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 年の初め(今月初め)に、正月に聴いた音楽についてこれから書いていこうと思うと書いたが、もう1月も終わりになってしまった。

 海外ネットラジオを聴いていて、偶然サティの「グノシエンヌ」を聴いた。今まで、サティの作品はそんなに聴いたことがない。「ジュトゥヴー(あなたがほしい)」「3つのジムノペティ」ぐらい…?

 「グノシエンヌ」(Gnossiennes)とは、ギリシア語の「知る」(Γνωρίστε:Gnoríste グノリステ)の語幹をもとにして作ったサティの造語。また、古代クレタ島にあった古都「グノーソス宮」や、神秘教会グノーシス派も語源になったと言われている。
 「3つのグノシエンヌ」の1番から3番、4番、5番、6番と続き、7番は「星たちの息子」として作曲され、その後「グノシエンヌ」7番となったが、現在は「梨の形をした3つの小品」の第1曲となっている。

 聴いて、不思議な音楽だなと思った。最初の第1番から第3番は暗い。重い。ゆったりとしていて、夜、小川が静かに流れているかのよう。もしくは、夜の湖のほとりの波打ち際。海だと激し過ぎるので、湖かなと思った。響きは東洋風。音の流れ、変化が不思議。第4番が一番好き。これも暗い。分散和音のアルペジオの低音が心地いい。第5番はようやく長調に。ころころとした高音のメロディーが美しく、ロマンティックでもある。第5番ではあるが、一番最初に作曲されたのがこの曲(1889年)。第1番から第3番は翌年1890年、4番は91年の作曲。この1年の間に、何が起こって暗い短調になったのだろう。5番を1番先に聴くのと、番号順に聴いてみるのとでは印象が変わるから面白い。第6番はより不思議な響きの曲。
 第7番(「星たちの息子」)では、それまでになかった激しい強い音も出てくる。装飾符のタターンという音は、第1番にも出てくる。どこか似ている。第1番を思い返しているのだろうか。作曲されたのは91年。

 「知る」というギリシア語が語源になっているというので、夜、静かに考え事をしたい時に聴きたい曲だと思った。思索の時間に合うと思う。

 聴いたのは、ジャン=イヴ・ティボーデ、小川典子、ブリュノ・フォンテーヌ、ニコラス・ホルヴァート、他。
by halca-kaukana057 | 2019-01-30 22:52 | 音楽
 久しぶりに「シャーロック・ホームズ」の話題を。BBC radio3で、シャーロック・ホームズの映像作品の音楽を特集した番組が放送されました。
BBC Radio3 : Sound of Cinema : Sherlock Holmes

 映画音楽の番組で、この回のテーマはシャーロック・ホームズ。それぞれのテーマ曲、サウンドトラックを取り上げています。古い映画から、ガイ・リッチー監督の映画2作の音楽、BBCなので「SHERLOCK」のテーマも。ホームズといったら忘れてはいけない、パトリック・ゴワーズが音楽のグラナダ版、ジェレミー・ブレットがホームズを演じたドラマの音楽も。新しいところでは、映画「Mr. Holmes」の音楽も。この映画はまだ観ていない。観たいと思っていたんだ(でも、ワトソン/ワトスンが出てこない作品は寂しいなと思ってしまう)。

 MCはMatthew Sweetさん。この方、2015年のプロムスで、シャーロック・ホームズの音楽特集の回で司会をした方。このホームズPromでは、「SHERLOCK」脚本・マイクロフト役のマーク・ゲイティスさんも進行役を務めました。スウィートさんはホームズ映像作品音楽にお詳しい方なのかな?
◇2015年 BBCプロムス Prom41:BBC Proms : Proms 2015 : Prom 41: Sherlock Holmes – A Musical Mind
・その時の紹介・感想記事:シャーロック・ホームズの音楽たち

 「シャーロック・ホームズ」は映像化は多いけれども、どれも違っている。その映画・ドラマオリジナルの物語もあるし、コナン=ドイルの正典そのままの作品もある。でも、どれを聴いても、ホームズのほの暗いミステリアスな、危険も漂う世界が感じられる。かつ、どんな事件が起こるのかワクワクもする。テーマ曲や劇中曲は、現実世界を離れて、その作品の世界へ引きずり込む役目をする。「ホームズ」作品は、ホームズがクラシック音楽好きで、ヴァイオリンも演奏するところから、音楽も重要だと思っている。どの映像作品も、そこを大事にしていていいなと思う。

 オンデマンドは1月29日ごろまで聴けます。

by halca-kaukana057 | 2019-01-03 22:22 | 音楽
 年の初めから、色々な音楽を楽しんでいます。聴いた音楽のことを少しずつ書けたらいいなと思います。

 まず、元日のウィーンフィル・ニューイヤーコンサート。指揮はクリスティアン・ティーレマン。落ち着いた感じで、音も重厚。いい感じだなと思いました。演奏曲目を見て、この曲が入っていて嬉しいと思ったのが、ヨーゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」(Sphärenklänge)op.235.「天体の音楽」とタイトルだけ聞くと、ルーズ・ランゴー(Rued Langgaard)の方を先に連想してしまった…という脱線は置いておいて。

 「天体の音楽」は、古代ギリシアのピタゴラスが考えた、天体の運行は人間の耳には聞こえない音を発していて、宇宙全体が一つの大きなハーモニーを奏でているという「天球の音楽」という思想を元に書かれた作品。ウィーン大学の医学生の「医学舞踏会」のために作曲された。冒頭は暗い星空のようで、メインのゆったりとしたワルツは天球上で星々がめぐる様をイメージ出来る。舞踏会で踊る人々の揃ったステップと、毎晩繰り広げられる天球上での星たちの饗宴。そこに、ハーモニーを感じてもおかしくないなと思う。

 ヨーゼフ・シュトラウスはヨハン・シュトラウス1世の次男。長男はヨハン・シュトラウス2世。子どもの頃から音楽は学んでいたが、音楽の道には進まず、機械工学、製図、数学を学び、工学技師になった。父の死後、多忙な兄が倒れたのをきっかけに、音楽に道に戻る(いわゆる「Uターン」なのかこれは?「Iターン」の方が合ってる?)。作曲した作品には、工学や理系の題材から着想を得たものも多い。今年の2曲目に演奏された「トランスアクツィオン(Transaktionen)」op.184は「反作用」の意味(ヨーゼフは「愛する2人の相互の関係」を描いていると言っている)。他にも、「ディナミーデン(Dynamiden)」op.173は「秘めたる引力」と訳され、分子や原子が引き合う力のこと。

 そして、思い出した。この曲もヨーゼフ・シュトラウスの作品だった。
 「金星の軌道(宵の明星の軌道)(Hesperus-Bahnen)」op.279。
・以前の記事:ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「金星の軌道」…何故「金星」の「軌道」?
 2013年のニューイヤーコンサート(ウェルザー=メスト:指揮)で取り上げられ、気になった作品。調べて、結局何故「金星」の「軌道」なのかはわからない、と書きました。調べ直してみたら、ウィキペディアに書いてある。
ウィキペディア:宵の明星の軌道
文字通りに天体としての宵の明星の軌道と、芸術家協会『ヘスペルス』のこれまでの歩みという二つの意味を有している。
 ウィーン芸術家協会「ヘスペルス(Hesperus)」と、宵の明星を意味する「Hesperus」をかけていたということらしい。「軌道」は、芸術家協会の軌跡という意味。ヨーゼフ・シュトラウスも粋なことをするなぁ。夜空の星の中で一番明るく輝く金星。当時、宵の空にひときわ明るく輝いていたことだろう。そんな明るく輝く金星のように輝く、芸術家協会の歴史と今後の発展を思って作曲したのかもしれない。

 「天体の音楽」もよかったが、また「宵の明星の軌道」も聴きたい。「天体の音楽」に比べると取り上げられる回数が少ない…というか、2013年のウェルザー=メストしか取り上げていない!「天体の音楽」と「宵の明星の軌道」が一緒に演奏されたらいいのになぁ。

◇天体の音楽:Josef Strauss Spharenklange Walzer NJK 1992 WPH Kleiber

◇宵の明星の軌道:Josef Strauss - Hesperus-Bahnen,Walzer Op.279
by halca-kaukana057 | 2019-01-02 23:19 | 音楽
 明日はクリスマス・イヴですね。クリスマス関係の音楽は何かないか、ナクソス・ミュージック・ライブラリーやSpotifyを探していて見つけたのがこれ。
 コレルリ:合奏協奏曲 ト短調 「クリスマス協奏曲」 op.6 No.8

