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無伴奏ソナタ [新訳版]

 あらすじを読んで気になって、しばらく前に買って、積読にしておいた本です。そろそろ読もうかなと。


無伴奏ソナタ 新訳版
オースン・スコット・カード:著、金子浩、金子司、山田和子:訳/早川書房、ハヤカワ文庫SF/2014


 異星人に攻撃されている地球。11歳のエンダー・ウィッギンズはバトル・スクールの指揮官。竜(ドラゴン)隊を率いている。指揮官たちの中では最年少だが、戦闘では連戦連勝、成績はずば抜けて優秀だった。そんなエンダーを、大人の大尉や中尉たちは…「エンダーのゲーム(短編版)」。
 生後6ヶ月でリズムと音程への才能を認められ、2歳で音楽性、創造性の天才と評されたクリスチャン・ハロルドセン。両親と離れ、森の中にある一軒家で、自然の音や鳥のさえずりだけを聴いて過ごし、「創り手(メイカー)」として特殊な「楽器」を使って作曲するようになった。何十年も経ったある日、クリスチャンの前にある男が現れ…「無伴奏ソナタ」他11編。


 オースン・スコット・カードは著名なSF作家だそうですが、私は何も知らずに読みました。あらすじを読んで気になっていたのが、表題作の「無伴奏ソナタ」。音楽が題材の作品であることはあらすじからわかったのですが、読んで、まさかこんな作品だとは思いませんでした…いい意味です。私たちは生まれてから、様々な音に囲まれて暮らしているし、沢山の音楽も聴こうとしなくても耳に入って来る。それを、シャットダウンできたら…? これまでの歴史で、作曲家が他の作曲家に師事していたり、尊敬していたり、影響を受けたりするというのはいくらでもある。そういうのが一切なかったら?そして、音楽を創るな、演奏するな、歌うな、と禁止されたら?優れた音楽の才能がなくても、音楽がないのは退屈だ。演奏したり歌ったりできないのもつまらない。体調不良で一時そんな状態だったのですが、少しでもよくなってくると音楽を聴きたくなる。歌いたくなる。私のような凡人でさえもそうなのだから、優れた音楽の才能のあるクリスチャンにとっては、もっと自然なことだろう。クリスチャンが出会う街の人々もそうだ。ちょっと音程が外れていても、音楽を奏でずにはいられない。最後のギターで歌う少年たちのシーンがグッと来る。クリスチャンの音楽は、何があってもクリスチャンの音楽なのだと。

 11の短編集ですが、どれも面白かった。「エンダーのゲーム」はワクワクして、エンダーやビーンの成長が面白くてたまらない。のに、最後、そういう展開になるとは…!「王の食肉」「磁器のサラマンダー」は、最初、これもSF?と思ったが、見事にSFでした。不条理で、グロテスクな作品も少なくないので、そういう作品に慣れていない私には辛い表現もありましたが、面白い。「深呼吸」「四階共有トイレの悪夢」「解放の時」はホラーっぽくもある。「四階~」は完全にホラーですこれ。「死すべき神々」も面白かった。こういう異星人とのコンタクトがあっても面白い。

 どの物語も、面白いけれども、根底にかなしげな雰囲気が漂っている。「無伴奏ソナタ」の「シュガーの歌」のように。地球は、宇宙は、歴史は人間の力ではどうしようもできない。できないけれども、その時の人々が「よりよく」生きようと毎日を過ごしている。科学技術を駆使したり、宇宙へ出て行ったり、最悪な状況を避けようと逃げたり。人間はなんてちっぽけで、どんな優れた才能や能力を持っていて何かを成し遂げても、不条理なことが待っていたりする。それがわからなくても、わかっていても、毎日を生きる。人間は不思議な生き物だとも思う。

 こんな多彩な作品を創造するオースン・スコット・カードがSFの名手というのも納得できました。いいSFを読みました。
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by halca-kaukana057 | 2018-06-30 21:49 | 本・読書
 数日前のニュースですが、遅れても書いておくことだ、これは。

