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2011年 11月 13日 ( 1 )

マジョモリ

 先日、梨木香歩さんの絵本「ペンキや」を読み、取り上げましたが、もうひとつ梨木さんの絵本を読みました。
・前回:ペンキや

マジョモリ
梨木香歩:作/早川 司寿乃(はやかわ・しずの):絵/理論社/2003

 少女・つばきにある朝届いた招待状。「まじょもりへ ごしょうたい」を書かれてある。さらに、手紙を手に取って読んでいると、空色の植物のつるが窓をコンコンとたたいている。つるを追いかけて、つばきは「まじょもり」と呼ばれている”御陵”へ足を踏み入れる。「まじょもり」の奥へ歩いて行ったつばきは、不思議な女の人と出会う。その女の人が一緒にお茶を飲もうとお菓子を差し出すが…。

 梨木さんの作品は、不思議なものが存在することが多いです。でも、それらは全て私たちの生活している日常の世界と繋がっていて、そのどこかに不思議なものが当たり前のように存在している。ただ、気がつかないだけで。「りかさん」、「家守綺譚」や「村田エフェンディ滞土録」、「沼地のある森を抜けて」「f植物園の巣穴」などなど。不思議なものも、日常の一部。不思議なものがある不思議な世界に、登場人物たちは(戸惑いつつも)さらりと入っていってしまい、読み手を迎え入れてしまう。この「マジョモリ」もそんな作品だと感じました。つばきの家のそばにある「まじょもり」と呼ばれる”御陵”。普段は入ってはいけないと大人に言われているのに、招待状が届いた。神聖で畏れ多い場所だとつばきは知っている。でも、つばきは(勇気を出して)ひょいと「まじょもり」の奥へ入ってゆく。ワクワクする冒険のようで、畏れ多い土地へ足を踏み入れる緊張感、神聖な森の静けさをも感じます。

 「まじょもり」で出会った、つばきを招待した不思議な女の人。そして、お茶のお菓子を巡って、つばきの母、ふたばという女の子も交えて物語は進んでゆく。ひとつの場所で、違う時間が混じりあう。子どもの頃、大人になった自分を想像していたように(それは想像したものとかけ離れてしまったが…)、大人になると子どもの頃を思い出し、思い浮かべる時がある。子どもの頃、誰と何の遊びをしていたか。どんな場所が好きだったか。誰に会うのが楽しみだったか。それらの思い出が再び形になって、つばきの前に現れる。「まじょもり」でつばきがふたばという女の子に出会ったが、もし私がつばきなら…同じように会ってみたいなと思った。その人は、子どもの頃、どんな子だったのだろう。会うなら、私も子どもに戻って。つばきとふたばのように、意見が合わないかもしれないですが。

 「まじょもり」が繋いだ、かけ離れた時間と人、それぞれの想い。柔らかな絵が、”御陵”や”畏れ”という難しい言葉・概念を優しく包んで届けてくれるように感じました。ということで、「ペンキや」と同じく、絵本ですが「絵本=こども(幼児~小学校低学年)むけ=平易な物語と絵による本」ではありません。ひとりでじっくり味わいたい、味わって欲しい作品です。
by halca-kaukana057 | 2011-11-13 22:18 | 本・読書

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