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 宇宙関係の新書には、なかなか面白い本があります。この本も。


宇宙はどこまで行けるか ロケットエンジンの実力と未来
小泉宏之/中央公論新社、中公新書/2019


 筆者の小泉さんは小惑星探査機 初代「はやぶさ」のイオンエンジン運用に携わり、その後、「はやぶさ2」に相乗りで打ち上げられた小型探査機「プロキオン」小型イオンエンジンの開発メンバー。

 この本は宇宙開発でもエンジンに的を絞って書いてあります。ロケットを打ち上げる、人工衛星を軌道に載せ運用する、探査機を飛ばす…どれにも欠かせないのがエンジン。エンジンがないと宇宙に行けない。でも、ロケットや宇宙機のことはよく知っていても、そのエンジンについてはある程度しか知らなかったりします。「はやぶさ/はやぶさ2」のイオンエンジンの仕組みや、「あかつき」が最初に金星周回軌道投入失敗した時、エンジンに何が起こっていたのか辺りはそれなりに知っている。H2A/H2Bのメインエンジン「LE-7A」についてもある程度は知っている。新しく開発されるH3ロケットの新しいエンジンにも興味がある。だが、宇宙機で気になるのはエンジンそのものよりもミッションについて…。今までエンジンにそこまで注目していませんでした。なくてはならないものなのに。

 この本では、現在使われているエンジンから、開発中の未来のエンジン、SFの世界のエンジンも出てきます。代表的なロケットや宇宙機を例に、エンジンに焦点を当てて解説しています。「はやぶさ」も、ミッションではなくイオンエンジンについて。

 面白いと思ったのが、この箇所。「プロキオン」の小型イオンエンジンの開発の箇所です。
 人工衛星の研究者と一口に言っても、「推進機屋」「衛星屋」など、いくつかのグループがある。小型エンジンを衛星に載せる際に課題となったのが、これらのあいだにある"溝"の存在だ。
 イオンエンジンは、それだけでは当然動かない。エンジンに電気やガスを送って制御する必要がある。直列4気筒の立派なエンジンだけを作って、さあドライブに行こう、とならないのと同じである。ただ、大学や研究所で人工衛星のエンジンを研究している我々、推進機屋の興味は、一般的に「直列4気筒のエンジン」のところだけだ。エンジンを動かすための電気やガスを送るローテクな装置は研究対象とは見なされない。
 一方、小型衛星を研究している衛星屋からしてみれば、「得体の知れないイオンエンジンを動かす専用の電気とガスを送って制御する装置」など、さらに得体の知れない代物だ。手が出るような物ではない。
(132ページ)
 イオンエンジンの研究者はエンジンだけを作って、エンジンを動かす装置は作らないのか!と驚いた。一方で、衛星屋からしてみれば新しく開発したイオンエンジンを動かす装置を作れと言われても困るだろうなぁ…と気持ちがわかるような気がした。宇宙機開発ではこういうところでチームワークが大事になってくるんだろうなぁ、両者の間に入ってうまく結びつけるリーダーの存在が重要なんだろうなと思いました。エンジンがないと宇宙には行けないけど、エンジンが動かなかったら宇宙には行けない。エンジンができて、そのエンジンが動く。しかも計画通りに、うまく制御できるのは並大抵のことではないのだなと思いました。今なら、「はやぶさ2」がリュウグウまで順調にイオンエンジンで飛行し到着し、リュウグウでも今度は姿勢制御のためのスラスタを使ってタッチダウンしたり、カメラで撮影したり…どれも順調に進んでよかったよかったと喜んでいた。が、そのためには打ち上げ前に初代の反省を生かしたエンジンとエンジンを動かす装置を作り、組み立て、何度も試験をして、打ち上げ後は気が抜けない状態だったんだろうなと思い知りました。

