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 年の初め(今月初め)に、正月に聴いた音楽についてこれから書いていこうと思うと書いたが、もう1月も終わりになってしまった。

 海外ネットラジオを聴いていて、偶然サティの「グノシエンヌ」を聴いた。今まで、サティの作品はそんなに聴いたことがない。「ジュトゥヴー(あなたがほしい)」「3つのジムノペティ」ぐらい…?

 「グノシエンヌ」(Gnossiennes)とは、ギリシア語の「知る」(Γνωρίστε:Gnoríste グノリステ)の語幹をもとにして作ったサティの造語。また、古代クレタ島にあった古都「グノーソス宮」や、神秘教会グノーシス派も語源になったと言われている。
 「3つのグノシエンヌ」の1番から3番、4番、5番、6番と続き、7番は「星たちの息子」として作曲され、その後「グノシエンヌ」7番となったが、現在は「梨の形をした3つの小品」の第1曲となっている。

 聴いて、不思議な音楽だなと思った。最初の第1番から第3番は暗い。重い。ゆったりとしていて、夜、小川が静かに流れているかのよう。もしくは、夜の湖のほとりの波打ち際。海だと激し過ぎるので、湖かなと思った。響きは東洋風。音の流れ、変化が不思議。第4番が一番好き。これも暗い。分散和音のアルペジオの低音が心地いい。第5番はようやく長調に。ころころとした高音のメロディーが美しく、ロマンティックでもある。第5番ではあるが、一番最初に作曲されたのがこの曲(1889年)。第1番から第3番は翌年1890年、4番は91年の作曲。この1年の間に、何が起こって暗い短調になったのだろう。5番を1番先に聴くのと、番号順に聴いてみるのとでは印象が変わるから面白い。第6番はより不思議な響きの曲。
 第7番(「星たちの息子」)では、それまでになかった激しい強い音も出てくる。装飾符のタターンという音は、第1番にも出てくる。どこか似ている。第1番を思い返しているのだろうか。作曲されたのは91年。

 「知る」というギリシア語が語源になっているというので、夜、静かに考え事をしたい時に聴きたい曲だと思った。思索の時間に合うと思う。

 聴いたのは、ジャン=イヴ・ティボーデ、小川典子、ブリュノ・フォンテーヌ、ニコラス・ホルヴァート、他。
by halca-kaukana057 | 2019-01-30 22:52 | 音楽
 この本は面白かった。

宇宙はなぜ「暗い」のか? オルバースのパラドックスと宇宙の姿
津村 耕司/ベレ出版/2017


 宇宙は何故暗いのか。夜空は何故暗いのか。え?太陽の光が当たってないから?宇宙は真空だから、光が大気で拡散しないから?星が沢山あるのに…星(恒星)はそんなに密集していないから…?宇宙は広過ぎるから…?違うの?この本を読み始めた時、そう思っていました。わからない。考えたこともない。当然じゃないの?と思っていたら、当然ではないらしい。宇宙はなぜ「暗い」のか?何だか、某テレビ番組でそのうち取り上げられそう、そして答えられない出演者が「叱られ」そうな…。
(【追記 2019.4.5】本当に取り上げられましたよ…「夜はなぜ暗いの?」この本は取り上げられなかったですが、この本の通りの答えでしたよ…答えられましたよ…)

 この本のサブタイトルに、「オルバースのパラドックス」とある。「無限の空間に無限の恒星が一様に散らばっているとしたら、空は太陽面のように明るいはず」ちょっとよくわからない。この本では、森の中の木々に例えて説明している。森の中の木が全て同じ、同じ種類で同じ太さと仮定すると、手前の木は大きく見え、その木の間に奥の木が見えて、その奥の木の間には更に奥の木が見えて…どこまでも木々が、全ての方向に見える。宇宙も同じで、手前の星は明るく見えて、その間にその奥にある星が見え、その奥の星々の間にはさらに遠くの星が見えて、どこまでも、どの方向にも星が埋め尽くされているように見えるはず。
 でも、実際にはそうではない。これが「オルバースのパラドックス」。こういう謎があったのか。

 このオルバースのパラドックスを解明していくのですが、解明する途中で物理学や天文学の様々な法則や知識、歴史を用いて、宇宙や天文の仕組みをひとつひとつ学べるようになっている。これが面白かった。今まで私も学んできたことを確認しながら読みました。金星の満ち欠けが地動説の証拠になったというのは知らなかった。天動説での金星の満ち欠けと、地動説での金星の満ち欠けの仕方は違う。天動説での金星の満ち欠けがどのようなものか知らなかった(天動説でも金星は満ち欠けするという説自体はあったのに驚いた)。皆既・金環日食や金星の日面通過など、ここ数年の天文現象を振り返りながら解説があるのも興味深い。天文現象が何を意味するのか。天文現象を観測した先人はそこから何を見つけたのか。天文現象があると私も宇宙に生きているのだなと思うが、それだけでなく、天文現象の観測はは宇宙と地球の仕組みの解明の鍵になっている。観測にかける研究者の気持ちはいかばかりかと思う。

