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 ひとつの時代が終わろうとしている。明日からは新しい時代が始まる。そんな夜に何を聴こうか。クラシックだったら、やっぱりシベリウスか(特にフィンランド指揮者・オーケストラ・演奏者によるもの。今日も聴いていた)。でも、私がクラシックを聴き始めたのはそんな昔の話ではない。十数年程度。私のこの時代を象徴する音楽かどうか…。
 もっとメッセージ性のある、歌を聴きたい。ということで、このアルバムを聴いています。


風を紡ぐ
池田綾子/ソニー・ミュージックダイレクト/2018

 池田綾子さんの久々のアルバム。ずっと待っていました。NHK「みんなのうた」他、様々なテレビ番組などとタイアップした楽曲が次々と出ているのに、CDが出ない。フルをじっくり聴きたい。ようやく聴けました。池田さんの澄んだ優しい歌声は健在。高音の滑らかさ、伸びやかさに驚きます。すごい発声…。声楽を始めて、池田さんの歌声のすごさを実感しました。声域が違うのもありますが…。

 今回のアルバムは、「時間の流れ」を意識した作品が多いなと思います。人との繋がりもありますが、時間、月日の流れがあって、誰かがいて、自分がいる。

 このアルバムの楽曲から、今夜特に聴きたいのが、「時の旅人」「明日への手紙」
 「時の旅人」は、NHK松山放送局 NHK四国4局キャンペーン 四国遍路1200テーマ音楽。ずっとCDで聴きたいと思っていた曲。スケールの大きな曲です。でも、ひとりひとりの歩みが過去から現在、未来へ、大きな年月に繋がっていく。
 長い長い年月の中のひとりひとりの人生の日々。ひとりひとりの人生の毎日があるからこそ、長い長い年月になると思うと、毎日を大事にしようと思えます。時代が変わっても、毎日は続く。

 「明日への手紙」は、手嶋葵さんに楽曲提供したテレビドラマの主題歌。手嶋葵さんの歌も大好きです。でも、池田さんが歌ってくれたら…と思っていました。嬉しい。
 毎日は色々なことがある。辛いこと、苦しいこともある。迷うこともある。それらを抱き、明日への希望を持って進んでいく。とてもやさしい気持ちになる歌ですが、力強く背中を押される気持ちになります。背中を撫でてもらって、ぽんと押してもらえるような。まだ見えてこないかもしれないけど、明日はより夢に近づけるだろう。「明日を描くことを止めないで」という歌詞がじわりと響きます。

 話はずれますが、私にとって平成は、成長の時代でした。子どもから大人へ成長してきた31年。
 でも、大人になればなるほど、停滞したり、後退することもありました。

 話がさらにずれるのですが、平成らしい何かを食べようと思って、今日はティラミスを食べました。ティラミスが流行ったころ、まだ私は子どもでした。美味しそうなケーキと思っていたのですが、その後食べた時苦いなと感じたのを覚えています。でも、今はティラミスを美味しいと感じます。砂糖を入れないコーヒーや紅茶も飲めるようになりました。苦いものも、美味しいと思えるようになりました。100%苦みだけじゃない。苦みもあるけど、様々な味や香りを味わえるようになりました。

 私にとって平成は、様々な意味で「苦み」を「うま味」と感じられるようになった31年だと思います。苦しいことや辛いこと、自分の力ではどうにもならない理不尽なこと…様々な「苦み」も、「うま味」…成長の糧となる、学ぶことがあると思えるようになりました。乗り越えた先に、見えるものがある。

 今も悩んでいることはあります。辛いことも苦しいこともあります。ずっと持続しているものもあれば、波のように寄せては返すものもあります。それらは明日も続いていきます。でも、「苦み」だけじゃない。「うま味」もあるはず。明日は「苦み」の中に「うま味」を見つけられるかもしれない。望むものに近づけるかもしれない。そんな可能性があることを信じる。明日もきっといい日になる。池田さんの歌を聴いているとそんな気持ちになれます。

 この2曲だけでなく、他の曲もいい曲ばかりです。「ドアの向こう」「巡りゆく日々」「言葉の箱船」「えがおのつぼみ」「夢の途中で」…あたたかい気持ちになる曲ばかりです。
 他にも発表している曲があるのですが、アルバムに入らなかった曲も。次のアルバムに入りますよね…?入れてほしい。

 またあした。
by halca-kaukana057 | 2019-04-30 22:45 | 音楽

北国の春 2019

 春がやって来ました。今年は急に暖かくなったと思ったらまた寒くなり…寒暖の差が激しかったです。身体には辛い。
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 ソメイヨシノ。のんびりと桜を眺めて、お花見を楽しんでいます。

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 しだれ桜。濃いピンクの花がきれいです。

 毎年、冬は寒く雪も多く、本当に春が来るのだろうかと思ってしまいます。でも、徐々に雪の日は少なくなり、寒暖を繰り返しながら暖かくなります。雪も融け、地面が見え、クロッカスや水仙が咲き始めます。そして桜。冬がどんなに寒くても、春はくるんだなと思います。
by halca-kaukana057 | 2019-04-28 21:51 | 日常/考えたこと
 このところ、ショスタコーヴィチをよく聴いています。海外ネットラジオでもショスタコーヴィチの交響曲があちらこちらでオンデマンド配信されていて聴いています。思えば、今年の正月にBSプレミアムで放送された玉木宏さんのショスタコーヴィチ「交響曲第7番」のドキュメンタリーが面白くて、とても辛くて、もっとショスタコーヴィチ作品を聴きたいと思った。元々ショスタコーヴィチの音楽は好きです。でも、まだまだ聴いていない作品もありますし、聴いたけどピンと来なかった作品もあります。

 その、以前薦められて聴いてみたのだが、よくわからなくてそのままCD棚にしまっておいたショスタコーヴィチのCDがありました。
「24の前奏曲とフーガ」op.87.

