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 12月に発表された、「BBC Proms JAPAN」。私も毎年開催を楽しみにしている、ロンドンでの世界最大級の音楽祭が日本にやってくる!と、昨年12月に発表されました。詳細なプログラムが発表されました。

BBC Proms JAPAN 公式ウェブサイト

・発表の際の記事:プロムスが日本にやってくる!?

 10月30日から、11月4日までの6日間、毎日開催です。10月31日には大阪でも公演があります。

◇10/30 Prom1(東京)、10/31 Prom2(大阪)
 メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」Op.26
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23
  (ピアノ:ユリアンナ・アヴデーエワ)
 マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

◇11/1 Prom3:JAZZ from America (ジャズ・フロム・アメリカ)

◇11/2 Prom4:Russian and Nordic Breeze (ロシア・北欧の風)
 シベリウス:交響詩「フィンランディア」Op.26
 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
  (ヴァイオリン:ワディム・レーピン)
 シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 Op.43

◇11/3 Prom5:Next-Generations, representative of Japanese Soloists (日本を代表する次世代のソリスト達)
 細川俊夫:「プレリューディオ」 オーケストラのための
 エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85
  (チェロ:宮田大)
 ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26
  (ヴァイオリン:三浦文彰)
 ラフマニノフ:交響的舞曲 Op.45

◇11/4 Prom5:Last Night of the Proms(ラスト・ナイト・オブ・ザ・プロムス)
 P.M.デイヴィス:アン オークニー ウェディング ウィズ サンライズ(An Orkney Wedding, with Sunrise)
 ミヨー: スカラムーシュ Op.165b
  (アルトサクソフォン:ジェス・ギラム)
 プッチーニ:歌劇『ラ・ボエーム』より「私が町を歩けば」
  (ソプラノ:森麻季)
 マルコム・アーノルド:4つのスコットランド舞曲 アレグレット
 H.パーセル:夕べの讃美歌
  (ソプラノ:森麻季)
 ラヴェル:ツィガーヌ
 ワックスマン:カルメン幻想曲
  (ヴァイオリン:ワディム・レーピン)

 エルガー:行進曲「威風堂々」第1番
 スコットランド民謡:蛍の光(Auld Lang Syne) 他

  /トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 メイン会場での6公演はこんな感じ。
 その他に、11月2日~4日まで、渋谷で、「Proms Plus Outdoor Concerts in SHIBUYA(プロムス・プラス・アウトドア・コンサート)」という、無料野外コンサートもあるそうです。
 あと、Prom5の前にプロムスの楽しみ方を出演者が語るプレトーク、学生向け公開リハーサルも。

 うーん…ラストナイトを除くと、海外オーケストラの来日公演とさほど変わりないような…。
 ラストライトには、昨年のラストナイトにも出演した、サックスのジェス・ギラムさんが同じ「スカラムーシュ」を演奏します。マルコム・アーノルドのスコットランドにちなんだ作品があるのはいいな。
 あれ、「イギリスの海の歌による幻想曲」「ルール・ブリタニア」がない。
 というか、合唱団がいない。合唱団がいないということは、まさか、「威風堂々」第1番は歌なし…?最後の「Auld Lang Syne」は観客全員で手を繋いで歌うあれですよね?(歌詞は日本語の「蛍の光」か?)
 ラストナイトの司会は葉加瀬太郎さんとのこと。本家には司会なんてありません…指揮者がMCします。指揮者スピーチもあるかどうか…。ちなみに、ラストナイトでは「もれなくユニオンジャック&ロゴプリント手ぬぐい付(旗の代わりに振ってお楽しみください。もちろん、ご自身でお好きな旗をお持ちになられても歓迎です。)」とのこと。

 ちなみに、間もなく開催される「BBC Proms Dubai」ドバイでのプロムスのプログラムを見てみましょう。こちらはオケはBBC交響楽団。
BBC Symphony Orchestra: BBC Proms Dubai: Tchaikovsky Violin Concerto and Romeo & Juliet
 Prom1:チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、プロコフィエフ:ロメオとジュリエット
BBC Proms Dubai: Beethoven's Symphony No. 9
 Prom2:ウォルトン:チェロ協奏曲、第九
BBC Proms Dubai: Last Night of the Proms
 Prom3:ラストナイト。昨年のラストナイトでも演奏されたスタンフォード、現代ものでアンナ・クライン、ヴォーン=ウィリアムズ、「ルール・ブリタニア」に「Land of Hope and Glory」(BBCシンガーズの合唱があります)

