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 青森県立美術館にて開催中の、「新海誠」展に行ってきました。このブログでは、「言の葉の庭」の映画と小説を取り上げています。その他にも、「ほしのこえ」、「秒速5センチメートル」、「君の名は。」はテレビ放送されているのを観ました。「君の名は。」は小説も読みました(小説を先に読んだ)。どの作品も、アニメーション映像の美しさに惹かれています。原画や絵コンテ、実際の映像から、新海作品に迫る展覧会です。

青森県立美術館:新海誠展 「ほしのこえ」 から 「君の名は。 」まで が開催されます。
新海誠展:「ほしのこえ」から「君の名は。」まで

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青森県立美術館のいつもの建物に、どーんと「君の名は。」をはじめとした新海作品が。

 今回の特別展はボリュームがあります。じっくり観て回ると2時間はかかります。そのくらい、ひとつひとつの作品を丁寧に展示、解説してありました。神木隆之介さんによる、音声ガイドもあります。それを聴きながら周りました。

 「ほしのこえ」は、新海監督がひとりで、デジタルアニメーションで制作した、いわばインディーズ作品。20分程度の作品ですが、少年少女の恋あり、宇宙SFあり、新海作品特有の切なさあり…とたっぷりな作品と観ていました。2002年に公開され、当時使われていた携帯電話のメールがコミュニケーションツールになっていたのも、今観ると懐かしい。新海監督がアニメ界に与えた衝撃がどれほどであったか、実感できました。当時新海監督が使っていたPCやペンタブレットなどの置かれた机も展示されていました。当時はブラウン管ディスプレイだったんだよなぁ。

 第2作「雲のむこう、約束の場所」は、舞台が青森でもあります。映画は少し観ただけなので、ちゃんと全部観たい。長編作品になり、制作メンバーも増えた。舞台を青森の津軽半島にしたのは、実際に訪れた新海監督が、生まれ故郷に似ていたから、なんだそう。まだちゃんと観ていないので物語がよくわからないところがあります。ただ、映像は本当にきれい。廃駅と水溜りや、雪や空や雲が。

 第3作「秒速5センチメートル」、好きな作品です。これまで宇宙やSF要素を物語に入れてきたが、自分の手の届く範囲の物語にしたいと舞台は現代日本に。SF要素もなくなります(種子島のロケットは出てきますが)。美しい映像に描かれる男女のすれ違い。映像だけでなく、すれ違い、微妙な心理描写も切ないけど美しいと思える。新海作品のそういうところが好きだなと思います。

 第4作「星を追う子ども」で方向転換。新海監督がつくりたいものと、観客が観たいものを考えた結果、観客が観たいものを優先。しかし、かねてからの新海作品ファンには不評…悩むところとなりました。「星を追う子ども」は観ていない。確かに、これも新海監督の作品なの?と思ってしまった。映像の美しさとかはそのままなんだけど…。試行錯誤し、悩んで、続く作品がうまれます。

 第5作「言の葉の庭」。やっぱり一番好きなのがこれ。新海監督がつくりたいものと、観客が観たいものについてもう一度考え直し、その答えがこれだったそう。日本庭園、雨の情景などの美しい景色に、すれ違う男女。「言の葉の庭」は小説でも読んで、物語をよく知っているから展示も面白いと思えるのかもしれません。でも、不器用な主人公とヒロインや、雨の描写には本当に惹かれる。雨だけで沢山の表情があり、表現がある。神木さんが「この作品で雨の日が好きになった方もいらっしゃるかもしれません」と音声ガイドにありましたが、その通りです。雨が憂鬱だなと感じると、「言の葉の庭」を思い出すと好きになれそうです。展示には、タカオが作った(であろう)靴の実物もありました。これかぁ!

 そして第6作「君の名は。」。新海監督がつくりたいものと、観客が観たいものがうまく一致してこうなったのだと思います。わかりやすいけれども謎のある物語。コミカルなシーンもありつつ、男女の切ないすれ違いと、会いたいというお互いの気持ちをいいタイミングで出している。美しい映像。残酷なところはあるけれども、それをも美しいと思ってしまう…。天文好きとしては、彗星について思うところは色々あるのですが、観はじめるとついつい観てしまう。ラストは、観客(新海作品に馴染みのない人も)が観たいものをうまくいれたな、と。「秒速5センチメートル」のようには終わらないのが、変化だなと思いました。

 そんな美しい映像を作るために、絵コンテやビデオコンテ(ビデオコンテの存在は初めて知りました)をじっくりとつくっている。背景も何重にも重ねている。「君の名は。」を制作した新海監督のPC環境の机も展示されていました。「ほしのこえ」と比較すると、時代は、技術は変わったなと思います。「ほしのこえ」では携帯電話だったのが、「君の名は。」ではスマートフォン。何かを表現し、それを商業作品として世に送り出す苦労も感じられました。

 展示の終わりに、これまでの作品を繋げたショートムービーがあります。その映像とメッセージには見惚れました。

 こんなものもありました。これは撮影OKです。
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 アレです。

 展覧会に行って帰ってきた後、これまで観た新海作品を観直したいし、また映画を観ていないものは観たい、小説をまだ読んでいないものは読みたいと思いました。

【「言の葉の庭」関連記事】
小説 言の葉の庭
[アニメ映画]言の葉の庭
 展示を見て思ったのですが、ユキノの部屋にて、2人はマリメッコのマグカップを使っています。が、ガラスのコップは…イッタラの「アイノ・アアルト」ではないでしょうか…?形が似ている…気がする…?