 有人火星探査のための計画を立ててみる第6章も面白い。ここでも、私は現実を思い知りました。今、無人の火星探査が進んでいて、そのうち有人も…と思っている。火星に行くのは月に行く以上に大変だ。時間も、費用も、開発しなければならないものも。必要なものの計算が書いてあるが、それを見て愕然とした。本当に人類は火星に行けるのだろうか、と。予算もとんでもない額だ。有人なので安全にも気をつけなければならないが、絶対100%はない。現実の宇宙開発はとても厳しい物なのだなと実感した。

 それでも、有人火星探査の計画を考えている研究者はいるし、無人だけどももっと向こう…木星や土星、更に遠くの惑星、太陽系の外の探査もできる。ボイジャー1・2号やカッシーニ、ニューホライズンズはよくやったなぁと思う。
 外惑星探査でソーラーセイルも登場します。「イカロス」は元気かなぁ。

 そして、太陽系外…。SFの世界のようにしか思えないが、それは私の考え方が今現在の人類の時間と距離の感覚に縛られているからだろうかと感じた。30年前、昭和から平成になった時、まだ携帯電話は分厚くて大きな辞書みたいだったが、今では電話機能だけではない高性能のコンピュータが手のひらサイズで、多くの人が利用している。30年で技術は随分と進歩した。次の30年で更に進んでいるのでは…と思いたい。

 宇宙開発の現実、現時点を知るのにちょうどよい本でした。思っているよりも甘くはないし、簡単にいかないけれども、エンジンが次はどんな宇宙に連れて行ってくれるのだろうかと楽しみになります。私は研究者ではないので他力本願ですが…。
by halca-kaukana057 | 2019-10-28 21:53 | 本・読書
 「古典部」シリーズ読み続けています。第3作の「クドリャフカの順番」。宇宙好きとして、タイトルに惹かれるんですが(でも意味がわからない)。



クドリャフカの順番
米澤穂信/KADOKAWA,角川文庫/2008(単行本は2005年)

 いよいよ文化祭が始まった。しかし、古典部の4人は浮かない顔をしている。手違いで、文集「氷菓」を印刷しすぎてしまった。30部の予定が200部。何とか完売させようと、えるは宣伝ができそうな団体に交渉に向かい、里志は古典部名義でイベントに参加し、そこで宣伝することになった。奉太郎は店番。摩耶花は漫画研究会があるのであまり顔を出せない。それぞれ、想いを抱いて持ち場へ向かう。えるや里志が行く先では、奇妙なことが起きていた。いくつかの団体から物がなくなり、そこにはメッセージカードと文化祭のパンフレット「カンヤ祭の歩き方」が置かれていた。文化祭が進むにつれて、その"被害"は広がっていった…。


 文化祭の始まりです。文集「氷菓」も完成しました。第1作で解き明かされた「氷菓」と「カンヤ祭」についてのことも書かれている文集です。
 この第3作は、古典部4人それぞれの視点で書かれています。今までは奉太郎だけの視点。4人の考え方の違い、見ている物の違い、それぞれに起こった出来事、それぞれの想いがストレートに描かれています。4人それぞれの想いがわかるのが嬉しい。そして、奉太郎の姉、供恵も登場します。文化祭でキャラクターも一気に増えました。
 賑やかで楽しい雰囲気なのですが、不思議な事件が起きる。様々な部活、団体から物がなくなる。その団体の頭文字と同じ頭文字の物が「失われる」。置かれたメッセージには「十文字」と署名があるが、神山の「桁上がりの四名家」のひとり、十文字かほも被害に遭っているので彼女が犯人ではない。一体誰が何のために?事件は壁新聞部の新聞などでも取り上げられ話題になる。そして、被害に遭った団体の法則性から、その犯人は古典部も狙っているらしいと…。文化祭がますます賑やかになります。学生時代の文化祭の賑やかな雰囲気を思い出します。