 ショスタコーヴィチというと、オーケストラがバンバン鳴るイメージがある。ソ連の体制の下で苦しみながら作曲し、体制に翻弄された。作品には体制への反抗と皮肉が込められている。。ショスタコーヴィチ独特の音の使い方を、私はショスタコ節と呼んでいるが、その音の使い方が好きだ。

 そんなショスタコーヴィチは、名ピアニストでもあった。ショパンコンクールに出場し入選した腕前で、ピアノ曲、ピアノ協奏曲も多く作曲した。そのショスタコーヴィチのピアノ曲の中でも最高傑作と呼ばれるのが、「24の前奏曲とフーガ」。作品34に、「24の前奏曲」という別の作品もある(op.87とは雰囲気は全く異なるらしい。こちらも聴きたい)

 最初聴いた時は、前述したショスタコーヴィチのイメージとは違っていて、これもショスタコ?と思ってしまった。この頃のショスタコーヴィチは、ジダーノフ批判で苦しい立場にあった。1950年7月、J.S.バッハの没後200年を記念した第1回国際バッハ・コンクールの審査員に選ばれたショスタコーヴィチ。このコンクールで優勝したソ連のピアニスト、タチアナ・ニコラーエワの演奏に深く感銘を受けたこと、また、この年にバッハの作品を多く聴いていた。それがきっかけでこの「24の前奏曲とフーガ」を作曲した。バッハの「平均律クラヴィーア曲集」と同じように全ての調性で作曲され、前奏曲とフーガがある。聴くと、確かにバッハの雰囲気。でも、近現代の音、響きがする。聴いていて、平均律や対位法の知識がもっとあればいいのに、もっと理解できたらいいのに…と思っていた。もっと楽しく聴けるはず。でも、音楽そのものを聴いていても面白い。

 第1番ハ長調のフーガは全て白鍵で演奏されるが、響きに近現代の音がする。どの曲も内省的で、静かで、物悲しい。タイトルのない純粋な音楽だけど、何かを物語っているような、詩のようなものを感じる。バッハの「平均律クラヴィーア曲集」は孤高のイメージ、音楽、ピアノの基本であり、原点であり、ゴールでもありスタートでもあると感じるのですが、ショスタコーヴィチは孤独。長調でも物悲しい雰囲気。

 全部で48曲あり、通して聴くと3時間ぐらいかかる大作です。私が特に好きなのは第7番イ長調のフーガ。とても美しい。きらきらとしていて、穏やか。心にじんわりと響くものもあります。第4番ホ短調もいい。第24番ニ短調のフーガは、最後を締めくくる荘厳な曲。でも、大げさではなく、内に込めたものをぽつぽつと控えめに出している感じがいい。

 持っているCDは、コンスタンティン・シチェルバコフ盤。あと、アレクサンドル・メルニコフ盤。タチアーナ・ニコラーエワ盤、ピーター・ドノホー盤も。

ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ Op. 87

コンスタンティン・シチェルバコフ(Konstantin Scherbakov)/Naxos




 あと、交響曲ですが、ネットラジオで聴いたのはこれ。
Sveriges Radio P2 : KONSERT: Korngold och Sjostakovitj med Elina Vähälä och Klaus Mäkelä
 クラウス・マケラ:指揮、スウェーデン放送交響楽団の交響曲第6番

WDR3 Radio : WDR 3 KONZERT - 05.04.2019 LIVE: WDR SINFONIEORCHESTER - SCHOSTAKOWITSCH
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、ケルンWDR交響楽団(ケルン放送交響楽団)の交響曲第11番

BBC Radio3 : Radio 3 in Concert : Dmitri Shostakovich - surviving Soviet Russia
 セミヨン・ビシュコフ:指揮、BBC交響楽団の交響曲第11番。ピアノ協奏曲第2番もあります(ピアノ:アレクセイ・ボロディン)。
by halca-kaukana057 | 2019-04-27 22:31 | 音楽

天空の約束

 川端裕人さんの本は久しぶりです。以前読んだ「雲の王」の続編が出ていました。
雲の王


天空の約束
川端裕人/集英社、集英社文庫/2017(単行本は2015)

 微気候を制御し屋内環境を整える研究をしている八雲助壱(やぐも・すけいち)。大学教授をしていた頃の教え子で新聞記者の蓮見可奈に連れられ、雲の芸術家がいるというクラブ・「雲の倶楽部」へやってきた。ある条件を満たしていないと店に入ることができないらしい。そのクラブには、人工の雲がアートとして展示されていた。クラウド・ジョッキー(CJ)という雲の芸術家が作るものらしい。CJのプレゼンテーションを見て驚く2人。その後、バーテンダーの女性から、あるカクテルを差し出された八雲は、そのカクテルに不思議なものを見る。それにも驚いていると、バーテンダーの女性は八雲に小さな小瓶を差し出し、受け取った。


 「雲の王」の続編ですが、登場人物は異なります。しかし、「雲の王」の美晴たちと同じく、風や気温を「見る」ことができる能力を持つ者たちの物語です。川端さんの作品では、とんでもない天才が一般的な主人公を導き、また主人公も巻き込まれつつも個性を発揮していく。彼らのいる「今ここ」が、大きな世界に繋がっている。この「天空の約束」はちょっと違う感じがする。まず、主人公が誰なのか決められない。八雲はそのひとり。主要人物が何人も出てくる。高校の頃、よく眠っていて「眠り姫」と呼ばれていた日向早樹。早樹は、高校時代の写真部の先輩だったある女性のことをうっすらと覚えていたが、誰なのか思い出せずにいた。その女性、椿かすみ。かすみは早樹の夢をノートに記録していた。早樹は写真部の仲間たちと再会し、かすみのことを思い出していく。不思議なメッセージを残して転校して行ったかすみ。ばらばらだった3人がどんどん繋がっていく。不思議な物語です。

 八雲も早樹も自分の「能力」には気づいていない。いや、この2人はちょっと違う。八雲は何も知らない。一方の早樹は「能力」があるとわかっていたが、ある理由から「蓋」をすることになってしまった。そして、かすみが語る過去の話「分教場の子ら、空を奏でる」とても重く、読んでいて辛かった。人と異なる「能力」を持つことは、いいことばかりではない。恐ろしい存在と拒絶される。また、その「能力」を利用しようという者も出てくる。「能力」を持つ者が幼ければ幼い程、そんな大人たちの身勝手さの餌食になってしまう。「能力」を理解されないどころか、誤解されていた。早樹も辛い経験をした。今回の本では、「能力」の暗い部分が描かれている。この暗さが、作品全体に今にも降り出しそうな雨を持った雲のように立ち込めている。

