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 ドリトル先生シリーズ第10作。上・下巻に分かれています。

ドリトル先生と秘密の湖〈上〉
ヒュー・ロフティング/井伏鱒二:訳/岩波書店・岩波少年文庫


 月から帰ってきて、ドリトル先生は月のメロンを育て、不老不死の薬の研究をしている。しかし、メロンはうまく育たず、研究も全く進まない。落ち込んだ先生は、研究を諦める。そんな先生をなんとか励まそうと、トミーとオウムのポリネシアは、アフリカで出会ったノアの箱舟の時代から生きているカメのドロンコに先生を会わせようと考える。ドロンコが今どこにいるか、スズメのチープサイドと妻・ベッキーはアフリカに飛び、ドロンコのいた秘密の湖は地震で地形が変わってしまっていたことを先生に伝える。ドロンコは、湖の底に埋まっているかもしれない…。ドロンコを助け彼の話を聞くため、先生一行は再びアフリカへ旅立った。


 この物語に出てくるカメのドロンコは、「ドリトル先生の郵便局」の最後の方に出てきます。上巻ではアフリカへ旅立ちドロンコを助けるまで、下巻ではドロンコの見た有史以前の物語が語られます。

 このドロンコの物語は、新約聖書の「ノアの箱舟」のお話がベースになっている。大洪水が起こることを知らされ、箱舟を作り家族や動物たちを乗せるノア。しかし、ドロンコは洪水が起こる前に親切にしてくれた奴隷の少年・エバーと美しい声の奴隷の少女・ガザを助けるために箱舟を降り、2人を助け安住の地を求めて旅をする。基になった「ノアの箱舟」のお話に負けないぐらい壮大。エバーとガザが動物の奴隷になることも。「千の風になって」で知られる作家・新井満さんによる解説を読むと、第9作「月から帰る」(1929)を書いた後、ロフティングは物語を書かずにいた。「秘密の湖」が出版されたのは1947年。18年もかかっている。その長い休筆・執筆の期間は、第2次世界大戦と重なっている。第2次世界大戦で傷つけあう人間たちを見て、その警鐘としてロフティングは「秘密の湖」を書いたのではないかと、新井さんは書いている。月シリーズでも、人間(巨人のオーソ・ブラッジ)と動物・植物たちが平和に暮らしている様が描かれている。ロフティングは人間も動物も関係なく、仲良く平和に暮らせる世界を望んでいた。それを、ドリトル先生の物語の中で模索していたのだろう。もし人間が動物の奴隷になってしまったら、世界を動物が支配したら…。そう仮定して、言いたかったことをドロンコや彼の妻・ベリンダに託していたのではないかと思う。


 この物語でドロンコ以上に大活躍するのが、オウムのポリネシアとロンドン・スズメのチープサイド。2羽とも素晴らしい道案内役になっています。しかし、両者相性が悪く、事あるごとに軽口を叩き合う。実際は仲がいい…のかな。2人ともウィットに富んだ言葉で言い合う。楽しい。ドリトル先生シリーズには、こんな賢く話し上手な鳥が他にも出てくる。数学家でドリトル一家の参謀でもあるフクロのトートー。「郵便局」で出てきたツバメのスキマー。この「秘密の湖」でドロンコと一緒に旅をしたオオガラス。鳥に注目してこの物語を読むのも面白い。

 最後、ドロンコとベリンダがエバーとガザと別れるシーン、そして話終わったドロンコが洪水で沈んだマシュツ王国の宮殿を見つけるシーンでしんみり。世界を武力で支配し、その宝物を奪ってきたマシュツ王。彼の宝物を見て、持って帰れば大金になると言うアヒルのダブダブに対して、ドリトル先生がこう言う。
この宝石には、血がついておる。
(263ページ)
なんと重い言葉だろう。

 この「秘密の湖」を書いた後、1947年にロフティングはこの世を去る。ラストがしんみりしているのは、そのせいでもあるのだろうか、なんて考えてしまった。
by halca-kaukana057 | 2008-07-17 08:19 | 本・読書

静と動の「アリエッタ」

 ピアノ練習記録です。最近は「アリエッタ」中心にやってます。

【グリーグ:アリエッタ】
 自分用に動画を撮ったりして、悪いところを反省しつつ練習。この曲は、静の部分と動の部分に分かれているんだと思う。10小節目や12小節目の和音などは静の部分。一方、アルトの流れは動。アルトやソプラノのメロディーは動でも、バスの伴奏は静であったりもする。これをバランスよく弾き分け、かつバラバラにならないようにまとめるのがポイントなのだろうと思った。これは恐ろしく難しいけど。あと、小節と小節、メロディーとメロディーの間も大事にしよう。

