2018年 01月 16日 ( 1 )

カリスマ解説員の楽しい星空入門

 夏にNHKラジオ第1で放送している「夏休み子ども科学電話相談」。大人にも大人気で(むしろ大人が楽しんでいるような…わかる、すごくわかる)この冬は「冬休み」編も放送されたんだとか。その「宇宙・天文」分野の担当の先生のひとり、「コスモプラネタリウム渋谷」の解説員、永田美絵先生の星空入門の本です。




カリスマ解説員の 楽しい星空入門
永田美絵:著/八板康麿:写真、矢吹浩:星座絵/筑摩書房 ちくま新書/2017

 「子ども科学電話相談」での永田先生のお話はとても好きです。小さな子にも分かりやすく宇宙や星のことを、ラジオなので音声だけで伝えるのはかなり難しい…プラネタリウムの解説員だからこそできることだと思います。一方、宇宙が大好きで自分なりに宇宙のことを学んでいる子にはその向学心を満足させ、さらに学びたくなるような話をする。これも、学校とは違うプラネタリウムで働く専門家だからこそ。また、宇宙は謎だらけ…宇宙はどうやってできたの?ブラックホールって何?宇宙が膨らんでいるって本当?宇宙は最後はどうなるの?最近はノーベル賞受賞もあって、重力波って何?という質問もあるかもしれない(全部聞いてないので実際にあったかどうかはわからないのですが…)つまるところ宇宙って何?そんな、誰しもふと思ってしまったことがある、でも説明するのはものすごく難しい質問にも、全力で答えてくれます。

 でも、私が知っているのは、そんな「子ども科学電話相談」での永田先生。「コスモプラネタリウム渋谷」には行ったことがなく、プラネタリウム解説員としての永田先生は知りません。この本を読んでいて、普段永田先生はこんな風にプラネタリウムで解説をしているのかなと感じました。

 星空観望の入門本…というのは、実は扱う範囲が広い。まず天球上の星や太陽、月などの動き(日周運動)の話をしないといけない。それから、公転により季節によって見える星座が違うことを理解してもらわないといけない。そして、メインとなるのが星座の話。星座の成り立ちやギリシア神話などの星座物語(何バージョンもあるのでどれを選ぶか悩む)、星座を形作る恒星で明るい星の名前や由来、エピソードなど。その星座にある星団、星雲、銀河などの天体。それらをどうやったら観ることが出来るか、双眼鏡や望遠鏡の解説。その次に月、惑星、彗星、小惑星など太陽系の天体。ここでは探査機の活躍にも触れるとその天体の詳しい姿を伝えることが出来る。話題になりやすい流星、流星群も忘れてはいけない。最近、天文学上の大発見があったら触れておきたい。
 大体このくらい。文章だけだとわかりにくいので、写真や星座絵で、ビジュアルから入れるようにする。この通り、入門本とは言えど、侮るなかれ。しかも、入門本なので、宇宙・天文・星空のことを、一から、わかりやすく書かないといけない。星空観望の入門本を書くのはとても大変なのです。
 というのは、以前、私も星仲間のサークルで作っていた「○月の星空」みたいなお知らせで、星座の話を書いていた。その月に見えやすい、代表的な星座をひとつ取り上げて、解説する。ひとつだけでも結構大変。紙面は限られているのであまり長々と書けない。上に書いた、星座物語がいくつもある星座はどれを書いたらいいか迷う。むしろ、こんなお話もありますし、こんなお話も伝わっていますと全部書きたい。星座物語はギリシア・ローマ神話だけとは限らない。野尻抱影の収集した日本や世界各地の星座物語や星・星座の呼び名も書きたい。厳選して、文章にして、何度も書き直して、編集を取りまとめている人に見てもらって…書く星座のことを調べて内容を考えるのは楽しかったけれども、正直大変でした。

 この本を読んで、プロは違うなと思う。きれいにまとめている。入門書だから、もっと知りたくなったらプラネタリウムに来てほしいし、もっと詳しい本もある。まずは、実際に星空を観ること。その観る上でのポイントがわかりやすくて、なるほど~と思いながら読んでいました。新書なので文章が多め。写真や図はそんなに多くはありません。でも、それが、プラネタリウムでの解説を聞いているようでいい。

 永田先生は、「五島プラネタリウム」の解説員でした。日本のプラネタリウムの代表となったプラネタリウム。2001年に閉館。閉館前、渋谷に行くことがあって、五島プラネタリウムのドームを外から眺めて通り過ぎ、その後閉館となってしまい、あの時行けばよかったと今でも思います。永田先生がどんな経緯でプラネタリウムで働くようになったのか。プラネタリウム解説員のお仕事はどんなお仕事か。失敗や苦労、思い出も語られます。プラネタリウムは、当然のことながら投影が始まると真っ暗。解説員はコンソール(解説台)に立ったら、全部一人でやり遂げないといけない。台本も暗記。機材の操作も一人で。もし機材などのトラブルがあっても、基本的には一人で対応しないといけない。投影を観にきているお客さんが星空を楽しめるように、トラブルがあっても臨機応変に。プラネタリウム解説員がこんなに大変な仕事をしているとは思いませんでした。機材の不調でとっさに取った行動が大ウケしたり、その日2回目のお客さんがいる場合は話す内容を変えたり。「夏休み子ども科学電話相談」で同じく宇宙・天文の担当で、五島プラネタリウムで永田先生の大先輩だった国司真先生の、伝説といえる投影。このエピソードにはすごいと思いました。国司先生のお話も大好きです。やっぱり五島プラネタリウムは凄かった…。勿論、今はその五島プラネタリウムで活躍した解説員さんたちが、あちこちのプラネタリウムでがんばっている。途絶えず、引き継がれています。

 冬は当地は夜は曇る、雪が降っていることが多いので、あまり星空を観られていません。雲間にオリオン座を観たぐらい。31日は皆既月食もありますし、冬の星座は煌びやかで見どころ満載。星空をとても観たくなりました。曇っているならプラネタリウム。しばらく行っていません。久しぶりに行けたらいいな…(投影時間と今の生活リズムが合わない)

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by halca-kaukana057 | 2018-01-16 22:18 | 本・読書


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