 その賑やかさの一方で、摩耶花の漫画研究会の雰囲気が…。同じものが好きで、集まったとしても、その気持ちのベクトルは同じではない。私も今まで何度も苦い思いをしてきました。それが表面化し、河内先輩と摩耶花が対立する。この対立した意見が興味深い。検索したら、どこかの大学の入試問題にもなったらしい(「古典部」シリーズはじめ、米澤先生の作品は入試問題に多数取り上げられているらしい)。ここで書くと長くなるので別記事にするかも。
 その対立で、摩耶花が例に挙げたある同人漫画。その漫画も鍵になります。
 この第3作は摩耶花が本当に頑張り屋さんで、強くなりたいという想いが伝わってきます。奉太郎は毒舌家と言っていましたが、ただの毒舌家ではない。先輩が相手だろうと、はっきりと自分の意見を言う。河内先輩側の部員に陰口を言われたり、意地悪をされても、落ち込むけれども負けない。一生懸命な子だとわかります。その摩耶花と河内先輩の橋渡しをする部長も素敵です。河内先輩も、最後には自分の想いを摩耶花に打ち明けてくれたし。

 里志も最初はノリノリで文化祭を楽しんでいるのですが、"事件"が進むにつれ、"事件"を解き明かそうと奔走する。現場に向かい、現行犯で犯人を捕まえてやろうとする。里志の想いもストレートで、一生懸命で…。今まで、「データベースは答えを出せない」と謎解きはしてこなかった里志が、何を思っているのか。切なくもあります。

 えるは各団体に交渉に向かうもうまくいかない。前作のキーパーソン、2年F組の入須先輩が再登場。えるにある指南をするのですが…。えるも一生懸命。でも…。第3作は、奉太郎以外の3人がとても切ない。それぞれの壁にぶつかる。それを青春と片付けてしまうか、もっと掘り下げるか。私はもっと掘り下げたい。青春に限らないことだから。

 その3人+河内先輩+"事件"の犯人が抱いているある感情。その掘り下げたいこと。「期待」と表現されています。自分にないもの、自分ではできないことを誰かに望む時に「期待」という言葉を使う、と里志は言っています。すごくわかります。「期待」だとまだまっすぐに相手に望んでいますが、ネガティヴな感情が入り交じると「嫉妬」、「羨望」などになる。私は自分のそんな感情をうまく扱えなくて、こじらせて「羨望」「嫉妬」してしまう。または、自分自身を責めたり、辛く当たってしまう。最近はそういう感情を抱きそうになったら、その対象(人)から距離を置くようにしたり、自分の気持ちを守るために「他者は他者、自分は自分。自分にできることをする」と考えるようにしている。素直に喜んでその対象(人)を賞賛できる時とできない時がある。難しい。人にはそれぞれ得意なものがあって、皆違うから、と思うのは簡単だ。でも、それを心から思い、自分は自分と割り切る難しさ。やりたいことがあるのにうまくできない一方で、身近な他の人が意外にもうまくできてしまった時の気持ち。別に勝負しようなんて思っていない。なのに、悔しい、なぁ…。私が、自分が、と主張し、その人よりも上に立ちたいのだろうか。そうじゃない。やりたいこと、表現したいことがあるのに、できなくて途中で止まってしまった。それが悔しい。
 これはまだいい。その他の人は、できてしまったことをあまり深く考えていない。その時だけで、その後はやろうともしなかったら。残念の一言では片付けられない。何故、と問いたくなる。あなたには才能が、技術があるのに。虚しくなります。5人の叫びたいような想いが伝わってきました。

 その一方で、"事件"を解いてしまった奉太郎。奉太郎は、自分が得意なこと、自分にできることを成し遂げ、「期待」にも応えた。でも、それをひけらかすことはなく、犯人と一対一だった。前作「愚者のエンドロール」で、入須先輩に言われたこと、奉太郎の読み間違いから成長した感じです。"事件"を解くだけでなく、文集の店番をしながらお料理対決では古典部のピンチを救った。「わらしべプロトコル」には笑いました。奉太郎は引き寄せる体質なのか。奉太郎は「省エネ」から脱しつつあるけれども、まだ「省エネ」なところがある。地学室から動かない店番を選んだこと。"事件"の推理は奉太郎にとっては、「他者は他者、自分は自分」だから。自分がやらなくていいことはやらない。自分ができることだけをしている。

