人気ブログランキング |

<   2019年 07月 ( 11 )   > この月の画像一覧

 8月のBBC Proms (BBC プロムス)の私が選んだプロムリストです。8月は多いので前半と後半に分けます。8月はバラエティに富んだプロムが続きます。毎日聴くので大変というか、いやいや楽しみというか…。

・7月の各プロムの記事:BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その1 [7月] (随時追記中)


 今年の大きなテーマのひとつが、プロムスの創始者、サー・ヘンリー・ウッドの生誕150年。それを記念して、ウッドが初演(世界初演、イギリス初演、プロムス初演など)した作品を数多く取り上げています。公式サイトでは、ウッドの初演した作品には「Henry Wood Novelties」と表記があります。とにかく多いです。
 もうひとつの大きなテーマが宇宙。アポロ11号月面着陸から50年を記念してのプログラムです。宇宙に関する作品も多く演奏されます。

 プロムスの全公演は、BBC Radio3で放送されます。生放送を聴けなくても、30日間のオンデマンド配信があるので時間のある時にゆっくり楽しめます。再生はBBC Radio3の各プロムのページでどうぞ。今年はプロムス公式サイトで再生できない、リンクもないので、Radio3へのリンクを貼っておきます。
 パソコンからはそのままブラウザで。スマートフォンからは「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うと便利です。無料でダウンロードできます。
 通常の放送だけでなく、Radio3の番組「Afternoon Concert」はプロムス期間中、各プロムの再放送をしています。オンデマンドの配信が期限切れで聴き逃してしまった、日本時間の22時からの放送でちょうど聴ける、という方はこちらもどうぞ。放送されないプロムもあるので注意。
BBC Radio3:Afternoon Concert

 今年も、バイノーラル・サウンドでの配信もしています。一部公演ですが、立体音響で楽しめます。普通のヘッドホンで構いませんので聴いてみてください。随時追加されていくと思います。配信公開期限はいつまでなのかわかりません。通常のオンデマンド公開期限の30日を一応目安にしておくと安心かと思います。
BBC Proms:Binaural Proms 2019

 去年のバイノーラル・サウンド配信もまだ残っているのでリンクしておきます。
BBC Proms 2018:Immerse yourself in music with spatial headphone mixes from the Proms

 では、8月前半の各プロムを見ていきましょう。

◇8/1 Prom 18: Mahler & Britten
   ◇(Prom18:Radio3)
 ・ブリテン:ピアノ協奏曲 op.13(1945年版)
 ・マーラー:大地の歌
  / レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)、クラウディア・マーンケ Claudia Mahnke(メゾソプラノ)、スチュアート・スケルトン Stuart Skelton(テノール)、エドワード・ガードナー:指揮、BBC交響楽団

 どちらも、ヘンリー・ウッドが初演した作品です。ブリテンのピアノ協奏曲は、1938年のプロムス(8月18日)で、ブリテン自身のピアノ、ウッド指揮BBC響による世界初演でした。当時のプロム記録:Proms 1938: Prom11 その後改訂され、今回演奏されるのは1945年版です。今回のピアノソロはアンスネス。先日の来日の際は故障していましたが、もう大丈夫なのかな。
 マーラー「大地の歌」は、1914年ウッドがイギリス初演しました。
 ちなみに、エドワード・ガードナーさんはロンドン・フィルの次期首席指揮者に決まりました。おめでとうございます!と言うことは、同じロンドンに本拠地があるBBC響を指揮することはなくなるのかなぁ。


◇8/2 Prom 19: Strauss, Schumann & MacMillan
   ◇(Prom19:Radio3)
 ・リヒャルト・シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき op.30
 ・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
 ・ジェイムズ・マクミラン James MacMillan:イゾベル・ゴーディの告白
  / アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)、トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
 
 ダウスゴーさんとBBCスコティッシュ響の2日連続プロムの1日目。秋の「BBC Proms JAPAN」で来日するコンビです。
 「ツァラトゥストラはかく語りき(こう語った)」と言えば、「2001年宇宙の旅」。宇宙をイメージする音楽の代表的存在です。2曲目のシューマンのピアノ協奏曲は、「ウルトラマンセブン」の最終回で印象的に使われており、これも宇宙をイメージしますが…通じるのは日本だけか…?ピアノソロはメルニコフさん。
 マクミランの「イゾベル・ゴーディの告白」は、宗教改革以後のスコットランドで行われた魔女狩りによって、多数の女性が犠牲となった史実に基づく作品。1990年のプロムスで初演されました。

◇8/3 Prom 20: Pekka Kuusisto and the BBC SSO
   ◇(Prom20:Radio3)
 ・シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47
 ・シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82(1915年初稿)
  / ペッカ・クーシスト(ヴァイオリン)、タイト・ホフレン Taito Hoffrén(歌)、イロナ・コルホネン Ilona Korhonen(歌)、ミンナ・リーサ・タンメラ Minna-Liisa Tammela(歌)、ヴィルマ・ティモネン Vilma Timonen(カンテレ)、ティモ・アラコティラ Timo Alakotila(ハルモニウム)、トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 ダウスゴーさんとBBCスコティッシュ響(BBCSSO)の2日目はオール・シベリウス・プログラム。ヴァイオリン協奏曲はペッカ・クーシストさんがソロ。続くシベリウス5番は初稿です!プロムスでもシベリウス5番初稿が演奏されるとは感慨深い。ちなみに、今年のプロムスではシベ5は現行版、1919年版も演奏されます(9月8日、Prom67)。初稿、現行版、どちらも聴けます。
 シベコンやシベ5にはない歌やフィンランドの民族楽器・カンテレなどがあるのは…前奏曲のようにフィンランド民謡を演奏するのだと思います。ペッカ・クーシストさんは2016年、プロムスデビューの際、アンコールにフィンランド民謡を演奏、観客をリードして歌いました。プロムスではありませんが、ダウスゴーさんとBBCSSOは「クレルヴォ(交響曲)」の演奏前にフィンランド民謡と「クレルヴォ」のモティーフをミックスした前奏曲のようなものを演奏したことがあります。多分それと似ているはず。予測ですが…。
 ・その「クレルヴォ」の記事:まだまだ、シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ダウスゴー & BBCスコティッシュ響


◇8/4 Prom 21: Olivier Latry
   ◇(Prom21:Radio3)
 ・ハチャトゥリアン(キヴィニエミ:編曲):「ガイーヌ」より「剣の舞」
 ・ファリャ(ラトリー:編曲):「恋は魔術師」より「火祭りの踊り」
 ・ベートーヴェン:からくり時計のためのアダージョ ヘ長調 WoO 33-1(オルガン編)
 ・J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565
 ・ウジェーヌ・ジグー Eugène Gigout:Air célèbre de la Pentecôte
 ・リスト:バッハの名による幻想曲とフーガ S.260
 ・シャルル=マリー・ヴィドール Charles-Marie Widor:バッハの思い出 より 第4曲:Marche du veilleur de nuit
 ・サン=サーンス(ルメア:編曲):死の舞踏
  / オリヴィエ・ラトリー(オルガン)

 ロイヤル・アルバート・ホールの大きなオルガンの演奏会です。演奏するのは、ノートルダム大聖堂のオルガニストのラトリーさん。ノートルダム大聖堂…4月に火災が起きましたが、このプロムはその火災が起きる前に決まっていたもの。今年のプロムスのプログラム発表は火災の直後だったはず。まさかの事態になってしまいました。ノートルダム大聖堂のことを思わずにいられないプロムになりそうです。


◇8/4 Prom 22: Rachmaninov, Shostakovich & Outi Tarkiainen
   ◇(Prom22:Radio3)
 ・ラフマニノフ:死の島 op.29
 ・オウティ・タルキアイネン Outi Tarkiainen:Midnight Sun Variations(世界初演)
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 ト短調 op.103 「1905年」
  / ヨン・ストルゴールズ:指揮、BBCフィルハーモニック

 フィンランド出身、ストルゴースさん(いつも日本語表記に悩む)とBBCフィルです。ラフマニノフ「死の島」はヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。2曲目のタルキアイネンさんはフィンランドの女性作曲家。新作を演奏します。メインはショスタコ11番。ラフマニノフもショスタコーヴィチも死をイメージさせるプロムです。タルキアイネンさんはどんな作品だろう。好みのプロムです。


◇8/5 Prom 23: Swan Lake
   ◇(Prom23:Rsdio3)
 ・アーノルド:ピータールー 序曲 op.97
 ・ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 op.43
 ・チャイコフスキー:白鳥の湖 (抜粋)
  / フアン・ペレス・フロリスタン Juan Perez Floristan(ピアノ)、ベン・ジャーノン:指揮、BBCフィルハーモニック

 BBCフィル2日連続、2日目はベン・ジャーノンさん。ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」のソロはガヴリリュクさん…でしたが、いつの間にか変更。スペイン出身のフロリスタンさん。初めて聞きます。どんなラフマニノフになるか楽しみ。組曲版の「白鳥の湖」はヘンリー・ウッドが1901年にイギリス初演しました。