 オルバースのパラドックスの謎解きまで、近くの宇宙から遠くの宇宙の謎へと移っていくのも面白いが、可視光線や赤外線、紫外線、X線、電波など様々な波長の電磁波から解明していくのも面白い。人間が夜空や宇宙を見て「暗い」と思うのは可視光線だけだが、他の波長で「見たら」どうなるのか。その波長における仮説を解きながら、その波長で「見える」宇宙の姿も明らかにしていきます。その波長を観測できる人工衛星も登場します。

 「オルバースのパラドックス」を紐解く過程で、ブラックホールや重力波、ビッグバンまで出てくる。宇宙、天文学の1から10が学べてしまう。いくつもの謎解きを経て、ついに「オルバースのパラドックス」の謎が解ける箇所はそうだったのか!とスッキリしました。本の中では、結論を先に読みたい人のためにどこを読めばいいかも書いてありますが、最初からひとつひとつ謎解きしていって読むと達成感も味わえる。推理小説のようでもある。実際は、数学的に計算して求めることができるという。それを一般向けに分かりやすく、様々な天文学の知識も吸収しながら読めるのはありがたい。

 「オルバースのパラドックス」がなく、夜空がもし星々で埋め尽くされ、明るかったら、星座も生まれなかっただろう。今の季節なら、オリオン座の雄姿やギラギラと輝くシリウスを楽しめるのは、宇宙が暗いおかげだったんだ。宇宙が暗いことによって、多種多様な恒星や、星雲、銀河の研究も進んだはず。私の中では、宇宙が暗くてよかったという結論になった。宇宙をいつもと違う方向から、一から学べる本です。

by halca-kaukana057 | 2019-01-26 21:59 | 本・読書
 最新の国連による「世界幸福度ランキング」によると、フィンランドが1位らしい。2位はノルウェー、3位はデンマーク、4位はアイスランドと北欧諸国が名を連ねる(スウェーデンは9位)。この他にも、様々な「幸せ」に関する調査を行うと、大体北欧諸国がトップに来る。デンマークの「ヒュッゲ(Hygge)」やスウェーデンの「ラゴム(Lagom)」、最近だとフィンランドの「シス(Sisu)」も「幸せ」に繋がる「ウェルビーイング」や「心地よさ」を表現する言葉として紹介されてきている。この本は、フィンランドに焦点を当てて、フィンランドの「幸せ」を紐解いている。

ノニーン! フィンランド人はどうして幸せなの?
スサンナ・ペッテルソン、迫村 裕子/ネコ・パブリッシング/2018

 フィンランド人のペッテルソンさんと、フィンランドでの仕事、生活経験の長い迫村さんが、フィンランドの様々な面についておしゃべりしながら紹介していきます。ペッテルソンさんは美術史家。フィンランド国立アテネウム美術館の館長を務めたこともある方。現在は、スウェーデン国立美術館館長で、各地の大学でも教えている。
 迫村さんは文化プロデューサー。展覧会、セミナー、イベント企画などの仕事をしていて、90年代からフィンランドに関わり、フィンランドと日本を行ったり来たりしている。

 本の帯を見ると、煽ってるなぁ…という印象。
「世界幸福度ランキング2018」第1位フィンランド!日本は54位…
この差って何だろう?
 こんな煽る帯なので、フィンランドはこんなところがあるから幸せ、日本にはない…という内容なのだろうな、と思ったら、違いました。
 基本は、フィンランドの人々のライフスタイルや文化、生活習慣、国民性・考え方、自然、子育て・教育、社会制度、仕事の仕方、女性の社会進出などを2人のおしゃべりの形で紹介している。別に、フィンランドを持ち上げて、日本を下げる、ということはしていない(フィンランドにはあるけど日本にはない、という言い方はしているけど)。このタイトルと煽り帯で損してるんじゃないかと思う…。

 確かに、社会制度や仕事の仕方、女性の社会進出、ライフスタイルでは、日本とフィンランドは大きく違うところがある。フィンランドに学ぶところはある。でも、日本がダメということは書いていない。日本は日本の歴史がある。国民性はフィンランドと似ているところはあるけれども、違うところもある。フィンランドの教育が注目を浴びた時も思ったが、フィンランドと日本を単純に比べるのは無理だと思う。バックグラウンドが違うのだから。