 でも、最後には自分自身を取り戻す古典部の4人。皆優しい子たちなんですね。
 あと、「クドリャフカの順番」の中身が知りたかった。「夕べには骸に」も。これ以上はネタバレになるので書きませんが…どんなものなのか知りたかったな。



 GYAO!で配信中のアニメ「氷菓」も「クドリャフカの順番」の回が終わったところ。文化祭の描き方は、さすが京アニとしか言えません。とても賑やかで、華やかで、楽しい。えるが他団体に交渉に校内を奔走する…つもりが様々な団体の催し物に引かれ、楽しんでしまっている。好奇心旺盛なえるらしさを、アニメだからこその表現で描いてくれました。書道で書いた言葉はえるらしい。えるのあの写真はやっぱり京アニだな、と。摩耶花と対立する河内先輩は、最初は嫌な先輩と思いましたが、最後の本心を明かすシーンでは引き込まれました。心の内のネガティヴな感情を出す時の人間が魅力的に思えるのは何故だろう。供恵さんの顔を見たい、と思ったのですが…。なんという結果。
 オープニングとエンディングも変わりました。オープニングのアニメはすごいなぁ。エンディングのホームズのえる、ポアロの摩耶花が可愛い。
by halca-kaukana057 | 2019-10-21 22:58 | 本・読書

ふたりのスカルラッティ

 フィンランドYLEの、フィンランド放送響の演奏会のオンデマンド配信を聴きました。
YLE Areena Audio : Konsertteja : RSO:n konsertissa kotimainen kantaesitys ja Griegin pianokonsertto
 (YLEのラジオのオンデマンドのページのデザインが大きく変わっていました。昨日までは古いデザイン、今日アクセスしたら新しいデザインだった。配信期間は「あと何日」の表示がなくなったのが不便。)

 9月27日の演奏会、曲目は、
 ・イルッカ・ハンモ Ilkka Hammo:On the Horizon(世界初演)
 ・グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
 ・ニールセン:交響曲第5番 op.50
  / エフゲニー・スドビン Yevgeny Sudbin (ピアノ)、ハンヌ・リントゥ:指揮、フィンランド放送交響楽団

 スドビンさんは以前から気になっているピアニスト。音がくっきりと鮮やか、第1楽章の静かなところや第2楽章でもやさしいけれども優雅。大好きなニールセン5番もよかった。聴き所のスネアもまさに機関銃のような切れのある音だったし、それぞれの楽器が入り交じる不安な和音、その不安が吹き飛んだような弦の表現を楽しめた。
 おや?と思ったのがスドビンさんのアンコール(52分ごろから)。ちなみに、私はソリストアンコールに惹かれることがよくある。しかも、海外ネットラジオだとサイトにはアンコール曲の記述がないことが多い。あまり知らない作曲家、聴いたことがない作品をどうやって探して見つけるか。見つけた時は本当に嬉しい。今回のアンコールだが、バッハ?いや、バッハじゃない。誰の何という作品だろう…調べてみたら、ドメニコ・スカルラッティのソナタ ロ短調 K.197だった。先日来日した時もこの曲がアンコールだったらしい。哀愁たっぷりのしっとりとした、やさしい音のアンダンテ。スドビンさんはドメニコ・スカルラッティのアルバムを2枚出していて、その第2集に入っています。以前からドメニコ・スカルラッティの鍵盤作品は好きだった。シンプルな、ストレートな音づかいが好きだ。
 しかし曲が多すぎて覚えられない…。もっと聴いてみたい。