 小惑星「リュウグウ」を目指し、飛行を続けていた小惑星探査機「はやぶさ2」。27日、「はやぶさ2」がリュウグウに到着したことが確認されました。
JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星Ryugu到着について
 おめでとうございます!!現在、「はやぶさ2」はリュウグウ上空20kmの「ホームポジション」というところにいます。ここが基準点になります。到着のポイントは、この20kmの位置だけでなく、
「はやぶさ2」の化学推進系スラスタの噴射が予定通り行われたこと
「はやぶさ2」が小惑星リュウグウとの距離を維持できていること
「はやぶさ2」の状態が正常であること
 これらも到着したかの判断の基準になるそうです。
 「はやぶさ2」の機体の状態は良好。イオンエンジンも、スラスタも、リアクションホイールも問題なしです。とても順調な往路でした。よかった…。

アストロアーツ:【レポート】小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星リュウグウ到着に関する会見
 津田雄一プロジェクトマネージャーを中心にした、記者会見の模様について読めます。
 リュウグウは、上記のJAXAのプレスリリースにある20kmからの画像を見ると明るい感じですが、実際のリュウグウは、炭素を多く含み暗いのだそうです。カラー画像で撮影したリュウグウの写真はほぼ真っ黒。
 リュウグウの詳しい姿が見えるまでは、リュウグウは丸い天体だと思われていました。しかし、近づいてみると、コマのような四角い形。大きなクレーターがあって、表面は思った以上に岩石でゴツゴツしている。どこにタッチダウンするか悩ましい。これから詳細な探査をして、タッチダウンできるところが見つかればいいなぁ。
 本当に、実際に行ってみないとわからないことはたくさんあるものです。これぞ深宇宙探査の醍醐味。
 タッチダウンは、9月~10月に行われます。8月に、予定地点を最終決定します。


 リュウグウ到着にあわせて、こんな企画も。
ローソン:ローソン研究所:小惑星「リュウグウ」をイメージしたぷるるん水ゼリーがいよいよ登場!
 コンビニのローソンは、「ローソン宇宙プロジェクト」を展開中。漫画「宇宙兄弟」とコラボしたからあげクン(ブラックホール味)や、ISS滞在中の金井宇宙飛行士との交信イベントなどをやってきました。
 今度は、リュウグウをイメージしたスイーツのアイディアを募集していました。その結果、生まれたのが、「バタフライピーティーのぷるるん水ゼリー(レモン)」。ハーブティ「バタフライピーティー」にレモンを入れ、星をイメージした金粉をいれた水ゼリー。薄紫色ですが、黒い器に乗せると金粉が星のよう。
 水ゼリーはこれからの季節にぴったりの涼しげなデザートですね。どんな味がするんだろう。発売は7月10日。楽しみにして待ちます。

 「はやぶさ2」の冒険はこれから。引き続き、ご安全に!!
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by halca-kaukana057 | 2018-06-29 22:14 | 宇宙・天文
 夏至も過ぎ、明日までフィンランドでは夏至祭(Juhannus ユハンヌス)です。短い夏を謳歌すべく、サウナで一汗かいたら湖に飛び込んで、湖のほとりではかがり火を燃やしたり、ソーセージ(Makkara マッカラ)でバーベキューをして、夜遅くまで楽しんでいるんだろうなぁ。

 そんな、フィンランドの気分になれるモノがある…?と、1ヶ月前ほど前から、探しているものがあります。

エステー:初夏の季節限定企画 Visit Finland (フィンランド政府観光局)監修の「北欧」デザインと香り! 「消臭力」4アイテムを新発売

 「北欧」、「フィンランド」を謳う製品は多いです。北欧の森の香り、とか、フィンランドの白夜、とか、いろんなモノにそんなキャッチフレーズがついています。そういうのを見ると、やっぱり釣られますw ですが、これはちょっと違う。フィンランド政府観光局が監修している、フィンランド政府観光局お墨付きの、フィンランドの香りの芳香剤。釣られます。これは手に入れなければ。そう思っています。