 タイトルの、「ノニーン」(「no niin」)以前読んだ、「FINNISH NIGHTMARES(日本語題:マッティは今日も憂鬱)」でも出てきた、「便利なフィンランド語」。「そうだね、そうですね」「うーん」「ちょっと」「さあ」などに当たる。声のトーンや場面によって、色々な使われ方をする。日本の「すみません」にも似ているかもしれない。

 この本を読んでいて、別に特別なことは書いてはいない。
 毎日の生活や仕事を丁寧に、時に効率よく手抜き(いい意味で)して、ウェルビーイングを感じながら暮らす。家族や友人を大事にして、美味しいものを味わって、自分を大切にする。森や海などの自然の中で気分転換したり、恵みを味わったり。持続可能な運動や趣味を大事にして、自分をケアする。仕事とプライベートを分けて、コンディションよく仕事できるように休む時は休む。学ぶことを大事にする。挑戦もどんどんする。失敗から学び、うまくいかない、思い通りにいかない時は自分を見つめ直す。感謝の心を大事にする。正直でいる。
 やろうと思えば、日本でも出来ることはたくさんある。毎日忙しいとないがしろにしていることも多く省みる。やはり、「今、ここ」を大事にして、自分も周囲の人も大事な存在だと思い行動するのがポイントだろうか。

 毎日忙しくしていると、忘れそうになることが、この本には書かれています。著者の2人はこう考えているけれども、他のフィンランドの人々もそうなのだろうか?2人とも、文化的な仕事をしている。もっと色々な立場のフィンランド人の声を聞きたいと思った。


・関連記事
フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)
マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議
マッティ、旅に出る。 やっぱり今日も憂鬱 FINNISH NIGHTMARES 2

by halca-kaukana057 | 2019-01-19 22:48 | 本・読書
 久々に山本周五郎を。この本の存在を知った時、かなり驚きました。


山本周五郎探偵小説全集 第二巻 シャーロック・ホームズ異聞
山本周五郎/末國善己:編/作品社/2007

 山本周五郎の探偵小説を集めたこの全集。第2巻は、山本周五郎による「シャーロック・ホームズ」のパスティーシュ/パロディを筆頭に、「猫目石殺人事件」、「怪人呉博士」、「出来ていた青」、「失恋第五番」、「失恋第六番」を収録。
 山本周五郎の探偵小説・推理小説というと、「寝ぼけ署長」。以前読みました。この他にもたくさん発表していたんですね。しかも、山本周五郎が「シャーロック・ホームズ」のパスティーシュを書いていたとは!山本周五郎のホームズ…どんな感じなんだろう?と思って読みました。

 東京。浮浪児の凡太郎は夜になるとどこかの建物にもぐりこんで寝る。深夜1時。空き家のお屋敷に明かりがついている。おかしいと思って見ていると、女性の悲鳴が聞こえる。屋敷に入ると、女性が倒れていた。凡太郎は警察へ向かう。
 翌朝、帝国ホテルに警視庁刑事課長の村田が、一人のイギリス人紳士に会いにやって来る。3週間ほど前から滞在しているイギリス人、ウィリアム・ペンドルトン。ペンドルトンの部屋にやってきた村田は、奇怪な殺人事件が起こったと告げる。「シャーロック・ホームズさん」と…。
 ホームズがある目的のために、正体を隠して日本にやってきていたが、第一発見者の凡太郎と共にこの殺人事件の捜査に加わることになる。凡太郎は現場であるものを見つけて持っていた。これが、ただの殺人事件では無く、さらなる謎を呼ぶことになる。

 今も世界中でパスティーシュや解説本が出版されたり、映像化され続けている「シャーロック・ホームズ」。山本周五郎も「ホームズ」を読んで、もし、日本に来たら…という物語を書いてみたかったのだろう。第1発見者の凡太郎が、ベイカー・ストリート・イレギュラーズ(ベイカー街遊撃隊)のウィギンズのようにホームズを手助けする。他にも、正典を意識(リスペクト)した要素があちらこちらに仕掛けられている。最初の殺人事件が、ホームズが日本にやってきた目的と重なり、大冒険が始まる。ホームズお得意の変装も勿論出てくる。「ホームズ」のエッセンスをこの作品で味わえる。少年雑誌に掲載されたとのこと。凡太郎とホームズの活躍は子どもの頃に読んだらワクワクしただろう(大人になっても)。ただ、残念なのが、ホームズものだけどワトスンが出てこない…寂しい。そして、最後。ホームズなら絶対にしないであろうあることを、ホームズがしてしまう。これはないだろう!と思いつつも、少年雑誌に掲載されたことと、山本周五郎らしいといえば周五郎らしいかも…と思ってしまう…。

