「春の数えかた」(日高敏隆、新潮文庫)
動物行動学者の筆者が、さまざまな昆虫や鳥をテーマにしたエッセイ集。どれも興味深く、面白かった。動物のことだけでなく、気象やスリッパの話題まであり、筆者の思考の豊かさを感じることができた。しかも、文章がとてもわかりやすいんです。私は文系人間ですが、理科や数学にも興味がある。でも、わけのわからない数式や法則を出されると「文系ですから」と逃げてしまう奴。この本は難しいことは抜きに、自然の成り立ちや謎を紐解いてくれる。「自然」を「知る」ことがとても楽しくなってしまう本でした。
その中でも、屋久島の話には驚きました。私は屋久島に一度でいいから行ってみたいと思っている。その屋久島は、手付かずの自然というイメージが強いけれども、それは昔から手厚く保護されてきたからだ。今、屋久島は観光地となり、それに伴って環境も荒れ始めている。私が求めている自然とは何だろうと、この本を読んで考えました。自然保護についても触れているエッセイが多いので、自然について考えることもできます。