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2019年 04月 12日 ( 1 )

 このニュースを読む度にとても興奮しています。昨日放送された「コズミックフロント☆NEXT」も観ました。
国立天文台:史上初、ブラックホールの撮影に成功 ― 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る
アルマ望遠鏡:史上初、ブラックホールの撮影に成功 ― 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る
EHT-Japan:史上初、ブラックホールの撮影に成功! 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜むブラックホールに迫る

NHK:世界初 ブラックホールの輪郭撮影に成功
史上初、ブラックホールの撮影に成功!

sorae:人類が新たに開いた扉。「ブラックホールの直接撮影」に成功。”シャドウ”を捉える
毎日新聞:究極の「目」、視力300万の解像力 電波望遠鏡6カ所連携 ブラックホール初撮影

国立天文台:(プレスキット)史上初、ブラックホールの撮影に成功:画像
  ↑このページの一番下にある、解説漫画がとてもわかりやすくて面白いです。あの画像、どう見てもドーナツ…ということで、登場するキャラクター、研究者たちが皆ドーナツを持っているwドーナツが食べたくなったじゃないかwニュースを見た翌日、買っちゃいましたよ食べちゃいましたよドーナツw

 「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」プロジェクトについて知ったのはこの記事、最近のことでした。
sorae:ついにその影を掴んだか!?ブラックホールに関する観測成果を4月10日に発表

 本にもネットにも当たり前のように書いてあり、天文学者も当たり前のように口にしている「ブラックホール」という言葉。電波望遠鏡での観測や、ブラックホール同士が衝突して重力波を観測した、というニュースもあり、ブラックホールの存在は確認、証明されているんじゃないの?と思っていました。でも、違った。勉強不足でした。ブラックホール「の存在を示すと考えられているクエーサー」、「から飛び出すジェット」で、間接的にブラックホールがあるのではないか、ということをこれまで観測してきたのです。私のこのブログの過去記事を書き直さねばならぬかもしれん…。
 
 今回、EHTプロジェクトが目指すのは、「事象の地平線」を観測すること。ブラックホールは光をも飲み込んでしまうため、光(電磁波)でそのものは観測できません。その光が脱出できない半径ギリギリの面のことを「事象の地平線」と呼び、事象の地平線の外側には強い重力によって高温になったガスなどがあり、それを電波観測できれば、ブラックホールの輪郭、影も観測できるのではないか。それを目指します。そのためには、高解像度の電波望遠鏡が必要。ブラックホールは意外とコンパクトな天体で、月面にあるテニスボールを見分けられる程度の解像度が必要。現在世界最強のアルマ(ALMA)望遠鏡だけでは足りません。いくつかの電波望遠鏡を組み合わせれば、より大きい=解像度の高い架空の電波望遠鏡で観測することができる、電波望遠鏡の特性(VLBI:超長基線電波干渉計)を利用して観測します。

 そして、一昨日発表された、上記リンク先のニュースの数々。今まで観測されてきたブラックホールのジェットやクェーサーの画像とは違います。丸いリングに、黒くぽっかりと開いた穴。この暗い穴がブラックホールの影、縁の部分。リングの部分は、事象の地平線の外側にある高温のガスです。
 電波望遠鏡での観測は、可視光のように天体の姿が見たまま見えるわけではありません。膨大な観測データを計算して、画像に処理します。今回はVLBIを使って地球サイズの電波望遠鏡として観測しましたが、電波望遠鏡の間の部分は観測できていない。その数値を補う必要もあります。その画像に処理する様子が昨日の「コズミックフロント」で放送されましたが、なかなか思ったとおりの画像にならず苦戦。この画像に至るまでは本当に大変だったんだなと思いました。