 ラフマニノフとチャイコフスキーは、8月6日のProm24:Relaxed Promと同じプログラム、出演者です。解説などがあり、小さな子どもも、様々な障碍がある方も一緒に楽しめるプロムです。今年もあります。


◇8/6 Prom 25: Tchaikovsky, Sibelius & Weinberg
   ◇(Prom25:Radio3)
 ・シベリウス:カレリア組曲 op.11
 ・ヴァインベルク:チェロ協奏曲 ハ短調 op.43(ロンドン初演)
 ・チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74「悲愴」
  / ソル・ガベッタ(チェロ)、ダリア・スタセヴスカ:指揮、BBC交響楽団

 指揮のスタセヴスカさんは、キエフ出身のフィンランドの女性指揮者(シベリウス・アカデミーで学び、夫はシベリウスの曾孫でベーシストのラウリ・ポッラ Lauri Porra)。今年、BBC響の首席客演指揮者に就任しました。BBC響は、首席指揮者も首席客演指揮者もフィンランド(フィルハーモニア管もですが)。そのスタセヴスカさんのプロムスデビューです。
 カレリア組曲は1906年、ヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。2曲目のヴァインベルク。ポーランド出身のユダヤ人で、旧ソ連で活躍した作曲家。ショスタコーヴィチによって旧ソ連へ。私はあまり聴いたことがありません。しかも、今回演奏するチェロ協奏曲はロンドン初演。どんな作曲家、作品、作風なんだろう。ソロはガベッタさん。メインはチャイコ6番「悲愴」。


◇8/7 Prom 26: Mozart's Requiem
   ◇(Prom26:Radio3)
 ・ブラームス:悲劇的序曲 op.81
 ・ワーグナー:トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死
 ・モーツァルト:レクイエム ニ短調 K626
  / ファトマ・サイード Fatma Said(ソプラノ)、キャスリン・ラッジ Kathryn Rudge(メゾソプラノ)、サニーボーイ・ドラドラ Sunnyboy Dladla(テノール)、デイヴィッド・シップリー David Shipley(バス)、BBCウェールズ合唱団、ナタリー・シュトゥッツマン:指揮、BBCウェールズ交響楽団

 コントラルトのナタリー・シュトゥッツマンさんが歌わず、指揮します。3曲とも死をイメージする作品。


◇8/8 Prom 28: Rachmaninov, Borodin & Huw Watkins
   ◇(Prom28:Radio3)
 ・武満徹:Twill by Twilight(トゥイル・バイ・トワイライト)
 ・ヒュー・ワトキンス Huw Watkins:The Moon(世界初演)
 ・ラフマニノフ:合唱交響曲「鐘」 op.35
 ・ボロディン:「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」
  / ユーリ・サモイロフ(バリトン)、Natalya Romaniw(ソプラノ)、オレグ・ドルゴフ Oleg Dolgov(テノール)、BBCウェールズ合唱団、フィルハーモニア合唱団、尾高忠明:指揮、BBCウェールズ交響楽団

 尾高忠明さんがプロムスに帰ってきました。春からがんの治療のため休養していましたが、先日公演活動に復帰されたとこのこと。よかった!尾高さんの演奏をプロムスで聴きたいです。
 1曲目は武満徹の1988年の作品。2曲目は月をイメージした新曲。3曲目のラフマニノフは、あの前奏曲の方ではなく、合唱交響曲。歌詞はエドガー・アラン・ポーの詩をロシアの詩人、コンスタンチン・バリモントがロシア語に訳したものが元になっています。1921年、ヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。最後の「だったん人の踊り」もウッドが1897年にイギリス初演。合唱つきのはかっこよく、楽しみ。


◇8/10 Prom 31: Brahms, Bruckner & Strauss
   ◇(Prom31:Radio3)
 ・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
 ・リヒャルト・シュトラウス:4つの歌 op.27
 ・ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調 「ロマンティック」(1878/1880年稿ノヴァーク版)
  / リゼ・ダヴィドセン(ソプラノ)、エサ=ペッカ・サロネン:指揮、フィルハーモニア管弦楽団

 サロネンさんとフィルハーモニア管です。R.シュトラウスの「4つの歌」は、4曲目が「明日!(明日の朝!)」の歌曲集。「明日!」は大好きなのですが、他の3曲をあまり聴いてないかも…聴きます。サロネンさんがブルックナーの4番を。しかも、今年のプロムスはブルックナーの版・稿が明記されています(今までは何も書いていなかった)。
 ちなみに、Prom25で書きましたが、フィルハーモニア管も首席指揮者も首席客演指揮者もフィンランド。その首席客演指揮者のサントゥ=マティアス・ロウヴァリ(フィンランド語に近い発音だと「サンットゥ」)さんが次期首席指揮者に決まったとのこと。2代続けてフィンランド。


◇8/11 Prom 33: Mahler, Schubert & Glanert
   ◇(Radio3:Prom33)
 ・デトレフ・グラナート Detlev Glanert:Weites Land ('Musik mit Brahms' for orchestra)(イギリス初演)
 ・シューベルト(グラナート:編曲):孤独に D620(ソプラノとオーケストラのための)
 ・マーラー:交響曲第4番 ト長調
  / クリスティーナ・ガンシュ Christina Gansch(ソプラノ)、セミヨン・ビシュコフ:指揮、BBC交響楽団

 1曲目のグラナートの作品は、ブラームスの作品を元にしたもの。CDがオラリー・エルツ:指揮ヘルシンキフィルで出ています。2曲目もグラナート編曲。シューベルトの「Einsamkeit」は「冬の旅」の12曲目かと思ってましたが違いました。訂正します。D620の「Einsamkeit/孤独に」です。演奏時間も原曲と同じです。
 メインはマーラー4番。1905年にウッドがイギリス初演しています。その頃、マーラーは生きていたから、その演奏を聴いたのだろうか。


◇8/12 Proms at … Cadogan Hall 4: Aris Quartet
   ◇(Prom CH4:Radio3)
 ・シューベルト:弦楽四重奏曲 第1番 ハ短調 D18
 ・マッダレーナ・ラウラ・ロンバルディーニ=ジルメン Maddalena Laura Lombardini-Sirmen:弦楽四重奏曲 第5番 ヘ短調
 ・ハイドン: 弦楽四重奏曲 第78番 変ロ長調 op.76-4 Hob.3-77 「日の出」
  / アリス四重奏団 Aris Quartet

 カドガン・ホール・シリーズ4回目は弦楽四重奏。シューベルトとハイドンに挟まれているのは、18世紀のイタリアの女性作曲家でヴァイオリニストのロンバルディーニ=ジルメン(シルメン)。弦楽四重奏を6つ、その他ヴァイオリン・ソナタや協奏曲などを残しています。


◇8/12 Prom 34: West–Eastern Divan Orchestra
   ◇(Prom34:Radio3)
 ・シューベルト:交響曲第7(8)番 ロ短調 D.759 「未完成」
 ・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ長調 op.23
 ・ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
  / マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)、ダニエル・バレンボイム:指揮、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団

 お馴染み、バレンボイムさんとウェスト=イースタン・ディヴァン管。今年はアルゲリッチさんと共演です。メインのルトスワフスキ、Lutosławskiの綴りがいつも読めない…。演奏頻度は多いのですが、私はあまり聴いたことがない。聴きます。


◇8/13 Prom 35: Enigma Variations
   ◇(Prom35:Radio3)
 ・カレヴィ・アホ、サリー・ビーミッシュ、ハリソン・バートウィッスル、リチャード・ブラックフォード、ギャヴィン・ブライアーズ、ブレット・ディーン、藤倉大、ウィム・ヘンドリックス、コリン・マシューズ、アンソニー・ペイン、ジョン・ピッカード、デイヴィット・ソウワー、イリス・テル・シフォルスト、ジュディス・ウィアー
   :Pictured Within: Birthday Variations for M. C. B. (世界初演)
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:音楽へのセレナード
 ・ブラームス:運命の歌 op.54
 ・エルガー:エニグマ変奏曲 op.36
  / Idunnu Münch(メゾソプラノ)、William Morgan(テノール)、Nadine Benjamin(ソプラノ)、David Ireland(バスバリトン)、イギリス国立オペラ合唱団、BBCシンガーズ、マーティン・ブラビンズ:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 この8月13日は、マーティン・ブラビンズさんの60歳のお誕生日。その記念に、世界初演の新曲をプレゼント。存命の14人の作曲家が、エルガーの「エニグマ変奏曲」をもとにブラビンズさんの変奏曲を合作しました。14人の現代作曲家、何人わかるか…書きながらチェックしていました。藤倉大さんも参加しています。どんな曲になるんだろう。
 ヴォーン=ウィリアムズ「音楽へのセレナード」はお気に入りの曲。1938年、ウッドが世界初演しました。最後には「エニグマ変奏曲」原曲も演奏します。