 が、ドラックストアやスーパーなどを探しても全然見つからない。普通の消臭力はあるけど、「フィンランド」消臭力はどこに行ってもない。やはり田舎…。

 探して、探して、ようやく見つけました。
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 トイレの消臭力、フィンランドベリーの香り。これしかありませんでした。フィンランドリーフも欲しかった!
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 ちゃんと、「フィンランド政府観光局 監修」とあります。パッケージのデザインも北欧風。

 あけると、ふわっと甘酸っぱい香り。やさしい、爽やかな甘さです。甘過ぎないです。ベリーのいい香りです。

 フィンランドリーフの香りも欲しいなぁ…。お取り寄せしようかなぁ…。
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by halca-kaukana057 | 2018-06-23 21:07 | フィンランド・Suomi/北欧

わたしを離さないで

 「日の名残り」に続き、ノーベル文学賞受賞がきっかけで読み始めたカズオ・イシグロ氏の作品です。


わたしを離さないで
カズオ・イシグロ:著、土屋政雄:訳/早川書房、ハヤカワepi文庫/2008(単行本は2006)

 イギリスに暮らすキャシーは介護人の仕事をしている。世話をするのは提供者と呼ばれる人たち。それも、ヘールシャムという施設の出身者に限って担当していた。キャシーや、親友のトミーやルースたちが子ども時代を過ごした施設・ヘールシャム。彼女はそこでの日々を思い出していた…。







 読んで、「すごい!!おもしろい!!」と思いました。まずその一言。

 そして、感想を書く…あらすじ書けないよこの作品…?と思ったのが次。上に書いたあらすじが限界です。後はネタバレになってしまうので書けません。訳者あとがきで、イシグロ氏は「ネタバラシOK」と言っていて、何だったら帯に何の物語か書いても構わない、とも言っているそうだ。
 だが、もし、まだこの本を読んでいなくて、この記事を読んで、あらすじは知らないという方は、あらすじを知らない方がいいと思います。あらすじを調べる前に、まず読んで欲しい。こんなことを思った小説は久しぶりです。

 この作品は、ミステリのようでもあるし、SFのようでもある。ディストピア作品ともいえる。これ(キャシーたちの存在)が許される世の中、キャシーたちはどう生きたらいいのか…。そして、キャシーたちの立場にいる当人たちが、自分たちのこと、真実をどれだけ知らされるべきか…。最初は、謎だらけで不思議な物語だなぁと読んでいたら、徐々にキャシーたちがどんな存在なのか、ヘールシャムとはどんなところなのかが明かされていく。残酷で、緊張感はあるが、キャシーたちの「日常」は続いていく。キャシーたちは自分たちの立場を淡々と受け入れてしまう。

 少しおおげさですが、何か不運な出来事、めぐり合わせ、理不尽なこと、つらい出来事、苦しい境遇にあって、「なぜ私がこんな目に」「なぜ私は生きているのか」などと思うことがある。でも、悪いことばかりでもない。根本的な救いはないかもしれないが、その時、心を少しでも軽くしてくれる救いはある。自分の今置かれている状況を受け入れたほうが、うまくいくこともある(でも、この作品のキャシーたちの立場は理不尽に思えるが)。どんな状況に置かれても自分の人生を生きる。生きる権利はある。そう感じました。

 でも、…私がキャシーたちの立場だったら、私は怖くて怖くて仕方ないと思うのだが…。世の中を恨みたくなると思うが…。これで助けられた人は幸せになれるのか、とか、科学とは何か、とか、色々考えてしまいます。もう考える幅が広くて、ショックが大きいです。

 ちなみに、調べてみたら、蜷川幸雄演出で2014年に舞台化、2016年にはTBSでドラマ化(舞台は日本に変更、主演は綾瀬はるか)されていたんですね。全然知りませんでした(テレビドラマには疎い)。DVD借りられるかな?