 アルカンジェロ・コレルリ(Arcangelo Corelli、「コレッリ」とも表記される)は、J.S.バッハやヘンデルよりも前の時代のイタリアの作曲家。合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)を確立した。合奏協奏曲は、少数のソロパートと合奏パートに分かれ、2群が交代しながら演奏する楽曲のこと。コレルリの時代、合奏協奏曲には2種類あり、公的な場で演奏され、遅い楽章と速い楽章の繰り返しで構成された「教会コンチェルト(concerto da chiesa)」と、当時流行していたいくつかの舞曲から構成された組曲に近い「室内コンチェルト(concerto da camera)」。コレルリは、この2つを融合させようとしていた。コレルリの作曲した合奏協奏曲は全12曲。この「クリスマス協奏曲」は6番目。

 コレルリは、この第6番の合奏協奏曲を「Fatto per la notte di Natale(クリスマスの夜のために作られた)」と書いています。しかし、「クリスマス協奏曲」に当たるのは、最後の第6楽章:Pastorale ad libitum: Largo だけ。当時、パストラーレはクリスマス・イヴに演奏されるもの。クリスマスの音楽といえばパストラーレ。パストラーレの第6楽章は、クリスマスにのみ演奏されるものだったとのこと。しかし、美しく人気があるので、クリスマスでなくても演奏されるようになったそう。

 その第6楽章は、まさに心が穏やかになるようなゆったりとした音楽。ソロのヴァイオリンと合奏パートのハーモニーが美しい。羊飼いから来た「パストラーレ(パストラル)は今では「田園」の意味ですが、こうやって聴くとなるほどと思います。

 第1~5楽章も荘厳な感じがします。コレルリの12曲の合奏協奏曲のうち、短調で始まるのは2曲だけ。この6番と、3番です。暗く、激しい楽章が多いです。冬の寒さや暗さを感じさせます。まさに今の時期。それが第6楽章のクリスマス、キリスト誕生のお祝いに繋がっていくのでしょうか…?(推測です)。
 暗いですが、舞曲のリズムに楽しくなります。コレルリの時代にもこんな舞曲が流行っていて、時代が進むと更に洗練されていくのだなと感じます。

 聴いたのはこれ。
Spotify:コレルリ:合奏協奏曲「クリスマス協奏曲」 / A. スカルラッティ:クリスマス・カンタータ「アブラハム、汝の顔は」
 リナルド・アレッサンドリーニ:指揮、コンチェルト・イタリアーノによる演奏。アレッサンドロ・スカルラッティのクリスマス・カンタータ、こちらも素敵です。

 こちらは動画。
Corelli Christmas Concerto; Op.68 -- Freiburger Barockorchester

 フライブルク・バロック管弦楽団の演奏。動画で観ると、各パートがどんな動きをしているのかわかるので、もっと面白くなります。
by halca-kaukana057 | 2018-12-23 22:10 | 音楽
 信じられないニュースを目にしました。

チケットぴあ:英国発、世界最大級のクラシックミュージックフェス『BBC Proms(プロムス)』日本初開催決定!
PR TIMES:英国発、世界最大級のクラシック・ミュージック・フェス、『 BBC Proms ( プロムス ) 』が、遂に日本で初開催!『 BBC Proms JAPAN 』、2019年秋に日本で開催決定!

 はい!!?プロムス、BBC Promsを日本で開催!!?

◇公式サイト:BBC Proms JAPAN

・期日:2019年10月30日(水)~11月4日(月・振休)
・東京:Bunkamuraオーチャードホール
・大阪:ザ・シンフォニーホール
・出演:トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 まじか、まじか。以前、ツイッターをやっていた頃、「プロムス in Japan」なんてあったらいいね、ラストナイトを日本でもやって、国旗振りながら「ルール・ブリタニア」や「威風堂々 第1番(Land of Hope and Glory)」歌えたらいいね、なんて話していたことがありました。せめて、ラストナイトの野外会場みたいに、日本でもパブリックビューイングできたらいいのに、とか(時差がきついですが…)。
 これは…それが実現するのか…?

 プロムスは、7月から9月までのロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールを中心にしたものとは他に、海外公演も行ってきました。リンクした記事にもあるとおり、オーストラリア、ドバイでも開催しています。ドバイは来年3月19日~22日にも開催予定です。
Dubai Opera : BBC Proms
BBC Symphony Orchestra : BBC Proms Dubai
 ドバイはBBC交響楽団とBBCシンガーズ。(BBCにはオーケストラが5つもある…)
 ドバイでは、あのラストナイトもやります。「ルール・ブリタニア」も「威風堂々 第1番(Land of Hope and Glory)」もあります。(「イギリスの海の歌による幻想曲」、「エルサレム」、イギリス国歌はありません)あのラストナイトあってのプロムスですし。

 公演詳細は、来年3月に発表予定(元祖プロムスは4月にプログラムを発表します)。最新ニュースはメルマガでも受け取れるとのこと。公式サイトにメルマガ登録フォームがあります。

 東京と大阪の日程と配分がどのくらいなのか。他の出演者は?曲目は?料金は?ラストナイトはどうする?まだ不明なところがたくさんありますが、とても楽しみです。あのロイヤル・アルバート・ホールでの雰囲気をそのまま持ってくることは不可能でしょうが(日本の観客のノリによる。あと、立ち見アリーナがあってこそのプロムス。1階席は立ち見にしてくれないかな)、日本でもプロムスを楽しめるなんて、現実のものになるとは思わなかった。大和証券がスポンサーらしいですが、GJです!!

 問題は、私は行けるのかということだ…。

 せっかくならテレビ収録とか、CD、DVD化してくれたらいいなぁ。
BT : BBC Proms to make inaugural trip to Japan in 2019
 BBCのプレスリリースによると、BBC radio3で収録、放送予定だそうです。そうだった、BBCのオーケストラは海外公演も収録、放送があるんだった。

【追記】
Classical-music.com : BBC Proms announces the launch of BBC Proms Japan The inaugural festival will take place in 2019
 BBCの音楽誌「BBC Music Magazine」のサイトのBBC Proms Japanについての記事です。BBCスコティッシュ響は初来日。そうだったのか(BBC交響楽団、BBCフィルハーモニック、BBCウェールズ交響楽団は来日したことがある。スコティッシュとコンサート・オーケストラは来日したことがなかった)。BBCスコティッシュ響のディレクターさんによると、2020年東京五輪を意識している模様。となると2019年1回きりなのかなぁ。観客の入り、反応にもよるのかなぁ。

Fashion Press : 英国発の世界最大級クラシック音楽フェス「BBC プロムス」日本上陸、東京&大阪で開催
 プロムスのモットーは、毎年ラストナイトの指揮者スピーチで出てきますが、「誰でも楽しめるクラシック音楽のコンサート」であること。プロムス期間中は、ロイヤル・アルバート・ホールを中心に毎日毎日コンサート。チケットも、アリーナやバルコニーの立ち見席なら気軽に買うことができます。演奏される曲目も超名曲からちょっとマニアックな作品まで、古楽から現代まで幅広い。世界初演の新曲も多いです。BBCのオーケストラやイギリス国内のオーケストラだけでなく、世界中のオーケストラがやって来る。出演者も幅広い。室内楽や合唱もある。若手演奏家のオーディションで選ばれた若い演奏家の出演もあり、若手の育成もしている。子ども向けのコンサートもあり、また、さまざまな障碍を持っていても楽しめるコンサートもある。全ての演奏会はラジオで生放送され、世界中から聴ける(オンデマンドあり)。クラシックだけではなく、ジャズ、民族音楽、ミュージカル、ロック、テクノまで幅広い。クラシックでも、お祭りの雰囲気があり、盛り上がりが違う。
 ただのコンサートでは無く、「プロムス」である「条件」ってなんだろう?とちょっと考えています。ラストナイトだけがプロムスじゃない。6日間ラストナイトのようなコンサートをやるわけではないですし…。本家プロムスのように、6日間、どのコンサートもワクワクする。その「条件」ってなんだろう?私がプロムスを毎年楽しみにしている理由ってなんだろう?まさかの来日で、ちょっと考えています。

 当ブログのプロムス関連記事は、この記事の下にもある「Proms」タグからどうぞ。

 (ちょっと思ったのですが、今年、BBC交響楽団が来日したのですが(私も聴きに行った)、ならばそこでこのBBC Proms Japanをやればよかったのに、と思ったり…。いや、あれはあれで楽しかった。ブリテンとシベリウス5番聴けたし。)