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by halca-kaukana057 | 2018-11-21 22:56 | 興味を持ったものいろいろ
 4月からの再放送もしっかり観ていました。「宇宙(そら)よりも遠い場所」漫画2巻です。


宇宙よりも遠い場所 2
よりもい:原作 / 宵町めめ:漫画 / KADOKAWA メディアファクトリー、MFコミックス アライブシリーズ / 2018

 キマリたちが南極に出発する日が近づいてきた。報瀬や日向、結月と準備を進めるキマリ。一方、キマリの幼馴染のめぐみは南極へ行くことを決め、準備に励むキマリを見てもどかしい想いをしていた…。いよいよキマリが南極に出発する朝、めぐみがキマリの家の前にいた…。
 南極への玄関口、オーストラリアのフリーマントルに着いた4人。そこでは、「南極チャレンジ」の南極観測船・ペンギン饅頭号と、隊長の吟やかなえが待っていた。南極で行方不明の母と親しく、「南極チャレンジ」を共に立ち上げた吟たちにたいして、報瀬の態度は…。

 アニメでいうと、5話、7~9話です。4話は特別編で、6話は後でじっくり日向回のようです。

 5話(漫画だと5、6話)は何度アニメを観ても、そしてこのコミック版を読んでも、胸に突き刺さるけれども、勇気を貰える。失敗することを恐れて、何かをやりたいと思っても前に進めずにいたキマリ。そんなキマリのお姉さんのような存在のめぐみ。キマリは弱気で怖がり、勇気のない自分を「嫌い」と思っていた。めぐみにいつも背中を押され、一緒にいて、安心を得ていた。それが、報瀬と出会い、南極に行くと決めてからは失敗するかもしれないという現実にもめげずに南極に向かって前に進んでいた。これがキマリの視点。
 一方、めぐみの視点。「頼ってもらっている」自分が安心できる…キマリと一緒にいる時間が減って、それを自覚してしまった。そして、めぐみがとった行動。最初アニメを観た時は許せないと思いましたが、何度も観ている、読んでいるうちにめぐみの気持ちもわかると思った。(でも、悪い噂を流したことは許せない)
 学生時代にしろ、社会人になってからも、先輩でいる、リーダーを務め、「頼られている」のは気分がいい。でも、先輩だから、リーダーだから、自分が動かしているわけではない。後輩たちや他のメンバーも動き、支えている。先輩・リーダーの自分も支えられている。そのうち、後輩が一人前にできるようになったりするとさみしくなる。また頼ってくれないかな、何かあったら助けてあげるよ、なんて思ってしまっている(自分でもなんと傲慢か…)。ここで、考え方を変えられないとずっと傲慢な困った人のままだ。
 めぐみはキマリの出発の日にある決意をする。旅立つキマリのために、自分のために。50ページ、53ページのめぐみのセリフが突き刺さる。そんなめぐみに対するキマリの態度がまた強くてしなやか。キマリは一気に成長していた。
 この箇所で出てくる、日向の名言は事あることに思い出しています。
「人には悪意があるんだ。悪意に悪意で向き合うな。胸を張れ」

 7話から9話(漫画だと7話から9話)は、報瀬と吟を中心に、かなえたち大人の視点、船に乗り込んだキマリたちの視点でも描かれます。吟やかなえが思い出す報瀬の母・貴子のこと。「南極チャレンジ」の置かれている微妙な立場。大人たちの3年ぶりの南極観測への思い。この3年で何があったか。大人社会の現実を突きつけられるけれども、それでも南極に向かう。南極に向かわずにはいられない。そんな大人たちの姿がいい。
 キマリたちも、南極への航海の厳しさにぶちあたるも、102、103ページのキマリのセリフは事あるごとに思い出す。何かに挫けそうになった時、「選択肢はあったけど、自分で選んだんだ」と言い聞かせる。

 報瀬にとっては、母と向き合わねばならない航海。今までは、ただ「お母さんのいる南極に行きたい」という気持ちで突っ走ってきたが、その「南極に行く」ためには、様々なものが報瀬の前にあった。吟の存在もそう。吟から見た報瀬も、貴子のことを思い出さずにはいられない。だが、南極へ向かう厳しい航海、荒れ狂う海、行く手を阻む定着氷。戦い、乗り越える。何度も挑む。吟の中にも、報瀬の中にも、明るく逆境に立ち向かう貴子の姿があるのがじわりとくる。ラミングのシーンは熱いです!

 いよいよ南極到着。漫画を読んでていても、あのセリフを言ってしまいますね(勿論ひとりきりの部屋で) ざまーみろー!!
 それぞれの心の奥底に触れられる2巻、「よりもい」の魅力が詰まっています。

◇1巻:【アニメ コミカライズ】宇宙よりも遠い場所 1
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by halca-kaukana057 | 2018-10-02 23:11 | 本・読書
 読んで、感想を書いていない本もたくさんあるのですが、アニメが絶賛放送中、後回しにしていたらアニメが終わってしまうので、こっちを先に書きます。
 現在放送中のアニメ「宇宙よりも遠い場所」(「宇宙」は「そら」と読みます。公式略称は「よりもい」)の漫画版です。このアニメは小説や漫画などの原作のないオリジナルアニメ。なので、この漫画の原作はアニメです。アニメが原作です。



宇宙よりも遠い場所 1
よりもい:原作 / 宵町めめ:漫画 / KADOKAWA メディアファクトリー、MFコミックス アライブシリーズ / 2018

 高校2年生の小淵沢報瀬(こぶちざわ・しらせ)の母・貴子は南極観測隊員だが、報瀬が中学生の時、南極で行方不明になった。母のいる南極に行きたい。その一心で、南極に行くための資金稼ぎのバイトに明け暮れる毎日。クラスメイトたちからは、南極なんて行けるはずがないと嘲笑され、友達もおらず浮いていた。バイトでついに100万円を貯め、通帳からおろしたお金を落としてしまった報瀬。学校のトイレで泣いていたところに、いつの間にかいたのは同じ高校2年の玉木マリ(通称:キマリ)。キマリが100万円を拾って、報瀬を探し当ててくれた。キマリに南極のこと、母のことを話し、母の著書「宇宙よりも遠い場所」を手渡す。それを読んだキマリは報瀬の南極行きのことを応援すると言い出す。それなら、一緒に南極に行こうと言う報瀬。だが、これまで、南極のことに興味は持っても本気で行きたいという人はいなかった。だが、キマリは…