 イギリスものも多いし、本家プロムスで毎年必ず演奏する第九もやります。合唱団もいます。日程は短いけど全然違う。

 HPをよく見ると、主催に、テレビ朝日、BS朝日があります。どちらかで放送があるの?情報番組などでPRもしそう。その他詳しい情報は公式サイトで。

 で、第一報が来た後も考えたのですが、「プロムス」とは。日本でやる意味、意義とは。ただの海外オーケストラの来日公演とどう違うのか。ラストナイトだけがプロムスではない。全てのプロム(公演)が、「誰でも楽しめるクラシック音楽のコンサート」であること。どのプロムもお祭りのようなワクワクした雰囲気があること。
 曲の幅は、他の海外オーケストラの来日公演でも演奏している作品も多いので、広いとはあまり言えない。ジャズの回のProm3や現代作品も扱うProm5はプロムスらしいと思う。ダウスゴーさんの十八番のシベリウスもあるが、「フィンランディア」と交響曲第2番はフィンランドオケもよくやるし…お国もののデンマークのニールセンとかニルス・ゲーゼとかもあったらいいのに。イギリスのオーケストラなのに、イギリスものが少ない…。
 上記のドバイプロムスでは、本家でも毎年演奏する第九がある。ならば同じく毎年演奏されるホルストの「惑星」があったら、イギリスものも増えるからいいのになぁ(女声合唱は日本の合唱団でもいいですし)。ラストナイトに合唱団がいないのが気になる。

 日本であまり馴染みがない作品だと敬遠される?でも、日本で馴染みの作品ばかりだと、また似たような作品ばかり…と言われる。この辺のバランスは難しいな…。
 野外コンサートが「誰でも楽しめる」お祭りの感じになりそうだなと思います。

 今後も色々な情報が発表されると思うので、チェックしたいと思います。第一報記事にも書きましたが、BBCのオーケストラの公演は、海外公演でもBBC Radio3で放送されます(オンデマンドあり)。なので、行けなくても後日放送で楽しめます。

 ちなみに、本家プロムスのプログラムは、グリニッジ標準時4月17日発表です。
by halca-kaukana057 | 2019-03-19 23:08 | 音楽
 今日はフィンランドでは「カレワラ」の日。ということで、「カレワラ」由来の音楽作品のことを書こうと思ったが何も用意していなかった。フィンランド国営放送・YLEのクラシック専門ラジオチャンネル「YLE KLASSINEN」では「カレワラ」を元にした作品の特集をしている時間があった。それを聴こうと思ったのだが、時間を間違え、既に終わっていた(YLE KLASSINENはオンデマンド配信がない)。仕方ないのでその後の放送を聴いていたのだが、気になった作品があった。
YLE : Radio : Yle Klassinen : Päiväklassinen. (2018.2.28)
Palmgren: Valoa ja varjoa (Juhani Lagerspetz, piano).

 セリム・パルムグレン(Selim Palmgren)は、フィンランドのピアニストで作曲家。シベリウスより13歳年下。ピアノ曲を数多く作曲しており、有名なのは、第3曲「とんぼ」、第4曲「5月の夜」を収めた組曲「春」op.27、第2曲「粉雪」を収めた「3つのピアノ小品」op.57、「星はまたたく」「夜の歌」「曙」からなる「3つの夜想的情景」op.72など。舘野泉さんが演奏したCDで日本では親しまれていると思う。同じく舘野さんが監修した楽譜も全音から出ている。
 詳しい経歴はこちらで:ピティナ:ピアノ曲事典:パルムグレン

