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家族八景

 NHKでドラマ「七瀬ふたたび」が放送されているのを観て、七瀬シリーズに興味を持った。連続ドラマを見続けるのがどうも苦手なので、原作本を。

家族八景
筒井 康隆/新潮社・新潮文庫

 七瀬はお手伝いさんとして、あちこちの家を渡り歩き住み込みで働いている。実は七瀬には、他人の心が読めてしまうテレパス能力があった。勤め先の家庭で家族の心を読み、家族の心の深層に迫ってゆく…。



 読後、怖くて怖くてたまらなかった。最後が「亡母渇仰」という、最も救いの無い作品だったので、余計に恐怖を感じてしまう。この本を夜読んだら、きっと私は眠れない…。

 他人の心が読めてしまう「テレパス」の能力。他人が思っていることが読めたら、色々と便利なんだろうなと思っていた。だが、ドラマ「七瀬ふたたび」を見て、「テレパス」であることは本当に便利なのか、幸せなのかと考え込んでしまった。この「家族八景」を読んでも、同じことを思う。誰かが考えていることを知らない・気づかない方がいいこともある。いや、いいことの方が多いのかもしれない。

 七瀬がお手伝いさんとして働くことになった家庭での、家族が持つ感情の数々。夫婦・家族への憎しみや非難、軽蔑や欲望が、七瀬に、読んでいる自分に迫ってくる。人間のネガティブな感情とエゴがむき出しになって。正直、こういう作品を読むと辛い。だが、私もネガティブな感情やエゴを持っている。きれいごとで隠そうとせず、ストレートに迫る文章に、潔さを感じた。人間として生きる上で、ネガティブな感情と付き合って生きていくしかないのだなと思う。この作品で出てきた人々のような破綻した生き方はしたくないが…。



 NHKでは、「七瀬ふたたび」ともうひとつ、テレパスの能力を持つ人間の生き方に関する作品を映像化してます。あさのあつこ原作のアニメ「テレパシー少女 蘭」。こちらは毎週観ています。「七瀬~」ではテレパスのダークな部分に焦点を当てていますが、「蘭」は比較的明るめ。テレパスを持つ人間が非難・疎んじられることも描いていますが、蘭によってそんな過去を持つ翠が自己を肯定していく部分にジーンとしてしまう。講談社「青い鳥文庫」でシリーズが出ているので、こっちも原作を読んでみよう。
青い鳥文庫:テレパシー少女 蘭

 原作のイラストを見て、アニメと随分違うと思ってしまった…。アニメから入ったので仕方ないか。
by halca-kaukana057 | 2008-11-18 22:08 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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