BBC Proms : Proms Christmas repeats on BBC Radio 3※PDF注意
 年末年始、プロムスの再放送があります。日本からでも聴けます。オンデマンドもあります。再放送されるのは、バーンスタイン生誕100年を記念した「ウェスト・サイド・ストーリー」に「On The Town」、来日するダウスゴー指揮、スウェーデン室内管の「The Brandenburg Project」、キリル・ペトレンコ指揮ベルリンフィル、ネルソンス指揮ボストン響など。大晦日の年越し前(日本時間元日)にはラストナイトを再放送します。
by halca-kaukana057 | 2018-12-18 22:01 | 音楽
 今日は12月8日、シベリウスの誕生日。生誕153年です。なので、シベリウスの話を。

 以前、こんな記事を書きました。
アンスネスのシベリウス!?
 2015年、フィンランドやデンマークなどでのコンサートツアーで、アンスネスがシベリウスのピアノ作品を取り上げ演奏。そのオンデマンド配信を聴いた、という話。その後、来日公演でもシベリウス作品を取り上げ、2017年にシベリウスのアルバムが出ました。



悲しきワルツ シベリウス:ピアノ名曲集 (SIBELIUS)
レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)/ Sony Classical / 2017

 昨年買って聴いたのですが、音楽を聴いてもずっと感想を書けない状態で…1年後になりました。

 帯には「シベリウス没後60年」とあります。収録曲は以下。


 ・即興曲 第5番 ロ短調 op.5-5 (6つの即興曲 op.5より)
 ・即興曲 第6番 ホ長調 op.5-6 (6つの即興曲 作品5より)
 ・キュリッキ (3つの抒情的小品) op.41 第1曲 ラルガメンテ-アレグロ,第2曲 アンダンティーノ,第3曲 コモド-トランクイロ
 ・ロマンス 変ニ長調 op.24-9 (ピアノのための10の小品 op.24より)
 ・舟歌 op.24-10 (ピアノのための10の小品 op.24より)
 ・羊飼い op.58-4 (ピアノのための10の小品 op.8より)
 ・悲しきワルツ op.44-1 [ピアノ独奏版] (劇音楽「クオレマ」 op.44より)
 ・ソナチネ 第1番 嬰ヘ短調 op.67-1 第1楽章 アレグロ,第2楽章 ラルゴ,第3楽章 アレグロ・モデラート
 ・白樺 op.75-4 (ピアノのための5つの小品 (樹木の組曲) op.75より)
 ・樅の木 op.75-5 (ピアノのための5つの小品 (樹木の組曲) op.75より)
 ・ロンディーノ op.68-2 (ピアノのための2つのロンディーノ op.68より)
 ・エレジアーコ op.76-10 (ピアノのための13の小品 op.76より)
 ・ピアノのための6つのバガテル op.97より 第5曲 即興曲,第4曲 おどけた行進曲,第2曲 歌
 ・5つのスケッチ op.114 第1曲 風景,第2曲 冬の情景,第3曲 森の湖,第4曲 森の中の歌,第5曲 春の幻影

 2015年のツアーで演奏された作品も、来日公演で演奏された作品もあります。シベリウスは幼い頃からヴァイオリンを演奏し、ヴァイオリニストを目指していた。ピアノは、それほどうまくなかった(アイノ夫人はピアノが得意だった)。シベリウスのピアノ曲は、シベリウスが経済的理由のために作曲したものが多い。交響曲のスコアよりも、家庭で気軽に演奏できるピアノ曲の楽譜の方が売れる。それでも、というか、だからこそ、シベリウスの心の中が反映されているように思えます。勿論、交響曲や管弦楽曲からもシベリウスの作風は伺えるし、シベリウスはシンフォニストだと思う。ピアノ曲を聴いていても、シベリウスらしいオーケストレーションを感じられます。この部分はこの楽器だろうか、とか。一方で、交響曲や管弦楽曲に縛られずに、自由な実験をピアノ曲で試みていたようにも思えます。何より、シベリウスが愛した自然が描かれることも多く、個性豊か。シベリウスにとって身近な楽器はヴァイオリンであり、ピアノは身近な楽器ではなかったかもしれないが、そっと静かに聴きたい、もし弾けるなら弾きたい曲ばかり。

 CDのライナーノートに、アンスネスの言葉があるので引用します。
It inhabits a private world.
It is almost not for the public,
but something to play for friend, or even alone.
シベリウスの音楽は内面世界を映し出しています。
コンサートの聴衆ではなく、
友人のために、あるいは一人で弾くために書かれた音楽であるかのようです。
 同感です。

 アンスネスの選曲は、有名曲から、ちょっとマイナーな曲まで幅広い。有名曲、例えば作品75の「樹の組曲」が「白樺」と「樅の木」だけになってしまったのは寂しいと言えば寂しいが、他の作品が充実しているからいいか、と思える。最初に即興曲op.5から、第5曲だけでなく第6曲も入れてくれたのは嬉しかった。私が唯一弾けるシベリウスのピアノ曲、即興曲op.5-6(今は大分弾けなくなっているが…)。アンスネスならこう演奏するんだ、と思って聴いていました。繰り返しも忠実に(私は省略しました)。この曲を練習していた時に聴きたかったなぁ(今からでも遅くない?)。

 シベリウスのピアノ曲は色々と聴いてきましたが、このアルバムを聴いて好きになった曲も多い。作品97「ピアノのための6つのバガテル」第2曲:歌、第4曲:おどけた行進曲、第5曲:即興曲の3曲だけだが、シベリウスの様々な面が伺える。これまで聴いてきたアルバムに、作品97はあまり入っていなかったのもある。第2曲「歌」は他のCDにも入っていたが、改めて聴いてみるとのびのびと自然体で、きれいな曲だなと思う。
 作品114「5つのスケッチ」が全曲入っているのは、このアンスネス盤の強みだと思う。ツアーでも部分的に演奏してたこの作品。作曲は1929年。交響曲第6番や第7番、「タピオラ」よりも後。後期作品独特のシンプルさ、透明感を感じられる。タイトルは、冬の景色に関係している。後期作品からは冬や寒さ、冷たさ、暗闇をイメージするのだが、そのイメージのまま。第3曲「冬の湖」、第4曲「森の中の歌」の冷たさ、暗さ、透明感はとても好きです。最後、第5曲「春の幻影」で春の気配を感じられるのが、また抒情的。アンスネスの透明なタッチが、それをささやかに伝えてくれます。

 これまで好きだった「キュッリッキ」や「舟歌」op.24-10もいい。そして、「悲しきワルツ」のピアノソロ版。ピアノになると、こんなにお洒落な雰囲気も感じられるのかと思いました。シンフォニックではあるけれども、それを全部ピアノで表現しようとするのではなく、ピアノだからこそ出来る表現をしているように思います。

 シベリウスのピアノ曲は、もっと広まっていいと思うし、演奏機会も増えて欲しいと思っています(その割には日本で気軽に入手出来る楽譜はあまり出版されていない…)。アンスネスのシベリウスが聴けて、本当に嬉しい。感想はこれに尽きます。


・私が演奏した「即興曲」op.5-6の記事まとめはこちら:Satellite HALCA:シベリウス:即興曲op.5-6
by halca-kaukana057 | 2018-12-08 22:21 | 音楽
 昨日書いた仙台行きの本来の目的・メインイベントについて。

 2013年に初演された宮川彬良さん作曲のオペラ「あしたの瞳」。初演後、ラジオミュージカル版がラジオ放送され、それを聴いてドハマり。いつか生のオペラを観たいなぁと思っていました。あれから5年。現在は、アンサンブル・ベガによる室内楽版の、オペラのダイジェストが上演されています。今年は仙台に。このチャンスを逃がすまいと応募、当選しました(チケットを買うのではなく、当選しないと行けない。当選すればご招待してくれるメニコンさん太っ腹!)当選してよかった…!行ってきました。


メニコンスーパーコンサート2018 宮川彬良&アンサンブル・ベガ 特別演奏会 in仙台
◇2015年のオペラ再演のページ:メニコンスーパーコンサート:歌劇「あしたの瞳」

◇ラジオミュージカル版。まだ聴けます!ラジオミュージカル 「あしたの瞳」
 前編・後編に分かれています。それぞれの箇所をクリックすると、再生できます。

【過去関連記事】
「見える」とは何だ? ラジオミュージカル「あしたの瞳」前編
ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」前編 覚え書き
ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」 後編 覚え書き
今の積み重ねの先に「見える」もの ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」全体感想
 ドハマりした結果が、こんな量の考察記事を…。歌われるアリアのタイトルもあるので、参考にどうぞ。
 このラジオミュージカル放送の直後、アンベガ岩手公演に行きました。
宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・前編(第1部)
宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・後編(第2部)
”主張”と”和”の生きている”音楽” 宮川彬良&アンサンブル・ベガ@岩手矢巾 全体感想