 ということで録音してみた。うーん…。
アリエッタ 第2&3回録音アリエッタのページへどうぞ。

その2の方が動きを意識しています。ちなみに、音が違うのは、その2は携帯のICレコーダーを使ったからです。


【ブルグミュラー25】
・23曲目「再会(帰途)」
 …なんじゃこりゃあ。とんでもなく難しい。メロディーまで伴奏みたくなってしまう。今朝、「クインテット プチ」でこの曲が演奏されていたのだが、アキラさんの手を凝視してしまった。こんな滑らかに動くのはいつの日か…。

 他の曲は省略。アリエッタとブルグで精一杯です……。
by halca-kaukana057 | 2008-07-14 22:58 | 奏でること・うたうこと
 7月に入り、おかいつの今月の歌も新しくなりました。「フ~ララ ホアロハ ラ~」。「ジャバ・ジャバ・ビバ・ドゥー」と「モーモーフラダンス」を足して2で割った感じ。海でフラダンス、夏ですね。たくみお姉さんの南国衣装が似合ってる。これまでダンスはあまりやったことが無いたくみお姉さんも、こうやって徐々にダンスに慣れていって欲しいなぁ。

 今週の放送で「もぐらトンネル」が新しいクリップで放送されていたのだが、それを観て思ったこと。だいすけお兄さん・たくみお姉さんになってまだそんなに経っていないのに、変な顔をする歌が多いのは何なんだろう。「あらどこだ」など、顔芸ソングが多い。2人の表情の豊かさの魅力が伝わってくるからいいんだけど、あまりにも慣れていて、この2人が歌のお兄さん・お姉さんになったのは4月からだったっけ?と思ってしまう。もう1年ぐらいうたのお兄さん・お姉さんをやっているんじゃないかと。恥ずかしがることもない。やはり大物か?

 そういえば、この回の放送は観れなかったのだが、たくみお姉さんがピアノを弾いていた回があったらしい。
おかあさんといっしょ 山の音楽家(そのうち削除されて観れなくなるかも)
 現役音大生のピアノです。他の歌でも弾いて欲しいな。
by halca-kaukana057 | 2008-07-12 23:38 | Eテレ・NHK教育テレビ
 以前、NHK教育で放送中の「知るを楽しむ」で、近・現代のロシアについて、新訳「カラマーゾフの兄弟」の訳者である亀山郁夫氏が解説していた番組があった。

NHK知るを楽しむ:この人この世界 悲劇のロシア ドストエフスキーからショスタコーヴィチへ
亀山 郁夫/日本放送出版協会/2008

 この番組のショスタコーヴィチの回を観たのだが、興味深い内容だった。ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」第4楽章、あのかっこいいフィナーレの主題の4つの音「ラレミファ♯」。亀山氏によると、この「ラレミファ♯(A-D-E-Fis)」は、ビゼーの「カルメン」の中のアリア「ハバネラ」のモチーフから引用したのそうだ。「ラレミファ(A-D-E-F)」の部分には、実際に歌はないが、「prends garde à toi!(信じるな/危ないよ)」という歌詞が当てられているとされている。「信じるな」…スターリンの社会主義を。当時ロシア/ソヴィエトはスターリンのもとで、音楽も表現が規制されていた。ショスタコーヴィチも、オペラ「ムツェンクス群のマクベス夫人」がスターリンによって上演禁止に追い込まれてしまう。しかし、ショスタコーヴィチはそこで屈服することなく、表向きはスターリン体制を賛美しながらも、実はこんなメッセージを隠していたのだ。

 1953年、スターリンが死去する。その後にショスタコーヴィチは「交響曲第10番」を書いている。この曲のなかで、「レミ♭ドシ(DEsCH)」の4つの音が何度も繰り返される。この「DEsCH」、「ドミトリー・ショスタコーヴィチ(D.Schostakowitsch)」の「D.Sch」を音名に当てはめたもの。自分の名前を音名にして、曲のなかに混ぜ込むなんて、ショスタコもシューマンみたいなことをするんだなと思ったが、シューマンとはまた違う意図があった。シューマンの場合は言葉遊びとして引用された。一方、ショスタコーヴィチの場合、それまで抑圧されていた作曲家としての自分が、スターリンの死によって解放される、という意味を持っているのだそうだ。