 その他の作品も面白い。「猫目石殺人事件」は、日本のアルセーヌ・ルパンとも呼ばれる「侠盗」と、推理力に優れた新聞記者の春田三吉の闘いを描く。この作品も少年雑誌に掲載されたとあって、ワクワクするようなスピーディーな展開。探偵ではなく、刑事でもなく、新聞記者が活躍するというのも面白い。一方の「侠盗」も、いつの間にかいたり、消えたり、不思議な存在。新聞社の社長もいいキャラしてます。「寝ぼけ署長」の五道に雰囲気が似ている。
 「怪人呉博士」はミステリアス。一方の「出来ていた青」は大人向けの作品。殺されたマダムを取り巻く男性たちとの関係が大人向け。謎解きも凝っている。

 「失恋第五番」「失恋第六番」は、雰囲気がまた違う作品。タイトルに「失恋」なんてあるものだから、悲しいラブロマンスかと思いきや、闇の深い、男たちの闘いの物語。合成樹脂会社の社長の一人息子で、連絡課長、千田二郎は仕事は秘書に任せっきり。スポーツマンで女好き。様々な女性に恋をしては振られている。また、新しい女性に恋をして、デートに向かう途中、二郎は昔なじみの男たちに出会う。二郎も、彼らも戦中は海軍にいた。その男たちは二郎をある場所に連れて行くのだが…。

 横溝正史の「金田一」シリーズは、戦後まもなくの日本各地が舞台になっている。登場人物も戦地から引き揚げてきたり、戦争の色が濃く残っている。この周五郎の「失恋~」シリーズも、戦争の色が濃く残っている作品。戦争は終わったが、戦地で戦っていた元兵士たちの「戦争」は終わったわけではなかった。戦争は終わっても国は混乱し、暮らしは安定せず、「平和」は簡単にはやってこなかった。そんな時代の物語。昔なじみと共に、ある使命を帯びることになった二郎。戦争中の過去に向き合い、未来の日本のために使命を果たそうとする。暗く、かなしく、重い。第五番はスリリングで、第六番はじっくりと心理戦。この「失恋~」シリーズが気に入りました。この続きも書かれる予定だったが、何らかの理由でなくなってしまったらしい。とても残念だ。

 山本周五郎のまた違った一面を楽しめる1冊でした。この「探偵小説全集」、こうなったら全巻読もうか…?
・過去記事:寝ぼけ署長

↓「山本周五郎」と「シャーロック・ホームズ」タグが並んでる…!
by halca-kaukana057 | 2019-01-18 21:50 | 本・読書
 今年最初の特印・風家印は、この切手から。
日本郵便:グリーティング切手 リサとガスパール

 アン・グットマン:文、ゲオルク・ハレンスレーベン:絵、の絵本「リサとガスパール(Les Catastrophes de Gaspard et Lisa)」シリーズ。今年で誕生20周年。これを記念して、切手になりました。
 同じ作者コンビの作品としては、「ペネロペ(うっかりペネロペ)」シリーズはアニメが大好きなのですが、リサガスも可愛い。とはいえ…原作絵本そのものはそんなに読んでいません…。パリが舞台だったり、日本にもやって来たり。切手の絵柄は絵本から使用しています。

 特印はこれ。
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 可愛い。特印も消印ですが、消印というのを忘れてしまう可愛さです。ハト印と共演してるのがまたいい。
by halca-kaukana057 | 2019-01-16 21:16 | 興味を持ったものいろいろ

新年の冬の大三角

 この3連休は穏やかな天気でした。今夜は晴れています。年末にもオリオン座、冬の大三角の画像をあげましたが、新年最初の星空写真も冬の大三角です。というか、これが一番私のカメラでも撮りやすいし映える。
 この間の部分日食は、星空とはまた違うので、別カウントです…。
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 やっぱりオリオンはかっこいいなぁ。
 昨日感想を書いた、「白河天体観測所」を思い出しました。「光害」は私の住む地域にもあります。しかし、ネオンからは離れているので、暗い空を写すことができます。ずっと、これからも、暗い空とそこに輝く星を楽しみ続けられたらいいな。
 西の空には半月が、冷たい空気の中輝いています。
by halca-kaukana057 | 2019-01-14 23:01 | 宇宙・天文
 これまで、声楽のレッスンのことに関して、大まかなことは書いていても、特定の曲の練習記録などは書いてきませんでした。ピアノ独学の時は自分の考えだけを書けばよかったのですが、今は先生について教わっている…先生の指導の内容や先生の考えについても触れることになる。それぞれの先生で考え方、解釈、指導は異なるので、書いてもいいんだろうか…と思ってきたのが理由のひとつ。あと、ブログバレしたくない。絶対したくない。これも理由。