 そんな「能力」をどう扱ったらいいのか。動きだしているかすみ。今回の物語では、「今ここ」から大きな世界へ、というよりも、「今ここ」に至るまでに何があったのか、そして大きな世界へ向かうにはどうしたらいいのか。その過程が描かれていると感じます。結果がどうなるかわからない。もっとこの物語の先、未来を読みたいと思うが、あるところにたどり着き、そこが大きな世界へのスタートラインになって終わっている。「雲の王」が続編なのか、この「天空の約束」の方が先なのかわからなくなってきた。でも、この「天空の約束」を読めてよかった。「雲の王」が2012年。その後、日本や世界の気象現象はまた変化した。大きな災害が頻繁に起こるようになった。気候の差が激しく、それによって様々な被害が出るようになった。数年のうちに変化した気象現象に基づいた、新しい物語が生まれた。それを読めてよかった。

 この作品をどう説明したらいいか、実際のところ難しくて困ってしまっている。とても面白く、胸にズシンと、じんわりともする物語だ。しかし、かすみが自分の「能力」について、一般人にどう説明したらいいかわからないように、私もこの作品をどう語ったらいいかわからないままこの記事を書いてしまった。扱っているテーマの暗さ、重さゆえだろうか。でも、本当に面白い。最近はスマートフォンの雨が降る通知や、リアルタイムの警報通知で随分と便利になった。しかし、その便利さに頼ってばかりいないで、自分で空や雲を見て、気温や風の向きや強さ、湿気などを感じて、気象の動きに気を配れたらいいなと思った。そして、災害への意識を高めつつも、危険性がないなら、毎日の天候を楽しみつつ受け入れられたらいいなと思う。晴れの日も、雨の日も。


by halca-kaukana057 | 2019-04-22 22:02 | 本・読書

BBC Proms Dubai 2019 まとめ

 この秋、日本でBBC Promsが開催されますが、ドバイでは2回目のプロムスが開催されました(3月19日~22日)。その録音は、BBC Radio3で聴けます。BBC Proms JAPANに行く方も、行かない方も、本家のロイヤル・アルバート・ホール以外でのプロムスの雰囲気を聴いてみてください。

◇Prom1 (3月19日):Radio3 in Concert : BBC Proms Dubai 2019 - The First Night
 ・ブシュラ・エル=トゥルク (Bushra El-Turk):トメシス(Tmesis)
 ・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
 ・プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」第1、第2組曲(抜粋)
  /五明カレン(Karen Gomyo)(Vn)、ベン・ジャーノン (Ben Gernon):指揮、BBC交響楽団
 チャイコフスキーのソリストの五明カレンさん。東京のご出身だそうで、知らなかった。「ゴムヨ・カレン」とも表記されています。

◇Prom2 (3月20日):Afternoon Concert : BBC Proms Dubai 2019
 ・ブリテン:歌劇「グロリアーナ」 op.53 より 合唱舞曲集
 ・モーリス・デュリュフレ:グレゴリオ聖歌による4つのモテット op.10
 ・ローラ・マヴーラ(Laura Mvula):Love Like a Lion
 ・ボブ・チルコット(Bob Chilcott):We are
 ・ビリー・ジョエル(Billy Joel)(チルコット:編曲):そして今は…(And So It Goes)
 ・フランダース アンド スワン(Flanders and Swann)(Stephen Jeffes , Grace Rossiter:編曲):「At the Drop of a Hat」より 合唱曲集
 ・ローラ・マヴーラ:Sing to the Moon
 ・ベニー・アンダーソン(Benny Andersson)、ビョルン・ウルヴァース(Björn Ulvaeus)(Stephen Jeffes , Grace Rossiter:編曲):ABBAメドレー
 ・アンドリュー・ゴールド(Andrew Gold)(Jonathan Wikeley:編曲):Never Let Her Slip Away
  /ソフィ・イェアンニン(Sofi Jeannin):指揮、BBCシンガーズ、Dubai English-speaking College Chamber Choir
 BBCシンガーズによる、合唱曲回です。
 当初のプログラム:BBC Singers:BBC Proms Dubai: Contemporary Choral Classics
 これと随分違います。プーランクとガーシュウィンはどこに行った。

◇Prom3(3月21日):Afternoon Concert : BBC Dubai Proms 2019
 ・ウォルトン:チェロ協奏曲
 ・ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱つき」
  /ニコラ・アルトシュテット (Nicolas Altstaedt)(vc)
  エリザベス・アサートン(Elizabeth Atherton)(ソプラノ)、イヴォンヌ・ハワード(Yvonne Howard)(メゾ・ソプラノ)、 マーク・ルブロック(Mark Le Brocq)(テノール)、ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)、BBCシンガーズ、Dubai Opera Festival Chorus、リチャード・ファーネス(Richard Farnes):指揮、BBC交響楽団
 イギリスもののウォルトンと、プロムス定番曲の第九。Prom2でもそうですが、現地の合唱団も一緒に舞台に立っているのがいいなと思います。

◇Prom4(3月22日):The Last Night of BBC Proms Dubai 2019
 ・ワーグナー:「さまよえるオランダ人」序曲
 ・チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード:海の歌 op.91
 ・シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
 ・ピアソラ(John Lenehan:編曲):リベルタンゴ
 ・アンナ・クライン(Anna Clyne):Masquerade
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:音楽へのセレナード
 ・カルロス・ガルデル(Paul Campbell:編曲):Por una cabeza
 ・ヴェルディ:「運命の力」序曲
 ・トマス・アーン(マルコム・サージェント:編曲):ルール・ブリタニア
 ・エルガー:威風堂々 第1番
 ・スコットランド民謡(Paul Campbell):Auld Lang Syne
  /ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)、ヨハンナ・ユホラ(Johanna Juhola)(アコーディオン)、BBCシンガーズ、Dubai Festival Chorus、リチャード・ファーネス:指揮、BBC交響楽団
 ラストナイトもやります。昨年のラストナイトで演奏したスタンフォードの「海の歌」が入ってます。2016年のラストナイトで演奏されたヴォーン=ウィリアムズ「音楽へのセレナード」も。声楽ソロは、バリトンのロデリック・ウィリアムズさん。2014年のラストナイトに出演されてました。ガルデルのタンゴ「Por una cabeza」を聴いてみたのですがかっこいい。

