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2014年 06月 01日 ( 1 )

[コミック版]天地明察 6

 いつも楽しみに読んでいるのに、感想が遅くなる…。小説「天地明察」のコミック版。6巻です。


天地明察 6
冲方丁:原作/槇えびし:漫画/講談社・アフタヌーンKC/2014

 渋川春海(安井算哲)たちの会津での改暦事業が始まった。最初は慣れず忙しく指揮を執っていたが、安斎や安藤たちの支えで平常心を取り戻し、天測に打ち込む。ひと月ほど後、会津肥後守・保科正之から「改暦による世の影響を考察せよ」との指標が立てられた。良い影響、悪い影響を話し合う春海たち。改暦の影響がいかに大きいかを思い知る春海だが、ある考えを思いつく。
 一方、お城での安井家と本因坊家の争碁も始まっていた。江戸に戻った春海は、知哲と道策による争碁に同席する。その後、久々に再会した春海と道策。久しぶりに勝負をする2人。春海は無意識に、あの「初手天元」を打ってしまう。


 原作を読んだ時も、今使っている暦(カレンダー)が変わったらどんなことになるだろうと考えたのですが、漫画でも考えてしまいました。ましてや、この時代は月日と曜日を知るためだけのものではない。しかもこの改暦は幕命によるもの。帝が執り行う儀礼を、幕府のものにしてしまうことになる。暦には縁起のいい方角についても書いてあり、人々の生活への影響も大きい。さらに幕府が定めた暦に従うことになるという、政治統制。幕府への反発、それによって起こりうる戦…。32ページからの、春海がひとり月を見上げて考え込むシーンに、グッと引き込まれました。天文が好きで、天文への憧れ、天文の理だけを純粋に追い求めてきた春海。それなのに、その天文・暦が、人の命や国の行く末をも巻き込むことになるかもしれない…。そんなことは望んでいないのに…思い悩む春海の強い願いをかみ締めつつ読みました。そんな中で、考えぬいたひとつの案。春海、本当に強くなった。それなのに、その結果が…。それでも、諦めない春海たち。いつかきっと改暦の日が来ると信じて。

 江戸に戻ってからの春海も、改暦に向けて一歩一歩歩んでいる。81ページ、膨大な資料を前に、妻・ことに「楽しいから!」と言い切る春海がとても好きです。改暦そのものも、改暦による影響も、とてつもなく大変なことは分かっている。でも、やっぱり天文は楽しい。天文が好きで、天の理を知りたくて、まだまだ進む道がある。そして、改暦も天文も、春海ひとりだけのものではない。北極出地の旅をともにした亡き建部様、伊藤様に「頼まれた」こと。ひとつ、実現しました。建部様のことを思うと…胸が熱くなります。

 天文の一方で、碁打ちでも大きな動きが。安井家と本因坊家の争碁が始まった。相変わらず天文・暦ばかりの春海に怒る道策。春海にとって天文・暦は春海ひとりだけのものではなく、様々な人の想いも託されている。その人々の想いを叶えたい。だからここまで来れた。…ならば、碁では、道策の想いも。道策は身なりも、碁も、立派に強くなりました。これまで私は春海の視点からこの漫画を読んでいたので、碁だけをやらない、天文・算術・暦なんて!と憤る道策の気持ちが、一途で一生懸命だがどこか滑稽なものに見えていました。しかし、今回の春海と道策の勝負を見て、道策の強さに魅了されました。碁のことはよくわかりません。ルールも何もわかりません。でも、2人の真剣勝負、道策の予想外の手にドキドキしました。

 春海の改暦・天文への真剣勝負も、これからが山場です。第28幕で、陰陽師の土御門泰福(つちみかど・やすとみ)も登場しました。今後の登場が楽しみです。

 原作にはないシーンがたくさん。物語がもっと深く、面白くなっている。えびし先生の絵も好きだ。いい漫画化だなぁ。物語はまだまだこれから。ずっと読みますよ。

・前巻:[コミック版]天地明察 5
by halca-kaukana057 | 2014-06-01 22:07 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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