 芸術家にとって、表現したいことが表現できない辛さやもどかしさ。それをスターリン体制のもとで、ショスタコーヴィチは強く感じていたのだろう。でも、表現することをやめることはできない。音楽家として、出来ることはなにか。規制のもとでも、どうすれば自分の思いを表現することが出来るのか。そう考えると、ショスタコーヴィチにとって、表現の手段が文学ではなく音楽でよかったと思う。音楽なら、音楽家しかわからないような暗号を曲のなかに隠すことが出来るからだ。言葉なら、いくら抽象的な言葉を使っても、それとわかってしまうことが多い。でも音楽なら、もともと抽象的なものなので聴く人によっていくらでも想像できる。ショスタコーヴィチが作曲家だったからこそ、こんな曲を作り、そして曲の中に暗号を隠すことができた。音楽で何が出来るかをショスタコーヴィチは知っていたから、この方法を選んだ、またはこの方法しかなかったのだろう。音楽も、それを熟知し使いこなす音楽家もすごいと思う。

 ということは、この「交響曲第10番」を境にして、ショスタコーヴィチの音楽って変わっていったのだろうか?10番以降は11番<1905年>しか聴いたことがないけど、どうなんだろう?10番以前も、そんなに多くは聴いていない。ショスタコはまだまだ聴く曲がたくさんある。私にとって大きな山になりそうです。

 その「交響曲第10番」を聴いた録音がこれ。
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 作品93
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 一番手に入りやすかったのでカラヤン盤。2楽章の暗さが特に好きだ。今年はカラヤン生誕100年。これまでカラヤンの演奏は、そんなに聴いてこなかったなぁ。定番中の定番なのに。定番だからこそ永く楽しめると思う。ということで、今年はカラヤンを聴こう。

 それと、「カルメン」の「ハバネラ」ですが、マリア・カラスの独唱がとても気に入ったのでリンクを貼っておきます。
Maria Callas -- Habanera (1962)
by halca-kaukana057 | 2008-07-09 23:04 | 音楽

七夕と乞巧奠とピアノ

 今日は七夕。あいにく曇ってしまい、織姫星(ベガ)も彦星(アルタイル)も見えません。この雲の上にはふたつの星が輝いていると想像することにする。

 七夕の起源は、2世紀頃の中国・後漢の時代に遡ります。天帝の娘である織姫は、機織の上手な働き者。一方、牛飼いの夏彦(牽牛)もとても働き者で、2人は結婚を許された。幸せに暮らす2人であったが、夫婦生活が楽しすぎて、2人ともそれぞれの仕事をサボるようになった。これに怒った天帝は2人を天の川で隔てて引き離す。だが、天帝は7月7日に会うことは許した、と。この中国の伝説と、日本古来の収穫祭・祖霊祭が融合して、今の日本の七夕になったという。

 七夕伝説から、様々な伝説や風習がうまれたのですが、その中に「乞巧奠(きっこうでん)」という中国の行事もあります。機織が得意な織姫にあやかって、機織や針仕事、書道などの上達をお願いするという民俗行事が、6世紀頃から始まったのだそう。この「乞巧奠」から、五色の短冊にお願い事を書いて、笹竹に飾るという風習に繋がったのだそうです。
「乞巧奠」について詳しくはこちらも。

 元々は機織などの上達を願った七夕。ならば、私の場合はピアノだな。真面目な織姫を見習って、私も練習に励むことにしよう。ピアノが巧くなりますように。

 という、ピアノと宇宙の話という、自分の好きな分野を融合させた話でした。練習記録はまた今度。

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by halca-kaukana057 | 2008-07-07 23:00 | 奏でること・うたうこと
 いつもご愛読いただきありがとうございます。各種RSSリーダーにこのブログを登録してくださっている皆様へお知らせがあります。

 7月から、エキサイトブログのRSSフィード配信方法が変わりました。大きな変化は、私が更新した記事とは別に、広告が配信されます。記事の更新がなくても、広告だけ配信されることもあるみたいなので、紛らわしいかと思います。ご了承ください。詳しくは、エキサイトブログからのお知らせをご覧ください。
エキサイトブログ向上委員会:RSSフィード配信方法の変更について