 さて、上に挙げた曲名。「Valoa ja varjoa」は、フィンランド語で「光と影」。以前も聴いたことがありましたが、CDなどを探せずにいました。今度こそ。こういう時の検索は、大抵ナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)を使います。演奏者のユハニ・ラーゲルスペッツから検索してみたが、出てこない。NMLで「光と影」(Light and Shade)なるタイトルの曲を探してみるが、やっぱり出てこない。これは作品番号何番だ?色々検索してみて、出てきたのが、作品番号は51番であること。
wikipedia : Selim Palmgren
 op.51に「Light and Shade – 6 Piano Pieces ('Ljus och skugga')」とあります。こちらはスウェーデン語でもタイトルが書いてあります。これで探しやすくなった。CDは?見つからない。NMLでも、Spotifyでも出てこない。YouTubeに音源は?見つからない。見つかったのがこちら。
IMSLP : Light and Shade, Op.51 (Palmgren, Selim)
 楽譜です。楽曲の情報もあります。6曲の作品からなっていること。
1. Fosterlandshymn (Patriotic Hymn)
2. Finsk Ballad (Finnish Ballad)
3. Skymning (Twilight)
4. Serenata (Serenade)
5. Elegi (Elegy)
6. Valse Caprice
 放送時間から計算して、演奏時間は大体10分程度。確かに最後の第6曲は快活なワルツ調の曲でした。しかし、1回聴いただけでは思い出せない…。やはり音源が欲しい。が、CDもない…。他のピアニストは演奏していないのか。動画もない…。またこのYLE KLASSINENで放送されるのを待つしかないのか…。

 以上、ここまで調べられた覚書でした。誰か、CD録音しません?
by halca-kaukana057 | 2019-02-28 22:48 | 音楽
 以前から読もう読もうと思っていた本。2015年のニールセン生誕150年に合わせて出版された本でした。


カール・ニールセン自伝 フューン島の少年時代 デンマークの国民的作曲家
カール・ニールセン:著、長島要一:訳/彩流社/2015

 デンマークの作曲家、カール・ニールセン。彼が1927年に刊行したこの自伝。生まれてから、1884年にコペンハーゲンの音楽アカデミーに進学しコペンハーゲンに向かうまでのことが書かれている。1994年には映画化もされたそうだ。ニールセンはデンマークのユラン半島のすぐそばにあるソーテルンに生まれた。家は貧しい農家。12人兄弟の7番目。姉の何人かは病気で亡くなっていた。また、きょうだいは大人になるとアメリカやオーストラリアに移住した。

 ニールセンの子ども時代は、とてものびのびとしていた。デンマークの豊かな自然の農村で、別の農家や瓦工場で手伝いをしていた。この本にはきょうだいたちのことがいきいきと書かれている。家は貧しく、モノはなかったが、おおらかな家族の姿には親しみを感じられる。
 ニールセンは14歳になる前に堅信式(キリスト者として成人したことを示し、キリスト教への入信を完成させる儀式)を挙げ、学校を終えた。学校を終えると、奉公に出なくてはならない。ニールセンは雑貨屋で働くようになった。
 一体どこで音楽を学んだのか。ニールセンの父はヴァイオリンとコルネットを演奏し、宴会でヴァイオリンを演奏して家計の足しにしていた。ニールセンもヴァイオリンを弾くようになり、父の代わりに演奏することもあった。母は歌が得意で、澄んだ声でよく歌っていた。ニールセンが小さいころ、薪が1本ずつ違う音を出すことに気づき、槌で叩いて「演奏」することもあった。ニールセンは音楽を特別なものと学んだわけではなかった。両親との生活の中に音楽があって、それをよく聴いて、模倣するところから始まっている。そして自分なりにアレンジしたり、宴会の場で演奏する曲を作曲したこともあった。オーデンセの町で初めてピアノを見て弾いた時のことは印象的だ。後に、ニールセンは他の学校の先生からヴァイオリンのレッスンを受けることもあり、どんどん上達していく。

 ニールセンが音楽を生業にしたのは14歳の頃。働いていた雑貨屋が倒産し、家に戻っていた頃、オーデンセの軍楽隊に欠員が出たので、応募することにした。軍楽隊には管楽器しかない。ニールセンは父からコルネットを教えてもらい、猛練習し、試験に合格した。軍楽隊では信号ラッパを吹くことと、アルトバスーンを担当した。ニールセンにとって、音楽は仕事であった。プロとして十分に演奏できるようになっていた。演奏したことのないアルトバスーンをすぐに演奏できるようになったのは、耳から覚えた感覚と実践力があったからだろう。
 軍楽隊での仕事が安定すると、ニールセンはピアノを買い、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」などを練習するようになった。同時期に、酒場でオウツェンという年老いたピアニストと出会う。ニールセンはオウツェンからピアノや音楽を学び、また、オウツェンのピアノとニールセンのヴァイオリンで、ハイドン、モーツァルトやベートーヴェンのヴァイオリンソナタを演奏していた。

