまれてしまった「ショウショウ十三年」(漢字が見つからなかった。申し訳ありません)。能力はあるのに不運な男とその妻の葛藤にドキドキしてしまった「雨あがる」。語り口調が楽しい「鶴は帰りぬ」。江戸時代のニート?とも言うべき主人公と彼の屋敷にいきなりやってきた謎の女との交流を描く「あだこ」。もうどれも面白い。

 一番気に入ったのは、過去に未練がある女がその未練のある相手と再会する「将藍さまの細みち」。女の「どうせ五十年前、五十年あと」という一言の言葉の意味・重さが分かった時、心をえぐられた感じがした。最後、女の決意がとても力強く、読んでいる私も勇気をもらえたような気がした。

 「おごそかな渇き」は完成されていたら物凄い作品になっていたと思う。とても残念。人間の本質を深く深く問うつもりだったのだろう。

 山本周五郎の作品を読んでいると、人間捨てたものでもないなと思う。小さな日常にも大きなドラマが潜んでいる。そこにスポットを当てるのが上手い。これからさらに読んでいくのが楽しみ。

《雑記》
 クインテットCDは明日届く模様。もう待ちくたびれました…。
by halca-kaukana057 | 2005-12-09 20:12 | 本・読書

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by 遼 (はるか)
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