◇8/14 Prom 37: The Childhood of Christ
   ◇(Prom37:Radio3)
 ・ベルリオーズ:キリストの幼時 op.25
  / ジュリー・ブーリアンヌ Julie Boulianne(メゾソプラノ)、アラン・クレイトン Allan Clayton(テノール)、ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)、ニール・デイヴィス(バス)、Britten Sinfonia Voices、Genesis Sixteen、マキシム・パスカル Maxime Pascal:指揮、ハレ管弦楽団

 今年アニバーサリーイヤーのベルリオーズ。この「キリストの幼時」、一度聴いたことがあります。もう一度聴こう。
 メゾソプラノはサラ・コノリーさんでしたが、ブーリアンヌさんに、指揮はマーク・エルダーさんでしたが、マキシム・パスカルさんに変更になりました。


◇8/14 Prom 38: Solomon’s Knot
   ◇(Prom38:Radio3)
 ・J.S.バッハ:カンタータ 第130番 「主なる神よ、われらはみな汝をたたえん」 BWV130
      :カンタータ 第19番 「いさかいは起れり」 BWV19
      :カンタータ 第149番 「人は歓びもて勝利の歌をうたう」 BWV149
      :カンタータ 第50番 「いまぞ救いと力は来れり」 BWV 50
  / Solomon's Knot

 8月14日はもう1公演。夜遅い時間にバッハのカンタータをどうぞ。


◇8/15 Prom 39: Elgar, Errollyn Wallen, Mendelssohn & Mussorgsky
   ◇(Prom39:Radio3)
 ・メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟 序曲 op/26
 ・エルガー:海の絵 op.37
 ・エロリン・ウォレン Errollyn Wallen:THIS FRAME IS PART OF THE PAINTING (世界初演)
 ・ムソルグスキー(ラヴェル:編曲):展覧会の絵
  / Catriona Morison(メゾソプラノ)、エリム・チャン 陳以琳 Elim Chan:指揮、BBCウェールズ交響楽団

 前半は海がテーマのような選曲。いや、情景を「絵」のように描くプロムだろうか。「フィンガルの洞窟」は「ヘブリディーズ諸島」が原題。交響曲第3番「スコットランド」を着想したスコットランド旅行中に、嵐の夜、ヘブリディーズ諸島へ。そこでフィンガルの洞窟を見て、この曲を着想したのだそう。エルガーの「海の絵」。メゾソプラノのための連作歌曲。声域がメゾなのがいい。
 「展覧会の絵」はラヴェル編曲で。調べてみたら、ヘンリー・ウッドも編曲しているらしい。今年はウッド生誕150年のプロムスなのに…?この機会だからウッド編曲版を演奏したらいいのに。最近だと2010年のプロムスで演奏しています(ロト指揮BBCウェールズ管)。他に「展覧会の絵」の編曲というと、プログレのエマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)とか、冨田勲さんのシンセサイザー版とか。


 追記事項があれば随時追記します。8月後半に続きます。

・8月後半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その3 [8月後半] (随時追記中)
・9月BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その4 [9月] (随時追記中)
by halca-kaukana057 | 2019-07-30 22:07 | 音楽
 福岡伸一訳の文庫版が出たので、河合祥一郎訳の方も「月3部作」と合わせて読みました。久々の「ドリトル先生」シリーズ。



新訳 ドリトル先生航海記
ヒュー・ロフティング:著、河合祥一郎:訳、patty:イラスト/アスキー・メディアワークス、角川つばさ文庫/2011


 「航海記」の前に第1作「アフリカ行き」も再読すればよかった。アフリカに帰ったオウムのポリネシアとサルのチーチー、アフリカからオックスフォード大学に留学しているバンポ王子、彼らのアフリカでのことが繋がってくる。ムラサキ極楽鳥のミランダと、この「航海記」のキーパーソンとなるロング・アローのことも。でも、そういう細かい部分が分からないままでも、「航海記」は面白い。靴屋の息子のトミー・スタビンズがドリトル先生に怪我をしたリスを診せることで、助手になることに。この「航海記」からトミーが語り手になる。「月3部作」ではもう立派な博物学者、獣医の助手になっているが、「航海記」では博物学のこともよくわからない。でも、海を越えて遠くへ行きたい、冒険したいという少年の純粋な好奇心に、読んでいる側もワクワクする。海を越えて遠くの国へ行きたい…日本と同じ島国のイギリスだからこそ、わかる気がします。知らない世界は陸続きではなく、海の向こうという考え方にワクワクします。

 ちなみに、「アフリカ行き」での最大の問題、井伏鱒二訳の「オシツオサレツ」を新訳ではどうしたか。それは読んでのお楽しみ。やっぱり「アフリカ行き」も読まないと…。

 航海に出るまでの話が長いが、重要な要素だと思う。ドリトル先生が動物と話ができるというだけでなく、とても人道的で親切で、正義感があり、動物の命と同じように人間も大事にする。航海に出て、クモザル島での話にも関わってくるが、権力にひれ伏したり権力を強引に行使するのではなく、人間も動物も皆平等な命であり、権利を持っていると考えている。その一方で、私利私欲、我がままを押し通そうとするものや、動物を大事にしないものにはとても厳しい。欲がない、利益を求めないので、お金には困ってばかりだが、それでもうまい具合に進んでしまう。人徳のあるドリトル先生だからこそなのだなと思う。

 トミーの両親とドリトル先生のシーンもいい。大人同士の話になりがちだが、子ども、トミーのことを両者ともよく考えている。ドリトル先生は音楽も好きでフルートが得意というのもいい。ドリトル先生、不足しているところは何もないじゃないですか。お金には縁がない、ぐらい…?

 ドリトル先生は常に新しいことを学ぼうとしている。「月3部作」では昆虫の言葉を研究していたが、「航海記」は海らしく貝の言葉。ドリトル先生は様々な動物、生物の言葉を研究し、学び、習得する。外国語を学ぶのは難しい。文法もだし、発音も難しい。フィクションとはいえ、ドリトル先生はそれを独学でやってのけてしまう。トミーも、ポリネシアに教えられて、まずは英語の読み書き(トミーは貧乏なので学校には通えなかった)、そして動物の言葉を学び始める。「月3部作」ではもう動物の言葉を自在に話せるようになっている。ドリトル先生もだが、トミーも学ぶことを怠らない。お手本にしたい。

 井伏訳でも書いたが、「航海記」で明らかになるドリトル先生の名前の秘密…「Do little」(ドリトル)。クモザル島で、それはドリトル先生の功績に似合わないので、「シンカロット(Think a lot)」に変えられてしまう。「Do little, Think a lot」…やっぱりドリトル先生は、「Do a lot, Think a lot」だと思うけどなぁ。本の上だけで終わらず、必ず旅に出て現地で学び、実行に移す。こんな人物が、第一次大戦後に描かれていた。当時はさぞかし斬新に見えたと思う。

 あとがきで、井伏訳との違いについて書かれています。井伏訳では、イギリスの文化・生活についての理解が不十分で削られたところがあったという。イラストは可愛い、今の子どもたちに親しみやすいけれども、訳は手を抜いていないところはいいと思う。でも、ロフティング自身のイラストもやはり魅力的なんだよなぁ…。この河合訳のトミーのキャラデザはとても可愛らしく、利口で利発な少年という感じがする。いきいきしていていい。

 ドリトル先生の旅は結構長い。この「航海記」も1年は旅に出ているし、「月3部作」もドリトル先生は1年月に滞在した。さて、9歳半だったトミーはいくつになっているんだ…?ドリトル先生年表とかないのか。

・井伏鱒二訳、岩波少年文庫:ドリトル先生航海記
by halca-kaukana057 | 2019-07-26 22:40 | 本・読書
 アポロ月面着陸50年を記念して、私も月に関する本を色々と読んでいます(第1弾は先日の「ドリトル先生」月3部作新訳)。

月 人との豊かなかかわりの歴史
ベアント・ブルンナー:著、山川純子:訳/白水社/2013

 月に対して、人間は何を思ってきたのか。月のことをどう考えてきたのか。月の科学と、月の文化的な面での歴史について記した本です。

 私は時々、天文仲間さんたちと人通りのある街中の公園で望遠鏡を設置して、通りすがりの人々に向けて小さな観望会を開く。街頭やネオンがある街中なので、観る対象は主に月、木星や土星などの惑星など明るく目立って、インパクトのある天体だ。月は定番の対象だが結構人気がある。クレーターや暗い「海」を拡大した像を観たお客さんの反応に嬉しくなってしまう。「初めて望遠鏡で観た」「すごくボコボコしてる」「これが月!?」「ちょっとヤバい!」…。私も初めて望遠鏡で月を観たのは小学生だったが、図鑑で観た月がまさに目の前にあることにとても興奮した。月を望遠鏡で観ることには慣れたとは思うが、それでも月を観る度にわくわくする。普段、裸眼で観る月。望遠鏡で観る月。月齢や月の位置でも見え方が変わり、月が見えるだけで嬉しくなる。夕方の空に見える細い三日月だと尚更嬉しい。月食となればどう観測しようか考えて準備をしているだけでも楽しい。赤銅色の皆既月食の月にはとても惹かれる。私の個人的な月への想いを語ってみた。ここで止めておくが、語ろうと思えばもっと語れる。その位、月は魅力的な天体だ。

