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 もう今年も残り少なくなりました。書きたいと思っているのに書けていないネタがいくつもあります。本も音楽も。年末に一気に書こうと思ったののですが…。この数日の大雪で書く体力も思考力もありません。全て雪かきのために使ってしまいました。今日の雪はひどかった。雪かきだけして終わってしまった。ということで、明日以降雪が落ち着けば書きたいですが、年末に向けて忙しくもなってくるのでどうなることやら。来年に持ち越しか。もう身体がキツイです。おやすみなさい。
雪が多すぎてブログが書けません_f0079085_22422313.jpg

数日前撮影しました。雪が見せてくれるこんな風景はきれいなのですがね。
# by halca-kaukana057 | 2021-12-28 22:43 | 日常/考えたこと
 9月に開催されたBBC Proms(プロムス)の最終夜のコンサート「Last Night of the Proms」の模様がテレビ放送されました。毎年放送を楽しみにしています。リアルタイムでネットラジオの放送を聴くのも楽しいけど、映像で観ないとわからないことが多い。何より、今年はロイヤル・アルバート・ホールにお客さんが帰ってきました!昨年はコロナのため、最後の2週間だけ無観客で開催。勿論ラストナイトも無観客でした。今年は通常8週間の開催が6週間に短縮して開催されましたが、有観客。ラストナイトというと定番曲をお客さんも一緒に大合唱しますが、歌ってもいいの?歌えます。ただ、オーケストラは去年よりは人数が増えましたがディスタンスを取ったまま。合唱も増えましたが、やっぱりディスタンスを取っています。オーケストラと合唱団は人数制限をしてディスタンスを取っているのに、観客は密な状態で、しかもマスクなしで歌う…今年も複雑な気持ちは続いています。でも、ラストナイトはラストナイトとして楽しみました。

 まず、演奏曲と出演者を。今年も例年に比べると演奏曲が少ないです。

BBC Proms : Last Night of the Proms 2021
・ラストナイトを含む今年のプロムス私選リスト:【BBC Proms 2021】プロムス私選リスト その4 [9月3日~9月11日(ラストナイト)] 【追記あり】

【曲目】
・Gity Razaz ギティ・ラザズ:Mother(世界初演)
 ・マルコム・アーノルド:ギップスの主題による変奏曲 op.122
 ・バーバー(Jonathan Manners:編曲):弦楽のためのアダージョ
 ・ラヴェル:クープランの墓 より 4.リゴドン
 ・フランク・アンジェリス:ピアソラの主題による幻想曲 「チキリン・デ・バチン(バチンの少年)」
 ・ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集 より 3.温室にて
        楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 より 優勝の歌「朝はバラ色に輝きて」

 ・フローレンス・プライス:交響曲第1番 ホ短調 より 第3楽章:Juba Dance ジュバ・ダンス
 ・ピアソラ(John Lenehan:編曲):リベルタンゴ
 ・アニバル・トロイロ (George Morton:編曲):スール
 
 ・ウェールズ民謡:おおウェールズ
 ・アイルランド民謡:キャリクファーガス
 ・スコットランド民謡:島の紡ぎ歌

 ・イングランド民謡(グレインジャー:編曲):ブリッグの定期市
 ・ピーター・アレン(Iain Farrington:編曲):I Still Call Australia Home 私の故郷はオーストラリアだ

 ・ヘンリー・ウッド(Mark Millidge:編曲):イギリスの海の歌による幻想曲
 ・アーン:ルール・ブリタニア
 ・エルガー(Anne Dudley:編曲):威風堂々第1番 ニ長調 「希望と栄光の国 (Land of Hope and Glory)」
 ・パリー(エルガー:編曲):エルサレム
 ・ブリテン:編曲:イギリス国歌
 ・スコットランド民謡(Paul Campbell:編曲):オールド・ラング・サイン

  /Stuart Skelton スチュアート・スケルトン(テノール)、Ksenija Sidorova クセニア・シドロヴァ(アコーディオン)
  ジョン男声合唱団、アルドゥ、ナショナル・ユース・クワイア・オブ・スコットランド
   BBCシンガーズ、BBCシンフォニーコーラス
  Sakari Oramo サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団


 今年は曲目が少ない分、解説が多かった。そこで初めて知ったことも多いです。勉強になります。助かります。
 ラストナイトは元々音楽の幅の広いコンサートです。世界初演の現代作品、クラシックの名曲、オペラアリア、ミュージカルナンバー、合唱曲、民謡などなど。今年はいつもよりも広いと感じました。生誕100年のピアソラやピアソラに関する曲があった。しかもアコーディオン奏者がラストナイトに出演するのも初めて。あと、声楽ソリストのスケルトンさんがオーストラリア出身でオーストラリアの歌もあった。ゲストの宇宙科学者のポコックさんが「イギリスの海の歌による幻想曲」の前に「世界中を旅して帰ってきたみたい」と仰ってましたが、私もそんな気持ちになりました。