 オンデマンド配信期限は、それぞれのページの「○ days left to listen」を参考にしてください。

 ちなみに、本日、今年のプロムスのプログラムが発表されました。
BBC Proms
 7月19日から、9月14日まで開催です。今年は、ヘンリー・ウッド生誕150年。ヘンリー・ウッドが初演した作品がいくつも登場します。あと、今年はアポロ11号月面着陸から50年。プロムスでも宇宙に関する作品や、SF映画の音楽を取り上げます。これがすごく楽しみ。他にも、アニバーサリーイヤーの作曲家の作品も取り上げます。全てのプログラムを見てみましたが、楽しみなプロムばかり。公式ガイドブックは注文済みなので、届くのを待ちます。
 7月になったら、また私選リストをやりたい、やれればいいな。
BBC Media Centre : Media packs : Unveiling the 2019 BBC Proms
by halca-kaukana057 | 2019-04-17 22:57 | 音楽
 本屋で気になったので購入。ポップな感じの表紙。裏表紙のあらすじを読んで「なんだこれ?」「マジなのか?」と思う…。色々な意味でものすごい本だった。


人間をお休みしてヤギになってみた結果
トーマス・トウェイツ:著、村井理子:訳/新潮社、新潮文庫/2017

 筆者のトーマス・トウェイツさんはロンドンに住むフリーランスのデザイナー。安定した仕事がなく、彼女に怒られ、将来のことが心配。悩ましいことばかり。姪っ子の犬の散歩をしながら、人間特有の悩みを数週間消せたら楽しそうだなぁ…と思っていた。その日その時だけのことをして生きていく。そうだ、人間をお休みしてしまおう。ここでは、親しみをこめてトーマスさんと呼ばせていただきたい。トーマスさんは、早速、医学研究支援等を目的とするイギリスの公益信託団体・ウェルコムトラストに申請書のメールを送り、見事資金提供してもらえることになった。その内容とは、象になって、四足歩行に適応する外骨格を製作すること、草を食べて消化できる人工胃腸を開発すること、脳内の将来計画と言語中枢のスイッチを切ってしまうこと。象になりきって、アルプスを越えること。
 その後、色々あって、計画は象からヤギに変更になる。しかし、トーマスさんはヤギになることを諦めなかった…。


 現代的なフランクな文章で読みやすいです。セルフツッコミばかりで、それが面白いけれども自虐的。上述したあらすじを読んで、何のことやら…と思う。要するに、「ヤギ男」になりたい。意味がわからないw

 人間をお休みして、ヤギになる。ヤギと一緒にのんびりと暮らすだけ…ではない。身体も心もヤギになりきるのが目的。最初は象だったのだが、紆余曲折あってヤギに変更した。この過程がまた意味がわからない展開w

 しかし、トーマスさんは本気である。まず、人間の思考をやめるために、人間の思考とは何か、ヤギならどうなるのかを哲学的に考える。イギリスの虐待されたヤギの保護施設へ行き、ヤギの思考について学び、人間の言語による思考をやめるために言語神経科学の医師を訪ね実験を受けてみる。四足歩行をするために、義足を作ってもらい、そもそもヤギの身体はどうなっているのか、解剖学者がヤギを解剖するところを見て身体の仕組みを学ぶ(解剖の箇所はカラー写真があり、苦手な人は注意)。ヤギになりきるために、ヤギのありとあらゆることを専門家に訊ねるこの情熱はすごい。ヤギの身体と心の仕組みを知る過程で、人間との違い、人間はどんな生き物なのかを知ることもできる。文章はフランクで、自虐セルフツッコミも多く、やっぱり意味がわからないのだが、真面目な本ではあります。脳に磁気刺激を与えて言語停止実験をしたり、草を食べてヤギと同じように消化するために使う酵素や人工の胃のくだりは、狂気も感じるほど。そこまでしなくても、いくら何でも危険だって…と思うが、トーマスさんは本当に真剣なのだった。すべてはヤギになりきるため。すごい。

 義足も出来上がり、いよいよスイスのヤギ農場で、ヤギと一緒に暮らす時が来た。ヤギ農場は山の上にある。そこまでたどり着くのも大変。二足歩行で上り下りするのも大変だった斜面を、義足を着けてヤギとして上り下りしなければならない。ヤギたちと一緒に。ヤギとして暮らすのはちっとも楽ではないではないか!でも、トーマスさんはヤギとしての生活を満喫する。楽しんでいる。象からヤギに変更になったとはいえ、ふと思いついたちょっとしたアイディアを、本気で実現してしまったトーマスさん。うん、おかしいw(褒め言葉です)

 トーマスさんは、ヤギとして最後の望みを叶えるため、アルプスへ。山を越えるトーマスさんの写真を見ながら、私も「がんばれトーマス、負けるなトーマス」と応援してしまった。
 このプロジェクトは、2016年イグノーベル賞生物学賞を受賞した。くだらない、バカバカしい思い付きから始まったが、とても興味深く、ヤギになりきることを貫き通すトーマスさんに感動してしまうのは何故だろう…何であれ、本気になるって素晴らしいことだと思う。トーマスさん、最高にカッコイイ、クールだよ(絶対にマネはしたくないけど)

 トーマスさんは元々、大学の卒業研究だったゼロからトースターを作ったことで注目されたのだそう。その本も出ているので読んでみたい。
by halca-kaukana057 | 2019-04-14 22:09 | 本・読書
 このニュースを読む度にとても興奮しています。昨日放送された「コズミックフロント☆NEXT」も観ました。
国立天文台:史上初、ブラックホールの撮影に成功 ― 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る
アルマ望遠鏡:史上初、ブラックホールの撮影に成功 ― 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る
EHT-Japan:史上初、ブラックホールの撮影に成功! 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜むブラックホールに迫る