 アニメは序盤はキマリの視点が多かったのですが、コミカライズは報瀬の視点。「南極」と呼ばれ嘲笑されるシーンや、多少なりとも人間不信だった報瀬はアニメではそんなに描かれないので、これはこれで面白いです。あと、報瀬が目指す民間の南極観測隊に関する事前情報も(アニメの2話の部分)。でも、基本的にアニメと同じです。アニメは毎回テンポがとてもよく、そして泣かせてくる。青春っていいなぁ、何かに向かって一生懸命になれるってキラキラしていていいなぁと思い、泣けてくる。アニメはそのテンポで観られるので爽快ですが、じっくり味わいたいシーンもある。漫画なら、自分のペースで味わえるのでそこがいいなと。

 途中から、南極を目指す仲間が増えます。キマリが資金稼ぎのために始めたコンビニのバイトの先輩、だけど同じ16歳の日向。高校は中退したが、既に高認はとっており、大学入試の模試はA判定。アニメでも、陽気でとても賢い、人生経験豊富な女の子です。ただ、アニメの2話に当たる部分で、日向にとって大事なキーワードが語られていない…。
 もう1人が、北海道に住んでいるひとつ年下の結月。小さいころから子役として活躍し、今はCDデビューもしたタレント。しかし、本人はその歌を気に入っておらず、仕事でこれまで友達がまったくいなかったことをとても気にしている。高校に入って、友達になってとクラスメイトに声をかけたものの…。南極行きのキーパーソンになる子です。途中から、報瀬から結月に視点が変わります。確かに、アニメの3話は結月視点じゃないとできない。友達に憧れ、でも出来なくて苦しむ結月の姿は辛いです。

 この作品を観ていると、皆、何かしらネガティヴな部分、暗いもの、「負け組」なところを持っている。そんな状況にあるけど言いたい奴には言わせておいて、がんばって夢を叶えて、バカにしている奴らに「ざまーみろ!」と言うのが目標だったり、足りないもの、欠けているものを手に入れよう、そんな自分になりたいともがいたり。そんな姿が自分(過去も現在も)に重なるところがあって、そこでも泣けてしまう…。

 アニメを観る前、アニメが気になっているけど観そびれたという人には、ちょっと説明が必要なところがあります。後でアニメも観るなら問題ありません。アニメを観て、漫画の視点も楽しみたいという人向けのような気がします。漫画だけ、はちょっと厳しいかもしれません。

 ちなみに、何故南極が「宇宙よりも遠い場所」なのか。宇宙飛行士の毛利衛さんが南極に滞在した際、宇宙ならロケット(毛利さんの時はスペースシャトルですね)で数分あれば行けるのに、南極は何日もかかる、宇宙より遠い、という言葉に由来しています。あと、物語の舞台は群馬県館林市。アニメのOPでも出てくるのですが、同じく、宇宙飛行士の向井千秋さんの出身地です。宇宙好きにもたまりません、このアニメ。漫画では館林が舞台ということが全くわからないので残念です。

TVアニメ「宇宙よりも遠い場所」公式サイト
 アニメを観て、漫画で補完して、楽しもうと思います。本当、毎週楽しみなアニメです。

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by halca-kaukana057 | 2018-02-26 22:57 | 本・読書
 昨年公開された映画「劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス」(原題:Moomins on the Riviera/Muumit Rivieralla)をようやく観ました。劇場では観れず、DVD待ちでした。

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス[通常版] [DVD]

バップ



◇公式サイト:映画『劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス』公式サイト
◇原作本公式サイト:筑摩書房:映画『劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス』特設サイト
 原作は、ムーミン・コミックス第10巻「春の気分」に収録されている「南の島へくりだそう(Familjen Lever Högt)」.

ムーミン・コミックス(10) 春の気分

トーベ・ヤンソン、ラルス・ヤンソン:著/冨原眞弓:訳/筑摩書房


南の海で楽しいバカンス

トーベ・ヤンソン:原作/末延弘子:訳/冨原眞弓:監修/筑摩書房


 原作を元に、映画を絵本化。2014年、フィンランドで刊行されたものの日本語版。

 これまで、ムーミンの物語はフィンランド本国ではアニメ化されていませんでした。今回、初めてフィンランドでアニメ化。全編手描きです。手描きでこそムーミンです。音楽もとてもいいです。サントラあるといいのにな。

 ムーミン谷の近くの海。ある日、海賊船が難波しているのをムーミンたちが見つけます。船から逃げ出した捕虜のミムラ、ミィ姉妹に出会い、船の中には何があるだろう…ムーミンとムーミンパパ、ムーミンママは船の中へ。熱帯植物の種や花火を見つけます。
 一方、フローレン(スノークのお嬢さん)は南の海のリゾート・リヴィエラについての記事を雑誌で読み、行きたいと言い出します。行くことに決めたムーミン一家とミィは、ボートに乗りリヴィエラを目指します。途中嵐に遭いながらも、何とかリヴィエラに着いた一行。ムーミン谷とは全く異なるリゾートに、ムーミン一行は…。

 まず、アニメの絵。日本のアニメ「楽しいムーミン一家」のようなカラフルなパステル調とも違う、あたたかな、幻想的な色遣い。ムーミンたちのキャラクターデザインは原作のムーミンコミックスを再現しているので、アニメのムーミンと言えば「楽しいムーミン一家」の私は慣れるまで時間がかかりました。