 スカルラッティという作曲家、と聞くと、鍵盤の人はドメニコ、声楽の人はアレッサンドロと答えると思う(と書いたがアレッサンドロの鍵盤作品は「プレ・インベンション」に収録されている)。私はドメニコを先に覚えて、その後声楽を始めて、「イタリア歌曲集 1」の中にアレッサンドロ・スカルラッティの名前を見つけて、ここにもスカルラッティ?と思った。アレッサンドロはドメニコの父、2人は親子だったのだ。

 「イタリア歌曲集」を歌っていくと、アレッサンドロの作品に惹かれる。「Sento nel core(私は心に感じる)」「O cessate di piagarmi(私を傷つけるのをやめるか)」、そして「Se tu della mia morte(貴女が私の死の栄光を)」といった短調の曲に惹かれる(ただ単に短調好きだからだろうか)。「Se tu della mia morte」は特に好きだ。途中、曲調が変わるところがある。その辺りの語るような歌い方が好きだ。第2集以降でアレッサンドロの作品を歌ったことはまだないが、「Consolati e spera!(気を取り直して希望を抱け)」はオペラのシーンがイメージできるような歌い口調。第3集の「Toglietemi la vita ancor(私の命も奪ってください)」は短い曲だけれどもドラマティック。「Caldo sangue(熱い血潮よ)」も荘厳さを感じる短調。

 ドメニコの作品も、どちらかというと短調の方が好きだ。親子に通じるものがあるのかもしれない。
by halca-kaukana057 | 2019-10-15 22:37 | 音楽
 以前読んだ「人間をお休みしてヤギになってみた結果」の著者、トーマス・トウェイツさんのデビュー作「ゼロからトースターを作ってみた結果」。「ヤギ」は衝撃的だったが、全てはこの「トースター」から始まったのだった…。


ゼロからトースターを作ってみた結果
トーマス・トウェイツ:著、村井理子:訳/新潮社、新潮文庫/2015(単行本は2012年、飛鳥新社)

 著者のトーマス・トウェイツさんは、イギリス、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの学生。ふとしたきっかけから、トースターを原材料から手作りすることを思いついた。何故トースターなのか。電気トースターは近代消費文化の象徴で、「あると便利、でもなくても平気、それでもやっぱり比較的安くて簡単に手に入って、とりあえず買っておくかって感じで、壊れたり汚くなったり古くなったら捨てちゃうもの」のシンボルだと考えた。また、子どもの頃から読んでいたダグラス・アダムズのSF小説「銀河ヒッチハイク・ガイド」シリーズの「ほとんど無害」から、もし技術的に未発達な惑星に足止めをくらって、トーストを作るには…と考えた。トースターの構成部品と材料を調べ、現代であっても入手可能な道具だけを使って、原材料からトースターを作り上げ、その試みを記録すること。トーマスさんは一番安いトースターを買って分解し、使われている部品を材料を調べる。専門家に話を聞き、それらをどうすればゼロから手に入れられるかを訊く。そして、自分でトースターを作るためのルールを決め、原材料を調達し始めた…。


 この本を読みながら、そして読んだ後、私は身の回りにある「モノ」をじっと見た。それが何でできているか。その原材料はどこから来ているのか。それをどこでいくらで買ったのか。いつもどんな風に使っているか。もし壊れたり古くなったりしたら、新しいモノを買う前にそれをどうやって処分するのか。それが、単純(と思われる)な紙袋や布だったとしても。

 トーマスさんは、トースター作りを通して人間の文明の歴史を遡ることになる。鉄の前に青銅器が作られたが、何故その順番になったのか。それらに比べて歴史の浅いプラスチックは何故20世紀にならないと出てこなかったのか。歴史の授業でなんとなく学んだことが、本当になんとなくでしかなく、なんとなくしか知らない自分に落胆した。今この記事を書いているパソコンだって、中身はとてつもなく複雑なのに、私はその中身のことを知らない。分解してもう一度組み立てろなんて言われたら無理。でも、毎日の生活にパソコンは必要。でも、なんとなく使っている。文明に頼り切って、思考停止してしまっている。