 人類が誕生して、月はその歴史にずっと寄り添ってきてくれたようにこの本を読むと思う。人類が月を観続けてきたのか。世界各地の神話や民話に登場し、太陽と同じように特別な存在と思ってきた。今は電気があるから夜も明るいが、古の時代の夜の月明かりに、人間は安堵したのだろうか、それとも狂気(ルナティック、ルナシー、ルーニー、ムーニッシュ)を覚えるのか。月に関する文学や芸術、伝承の多さに驚く。

 天文学の発達により、月の姿が次第にわかるようになってきた。望遠鏡でクレーターや「海」を詳細に観測し、月面図が発表された。月の地形がわかってくると、また人類は月はどんな世界なのだろうかと想像する。月面図の地形は近くで見るとどうなっているのか。月に生命や人類はいるのか。月の起源についての記述もある。話はずれるが、ヒュー・ロフティングの「ドリトル先生」月3部作では、月は元々は地球の一部だったとある。これは「ジャイアント・インパクト説」であり、ロフティングが「ドリトル先生」シリーズを執筆した時にはまだこの仮説はなかった。ロフティングは一体…と思ったのが、19世紀から月は地球の一部だったという「分裂説」が存在していた。ロフティングはこの「分裂説」を用いたのかもしれない。
 ここで、ジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」が出版される。「月世界旅行」と、実際のアポロ計画との一致の多さに驚いた。月へ行く物語は「月世界旅行」の前にも後にも存在したが、SF小説としての先駆けだった。そして、ヴェルヌは現実の科学にも影響を与え続けている。

 人類は月に関して、様々な想像をしてきたが、アポロ計画で実際に人類が月に向かうことになる。アポロ計画以前・以後についても書かれている。アポロ計画を人々がどう受け止めたか。アポロ計画はアメリカと旧ソ連の宇宙開発競争でもあった。この宇宙開発競争がなければ、人類はこんなに早く月に立っていなかったと思う…皮肉なものでもある。月に立っただけでなく、アポロ計画はたくさんの技術革新をもたらした。そして、人類にこのような考え方ももたらした。引用します。
 幽霊のような足取りで歩く宇宙飛行士の姿と金属的な声がゆらゆらとした映像で生中継されたとき、世界中に興奮の波が広がったことは、文化的記憶の一ページとなり、過ぎ去った世紀の忘れ形見となった。もっとも意義深く、心に刻み込まれたのは、カメラが地球へ向けられたときの映像だろう。このとき初めて、私たち惑星の全体というものがもはや抽象的概念ではなくなった。ついに、地球は個々の場所としてでなく、文脈のなかで認識されたのである。月への旅は、私たちがかつて感じたことのない、宇宙のなかで自分たちの特異性と私たちの住むオアシスの有限性を感じさせてくれた。人類はこの世界の外へ外へと飛び出していったものの、私たちの想像力はますます内側へと向かっていった。
(214~215ページ)
 アポロが月へ行き、世界各国の月探査機が月を調査し、月の科学的な姿は日に日に解明されつつある。でも、月を舞台にしたSF小説や月を題材にしたファンタジー、芸術作品はなくならない。お月見などの文化的慣習もなくならない。月にはウサギがいるという民話も、「竹取物語」のかぐや姫もなくならない。月を見て遠くに住む大切な誰かを想ったりする感情や、それを歌った歌などもなくならない。科学的な月の姿と、文化的な月の姿。それは対立するものではなく、人間の心のなかで共存している。これからも、月は人類の伴侶、相棒、友人…よき隣人であり続けるだろう。私はこれからも、月を様々な方向から観続けていたい。


by halca-kaukana057 | 2019-07-24 23:17 | 本・読書
 アポロ11号による、人類初の月面着陸から50年。1969年7月20日(アメリカ東部夏時間)のことでした。日本時間だと21日なので、今夜は前夜祭といったところか。アポロ11号そのもののノンフィクションや、天文学としての月の本も読んでいるが、月にまつわる本、月に行くことを描いた本…この本を思い出した。せっかく新訳が出ているのだからシリーズ途中からになるが再読。


新訳 ドリトル先生と月からの使い

ヒュー・ロフティング:著、河合祥一郎:訳、patty:イラスト/アスキー・メディアワークス、角川つばさ文庫/2013



新訳 ドリトル先生の月旅行

ヒュー・ロフティング:著、河合祥一郎:訳、patty:イラスト/KADOKAWA、角川つばさ文庫/2013



新訳 ドリトル先生月から帰る

ヒュー・ロフティング:著、河合祥一郎:訳、patty:イラスト/アスキー・メディアワークス、KADOKAWA、角川つばさ文庫/2013



 イギリス文学が専門の河合祥一郎さんによる新訳。イラストもアニメ調の可愛らしいものに。以前は岩波少年文庫の井伏鱒二訳こそ「ドリトル先生」シリーズだと思っていたのですが、新訳もいいなと思いました。「月から帰る」の献呈文もちゃんと削らすに書いている。イラストは今の子どもたちに親しみやすくていいんじゃないかと思うのですが、でもロフティング自身のイラストもあるんだよと知って欲しい。訳の文章は読みやすいけど、ちょっと現代的過ぎるところもあるかなと。新訳についてはこの辺で。


 1928年から1933年にかけて発表された「月3部作」。再読してみて、やっぱり面白いと感じました。「月からの使い」は月に関係ない話で始まり、一体月からの使いはいつ出てくるんだ?と思いつつも、その前半の話が伏線になってくる。運命に導かれるように、ドリトル先生は月に向かうことになる。助手のトミーももちろん一緒に行きたいと思うが、危険だという先生の判断でトミーは地球、パドルビーに残るようにと言われてしまう。それでも先生についていきたい。先生をひとりにしてはいけない。出発の夜、トミーはこっそりと蛾に乗り込み、ドリトル先生、オウムのポリネシア、サルのチーチーと一緒に月へ向かう。旅立った後、トミーがついてきたことがばれるシーンが印象的だ。先生とトミーの絆、信頼関係の強さ。だからこそ、「月旅行(月へゆく)」でトミーがひとり帰されてしまうシーンは胸が痛くなる。でも、「月から帰る」でドリトル先生が月から帰って来るまで、帰って来た後もトミーは立派に働く。博物学者としても、獣医としても、ドリトル先生の家を守ることにしても。離れていてもドリトル先生とトミーの信頼関係は揺るぎ無いものであるし、離れていた期間があるからこそ、トミーは立派に成長していったのだと思う。

 「月からの使い」の巨大蛾が何者でどこから来たのかを調べるシーンでも、「月旅行」で月を調査するシーンでも、未知のものを科学的に、博物学的に丁寧に調べる姿がいいなと思う。自分の足で歩き、見たもの、聞こえたもの、出会ったものを観察し、記録し、事実から可能性を考える。必要なら議論もする。ドリトル先生は医師で博物学者であるが、その根底には科学もあり、また音楽にも詳しい…物事を専門的かつ総合的に観ることのできる学者だ。それだけでなく、未知の世界を探検する冒険家でもある。動植物の命を尊重し、救うことのできる人道的な人でもある。「ドリトル先生」シリーズはファンタジーのようだが、「月3部作」はSFでもあり、科学の手法にのっとったリアルさも持ち合わせた物語だと今読むと思う。

 話は少しずれるが、同じイギリス文学の、「シャーロック・ホームズ」シリーズのホームズとワトスンのいいところを足したのがドリトル先生か?と思う。井伏鱒二訳を読んだ時は「ホームズ」シリーズを読んでいなかった。「月から帰る」の、月での記録を本にまとめようとするドリトル先生は、研究を始めたら一心不乱、それ以外のことは気に留めない、常識はずれのことまでやってしまうホームズと似ているところがある。でも、研究を後回しにしても病気や怪我をした動物たちがやってくれば診察し、必要なら保護する優しさはワトスンか。

 「月3部作」で描かれる月の姿は、空想の姿だ。でも、今でも月についてはわからないことがある。地球に一番近くて、身近な天体なのに。アポロが月に行って、人類は月の上を歩いて調査もしたのに、まだわからないことがある。探査機を飛ばして、明らかになったことに驚き、そこから更に空想する。「かぐや」の探査によって見つかった月の地下の巨大な空間。様々な探査機により、月には凍った状態の水があるのではないかとわかってきた。地球から見ることのできない月の裏側の探査も始まっている。また人類は月に向かおうとしている。事実がわかっても、そこからまた謎が出てくる。それが空想を生む。アポロが月へ行く…宇宙開発もまだロケット開発が始まったばかりの時代、こんな鮮やかでワクワクする月の姿を空想した物語が生まれているんだ。人類は物理的にももっと"遠く"へ行けるだろうけど、空想の世界ならもっともっと"遠く"に行けるだろう。