 物語は不思議です。海賊の箇所など、原作のムーミン・コミックスにはないところもあります。ミィとミムラとの出会いも、何故こんなところで、こんな時に…?ストーリーで、首を傾げたくなるところは少なくありません。そう、この何かズレてる不思議な感覚が、この映画ムーミンの持ち味なのだと思います。ムーミン谷を出て、全く違う世界にやって来たムーミン一行。リヴィエラでのヴァカンスを楽しむフローレン、友・モンガガ侯爵という話し相手が出来たムーミンパパ。一方で、ムーミンママは部屋や食事などで、豪華なホテルでの暮らしに馴染めない。ムーミンも、フローレンが金持ちのクラークと仲良くしていたり、大女優・オードリー・グラマーに夢中なのに納得がいかない。ミィはいつものマイペースです。ムーミンパパがモンガガ侯爵と飲みながら過去の冒険を語り合ったりしているのはいつものムーミンパパだなとは感じるのですが、フローレンが何かズレている。金持ちたちの中に入ろうと、華やかな服を買おうとしてあることをしたり、クラークとの付き合いが何か合わない。「ムーミン」の物語の世界は、ムーミン谷。ムーミン谷で「イモを育て、平和に暮らしている」。自給自足で、(北欧がモデルの舞台?の)ムーミン谷の自然の中で、様々な人々や動物たちと気ままに暮らしている。一方、リヴィエラはお金が無いと何も出来ない。ホテルや金持ちたちとの社交パーティでは、そのコミュニティでのルールがある。ムーミンママはチップのルールも知らない。知らなくて当然、そんな世界とは無関係に暮らしてきたのだから。ムーミン視点で見ると、リヴィエラは何か違う、何かズレた世界。

 クラークやオードリー・グラマーはリヴィエラの世界の住人。モンガガ侯爵がキーパーソンになります。金持ちの貴族だけれども、質素で自由なボヘミアンな生活に憧れている。実は芸術家。ムーミンパパとの出会いで、自分もムーミンパパのように暮らしてみたいと、邸宅から離れて、芸術に没頭する暮らしを始めるが…。それから、もうひとり(人ではないが)キーパーソンが犬のピンプル。ピンプルも原作には出てこないキャラクタです。犬だけど、ネコしか好きになれない。ムーミンママはそんなピンプルの友達を探し、あることを思いつきます。

 そのコミュニティ(リヴィエラ)に馴染んでいる、そこでの生活が当たり前だと思っている人。一方で、今いる場所に違和感を覚え、違う世界で生きたいと思っている人。リヴィエラで、ムーミンたちはそんなふたつのタイプの人たちに出会います。違う世界で生きたいと思っている人はどうするか。それは映画を観てのお楽しみ。特にピンプルは深いキャラクタです。

 これまで様々な媒体で、「ムーミン」の物語とトーヴェ・ヤンソンの想いに触れてきましたが、この映画でもヤンソンの想いが反映されていました。反映されてなければ「ムーミン」じゃない。「ムーミン・コミックス」は「たのしいムーミン一家」が英訳され、イギリスで人気が出た後に、ロンドンの夕刊紙「イブニング・ニュース」に連載されたもの。「ムーミン・コミックス」では一気に世界的作家となったヤンソンの心の内を垣間見ることができます。この原作「南の海にくりだそう」でも、人気作家ヤンソンの心の内が表現されているのかな、と思ったりもしました。

 可愛いアニメのムーミン…と思って観ると、ちょっと拍子抜け、もしくは違和感を覚えるかもしれません。是非原作もお供に、「ムーミン」とヤンソンの独特の世界に触れられるアニメです。

 最後に、映画の中では問題発言?も出てきます。それ言っちゃイカンだろ!wとツッコミたくなるセリフがいくつか。元のフィンランド語、英語版でも同じなんだろうか…。こんなシニカルさもムーミンの持ち味です。
 あと、フローレンですが、この名前は日本語版での名前。アニメ「楽しいムーミン一家」がベースになっています。フィンランド語ではNiiskuneiti(ニース(フィンランド語版でのスノーク)のお嬢さん)、英語ではSnorkmaiden(スノークのお嬢さん)です。
◇英語版ウィキペディア。日本語版はない!:Wikipedia:Moomins on the Riviera
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by halca-kaukana057 | 2016-06-20 21:59 | フィンランド・Suomi/北欧
 先日記事にしたNHK「生命大躍進」関連アプリ「コダモン」。すっかりハマっています。
・過去記事:「コダモン」古生物の進化をたどる、生易しくないはるかな旅路

 最近、「コダモン」関連で検索していらっしゃる方が増えている。しかも検索ワードには「進化しない」…。皆様、進化がそこで途切れている"袋小路"から抜け出せずに困っているのか…私と同じように…?
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 古生代のハルキゲニアから始まる無脊椎動物場合、こうなっています。アノマロカリスの後、黄色の矢印の右に進むとそこで進化が途絶え、最初のハルキゲニアへふりだしに(進化が途絶えるとわかってしまうと切ない…)。水色の矢印の左に進みたい。でも、右に進む遺伝子が出てきてしまう。左へ進む遺伝子がなかなか出てこない。ここで悩んでいると思います。私もです。何回やっても何回やっても右側へ。生命進化は難しい、そう簡単には進めない…。でも、このまま袋小路に嵌っていたら、次に進めない。クリアできないよこれ!