 パソコンは作れないけれど、毛糸で編み物や、布と糸を使ってこぎん刺し(津軽地方の伝統的な刺し子)の小物なら作れるぞ、と思ったが、その毛糸はどうやって作る?ウールはまだしも、アクリルは?編み物に使う編み針は?しかも私が使っているのはかぎ針である。棒針だって簡単じゃない。
 こぎん刺しで使う布は、クロスステッチで使うような縦糸と横糸が等間隔で織られた専用の布。それは何から、どうやって作っている?糸は木綿…どうやって染めている?針は?小物に使う種々の金具は?それらをトーマスさんと同じように、ゼロから作るとしたら?
 …本当に「手作り」と呼べるのか、自信がなくなってきた。

 トースターを作り終えたトーマスさんの問いかけを読んでいると、文明や消費社会の中で「なんとなく」暮らしていると気づかされる。環境についてもそうだ。銅や鉄などは自然界に存在するが、それを製品の部品にするには手間も時間もかかる。採れる場所も限られる(今回のこのトースタープロジェクトで、原材料のある鉱山のうちのいくつかはイギリス国内にあることに驚いた。日本でやるとしたらできるだろうか)。そして環境に影響を及ぼす。ニッケルの章ではとても深刻な現実と、同じ人間でも国によって扱いが変わる現状にモヤモヤした。プラスチックの章も。製品を処分する際のトーマスさんの問いかけは重要なことだと思う。そのモノがどうやってできているのか。もっと知られてもいいと思う。

 トーマスさんのトースターはうまく動いたのか。トーストを焼くことができたのか。と気になるところだが、重要なのはそっちではなく、手作りトースターを通じて問題提起をすることだ。トーマスさんはアートを学んだ学生だ(だった)。アートが何を伝えられるのか。その意味でも興味深い、新しいことを知ることができた本だった。長く伝えられてきた名画の数々だって、芸術的に美しいだけでなく、人間や自然、社会の何かを伝えようとしたものだったのだから。

 しかし、「ヤギ」では「意味がわからないw」と連呼したが、「トースター」でも、「意味がわからないw」は変わらない。こっちの方が先なので、トーマスさんの原点を読むことができてよかった。自虐ネタを含んだ軽いノリの文章は面白く読みやすい。トースターを作る上でルールを決めたが…色々あるよね。ニッケルではまさかの荒技が。それでいいのか!と突っ込みたくなったw突っ込みたくなる箇所多数。公共の場で読むのは…いいけど笑って変な目で見られてもトーマスさんのせいにはしないようにw

 あと、マイカ(雲母)も出てくる。私も子どもの頃、電化製品(ラジオかラジカセか何か)の調子が悪くて分解してみたことがある。その時、薄いガラスのような板があり、これは何だろう?と思っていたのだが、あれが雲母だったのか。地学で学んだのに、それと結びつかなかった。もう一度見てみたい…いや分解はやめておきたい。私が分解した電化製品は…まぁ、思いつきで分解したら大体そうなるよねw

 トーマスさんの新作は出るのだろうか。期待したい。

人間をお休みしてヤギになってみた結果
by halca-kaukana057 | 2019-10-07 21:53 | 本・読書
 国際宇宙ステーション(ISS)で食べられる「宇宙日本食」も種類がどんどん増えています。ヤマザキのようかんや、森永の「ベイク」のように一般に発売されているものが宇宙日本食になったケースも少なくありません。宇宙日本食の認定を受けたもののひとつに、亀田の柿の種があります。その亀田の柿の種の、宇宙日本食認証記念の限定味が出たので食べてみました。