 ただ、"遠く"に行くということは、地球から離れる…孤独を意味する。月の巨人がドリトル先生を帰したがらなかった理由が切ない。ドリトル先生が行った月にはまだ動植物たちがいる。でも、実際の月は荒涼とした死の世界だ。「死の空間」は宇宙空間だけではない。現実には月も「死の空間」。月には可能性もあるけれども…初めのうちは月の巨人と同じ思いをするだろうなと思う。

 それにしても、ロフティングが空想した宇宙や月が、将来を暗示するかのような表現をされていることに改めて驚いた。月は地球の一部だった(ジャイアント・インパクト説?)とか、月から帰ってきたオウムのポリネシアの飛び方やドリトル先生の身体の反応。月は地球より重力が小さくて、軽々とジャンプして移動することができる…これが理論的にわかったのはいつなのか、まだ調べられていない。

 どんな時も、月が見えると嬉しくなる。夕焼け空の三日月、青空に白い月、大きくて明るい満月。「ドリトル先生」の「月3部作」を読んで、月がもっと好きになった。そんな気持ちで、日本時間だと明日の人類月面着陸50年を祝おうと思う。

 ちなみに、ロフティングは、「月旅行」で「ドリトル先生」シリーズをやめようと思ったそうだ。ドリトル先生は月に残ったままで。しかし、読者たちの強い希望で続編「月から帰る」を書いた。なんだかこの点も「ホームズ」シリーズみたい。


【過去記事:井伏鱒二訳ドリトル先生「月3部作」】
ドリトル先生と月からの使い
ドリトル先生月へゆく
ドリトル先生月から帰る

 新訳は「航海記」も読む予定。というのは、福岡伸一訳「航海記」が文庫化したので、読み比べようと…。久々に「ドリトル先生シリーズ」タグの記事を書けて嬉しい。
by halca-kaukana057 | 2019-07-20 23:35 | 本・読書
 今年もやって来ました。BBC Proms(プロムス)開幕です。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール(RAH)を中心に、2ヶ月に渡って開催される大音楽祭。今年は、7月19日~9月14日(グリニッジ夏時間)。演奏会は全てBBC Radio3で放送、30日間のオンデマンド配信もあるので、日本からでも楽しめます。
 毎日の各公演(Prom プロム)は聴いているだけでも勉強になりますが、作曲家や作品について調べてみるともっと面白い。ということで、今年も私の選んだPromについて書いていこうと思います。

BBC Proms 公式サイト

BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その1 [7月] (随時追記中)_f0079085_22402789.jpg

 今年の公式ガイドブックです。今年は公演カレンダーのポスターが付いていない模様。

 今年は、プロムスの創始者、サー・ヘンリー・ウッドの生誕150年。プロムス期間中、RAHのステージに銅像があり、ラストナイトでは万歳三唱して頭を拭いてあげているあの方。記念に、ヘンリー・ウッドがイギリス初演、プロムス初演した作品が数多く演奏されます。ガイドブックに「Henry Wood Novelties」と書いてあるものがそれなのですが、その数の多さに驚きます。
BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その1 [7月] (随時追記中)_f0079085_22403664.jpg

 ガイドブックではこんな風に書いています。蛍光オレンジの字…。

 更に今年はアポロ11号月面着陸から50年。宇宙に関係する作品も特集して演奏されます。宇宙をイメージした作品から、映画などで取り上げられた作品、SF作品の音楽まで。宇宙をテーマに新曲も作曲されています。

 日本から放送を聴く場合、公式サイト、もしくはBBC Radio3から聴けます。スマートフォンからは、「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うととても便利です。ブラウザからも聴けますが、その場合は「BBC Media Player」のアプリが必要です。アプリストアからダウンロードしてご利用ください。これで、いつでもどこでもプロムスが聴けます。

 例年はプロムス公式サイトからもオンデマンドが聴けるようになっていましたが、今年はない…。BBC Radio3のサイトでないと聴けないようです(そこから更にBBC Soundsというサイトで聴く…ややこしいw)。なので、今年はRadio3の各プロムのページにのリンクも貼っておきます。

 また、Radio3の番組「Afternoon Concert」はプロムス期間中、各プロムの再放送をしています。オンデマンドの配信が期限切れで聴き逃してしまった、日本時間の22時からの放送でちょうど聴ける、という方はこちらもどうぞ。放送されないプロムもあるので注意。
BBC Radio3:Afternoon Concert

 今年も、バイノーラル・サウンドでの配信もしています。一部公演ですが、立体音響で楽しめます。普通のヘッドホンで構いませんので聴いてみてください。随時追加されていくと思います。配信公開期限はいつまでなのかわかりません。通常のオンデマンド公開期限の30日を一応目安にしておくと安心かと思います。
BBC Proms:Binaural Proms 2019

 去年のバイノーラル・サウンド配信もまだ残っているのでリンクしておきます。
BBC Proms 2018:Immerse yourself in music with spatial headphone mixes from the Proms

 では、各公演(Prom プロム)を見ていきましょう。

◇7/19 Prom 1: First Night of the Proms
   ◇(Radio3:Prom1)
 ・ゾーシャ・ディ・カストリ (Zosha Di Castri) :Long Is the Journey – Short Is the Memory (世界初演)
 ・ドヴォルザーク:交響詩「金の紡ぎ車」 op.109
 ・ヤナーチェク:グラゴル・ミサ
  / アスミック・グレゴリアン(Asmik Grigorian)(ソプラノ)、ジェニファー・ジョンストン(メゾソプラノ)、ラディスワフ・エルグル (Ladislav Elgr) (テノール)、ヤン・マルチニーク(Jan Martiník)(バス)、ピーター・ホルダー(オルガン)
   BBCシンガーズ、BBCシンフォニー・コーラス、カリーナ・カネラキス:指揮、BBC交響楽団

 ファーストナイトです。今年の指揮はカネラキスさん。ファーストナイトを女性が指揮するのは初めてのことだそうです。1曲目はカナダ出身の女性作曲家による新曲。アポロ11号月面着陸50年を記念しての作品です。ドヴォルザーク、ヤナーチェクと東欧の作曲家を取り上げるファーストナイト。ヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」はオルガンも入る大作。


◇7/20 Prom 2: Bohemian Rhapsody
   ◇(Prom2:Radio3)    
 ・ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 op.53
 ・スメタナ:我が祖国
  / ジョシュア・ベル(ヴァイオリン)、ヤクブ・フルシャ:指揮、バンベルク交響楽団

 2日目も東欧もの。ボヘミアの音楽を。ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲の方が演奏されますがヴァイオリン協奏曲も好きです。後半は「我が祖国」全曲。指揮は日本でもお馴染みのフルシャさん。2日目からいいPromです。


◇7/21 Prom 4: The Planets
   ◇(Prom4:Radio3)
 ・ジョン・アダムズ:Short Ride in a Fast Machine
 ・バーバー:ヴァイオリン協奏曲 op.14
 ・ホルスト:惑星 op.32
  / ネマニャ・ラドゥロヴィチ(Nemanja Radulović)(ヴァイオリン)、Trinity Boys Choir、キリル・カラビッツ:指揮、ボーンマス交響楽団

 宇宙プロムです。1曲目のジョン・アダムズは、まさに未来というイメージ。バーバーのヴァイオリン協奏曲…初めて聴きます。バーバーというと、「弦楽のためのアダージョ」。「ノックスヴィル、1915年夏」も好きな作品。メインはプロムス定番曲「惑星」。毎年どこかしらのオケが演奏します。今回は最後の海王星の合唱が少年合唱団の模様。ボーイソプラノの合唱だとどんな感じになるんだろう。楽しみ。


◇7/22 Proms at … Cadogan Hall 1: VOCES8
   ◇(Proms Cadogan Hall 1:Radio3)
 ・ヒルデガルト・フォン・ビンゲン Hildegard von Bingen:聖霊は生の源の火よ(Spiritus Sanctus vivificans vita)
 ・ペロティヌス Pérotin:地上のすべての国々は(Viderunt omnes)
 ・ジョスカン・デ・プレJosquin des Prez:アヴェ・マリア 清らかな乙女よ(Ave Maria … Virgo serena)
 ・ジャン・ムートン Jean Mouton:処女なる御母は男を知らず (Nesciens mater virgo virum)
 ・トマス・ルイス・デ・ビクトリア Tomás Luis de Victoria:天の女王、喜びませ(5声)(Regina coeli)
 ・ジョナサン・ダウ Jonathan Dove:私は急ぎ、市民を包囲しよう (Vadam et circuibo civitatem)
 ・ラッスス:ミサ曲「美しきアンフィトリット」より Gloria
 ・ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ Giovanni Pierluigi da Palestrina:Magnificat primi toni
 ・ウィリアム・バード:神に向かいて喜びもて歌え (Sing joyfully unto God our strength)
 ・Alexia Sloane:Earthward (世界初演)
 ・オーランド・ギボンズ Orlando Gibbons:手を打ち鳴らせ (O clap your hands together)
  / VOCES8

