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2009年 12月 01日 ( 2 )

 先の記事「前とは違う"原点"へ」で書ききれなかったことをひとつ。

 この世の中には、"アマチュアピアニスト"の世界が存在するらしい…。

 私も趣味で、アマチュアでピアノを弾いているが、彼らは私とは違う。本業は音楽ではなく、二足のわらじ。しかしプロ並みの腕を持ち、リサイタル・コンサートも開く。お互いに学び合い、切磋琢磨し、コンクールやコンペティションで腕を競い合っているらしい…。ただ趣味でピアノを弾いているのとは次元が違う。でも、本業もしっかりとこなす。その一例が前にも書いた金子一郎さん。金子さんの他にも、そんなアマチュアピアニストがこの日本には沢山いるらしいのだ。

 私自身、そういうアマチュアピアニストの演奏を一度だけ聴いたことがある。アマチュアピアニスト(ピアノだけでなく別の楽器もあった)のコンサートに行った。本業ではかなり活躍されているそうだが、その方の演奏は真摯で、音楽が好きだという気持ちに溢れた丁寧な演奏だった。その楽曲に関してのお話もあったのだが、それも面白かった。コンクール・コンペには出ていないそうだが、プロでなくてもこんな演奏が出来て、聴いている人に何かを伝えられるのは凄いことだなと思った。アマチュアピアニストたちがたくさん集まるコンクール・コンペは大変なことになっているのだろう。一度聴きに行ってみたいものだ。

 そんなアマチュアピアニストたちに対して、私は例えて言えば「陸地から遠く離れた小島で、ひとりでピアノを黙々と弾いている人」だろう。アマチュアピアニストたちは、陸地で腕を競い合っている。一方、私はそんな世界から離れて、そんな世界のことも知らず、ひとりで練習し、悩み、壁にぶつかり、考え、また立ち直って練習して…音楽を楽しんでいる。私のいる「島」の周りに同じような「島」は見当たらない(気づかないだけかもしれない)。どんなに大きな音を出しても、誰かに私の演奏は聞こえることはない。ただ、ネットがあるので録音や動画をアップしている。ネットで、遠くの陸地や島にいるピアノ友達と話をする。彼らがいる陸地や島に行くことはほとんどない。あればいいけど、なかなか機会がない。

 と、自分のピアノ環境を例えてみたが、この環境に不満は持っていない。むしろ、この環境でよかったと思っている。アマチュアピアニストのようなレベルでなくても、ピアノ教室やピアノサークルで教えてもらったり、演奏を聴きあったりする環境はあればいいと何度も思った。でも、今の私には叶わないので、無い物ねだりをするのはやめた。様々な人と交流できるのはいいけど、その交流は時に喧騒やしがらみに変わることもある。喧騒やしがらみに囚われたくはない。実際、以前も書いたようにピアノ関係のサイト・ブログを見ると劣等感を覚えることがある。焦り、ため息をつき、自分を見失う。ただ、今は昔に比べてそういうことは減ってきた。人は人、自分は自分と、割り切れるようになってきた。ひとりで、自分のペースで楽曲に取り組む。このスタイルが自分には合っていると感じている。

 以前書いた「音楽へのアプローチ方法」で、こんなことを書いていた。
 音楽へのアプローチ方法は、プロとアマ、初心者と上級者、レッスンを受けている人と独学者…と2つにはっきりと分けられなくなってきているのかもしれない。プロにも色んな演奏者がいるだろうし、アマチュアに関しては分類不可能だろう。だからこそ、自分のやりやすい方法で、やりたい方法で、皆それぞれ音楽を楽しめればいいと思う。どんどん発表会やオフ会に出て演奏を披露するもよし、ひとりで黙々と演奏するもよし。コンクールに挑戦するのもよし、動画を撮ってネットにアップするもよし。アマオケに入ったり、アンサンブルを組むのも楽しい。大人の初心者、独学者、もちろんOK!自分で演奏はしないけど、演奏を聴いて演奏者を応援するのもあり、だ。

 音楽への関わり方は色んな方法がある。ようやくそれに気がついた。音楽は、いろんな意味で「自由」なんだなと思う。私も皆も、「自由」に、様々な方向から音楽を楽しめたらいいなと思う。そして、それを見た人が「楽しそう」「自分もやってみたい」と思えたら…とても幸せだな、と思う。


 世の中には、"アマチュアピアニスト"という私の知らない世界がある。一方で、私はひとりで黙々と楽譜に、ピアノに向かう。それでいいのだと思う。色々なスタイルがあって、いいのだと思う。それがその人に合った、やりやすい、音楽を楽しめるやり方なら。自由でいいんだ。自分に言い聞かせている。

 ただ、ひとり離れ小島で聴く人もなく、黙々と演奏していても、チャンスがあれば楽器・演奏形態を問わずコンサートなどに行って、またはCDで色々な演奏に触れること、出来るだけ好き嫌いせず(苦手だと思っても決めつけない)様々な作曲家の作品を聴く。これは貪欲にいきたい。自分のピアノにフィードバックするという意味もあるけど、純粋に多様な音楽の世界を楽しむために。