 やがて、ニールセンはオーデンセ大聖堂の音楽監督のラールセンからヴァイオリンの個人レッスンを受けるようになる。それが当時フューン島で教師をしていたベアンツェンの目に留まり、コペンハーゲンの音楽アカデミー進学へ繋がっていく。

 この自伝には、音楽をどうやって学び、仕事としていったかについても書いてあるが、多くは家族のこと、日常のことだ。兄弟とこんな遊びをした、兄弟がこんなことをした、ある日の食卓はこんなことがあった。ほのぼのとしている。一方で、農場は、動物の生と死にも直面する。さっきまで生きていた家畜を殺して、その日の夕飯になることもある。こんな毎日の中でニールセン少年は人間として成長していく。音楽家の面だけでない、人間としての、農家の息子としてのニールセンが描かれている。その姿は素朴で、おおらかだ。後に作曲する交響曲にも、そんなタイトルがつくことになるのは偶然だろうか。

 自伝の本編の後には、解説としてその後のニールセンについても書かれている。音楽アカデミーを卒業し、作曲家として歩み始めたニールセン。様々な作品を作曲する。

 ニールセンの音楽がどのように始まったのか。それ以前に、ニールセンがどんな人間だったのか。興味深い本だった。
by halca-kaukana057 | 2019-02-01 20:48 | 本・読書
 年の初め(今月初め)に、正月に聴いた音楽についてこれから書いていこうと思うと書いたが、もう1月も終わりになってしまった。

 海外ネットラジオを聴いていて、偶然サティの「グノシエンヌ」を聴いた。今まで、サティの作品はそんなに聴いたことがない。「ジュトゥヴー(あなたがほしい)」「3つのジムノペティ」ぐらい…?

 「グノシエンヌ」(Gnossiennes)とは、ギリシア語の「知る」(Γνωρίστε:Gnoríste グノリステ)の語幹をもとにして作ったサティの造語。また、古代クレタ島にあった古都「グノーソス宮」や、神秘教会グノーシス派も語源になったと言われている。
 「3つのグノシエンヌ」の1番から3番、4番、5番、6番と続き、7番は「星たちの息子」として作曲され、その後「グノシエンヌ」7番となったが、現在は「梨の形をした3つの小品」の第1曲となっている。

 聴いて、不思議な音楽だなと思った。最初の第1番から第3番は暗い。重い。ゆったりとしていて、夜、小川が静かに流れているかのよう。もしくは、夜の湖のほとりの波打ち際。海だと激し過ぎるので、湖かなと思った。響きは東洋風。音の流れ、変化が不思議。第4番が一番好き。これも暗い。分散和音のアルペジオの低音が心地いい。第5番はようやく長調に。ころころとした高音のメロディーが美しく、ロマンティックでもある。第5番ではあるが、一番最初に作曲されたのがこの曲(1889年)。第1番から第3番は翌年1890年、4番は91年の作曲。この1年の間に、何が起こって暗い短調になったのだろう。5番を1番先に聴くのと、番号順に聴いてみるのとでは印象が変わるから面白い。第6番はより不思議な響きの曲。
 第7番(「星たちの息子」)では、それまでになかった激しい強い音も出てくる。装飾符のタターンという音は、第1番にも出てくる。どこか似ている。第1番を思い返しているのだろうか。作曲されたのは91年。

 「知る」というギリシア語が語源になっているというので、夜、静かに考え事をしたい時に聴きたい曲だと思った。思索の時間に合うと思う。

 聴いたのは、ジャン=イヴ・ティボーデ、小川典子、ブリュノ・フォンテーヌ、ニコラス・ホルヴァート、他。
by halca-kaukana057 | 2019-01-30 22:52 | 音楽
 年の初めから、色々な音楽を楽しんでいます。聴いた音楽のことを少しずつ書けたらいいなと思います。