 ロイヤル・アルバート・ホールでの大規模な演奏会もプロムスの醍醐味ですが、室内楽や声楽アンサンブル、古楽も楽しみ。カドガンホール・シリーズの1回目はイギリスの声楽アンサンブル「ヴォーチェス・エイト」。古楽をメインにした演奏会です。現代作曲家による作品もあります。
 ちなみに、このカドガン・ホール。4月に日本フィルがヨーロッパツアーのロンドン公演を行ったのがこのホール。プロムスでの室内楽のイメージが強かったので、このホールで普通のオーケストラもコンサートできるんだ、と驚きました。


◇7/22 Prom 6: The Rite of Spring
   ◇(Prom6:Radio3)
 ・アンナ・ソルヴァルドスドッティル Anna Thorvaldsdóttir:Metacosmos (イギリス初演)
 ・ブリテン:ヴァイオリン協奏曲 op.15
 ・ストラヴィンスキー:春の祭典
  / ジェイムズ・エーネス(James Ehnes)(ヴァイオリン)、エドワード・ガードナー:指揮、Orchestra of the Royal Academy of Music and the Juilliard School

 1曲目のアンナ・ソルヴァルドスドッティル(発音が大変)はアイスランドの女性作曲家。ブリテンの協奏曲はどれも好きです。メインは春の祭典。オーケストラはイギリスのロイヤル・アカデミーとアメリカのジュリアード音楽院の学生によるスペシャルオーケストラ。


◇7/23 Prom 7: Schumann, Schoenberg & Mozart
   ◇(Prom7:Radio3)
 ・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第15番 変ロ長調 K.450
 ・パウル・ベン=ハイム(Paul Ben-Haim):交響曲第1番
 ・シェーンベルク:5つの管弦楽曲 op.16 (1909年初稿)
 ・シューマン:交響曲第4番 ニ短調 op.120(1851年改訂稿)
  /ヨン・ソルム(Yeol Eum Son)(ピアノ)、オメール・メイア・ヴェルバー(Omer Meir Wellber):指揮、BBCフィルハーモニック

 BBCフィルの新首席指揮者が決まりました。イスラエル出身、オメール・メイア・ヴェルバーさん。2曲目のパウル・ベン=ハイムは20世紀のイスラエルの作曲家。ワルターやクナッパーツブッシュのアシスタントをしていたのだそう。シェーンベルクの「5つの管弦楽曲」は、ヘンリー・ウッドが世界初演しました。1922年に改訂されていますが、初演と同じ1909年初稿で演奏します。


◇7/24 Prom 8: Invitation to the Dance
   ◇(Prom8:Radio3)
 ・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
 ・ペーテル・エトヴェシュ:アルハンブラ(ヴァイオリン協奏曲)(イギリス初演)
 ・バルトーク:舞踏組曲
 ・ストラヴィンスキー:火の鳥(1919年版)
  / イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)、ペーテル・エトヴェシュ:指揮、BBC交響楽団

 ダンスがテーマのこのプロム。「牧神の午後への前奏曲」「舞踏組曲」「火の鳥」どれもヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。ペーテル・エトヴェシュ(エトヴェシュ・ペーテル)さんが自作を指揮します。



◇7/25 Prom 10: Public Service Broadcasting
   ◇(Prom10:Radio3)
 ・Public Service Broadcasting:The Race for Space
  / Public Service Broadcasting、London Contemporary Voices、Christopher Stark:指揮、The Multi-Story Orchestra

 クラシックじゃないプロムを。Public Service Broadcastingはイギリスのバンド。歴史的な放送音源とロック、テクノ音楽をミックスした作風で人気なんだそうです。2015年にリリースしたアルバム「The Race for Space」は、1960年代のアメリカと旧ソ連の宇宙開発競争がテーマ。アポロ宇宙船とNASAの交信の音声に音楽をミックス。アポロ月面着陸50年の今年のプロムスでライヴです。Spotifyにその「The Race for Space」のアルバムがあったので聴いてみたのですが面白い。最初はよくわからないプロムでスルーしていたのですが、アルバムを聴いた後聴いてみた。当時の宇宙開発のミュージックビデオみたいな雰囲気。かっこいい。会場もノリノリです。
 知らなかったたくさんの魅力的な音楽に出会える、プロムスのこんなところが大好きです。
 BBC公式が公演の一部の映像をYouTubeにあげています。こういうプロムはやっぱり映像で観たいなぁ。
 ◇Public Service Broadcasting - Go! (BBC Proms 2019)
   ↑音楽をのせる音源が、NASAのロケット打ち上げ前の各部門の「GO/NO GO」コールだった。スペースシャトルの打ち上げ生中継を観ていた頃、このGO/NO GOコールを聴いて、いよいよ打ち上げだとワクワクしたのを思い出しました。それがこんな音楽になるとは。
 ◇Public Service Broadcasting - Gagarin (BBC Proms 2019)


◇7/28 Prom 13: ‘From the Canyons to the Stars …’
   ◇(Prom13:Radio3)
 ・メシアン:峡谷から星たちへ…
  / マーティン・オーウェン Martin Owen(ホルン)、デイヴィッド・ホッキングス David Hockings、アレックス・ニール Alex Neal(打楽器)、ニコラス・ハッジス Nicolas Hodges(ピアノ)、サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団

 メシアンの「宇宙」を表現した大作を。メシアンは鳥類学者として鳥の声を録音し続け、それを作曲にも用いました。この作品はユタ州を旅した際に見た情景と、鳥の声と、星…宇宙を描いています。様々な打楽器が多種用いられます。こういう作品は音声だけより、映像も一緒の方がさらに楽しめるのですが…テレビ収録予定がないので映像はなさそう。

◇7/29 Proms at … Cadogan Hall 2: A Celebration of Barbara Strozzi
   ◇(Proms Cadogan Hall 2:Radio3)
 ・バルバラ・ストロッツィ Barbara Strozzi:秘密の恋人 (L'amante segreto)(カンタータ、アリエッタと二重唱曲集 op.2 より 第14曲)
 ・アントニア・ベンボ Antonia Bembo:Ercole amante 'Mingannasti in verità'
 ・ストロッツィ:何ができようか (Che si può fare)(アリアとカンタータ op.8より)
 ・ベンボ:Ercole amante 'Volgete altrove il guardo'
 ・ストロッツィ:死がわれらを分かつまで (Sino alla morte)
 ・フランチェスコ・カヴァッリ Francesco Cavalli:歌劇「恋するヘラクレス」(Ercole amante)より 'E vuol dunque Ciprigna'
 ・ストロッツィ:私の涙 (Lagrime mie) (「エウテルペの遊戯」op.7 より)
  / マリアーアン・フローレス Mariana Flores(ソプラノ)、レオナルド・ガルシア・アラルコン Leonardo García Alarcón:指揮、カペラ・メディテラネア Cappella Mediterranea

 カドガン・ホール・シリーズ2回目も古楽です。このプロム、ちょっと面白い。バルバラ・ストロッツィは17世紀イタリアの声楽家で作曲家。アントニア・ベンボも17世紀~18世紀イタリアの歌手で作曲家。バロックの時代にも女性作曲家が活躍していたとは知りませんでした。作曲して自分で歌っていたらしい。今も作品が残っていて、演奏されていることが嬉しい。情報は少ないですが…。このプロムは楽しみです。


◇7/29 Prom 14: The Creation
   ◇(Prom14:Radio3)
 ・ハイドン:天地創造 Hob.XXI-2
  / サラ・ジェーン・ブランドン Sarah-Jane Brandon(ソプラノ)、ベンジャミン・ヒューレット Benjamin Hulett(テノール)、クリストフ・ポール Christoph Pohl(バリトン)、BBCプロムス・ユース合唱団、オメール・メイア・ヴェルバー:指揮、BBCフィルハーモニック

 BBCフィルとオメール・メイア・ヴェルバーさんの2回目のプロムは、大作「天地創造」。これも「宇宙」ものに入りますよね。あまり親しめていない作品なので、今回はしっかり聴きたい。
 ちなみに、ソプラノのサラ・ジェーン・ブランドンさん。イギリスの人気ドラマ「刑事モース(原題:ENDEAVOUR)」のCase2「泥棒かささぎ/毒薬と令嬢(Girl)」で流れた、モーツァルト:大ミサ曲 ハ短調 K427 より「キリエ」を歌っていたらしい。調べたら出てきました。正しい情報なのかどうかはわからないのですが…。「刑事モース」の物語の中でプロムスが話題に出てくる回があります。そのプロムはちゃんと実際に行われたプログラムになっていて驚いたことがあります。ドラマと現実のプロムスで、こういう繋がりもあったとは。「刑事モース」ファンとして嬉しい。
「刑事モース」とプロムス