 そのソリスト。アコーディオンのクセニア・シドロヴァさん。とても魅力的な方ですね。情熱的に、哀愁たっぷりにアーコディオンを奏でます。私も魅了されていました。「バチンの少年」も「リベルタンゴ」もかっこいい。アコーディオンは演奏するのに難しい楽器だと思います。私が小学生の時、行事でアコーディオンを演奏することがあったのですがとても難しかった。鍵盤はよく見えないし、蛇腹を動かさないと音が出ないし。シドロヴァさんは自然にアコーディオンを演奏する。プロムスがきっかけで知って、好きになった演奏家は沢山いますが、シドロヴァさんもその一人になりました。

 声楽のソリストはテノールのスチュアート・スケルトンさん。ワーグナー歌手として活躍されています。華やかで堂々と張りがあるけれども、柔らかくて優しい歌声でとても素敵でした。スケルトンさんの歌った歌のほとんどは恋や愛に関する歌だけど、雰囲気が全然違う。第1部のワーグナー「温室で」が気に入りました。心の内のかなしみを静かに歌う。「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は情熱的に誇り高く歌うし、シドロヴァさんのアコーディオンとコラボしたトロイロ「スール」は亡くした愛を南米らしい哀愁と情熱を豊かに表現して歌う。グレインジャー編曲のイギリス民謡「ブリッグの定期市」はピュアな恋心を。かと思うと、「私の故郷はオーストラリアだ」は故郷を懐かしく思う気持ちを切なく歌う。歌詞がコロナ禍で故郷に帰れないオーストラリアの人々のことを思うと泣けてきました。そして忘れてはいけない「ルールブリタニア」。スケルトンさんの歌声に「ルールブリタニア」が合う。とてもかっこいい、威厳に満ちた「ルールブリタニア」でした。クリケットのユニフォームもよかったw スケルトンさんのレパートリーの広さを満喫できたラストナイトでした。
 スケルトンさんはN響の第九にテノールソロで出演予定だったのですが…オミクロン株の入国制限でキャンセルに。残念だ…!!スケルトンさんの第九聴きたかった!!

 今年の指揮者はオラモさん。冒頭のMCのケイティ・ダーハムさんの情報では「28回目の指揮」とありましたが、これはBBC響首席指揮者としての指揮回数ですね(2018年のファーストナイト前日のプロジェクションマッピングイベントも含む)。2019年のラストナイトでプロムス出演40回目と言っていました。バーミンガム市響、フィンランド放送響、ロイヤル・ストックホルム・フィルもありますし、2014年の室内楽回ではヴァイオリンを演奏、2018年はBBCシンガーズの合唱指揮も。
 ラストナイト、しかもお客さんが帰ってきたラストナイトを指揮するのが本当に楽しい!という感じでした。MCやスピーチでも、お客さんに会えて嬉しい、お客さんが帰ってきた!と強調していました。やはり、誰もいないホールで演奏するのは寂しいのだろうなぁ。
 オラモさんもラストナイトで幅の広い音楽を指揮。明るい曲もいいのですが、バーバー「弦楽のためのアダージョ」(「アニュス・デイ」の合唱付き)の指揮が印象的でした。アメリカ同時多発テロから20年、犠牲になった人々を悼んだ作品ですが、音楽で静けさを表現していて胸に迫るものがありました。

 恒例の指揮者スピーチでは、コロナ禍の音楽について語っていて、聴いていてしんみりとしてしまいました。でも、プロムスにお客さんが帰ってきた。
 一方でユネスコの掲げる「音楽についての5つの権利(The 5 Music Rights)」「これらの権利が認められない国もまだ多いのです」、と。ちょっと脱線しますが、今回のテレビ放送を観て朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の2人目のヒロイン・るいの名前の由来を思い出しました。「どの国の音楽も自由に聴ける、自由に演奏できる。そんな世界を生きてほしい」の言葉。日本も自由に音楽を聴いたり演奏出来なかったことがありますし、ヨーロッパもナチス・ドイツ政権下ではメンデルスゾーンやマーラーなどユダヤ人の音楽家の作品は聴くことも演奏することも出来なかった(マーラーの詳しい話は書籍「マーラーを語る」で当時を生きた指揮者たちが語っていますので是非)。プロムスは、ヘンリー・ウッドがあらゆる人々がクラシック音楽に触れる機会を作りたいと始めた音楽祭。クラシック音楽だけで無く、幅広い音楽が演奏され続けています。このプロムスの自由さが、ずっと続いていくことを願わずにいられません。