 まず、元日のウィーンフィル・ニューイヤーコンサート。指揮はクリスティアン・ティーレマン。落ち着いた感じで、音も重厚。いい感じだなと思いました。演奏曲目を見て、この曲が入っていて嬉しいと思ったのが、ヨーゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」(Sphärenklänge)op.235.「天体の音楽」とタイトルだけ聞くと、ルーズ・ランゴー(Rued Langgaard)の方を先に連想してしまった…という脱線は置いておいて。

 「天体の音楽」は、古代ギリシアのピタゴラスが考えた、天体の運行は人間の耳には聞こえない音を発していて、宇宙全体が一つの大きなハーモニーを奏でているという「天球の音楽」という思想を元に書かれた作品。ウィーン大学の医学生の「医学舞踏会」のために作曲された。冒頭は暗い星空のようで、メインのゆったりとしたワルツは天球上で星々がめぐる様をイメージ出来る。舞踏会で踊る人々の揃ったステップと、毎晩繰り広げられる天球上での星たちの饗宴。そこに、ハーモニーを感じてもおかしくないなと思う。

 ヨーゼフ・シュトラウスはヨハン・シュトラウス1世の次男。長男はヨハン・シュトラウス2世。子どもの頃から音楽は学んでいたが、音楽の道には進まず、機械工学、製図、数学を学び、工学技師になった。父の死後、多忙な兄が倒れたのをきっかけに、音楽に道に戻る(いわゆる「Uターン」なのかこれは?「Iターン」の方が合ってる?)。作曲した作品には、工学や理系の題材から着想を得たものも多い。今年の2曲目に演奏された「トランスアクツィオン(Transaktionen)」op.184は「反作用」の意味(ヨーゼフは「愛する2人の相互の関係」を描いていると言っている)。他にも、「ディナミーデン(Dynamiden)」op.173は「秘めたる引力」と訳され、分子や原子が引き合う力のこと。

 そして、思い出した。この曲もヨーゼフ・シュトラウスの作品だった。
 「金星の軌道(宵の明星の軌道)(Hesperus-Bahnen)」op.279。
・以前の記事:ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「金星の軌道」…何故「金星」の「軌道」?
 2013年のニューイヤーコンサート(ウェルザー=メスト:指揮)で取り上げられ、気になった作品。調べて、結局何故「金星」の「軌道」なのかはわからない、と書きました。調べ直してみたら、ウィキペディアに書いてある。
ウィキペディア:宵の明星の軌道
文字通りに天体としての宵の明星の軌道と、芸術家協会『ヘスペルス』のこれまでの歩みという二つの意味を有している。
 ウィーン芸術家協会「ヘスペルス(Hesperus)」と、宵の明星を意味する「Hesperus」をかけていたということらしい。「軌道」は、芸術家協会の軌跡という意味。ヨーゼフ・シュトラウスも粋なことをするなぁ。夜空の星の中で一番明るく輝く金星。当時、宵の空にひときわ明るく輝いていたことだろう。そんな明るく輝く金星のように輝く、芸術家協会の歴史と今後の発展を思って作曲したのかもしれない。

 「天体の音楽」もよかったが、また「宵の明星の軌道」も聴きたい。「天体の音楽」に比べると取り上げられる回数が少ない…というか、2013年のウェルザー=メストしか取り上げていない!「天体の音楽」と「宵の明星の軌道」が一緒に演奏されたらいいのになぁ。

◇天体の音楽:Josef Strauss Spharenklange Walzer NJK 1992 WPH Kleiber

◇宵の明星の軌道:Josef Strauss - Hesperus-Bahnen,Walzer Op.279
by halca-kaukana057 | 2019-01-02 23:19 | 音楽
 明日はクリスマス・イヴですね。クリスマス関係の音楽は何かないか、ナクソス・ミュージック・ライブラリーやSpotifyを探していて見つけたのがこれ。
 コレルリ:合奏協奏曲 ト短調 「クリスマス協奏曲」 op.6 No.8