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by halca-kaukana057 | 2018-06-16 22:04 | 本・読書

6月の宵の三日月と金星

 今日は、西の空に金星と三日月が見えていました。日没の頃は雲があったのですが、後、雲が晴れて見られました。
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 三日月は相変らずきれいに撮れません。カメラの限界です。金星はとても明るかった。この2星の右に、ふたご座のカストルとポルックスが見えるはずなのですが、見られませんでした。

 昨夜、寝る前に外を見たら、満天の星空。天頂の近くには夏の大三角が。南の空にはさそり座。その東側に明るい星、土星です。いて座に位置しています。西側、てんびん座には木星が明るく輝いています。もう少し時間が遅くなれば、やぎ座に位置する火星も見られます。今年は火星大接近の年。寝る前にしばし星見しました。
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by halca-kaukana057 | 2018-06-16 21:04 | 宇宙・天文
 宇宙関係で色々なことがあったのに、体調を崩していてネットのチェックが出来ませんでした。まだ本格的に復帰はできない状態なので、体調をみながらぼちぼちと書いていきます。

 まず、金井宣茂宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在(第54次/第55次長期滞在)を終え、無事に帰還しました。帰還生中継も観られませんでした、はい。
JAXA:金井宣茂宇宙飛行士搭乗のソユーズ宇宙船(53S/MS-07)の帰還について
◇帰還生中継録画はこちら:ファン!ファン!JAXA:金井宣茂宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船(53S/MS-07)帰還ライブ中継 / Live coverage of the Soyuz (53S/MS-07), the spacecraft carrying astronaut Norishige Kanai
 お帰りなさい!お疲れ様でした。「きぼう」での科学実験から、船外活動、ロボットアーム操作までイベントてんこ盛りの約半年でした。もう半年経っちゃったの?という気持ちです。アカウントがなくても見るだけなら出来るので、公式Twitterも見ていました。
 
 帰還の2週間ほど前、ISSのいい可視パスがあったので見ていました。画像も撮ったんですが…
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 あまりいい画像を撮れませんでした。なので、ISSを見たという記事は書かなかったのですが、これが金井さんがいる最後のISSになってしまいました…残念です。
 今後、金井さんはNASAで、順調にいけば、今月中旬には帰国して、JAXAでリハビリを行います。すごいなぁ。以前は帰還後数週間後に帰国なんて考えられなかった。ISSでの思い出話が楽しみですね。今後は、野口総一飛行士、星出彰彦飛行士と続きます。星出さんは日本人2人目のISSコマンダーに。楽しみです。



 次。小惑星探査機「はやぶさ2」が、小惑星リュウグウまで後少しのところまで来ました。
JAXA はやぶさ2プロジェクト:イオンエンジン往路完走
マイナビニュース:小惑星探査機「はやぶさ2」、6月27日前後に小惑星リュウグウに到着予定
JAXA はやぶさ2プロジェクト:2600kmの距離から見たリュウグウ
 「はやぶさ2」、往路のイオンエンジンの運転を完遂しました。エンジンは順調です。よかったよかった。本当に順調にここまできました。リュウグウまではあと約2000km.画像を撮影してみましたが、まだ点にしか見えません。でも、地球からは大きな望遠鏡を使っても、もっとぼんやりとした点にしか見えません。もうそこまで来ているんです。この点が、徐々に大きくなって、リュウグウの姿を見せてくれるのを待っています。


 次。以前募集していた、水星探査機「MMO」の愛称募集の結果が出ました。
JAXA:水星磁気圏探査機MMOの愛称決定について
水星探査機「MMO」の名付け親になろう! & 水星にメッセージを送ろう!

 愛称は、「みお」(MIO)です。

 …全く思いつきもしませんでした。外しました。完敗です。

 「みお」は、河川や海で船が航行する水路や航跡のこと。これを、探査機の研究開発の道程や、航海安全、太陽風のプラズマの流れの中を航海する様をイメージしたとのこと。あと、船が航行するときの目印にする標識を、古くから澪標(みおつくし)と呼び、和歌では「身を尽くし」…努力と挑戦を続けるプロジェクトメンバーの思いを表現する、とのことです。

応募総数は、6494件。このうち、「みお」提案者数は、19件。
難関過ぎます。今回当てた方、本当にすごいです。愛称募集、宇宙機名付け親の中でも一番難しかったのではないかと思います。
 でも、いい名前ですね。ただ、「MMO」で「MIO」…ちょっとややこしい感じもします。

 以上、最近の宇宙関係の話題でした。
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by halca-kaukana057 | 2018-06-08 21:53 | 宇宙・天文

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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