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2019年 02月 26日 ( 1 )

きげんのいいリス

 先日書いた「ハリネズミの願い」の続編です。
ハリネズミの願い


きげんのいいリス
トーン・テレヘン:作、長山さき:訳、祖敷大輔:絵 / 新潮社 /2018

 森に暮らす、リスやアリ、ゾウやハリネズミ他の動物たち。毎日、色々なことをして過ごしている。手紙を書いたり、旅に出たり、不思議な出来事に出会ったり、やってみたかったことをやってみたり…。

 本のタイトルはリスですが、リスが主役というわけではありません。登場回数は多いです。森の動物たちの小さな物語が51章あります。前作「ハリネズミの願い」でも登場した動物たちの、違う面が見られます。ハリネズミももう家に引きこもって堂々巡りをしてはいません。4章でこの本で初めてハリネズミが出てくるのですが、不思議な登場の仕方をします。あれは一体何が起こっているんだ。森では、そんな不思議なことも色々と起こります。

 「ハリネズミの願い」よりも明るい雰囲気で、様々な動物たちのユーモラスな日常が描かれていて、こどもが読むのにもいいかと思います。でも、「ハリネズミの願い」同様、いきなり心や思考の深みに持っていかれます。例えばアリ。アリはリスと仲が良く、時々旅に出ると言い出します。そして、何かを考え込むことが多い。10章のアリは、明治時代あたりで文学や哲学を学ぶ学生にいそうな雰囲気。20章でリスと一緒にいたアリが言い出したことは、わかる気がする。が、リスの前で言ってはだめだろう(相手が単純な性格のリスだったからよかったものの)。24章のアリが言い出したことも。リスじゃなかったら相手は怒るか悲しむか。深いけど、ユーモアで落としていて楽しく読めます。

 他の動物たちもユーモラスで風変わり。38章のカメとカミキリムシも好きだ。カミキリムシは、「ハリネズミの願い」でも、大人で冷静に物事を見ている。そのカミキリムシがカメの疑問に対して答えた内容が好きだ。カミキリムシと別れた後のカメの描写もいい。カミキリムシは冷静だと書いたが、3章では意外な一面も見せる。その人(動物)の「個性」というのはひとつだけではない。様々な面があっての「個性」なんだと実感する。31章のゾウの手紙も好きだ。不思議なゾウの手紙を受け取ったハリネズミ。こんな手紙があればいいなと思った。手紙の話なら36章もいい。素敵な友情だ。

 最後の51章の終わり方もいい。やっぱりあたたかい紅茶が似合う本だ。

 トーン・テレヘンの動物の物語はまだまだ沢山あるらしい。さらに翻訳されて、出版されればいいなと思っています。


by halca-kaukana057 | 2019-02-26 22:05 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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