 アルカンジェロ・コレルリ(Arcangelo Corelli、「コレッリ」とも表記される)は、J.S.バッハやヘンデルよりも前の時代のイタリアの作曲家。合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)を確立した。合奏協奏曲は、少数のソロパートと合奏パートに分かれ、2群が交代しながら演奏する楽曲のこと。コレルリの時代、合奏協奏曲には2種類あり、公的な場で演奏され、遅い楽章と速い楽章の繰り返しで構成された「教会コンチェルト(concerto da chiesa)」と、当時流行していたいくつかの舞曲から構成された組曲に近い「室内コンチェルト(concerto da camera)」。コレルリは、この2つを融合させようとしていた。コレルリの作曲した合奏協奏曲は全12曲。この「クリスマス協奏曲」は6番目。

 コレルリは、この第6番の合奏協奏曲を「Fatto per la notte di Natale(クリスマスの夜のために作られた)」と書いています。しかし、「クリスマス協奏曲」に当たるのは、最後の第6楽章:Pastorale ad libitum: Largo だけ。当時、パストラーレはクリスマス・イヴに演奏されるもの。クリスマスの音楽といえばパストラーレ。パストラーレの第6楽章は、クリスマスにのみ演奏されるものだったとのこと。しかし、美しく人気があるので、クリスマスでなくても演奏されるようになったそう。

 その第6楽章は、まさに心が穏やかになるようなゆったりとした音楽。ソロのヴァイオリンと合奏パートのハーモニーが美しい。羊飼いから来た「パストラーレ(パストラル)は今では「田園」の意味ですが、こうやって聴くとなるほどと思います。

 第1~5楽章も荘厳な感じがします。コレルリの12曲の合奏協奏曲のうち、短調で始まるのは2曲だけ。この6番と、3番です。暗く、激しい楽章が多いです。冬の寒さや暗さを感じさせます。まさに今の時期。それが第6楽章のクリスマス、キリスト誕生のお祝いに繋がっていくのでしょうか…?(推測です)。
 暗いですが、舞曲のリズムに楽しくなります。コレルリの時代にもこんな舞曲が流行っていて、時代が進むと更に洗練されていくのだなと感じます。

 聴いたのはこれ。
Spotify:コレルリ:合奏協奏曲「クリスマス協奏曲」 / A. スカルラッティ:クリスマス・カンタータ「アブラハム、汝の顔は」
 リナルド・アレッサンドリーニ:指揮、コンチェルト・イタリアーノによる演奏。アレッサンドロ・スカルラッティのクリスマス・カンタータ、こちらも素敵です。

 こちらは動画。
Corelli Christmas Concerto; Op.68 -- Freiburger Barockorchester

 フライブルク・バロック管弦楽団の演奏。動画で観ると、各パートがどんな動きをしているのかわかるので、もっと面白くなります。
by halca-kaukana057 | 2018-12-23 22:10 | 音楽
 信じられないニュースを目にしました。

チケットぴあ:英国発、世界最大級のクラシックミュージックフェス『BBC Proms(プロムス)』日本初開催決定!
PR TIMES:英国発、世界最大級のクラシック・ミュージック・フェス、『 BBC Proms ( プロムス ) 』が、遂に日本で初開催!『 BBC Proms JAPAN 』、2019年秋に日本で開催決定!

 はい!!?プロムス、BBC Promsを日本で開催!!?

◇公式サイト:BBC Proms JAPAN

・期日:2019年10月30日(水)~11月4日(月・振休)
・東京:Bunkamuraオーチャードホール
・大阪:ザ・シンフォニーホール
・出演:トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 まじか、まじか。以前、ツイッターをやっていた頃、「プロムス in Japan」なんてあったらいいね、ラストナイトを日本でもやって、国旗振りながら「ルール・ブリタニア」や「威風堂々 第1番(Land of Hope and Glory)」歌えたらいいね、なんて話していたことがありました。せめて、ラストナイトの野外会場みたいに、日本でもパブリックビューイングできたらいいのに、とか(時差がきついですが…)。
 これは…それが実現するのか…?