 コンサート会場にて。
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 公演パンフレット。
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ポスター。オペラの部分拡大。

【アンサンブル・ベガ メンバー】
・第1ヴァイオリン:辻井 淳
・第2ヴァイオリン:戸原 直(客演:通常メンバーの日比浩一さんはお休みです。岩手でも聴けなかった日比さん…)
・ヴィオラ:馬渕 昌子
・チェロ:近藤 浩志
・コントラバス:新 眞二(アンベガのリーダーであり、発起人がこの新さん)
・クラリネット:鈴木 豊人
・ファゴット:星野 則雄
・ホルン:池田 重一
・音楽監督・作編曲・ピアノ・指揮・ナレーション:宮川 彬良
・オペラパートのピアノ:宮川 知子(彬良さんのご長女さんです)

・オペラ構成・脚本:響 敏也(通常のアンサンブル・ベガの構成もこの方)

【「あしたの瞳」キャスト】
・田宮常一:安冨 泰一郎(テノール)
・眼球の記憶/アンソニー・サリバン:塚本 伸彦(バリトン)
・花井君代:長谷川 忍(メゾソプラノ)
・シンディー・フェルダー:安藤 るり(ソプラノ)
・坂本義三:滝沢 博(バリトン)
・コロス:趙 知奈(ソプラノ)、市村 由香(メゾソプラノ)、大久保 亮(テノール)、重左 竜二(バリトン)
(ラジオ版や初演とキャストが同じなのは、常一役の安冨さんと、眼球の記憶/サリバン先生役の塚本さんのみ)。


 舞台がまだ暗い中、舞台に出てくるアンベガメンバー。辻井さんがピアノでチューニング。これ、岩手でもそうだった…思い出します。彬良さんが入ってきて、1曲目。

・F.デーレ/宮川彬良:すみれの花咲く部屋
 アンベガのテーマ曲。アンベガといったらこの曲でしょう!!メインはオペラだけど、アンベガの演奏会でもある今回。始まりはこの曲でした。嬉しかった。また聴けたというのも。鈴木さんの朗らかなクラリネット。辻井さんの切れそうで切れない繊細なヴァイオリン。低音の歌はチェロの近藤さん。新さんのコントラバスが支え、星野さんのファゴット、池田さんのホルンが管楽器の味を加える。内声を支える馬淵さんのヴィオラ、戸原さんのヴァイオリン。アンベガだなぁ、とじんわりと感じました。

 演奏の後は、オペラの前に彬良さんのミニトーク。「10分話せと言われまして…」アキラ節も健在。
 オペラ「あしたの瞳」の「Why」と「How」.「あしたの瞳」はこれで5回目の公演。聴いたことがない人がほとんど(ラジオ版聴いてた人はどの位いたんだろう?)。しかもダイジェストなので、所々飛ばします。オペラができた経緯と、ざっくりとしたあらすじを。オペラを作って欲しいと頼んだのは、メニコンの田中英成社長(ここでは名前は書きますが、実際のトークでは触れてなかった)。父のことをオペラにしてほしい、と。そのお父様が、常一のモデルになった、田中恭一会長。日本で初めて、角膜コンタクトレンズ(現在のハードレンズ。当時のコンタクトは眼球全体を覆う強角膜コンタクトレンズが主流だった)を開発、しかも独学で。とはいえ、彬良さんはオペラを書いた経験がない。オペラも、ドロドロとした人間関係、最後に誰かが死ぬようなもの…と思っていた。でも、この題材はコンタクトレンズ開発。産業が主題のオペラ。ならば書いてみよう…様々な苦節があり、2013年に書き上げ、初演。ここまでが「Why」。
 ラジオ版を聴いて、コンタクトレンズ開発史の本を読んで色々と学びました。ここで語られる物語もすごいですが、史実もすごい。

 「How」は、どうやってオペラを作るのか。今回、カットした一場面のセリフを書いたホワイトボードを持ってきて、セリフを読みながら解説します。場面は、「過去を見続けるために」の前、合成樹脂の板を入手して常一のもとに向かっていた君代と、常一が出会うシーン。ラジオ版ではミュージカルなのでセリフは普通に語られますが、こちらはオペラなので歌に乗せます。「ふるさと」に乗せてみる…違う。常一と君代のセリフのテンションの違いに注目し、曲調を変える。さらに、セリフから、登場人物がどんな動きをしているかイメージする。そのイメージに合う音楽を考える。彬良さんのオペラの作曲スタイルは、脚本→芝居、であること。そして、オペラなので音楽も付いてくる。舞台音楽家として活躍している彬良さんらしいやり方です。セリフに音楽を乗せる、歌のような、語りのような…この微妙な「オペラ」というものがどうやってできるのか、わかりやすかったです。

 そして、いよいよオペラ本編。序曲になっていたのが、「なぜ何故なぜ」。アンベガ版の「あしたの瞳」の音楽はどうなるんだろうと思っていましたが、すっと入って来る。元々のオーケストラでの編曲・演奏と違うけれども、「違う」という感じではない。「こっちもいい」。
 カットしたシーンに関しては、指揮をしている彬良さんがナレーションで語ります。さすがにラジオ版と同じく、眼球の記憶役の塚本さんがやるのは無理か…。

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 舞台の上に白い長い看板のようなものがありますが、ここに歌詞の字幕が出ます。最初、何だろうと気になっていた。これで、ラジオ版でわからなかった歌詞もわかる。ありがたい!と思っていたのですが…。
 オペラの音楽・歌は、ラジオ版とは違うものがほとんど。ラジオ版のはフルじゃない、ショートVer.です。ラジオと同じだったのは、「わしはお前だ」ぐらい…。「もうひとつの瞳」もラジオと同じではあるけれども、その前フリが長い。そして上述のとおり、ラジオ版はセリフは普通に語りますが、オペラは全部歌。「あしたの瞳」の物語そのものに変わりはありませんが、ラジオ版とオペラは全くの別物!オペラはオペラとして楽しめました。セリフが歌になっても違和感無い。ラジオ版のセリフの語りも好きだ(特に、19歳常一の爽やかな好青年っぷり。眼球の記憶の深いバリトンも。)

 上で貼った長々とした考察記事…。ラジオ版の時は、物語やセリフに注目して聴いていました。それを読解する。ラジオ版とオペラの歌詞の違いもチェックはする。しかし、オペラは歌手の皆さんの歌に魅了され、圧倒されっぱなしでした。歌の迫力がすごい。私も声楽を趣味でやっていますが、その時に思っていたのが、どうやったら、マイクなしに自分の声だけで、広いホールに響かせられるんだろう?ということ。その初心を思い出しました。レッスンで声楽での発声、声の響かせ方を学んで、歌っていますが、何をどうしたらこんな響く声が出てくるんだろう、と。しかも、ずっと歌ってばっかり。演技もするし、激しく動くこともあるし、踊ることもある。それでも発声は崩れない。すごいなぁ、プロはすごいなぁと思っていました。

 終戦の頃を思い出していた現代の常一と坂本。坂本が去った後、登場するのが、常一の視覚の記憶が実体化した「眼球の記憶」という謎の存在。眼球の記憶のインパクトがすごかった。舞台のあっちこっちから登場してくる。登場の際のアリア「わしはお前だ」コミカルで楽しい。コロスは眼球の記憶の子分みたいな存在だった。最初は無視しようとする常一が、最後にはノリノリだったのは笑えたwこのオペラはコミカルなシーンが多いです。オペラそのものが初めて、という人も親しみやすいと思います。

 眼球の記憶が常一の見たものの記憶そのものだというのを証明するために、終戦直後の常一の記憶を見せる眼球の記憶。「何を見たか」(「焼け跡タンゴ」に続くシーン)で、コロスのソプラノ・趙さんのソロがすごかった。「何を見たか」の箇所は、オペラだとどう表現するんだろう…と思っていましたが、なるほど、という演出でした。ひと段落した後で、ここで、常一のあの一言…「目玉幽霊」出てきましたw待ってましたw

 眼球の記憶が常一の見たものの記憶そのものだと判明し、常一が成し遂げたことをたどる過去の旅へ。軍需工場での坂本さんとのシーンは割愛。一気に、常一の運命が動き出す瞬間へ。メガネ店で働く19歳の常一。シンディー登場。インパクト強いです…。シンディーの変な日本語英語(英語日本語?)も、字幕があると楽しめます。前半の山場、常一のアリア「もうひとつの瞳」、熱演でした。アンベガの演奏も常一の心情に寄り添い、熱い。ラジオ版でも一番好きなアリアなのですが、生はもっと迫るものがあった。これがライヴだ。この「もうひとつの瞳」の前、コンタクトレンズを見たかったけど見られなかった常一の葛藤「俺は、見たいのだ」ラジオ版だと結構短かったが、オペラは長かった。ただ、ラジオ版での「見られないなら、つくればいい」。このセリフが大好きなのですが、カット?元々からなかった?ありませんでした…ここは残念だった…。

宮川彬良/歌劇「あしたの瞳」より”もうひとつの瞳”(室内楽版)
 2016年の神戸公演での、「もうひとつの瞳」。生は歌も演奏ももっと熱かったよ!

