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「つまらない」と言うのはまだ早い

 このところ、体調が思わしくなく、PCに向かう時間が減っています。来週検査(内視鏡)を受ければ、少しは楽になってくるかと思います。検査を受ける時は、検査を受ける前の方が色々心配したり、ドキドキしてしまいます。

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 今、読んでいる本があります。「さがしもの」(角田光代/新潮文庫)という本です。この本のことは後々書くことにして、角田さんの「あとがきエッセイ 交際履歴」に興味深いことが書いてありました。

 小学生の時、角田さんは入院して、おばさんからサン=テグジュベリ「星の王子さま」の本を貰ったのだそうだ。しかし、読んでも理解できず「つまらない」と感じ、この本のことは忘れてしまった。それから、高校生になって、角田さんは友達から一冊の本を貰った。いろいろ考えさせてくれる、「すごい本」だと感じたのだそうだ。その本こそ、小学生の時に「つまらない」と感じた「星の王子さま」だったのだ、と。

以来、私はおもしろいと思えない本を読んでも、「つまらない」ときめつけないようになった。これはやっぱり人とおんなじだ。百人いれば、百個の個性があり、百通りの顔がある。つまらない人なんかいない。残念ながら相性の合わない人はいるし、外見の好みはあるが、それは相手が解決すべき問題ではなくて、こちら側の抱えるべき問題だ。つまらない本は中身がつまらないのではなくて、相性が悪いか、こちらの狭小な好みに外れるか、どちらかなだけだ。そうして時間がたってみれば、合わないと思っていた相手と、ひょんなことからものすごく近しくなる場合もあるし、こちらの好みががらりと変わることもある。つまらない、と片付けてしまうのは、(書いた人間にではなく)書かれ、すでに存在している本に対して、失礼である。
  (224ページより)

 この部分を読んで、その通りだと感じた。少し前、ある本を読んでとてもショックを受けた。私にとって受け入れるのはとても辛い内容で、しばらく参ってしまっていた。そのことを友人に話したのだが、その本の内容について人とああでもないこうでもないと話し合うとすっきりするのではとアドバイスされた。ところが、私はそのアドバイスに頷くことが出来なかった。ショックは受けたけれども、その内容を批判をするつもりはない。別の見方から見れば、おもしろい読み方だってあると思うし、おもしろいと感じる人もいるだろう。読んでいる時の、自分の状態…疲れていたとか、体調が悪かったとか、そういう要因もあったと思う。

 第一、本の内容は変わることはない(文庫化の時などに書き足しなどがあることはあるが)。演劇や、学校の先生の話や授業とか、プラネタリウムの生解説とかはその日によって、話し方やアドリブによる台詞などで変わることがあるが、本にはそういうことがない。内容はいつも同じ。だから、受け取る側によって、感じることが変化してしまう。

 私も、よく理解できず、「つまらない」と感じた本はある。途中まで読んだが挫折して、本棚にしまってある本もある。そんな本は、自分の視点の狭さや、考え方の硬さを教えてくれる。印象が変わらない本もあるかも知れないけど…、次に読んだ時に感じ方が変わるかどうか、本棚を眺めて楽しみに思うことにしよう。
by halca-kaukana057 | 2008-12-11 22:10 | 日常/考えたこと

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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