2013年 11月 26日 ( 1 )

小惑星に挑む

 今日、11月26日は、小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)が小惑星イトカワへの第2回のタッチダウンを行った日。2005年のこと…もう8年も前になるのですね。久々に「はやぶさ」関連の本を。


小惑星(ほし)に挑む
あさり よしとお/白泉社・楽園コミックス(書籍扱い)/2013

 「なつのロケット」、「まんがサイエンス」シリーズなど、科学・宇宙関係の漫画と言えば、あさりよしとお先生。そのあさり先生も、ずっと「はやぶさ」を追い続けてきました。「まんがサイエンス」で「はやぶさ」について言及されているものもありますし、「アステロイド・マイナーズ」は小惑星探査・小惑星開拓の物語(2巻が出て、読んではいるのですがまだ感想書いてません!)。でも、1冊まるごと「はやぶさ」を描いたのはこの作品が初めて(だと思う)。あさり先生が、どう「はやぶさ」を描くのだろう、と思ったら、思わぬ視点から来ました。

 思わぬ視点…地球よりもはるかに高度な科学文明を持った、異星人の少女2人。高度な科学文明はあるけど、閉塞していた…。彼らが見失った何かがあるに違いない…と異星の文明を調査しに来た。そして、太陽系で小さなある機械を見つける。それは、「はやぶさ」のローバー・ミネルバ。「はやぶさ」のことを知った2人は、「はやぶさ」の苦節の旅を見守り続ける。地球という惑星にあるであろう文明と人類が、この探査機に何を託したのかもともに…。

 高度な科学技術を持った地球外文明からの視点とはやられました。0話での、太陽系・地球の文明について調査に来た理由を話すところで、グッと心をつかまれました。科学文明の進んだ先に、何があるのだろう。それはわからないけど、何かが生まれた黎明期のことには、学ぶことや忘れてはならないことが沢山あると思う。「はやぶさ」なら小惑星探査・深宇宙探査ですが、宇宙開発、科学技術、その他のこともにも言えるのではないかと思う。もし、今がその黎明期なのだとしたら、私たちはそのことをしっかりと見て、心に刻んで、後世に伝えてゆかねばならない。

 異星人の2人は「はやぶさ」の旅路を見つめ続ける。次から次へと起こる「はやぶさ」のトラブルや、「はやぶさ」が何をしようとしているのか、そしてどうトラブルを乗り越えて、何を為そうとしているのか…。「はやぶさ」の仕組みやトラブルなどに付いては、さすがあさり先生、とてもわかりやすい解説です。でも、それが、地球からの視点ではなく、偶然「はやぶさ」に出会ってしまった高度な科学文明を持った異星人の視点なのが面白い。彼らなら、その場で「はやぶさ」を直すこともできる。でも、手出しせずに、何が目的でここまで来て、トラブルも乗り越えて地球に還ろうとするのかを見守る。「はやぶさ」自身の視点にも近いかもしれない。

 異星人たちも、「はやぶさ」に感情移入する。私たちがしたように。「はやぶさ」の地球大気圏再突入も。そしてたどり着いた、「はやぶさ」に託された本当の使命と、「はやぶさ」の先にあるもの。

 「はやぶさ」の旅路・物語は数多く語られ、語られ過ぎている。語られつくした…のかもしれないと思ったが、違うと思う。小惑星探査・深宇宙探査の黎明期である今、「はやぶさ」に何を託していたのか、「はやぶさ」が何の始まりであるのかを、何度でも確認する必要があると思う。「はやぶさ」のドラマティックな旅路の思い出に浸るのとは違う。勿論「はやぶさ」だけじゃない。太陽系を脱出し、未知の太陽系の外側へまだまだ飛行を続けている「ボイジャー」や、他の惑星で探査を続けている数多くの探査機たち。深宇宙探査の新時代の鍵になるであろう、ソーラーセイル実証機「IKAROS(イカロス)」。今も金星に辿り着こうと、粛々と飛行を続けている金星探査機「あかつき」(PLANET-C)のことも忘れてはいけない。そして、来年12月、「はやぶさ2」が打ち上げ予定であることも。

 コンパクトにまとまった「はやぶさ」漫画なので、「はやぶさ」・小惑星探査入門にもいい本です。

 最後に、JAXA公式に、あさりよしとお先生のインタビューがあるので、貼っておきます。現在、民間ロケット「なつのロケット団」でロケット開発・打ち上げにも関わっているあさり先生。あさり先生のロケットへの想いがつまっています。
ファン!ファン!JAXA!:ロケットを作ろうと誘われたら、断る理由はない 漫画家 あさりよしとお
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by halca-kaukana057 | 2013-11-26 21:54 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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