 ここから、君代が登場。元々はソプラノなのですが、アンベガ版ではメゾソプラノに。どうなるんだろう?と思っていましたが、長谷川さん、ソプラノ音域もきれいでした。本当にメゾなんですかと思ってしまった。ソプラノ寄りのメゾなのか、プロならソプラノ音域も出せるのがメゾなのか…。本当、プロはすごいよ…。「過去を見続けるために」で戦争で使われたものでコンタクトレンズを作ることへの葛藤から、それでいいんだと答えを出す。この箇所は特に好きな箇所です。その後序曲にもなっていた「なぜ何故なぜ」。常一と君代の恋の二重唱です。ラジオ版とオペラでは、眼球の記憶の反応が違います。演出を変えたのか、元からこうなのか。オペラの反応も好きだ。

 そして完成したコンタクトレンズ。そこへシンディーが連れてきたのが、アメリカから来た医師のサリバン。塚本さんの2役、見事です。そのサリバンに対抗する常一。サリバンは銃を構え、常一は刀を構えるような演出がよかった。話にならないと去ろうとするサリバンを、「待て!」と引き留める常一の仕草が歌舞伎風だったのも。常一のコンタクトレンズの実力を試す「自転車ソング」。後半の山場です。ラジオ版よりも速い!自転車を全力でこぎながら歌う常一役の安冨さん、息切れも全くなく、力強く歌う。プロの実力を見せ付けられました…。ポスターにもなっているシーンですが、とてもいいシーンです。

 ラジオ版では、眼球の記憶の語りのバックでコロスのコーラスがあったのですが、「闇と光」、ようやく歌詞がわかりました!!いいコーラスです。でも、ラジオ版では途中までなので、全部覚えきれなかった。でも、全体的にそうなのですが、歌詞の詳細よりも、歌、音楽そのものを楽しんでいました。あの歌声を目の前にして、圧倒されて、惹き込まれて…思う存分楽しんだという気持ちです。
 最後は華々しくフィナーレ。この希望に満ちたフィナーレも好きです。

 カーテンコール。大拍手でした。脚本の響さんも登場。そして、彬良さんから、客席にモデルの田中恭一会長と奥様がいらしている、と。ご本人!ここでも大拍手でした。

 歌に完全に惹き込まれて、アンベガ版の演奏を注意して聴けなかったのが残念というか何というか…。違和感がなかった、自然にすっと入ってきたから、それでいいのかもしれない。今度、もしアンベガの演奏会に行く機会があれば、今度こそ日比さんも一緒のフルメンバーで聴きたいです。
 ラジオ版にはなかった歌もあり、これがオペラかと思いましたが、ラジオ版からカットされたアリアも何曲か…。ダイジェストだから仕方ないんだよなぁ…。こうなったら、オペラをフルで観たいよなぁ…。見たい、観たいです。
 あの考察ができたのは、ラジオ版だからだったかもしれない。ラジオ版は何度でも聴けますし。オペラだと、本当に生の歌、音楽に心から魅了されました。その時、その瞬間だけの音楽。音楽は時間と共にある。時間が流れれば、音楽も流れる。生の音楽は引き留めておけない。引き留めたかったけど、ライヴの勢いにいい意味でのまれました。ラジオ版でこのシーンはこんな感じかなとイメージしていたのですが、いい意味で覆されました。イメージ以上です。(ラジオ版はラジオ版、オペラはオペラで別バージョンのように捉えてはいます。)

 私が見たかったものはこれだったんだ、と思ったコンサートでした。改めて、このオペラが好きだ、出会えてよかったと思っています。ホールを出た後も、オペラの歌が頭の中をぐるぐる。普通の言葉も、オペラのように音楽に乗せて歌いたいと思ってしまったくらい。
 今後の私の声楽へのモチベーションにもなりました。年に1度の発表会でも、普段のレッスンや練習でも、目指したい声・発声・歌を聴けました。地道に、コンコーネ50番練習曲他、がんばります。
 最後に、ありがとうございます!

 おまけ。パンフレット一式の中に入ってたお土産。
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 目にいいというコーヒー。まだ飲んでいません。PC作業の休憩にいいかも。よく見たら、このコーヒーはメニコンの子会社が作っているということ。こういうものもあるんだ。

 思い出したら、また追記します。

おふぃすベガ:メニコンスーパーコンサート2018 宮川彬良&アンサンブル・ベガ特別演奏会 宮川彬良/歌劇「あしたの瞳」~もうひとつの未来 SPECIALダイジェスト
 アンサンブル・ベガ事務局のおふぃすベガさんによる、公演レポート。公演の写真、ツイッターのまとめ(モーメント)もあります(モーメントはツイッターアカウントがなくても見られます。)

【追記】
 先述、リンクを貼ったラジオ版を改めて聴いて、過去の考察記事を読み直してみて気づいたことがあります。ラジオ版は、常一のコンタクトレンズ開発の物語に、「見るとは何か、見えるとはどういうことか」という問いをテーマにしている。「見る」のは、視覚だけに限ったことなのか。「見ている」ようで、「見ていない」「見えていない」こともあるんじゃないか。「見えない」ものを「見る」にはどうしたらいいんだろうか。そんな哲学的なテーマが物語のあちらこちらに散りばめられ、「光と闇」「フィナーレ」で、開かれた答えを出します。
 が、オペラダイジェスト版では、あちらこちらカットしてしまったため、コンタクトレンズ開発の物語がメイン。「焼け跡タンゴ」に続く「何を見たか」、「過去を見続けるために」、「光と闇」あたりで、「見るとは何か」というテーマも出てきますが、そこまで追求していない。「フィナーレ」も、コンタクトレンズを見事開発して、サリバン先生にも認められて、大円団…という感じになってしまった。この物語は観ている側にも通じるもの、というメッセージが薄れてしまったように感じます。3時間のオペラをあっちこっち削って75分、仕方ないか…。ラジオ版は、眼球の記憶の語りが重要なポイントになってくるのですが、それもかなりカットされていましたから。なぜ、どうやって、このタイミングで眼球の記憶が常一の元にやってきて、過去へ遡る旅をすることになったのか。その理由がカットされたのは残念。
 でも、歌はオペラの方がフルなのだから、ある程度は伝えられるのではないかと思います。というか、歌の歌詞がオペラとラジオ版では違うところがちらほらあったような…?
 こうなると、やっぱりオペラのフルバージョンを観たいです。これが完全版、というのを観たいです。

by halca-kaukana057 | 2018-12-06 23:53 | 音楽
 今年もNHK BSプレミアムで、BBC Proms(プロムス)ラスト・ナイト・コンサート(Last Night of the Proms)が放送されました。テレビ放送を観ないと、毎年プロムスが終わった気になりません…。9月、BBC Radio3での生放送とオンデマンド配信で聴いていましたが、毎年思うのが、映像で観ると違う!映像で観て、この楽しさがより伝わってくる、ということ。そして映像で観て安心します…(2015年のをNHKが放送しなかった過去が…)

BBC Proms 2018 公式サイト:Prom 75: Last Night of the Proms
BBC Radio3 : BBC Proms : Prom 75: Last Night of the Proms

・今年のラストナイトについて記述のある過去記事:BBC Proms ( プロムス ) 2018 私選リスト その4 [9月] [随時追記あり]

 今年のプログラムは以下でした。NHKでの表記に合わせました。日本語訳がわからなかったものも日本語訳されるのはありがたい。

・ヒンデミット:歌劇「今日のニュース」序曲
・ベルリオーズ:レリオ、あるいは生への回帰 op.14bis 第6曲:シェイクスピアの「テンペスト」にもとづく幻想曲
・ロクサンナ・パヌフニク(Roxanna Panufnik):暗闇の歌、光の夢(Songs of Darkness, Dreams of Light)(※世界初演)
・チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード(Charles Villiers Stanford):海の歌 op.91(1,ドレイク提督の太鼓/2,港を離れて/3,デヴォン ああデヴォン 雨よ風よ/4,家路/5,オールド・スーパーブ号)
     :青い鳥
・パリー:恵みを受けし二人のセイレーン