 ですが、今回仕上げた曲がとても難しく、今後の声楽にとっても指針になると思っています。本当に難しかった。達成感も大きいです。あと、この曲は声楽をやっている人なら誰もが通る作品。ということで、ポイントを覚書しておきます。

 「コンコーネ50番」。声楽をやる人なら誰もが取り組むであろう練習曲集。私は中声用を使っています。
全音:声楽ライブラリー コンコーネ50番(中声用)
 畑中良輔先生編集のこの全音のコンコーネ。

 コンコーネで何を学ぶのか。まず、ソルフェージュ。楽譜を読み込み、調性、テンポ、強弱、速さ、音楽理論を学びます。それから、声楽での発声。ただ歌うのではなく、声楽での歌い方。息の吐き方、音程、ピッチ、声のトーン、声の膨らませ方、高い声を無理なく出す方法など。さらに、旋律としての歌い方。レガート、スタッカート、アクセント、装飾符。音の跳躍もあるし、高い音に向かう連続した音、低い音に下がる連続した音もある。これらを機械的にではなく、楽譜を読み込み、「歌う」。
 コンコーネは、初心者から上級者、プロまでずっと使っていける。1曲がオペラアリアぐらいのボリュームの曲もある。レベルに合わせて、何度でも取り組める。同じ曲(番号)でも、初心者の時と、上級者の時で課題を変えられる。そんな練習曲集です。
 ちなみに、歌う時はドレミ(イタリア語音名)で歌っています。その番号の導入部分ではアーとかイーとか、ひとつの音で歌うこともあります。

 現在私は31番まで進みました。声楽を始めて約5年。発表会前はコンコーネをお休みすることもありましたが、これまでも、これからもずっとコンコーネです。

 その31番が…とても難しい。曲は、主題、変奏1、変奏2の3つに分かれています。
 こんな曲です。
Concone 50, Op.9 No.31 Medium Voice


 まず主題。
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 変ロ長調。「sostenuto」とあります。全部繋げて滑らかに。高い音に登っていって、一番高い音に気を取られますが、下がる時も声がだらーんと垂れ下がらないように腹筋(横隔膜)で支えます。7小節目の一番高いファにはアクセント。ふくよかに。その後ディミヌエンドして、やさしく。10小節目からは短調になりますが、途中で長調に戻ります。16、17小節目の下降では、しっかり支えて。最後は緊張感を持って。
 この31番、何が難しいかというと、歌う旋律と伴奏がややこしい。歌う旋律の最後の音と、最初の音にだけ伴奏が入る。ずれないように注意します。

 次、第1変奏。
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画像が2枚になってしまった。音符が増えます。8分音符で、優雅に美しく。ここも、登る箇所で気をつけても、下りる箇所で気を抜かないように。声を支える。5小節目、アクセントつきのファは伸ばしてファラ♭シへ。6~8小節目でも、高いファで伸ばして♭ミレド♭シラソファと滑らかに。12小節目、13~15小節目でも。
 伴奏も変奏します。やっぱりややこしさは変わりません。

 第2変奏へ。
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 16分音符のオンパレード。なかなか譜読みがメロディーに追いつかず、間違えて読んでばかりで大変でした。譜読みは苦手なのは、ピアノ独学の頃と変わってません…少しはよくなっていきたい。ゆっくりから始めて、徐々に速く。
 軽快に。でも、音符を読むのに夢中になって、音と音がブツ切れにならないように、つなげて。ここも、下降の箇所は音を支える。6小節目のレド♭ラソファに似た下降部分が後で出てくるのでややこしい。7、8小節目、ドの装飾符を歌うのは素早く軽く。どうしてもここで重めになってしまって、後に響いてしまっていた。10小節目からは短調に。11小節目、レド♭ラ♯ファレ、6小節目と似ています。短調に変わったので、音を取りにくくなるところ。11~14小節目は全部つなげて滑らかに。14小節目のファからまた長調に。15小節目、レ♭シファレ♭シ、6小節目と似ている部分がまた出てきた。長調に戻って、また音が取りにくい。最後まで丁寧に。
 第2変奏では、伴奏がちょっと変化しています。伴奏は8分音符。つられないように。