◇音楽についての5つの権利について詳しく:The 5 Music Rights

 今年のラストナイトで思ったことがひとつ。今年は「もっと評価されるべき」な作曲家、作品の演奏が多かった気がします。ルース・ギップス、フローレンス・プライス。マルコム・アーノルドもまだ足りない気がする。でも、どれも聴いていて面白かった。ギップスとアーノルドは親友で、その縁でアールノドは「ギップスの主題による変奏曲」を作曲した。オーボエで演奏されるのどかなイギリスの田園風景を思わせるギップスの主題が、現代的な響きに変わって演奏される。元のギップスらしい音に戻ったと思ったら、またモダンな響きになる。ギップスは現代的な響きが嫌いだった。それをアーノルドは知ってて、仲がよいからこそ現代的な響きも取り入れた。生誕100年の二人の作曲家の「合作」をラストナイトで演奏するのはとてもうまい、粋だなと思いました。
 プライスはアメリカ黒人女性初の作曲家。交響曲第1番を全曲聴いてみたのですが、結構長くて重い。でも、第3楽章は黒人の踊りの音楽でとても明るい。これを第2部の最初に持ってくるのもうまい。とても合ってると思いました。こんな楽しい曲を書く作曲家がいたんだ。ちょうど、プライスの交響曲第1番と第3番の新しいCDが発売されたばかり(ヤニック・ネゼ=セガン:指揮、フィラデルフィア管弦楽団)。プロムスで演奏されれば、もっと演奏回数が増えるはず。ラストナイトはお祭り騒ぎもするけれど、音楽を聴く時は聴く。ラストナイトでこれらの作曲家の作品が演奏されたよかったなと思いました。

 今年のラストナイトはお客さんも入って賑やかになったし、情熱的な作品も多かったのですが…どこか大人しい、どこかかなしい雰囲気を覚えました。情熱的でも哀愁漂う作品が多かったからかもしれない。ワーグナーの「温室で」の「私の故郷はここではない」。アレンの「私の故郷はオーストラリアだ」の「いつかまた家族で集まれる時が来る」の歌詞がしんみりと響いた。コロナの陰もまだあって、そのかなしさなのかもしれません。でも今年のラストナイトも好きですよ。先述した通り、幅広い音楽に触れることができた。知らない音楽も聴くことが出来た。最後の「オールド・ラング・サイン」でお客さんが手を繋いで歌っていたのを観て、マジで泣けました。去年、お客さんが手を繋いで歌える日はいつ来るだろう。何年後だろう、と思っていたのに…。1年で戻ってきたよ!
 でも、このラストナイトの9月はよかった(日本は大変でしたか)。今は…。来年はオーケストラも合唱もフル編成で、お客さんも何の心配もせずにマスク無しで歌えたらいいなぁ。本当に。


 以下、細かすぎて伝わらないラストナイトのみどころ聴きどころ。
・今年もハイドパークや地方の野外会場はありません。でも、コベントリに小さな野外会場を設けました。普通にビール飲んでますがな。
・BBC響は今年も人数が少ないので、降り番の方が多いです。フルートにお髭がトレードマークのコックスさんも、日本人楽団員の向井知香さんもいらっしゃらない!!でも、木の珍しいフルートでいつも演奏されているDaniel Pailthorpeさんも素敵なフルート奏者です。
・昨年、ロンドン響から移籍してきたトランペット首席のコブさん。聴き惚れる音です。でもトランペットが2人しかいない。いつもなら4人いるのに。
・1曲目の「マザー」、終わった後の残響がすごかった。この曲のティンパニがとてもかっこよかった。
・全体的にオーボエが活躍してた気がします。他の楽器、パートもよかったです。
・お髭が渋いヴィオラ首席さん、2018年の来日公演のブリテン「ピーター・グライムズ」の「パッサカリア」で見事なソロを演奏してた方だ!
・アコーディオンのシドロヴァさん。お花を持って登場しましたが、あれは出演者が胸につけるお花。普段ならプロマー(プロムス常連のお客さん)が手作りして、全ての出演者にプレゼントしているもの。アコーディオンだと胸に付けられない。でもちゃんと手に持っているのが素敵。今年は指揮者とソリストの分しかなかったですね。
・指揮者とソリストは入退場の際、マスクを着用。オラモさんのマスクの柄、何だろう。黒字にカラフルな丸い絵が描いてある。
・アコーディオンの鍵盤を叩く音も聞こえましたよ。しびれました。
・スケルトンさんはカクテル作りが趣味。ラストナイトをイメージしたカクテルを作ってくれました。放送ではカクテルだけでしたが、モクテル(ノンアルコールカクテル)のレシピも以下BBCのサイトにあります。
The Last Night of the Proms Cocktail with Stuart Skelton