・サン=サーンス:アルジェリア組曲 op.60 第4曲:フランス軍隊行進曲
・ミヨー:スカラムーシュ
・リチャード・ロジャース:回転木馬 より 独白
・アン・ダドリー(Anne Dudley)編曲:第一次大戦時の流行歌(World War 1 Songs):Roses of Picardy(ピカルディーのばら) , It's a long, long way to Tipperary(はるかなティペラリー) , Keep right on to the end of the road(道の果て) , Keep the home fires burning(その日まで / 炉の火を絶やさず)

・ヘンリー・ウッド:イギリスの海の歌による幻想曲(小粋なアレトゥーザ/トム・ボウリング/ホーンパイプ/ホーム・スウィート・ホーム/見よ、勇者は帰る)
・アーン(サージェント:編曲):ルール・ブリタニア!
・エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 op.39-1 "Land of Hope and Glory"
・パリー(エルガー:編曲):エルサレム
・ブリテン編曲:イギリス国歌(God Save The Queen)
・スコットランド民謡(ポール・キャンベル:編曲) :Auld Lang Syne

  / ジェス・ギラム(Jess Gillam サクソフォーン)、ジェラルド・フィンリー(バリトン)
  BBCシンガーズ、BBCシンフォニー・コーラス
  アンドリュー・ディヴィス:指揮、BBC交響楽団

 9月の記事でも書いた通り、アンドルー・デーヴィス(NHKはこの表記)さんが、ラストナイトの指揮台に18年ぶりに立ちます。12回目。ベテランです。デーヴィスさんがBBC響の首席指揮者で、ラストナイトを指揮していた頃、私はまだプロムスを知らなかった。クラシック音楽にも親しんでいなかった。久々に帰って来るデーヴィスさんの指揮を観て、当時の雰囲気を味わえたなら良いなと思っていました。

 デーヴィスさんは通して指揮棒を持たず指揮。オープニングの映像で、指揮棒がパスされていくのですが(テレビ放送案内役のケイティ・ダーハムさん、裏方さん、常連のプロマーさん、今回出演するギラムさんにフィンリーさん、サイモン・ラトルさんまで!)、最後、指揮棒を受け取ったデーヴィスさんは指揮棒を放り投げてしまう。その後、お茶目な笑顔でw指揮棒はいらないよ、というメッセージだったのでしょうか。
 デーヴィスさん、18年ぶりとはいえさすがはベテランといった感じです。指揮も年齢を感じさせず軽快に。うまい感じに盛り上げています。「威風堂々第1番(Land of Hope and Glory)」の1回目が終わった後のコメントがよかった。スピーチの雰囲気などから、お茶目で陽気な校長先生というイメージを持ちました。沸く観衆を笑顔で静めていた。常連プロマーさんたちに「また会えたね」という感じなんでしょうか

 BBC交響楽団は、3月に来日公演を聴きに行きました。その時も、ラストナイトで見たことある楽団員さんが何人もいらっしゃったのですが、今度は反対に、来日公演で見た楽団員さんたちがいる!と思いました。リーダー(コンマス)のブライアントさん・立派なおひげのフルートのコックスさん。コックスさんの隣には日本人楽団員のフルート・向井知香さん。私が行った公演ではありませんが、ラジオで放送されたマーラーの5番で見事なソロを聴かせてくれたトランペットのトーマスさん。ブリテン「ピーター・グライムズ」パッサカリアで素敵なソロを聴かせてくれたヴィオラの男性はいらっしゃらなかったなぁ。シベリウス5番、第3楽章で、美しい白鳥の飛翔を聴かせてくれたホルンの皆さん…。ラストナイトでのBBC響による演奏は、生で聴いたのと同じように元気でピュアで、金管は迫力のあるブリティッシュブラス。特にチューバはロータリーではなくピストンであるところがまたイギリスらしい。嬉しくなります。

 第1部は、初めて聴く作品が多く興味深々。ヒンデミット「きょうのニュース」序曲はサックスがかっこいい。ベルリオーズ「レリオ」より「シェイクスピアのテンペストによる幻想曲」は、合唱がメインの部分と、オーケストラがメインの部分の対比がいい。今年のプロムスは、女性作曲家の作品を多く取り上げました。ロクサンヌ・パヌフニクの新曲「暗闇の歌、光の夢」は合唱がとても美しい。歌詞も孤独と光のような人への想いが切ない。素敵な曲です。今後、世界各地でどんどん演奏されるといいなぁ。CDも出るといいなぁ。スタンフォードの「海の歌」は海洋国家イギリスらしい、海の男の歌。ジェラルド・フィンリーさんの落ち着いていて表情豊かなバリトンが素敵でした。フィンリーさんが歌う「海の歌」は、オーケストラはBBCウェールズ交響楽団ですがCDが出ています。かっこいい曲だなぁ。一方の「青い鳥」は、無伴奏合唱。BBCシンガーズの合唱で。青い湖の上を飛ぶ鳥。静かな、凍りつくような情景をイメージできました。スタンフォードの作品は初めて聴きましたが、気に入りました。第1部最後はスタンフォードの友人で、第2部の定番曲「エルサレム」の作曲者・パリーの「恵みを受けし二人のセイレーン」。イギリスらしい威厳あるメロディーと響きが魅力的です。合唱もきれい。第1部からたっぷり楽しみました。

 第2部。お祭り騒ぎの第2部です。会場では風船を飛ばして歓声が上がっている。いつも通り、指揮台もリボンや国旗などでデコレーションされてる。18年ぶりに帰って来たデーヴィスさんへのメッセージとして、指揮台と譜面台に「Welcome Home」の文字が。愛されてます。第2部の目玉は、19歳のサックス奏者・ジェス・ギラムさん。ミヨー「スカラムーシュ」を披露。3曲からなる組曲ですが、曲間で盛大な歓声が。すごい。若きスターです。演奏もかっこよかった。フィンリーさんも、第1部とはうってかわってリチャード・ロジャーズのミュージカルから。失業し無一文になったが、もうすぐ父親になる男の、生まれてくる子どもへの想い。男の子だったら?女の子だったら?楽しい想像は尽きない。そんなコミカルで、真剣で、愛情あふれる男を表情豊かに歌い上げたフィンリーさん。素敵なバリトンさんだなぁ。フィンリーさんにはもうひとつ、大仕事が待っています。後ほど。

 今年は、第一次世界大戦が終結して100年。プロムスでは、第一次大戦中に作曲された作品、現代作曲家が第一次大戦を振り返る作品が数多く演奏されました。第1部のパヌフニクの新曲も第一次大戦終結を記念して作曲。第2部では、第一次大戦中に作られ、人々の心を支え、流行した4つの歌をメドレーで、各野外会場を結んで歌います。故郷にいる恋人を想う歌、故郷への歌、故郷で残された人々の想いの歌。ヨーロッパ中を巻き込んだ大戦の間、人々がどんな気持ちでいたのか、どんな気持ちでいようとしたのか。「はるかなるティペラリー」は明るく軽快なメロディーなのに、歌詞を読んでいるとうるっときてしまいます。この曲の前に、野外会場でのプロムスと、野外会場の連携についてのVTRがありましたが、これもよかった。本当に、イギリス全国で盛り上がっているんだなぁと。雨でも来る。ウェールズ、スコットランド、北アイルランド、それぞれの文化は異なりますが、それぞれの文化を大事にしようとしているんだなと感じました。こんな国全体で盛り上がる歴史ある音楽祭があるっていいなと思いました。

 ここからはお馴染みの定番曲。「イギリスの海の歌による幻想曲」。やっぱりこれがないと。「小粋なアレトゥーザ」は、ユーフォニアムの魅せどころ。「トム・ボウリング」のチェロソロが沁みます。会場ではお約束の涙を拭く仕草もいつも通り。「ホーンパイプ」の直前、盛り上がる観衆に静かに、と指示するデーヴィスさん。リーダーのブライアントさんのソロを聴いて、と。そのソロのアドリブが面白かったwヴァイオリンのコミカルなソロの後、フルートのソロに受け渡されますが、フルートのコックスさんはあくまで通常のメロディーを演奏する。でもまたブライアントさんに戻ってきて、ヴァイオリンでちょっと違うメロディーを演奏する…楽しいwコックスさんの隣の向井さんが、笑いをこらえているようにも見えましたw離れてたら笑ってるねこれ。今年は先ほどの第一次大戦時の流行歌メドレーで各野外会場を結んだので、こちらでの野外会場民謡メドレーはなし。でも、「ホーム・スウィート・ホーム」が戻ってきました。オーボエのソロが沁みます。オーボエさん、心なしか目が潤んでいるように見えます…。「見よ、勇者は帰る」の後はお待ちかねの「ルール・ブリタニア」。フィンリーさんは特に仮装などはしていませんが、何か隠してる…。お腹に巻き付けていたユニオンジャック…と思ったら、裏返したらフィンリーさんの祖国のカナダ国旗!2つの旗は縫い合わせてあって、最後は2つ一緒に平和的に振りながら歌う。会場では皆それぞれの国の国旗を振っている。出演者だって国旗を振りたいですよねw歌は伸び伸びとした堂々とした「ルール・ブリタニア」でした。
 続けて、「威風堂々第1番」。「ルール・ブリタニア」もですが、一緒に歌っちゃいます。

