2018年 11月 06日 ( 1 )

 前の記事でフィンランドの「SISU(シス)」について書いた際、デンマークの「Hygge(ヒュッゲ)」にも言及しました。というのは、「Hygge」に関する本も読んでいたのです。
・前の記事:フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)

日本とデンマークの150年切手&特印
 「Hygge(ヒュッゲ)」という言葉を初めて知ったのはこの記事を書いた時。日本・デンマーク国交樹立150年記念切手のテーマが「Hygge(ヒュッゲ)」でした。

HYGGE ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方
マイク・ヴァイキング:著、ニコライ・バーグマン:解説、アーヴィン香苗:訳/三笠書房/2017

 巷には「ヒュッゲ」に関する本が次々と出ていますが、その火付け役になったのが多分この本じゃないでしょうか。本屋で「Hygge」のタイトルのついた本で、この本を一番最初に見た記憶があります。
 「Hygge(ヒュッゲ)」とは、「人との温かいつながりをつくる方法」「心の安らぎ」「不安がないこと」「心地よい一体感」…この本でも日本語に定義、言い換えるのが難しいようです。何か存在する「もの」ではなく、「その場の空気や経験」が「ヒュッゲ」に近いのだそう。

 「Hygge」の言葉が生まれたと推測されるのは1800年頃。当時、デンマークとひとつの国だったノルウェー語の「Hug(フーグ:抱きしめる)」から派生した言葉と考えられています。デンマーク語もいくらでも単語を付け足して複合語を作ることのできる言語。「ヒュッゲな~」というように、「Hygge」から派生した言葉が沢山あるそうだ。

 「ヒュッゲ」な幸せを感じるために必要なことは、シンプルさ、公平・平等や調和、一体感、平和や安らぎ、「今」「ここ」など。そんな「ヒュッゲ」をつくるために、デンマークの人たちがしていることを紹介しています。料理やファッション、インテリア、身近にあるもの、季節ごとの過ごし方、シンプル、お手軽でお財布にもやさしく「ヒュッゲ」を感じられる方法。北欧の人たちが特に大切にしているクリスマスと夏の過ごし方。この本の著者のヴァイキングさんはコペンハーゲンにあるリサーチ会社のCEO。ヴァイキングさんの会社がデンマークの人々に、「ヒュッゲ」について調査した結果も多く載っています。著者の主観だけじゃない。

 前の記事のフィンランドの「SISU」に共通するものが多いなと感じました。シンプルさ、自分でつくること、ウェルビーイング(心身の充足感)に気を配ること、持続可能性、「今」「ここ」に集中する「マインドフルネス」を大事にしていること。毎日少しずつ感じる幸せ。デンマークとフィンランドは民族的にも言語でも異なる国。でも、共通するものがあるのは、北欧諸国が大事にしているものが似ているのかもしれないと感じました。

 この本では、デンマークの人たちが「ヒュッゲ」を感じるためにしていることが紹介されます。でも、私はこれはあくまで一例だと思いました。これを日本で全く同じように実践しようとしても無理。デンマークでこれができるのは、こういう伝統・文化・ライフスタイルがあるから。例えば北欧デザインの家具を日本で揃えようとしたら大変なことになるが、デンマークなら身近にある。それがデンマークの文化であり歴史だから。それらを揃えたからといって「ヒュッゲ」を感じられるとは限らない。先述したとおり、何か存在する「もの」ではなく、「その場の空気や経験」が「ヒュッゲ」だから。

 興味深い一節がありました。
 デンマーク人にとってはヒュッゲがすべて。場所も値段も品質も、この際、関係ありません。
 私の住むコペンハーゲンはカフェが多く、マンションの向かいにも1軒あります。そこのコーヒーはじつにひどくて、魚くさい味がするうえに1杯5ユーロ(約650円)もします。それでも、私はこのカフェの常連です。なぜなら、囲いのない暖炉があって、ヒュッゲな場所だからです。(25ページ)
 さらに、こんな言葉も。
 ヒュッゲボクサー(Hyggebukser)
人前ではけっしてはけないズボンのこと。ただ、はき心地は最高なので、こっそり愛用することも。
 1日中ひとりきりで過ごす時間がどうしても必要だったから、ヒュッゲボクサーをはいて家にこもり、すっぴんで朝から晩までひたすらシリーズものの映画を見ていたわ(38ページ)
日本で言ったら、着古した愛用のジャージかスウェットを着て、という感じでしょうか。「ヒュッゲ」は誰かと一緒に過ごす、人と人の繋がりからうまれるものと解釈されているようですが、1人でもヒュッゲを感じられればそれでいいみたいです。

 というように、立派な、高価なものに囲まれてなくてもいい。自分で、これが心地いい、「ヒュッゲ」なんだと思えばそれでいいのだと思います。日本なら、畳やカーペット、ソファの上でごろごろして、日本茶を飲んでてもいい。和食を食べてもいい。
 「Chapter14 ヒュッゲと幸福」を読むと、幸せ、「ヒュッゲ」を感じる条件が大体わかってきます。シンプルであること。「今」「ここ」で前向きであること。
 現実を直視すると、私たちの生活はバラ色の天国というわけではありません。しかしヒュッゲとは、むずかしい状況の中でも、今持っているものを上手に活かすことであり、日々の生活にしっかりと根を下ろすことなのです。(281ページ)
 困難があっても、毎日の生活を大事にして前向きに暮らしたい。フィンランドは「SISU」でしなやかに強く立ち向かっていきますが、デンマークは「ヒュッゲ」でやわらかいあたたかさを誰かと一緒に心に保つ。やり方は少々違いますが、北欧の2国のライフスタイルには共通するものがあるようです。

 これから寒い冬になります。私の住む地域は深い雪に閉ざされます。そんな冬の楽しみは、自分なりにいくつか持っているのですが、「Hygge」と「SISU」、フィンランドとデンマークのやり方も参考にしたいと思っています。フィンランドは天候に関係なく外に出て行く、デンマークはあたたかい家の中で心地よいと感じるものに囲まれて引きこもる…この対比が面白い。

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by halca-kaukana057 | 2018-11-06 22:37 | フィンランド・Suomi/北欧

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