3月は宇宙系漫画出版ラッシュ。第2作目は天文部青春コメディ「宙のまにまに」。
宙のまにまに 4
柏原 麻実/講談社・アフタヌーンKC/2008
北海道へ修学旅行へやってきた美星・小夜ら2年生。美星はその感動を伝えるべく、朔にメールばっかり送っている。その修学旅行から帰ってきた後、美星は草間先生と休日に出かける約束をする。2人の関係を怪しいと感じる天文部員たち。その日、朔や姫たちは美星と草間のあとをつけることにする…。
一番目立つ主人公なのに、これまで美星の内面はあまり語られて来なかったと思う。いつも元気で楽天的。星を見ることに命を懸け、朔にもストレートに突進してゆく。あまり落ち込んでいる姿を見たことが無い。そのせいか、美星の内面を読み取るのが一番難しいんじゃないかと思う。内面にある暗さとか、誰かに隠しておきたいこととか、そういうのが読み取れなかった。ただひとつ、美星の家族の話を除いては。1巻で美星の家族について、朔の母が言及した時の美星の表情の変化が気になっていたのだが、その理由がこの4巻で語られます。そういうことだったのか…。
その美星が隠していたことに対して、朔たちは戸惑う。美星が相変わらず、元気で明るいから。美星はもっと辛さとか、哀しみとかを表現してもいいんじゃないかと読んでいる私は感じてしまう(でもそこが美星の個性であり、いいところなんだけど)。その美星のために、朔が考え天文部、さらにはフーミン率いる生徒会までも巻き込んで実行した"あること"のシーンに涙。
星空を見上げる時、よく誰かのことを考えてしまう。今ここにいない人…遠くに住んでいる友人や、先立ってしまった家族のこととか、もう会えない人のこと等々。遠くを見上げ、さらに遠くにある星々への距離が、そんな遠くにいる人のことを思い出させるのだろうか。
一方で、星空はそばに誰かがいてほしいとも思わせる。広大な宇宙の断片に、一人で立つのが心細いからだろうか。皆で宇宙への想いを共有したいからだろうか。どちらにしろ、私はこれまであまり誰かと一緒に星空を見上げたことが無かった。この漫画を読んでいると、今度は誰かと一緒に星を見たいと、強く思うようになってしまう。
巻の後半は冬山合宿。姫ちゃんが大変なことに。最初は朔に惹かれ、美星に朔をとられまいと入部した天文部でしたが、姫ちゃんも星の魅力にすっかり取り付かれている模様。…でも、頭の大半は朔に向けられているのは変わらず。そして相変わらず不憫なのも…。この子が報われる日は、いつ来るのだろうか。
フーミンは巻を追うごとにいい味をだしてます。そして3巻で登場した近江さんも健在でよかった。プラネタリアン晴子さんも相変わらずのテンション。今回はちゃんとプラネタリアンらしいところを見せられて良かった…と安心する私。
カバー裏を見るのもお忘れなく。5巻のネタが今から楽しみだ。
さて、あと1作は「ふたつのスピカ」14巻なのですが、今日読んで…言葉が出てきません。どうしたらいいんだ…。
【追記】それと、天文つながりでメモ。
「日本天文学会創立100周年記念切手」買いました。

惑星にX線天文衛星「すざく」、小惑星探査機「はやぶさ」、すばる望遠鏡、野辺山の電波望遠鏡がデザインされてます。たまりませんw

説明書も付いて来ます。記念切手に合わせて、記念日付印もあるらしい。それも欲しい…。
ポレポレとうさんさんのブログでも、取り上げてました。
おやこでポレポレ:エンデバーの切り離しと「日本天文学会創立100周年」記念切手
漫画だけでなく、切手まで発売してしまうこのタイミング。そしてSTS-123も飛行中のことを考えると、いくらなんでもタイミング合いすぎです。何かあるのか…?