 この後で、指揮者スピーチ…出演者コールと、寄付金総額発表をカットしましたね…。2014年も寄付金総額発表とスピーチの一部をカット。BBC Radio3では英語の音声だけで、わからないところも多い。それをわかるための日本語訳付きの放送なのだから、カットしないでくださいよ…NHKか?BBCの元映像そのものがカットされてたのか…?
 デーヴィスさんのスピーチがとてもよかったです。一部引用します。
今夜 私たちがここに集った理由は 聴き手も出演者も心から信じているからです
音楽はただの娯楽ではなく 世の中を豊かにする力を持つ と
人は音楽に笑い 泣き 心を寄せ合います
あらゆる事が境界線に支配されたこの世の中で 音楽は人々を元気づけ 癒し 希望を与えてくれます
美しさと精神的な強さの下に 私たちを1つにしてくれます
今夜だけでもホールや野外会場をはじめ 世界中の人々が1つになりました

創始者のウッドがプロムスで目指したのは "誰にでも親しめるクラシック音楽祭"でした
その貴重な遺産は今も引き継がれ プロムスは音楽の力で 人々の心を豊かにしています
 このラストナイトだけでも、笑い、目頭が熱くなり、様々な音楽に魅了され、いいなと思えました。最初にラストナイトを見た時から、イギリスの愛国精神の強さが全面に押し出されているのに、どこか「世界はひとつ」という感覚を覚えています。振られている国旗が世界各国のものであるのもあるし、演奏される作品も様々な国の音楽。「音楽はただの娯楽ではなく 世の中を豊かにする力を持つ」からこそ、そう感じるのだと思います。さすがベテランのスピーチです。

 最後、「エルサレム」「イギリス国家(God Save the Queen)」「Auld Lang Syne」この3曲で、毎年また涙腺が緩くなる…。「Auld Lang Syne」、またしても「蛍の光」と訳されてた。日本語歌詞の「蛍の光」と「Auld Lang Syne」は別物でしょう。だから「マッサン」でやってたじゃないですかNHK!以前の「昔なじみ」の訳の方がいいと思う…。

 最後、今年のプロムスのダイジェスト映像が流れました。ああ、これがあのプロムで…思い出します。途中でスタッフクレジットが入ってしまいましたが…。この映像、以前に公式サイトとYouTubeにアップされているものと微妙に違います。
BBC Proms: The 2018 Proms season in a thrilling 4 minutes
 ↑ページに飛ぶと自動的に動画が始まるので注意してください
◇YouTube:BBC Proms 2018 in 4 minutes
 Relaxed Prom(小さなお子さんやさまざまな障碍などを持っていても楽しめる演奏会)、室内楽のあたりが追加されています。見比べてみてください。

 その他、細か過ぎる気づいたところを。
・デーヴィスさんは元オルガン奏者だったんですね。その後指揮でプロムスに。
・コーラスに、いつもターバンを巻いている男性がいらっしゃるのですが、今年はターバンを巻いていません。どうしたんだろう。
・イスラエルのご出身なのか、合唱団にイスラエル国旗のデザインのタイの人がいた。
・スタンフォード「青い鳥」で、天井からぶら下がっている円形のもの(マッシュルーム)も青色に。きれい。
・第2部、デコレーションされた指揮台に、ねこのぬいぐるみが。デーヴィスさん、なでてたw
・第2部では例年通り、トランペットセクションはお揃いのユニオンジャックカラーのタイです。
・バルコニー席からの映像がいい。アングルがいい。
・今年はアリーナに大きな日の丸を振っている人がいない。でも、客席に日の丸の小旗とスペイン国旗を一緒に振っている人がいた。
・「イギリスの海の歌による幻想曲」の前、クラッカーの音にびっくりするデーヴィスさんw
・誰かわからないのですが、顔写真のお面を被ったプロマーさん…ちょっと怖いw
・「トム・ボウリング」では今年はボックスティッシュを回して涙を拭き合います。鼻もかみます。
・「威風堂々第1番」で、トロンボーンの若い男性楽団員さんが、ユニオンジャックの小旗で触角!!?カチューシャみたいなものをつけていたwオモシロイことしているんだから、カメラさんもっと撮ってあげてよ(違う?w
・デーヴィスさんが指揮者スピーチで話していた「マーガレット」さん…奥さん?照れくさそうにしていましたw
・「来なきゃ損するよ」…行きたい…。ラジオで聴きます…。
・毎年、気になっている、「We ♥ BBC」の垂れ幕。ファーストナイトでは見ましたが、ラストナイトではなかった。来られなかった?
・ファゴットが2人とも女性というのが、女性の多いBBC響らしい。
・今年は昨年よりもEU旗が多かった。EU旗のデザインのベレー坊をかぶった人も。合唱団でも、EU旗デザインのタイをしている人が。EU旗をイメージさせるような青のタイも多かったな。
 来年のプロムスは、イギリスがEUから離脱した後。EUから離脱しても、プロムスはいつものプロムスで、盛り上がっていてほしい。

・9月の記事でも書いたのですが、その年のプロムス公式メモリアルブックを出してほしいです。毎年、公式ガイドブックは出るのに、その後出演者やプログラム変更が合って変わってしまう。演奏会の画像もネットにアップされるけど、検索しにくい。オリンピックなどのスポーツイベントが終わった後、写真集・記録集が出ますが、そんな感じでプロムスも本を出してほしい…。

 以上でした。また来年!
 その前に、年末年始、プロムスの再放送があると思います。大晦日(日本時間だと元日)にはラストナイト。イギリスで年が変わる直前に、「Auld Lang Syne」…紅白かw(プロムスが先だ ※放送予定が出ました。この記事の下へどうぞ。


【公式のまとめいろいろ】
All the biggest and best moments from the Last Night of the Proms
The Proms 2018 in 19 unmissable moments

【過去記事】
・2014年:こんなクラシックコンサート観たことない! 「Proms(プロムス)」ラストナイトコンサート2014
・2016年:一緒に音楽を楽しもう Proms(プロムス)2016 ラスト・ナイト・コンサート
・2017年:クラシック音楽の最前線で BBC Proms(プロムス) ラスト・ナイト 2017 まとめ

・3月のBBC響来日公演:これがプロムスオーケストラ! オラモ & BBC交響楽団 @仙台

◇ちょうど、BBC radio3で、3月の来日公演の名古屋公演(ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、マーラー:交響曲第5番)をオンデマンド配信中:BBC radio3 : Afternoon Concert : The BBC Symphony Orchestra on tour in Japan

BBC Proms : Proms Christmas repeats on BBC Radio 3※PDF注意
 年末年始の、プロムスの再放送が決まりました。日本からでも聴けます。オンデマンドもあります。
 再放送されるのは、バーンスタイン生誕100年を記念した「ウェスト・サイド・ストーリー」に「On The Town」、来日するダウスゴー指揮、スウェーデン室内管の「The Brandenburg Project」、キリル・ペトレンコ指揮ベルリンフィル、ネルソンス指揮ボストン響など。大晦日の年越し前(日本時間元日)にはラストナイトを再放送します。

by halca-kaukana057 | 2018-11-27 23:48 | 音楽

不思議なシベリウス2番

 秋も深まり、冬の入り口。そろそろ初雪も降りそうです。シベリウスをもっと聴きたくなる季節がやって来ました(1年中聴いてますが)。
 BBC Radio3のオンデマンドに、シベリウス:交響曲第2番の演奏があったのですが、いつものシベ2と少し違います。
BBC Radio3 : Radio3 in Concert : Nordic Summer Nights
 Tristan Gurney(トリスタン・ガーニー):ヴァイオリン、指揮、Royal Northern Sinfonia(ロイヤル・ノーザン・シンフォニア)による演奏。ロイヤル・ノーザン・シンフォニアはイギリスの室内オーケストラ。1曲目が「アンダンテ・フェスティーヴォ」、スヴェンセンやニールセンといった北欧の作曲家のプログラムです。