 というわけで、私も色々と調べました。そして、コツを見つけました。
 上の系統樹の、右側へ進む遺伝子が出てきても、遺伝子ポットを振らない(振ると進化する仕組み)。左側へ進む遺伝子が出てくるまで、ひたすらチャレンジを続ける。そのうち、左側へ進む遺伝子が出てきます。出てきたら遺伝子ポットを振って進化させる。次の分岐点に来ても、同じように。
 注意は、遺伝子が出てきた後、間違って「遺伝子ポット」の部分をタップしないこと。タップしてしまうと、振らなくても進化します(あれ、振らないと進化しないんじゃなかったのか…?)。進化させない時は、すぐに「ちょっとでチャレンジ」をすると、遺伝子ポットをタップしても何も起こりません。
 コツ、と言っても、出てくるまでひたすら続ける…忍耐勝負です。やっぱり生命進化の道筋は厳しい…。
 携帯端末の充電もしっかりしておいてください。

 ひたすら遺伝子を溜め込んだ結果がこれ。
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 ポットにいっぱいの遺伝子…(このゲームでは遺伝子はこんな風に宝石のようなデザインをしています)。同じのもいくつも。
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 進化の先に辿り着くと、出てくるメッセージも変わります。
 
 ということで、古生代の無脊椎系統はコンプリートしました!次はピカイアから始まる脊椎動物系統。こっちは長いです。忍耐勝負です。皆様もレッツチャレンジ。

*****

 この「コダモン」に関連している番組は、Nスペ「生命大躍進」と、Eテレアニメ「ピカイア!」。この連休中に4話まで放送されました。昨年春にパイロット版が放送され、これは一体何のアニメだ?しかもカンブリア紀のバージェス動物群を扱うなんて…と気になっていたのですが、本放送がスタートしました。
NHK:ピカイア!
 時は少し未来。地球に生命が棲めなくなってしまった時代。宇宙コロニーで暮らす少年・ヴィンスと少女・ハナ。地球でまた生物が暮らせるように、とパーカー博士と助手のモーリスが進めている「カンブリア・プロジェクト」の調査員として、5億年前のカンブリア紀の海へ向かうことに。カンブリア紀の生物・ピカイアをモデルにしたテスター・ピカイアも一緒に大冒険が始まる、が…。

 本放送の1・2話がパイロット版に当たりました(録画を引っ張り出して観た)。キャラクターも増え、「カンブリア・プロジェクト」やメカニックの設定も広がりました。
 こども向けの科学学習アニメではありますが、カンブリア紀好きにはたまらない。カンブリア紀の生物たちが次々と出てきます。アニメ内でCGになっているのが時代の流れを感じさせます…。好奇心旺盛なヴィンス、勝気なハナのコンビがいい。ピカイアも可愛らしいキャラクターデザイン。パーカー博士は落ち着いた研究者でもありますが、その場で次元転送に関しての注意や先に言っておくべき大事なことを2人に伝えるなど、なかなか油断できない一面も…。助手のモーリスは至って冷静沈着。だが、4話、不穏な動きを…。ここで続きの5話以降は夏に放送とは…。きつい…。

 物語の鍵になっているのが、「バイオミメティクス(biomimetics)」。パイロット版では「バイオミミクリー(bio-mimicry)」。どちらも日本語で言うと「生物模倣」。様々な生物の機能を模倣して、新しい技術に応用すること。物語ではサメの皮膚の構造を応用して、水の抵抗を少なくしより速く泳げるようにするものなどが出てきました。身の回りの様々なモノも、元をたどれば生物が進化の過程で発達させた特徴に辿り着く。これはあの生物が元だったのか!と気付いたり、この生物の機能を応用すれば、こんなものも出来る、現在研究中のものある…そんな発見が興味深いです。

 ちなみに、全13話とのこと。15分番組ですが、アニメパートは大体10分。アニメパート約10分で13話…かなり短い。どうなるんだこの物語は?
 残り5分程度は、モーリスがその回に出てきた生物、用語などについて解説をする「教えてモーリス」。一貫してクールなモーリスが「冗談です」と本気のような冗談を言うことも…。
 夏の放送が待ち遠しいです。何だか、2回の先行放送を経て本放送が始まった人形劇「ホームズ」のようだな…。
 その前に、Nスペ「生命大躍進」第1集は今度の日曜10日21時。「コダモン」に番組関連クイズが出てくるので、「コダモン」を起動させて観ます。

 …が、ちょっと個人的に困った話を。この10日21時。総合はNスペですが、Eテレは「クラシック音楽館」。パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響の、シベリウス・ヴァイオリン協奏曲とショスタコーヴィチ交響曲第5番。…古代生物、カンブリア紀も大好きですが、シベリウスにショスタコーヴィチも大好きで…何故ぶつけた!?と頭を抱えています…。よりによって…。

【追記】
 さらにその後:「コダモン」続報:古生代クリア! だが…?

 その続き:「コダモン」続報:古生代クリア! だが…?
 まだ続く:【コダモン 続報】大事件発生!!
 ついに古生代完全クリア!!:【コダモン 続報】古生代完全クリア!!
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by halca-kaukana057 | 2015-05-06 23:31 | Eテレ・NHK教育テレビ
 昨年は「シャーロック・ホームズ」シリーズにハマるという、なかなか面白い"事件"かつ"冒険"が起こりました。
 NHK人形劇に始まり、原作(正典)、BBC制作の現代版「SHERLOCK」(三が日、第3シリーズが再放送されていましたね。シリーズ2まで観ていた私には初見なので嬉しいお年玉でした!)、ジェレミー・ブレット主演のグラナダ版(ここまで、全部NHKで放送されてるってどういうこと…w)。ロバート・ダウニー・Jr主演の映画もテレビ放送があったので観たのですが、カットしまくり、CM明けの煽りなどの過剰演出に閉口したのでDVDで観ます。あと、アメリカCBS制作の「エレメンタリー ホームズ&ワトソンin NY」、第2シリーズの1話だけ観たのですが、斬新な「ホームズ」で面白かった。BBCと同じく現代版なのですが、舞台はニューヨーク。ワトソンは女性!?そのワトソンを演ずるルーシー・リューがとてもカッコよく、美しく聡明で素敵です。これもDVDで観たいなぁ。

 と、今放送されているorDVDなどで観られる代表的な映像作品はこのぐらい…?いえ、まだありました。アニメ「名探偵ホームズ」。通称「犬ホームズ」。ホームズやワトソンたちが犬のアニメ…リアルタイム世代のはずなのですが、観た記憶が無い…。でも大丈夫。放送30周年でブルーレイBOXも出ました。
 そして今、無料動画配信サイト「GYAO!」で配信しています。