 音楽の世界は、広いなぁ…。と感心ばかりしていられない。ピアノに対する禅問答はこのくらいにして、楽譜を読む、ピアノで練習する時間をもっと持とう。
by halca-kaukana057 | 2009-12-01 22:38 | 奏でること・うたうこと

前とは違う"原点"へ

 先日の「演奏の楽しみを取り戻す」で書いたとおり、「楽曲分析と演奏のはざまで」への答え・考えを書きたいと思います。

 人前で演奏すること。大事だとは思う。過去記事を読み直して思い出したのだが、「自分のための演奏、皆で味わう演奏」(2009.1.3)の記事で、こう書いていた。
私が人前で弾いてみたいかと問われれば、イエスと答える。緊張はするけど…音楽は自分だけのものじゃないから。演奏を通した音楽の謎解きを、皆でやってみたいのだ。私の出した、誰かの出した"答え"となる演奏をお互いに聴き合いたい。ネット上の録音や動画を見せ合うことでも出来るけど、生の音は違う。音だけで伝えられないもの…表情や指・手・腕の動きもある。演奏した後、お互いに話が出来ればなお良い。これまで機会はあまり無かったけれども、人前で演奏できるチャンスがあれば、やってみたい。

ピアノを人前で演奏して、その作品に対して感じた難しさや謎だと感じたこと、面白さ、そして何より音楽の楽しさを一緒に味わえたらと思う。プロのピアニストのように自分の演奏で人を楽しませ、喜ばせるエンターティナーになる自信はない。でも、感じることは人によって異なるけど、自分が感じている「楽しい」という想いを、少しで良いから同じ場にいる誰かも感じてくれたら…と思う。


 すっかり忘れていた記事なのだが、読み返してみると想いは今も変わらない。音楽は自分だけのものじゃない。演奏を通した音楽の謎解きを、皆でやってみたい。そして、自分が音楽から感じている「楽しい」という想いを少しでもいいから、共有したい、伝えたいと思う。面白い本を読んだ時、誰かに「この本とても面白かったよ。ここに感動した。ここからこう思った」と伝えたいと思う。それを伝えたいと思って、このブログに読んだ本の感想など、「どこかの誰かに伝えたいこと」(兼、自分自身の思考整理、メモ、覚え書き)を書いている。演奏もそれと同じだ。その作品を譜読みして、練習して、その作品に作曲家が込めたもの・魅力・私が感じたことなどを演奏という形で表現できたらと思う。

 ただ、私には人前で演奏する機会というのがほとんどない。でも、誰かが聴いていてもいなくても、演奏で表現したいことは変わらない。どんな演奏をしたいか、追い求めるものは何か。聴く人がいてもいなくても、それは変わらないことだろう。聴いてくれる人がいなくても、楽曲分析、読解、理解を妥協するという意味にはならない。妥協しない。楽曲を読解、研究することはやっぱり不可欠だ。作曲家たちがその楽曲に込めたものは、楽譜に書いてある。ただ、楽譜というちょっと特殊な「言語」のため、書いてあることを読みこみ、理解し、咀嚼するのに時間がかかる。シューマンのように手の込んだ暗号のようなものを仕組んでいる場合もあるので(シューマンはそこが魅力だと思う)、ただ正面から読んでもわからないこともある。作曲家の生きた時代や個性、音楽に対する哲学なども理解し、それらを駆使して読んでいかなければ。作品に対して敬意をもって、その作品に寄り添っていたい。

 そして、演奏する時は、前の記事「演奏の楽しみを取り戻す」で書いたとおり、譜読みした内容に自分で納得し、よく理解して、その音を出したいと思ってイメージを膨らませる。自然と演奏にその譜読みの結果が表れるように(それに自分の技巧が追いつくかどうかは別として…追いついたらいいんだけど)。

 演奏を聴いてくれる人がいるということ。これは私にとって、滅多にない、有り難い(=ありがたい)ことだ。もし幸運にも誰かが聴いてくれたら、拙い演奏ではあるけれども、その作品を心から演奏して込められているものを表現し、音楽という形で伝えられたらと思う。

 結局、原点に戻りました。原点に戻ってきたけれども、元の原点とはちょっと違う。譜読みについて具体的に考え、実践している今は、以前の原点とは違う。「楽曲分析と演奏のはざまで」の記事を書いた時は、本当に打ちひしがれていた。ショックだったけれども、そのショックのおかげで、さらに考えを深めることが出来た。これは…いいことだったんだな。

 譜読みは楽しい。知識を取り入れるのは楽しい。でも、自分の演奏の背丈と、持っている知識の背丈は、必ずしも一致しない。演奏が、技術が追いつかない。知識も偏りがある。でこぼこだ。でこぼこだけれども、ピアノ、音楽が好きだ。釣り合わない、でこぼこであることを自覚して、今日も、これからもピアノ・楽譜に臨みます。
by halca-kaukana057 | 2009-12-01 21:43 | 奏でること・うたうこと

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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