 プロムスは、7月から9月までのロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールを中心にしたものとは他に、海外公演も行ってきました。リンクした記事にもあるとおり、オーストラリア、ドバイでも開催しています。ドバイは来年3月19日~22日にも開催予定です。
Dubai Opera : BBC Proms
BBC Symphony Orchestra : BBC Proms Dubai
 ドバイはBBC交響楽団とBBCシンガーズ。(BBCにはオーケストラが5つもある…)
 ドバイでは、あのラストナイトもやります。「ルール・ブリタニア」も「威風堂々 第1番(Land of Hope and Glory)」もあります。(「イギリスの海の歌による幻想曲」、「エルサレム」、イギリス国歌はありません)あのラストナイトあってのプロムスですし。

 公演詳細は、来年3月に発表予定(元祖プロムスは4月にプログラムを発表します)。最新ニュースはメルマガでも受け取れるとのこと。公式サイトにメルマガ登録フォームがあります。

 東京と大阪の日程と配分がどのくらいなのか。他の出演者は?曲目は?料金は?ラストナイトはどうする?まだ不明なところがたくさんありますが、とても楽しみです。あのロイヤル・アルバート・ホールでの雰囲気をそのまま持ってくることは不可能でしょうが(日本の観客のノリによる。あと、立ち見アリーナがあってこそのプロムス。1階席は立ち見にしてくれないかな)、日本でもプロムスを楽しめるなんて、現実のものになるとは思わなかった。大和証券がスポンサーらしいですが、GJです!!

 問題は、私は行けるのかということだ…。

 せっかくならテレビ収録とか、CD、DVD化してくれたらいいなぁ。
BT : BBC Proms to make inaugural trip to Japan in 2019
 BBCのプレスリリースによると、BBC radio3で収録、放送予定だそうです。そうだった、BBCのオーケストラは海外公演も収録、放送があるんだった。

【追記】
Classical-music.com : BBC Proms announces the launch of BBC Proms Japan The inaugural festival will take place in 2019
 BBCの音楽誌「BBC Music Magazine」のサイトのBBC Proms Japanについての記事です。BBCスコティッシュ響は初来日。そうだったのか(BBC交響楽団、BBCフィルハーモニック、BBCウェールズ交響楽団は来日したことがある。スコティッシュとコンサート・オーケストラは来日したことがなかった)。BBCスコティッシュ響のディレクターさんによると、2020年東京五輪を意識している模様。となると2019年1回きりなのかなぁ。観客の入り、反応にもよるのかなぁ。

Fashion Press : 英国発の世界最大級クラシック音楽フェス「BBC プロムス」日本上陸、東京&大阪で開催
 プロムスのモットーは、毎年ラストナイトの指揮者スピーチで出てきますが、「誰でも楽しめるクラシック音楽のコンサート」であること。プロムス期間中は、ロイヤル・アルバート・ホールを中心に毎日毎日コンサート。チケットも、アリーナやバルコニーの立ち見席なら気軽に買うことができます。演奏される曲目も超名曲からちょっとマニアックな作品まで、古楽から現代まで幅広い。世界初演の新曲も多いです。BBCのオーケストラやイギリス国内のオーケストラだけでなく、世界中のオーケストラがやって来る。出演者も幅広い。室内楽や合唱もある。若手演奏家のオーディションで選ばれた若い演奏家の出演もあり、若手の育成もしている。子ども向けのコンサートもあり、また、さまざまな障碍を持っていても楽しめるコンサートもある。全ての演奏会はラジオで生放送され、世界中から聴ける(オンデマンドあり)。クラシックだけではなく、ジャズ、民族音楽、ミュージカル、ロック、テクノまで幅広い。クラシックでも、お祭りの雰囲気があり、盛り上がりが違う。
 ただのコンサートでは無く、「プロムス」である「条件」ってなんだろう?とちょっと考えています。ラストナイトだけがプロムスじゃない。6日間ラストナイトのようなコンサートをやるわけではないですし…。本家プロムスのように、6日間、どのコンサートもワクワクする。その「条件」ってなんだろう?私がプロムスを毎年楽しみにしている理由ってなんだろう?まさかの来日で、ちょっと考えています。

 当ブログのプロムス関連記事は、この記事の下にもある「Proms」タグからどうぞ。

 (ちょっと思ったのですが、今年、BBC交響楽団が来日したのですが(私も聴きに行った)、ならばそこでこのBBC Proms Japanをやればよかったのに、と思ったり…。いや、あれはあれで楽しかった。ブリテンとシベリウス5番聴けたし。)