NHK:世界初 ブラックホールの輪郭撮影に成功
史上初、ブラックホールの撮影に成功!

sorae:人類が新たに開いた扉。「ブラックホールの直接撮影」に成功。”シャドウ”を捉える
毎日新聞:究極の「目」、視力300万の解像力 電波望遠鏡6カ所連携 ブラックホール初撮影

国立天文台:(プレスキット)史上初、ブラックホールの撮影に成功:画像
  ↑このページの一番下にある、解説漫画がとてもわかりやすくて面白いです。あの画像、どう見てもドーナツ…ということで、登場するキャラクター、研究者たちが皆ドーナツを持っているwドーナツが食べたくなったじゃないかwニュースを見た翌日、買っちゃいましたよ食べちゃいましたよドーナツw

 「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」プロジェクトについて知ったのはこの記事、最近のことでした。
sorae:ついにその影を掴んだか!?ブラックホールに関する観測成果を4月10日に発表

 本にもネットにも当たり前のように書いてあり、天文学者も当たり前のように口にしている「ブラックホール」という言葉。電波望遠鏡での観測や、ブラックホール同士が衝突して重力波を観測した、というニュースもあり、ブラックホールの存在は確認、証明されているんじゃないの?と思っていました。でも、違った。勉強不足でした。ブラックホール「の存在を示すと考えられているクエーサー」、「から飛び出すジェット」で、間接的にブラックホールがあるのではないか、ということをこれまで観測してきたのです。私のこのブログの過去記事を書き直さねばならぬかもしれん…。
 
 今回、EHTプロジェクトが目指すのは、「事象の地平線」を観測すること。ブラックホールは光をも飲み込んでしまうため、光(電磁波)でそのものは観測できません。その光が脱出できない半径ギリギリの面のことを「事象の地平線」と呼び、事象の地平線の外側には強い重力によって高温になったガスなどがあり、それを電波観測できれば、ブラックホールの輪郭、影も観測できるのではないか。それを目指します。そのためには、高解像度の電波望遠鏡が必要。ブラックホールは意外とコンパクトな天体で、月面にあるテニスボールを見分けられる程度の解像度が必要。現在世界最強のアルマ(ALMA)望遠鏡だけでは足りません。いくつかの電波望遠鏡を組み合わせれば、より大きい=解像度の高い架空の電波望遠鏡で観測することができる、電波望遠鏡の特性(VLBI:超長基線電波干渉計)を利用して観測します。

 そして、一昨日発表された、上記リンク先のニュースの数々。今まで観測されてきたブラックホールのジェットやクェーサーの画像とは違います。丸いリングに、黒くぽっかりと開いた穴。この暗い穴がブラックホールの影、縁の部分。リングの部分は、事象の地平線の外側にある高温のガスです。
 電波望遠鏡での観測は、可視光のように天体の姿が見たまま見えるわけではありません。膨大な観測データを計算して、画像に処理します。今回はVLBIを使って地球サイズの電波望遠鏡として観測しましたが、電波望遠鏡の間の部分は観測できていない。その数値を補う必要もあります。その画像に処理する様子が昨日の「コズミックフロント」で放送されましたが、なかなか思ったとおりの画像にならず苦戦。この画像に至るまでは本当に大変だったんだなと思いました。

 今回観測したのはおとめ座にあるM87銀河。もうひとつ、天の川銀河の中心にあるブラックホールも観測しています。その観測結果は追って発表とのこと。楽しみです。


 このニュースを見ていて、嬉しかったのがVLBIという言葉が一般のニュースに大々的に出てきたこと。可視光、赤外線、X線など様々なタイプの望遠鏡があり、それぞれ見えるもの、観測できるものが違います。個性が違う。電波も、その他の波長とは違うものを観測することが出来る。そして、電波望遠鏡にはいくつかの電波望遠鏡を組み合わせて、その分の大きさの仮想の望遠鏡を作ることが出来るという仕組みがある。ALMA望遠鏡は66基もの電波望遠鏡が並んでいる。ALMA望遠鏡ができたことで、電波観測は一気に飛躍しました。EHTプロジェクトも、ALMA望遠鏡ができたからこそ実現できた(ちなみに、日本の電波望遠鏡が参加しなかったのは、ALMA望遠鏡のあるチリとは地球の反対側にあるため)。

 そして、VLBIと聞くと、あの電波望遠鏡を思い出さずにはいられません。宇宙電波望遠鏡衛星「はるか」(MUSES-B)。今回は地球サイズの電波望遠鏡を作ってしまおうというプロジェクトでしたが、電波望遠鏡が遠くにあればあるほど、もっと大きな、解像度の高い電波望遠鏡を作ってしまえる。ならば、宇宙に電波望遠鏡を打ち上げてしまえばいいじゃないか!!ということで始まったのが、「スペースVLBI(VSOP)」プロジェクト。その技術を実証するために、「はるか」は打ち上げられました。実際に、世界各地の電波望遠鏡と協力して様々な観測を行いました。今回観測したM87銀河のブラックホールから出るジェットも詳しく観測しました。
ISASニュース 1999.8 No.221 「はるか」特集号
 「はるか」は私が特に、一番大好きな衛星。何度も書いてますが、私のハンドルネールはこの「はるか」に由来しています。その位好きです。お花のようなアンテナが個性的で美しい衛星でもあります。
 「はるか」は2005年11月30日に運用を終了しました。「はるか」で実証された技術は、後継機の「ASTRO-G」に引き継がれる予定でした。しかし、電波望遠鏡として機能するアンテナの開発が難航、予算もなくなり、計画は中止になりました。この中止になった時は非常に残念に思いました。