◇7/30 Prom 15: Bavarian Radio Symphony Orchestra – 1
   ◇(Prom15:Radio3)
 ・ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 op.36
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47
  / ヤニック・ネゼ=セガン:指揮、バイエルン放送交響楽団

 バイエルン放送響が2夜連続で登場です。その1日目。元々はヤンソンスさんが指揮をする予定でしたが、病気のためキャンセル。2曲目のショスタコーヴィチも、10番から5番に変更になりました。残念…。5番も大好きです。
 ベートーヴェンの2番はあまり…いや、ほとんど聴かない。なのでこの際聴きます。


◇7/31 Prom 17: Bavarian Radio Symphony Orchestra – 2
   ◇(Prom17:Radio3)
 ・シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 op.39
 ・プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 op.63
 ・リヒャルト・シュトラウス:ばらの騎士 組曲
  / ギル・シャハム(ヴァイオリン)、ヤニック・ネゼ=セガン:指揮、バイエルン放送交響楽団

 バイエルン放送響2日目。今年のプロムスで初のシベリウスが来ました(今年は全部で5作品)。シベ1も、ヘンリー・ウッドがイギリス初演した作品です。1903年のことでした。シベリウスが生きていた頃から、イギリスはシベリウス作品を積極的に演奏してきました。プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番も同じくヘンリー・ウッドがイギリス初演。プロコ作品にもっと親しみたい。最後は「ばらの騎士」。
 ヴァイオリンソロが、リサ・バティアシュヴィリから、いつの間にかギル・シャハムに変わっていたので変更しました。

 追記があればどんどん書いていきます(追加情報がないわけがない)。この記事は8月前半に続きます。
・8月前半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その2 [8月前半] (随時追記中)
・8月後半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その3 [8月後半] (随時追記中)
・9月BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その4 [9月] (随時追記中)
by halca-kaukana057 | 2019-07-17 21:25 | 音楽

ISSと夏の小さな星座たち

 今度の20日はアポロ11号の月面着陸から50年。記念の特集が様々なメディアで組まれています。明日が満月で部分月食があります(九州・沖縄、中国地方と四国の一部で満月が欠けたまま沈みます。それより東の地域では見られません)。今夜は満月直前の大きな月がきれいに見えています。1969年7月20日の月齢を調べてみたら、5.5、ほぼ半月。月を見て、その月に初めて人類が降り立つのを、地上の人々はどんな気持ちで見ていたのだろう。まだ生まれていなかった私は、当時の記録を見たり聞いたり読んだり、想像するしかありません。でも、今、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウにタッチダウンするのをワクワク、緊張しながら応援しているのを思うと、同じような気持ちだったのかな、と思います。

 今、人類は国際宇宙ステーションで長期滞在し、微小重力下で様々な実験をしています。そのISSを久々に見られました。ほぼ満月の光にも負けず、明るく輝いて飛んでいきました。

ISSと夏の小さな星座たち_f0079085_21450451.jpg

 久々に解説を入れてみました。というのは、見どころがあちこちにあるから。
 ISSの軌跡のすぐ上、細長いY字の星の並びが横になっています。これが「や座」。矢座です。矢を放つ「いて座」は南の空、天の川の中にありますが、矢座は夏の大三角の中にあります。
 ISSの下に小さなひし形の星座があります。これが「いるか座」。特に好きな星座のひとつです。とても可愛らしい星座です。夏の小さな星座が2つも撮影できて嬉しい。
 わし座の一等星、彦星・アルタイルに、はくちょう座のくちばしの二重星・アルビレオも写っています。ああ望遠鏡を向けたい。アルビレオの2つの星の青とオレンジの色の対比を観たい。ISSの軌跡の辺りにはこぎつね座があるのですが、暗くて星の並びがよくわかりません…。

 南の空には木星が明るく輝いています。月がとても明るいですが、そのすぐそばにぽつんと星が。土星です。今年の夏もこの2惑星が見頃です。こっちも望遠鏡を向けたい(土星は月明かりが邪魔でうまく見られなさそう)。
by halca-kaukana057 | 2019-07-16 21:58 | 宇宙・天文
 アニメを観ました(もう1週間経っていますが)。面白かった!!

◇アニメ公式:TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト
◇NHK公式:NHKアニメワールド:ヴィンランド・サガ
 7月25日~27日、再放送あります!

 アニメは、原作の1話からではなく、トルフィンの幼少時代から始まります。以後、原作ネタバレありで書きます(原作の感想をずっと書いてきたんだし)。

・原作1巻(少年マガジン版):注目の漫画2選
・原作2巻(少年マガジン版/アフタヌーン版の追記あり):ヴィンランド・サガ2
・原作3巻(アフタヌーンに完全移籍):ヴィンランド・サガ 3

 連載が開始されたのが2005年。もう10年以上も前なんですか!その間ずっと読んできたのか私…。ずっと読んできた作品がアニメ化されて、全部カラーだし動くししゃべるし…感慨深いものがありました。キャラクターの動きや背景の美しさに魅了されていました。アニメ1話の冒頭、これは原作にはなかったような…。トルケルが出てくるのはまだ先ですが、ここでトルケルが出てきて嬉しかった。大塚明夫さんのトルケルを楽しみにしていました。イメージぴったりです!戦闘シーンの動きもすごい。3話一気に観られたのもよかった。1話だけだと1週間待ちきれなかったと思う。

 アイスランドの村に暮らす少年トルフィン。父トールズ、母ヘルガ、姉ユルヴァと、平和に、慎ましく暮らしていた。商人で冒険家のレイフ・エイリクソンが話してくれた「ヴィンランド」…アイスランドのように寒くなく、草木が茂る豊かな土地が海のずっと向こうにある。ヴァイキングとは違う人間が暮らしているらしい。その「ヴィンランド」に想いを馳せる。少年時代の無邪気で好奇心旺盛なトルフィンの豊かな表情がとても可愛かった。その一方で、トルフィンは何故ご先祖様たちがアイスランドに住むようになったのかをレイフのおっちゃんから聞く。寒さが厳しく、土地も痩せている。こんな厳しい島に何故住んでいるのか。重なるように、ハーフダンの屋敷から逃げてきた奴隷、父トールズの過去…ヴァイキングの戦士たちの中でも最強と呼ばれるヨーム戦士団で、最も強いと言われていた男・トールズが何故このアイスランドにいるのか。
 ヴァイキングの男は戦い、人を殺すことが美徳と北欧神話では信じられてきた(原作の感想でも書いているのですが、ヴァイキングにとって北欧神話は宗教だった)。そのヴァイキングの社会の中で、戦うこと、人を殺すことが嫌な人はどうしたらいい?できなくなった人はどうなる?
 「逃げる」のは、「弱い」から?「弱い」とは、「強い」とは?生きるために「逃げる」のか?
 現代にも通じるテーマを、もっと厳しい北欧のヴァイキングたちで描く。骨太で屈強なヴァイキングの戦士たちの戦闘シーンと、繊細だけれども芯の強さと心の奥深さを感じる内面。これがアニメでもそのまま描かれていて、「ヴィンランド・サガ」の原点に立ち返った気持ちになりました。

 父トールズの言葉「剣は人を殺す道具だ」「お前に敵などいない」「本当の戦士に剣などいらぬ」。不戦の誓いをしたトールズの信念も再確認しました。原作22巻では、トルフィンがその信念を再確認するシーンがいくつかある。ヨーム戦士団のその後も描かれる。22巻の感想になってしまうのですが、ヨーム戦士団から逃げたトールズと、そのヨーム戦士団であることをしたトルフィン。父から息子に受け継がれた想いが通じてよかったな…と、アニメを観て最新刊の深さを実感しました。

 アニメではトルフィンの幼少時代、アイスランドから物語が始まります。一方、原作の1話はその後の成長したトルフィンやアシェラッドが大暴れするところから始まります。原作の1話は、ヴァイキング、トルフィン、アシェラッドの強さを見せつけられます(まさにあのキャラクターのように呆然としてしまう)。アニメだと、「ヴィンランド」の存在と「逃げる」こと、トールズの信念が強調されているように感じます。アニメがもう少し進めば、これから長い物語、「サガ」が始まるのだと実感できると思います。もう始まっているのですが。

 アニメのよかったシーン…もう全部wヘルガさんもユルヴァちゃんもレイフのおっちゃんもイメージそのまま。あのユルヴァちゃんが動いてしゃべっている…嬉しいです。ハーフダンは以前は悪党と思っていましたが、アニメで見返して、原作も読み返すと、ちょっと違うなと。法は守る。法を貶す者は、自分の手下であっても容赦しない(このシーンも痛々しくて辛いけど割愛されなくてよかった)。とはいっても、トールズとの取引きは酷いものですが…。フローキは最新刊のイメージの方が新しかったので、始まりの頃のフローキに、そうだった…と思い出しました。そしてアシェラッド。声が軽い感じがして、あれ?と思ったのですが、それは8巻あたりのイメージだからだと思う。1巻あたりのアシェラッドはこのぐらい軽くていい。後から渋みや重み、狡賢さが加わればいい。ビョルンもいい感じです。