無料動画 GYAO!:名探偵ホームズ
↑2話ずつ、2週間無料で配信しています。なので、今日現在は1話と5話から。もっと早く記事を書こうと思ったのだが、年末の忙しさで…。

 舞台、年代は正典と同じ。ただ、色々と変えてあります。ホームズは馬車ではなく愛車で移動。パイプはくわえているが、たばこに火は付いていない(煙が出ていない)ので正典ほどのヘビースモーカーではない。コカインもやらず、健康的で若々しい。奇妙な化学実験はするが、良識はあり、依頼人や被害者とのコミュニケーションも普通に取れる。子どもにも優しい。
 ワトソンも、医師でアフガニスタンで軍医をしていた、という正典の設定は受け継いでいるものの、怪我で送還されたわけではない。ホームズと出会ったのも、偶然事件に居合わせたことから。ホームズが解決した事件を執筆しているわけでもない。ホームズの聞き役であり、事件を一緒に追う相棒。ベイカー街221Bに下宿するのは、勿論正典のままです。
 ハドソン夫人は、一般的にはおばさんですが、このアニメのハドソン夫人は19歳。未亡人。とても可愛らしく美しい女性。料理、洗濯、お掃除…家事は何でも完璧。しかも肝も据わっていて、モリアーティに誘拐されても動じない。ホームズもワトソンも、モリアーティまでとりこにしてしまう…ヒロイン的存在です。ワトソンとハドソン夫人が仲良く花壇の花を手入れしているところを見たホームズが、「ワトソンのすっとこどっこい!!」と対抗意識を燃やすのは爆笑しましたw
 そして大きく違うのが、モリアーティ教授。正典の天才数学者というわけでもなく、恐ろしさもあまり強く無い。犯罪を次々と起こすが、ほとんどは金目のものを盗もうと企む。悪知恵は働く。奇妙なメカを発明し、それを駆使して犯行を実行。だが、手下がヘマするし、モリアーティ自身もマヌケなところがあり、ホームズに大体阻止される。そしてモリアーティを逮捕しようとするレストレード警部との追いかけっこ。何だか憎めないモリアーティ…最初、こんなモリアーティありかよ!?と思ってしまいましたが、見続けるとなかなか面白い。

 その面白い見どころが、メカニック。ホームズの車も19世紀末の雰囲気が逆に新鮮。この旧式の車で派手なアクションを繰り広げるのがたまらない。さらに次々と出てくるモリアーティのメカ。自動車、船に飛行機…メカメカしくてとてもいい。
 メカメカしい理由…監督、制作に宮崎駿監督が参加しているから。単独で監督している回も数回あり、その回のメカニックはやはり突出している。宮崎監督といえば空を飛ぶ描写。たまりません。
 アクションも実に爽快。スピード感、空中戦、メカの重厚さと迫り来る動き。これはアニメだからこそですね。しかも80年代のアニメ。全て手描きのセル画。セル画のアニメはやっぱりいいですね。

 推理面はそれほど難解ではありませんが、やはりホームズの観察眼、洞察力、様々な知識や実験を総動員しての推理は興味深いです。どの回が正典のどの話に基づいているか厳格ではないのですが、正典の要素はところどころに散りばめられていて見つけるのが楽しいです。

 そして、映像作品で気になるのは音楽。何と、あのハネケン、羽田健太郎さんが担当しています!これだけで観ると確定しました。事件前の切迫した不穏な音楽。アクションシーンのスピード感あふれる音楽。80年代アニメは音楽界の重鎮が音楽を担当していて、いいですなぁ。

 次回予告のワトソンの「君の周りで何か事件が起こったら、ベイカー街まで知らせてくれたまえ」この台詞がいいですね。ホームズの声は広川太一郎さん。渋くて落ち着いていて、時にチャーミングでもある。グラナダ版の吹き替えの露口茂さんを若くした感じ。ワトソンの富田耕生さん、お茶目でユーモラスな面はあるけれども、やはり渋くてかっこいい。渋い声好きにはたまりません。富田さんと言えば「鉄腕アトム」シリーズのヒゲオヤジ役。好きな声です。

 ということで、26話まで楽しみます。
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by halca-kaukana057 | 2015-01-04 22:38 | 興味を持ったものいろいろ

今日はヤサコの誕生日

 twitter経由で、今日はアニメ「電脳コイル」のヤサコの誕生日だと知りました。2014年10月12日生まれ。ちなみに、イサコは2014年4月4日生まれ。
Wikipedia:電脳コイル

 ということで、久しぶりにヤサコ描きました。鉛筆、モノクロ。
f0079085_2325732.jpg

 「コイル」のキャラデザは難しい…以前描いていた頃も難しい難しいと思いながら描いてましたが、やっぱり難しい!この独特の雰囲気。なかなかつかめません。

 「コイル」の世界は2026年。既に電脳メガネの原型のようなものは出来上がっているし、仮想現実・ARも進化し続けている。あと12年、本当に「コイル」のような世界になるかもしれない…。でも、ネットは人が作り出しているもの。ディスプレイの向こうには人がいる。誰かがいる。それを教えてくれたのが、「電脳コイル」でした。

・最終回の後に書いた感想のような記事:誰かへつながる細い道
私たちにつながる物語 電脳コイル総まとめ
 自分自身、再読したい、再確認したい過去記事です。

 もう一度観たくなりました。終盤、かなり難解な展開だったからなぁ。
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by halca-kaukana057 | 2014-10-12 23:35 | イラスト・落描き