sorae:JAXA認証の宇宙日本食「柿の種」記念商品。『亀田の柿の種 ギャラクシーミックス』限定発売
亀田の柿の種:宇宙への道

デイリーポータルZ:ハイチュウと柿の種はJAXA認証済みの宇宙食である

宇宙日本食認証記念 宇宙な柿の種_f0079085_21322991.jpg

その名も「ギャラクシーミックス」。燃える隕石をイメージしたホットチリ味の柿の種、ブラックホールをイメージした黒こしょう味の豆。宇宙ってそんなイメージか…。

宇宙日本食認証記念 宇宙な柿の種_f0079085_21322927.jpg

パッケージ裏には、柿の種が宇宙日本食に認証されたことと、その記念企画について書かれています。

 食べてみた。私は辛いものはあまり得意ではないのです。でも食べられました。確かに辛いけどおいしい。ホットチリ味の柿の種は刺激が強い。黒こしょうの豆は、こしょうの味は好きなので気に入りました。

宇宙日本食認証記念 宇宙な柿の種_f0079085_21322934.jpg

小袋には宇宙、宇宙飛行、ISSにまつわる豆知識コラムがあります。全部で10種類あるらしい。

 第2弾ではスペシャルパッケージでの柿の種を発売するらしい。

 それよりも、宇宙日本食として認証された、宇宙日本食と同じフィルムパウチ包装の柿の種の発売を検討してくださいませんか亀田さん。科学館など限られた場所でいいですから。


【過去関連記事】
宇宙日本食羊羹を食べてみた
地上で食べる宇宙食まつり 宇宙日本食羊羹続編
地上で食べる宇宙食まつり スペースカレー編
 スペースカレー、また食べたいな。
by halca-kaukana057 | 2019-10-05 21:53 | 宇宙・天文
 8月から9月23日まで、「刑事モース(原題:Endeavour)」の第1シリーズがGYAO!で配信されていたのに全く気づかず、気づいたのは最終日の9月23日だった…。全部観られなかった。残念。
 と思っていたら、今度は第2シリーズを配信中。
GYAO!:刑事モース ~オックスフォード事件簿 シーズン2
 現在、Case6「消えた手帳」、Case7「亡霊の夜想曲」を配信中。10月21日まで配信される模様なので、今度は見逃しません。Case7は特に好きなエピソードだし、あのCase9もある。アニメといい、GYAO!ばっかり観ています…。

 という話で終わりません。ここからが本題。
 「刑事モース」はイギリス本国ではシーズン7を撮影中。日本ではWOWOWでシーズン5まで放送されているのかな?NHKは一体いつシーズン4を放送するのか…と思っていたら、来ました。

NHK:NHKドラマ:新番組情報 海外ドラマ『主任警部モース HDリマスター版』&『刑事モース~オックスフォード事件簿~』
NHK:NHKドラマ:スタッフブログ:"モース"シリーズ放送決定!『主任警部モース』『刑事モース』

 来年2月から、シーズン3の再放送と、シーズン4の放送だそうです。やった!でも、シーズン3から放送したら、またCase9で何があった問題が…。

 重ねて朗報なのが、「主任警部モース(原題:Inspector Morse)」がHDリマスター版が11月から放送されること!これが嬉しい。「刑事モース」は、「主任警部モース」があってこその作品。コリン・デクスター原作の小説シリーズをドラマ化した「主任警部モース」。「刑事モース」も面白いけど、モースの原点は若い頃ではなく、年老いてからの方。その原点をようやく観られるのが嬉しいです。原作小説も、新版が出た第1作「ウッドストック行最終バス」以降、絶版状態。図書館や古本屋になければ、全シリーズに触れられない。今後、どう「モース」の世界を歩いて行ったらいいのか…と思っていたら、ドラマの放送決定。「刑事モース」の若い頃から入ったため、「ウッドストック~」を読んだ時はショックではありました。あのモースが将来こうなっちゃうんだ…。でもドラマで観るのは楽しみ。

 どちらも楽しみに、HDDを空けて待っています。整理しなきゃ…。その前にGYAO!でおさらい。
by halca-kaukana057 | 2019-10-03 21:27 | 興味を持ったものいろいろ

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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