 もし、今回のEHTプロジェクトに「はるか」の後継機が参加できていたら、もっと解像度の高い画像になっただろうに…。現在のEHTプロジェクトの解像度では、比較的地球に近い大きなブラックホールのM87と天の川銀河のブラックホールしか観測できません。プロジェクトチームの記者会見で、今後はもっと解像度を上げたいとありましたが、そのためには電波望遠鏡を宇宙や月に持っていく必要があります。現在、宇宙にある電波望遠鏡は、ロシアの「ラジオアストロン」。しかし、不具合が起きてしまっています。これを機に、もう一度、VSOP計画が復活しないかと思っています。技術的に困難だから仕方がないと、あの時は中止になりました。中止は2011年の話。現在、技術はもっと進歩しているかもしれない…楽観的過ぎるかな…。
 でも、EHTプロジェクトもここで止まってしまうのはもったいないと思います。時間はかかりますが、人類が開いた宇宙への扉を、ここまでで終わりにはしたくありません…。重力波観測と同じように、ブラックホール観測もさらに推し進めて行って欲しい。そのために、VSOP計画が復活してほしい…。そう願うばかりです。

◇ASTRO-Gについてはこのページをどうぞ:JAXA: 特集:果てしない宇宙の謎にせまる ~日本が誇る天文観測衛星の成果と未来~:活動銀河核の真の姿を見てみたい

【「はるか」「ASTRO-G」過去記事】
電波天文観測衛星「はるか」に想う
  ↑「はるか」について拙いですが解説した記事です。

無念… 電波天文衛星「ASTRO-G」開発中止
2月12日は「はるか」記念日
こことは違う世界に出会う時 読んだ本2冊
超巨大ブラックホールに迫る 「はるか」が創った3万kmの瞳
  ↑「はるか」VSOPプロジェクトの集大成として出た本です。この本はおすすめです。
by halca-kaukana057 | 2019-04-12 22:39 | 宇宙・天文
 アニメが放送されてから1年経ちました。コミック版も完結を迎えます。


宇宙よりも遠い場所 3
よりもい:原作 / 宵町めめ:漫画 / KADOKAWA メディアファクトリー、MFコミックス アライブシリーズ / 2019

 南極・昭和基地に到着した「南極チャレンジ」一行。快適な基地での滞在に心躍らせるキマリたち。到着後、結月は母からのメールを受信し、その内容をキマリたちに伝える。出発前に受けたドラマのオーディションに合格し、役をもらえた。日本に帰って、ドラマの撮影が始まればキマリ、報瀬、日向と会えなくなる…。そんな結月にキマリが言った一言「もうみんな親友なんだし」結月はいつから親友になったのか、何をもって親友になったのか、わからず混乱してしまう。考えた末、結月はあるものをキマリたちに差し出した…。

 アニメだと10話~13話(最終回)。2巻では語られなかった6話のエピソードもあります。この辺りは毎回ボロ泣きしていたのですが、漫画で読んでもボロ泣きでした。南極で、4人がそれぞれ過去や悩んできたことと向き合う。報瀬が南極を去る際のスピーチで話していた「すべてがむきだしの場所」。押し込めていた感情や想いをさらけ出して向き合った。それには4人の友情が不可欠だった。友情に支えられ、後押しされ、でも最終的に決着をつけるのは自分自身。その様は痛みを伴い辛い。でも、決着をつけた4人の姿はとても爽やかだ。

 4人が過去や悩みと決着をつけられたのは、長い旅をしてきたからだと思う。目指すのは南極という地球の果てにある場所。基地の中にいれば基本的に快適だが、極地の自然は日本とは大きく違う。基地を離れ内陸へも旅をしたが、内陸は基地のあるところよりも寒さが厳しく、激しいブリザードに襲われる。そこで、報瀬の母・貴子は消息を絶った。厳しい環境で生きるには、協力し支えあわなければならない。ケンカをしていがみ合っていたら危険な状況になった際、命を落としかねない。また、集団生活で行動も制限される。同じ基地で生活している人とは協調しなければならない。その一方で、協調が大事だから不満や本音があっても心の中に押し込んでいよう…と思っても、イライラが溜まって爆発してしまっては意味がない。相手を思いやり受け止められるように、不満や本音の言い方を工夫して伝えていく。
 脱線するが、極地での生活は宇宙での生活と似ている。国際宇宙ステーションで生活し日々のミッションをこなす宇宙飛行士も、一緒に滞在する他の仲間のやり方に疑問や改善点があれば伝えていく。対話の時間を重視する。そうしないと、半年にもわたる閉鎖環境での生活に耐えられない。

 キマリたち4人も相手に対して疑問や言いたいことがあれば伝えていく。10代ゆえ、そのやり方は少し乱暴だったり、ぎこちなかったりする。でも、相手を思いやる気持ちは通じているので分かり合える。友情に悩む結月、高校在学時代の陸上部のチームメイトに対するわだかまりを抱えている日向、母・貴子への想いを確かめに南極にやってきた報瀬。キマリはめぐみのこと、青春することそのものだろうか。それぞれの問題に対して思うことを伝える。長い旅をして、南極に滞在し、長い時間を一緒に過ごしてきた。日本を経つ前にも、事あるごとに4人で集まった。長い時間一緒にいることで、よりお互いに思うことを伝えやすくなったのだろう。たとえ、報瀬の母の死という重い問題でも、重いからこそ一緒に報瀬の気持ちを汲み取ろうとした。南極に着いて、母が消息を絶った場所に行っても何も変わらなかったら…と不安になる報瀬の気持ちを汲み取っていたからこそ、キマリたち3人はあの行動に出られたのだと思う。

 そんな4人の友情ですが、いいなと思うのは、必要な時はひとりにしてあげること。ひとりで考える時間が持てるように放っておけること。日向の「何かをするのが思いやりではない 何もしないのも思いやりである!」(100ページ)の名言や、弓子さんの「お互いほっとけるっていうのは いい友達の証拠だよ」(101ページ)のように。最終的には自分で結論を出せるように。それがあのラストシーンに繋がったのだと思う。

 キマリたち4人もいいのですが、吟さんやかなえさん、弓子さんなど大人たちもいい。吟も報瀬と一緒に貴子への想いを抱え、もがいている。内陸への出発前のバーベキューで、2人で静かに一緒にいるシーンがすごくいい。

 どのシーンがいいとかを語ろうとすると、全て挙げたくて止まらないのでこのぐらいにしておきます。よりもいはいい作品です。

 この漫画版では、アニメでは出てこなかったシーンが特別編と、ラストに追加されています。どちらもじんわりとする内容でした。

 これで、漫画も完結…終わってしまって寂しい…。でも、この余韻のまま終わってよかったなと思うので、私は続編はなくてもいいかなと。4人はまた旅に出るのでしょう。それだけで十分です。素晴らしい作品をありがとうございました!