 原作を8巻まで読み返したのですが、最新刊に繋がるシーンが多いなと感じました。これから新キャラも出てくるのですが、どう描かれるのだろう。気になるのはクヌート。2~3話はある理由で、観ているとやきもきするんじゃないかとw

 音楽もよかった。オープニングはトルフィンの心の叫びか…トルフィンだけではないな。エンディングのAimerさんの「Torches」、とても良かった。気に入りました。CD発売を楽しみに待とう。
 
 本当にこれからが楽しみです。24話。じっくり観ます。どこまで進むのかな。

by halca-kaukana057 | 2019-07-15 22:41 | 本・読書
 今日もこのニュースで持ちきりです。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」第2回目タッチダウン成功について

NHK:はやぶさ2 着陸成功 世界初のミッションで
NHK:はやぶさ2 研究総主幹「大成功と言っていい」
はやぶさ2 着陸に成功 「この喜び皆さんと」

毎日新聞:「100点満点の1000点」 はやぶさ2成功で関係者喜びの会見
 津田先生はじめ、プロジェクトチームの皆さんの笑顔が本当に晴れやかでいい。おめでとうございます!!着陸運用の前に、「はやぶさ2にリュウグウをもう一度触らせてあげたい」という津田先生の言葉が印象的でした。もう一度触れたよ!


アストロアーツ:「はやぶさ2」2回目のタッチダウンに向け降下中
 今回のタッチダウンは、4月にインパクタをぶつけて作ったクレーターの縁のあたりにタッチダウンし、1度目と同じようにサンプルを採取します。1度目のタッチダウンの際舞い上がった小石や塵が、光学カメラについてしまった。カメラをきれいに拭くワイパーやブラシはありません。これは考えてなかった…。カメラの性能が低下してしまったため、前回よりも低い高度で水平移動しターゲットマーカーを探します。
 2回目のタッチダウンを行うか。プロジェクトチームもかなり悩み、議論を重ねたそう。「はやぶさ2」は既に1回目のタッチダウンでサンプルを手に入れている。リュウグウはゴツゴツの岩だらけで、機体を損傷する危険性がある。機体を損傷したら帰還できなくなるかもしれない。なら、安全な方をとって2度目のタッチダウンは行わなくてもいいのではないか…。私も心配しました。が、プロジェクトチームは2度目のタッチダウンを行うと決めました。ならば、私は応援するしかありません。

 昨日の午前10時過ぎから降下開始。タッチダウンは今日の午前10時過ぎ。生中継は見られなかったので、そろそろかな…と時計を見ながら心の中で応援していました。11時前に携帯をチェックできる時間があったのでチェックしてみたら、タッチダウン成功、と。管制室の拍手によかった、よかった…本当におめでとうございます!


NHK:はやぶさ2 着陸の画像を公開 JAXA
 タッチダウンの際、小型モニタカメラ(CAM-H)で撮影した画像が届きました。もう届いたのか!まだホームポジションに戻ってないのに。早いよ!!
 タッチダウン4秒前、タッチダウンの瞬間、タッチダウン4秒後の3枚。今回も迫力のある画像です。タッチダウン前の画像を見ると、やはりここもゴツゴツしています。タッチダウン後、小石が舞い上がる…1回目のタッチダウンのものと比べると、粒が小さめで白っぽい印象。人工クレーターの内部の岩石だからなのか、リュウグウの位置によって岩石のタイプが違うのか。帰還後に1回目と2回目のサンプルを比較するのが楽しみになります。

 今回、ちょっと思ったのが、せっかくインパクタでクレーターを作ったのに、何故クレーターの中に降りないのか?縁にもインパクタをぶつけた際に吹き飛んで積もった内部の岩石があるので、縁の部分にタッチダウンする…のは理解できるのですが、クレーターの中ならもっと深いところのサンプルが採れるのでは?
 この答えは、今日の管制室生中継にありました。
小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星リュウグウへの第2回タッチダウン運用(19/7/11)ライブ配信

 1時間13分ごろです。ツイッターで寄せられた質問に答えているのですが、その質問の中に同じ質問がありました。答えは、危ないから。リュウグウは岩がゴロゴロ、ゴツゴツした地形。クレーターの深いところに降りると、「はやぶさ2」の太陽電池パネルがぶつかってしまうおそれがある。光学カメラも完全ではない状態、何が起こるかわからない。安全な道を通りつつも、でも挑戦はする。初代だけでなく、1度目のタッチダウンからも変更、進化させたところもあります。安定しているのに、冒険をしている。不思議な感じです。

 「はやぶさ2」の大きなミッションはクリアしました。あとは小型ローバーの分離などをして、11月ごろリュウグウの軌道を離れ帰途につきます。帰還するまでがミッション。今後もご安全に!

 あ、シュークリーム買ってくるの忘れた。明日買って食べよう。(1度目のタッチダウン記事参照)

 おまけ。フィンランド語で「はやぶさ2」の記事を読んでみよう。
Helsingin Sanomat : Hayabusa 2 -avaruusluotain laskeutui onnistuneesti asteroidin pinnalle
 フィンランドの最大手紙、ヘルシンギン・サノマット紙の記事です。


【はやぶさ2 過去記事】
受け継いだものと新しい試み しつこく徹底的に 祝! 「はやぶさ2」リュウグウにタッチダウン成功!
タッチダウン、舞い上がる「はやぶさ2」
リュウグウにクレーターを作れ 「はやぶさ2」の新たな挑戦
by halca-kaukana057 | 2019-07-11 22:59 | 宇宙・天文

初夏のあじさい

 こちらは今あじさいが見頃です。
初夏のあじさい_f0079085_22183766.jpg


初夏のあじさい_f0079085_22184527.jpg


同じ青でも色合いが違います。他にもピンクや赤、紫もそれぞれの色が違っていて、どの花も見ていて飽きません。この画像を撮った時は晴れていましたが、あじさいはやはり雨が似合います。雨のあじさいも撮りたいです。
by halca-kaukana057 | 2019-07-09 22:21 | 日常/考えたこと
 国立天文台の縣先生の新刊です。


ヒトはなぜ宇宙に魅かれるのか ― 天からの文を読み解く
縣 秀彦/経済法令研究会、経法ビジネス新書/2019 


 宇宙・天文に関する様々な話題が増え、宇宙・天文に関心を持つ人が増えている。人類は古代から星空を見つめ、星、天体とは何なのか、宇宙とは何なのか、何があるのかと読み解こうとしてきた。20世紀になると人類は宇宙に行く手段、技術を得、無人・有人で宇宙を探査したり、宇宙空間を利用するようになった。21世紀になると、宇宙を舞台にしたビジネスも加速的に始まった。
 宇宙と人間の歴史と関わりについて、様々な視点から解説している本です。

 縣先生は国立天文台で広報やアウトリーチの活動を行っています。天文や科学を一般市民にもっと知ってもらう…というよりは、税金を使っているので「成果を還元していく」。この本では、人間が宇宙や天文、科学に対してどんなアプローチが出来るのか、様々な例を挙げています。宇宙は遠い彼方のことで、日常生活には直結しない。でも、宇宙や天文は「文化」にもなりつつあり、もっと身近にあるものなんだ。例えば、昨日は七夕(月遅れの8月7日、「伝統的七夕」もお忘れなく。新暦は邪道、というよりも、3回やってもいいじゃんと私は思います。ちなみに今年は伝統的七夕も8月7日)。他にも十五夜、十三夜もあり、日本には天文にちなんだ風習がある。流星群が見られるかもしれないとよくニュースで取り上げている。月が普段より大きいとか赤いとかというのでも話題になるし、日食、月食となればさらに話題になる。こんなに宇宙や天文が話題になりやすく、関心をもたれやすいのに、「宇宙は遠い」「身近じゃない」のだろうか…。どんどん身近になりつつあり、文化になっていっていると思う。

 私はこれまで、宇宙がもっと身近になればいいと思ってきた。このブログでも、何度も、「地上の延長線上に宇宙があって、その延長線がどんどん短くなればいい」と書いてきた。それは、主に宇宙開発でのことでした。地上とISSでの暮らしぶりだとか、意識的な距離感だとか。でも、天文でも同じことが言える。重力波やブラックホールは遠い存在のようで、原理は身近にある物理法則と変わらない。重力波やニュートリノは、私たちの身体に感じられない規模で通り過ぎ、すり抜けていっている。それが天文学的規模になると大発見になる。まだまだ分からない宇宙の成り立ちや構造の謎がひとつひとつ解き明かされれば、もっと宇宙は身近になるのではないだろうか。

 宇宙と天文の歩み、歴史、現在についての概論もあるので、宇宙の入門書にもおすすめです。ブラックホールの縁の観測までは載っていませんが、重力波観測など、新しい話題も多いです。
by halca-kaukana057 | 2019-07-08 21:52 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31