[アニメ映画]言の葉の庭

 先日小説版を読んだ「言の葉の庭」。早速DVDを観ました。
・小説版感想:小説 言の葉の庭

劇場アニメーション『言の葉の庭』 DVD

新海誠:監督/東宝



言の葉の庭:公式サイト
 ↑サイトにジャンプすると、映画の予告動画が再生されるので、音量にご注意ください。

 小説は、結構な長さがあった。それが、元のアニメになると上映時間45分程度。物語はタカオとユキノを中心に進み、小説で登場したタカオとユキノの周囲の人々は、そんなに出てこない。小説が先か、アニメが先かわからないのだが、どちらにしてもあの物語をこんな短い時間にぎゅっと凝縮して、素晴らしい魅せ方をしているなぁと思いながら観ていました。

 予告編映像を観て、この映画が気になったのですが、本編も映像がきれい。美しい。最初は実写かと思った。映像特典のスタッフ・キャストインタビューで色の塗り方について監督が仰っていたのだが、技法についてはよくわからないのですが、美しく魅せることを徹底しているなぁと、そのインタビューから感じました。舞台は東京のど真ん中の公園。東京のど真ん中、周囲には高層ビルが立ち並び駅は人でごった返しているけれども、公園に入れば緑。そして雨。その対比も美しい。高層ビルや駅の人混みまで、違う何かに見えてしまうのだから凄い。
 そして、その公園にいるユキノさん…美しい…。小説でもユキノさんがいかに美しいかについて書かれていましたが、絵で観ると一目瞭然。緑と、雨と、美しい女性。これは惹かれる。

 でも、ユキノは心に傷を負い、暗さ、憂い、脆さ、弱さを抱えている。そのユキノはタカオと出会い、何かが変わりだす。独りで思い悩み、独りで抱え込み、独りうずくまっている。独りで「歩こう」としても、うまく「歩けない」。そんなユキノさんの姿を観て、心が揺さぶられる。心が痛む。一方のタカオ君は、15歳だけれどもとてもしっかりしている。靴職人になりたくて靴を自作し、靴作りのため、進学のためにバイトも頑張る。独りで「歩こう」と前を向いている。ユキノにとって、タカオは希望だったのだろうな。「こんな風に歩けたら」という理想であり、希望である。

 そして、タカオがユキノが何者なのかを知り、クライマックスシーンでは涙腺崩壊。小説ではじんわりとは来たけど、感極まることはなかった。ユキノは、不器用でもある。料理も苦手だが、人と話す、自分の気持ちを伝えるのも思ったようにできない…。そんなユキノがタカオに想いをぶつけるシーン…不器用な伝え方だけど、それが心を打つんだよなぁ…共感しました。もし私がユキノの立場だったとしても、私もユキノと同じような言動、不器用さでタカオに向かってしまうだろう。

 タカオもしっかり者でいい子(でも雨の午前中は学校をサボる)だけれども、ユキノの前では少しその鎧をとっているようにも感じました。ユキノが何者か、ユキノの今後を知って、その原因となった者のところに立ち向かう…あまりに無防備で、無謀で、まっすぐ過ぎる。普段のタカオとは違うタカオの面。ユキノと出会って、逢瀬を重ねるうちに出てきたタカオの一面なのだろうか。

 小説は物語を楽しみ、アニメ映画は映像とタカオとユキノの心の揺れ動き、シーンを楽しむ。同じ「言の葉の庭」という作品なのに、メディアで異なる楽しみ方が出来ていい。アニメ映画はドビュッシーやラヴェル、フォーレなどのフランス近代印象派の音楽のような雰囲気かなと感じました。どこか曖昧で、揺らいでいて、儚くて、美しい。

 音楽も、ピアノをメインに静かで、そっとそれぞれのシーンに寄り添うような形でよかった。

 小説だけ読んで終わらなくてよかった。アニメ映画を観て本当によかった。雨のように、心を潤す作品です。私もうまく「歩けない」状態だけど、不器用でも「歩きたい」。
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by halca-kaukana057 | 2014-09-07 22:21 | 興味を持ったものいろいろ

小説 言の葉の庭

 公開された時から気になっているアニメ映画「言の葉の庭」。気になってるのに、上映館が当地には無く、そしてまだDVDで観てない…。と思っていたら、新海誠監督自らによる小説版を見かけたのでまず小説を読むことにしました。

言の葉の庭:公式サイト
 ↑サイトにジャンプすると、映画の予告動画が再生されるので、音量にご注意ください。

小説 言の葉の庭
新海 誠 /KADOKAWA/メディアファクトリー(ダ・ヴィンチブックス)/2014

 高校生の秋月孝雄は、雨が降ると午前中は学校をサボって、国定公園に向かう。ある日、公園内の東屋にスーツを着た女性がいた。午前中から缶ビールを飲んでいる。孝雄はその女性…雪野にどこかで会っている様に感じる。それから、雨の日になると孝雄と雪野はその東屋で会う。孝雄は母の靴の手入れをしているうちに、独学で靴を手作りしている。そして、いつか靴職人になれたら、と雪野に話してしまった。一方、雪野は「うまく歩けなくなっちゃったの」と孝雄に語る。

 アニメの予告の絵がとてもきれいで印象的だったのですが、小説でもそのきれいな絵が思い浮かぶような物語、文章でした。雨の日、公園の東屋で会う孝雄と謎の女性・雪野。普段ならその雪野について詳しく書こうとするところなのだが、あまり書きたくない。ネタバレ阻止の意味もあるし、私が語るよりも小説で、アニメでその美しさを味わって欲しい、という想いがある。儚く、弱く、傷や陰を抱えている。それが、美しく感じられる。