・2巻:【アニメ コミカライズ】宇宙よりも遠い場所 2
by halca-kaukana057 | 2019-04-10 21:57 | 本・読書
 かなり前から「マインドフルネス」という言葉を聞くようになりました。Googleなどの世界的大企業の社員やスポーツ選手が実践しているとか何とか。
 「マインドフルネス」とは、「"今、ここ、この瞬間"に集中している心の状態」のこと。
 仕事や家事、様々な作業をしていても、頭の中では別のことやいくつものもことを考えてしまう。それで心が落ち着かない。心が休まらず、いつも何かに気をとられている状態に陥っていることがよくあります。

(ここで疑問。
 認知行動療法の「自動思考」は、マインドフルネスではどういう位置づけなのだろう?
 「自動思考」は、何かの出来事や行動などに対して、瞬間的に、無意識に思い浮かぶ物事のこと。「自動思考」によって、その出来事などに対する感情が引き起こされます。特にネガティヴな出来事に対して、「自動思考」に思考の偏り・歪みがあることを認識する。そして、他の考え方や可能性はないか考え、ネガティヴな感情に変化があったかを考えていく。
 「自動思考」は反射的に思い浮かぶものなので止められない。マインドフルネスでは「今、ここ」以外のことは考えない。…相反する。私が読んだこの2冊の本には書いていなかったので疑問です。
このサイトがヒントになるかも:
[週間]アウトドアITマガジン:自動思考とマインドフルネスの関係性とは
Wikipedia:マインドフルネス認知療法
ナチュラルなイキカタ:【マインドフルネス】「いま・ここ」をありのままに受けとめて、過去(後悔)と未来(不安)に振り回されなくなる
decinormal:第三世代の認知行動療法(CBT) マインドフルネス/スキーマ療法/ACTの違いと共通点
 あと、1冊目の本の「観察瞑想(オープンモニタリング瞑想)」もヒントになるかも。以上覚え書き。)

 この、心が休まらない状態から、「今、ここ」に意識を向け集中し、感情の変化に気づくのがマインドフルネス。
 その方法として、よくあるのが瞑想。最初はマインドフルネス=瞑想だと思っていました。座禅を組んで、精神を統一するような。マインドフルネスは禅の教えを基にしているので、瞑想が基本となるのだそうですが、マインドフルネスでは宗教的な要素は省いてあります。瞑想の他にも、食事をする時、食べることに集中して食べることや、思っていることを書き出すことなどがあります。

 私が読んだ本は、2冊どちらとも、瞑想に限らず、日常生活の中で実践できることを紹介しています。どちらもテーマは「心の休ませ方」…疲れてるのかな私…。

心のざわざわ・イライラを消すがんばりすぎない休み方 すき間時間で始めるマインドフルネス


荻野淳也/文響社/2018


 これが最初に読んだ本。イラストが多く、分かりやすく書いてあります。瞑想については基本の姿勢(椅子に座って出来る簡単な方法)と、10分程度で出来る心と身体を今に向ける方法についていくつか書いてあります。
 それ以上に、日常生活の中でできる「今、ここ」に心を集中させる方法がたくさん。本当に様々です。基本の瞑想の姿勢を発展させて、ゆっくりと腹式呼吸をする、姿勢を正す。これだけでも違う。洗顔、お風呂、寝る前のお肌のメンテナンスの際も、身体の状態に集中する。今身体の状態はどんな調子にあるかに敏感になって、リラックスするように労わってあげる。
 一方、心、メンタルの面でも、リラックスした状態を保てるように「今、ここ」に集中する。周りの環境がどうであれ、自分の心の状態を客観視して観察、認めた上で、集中しリラックスした気持ちになるようにする。例えば、満員電車でもイライラすることを「選ばない」(反応の仕方を自分で選ぶことは出来る)、信号待ちで心を整えるなど、移動中でもできることも。心が落ち着く自分だけの場所を見つけておくというのはいいなと思った。
 ストレスを感じるのはやはり人間関係、コミュニケーション。穏やかに接したいと思っても、相手がイライラやその原因になるもの(処理しきれないたくさんの仕事、愚痴や嫌な気分になる噂話など)を持ってきてしまう…。この人間関係についての項目は私にはちょっと難しいと感じたのですが、相手に対して嫌だと思っても、相手の立場や気持ちを受け止めて共感する。また、相手の考え方や気持ちを、自分とは違う、同意はできなくても、違うと区別した上で共感し理解する。とても大人なやり方ですし、そうできればいいなと思っているのですがなかなか難しい…。
 でも、マインドフルネスで大事なのは、「できない」からといってジャッジしない。ただ、今の状態をあるがままに受け入れる。「できないからダメなんだ」と考えてしまうと、そこで心を閉ざしてしまう。考え方、認知に歪みがあると認識する…この辺りは認知行動療法と似ているかも。
 最後の章には、書く瞑想と呼ばれる「ジャーナリング」のテーマもあります。広いテーマなので、漠然としていて書きにくいな…と思ったのですが、わからない、書くことがなくても、それはそれで受け止める。「今、ここ」にいる自分を受け止めることが大事なんだなと思いました。それに気づくための様々な行動を実践してみています。