 このRSS広告社、あまり評判がよくないらしい。
帰納法障碍:エキサイトブログもスパム化するのか

 うーん。私もRSSリーダーを使って、他のエキサイトブログも登録しているので、それで様子を見てみます。あまりに酷いようだとどうしよう。
by halca-kaukana057 | 2008-07-07 22:13 | information
 何週間ぶりだろう…の教育テレビ感想です。

【おかあさんといっしょ】
 6月の歌「ながぐっちゃん!!」を聴きこんでいると、色々面白いところに気がつく。まず、歌の中にさりげなく台詞が混じっていること。冒頭、「あーした雨になーあれ」という声。雨が降らないことにがっかりして「あーあ」など。歌のメロディーにうまく馴染んでて、うまいなぁと思う。音も雨音をイメージさせるようなピアノなどのはじけた音。ピコピコという電子音も雰囲気出てる。聴けば聴くほど面白い。
 月曜からは7・8月の歌のはず。毎月何が出てくるか、楽しみ。


【クインテット】
 水曜放送の「友だち」。バラの世話をしている間に、棘が刺さり、さらに火傷までしてしまったフラットさんはそのバラに対して八つ当たり。草を引っこ抜き、花を切ってしまう。
 こうやってあらすじを文章で書くと、なかなか激しいシーンのように感じられる。植物を自分の感情から切ってしまうというところが特に。でも、ここはクインテット。八つ当たりしたフラットさんも、極悪人という雰囲気ではない。切られた花を見て「許せない」と言っていたアリアさん・シャープ君も、フラットさんに対して怒鳴ったり咎めたりすることなく、歌で言い諭す。これはクインテットでしか出来ないやり方だと思う。

 教育テレビには、こんなシーンがありそうだと考えられる番組がいくつかある。例えば、小学校の道徳番組である「ざわざわ森のがんこちゃん」や「バケルノ小学校ヒュードロ組」。就学前の子どもたち対象の、コミュニケーションスキル番組「わたしのきもち」。「おかあさんといっしょ」の「ぐ~チョコランタン」でも出来そうだろう。同じあらすじでも、番組が変われば内容は大きく変わると思う。「がんこちゃん」や「ヒュードロ組」ではもっと道徳的なラストに。「ヒュードロ組」は、きっと最後にお菊先生が般若の顔で怒って「ご、ごめんなさーい!!」になる、と。同じ教育テレビの番組でも、番組が変わると表現が変わる。一度、同じテーマでいくつか番組を作ってみたら面白いんじゃないか。そんなのを面白がるのは、対象年齢の子どもたちではなく、大人だと思うが…。

 月曜の大発見。お願い事をしたい時に限って、流れ星が流れないと嘆くアリアさん。流星群の日を狙いましょう。8月のペルセウス座流星群がオススメです、と書いてみる。


【味楽る!ミミカ】
 今週のテーマは「そうめん」。七夕まつりをすることになったあ組。夏らしくメニューは流しそうめん。若旦那は愛しのあがりちゃんと七夕まつりを楽しめることを期待していた。しかし、あがりちゃんは家の寿司屋の手伝いで遅れることに。さらに、雨まで降ってきた。失意の若旦那は寝込んでしまう。そんな若旦那を救えるのはあがりちゃんだけ。ミミカとリンリンは、あがりちゃんに美味しいそうめん料理を作ってもらおうとするのだが…。

 今回のそうめん。すごいことになりました。めんつゆに、すりおろしたトマトが入るのはまだいい。マヨネーズ+きゅうり+ツナのつけめん…どうなんだろうこれ。今年度に入ってから、ミミカの料理は何か違う…。去年の夏の、材料があまりにもぶっ飛んでいる料理もすごかったが…。
by halca-kaukana057 | 2008-07-06 23:09 | Eテレ・NHK教育テレビ

宇宙兄弟 2

 新感覚宇宙飛行士漫画2巻です。2巻も表紙はキラキラです。

宇宙兄弟 2
小山 宙哉/講談社・モーニングKC

 宇宙飛行士である弟・日々人の招待でNASA・ジョンソン宇宙センターにやってきた兄・六太。日々人は訓練を六太を訓練の見学に来るように誘うのだが、六太は行こうとしない。兄と共に宇宙に行けることを、ずっと願ってきた日々人にとって、それは哀しいことだった。
 翌日、訓練の見学に行った六太は、弟のたくましい姿に嫉妬する。一方日本では、宇宙飛行士選抜試験を受けた六太にとって不利な情勢に…。