・そのカクテルを休憩時間に飲もうとしたダーハムさんとゲストの2人。でも、今年のプロムス全体の話になってしまい、カクテルが飲めないw
・スケルトンさんは全ての出演で衣装を少しずつ変えています。他の楽器もですが、声楽は衣装も大事(声楽やっててそう思いました)。
・コロナで音楽を始める人も増えた。そんな音楽を始めた人たちの話や演奏がとても微笑ましかった。アコーディオンのおじさん、鳥に囲まれて演奏してるw 小さな鍵盤楽器、あれ何の楽器だろう。
・その音楽を始めた人々に、プロムスに出演したスターたちがアドバイスする動画も。バリトンのロデリック・ウィリアムズさん「やめたほうがいい」えええw 地道な音階などの練習の話になって、スケルトンさん「練習は嫌だよね…」、演奏したい曲を選ぶ話では「サッカーの応援歌でもいい?」スケルトンさん面白いw
・もし、コロナ禍が15年前だったら…とゲストの合唱指揮者さん。リモートでレッスンを受けることも、一緒に演奏することも、演奏動画を動画サイトなどにアップすることもできない。コンサートのオンライン生放送も出来たとしても回線が遅く、画質も音質もかなり悪い。ネットラジオも今ほど簡単に聴けない。スマートフォンもない。ネット技術が発達した今でよかった(と言うのはおかしいですが)。
・今年のプロムスについてお客さんに聞いた動画を観て、あのプロムよかったよねーとテレビの前で頷いてました。オーロラオーケストラの「火の鳥」、日本でも映像で観たいです。
・第2部、指揮台のデコレーションが控えめ。例年ならもっと派手だぞ。でも始まる前から、風船を飛ばしてテンションの高いお客さんたち。
・普段なら第2部で、タイを国旗柄にしたりするBBC響の楽団員さんたちですが、タイを変えてたのはトランペットセクションだけ。寂しい。
・プライスの「ジュバ・ダンス」で出てくるスライド笛…子どもの頃おもちゃを持ってた!あれってオーケストラの楽器になるんだ!
・「ジュバ・ダンス」のラストの音がシベリウスっぽかった。「カレリア組曲」の「行進曲風に」のラスト。
・ピアソラ「リベルタンゴ」の演奏中、リーダー(イギリスオケはコンマスではなくリーダー)のブライアントさんが譜めくりに失敗し、ヴァイオリンを演奏したまま足で譜めくりをするシーンが。これ、サックスのジェス・ギラムさんが気づいてツイッターなどにアップしていたのですが、どのシーンだろうと思っていたんです。「リベルタンゴ」でした。ブライアントさんの足技すごい。さすがフットボールのお国。

Amazing playing tonight from @KsenijaSidorova at the @bbcproms with @BBCSO and look at THAT FOOTWORK from @bbcs_bryant