 メインがシベリウス2番(上記リンク先1時間7分過ぎから)なのですが、聴いてみると、普段のオーケストラ編曲とは違う。調べると、Iain Farrington(イアン・ファリントン)という方が編曲している。ファリントンさんはピアニスト。オルガン演奏や作曲、編曲活動もしている。ファリントンさんのホームページに編曲作品リストがありました。
Iain Farrington : Arrangements
Sibelius, Jean: Symphony No. 2 - flute, oboe, clarinet, bassoon, horn, trumpet, trombone, timpani, strings (minimum 2, 2, 2, 2, 1)
 シベリウスの交響曲第2番についても載っています。こちらが編成。チューバがいない。管楽器はそれぞれ1人ずつ。弦楽器はコントラバス以外は最低2人いればよい。コントラバスは1人。シベリウスの交響曲は番号が進むにつれてどんどん編成が小さくなりますが、2番は大きい方。弦楽器はそれぞれ10人ぐらいはいるし、管楽器はホルンは4人。トランペットとトロンボーンは3人。第4楽章の大円団は、編成が大きい方で聴いた方が迫力もあるし、華やか、煌びやかでのびのびとしている。一方このファリントンさんの編曲はとても小さい。シベリウスの後期作品よりも小さい。室内オーケストラのための編成です。そのため、通常の演奏とは楽器の使い方が違う箇所がいくつもある。最初はあれ?と思いながら聴いていたのですが、だんだんハマってきました。

 シベリウスの2番はシベリウス作品の中でも明るく迫力があって華やか。でも、第1楽章は小川、というよりは雪解けの水がちろちろと小さく流れるようなささやきで始まる。そして、暗と明、陰と陽を繰りかえしながら大円団の第4楽章へ進む。大円団とは言え、第4楽章でも最後は金管の朗々とした歌で盛り上がって締めくくられ、胸も熱くなるが、途中ではやっぱり陰影が感じられる。この陰影や、寂寥感を表現するのに、この小さな編成は向いているんじゃないかなぁと思いながら聴いていました。3番以降からの編成の小ささへの経過も感じられます。

 編成が小さくても、シベリウスの音楽に聴こえるのは、シベリウスの個性だからかもしれない。編成は小さいけれども、描いているものはもっとスケールの大きな普遍的なもの…様々な自然の姿やその変化。身近にあるけど、大きな世界に繋がっているような。よくフィンランドの自然を描いているとも言われますが、それは地球全体に繋がっていた、ような(よくわからない)。

 ファリントンさんは5番も同じ編成に編曲しています。5番は2番よりも編成が小さいので、違和感はなさそう。ホルンが1人となると、第3楽章の白鳥の飛翔のホルンはどうするんだろう。あれは4人いるからこそ演奏できるんだけど…。

 シベ2だけじゃなくて、上記の他のプログラムもいいです。「アンダンテ・フェスティーヴォ」はいつ聴いてもいいです…。オンデマンド配信は11月29日あたりまでです。
by halca-kaukana057 | 2018-11-15 22:15 | 音楽
 9月に青森県立美術館でのコンサートに行ってきたのですが、このコンサートは全3回のシリーズ。2回目のチェロに引き続き、3回目のヴィオラにも行ってきました。ヴィオラ2艇とピアノ。ヴィオラですよヴィオラ!

青森県立美術館:アレコホール定期演奏会2018「Attitude~2台の弦楽器とピアノで紡ぐ音の絵~」
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 夕暮れ時の青森県立美術館。ライトアップがきれいです。

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 開演前。前回は、第3幕の前にピアノとチェロの席が用意され、客席は第1幕の前にひな壇設置して作っていました。今回は、ピアノとヴィオラ席はアレコホール中央、客席は第1幕と第4幕の前にL字に設置されていました。客席を高くするひな壇よりも、こちらの方がリラックスして聴ける感じです。それとも、ひな壇を設置するのと、客席数は変わらないのだろうか。ヴィオラだけに客席が減ったとかないよね…。

 プログラムはこちら。
・ヘンデル:オラトリオ「ソロモン」より「シバの女王の到着」
・パッヘルベル:カノン
・カール・シュターミッツ:2つのヴィオラのための6つの二重奏曲 第1番 ハ長調
・ジェレミー・コーエン:タンゴ8
・アントン・ルビンシュタイン:ソナタ ヘ短調 op.49 より 第2楽章 Andante
・J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調 BWV1051
 /三戸誠、梯孝則(ヴィオラ)、佐藤慎悟(ピアノ)
 ヴィオラの梯さんはご存知元N響のヴィオラ奏者。

 ヴィオラ好きにはたまらない演奏会でした。ヴィオラはオーケストラでは地味、目立たない存在と言われますが(実際にネタにされていました)、こんなにもヴィオラの魅力を堪能できる作品があり、演奏を楽しみました。ルビンシュタインは三戸さんと佐藤さんの演奏です。
 プログラム最初の2つはお馴染みの曲で。超有名曲のパッヘルベルの「カノン」も、実際に演奏しているところを見ると、追いかけっこをしているのがよくわかります。

 前半の途中、ヴィオラの楽器紹介もありました。ヴァイオリンとチェロも用意して、大きさを比べます。また、オーケストラでヴィオラがどんな演奏をしているのかを、モーツァルト:交響曲第40番とラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番の冒頭を少し演奏して説明します。モーツァルトの40番は、まずヴィオラパートだけを演奏します。配布されたプログラムの裏に、譜面が書いてあるのでそれも見ながら。ひたすら同じ音を繰り返す。次にヴァイオリンとチェロのパートをピアノで弾いて、一緒に演奏すると、あのモーツァルトの40番の冒頭に。梯さんも「目立たないですね」と一言…。一方、ラフマニノフではメロディーを担当しているヴィオラ。あのピアノの冒頭を聴いて、ゾクゾクしました。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、まだ生では聴いたことがない。冒頭だけですが生で聴けて嬉しかった。実際は弦楽器は何十人といるのを、ヴィオラ2人だけで演奏したのですが、よく響いていました。すごいなぁ。

 このヴィオラ紹介だけでなく、曲の合間にも三戸さんのトークがあるのですが、よくしゃべるwあの「ヴィオラジョーク」も登場しました。「ヴィオラの方が長く燃えます」のアレ…wヴィオラの皆さんはたくましく生きているのだなぁと思ってしまいました…。

 初めて聴いたカール・シュターミッツのヴィオラ二重奏曲第1番。こんな曲です。
Duo de Violas - Stamitz - Duos nº 1
 ナクソス・ミュージック・ライブラリーにはなくて探すのに一苦労しました。YouTubeには少しありました。CDもなかなかない珍しい作品みたいです。ヴィオラのあたたかな音色に、ハ長調の朗らかさ、素直さが加わって、とても楽しい演奏でした。掛け合いももちろんのこと、2艇あるのでボウイングを見るのも楽しい。いい作品です。もっと演奏機会が増えればいいのに。

 もうひとつ気に入ったのが、アントン・ルビンシュタインのソナタ。
Rubinstein: Sonata for Viola & Piano, Op. 49. 2nd mvmnt, Andante — Camerata Pacifica
 今回は第2楽章だけでしたが、ヴィオラの落ち着きのある音色にぴったりな曲想。ピアノとの掛け合いもしっとりと。一方で、ヴィオラが饒舌にロマンティックに歌うところも。内に秘めた情熱という感じ。素敵な曲です。全曲聴いてみましたが、全曲もよかった。ヴィオラソナタにこんな素敵な作品があったんだ。嬉しい発見です。
 現代の作曲家、コーエンの「タンゴ8」は、リズミカルなタンゴ。お二人ともとても活き活きしていました。

 最後はヴィオラが主役の作品といえば、バッハのブランデンブルク協奏曲第6番。普通はチェロやヴィオラ・ダ・ガンバもありますが、今回はヴィオラ2艇とピアノの編成。この曲も、パンフレットの裏に譜面が書いてありました。カノンと同じように追いかけっこをしたり、ユニゾンで演奏したり、この曲もヴィオラがどんな動きをしているのか見て聴くのが楽しい曲でした。第2楽章のヴィオラの歌にはじんわりとした気持ちになりました。元々好きな曲ですが、ますます好きになりました。

 アンコール(三戸さん曰く「計画的アンコール」w)はこちら。
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・ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲 第2番 より 第2ワルツ
 大好きな曲です。ほの暗いメロディーにヴィオラの音色がよく合う。沁みる…。哀愁に満ちた曲ですが、どこか明るさも感じられる曲。演奏後、舞台袖(常設展の入り口)に戻る際、佐藤さんがピアノの蓋を閉めていた。これで終わりだよ、という合図でしたw
 バロックから現代まで、本当に楽しい演奏会でした。ヴィオラは素敵な楽器です。

・チェロ回:チェロ2挺の知らない世界
by halca-kaukana057 | 2018-11-08 22:51 | 音楽

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