 兄弟で一緒に宇宙に行くという約束を信じ続ける弟。「いつもなんかちょっと抜けてる」弟にいつの間にか追い越され、宇宙への夢を諦めた兄。その兄・六太に対して「もっと張り合えよ」と告げる。ちょっと抜けていても、それに張り合っていた子ども時代の六太。一方、たくましくなった弟に嫉妬し、自ら敗北宣言してしまう今の六太。私には兄弟はいないが、友人でもそうなったら哀しいと思う。ただ、六太の側に立つと、自分は取るに足らない、つまらない人間だとひねくれてしまうのもわかる。どちらの気持ちもわかるから辛い。

 一方、JAXAの試験官の中で、六太は宇宙飛行士にふさわしくないという動きが。それに対して、六太をプッシュする試験官のひとり・星加。南波兄弟を子どもの頃から見て、「宇宙飛行士になるには運も必要だ」と説いてきた。運とは、天に任せるしかない、どうしようもないものだと思われるが、南波兄弟の場合、子どもの頃からJAXAに通い詰め、JAXAの職員に覚えられたというチャンスを自分たちで作ってきた。いわゆるスピリチュアルとか運命とかそういうのには全く興味も関心もないが、運ってそうやって作っていくこともできるのかもしれない。この漫画ではそう描かれていると読んだ。

 第19話で選抜試験を受けているメンバーで飲み会を開くシーンがありますが、実際に行われていること。野口宇宙飛行士や、その野口さんと一緒に宇宙飛行士試験を受けた方にも取材しているらしい。先日、10年ぶりの宇宙飛行士募集の応募が締め切られましたが、これから試験が始まれば、日本のどこかでこんな光景を目にするかもしれません。応募された皆さん、健闘を祈ります。
by halca-kaukana057 | 2008-07-04 22:25 | 本・読書
 三浦しをん原作の駅伝小説のコミカライズ第2巻出ました。


風が強く吹いている 2
原作:三浦 しをん/漫画:海野そら太/集英社・ヤングジャンプコミックス/2008


 ハイジとのレースに勝った走(カケル)。しかし、勝った気持ちがせず気持ち悪さを感じていた。そんな走にハイジは長距離選手にとって一番の誉め言葉は「速い」ではなく「強い」だと告げる。その意味がわからない走は、ハイジやアオタケの住人たちとその答えを探すべく共に走ることを決意する。
 練習が始まり、陸上初心者のハイジ・走以外は不平を言いつつも脱落せずに走り続けている。そして、初めての記録会に出場するため東体大へ。そこで走が出会ったのは…。


 2巻でこの作品のテーマが出てきた。「速い」よりも「強い」を目指すこと。早く走ることだけが目標ではない。それとは違う何か…それが「強さ」。漫画ではどう掘り下げていくのか。


 第11路で、走と同じ高校出身、同じく陸上部員だった榊が登場。走の足の速さと陸上部で起こした事件のことで走のことを恨み、妬んでいる。ただ、原作では走に粘着する嫌な奴という印象だけだったのが、漫画では榊自身の考え方や走ることへの思いも描かれている。地道に努力し、力をつけてきた榊。一方、走ることだけに集中し、天才的な才能を見せ「宇宙人」と呼ばれていた走。比較はされているが、どちらがいいとも悪いとも言えない。ただ、その走りの背景にあるもの…心理的なもので違いが出てくるのだろう。この2巻でも、走の高校時代と今の、心理的な環境の違いを比較できる。走のことを「宇宙人」と呼び、遠巻きに見ていた榊を含む高校の陸上部員。しかも、チームメイトというよりは、チームが勝つための戦術の一部分…将棋やチェスの駒のような存在として見られていた。一方、アオタケメンバーの少々うるさい応援を受け、走は「オレが下手な走りをしたら、みんながまた悪く言われるな。勝たなきゃ!!!」(145~146ページ)と思う。チーム・仲間であることを意識し、それを認めている。この差がこれからのポイントだろう。

 そしてパゲ…じゃない、六道大のキャプテン・藤岡も登場。原作のイメージぴったりですが、ちょっと怖いっすwこの藤岡さんからも走が何を学んでいくのか。描かれ方が気になります。