 第1,2変奏は、前半と後半をそれぞれ2回ずつ歌います。部分に分けて練習したら、全部通して歌います。体力使います。腹筋使います。鍛えられます。

 本当に大変でした31番。声楽で大事な要素がたくさん詰まっています。がんばってよかったと思う曲です。

 イタリア歌曲集も随分進みました(順番ではなく、歌いやすい、私の声質に合ったものから)。発表会で歌ったものもあります。1巻だけでなく、2巻や他の曲集からも歌いました。最初は私と気質の違う歌詞や曲調に戸惑ったり、疑問を覚えることがありました(歌詞は暗いのに曲は明るい、など)。でも、美しいですし、人間の様々な感情がこもった歌詞をどう歌おうか楽しく思うようになりました。
Amarilli mia bella

 カッチーニの「アマリッリ」。以前、声楽を始めようなんて思ってもいなかった頃聴いて、ブログに書いたことのある歌ですが、自分で歌ってみてもきれいな歌だなと思います。
・その記事:音楽のたのしみ 2 音楽のあゆみ ― ベートーヴェンまで
 この本を今読んだら、以前と反応が違うと思う。あと、4巻目のオペラが未読。そろそろ読みたい…。
by halca-kaukana057 | 2019-01-14 22:54 | 奏でること・うたうこと

白河天体観測所

 数々の星座や天文の本を出版している藤井旭さん。その藤井さんたちが作った「白河天体観測所」という私設天文台がありました。所長の「天文犬」チロで有名でもあります。その50年を綴った本です。


白河天体観測所 : 日本中に星の美しさを伝えた、藤井旭と星仲間たちの天文台
藤井旭/誠文堂新光社/2015


 天文好きな美大卒の藤井さんは、雑誌のイラストを描いて生活しつつ、天文同好会の観測小屋で天体観測をする日々だった。しかし、天文写真を現像すると「光害」の影響で夜空が明るく写ってしまっていた。暗い夜空を求めて、藤井さんは福島の郡山へ。運よく就職先が見つかり、同じ頃、天文好きが集まる国立科学博物館の村山定男先生の研究室で、那須高原に山荘のような天文台を建てたいという話を聞く。口径30cmの反射望遠鏡のある天文台。星仲間たちも「光害」のないところで、観測できる場所を求めていた。村山先生と藤井さんたちアマチュア天文家が資金を出し合って、天文台作りが始まった。そして1969年、天文台は完成。その頃、偶然立ち寄ったデパートの犬の展示会で、北海道犬のメスの子犬を買うことになってしまった藤井さん。その犬を「チロ」と名づけ、観測には連れて行くようにしていた。観測所でも可愛がられたチロ。強く美しく成長したチロを、天文台の所長にしようと決めた。


 白河天体観測所と、チロのお話は「星になったチロ」「チロと星空」という藤井さんの著書にまとめられています。私もその本を読んでチロのことや白河天体観測所、後に始まったチロの星まつり「星空への招待」のことを知り、憧れていました。大きな望遠鏡があって自由に使えて、夜が遅くても観測所で寝泊りできるし、「アストロ鍋」のような美味しいものも食べられる。天文仲間もいるし、可愛いチロもいる。こんな天文台があるっていいなぁと思っていました。

 観測所での面白いエピソードも数多く綴られています。様々なお客さんや、チロや天文仲間たちの様々なエピソード、失敗談、山の中の自然のこと、観測所での困った出来事などなど。笑い話もあるし、「星見あるある」な話もあるし、不思議だなと感じる話も。観測所にやってきていた人たちにとっては、どれも大切な思い出話だろう。藤井さんの語り口調(文章)そのものが、それを物語っているよう。
 先述した「アストロ鍋」。星仲間たちはもちろん観測のために天文台にやってくるけれども、それ以上に、星仲間と集い、美味しいものを食べながらおしゃべりするのも楽しみ。星仲間の「たまり場」になっていた。観測所…「白河天体歓食所」名物の「アストロ鍋」は、やってきた星仲間たちが持ってきた各地の名産物など使ったり、なんでもありの鍋。本当に楽しそうだ。
 「歓食所」には海外の天文家もやって来る。さらには星新一他作家もやって来る。星新一のある独白には驚いた。さらに、天文家(後に博士号を取得)で宇宙飛行士の土井隆雄さんも、藤井さんの頼みでチロのステッカーを宇宙に持って行き、天文台に持って帰って来てくれた。そんなゲストたちの話も面白い。

 観測所はアマチュア天文家やプロの天文学者たちが集う天文台だったが、星見の楽しさを伝えようとしていく。会津磐梯山の山奥で、星好きたちが集まる星まつり「星空への招待」。1975年の夏から始まった。勿論チロは人気者。しかし、チロは1981年に亡くなってしまう。全国から、チロの死を悼む手紙や、香典までが届けられる。チロに会ったことがなくても、天文雑誌などで「星空への招待」のことや、チロのことを知り、私と同じようにいいなと思っていた星好き、星には興味がなかったがチロがきっかけで興味を持った人もいる。チロはまさに「天文犬」「アストロ犬」だったのだなと思う。