 孝雄は靴職人を志し、独学で靴を作っている。自分で作った靴を履き、歩いてみてまた改良する。この物語の鍵になるのは、その「靴」、そして「歩く」ことだと思う。外を歩く時、靴を履く。靴を必要としない人もこの世界にはいるが、現代の日本では靴を履かないととても外を歩くことは出来ない。硬いアスファルトは素足では痛い、尖った石ころやガラスの破片などの危険物もある。雨が降れば尚更。靴は歩くための足を守り、体を支え、遠くまで行けるようにしてくれるもの。
 この物語に出てくる人々は、壊れかけの「靴」でうまく「歩けない」人たちばかりだ。表向きは歩いているようでも、心の中、ひとりになると傷や陰が出てくる。壊れかけの「靴」でも歩いていけるように自分の足を強くするか、「靴」を鎧のように頑丈にするか…それが本当に頑丈かどうか、頑丈に見せているだけのこともあるけれども…。または、「靴」も自分も強く「つくっていく」か。その時、一緒に「歩く」「歩きたい」と思う人がいるか。一緒に「歩きたい」と思う人がいれば、そうストレートに簡単にはいかないけれども、「靴」も自分も強く「つくって」いける。孝雄も、雪野も、ひとりで歩こうと思いながら、お互いを気にしている。その想いも簡単には届かない、叶わないが…。

 人と人はどこで繋がっているかわからない。そしてその想いも錯綜する。あちらこちらで絡まり、衝突する。それでも、美しい物語だなぁと思いながら読んでいました。物語に散りばめられた和歌が、その美しさを引き立たせているのかもしれない。

 美しくて、儚くて、辛いけれどもやさしさがある物語。これはアニメも観るしかない。
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by halca-kaukana057 | 2014-08-28 22:09 | 本・読書
 昨年放送されたTVアニメは、現在BS11他で再放送中(でも、途中で変わったオープニング・主題歌は「宇宙戦艦ヤマト」のまま!エンディングも劇場上映版!)、10月には総集編、12月には完全新作映画「星巡る方舟」も公開される「宇宙戦艦ヤマト2199」。そのコミック版もあります。むらかわみちおさんによる「2199」そのもののコミカライズも気になるのですが、こちらを読みました。


宇宙戦艦ヤマト2199 緋眼のエース
東まゆみ:漫画/西崎義展:原作/結城信輝:キャラクターデザイン/マックガーデン・BLADE COMICS/2014

 「ヤマト2199」の航空隊紅一点パイロット・山本玲(あきら)を主人公としたコミカライズです。2199で好きなキャラクタは?と聞かれたら、即「玲ちゃん!」と答えますw雪や新見さん、百合亜ちゃんに真琴ちゃん、ガミラス側ではメルダ他、2199では魅力的な女性キャラクタが活躍していますが、その中でも玲に特に惹かれます。戦闘機乗りとしてクールに活躍するカッコイイ一面。戦闘機乗りを目指すきっかけとなった亡き兄への想い、かなしみを心に押し込んでいる一面。古代に密かな憧れを抱いている一面。メルダと出会った時、感情を爆発させる一面。アニメでは終盤、メルダたちと仲良くパフェを食べ、加藤隊長たちをからかうお茶目で可愛らしい一面も。そんな玲が主人公…嬉しい漫画化です。

 物語は基本的にアニメ「2199」と同じですが、アニメでは描かれなかったシーン、アニメとは違う解釈をしているシーンも多いです。アニメを観ていて、玲が始めに配属された主計科や、雪や百合亜が所属する船務科が具体的に何をしているのかがよくわからなかったのですが、この漫画を読んでようやくわかりました。アニメとキャラデザは同じですが、描き方はやはり漫画家さんの個性が出ます。東さんの描くヤマト2199のキャラクタ、絵がすごく好きです。好みです。玲のクールで、時に可愛いところがよく出てる。他のキャラクタでも、古代や平田さん、真田さんや沖田艦長もアニメの雰囲気そのままに。島は少し若いかな?(あまり登場しませんが…古代もアニメよりちょっと若いかも)

 物語も、玲を中心に、玲の視点で進みます。主計科長の平田さんはアニメでもいい味出していましたが、この「緋眼のエース」でもいい味出してます。…玲にとってはおせっかいのようですが…平田さんを睨む玲が可愛いw航空隊に配属されてからは、加藤隊長と篠原さんが玲の成長を見つめ、見守る。特に篠原さんがいい立ち位置にいて、玲を見守り、理解する。アニメでもこの漫画でも、見た目はチャラいけれどもしっかりと考えて行動している。ヤマトの戦闘機乗り、航空隊副隊長としてちゃんとしている。4話で加藤隊長とともに機体のメンテナンスにトレーニングに熱心な玲を見守りながら、加藤隊長と玲のことを考えている篠原さんがとてもカッコイイです。
 第3話、太陽系赤道祭のシーンではアニメにはない漫画オリジナルのシーンが出てきます。このシーンで玲が語ることからも、玲は飛行機乗りとしても、ヤマトのクルーとしても、とても真面目で、いつも真剣で、仲間を理解しよう、信頼したいと思っているんだなぁ…とじんわり来ます。

 メルダとの対決でも、アニメでの緊迫した雰囲気が伝わってきました。メルダと出会って、玲はまた成長した。それをもう少し描いて欲しかった。
 そう、この「緋眼のエース」は、残念な終わり方をしているのです…。色々事情はあったらしいですが、とてもよい漫画化なので、せめて上下巻で描いてくれたらよかったなぁ。メルダとのシーンももっと見たかったなぁ。
 本当にいい漫画化なのに…!!もっと読みたかった!

 さて、むらかわ版「2199」コミカライズも読みたいな…。最初、漫画化されると聞いた時は、「漫画じゃヤマトの大きな魅力のひとつである音楽が聴けないじゃないか!!」と読まずにいたのです…。サントラ聴きながら読めばいいですね。いや、もうどのシーンでどの音楽が流れるか、脳内再生出来るからいいかw

宇宙戦艦ヤマト2199(1) (角川コミックス・エース)

むらかわ みちお / KADOKAWA / 角川書店


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by halca-kaukana057 | 2014-08-08 22:08 | 本・読書

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