・「ブリッグの定期市」ではスケルトンさんはコントラバスの後ろの階段で歌っています。普段使わない場所なので珍しかった。
・ラジオ放送では各地の民謡の放送がよくわからなかったのですが、映像で観てわかりました。どの民謡の合唱もそれぞれの雰囲気が伝わってよかった。
・ステージの上にある巨大ディスプレイ。いつもなら指揮者やソリストのカメラ映像を映しているのですが、今回使われない。何のためにあるんだ?と思ったら、この各地の民謡のシーンでだけ使われた。いつも通りに使えばいいのにな。後ろに座っているお客さんからは、ステージは豆粒だろうに。しかもオケも合唱団もディスタンスを取っているから尚更。
・「イギリスの海の歌による幻想曲」の「小粋なアレトゥーザ」の冒頭は今年もバスクラリネットのソロです。いつもはユーフォニアム。
・今年も「トムボウリング」で泣きマネではなく本気で泣けました。
・「ホーンパイプ」で、BBC響の楽団員さんたちがノってきた感じ。リーダーとフルートのアドリブ付きの掛け合いは、両者で打ち合わせをしているのだろうか。
・「ホーンパイプ」のアンコールで、アリーナ立ち見席の後ろにいるお兄さんたちが踊ってたwこのお兄さんたち、他の曲でもノリがよかったな。
・今年のアリーナ立ち見席はいつもより狭いよね?
・「見よ、勇者は帰る」で登場したスケルトンさん。ウォーミングアップをして気合十分ですw
・「ルールブリタニア」のアンコールは久々。2014年以来かなぁ。あの…観客の合唱がオケ演奏とずれてる…。他の曲では合ってたのに。久しぶりに歌って合わなかったか?
・ガンガン鳴るオルガン、最高ですね。
・オラモさんのスピーチの出演者紹介で、ひときわ大きな声でBBCシンフォニーコーラスをコール。25名だけだけど、シンフォニーコーラスもラストナイトに帰ってきました!!
・オラモさんとブライアントさんのエア肘タッチがかわいい。
・「エルサレム」の後、なかなかイギリス国歌が始まらなくて何が起こったんだ?と思ってましたが、「エルサレム」のアンコールを要求していたんですね。なだめるオラモさん。ラストナイトの指揮者って大変だ…この大観衆をも指揮しないといけない。
・ブリテン編曲のイギリス国歌は何度聴いてもかっこいい。
・だからNHKさん、「オールド・ラング・サイン」は「蛍の光」とは違うと何度…。来年、またRAHで会おうね!!と願わずにはいられない。
・終わった後、すぐにダーハムさんを写す…もっとステージを映せ!カーテンコールが観たいんじゃー!!一瞬映って、またオラモさんとブライアントさんがエア肘タッチしてた。

 また思い出したら追記します。

 来年のプロムスは7月15日開幕。来年はオーケストラもディスタンス無しで、合唱団も大人数で、大曲も演奏できるようになっていますように。ハイドパークや地方の野外会場も復活して欲しいです。

 年末年始にプロムスの再放送がBBC Radio3であります。大晦日はラストナイトです。
BBC Radio3: Proms at Christmas 2021: Last Night of the Proms 2021
 大晦日の夜にもう一度大騒ぎをして、「オールド・ラング・サイン」を歌って年越しです。



【過去ラストナイト記事】
・2014年:こんなクラシックコンサート観たことない! 「Proms(プロムス)」ラストナイトコンサート2014
・2015年はNHKが放送しなかったのでなし。
・2016年:一緒に音楽を楽しもう Proms(プロムス)2016 ラスト・ナイト・コンサート
・2017年:クラシック音楽の最前線で BBC Proms(プロムス) ラスト・ナイト 2017 まとめ
・2018年:18年ぶりの最終夜で BBC Proms(プロムス) ラスト・ナイト 2018

・2018年3月のBBC響来日公演:これがプロムスオーケストラ! オラモ & BBC交響楽団 @仙台
・2019年:ライヴなら伝え合える BBC Proms ( プロムス ) ラスト・ナイト 2019 まとめ
・2020年:今だからこそ音楽を伝えたい BBC Proms (プロムス) ラスト ナイト 2020 まとめ
# by halca-kaukana057 | 2021-12-21 23:52 | 音楽
 この本は出版された時から気になっていました。詳しく後述しますが、この本はフィンランドに関する本ではありません。こんなタイトルですが、フィンランドの要素はほんの少しです。邦訳タイトルとは全く異なる内容の本です。

世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない
フランク・マルテラ:著、夏目 大:訳/ハーパー・コリンズ・ジャパン/2021


 著者のマルテラ氏はフィンランドの新進気鋭の若手哲学者。「幸せ」「幸福」とは何かについて哲学ではどのように考えられてきたか歴史を辿り、これからの「幸せ」の形について哲学的に考える本です。

 それで、冒頭でも書いたのですが…日本語タイトルが酷い。はっきり言って誤訳。このタイトルだと、いわゆる「幸福世界一フィンランド」流の「幸せ」な生き方に関する本と思ってしまうと思います。全然違います。原題は「A wonderful life : Insights on finding a meaningful existence」、つまり「有意義な存在であることを見つけるための洞察」。フィンランド要素が出てくるのは、ヘヴィメタの部分ぐらい。この本のほんの一部です。
 あとは、先述の通り「幸せ」の定義に関する哲学の歴史や「幸せ」について哲学的に考える本。自己啓発の本とも違います。哲学です。むしろこの本では「あなたの天職を見つけよう」とか人生の意味を追い求めるような自己啓発を「現実離れしている」と書いています。