 その後もチロの遺志を引き継いでこうと、チロを記念した口径84cmの移動式の大望遠鏡を作ろうという計画が持ちあがる。私設天文台でのこの大きさはとても珍しい。科学館などの天文台でもこの大きさはなかなかない。しかし、チロのために、と星仲間たちは作ってしまう。必要なものの調達もうまい具合に進み、周囲の人々もいいタイミングで強力してくれる。星仲間もそれぞれの持っている技術で貢献する。白河天体観測所を作った時も、トラブルがあってもうまい具合に進んで行った。すごいなと思う。望遠鏡は無事に完成し、1986年のハレー彗星接近に合わせて、全国各地を走り回ることになった。さらには、南天の星空も観測しようと、オーストラリアに天文台建設の話が持ち上がる。「チロ天文台」と名づけられたその天文台でも、星仲間たちは美味しいものを食べて歓談し、観測しているという。

 そんな、白河天体観測所には、ある取り決めがあった。そして、2011年3月、東日本大震災。観測所は強い揺れを受け、望遠鏡は倒れ、建物も被害を受けた。さらに、原発事故の影響も受けてしまった。その取り決めと、震災でのダメージにより、白河天体観測所は2014年に閉鎖。何とも残念な最後になってしまった。自然の中で、宇宙という自然を観測してきた天文台が、地震という自然災害で被害を受けてしまう。天文台は人工の私設ではあるが、山の自然と共に観測を続けてきた。皮肉な最後でもある。

 白河天体観測所はなくなってしまった。しかし、「チロ」シリーズの本やこの本で、私設天文台のノウハウは伝えていける。日本の、世界のどこかに、星仲間が集う新しい天文台ができても不思議ではない。白河天体観測所のこと、チロのことをこの本が伝えていけばいいなと思う。チロと白河天体観測所は、今も私の憧れだ。
 「チロ」シリーズの本も再読しよう。
by halca-kaukana057 | 2019-01-13 22:35 | 本・読書

夜想曲集

 少しずつカズオ・イシグロ作品を読んでいます。今回は、カズオ・イシグロの初めての短編集のこの本。

夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
カズオ・イシグロ / 土屋政雄:訳 / 早川書房、ハヤカワepi文庫 / 2011

 ベネチアのカフェでバンドでギターを演奏していたヤネクは、アメリカ人歌手のトニー・ガードナーがいるのを見つけた。ヤネクの母はガードナーの大ファンで、ヤネクもガードナーの歌が大好きだった。共産圏出身のヤネクは、なかなか手に入らないガードナーのレコードを手に入れて、よく聴いていた。演奏後、ガードナーに話しかけたヤネク。ガードナーとヤネクはガードナーの音楽についての話で盛り上がっていた。ガードナーは妻のリンディとベネチアにやってきていた。リンディにも会ったヤネク。ヤネクはガードナーからあることを頼まれる…。(「老歌手」)



 これまで読んだ「日の名残り」「わたしを離さないで」とは雰囲気が違います。5つの短編、「老歌手」、「降っても晴れても」、「モールバンヒルズ」、「夜想曲」、「チェリスト」が収められています。舞台はイタリアだったり、イギリスだったり、アメリカだったり。イギリスでも、「日の名残り」や「わたしを離さないで」とは雰囲気の異なるイギリス。どれも独立した話ですが、2作品にある共通点があります。これを見つけた時はお互いの作品を別の視点からも読めるようで面白かった。

 副題にあるとおり、どの作品にも音楽が関係してきます。それと、「夕暮れ」。これはただの一日のうちの「夕暮れ」だけでなく、人生の「夕暮れ」でもある。何を持って「夕暮れ」と感じるかはそれぞれの作品の、それぞれの登場人物による。「夕暮れ」をどう解釈するかもそれぞれの登場人物による。昼間と夜の境目なのか、夜に向かっていく時間なのか、夜がやってきてもまた夜明けがくると思えるのか。そして、「夕暮れ」の余韻。夕暮れの時間帯は特に好きな時間だ。空は光と闇、青と橙と黒が混じりあい、月や星が見えることもある。音の伝わり方も昼間や夜と違った感じがする。昼間から夜へは急に変わらない。「夕暮れ」があって、徐々に変化していく。この少しずつの変化にも、それぞれの登場人物の解釈がある。