 今回観測したのはおとめ座にあるM87銀河。もうひとつ、天の川銀河の中心にあるブラックホールも観測しています。その観測結果は追って発表とのこと。楽しみです。


 このニュースを見ていて、嬉しかったのがVLBIという言葉が一般のニュースに大々的に出てきたこと。可視光、赤外線、X線など様々なタイプの望遠鏡があり、それぞれ見えるもの、観測できるものが違います。個性が違う。電波も、その他の波長とは違うものを観測することが出来る。そして、電波望遠鏡にはいくつかの電波望遠鏡を組み合わせて、その分の大きさの仮想の望遠鏡を作ることが出来るという仕組みがある。ALMA望遠鏡は66基もの電波望遠鏡が並んでいる。ALMA望遠鏡ができたことで、電波観測は一気に飛躍しました。EHTプロジェクトも、ALMA望遠鏡ができたからこそ実現できた(ちなみに、日本の電波望遠鏡が参加しなかったのは、ALMA望遠鏡のあるチリとは地球の反対側にあるため)。

 そして、VLBIと聞くと、あの電波望遠鏡を思い出さずにはいられません。宇宙電波望遠鏡衛星「はるか」(MUSES-B)。今回は地球サイズの電波望遠鏡を作ってしまおうというプロジェクトでしたが、電波望遠鏡が遠くにあればあるほど、もっと大きな、解像度の高い電波望遠鏡を作ってしまえる。ならば、宇宙に電波望遠鏡を打ち上げてしまえばいいじゃないか!!ということで始まったのが、「スペースVLBI(VSOP)」プロジェクト。その技術を実証するために、「はるか」は打ち上げられました。実際に、世界各地の電波望遠鏡と協力して様々な観測を行いました。今回観測したM87銀河のブラックホールから出るジェットも詳しく観測しました。
ISASニュース 1999.8 No.221 「はるか」特集号
 「はるか」は私が特に、一番大好きな衛星。何度も書いてますが、私のハンドルネールはこの「はるか」に由来しています。その位好きです。お花のようなアンテナが個性的で美しい衛星でもあります。
 「はるか」は2005年11月30日に運用を終了しました。「はるか」で実証された技術は、後継機の「ASTRO-G」に引き継がれる予定でした。しかし、電波望遠鏡として機能するアンテナの開発が難航、予算もなくなり、計画は中止になりました。この中止になった時は非常に残念に思いました。

 もし、今回のEHTプロジェクトに「はるか」の後継機が参加できていたら、もっと解像度の高い画像になっただろうに…。現在のEHTプロジェクトの解像度では、比較的地球に近い大きなブラックホールのM87と天の川銀河のブラックホールしか観測できません。プロジェクトチームの記者会見で、今後はもっと解像度を上げたいとありましたが、そのためには電波望遠鏡を宇宙や月に持っていく必要があります。現在、宇宙にある電波望遠鏡は、ロシアの「ラジオアストロン」。しかし、不具合が起きてしまっています。これを機に、もう一度、VSOP計画が復活しないかと思っています。技術的に困難だから仕方がないと、あの時は中止になりました。中止は2011年の話。現在、技術はもっと進歩しているかもしれない…楽観的過ぎるかな…。
 でも、EHTプロジェクトもここで止まってしまうのはもったいないと思います。時間はかかりますが、人類が開いた宇宙への扉を、ここまでで終わりにはしたくありません…。重力波観測と同じように、ブラックホール観測もさらに推し進めて行って欲しい。そのために、VSOP計画が復活してほしい…。そう願うばかりです。

◇ASTRO-Gについてはこのページをどうぞ:JAXA: 特集:果てしない宇宙の謎にせまる ~日本が誇る天文観測衛星の成果と未来~:活動銀河核の真の姿を見てみたい

【「はるか」「ASTRO-G」過去記事】
電波天文観測衛星「はるか」に想う
  ↑「はるか」について拙いですが解説した記事です。

無念… 電波天文衛星「ASTRO-G」開発中止
2月12日は「はるか」記念日
こことは違う世界に出会う時 読んだ本2冊
超巨大ブラックホールに迫る 「はるか」が創った3万kmの瞳
  ↑「はるか」VSOPプロジェクトの集大成として出た本です。この本はおすすめです。
by halca-kaukana057 | 2019-04-12 22:39 | 宇宙・天文

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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