 1巻から気になっていた、ニコチャン先輩の過去も第19路で明かされます。周りが向いてない・無理だと言っても、走りたい気持ちは捨てられない。でも、向いていないならそうやって諦めてしまった方が楽だ…。そんな葛藤を抱えるニコチャン先輩。そのニコチャン先輩も、アオタケメンバーの応援に支えられる。応援されるのって、ちょっと恥ずかしいけど嬉しい。わかる。


 しかし双子は見ていて気持ちいいキャラクターです。お調子者でやかましいけど、憧れや前へ進もうとする気持ちを恥ずかしがったり(例えばユキのように)、ねじ曲げたりせずにストレートに表現する。そしてますます謎の存在になってゆくハイジ。目立っているようで、かなりわからないことが多い。しかも腹黒く策略家。王子も5000メートル17分切れるという確信は、どこから来るんだ…。

 巻末には原作の三浦しをんさんによる書き下ろしあとがきも。アオタケの誰かが言った言葉に対してムサ「○○ってなんですか?」→神童「それはね、~(以下説明)」→キングがさらに説明する、この原作でもお馴染みの会話の流れが好きだ。楽しいなぁ。
by halca-kaukana057 | 2008-07-04 21:56 | 本・読書
 「ドリトル先生」の月3部作に関連してか、月に関する本を何冊か読んでいます。その1冊目がこれ。

月の科学―「かぐや」が拓く月探査
青木 満/ベレ出版/2008


 2007年9月、H2Aロケット13号機に載って月へ旅立った日本の月周回衛星「かぐや(SELENE)」。「かぐや」の旅立ちは、月探査「第3の波」の始まりとなった。その「かぐや」を取材してきた著者の運用開始開始までのレポと「かぐや」の探査内容、「かぐや」に辿り着くまでの月探査の歴史、そして「かぐや」や月に関わる人へのインタビューをまとめたのがこの本。


 400ページ近くもある厚い本なのですが、そのほとんどが「かぐや」の探査そのものではなく、それに至るまでの歴史やインタビューなど。実際の探査の成果についてあまり触れられていない(時期的に無理だった?)のが残念だが、そこはこれから。月探査への歴史を読んでいると、米ソ(ロ)だけが争うように向かっていた天体に、日本やヨーロッパなども参加できるようになったことを嬉しく思った。対立とは違う、協力ともちょっと違う。競争であり、その競争が天文学・宇宙科学全体を引き上げていっている。こういうのは、参加する国が多いほうがより競争に拍車がかかり、レベルも高くなるのかもしれない。

 面白かったのが、第5章の寺薗淳也氏へのインタビュー。寺薗さんと言えば、この「かぐや」打ち上げの際のJAXA打ち上げライブ中継などに出演。JAXA・岩本裕之氏(通称:いはもとさん)と一緒に愉快なトークのライブ中継が印象的な方です。広報の方だと思っていたのだが、月を研究されていた方でしたか。アポロで解明できたこと、さらに深まった謎、「かぐや」に期待されていることなどについて語られています。月の地震「月震」の謎。地球なら大きくプレートのすれ違いによるものと、断層によるものに分けられるが、月震は5種類もある。その発生の仕組み、つまり月の内部構造がよく分かっていない。現在、既に「かぐや」の探査によって月の表と裏で重力が異なるということが発表されている。

リレー衛星「おきな」中継器(RSAT)の4ウェイドップラ観測データを解析して得られた重力異常-月の二分性の起源への新しい知見-

 この観測結果が、月震や月内部の謎、そして月がどうやってできたのか解明することに繋がるだろう。どうやってできたのかについては、国立天文台の小久保英一郎氏へのインタビューも興味深い。さらに、「かぐや」サイエンスマネージャー・加藤學氏へのインタビューも。人工衛星や探査機にとって、故障の原因となる太陽フレアは最大の敵。出来れば起こって欲しくない現象である。しかし、その太陽フレアが無いと観測できない、太陽フレアが無いと困る観測機器もあった。太陽フレアが無いと困ることもあるのか…。


 とにかく月は謎だらけだ。月探査「第3の波」もはじまったばかり。「かぐや」もまだまだ新しいデータを送り続けている。どんなびっくりするような探査結果が送られてくるのか、楽しみでならない。

 科学的な面だけでなく、月の伝説や民俗・風習について書かれた章もある。ちょうど星空案内人講座で天文と文化についての講義を受けたあとに読んだので、この部分もかなり興味深く読めた。本当に月は身近で、でも遠くて、不思議な天体だ。
by halca-kaukana057 | 2008-07-02 23:09 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)