 次に読んだのがこれ。

「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方


川野 泰周/ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2018



 1冊目とテーマや書いてあることは似ています。大体同じかも。でも、1冊目はイラストが多くとにかく実践なのに対して、この2冊目は理論を説明して納得したところで実践例を挙げています。イラストは少なめ。でも、読みやすい本です。臨済宗の僧侶、お寺の住職で精神科医。仏教、禅の教えも所々に出てきますが多くはありません。それ以上に科学、心理学、医学寄りの本です。
 マインドフルネスが注目されている理由のひとつが、「レジリエンス(心の抵抗力)」の低下=「心が折れやすい」=「自己肯定感」が「低い」。「自分はダメな人間だ…」「何をやってもうまくいかない…」と思ってしまう。そこで、自分の今の感情をを丁寧に扱い、観察し受け止める。自分を慈しむマインドフルネスが有効とのこと。
 ひとつのことをしていても、他のことも気になってしまう。いくつかのことを同時進行で行う「マルチタスク」。頭が切れる、いいことのように思っていましたが、マインドフルネスの考え方では心が疲れる原因。せっかく心が落ち着き休まる場所…居心地のいいカフェや公園にいても、パソコンや携帯をチェックしたり、携帯のカメラで撮影してSNSにアップしたり(しかもその後反応が気になって何度もチェックしたり)…美味しいものやきれいな自然が目の前にあっても「今、ここ」に心が向いていない。まさに心ここにあらず。そういうことをやめて、「シングルタスク」にしっかりと集中する。仕事ならひとつひとつ片付ける。美味しいものやきれいな自然が目の前にあるなら、五感でじくりと味わい楽しむ。確かに、「シングルタスク」に集中している時は、心が疲れた感じがしない。楽しい。私の場合なら、黙々と手芸をしたり、声楽の練習をしたり、コンサートやCDなどで演奏をじっくりと聴いている時。洗い物や掃除、冬なら雪かきを黙々としている時も、大変ではあるけれどもやりがいを感じる。
 実践編の例はわかりやすい例えがよく出てきて、なるほどと思います。「ブラタモリ」や「孤独のグルメ」「ワカコ酒」もマインドフルネスの考え方の例になっているのだから面白い。
 マイナスの感情が起こった時に「思考」「感情」「身体の反応」と3つに分けて捉えてみる「3段階分析法」は簡単な認知行動療法と言えます。この本でも、マイナスの事実であっても、「良い/悪い」の判断(ジャッジ)を下したり、悪いものを打ち消すのではなく、「気づくこと」「受け入れること」を大事にしています。


 この2冊を読んで、マインドフルネスの考え方が少しはわかった気がする。ただ、理解するだけではなく、これらの本に書いてあることを実践して、「今、ここ」にいる自分に集中し、充足し穏やかな心でいられるようになる。ただ、1冊目の本に、マインドフルネスは万能薬でも魔法でもないと書いてある。すぐに効果が出るものでもない。これだけは注意したい。
by halca-kaukana057 | 2019-04-08 22:42 | 本・読書
 小惑星探査機「はやぶさ2」の運用は続いています。ニュースの通り、今度は人工のクレーターを作るミッションです。

アストロアーツ:「はやぶさ2」いよいよ明日正午前に人工クレーター実験
 クレーターを作る際の詳しい手順の図解があります(JAXA作成)。リュウグウに降下していき、高度500mでインパクタ(SCI)を分離します。分離したら水平に移動、リュウグウの影にかくれるように降下していきます。その途中、インパクタ分離から18分後に小型分離カメラ(DCAM3)を分離。このDCAM3が、クレーター作成の際の画像を撮影します。はやぶさ2本体は、クレーター作成の際に飛び散る岩石などがぶつかって破損しないように、リュウグウの影に隠れています。インパクタを分離してから40分後にインパクタが爆発。中に入っている金属の板が、衝撃で球状になり、リュウグウの表面に激突、クレーターができます。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」衝突装置の運用状況について
 10時56分ごろの画像です。機体から離れて降下していくインパクタが確認できます。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」衝突装置の作動の確認について
 DCAM3からの画像がもう届きました。明日になる予定のはずだったのに!リュウグウから、V字状に何かが吹き出ているのがわかります。インパクタが爆発した時間、11時36分の画像です。無事にクレーターを作れた模様です。おめでとうございます!はやぶさ2の無事も確認されています。
 はやぶさ2はまずリュウグウの上空20kmの「ホームポジション」という位置に戻ります。その後、降下し、クレーターの露出した内部を観測します。そして、再びタッチダウンを行います。宇宙放射線にさらされていない、リュウグウ内部のサンプルを採取できると期待されています。

NHK:はやぶさ2 人工クレーター実験に成功 JAXA

 今回のミッションは初代はやぶさにはなかったもの。過去には2005年に、NASAの探査機「ディープインパクト」がテンペル第1彗星に衝突体をぶつけ、クレーターができた様子を観測するミッションを行っています。しかし、クレーターができた後、近寄って観測、タッチダウンしてサンプル採取することは世界初のミッション。先日、リュウグウの岩石は含水鉱物だとはやぶさ2の観測でわかりました。1回目のタッチダウンで採取できたであろうサンプルと比べることもできます。2度目のタッチダウンも楽しみです。

 クレーターができた際の画像は小さいですが、岩石がV字のように噴出しているのが確認できます。しかし、右側ははっきり見えますが、左側は小さい。この理由は今後、はやぶさ2が近くでクレーターを観測すればわかるかもしれません。リュウグウは非常にデコボコ、ゴツゴツしている小惑星。先日のNHKスペシャルで、実物大のリュウグウ表面を再現した画像が、どれだけゴツゴツ岩だらけなのかがわかりやすかった。その岩だらけのせいでクレーターにも影響したのかも?(私の予想です)。
 きれいにクレーターができていることを祈るばかりです。クレーターができても岩だらけでタッチダウンの場所に再び困ることになったら嫌だなぁ…。

 本当に画像も撮れた。難しいミッションでしたが、またしても難なく成功させました。おめでとうございます!2回目のタッチダウンはもちろんのこと、今後のミッションが滞りなく進みますように!

 前回、1回目のタッチダウンではお祝いにリュウグウの形のような?シュークリームを食べましたが、今回は何も用意してなかった…。炭酸飲料を飲みながらこの記事を書いていますが…インパクタのような刺激のある…ってことでいいでしょうか…(苦しい)。
by halca-kaukana057 | 2019-04-05 22:05 | 宇宙・天文

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