 でも、私はこの本が好きだ。もし本当にタイトルのような「幸福世界一フィンランド流幸せの見つけ方」みたいな本だったら、またかと思っただろう。本文紹介でフィンランド流幸せの本とは違うというのは大体わかっていたから、落胆も何もなかった。この内容で好きだ。哲学の本だけれども読みやすい。哲学の歴史の部分が興味深い。ロマン主義で追い求める理想(究極の愛)が非現実的な考え方を広めてしまったという考えが衝撃的だった。理想の愛、理想のパートナー、理想の仕事、理想の生き方…そして人生の意味とは何かという問い。人生に意味はある、人生に目的があるというのは信仰(筆者が西洋人であり文脈から考えるにキリスト教の神への信仰)に基づく考え方。それが、ロマン主義では「自分の心」に従うことに変化した。そのロマン主義の考え方を継承し、さらにヒューマニズム、個人主義、人間は努力によって進歩できるという考え方が加わり、無神論も広まり…それでも人生の意味とは何か、という問いの答えは出ていない。

 人生の意味は?と聞かれて、どの人にも共通な「普遍的な」意味を求めようとするなら、信仰など誰かから与えられたものになる。でも、それぞれの人によって異なる「個人的な」意味なら自分で何に価値を置いて生きたいか決めることができる。第7章以降、この個人的な人生の意味を見つけるための考え方、行動について語っている。真新しい内容ではないけれども、読んでいる私に寄り添ってくれるような文章であたたかい気持ちになれた。時々、マルテラ氏のお子さんについて語られているのが微笑ましい。

 人生を意味あるものにする方法は「他者とつながること」と「自分自身とつながること」。具体的に何をどうするかは人によって違う。「自分らしく生き、なおかつ能力を高める」こと(自己実現)と、「他者との関係を大切にし、思いやりの気持ちを忘れない」こと(他者とのつながり)ができれば、何に価値を置くか、何をしたいかでその人の生き方は変わってくる。また、人生にどのくらいの意味を感じられたら良しとするかも人それぞれ。自分は何を大事にして生きていきたいのか。難しいことだけれども大事なこと。この本を読みながら、自分の毎日を振り返り考えていた。自分はこんなことを大事にしたいんだな、とわかると毎日の見方も変わってくる。

 この本は、人生はプロジェクトではなく物語だ、という話でまとめられている。プロジェクトだと、その目標の高さ、成果が大きいか、成功したかどうかで価値が決まってしまう。人生はそれだけでは決まらないことばかりなのに。失敗したら努力が足りない、それまでの努力に意味が無いと批判されてしまう。
 一方で、物語だと良いことも悪いことも起こってもそれも物語だ。過程が大事。その瞬間が大事。音楽に例える引用もありなるほどと思った。作曲も演奏も、完成させるまで、演奏し終わるまでの過程が大事と。「曲が続く間は、誰もが歌い、踊らなくてはいけない」。悲しい歌であっても、喜びの歌であっても、今を歌い続ける。その歌を懸命に歌うことが大事だから。

 面白い本でした。充実した内容なのに、邦訳タイトルが本当に残念です。フィンランド好きとしては、フィンランド=幸せの国とステレオタイプで語られ、それで押せばキャッチーなタイトルになって売れると利用されたことがとても遺憾です。
# by halca-kaukana057 | 2021-12-19 23:11 | 本・読書

ヴィンランド・サガ 25

 この漫画が発売された後すぐ読んだのが7月。…何か月寝かせてたんだ…?それでも展開・単行本刊行ペースがゆっくりなので助かります。


ヴィンランド・サガ 25
幸村誠/講談社、アフタヌーンコミックス/2021

 ヴィンランドへ向けて出航したトルフィンたちは、グリーンランドからの参加者を乗せ、物資の一部を預かってもらうためにグリーンランドに寄る。船乗りを引退したレイフに再会したトルフィン。レイフはすっかり老け込んでしまっていた。それでも、レイフはトルフィンが子どもの頃に話したヴィンランドのことを思い出しながら、先住民からもらったあのパイプをトルフィンに託す。そんな中、見慣れぬ男がグリーンランドにやって来る。その男は、ギョロを連れてきて…。


 まず、帯に書いてありますが、アニメ2期制作決定おめでとうございます!!奴隷・農場編ですね。戦士だったトルフィンの転機になりますし、エイナルも登場する。楽しみです。蛇さんが動いて話すのも楽しみ。

