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2006年 02月 12日 ( 1 )

かもめ食堂

「かもめ食堂」(群ようこ、幻冬舎)

 
普段1000円以上の単行本なんてまず買わないのに、ストーリーを聞いて買ってしまった。しかも群れようこの作品はあまり読んだことがない。「膝小僧の神様」は私好みではなかった。それなのに買ってしまったのは、この春公開の映画「かもめ食堂」の原作本で、日本映画初のオール・フィンランド・ロケというフィンランドファンにとっては素敵過ぎる作品だから。映画の前に原作を。

 「人生すべて修行」が口癖の古武道家の娘・サチエは、亡き母の味を大切に出来る食堂を開くのが夢である38歳。日本では目新しいものばかりがもてはやされることに失望し、フィンランドで店を開くことを考える。そして運よくヘルシンキで「かもめ食堂」という小さな食堂を開く。シャイなフィンランド人たちはなかなか店に入ろうとはしなかったが、日本好きなガッチャマンオタク・トンミだけが毎日来るようになった。トンミに尋ねられたガッチャマンの歌の歌詞を聞くというひょんなことで出会ったサチエとミドリ。そしてマサコという3人の日本人とヘルシンキの人々が食堂で繰り広げる、ささやかな毎日の物語。

 まず、フィンランドファンの視点で読んでみると、フィンランドらしさが良く出ているなと思いました。シャイでなかなか店に入ってこようとしない(トンミを除く)。市場(カウッパトリ)で「売っている人も売られている物も、生きてるって感じがする」というサチエの台詞。ゆったりと時間が流れる港にふてぶてしいかもめ。せかせかしない。「かもめ食堂」もじんわりとヘルシンキの町に溶け込んでゆく。まさにフィンランド。読んでるだけで町の様子が想像できて楽しい。

 登場人物の人柄も素敵だ。それぞれの持ち味が押し付けがましくなく、自然に出ている。3人が日本で抱いていた困難・不満はかすかな陰を作ってはいるけれど、食堂の中では消えてしまう。ささやかだけれども心から楽しむことがある。その幸せをかみ締めているような。

 そんな派手ではなく地味なストーリーだけど、そこが私は好きだ。映画版はストーリーに変更はあるのかな?それも楽しみにして映画を待とう。DVDで観ることになるかもしれませんが…。
by halca-kaukana057 | 2006-02-12 18:54 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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