 特に好きなのが「降っても晴れても」。とにかくコミカル。
 アメリカの古いブロードウェイソングが好きなイギリス人レイモンド。友達のチャーリーの彼女のエミリも好みが同じで親しくしていた。大学を卒業しても3人の交友は続き、チャーリーとエミリは結婚した。レイモンドはスペインで英語講師をしていたが、久しぶりにチャーリーとエミリに会いにイギリスに行くことにした。ロンドンについて、レイモンドはチャーリーから相談を受ける…。
 話のテンポがよくて、様々な事件が起こる。その事件がコメディ映画を観ているかのようなコミカルさ。チャーリーもチャーリーだし(事をおおごとにしたのチャーリーのせいでは…?)、レイモンドもレイモンド。レイモンドが真面目にチャーリーの案を実行していく様がおかしくてたまらない。コミカルな物語の根っこには、チャーリーとエミリが抱えるある問題があった。その問題を心配するレイモンド。心配して、何とか問題を解決しようとするのだが…。この「降っても晴れても」の「夕暮れ」は、ドタバタと静かな夜の間。静かな夜には問題が顔を出すだろうけれども、「夕暮れ」の時間だけはその余韻に浸っていたい。そして、朝が来ることも確信したい…。そんな雰囲気。とても面白い。

 「夜想曲」もコミカルな展開の奥に、問題を抱えた人々の心理が細やかに描かれる。「チェリスト」は他の4作とはちょっと雰囲気が違う。音楽を演奏するとは何か、音楽家として生きるとはどういうことか、才能とは何かが描かれる。人生の「夕暮れ」はいつ訪れるかわからない。自分でも、「夕暮れ」だとわからないかもしれない。他人が見ないとわからないかもしれない。でも、それは他人からの視点であって、自分自身の視点はまた違う。「チェリスト」の主人公(語り手の「私」ではない)の才能とは何だったのか。音楽を演奏する上で、才能はあった方がいいと思う。努力や、教えを請う素直さ、細々とでも継続する力も才能に入るだろうか。でも、才能とは何なのか、どういうものを才能というのか。それを履き違えたら大変なことになる。主人公は、ある女性と出会うが、それはよかったのだろうか…と思う。

 色々な感情が交錯する「夕暮れ」時。そこには音楽があってほしい。余韻を味わうだけで無く、音楽に慰めてもらったり、支えてもらったり、包み込んでもらったり、とにかく音楽と一緒にいたいと思う。毎日何かしらの音楽を聴いている私はそう思う。
by halca-kaukana057 | 2019-01-08 21:44 | 本・読書
・準備編:【2019.1.6】部分日食を見よう! 準備編

 さて、部分日食当日です。今日の観望レポを。

 当地は朝から雪。空一面雪雲。これは無理か…と思いつつ、食が始まる時間を待ちます。待てども、雪は収まる気配がない。収まるどころか、さらに強く降っている…。これはダメだ。今回はダメだ。この季節は仕方ない。
 食の始まっている時間ですが、出かけることにしました。ただ、バッグには日食メガネを入れておきました。運転していると、雲間から太陽の光が。ちらりと見ると、欠けた太陽が雲越しに見えた。見えた!!見えてる!!急いで近くの駐車場に車を止め、日食メガネをバッグから出す。あ、カメラ忘れた!携帯のカメラならある。日食メガネを使うも、雲で光が遮られて見えない。雲は流れて、切れ間から見えたり、また見えなくなったり。
 そんな中で撮影しました。食の最大の少し前、10時過ぎの撮影です。
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 画像の黒いゴミのようなものは雪です。太陽を直接見ないように、携帯画面を見て撮影しました。欠けてます。見えると思っていなかったので嬉しいです。欠けた(月に一部分を隠された)太陽を観ると、ワクワクします。
 日食メガネ越しに見えたときもありました。よかった、日食メガネを持ってきて。

 その後も、雲間から見えたり見えなくなったり。食の最大の前後が見られてよかった。

 ピンホール観察法は、この曇りなので出来ませんでした。太陽の光で影が出来るほど、太陽の光は強くなかった。

 以上、部分日食観望レポでした。絶望しかけていたので、少しだけですが観られてよかった!今年は12月26日にも部分日食があります。この時は、東南アジアで金環日食。日本では部分日食。南のほうほど大きく欠けます。当地では少しだけなのでどうかなぁ。しかも、また冬、雪の季節。年末は寒波が入ってきやすいんだ。どうなるかわかりませんが、楽しみにしています。日食メガネはずっと保管しておいてくださいね。
by halca-kaukana057 | 2019-01-06 21:45 | 宇宙・天文

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