 で、25巻。いよいよヴィンランドに向かいます。グリーンランドでレイフのおっちゃんに再会したものの…あの元気なレイフさんが老いて弱々しくなってしまった。悲しい。ヴィンランドを発見し、冒険を続けてきたレイフさんから、若いトルフィンへバトンが託されました。あのヴィンランドの先住民からもらったパイプ。それは20年も前の話…この20年でトルフィンに何があったか。1巻から読み直したくなります。トルフィンにとっても、ヴィンランドがどんな地なのか変化してきました。でも、いつもトルフィンを導いてきたヴィンランドという地。そのヴィンランドにもうすぐ辿り着く…と思うと本当に感慨深いです。18・19ページでトールズのことをレイフさんが語るのですが、19ページで目頭が熱くなりました。トルフィンにとって、3人の"父"。トールズ、レイフさん、そしてアシェラッド。本当に、今のトルフィンの姿をトールズとアシェラッドに見ていて欲しいと思います。
 しかし、ヴィンランドに行く前に一騒動…ギョロ…お前ってヤツは…。でも、話は進みますが182話でトルフィンがギョロを戦士の視点で分析し語る言葉が意味深。もし、ギョロが戦士だったら?ヴァイキングを率いる立場になったら?ギョロは今のギョロのままでいて欲しいし、トルフィンの祈りも通じて欲しい。

 ヴィンランドに向けて海を渡る一行。ヴァイキングたちは世界各地を侵略した一方で、方位磁針がなくても海を進むことができる航海術を確立させ、世界中と交易していた歴史もありました。でも、ヴァイキングたちは世界は平坦だと思っていた。海には怪物ヨルムンガンド(大ウミヘビ)がいて、海の果て、ミッドガルドの端から落ちてしまうかもしれない、と信じていました。これもヴァイキングたちが宗教として信じていた北欧神話の物語ですね。そこでヒルドとカルリの会話がすごい。カルリくんは将来大物になるのか…?

 北米に到達したトルフィンたち。ここで、ある問題が。アイスランドやグリーンランドの人々は農耕を知らない。畑を知らない。荒涼とした寒い土地しかしらない。アイスランドやグリーンランドよりも暖かくて森があれば羊を飼える。その視点は私も抜けていました。しかし、トルフィンはある提案をする。この森の地に残る者は残ってもよい、と。今後の方針を語るトルフィンを見たヒルドさん…さすが見抜いています。とても穏やかな表情になり、商人として生きているトルフィンですが、今も「戦士」なんですね…。剣を持たなくても、違う「戦い」をしている。トルフィンの20年の重みをここでも感じます。

 更に南下し、レイフさんが言っていたヴィンランドを見つけます。ついに、ついに辿り着いた!25巻でようやく!!…と喜びたいのですが、簡単にはいかない。トルフィンはヴィンランドで国を作りたい。開墾し、畑を作り、作物を育てる。それに適した場所。かつ、誰の土地でもない場所。探して、探して見つけた場所で開墾を始めます。その場所にトルフィンとエイナルが持ってきたあるものにまた目頭が熱くなりました。エイナルにとっては忘れられない大切な存在ですものね。ヴィンランドに一緒に来たかったですよね。きっと見ていてくれると思う。

 24巻で登場し、今後鍵になる人物になるんだろうなと思ったイーヴァル。トルフィンと毎日のように意見が対立する。戦争についてトルフィンと話した時、「男は好きだろが普通 てめェのほうがおかしいんだよ」(150ページ)とトルフィンに言い放つ。一方のトルフィンは、もうひとりの「戦争が嫌いな男」の話をする。あの人か…。そうか、登場はしていないけど、トルフィンもあの人が今も何をしているのか知っているんだ。戦争のない世界を作りたい、と戦争が日常の地から遠く離れたヴィンランドにやって来たのに、戦争から離れられない。トルフィンの理想はどうなってしまうのだろう。

 25巻の終わり、事態が動き出します。さて、どうなるか…。


 「ヴィンランド・サガ」のアニメ2期もですが、幸村先生の前作にしてデビュー作の「プラネテス」。アニメの再放送が始まります!
NHK : アニメ: プラネテス
 2003年の作品…20年近く前のアニメですが、まさに今の宇宙開発がこのプラネテスの時代に繋がっていくんだろうなと思います。原作のよさを活かしつつ、アニメオリジナルのキャラクターやストーリーも加えて、アニメはアニメで大好きです。OPを観れば1分半で宇宙開発の歴史がわかるし、毎回どこか変化するOPも当時としては斬新でした。とにかく楽しみです!! I copyです!観ます!!
 
