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人類の星の時間を見つめて 喜・恕・哀・楽の宇宙日記2

 的川泰宣先生が日本惑星協会のメールマガジン「TPS/Jメール」で連載しているコラムをまとめた「轟きは夢をのせて 喜・恕・哀・楽の宇宙日記」の続編が出ました。

人類の星の時間を見つめて 喜・怒・哀・楽の宇宙日記 2
的川 泰宣/共立出版/2008


 第2巻は2005年から2008年5月まで。この間、シャトル飛行再開(STS-114,野口飛行士搭乗)、「すざく」「あかり」「ひので」打ち上げとM-Vロケットの開発終了、「だいち」「ひまわり6号」「かぐや」打ち上げ、「きぼう」建設開始…と大きな出来事が続くのですが、なんと言っても読みどころは「はやぶさ」の小惑星イトカワへのタッチダウン前後の記録。何度読んでもすごいなぁと思う。管制室の「はやぶさ」チームの様子もひしひしと伝わってくる。これはその現場にいた的川先生だからこそ書ける内容。「はやぶさ」がイトカワへのタッチダウンに成功した時、ライブカメラに向かってVサインをした(画像がこれ)ことについても書かれています。今も「はやぶさ」は地球帰還へ向けて航行中。2010年6月の帰りを待ってます!


 的川先生のライフワークとも言える宇宙教育に関しても、「子ども・宇宙・未来の会(KU-MA)」設立などこの2巻で一気に進みます。「はやぶさ」への応援や、「かぐや」が撮った月の画像などの人々の反響を見ていると、宇宙開発には応援する人の存在が必要なんだなと思う。応援するためには、宇宙・科学のどんなところが面白いのかアピールする必要もある。的川先生ご自身がアピールするのもそうだが、アピールできる人を増やし次の世代に繋げていく方向に進んで行っているのかなと感じる。同じく宇宙を志した先生方の訃報に関する内容や、体調を崩されたという内容もあるのですが…的川先生がこれからもお元気で、宇宙と科学の面白さを伝える先頭に立ち続けて欲しいなと思う。

 日本国内は勿論のこと、世界各地の旅行記も読みどころ。相変わらずパワフルです。面白かったのが、ポルトガルの西端・ロカ岬での部分。そこには、ポルトガルの詩人・ルイス・デ・カモンエスの詩の一節が記されたモニュメントがある。
「ここに地が果て、海が始まる」
こう書かれたモニュメントと、大航海時代、見たことの無い海の向こうへ旅立った人々を思って的川先生は「ここに地果て、宇宙(そら)始まる」と言い換える。日本の宇宙開発・宇宙科学研究は今船出したところ。これからが面白い。様々な問題もありますが、この時代に生まれて、立ち会うことが出来て良かったと感じます。

 的川先生のメルマガは、現在も絶賛連載中です。
日本惑星協会:日本惑星協会メールマガジン「TPS/J メール」
 内容が宇宙の話だけになっていないところがまた面白い。科学全般だけでなく、文学や歴史まで。読んでいると、色々と勉強になります。
by halca-kaukana057 | 2008-11-01 22:47 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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