# by halca-kaukana057 | 2021-12-16 22:40 | 本・読書
 ずっと、私が好きなものについて表現することに葛藤してきました。私は自分の本当に「好きなもの」を表現することに抵抗がある。怖い。他者のネガティヴな反応を先に想像して手を止めてしまう。でも、少しずつ、表現できるかもしれない、表現してみよう、技術などが伴わなくても「好きなんだ」という気持ちを形にしてみよう、誰かが私の表現したものについてネガティヴな反応をしたとしても多分大丈夫…と思うようになりました。

 アニメ「映像研には手を出すな!」再放送も毎週観ています。毎回、やっぱりこのシーンが好きだなぁと思っています。ちょっと長くなりますが、強く印象に残っている6話の金森氏と、7話の水崎氏の言葉を引用します。

 まず、6話の金森氏の言葉。スランプにハマってしまった浅草氏への言葉です。

あんたは万人に合わせて絵を描けるほど器用な人間なんすか。
人の目なんか気にせず描きゃいいんすよ。
あのねぇ、あんたがダメだと思うからこの作品はダメなんですよ。
他人なんて関係ない。
あんたはあんたが満足できるロボットを好き勝手描く以外の選択肢はないんすよ!
みんな、あんたが指示したものに近づけるため最善を尽くしてる。
それはあんたがいいものを想像していると期待しているからです。
あたしは文化祭に間に合うなら内容についてはとやかく言わない。
だが!出来上がったものがクソ面白くなかったら責任は全部お前にあるからな!
なぜなら、あんたは監督なんだ。

 次に、7話の最後、水崎氏がアニメーションを描くことへの情熱を語ったシーン。

(金森)水崎氏の作画へのこだわりは細かすぎて伝わらないヤツじゃないんですか。

でもわかる人にはわかるんだよ。みんな自然とやってるもんだし。
例えば金魚の尻尾がヒラヒラしてるのってキレイじゃん?
桜吹雪とかもさ。
ダンスも動きのパフォーマンスじゃん。

あまりデフォルメ化されてない地味なしぐさでも
「動きの細部に注目して描いてる」って点で強いインパクトを持ってんだよね。
そこが実写とは違うとこ。ロケットってさ本体がかっこいいわけじゃなくて。
まぁそうなんだけど軌跡とか煙の動き含めてかっこいいわけじゃん!
だから、こんな画じゃダメで…
(中略)
「ロケットはここがかっこいいんだ!」って画圧に感動するわけよ!!
「わかってんじゃんアンタ!!」ってさ
どこの誰だか知らないけどアンタのこだわりは私には通じたぞ!!って。
私はそれをやるためにアニメーションを描いてるんだよ!

(浅草)最強の世界は自分で描くしかないもんな

チェーンソーの振動が観たくて死にかかってる人がいるかもしれない。
私はチェーンソーの刃が跳ねる様子を観たいし
そのこだわりで生き延びる。
大半の人が細部を見なくても私は私を救わなきゃいけない。
動きの一つ一つに感動する人に私はここにいるって
言わなくちゃいけないんだ!

 水崎氏の「私は私を救わなきゃいけない」この言葉に特に強く惹かれます。

私の考えたもの、つくりたいもの、表現したものは既に誰かがやってることだろうし、他よりも技術的に劣っていると思う。
私にしかつくれないものをつくりたいとは言わない。私にしか、なんてきれいごとは言わない。
でも、誰かが既につくってても、誰かよりも劣っていても、ただ単に私は自分でつくりたい。
自分の需要のためだけに、自分で自分の需要を満たす。
私が自分でつくりたいからつくる。表現する。私の興味のためにやる。私がやりたいから、好きだからやる。本当にそれだけ。

 このブログは、やはり私が私自身のために書いていると思う。私にとって、書く(描く)こと、つくること、表現することは自分のためなんだと思う。自分の現在地を知るための。以前、過去記事ばかり読まれて、過去記事が恨めしいなんてことを書きました。それでも完全に「過去のもの」になってしまった過去記事も消さずにいますが、それは誰かのログのためではなく、その時の自分自身を知るため。それがちょうど他の誰かの知りたいことに繋がっているみたい。
(だから、その記事が私の望まないものに使われるなら、私は潔くその記事を消す覚悟があります。)

 まぁ、今の私の興味関心の方も読んで欲しいというのが正直な気持ちですが。

 自分自身のために書くので、それを全てこのブログに書くこともありません。これは完全に自分のためだけだなと思えば、それはオフラインで書いています。オフラインで書くのも楽しい。文章がめちゃくちゃでも、想像妄想全開でも構わないから。このブログの更新が止まった時は、オフラインで楽しんでいると思ってください。

 以前よりもずっと気持ちが楽になっています。 
# by halca-kaukana057 | 2021-12-12 22:01 | 日常/考えたこと

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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