BBC Proms : Proms Christmas repeats on BBC Radio 3※PDF注意
 年末年始、プロムスの再放送があります。日本からでも聴けます。オンデマンドもあります。再放送されるのは、バーンスタイン生誕100年を記念した「ウェスト・サイド・ストーリー」に「On The Town」、来日するダウスゴー指揮、スウェーデン室内管の「The Brandenburg Project」、キリル・ペトレンコ指揮ベルリンフィル、ネルソンス指揮ボストン響など。大晦日の年越し前(日本時間元日)にはラストナイトを再放送します。

【追記 2019.3.19】
 詳細プログラムが発表されたので、それについての記事を書きました:BBC Proms JAPAN プログラム発表 で、プロムスとは?


by halca-kaukana057 | 2018-12-18 22:01 | 音楽
 昨日の記事:Hyvää itsenäisyyspäivää!
フィンランド独立記念日に、フィンランド国営放送・YLEのラジオ YLE Klassinenでフィンランドの作曲家の音楽特集をしていたのですが、その時、フィンランド国歌(Maame)と同じ歌詞なのに、定められているフィンランド国歌とは違うメロディーの歌が流れた、という話をしました。あれは何だったんだろう…調べました。

 まず、演奏者から当たってみる。昨日のYLE Klassinenの番組表。
YLE Areena:YLE Klassinen:Päiväklassinen
Isänmaallisia lauluja. (Polyteknikkojen Kuoro/Tapani Länsiö ja Kaartin Soittokunta/Elias Seppälä).
 この曲集です。「フィンランド愛国歌」(ポリテク合唱団、タパニ・ランシオ、 Kaartin Soittokunta,エリアス・セッパラ)。これはCDなのか?探してみました。

 案外、簡単に出てきました。
◇ポリテク合唱団の公式サイト:Polyteknikkojen Kuoro : Suomelle – isänmaallisia lauluja
Discogs : Polyteknikkojen Kuoro, Tapani Länsiö, Kaartin Soittokunta*, Elias Seppälä ‎– Suomelle - Isänmaallisia Lauluja
 CDの詳細について英語で書いてあります。ポリテク合唱団の自主レーベルのようです。
Spotify : Suomelle - Isänmaallisia Lauluja / Polyteknikkojen Kuoro
 Spotifyにあります。アカウントがあれば無料で聴くことができます。フィンランドの愛国歌を集めたCDです。シベリウスの「アテネ人の歌(Ateenalaisten Laulu)」op.31-3、「祖国に(Isänmaalle)」JS98a、「フィンランド狙撃兵行進曲(Jääkärimarssi)」op.91a、「フィンランディア賛歌」、オスカル・メリカントやトイヴォ・クーラの作品もあります。
 このCDの3曲目。「Maamme(我らの地)」という曲です。タイトルは、フィンランド国歌と同じ。作曲は、ユーハン・ルードヴィーグ・ルーネベリ(Johan Ludvig Runeberg)、フィンランド国歌の作詞者です。定められているフィンランド国歌の作曲者はフレデリック・パーシウス(Frederik Pacius)。

YouTubeにもありました。
Maamme (Runebergin sävelmällä)
 CDと同じ、ポリテク合唱団の歌です。パーシウスの方は高らかに、堂々とした感じがありますが、ルーネベリの曲はやさしい感じがする。パーシウス作曲のフィンランド国歌も好きですが、ルーネベリ作曲のもいい歌です。

 フィンランドで、ルーネベリ作曲の方はどう扱われているのだろうか。フィンランド第二の国歌と言われるのはシベリウスの「フィンランディア(讃歌)」。検索しても、圧倒的にパーシウスの方が出てきます。フィンランド語で検索できれば、もっと出てくるのかもしれない。

by halca-kaukana057 | 2018-12-07 22:04 | フィンランド・Suomi/北欧
 今年もNHK BSプレミアムで、BBC Proms(プロムス)ラスト・ナイト・コンサート(Last Night of the Proms)が放送されました。テレビ放送を観ないと、毎年プロムスが終わった気になりません…。9月、BBC Radio3での生放送とオンデマンド配信で聴いていましたが、毎年思うのが、映像で観ると違う!映像で観て、この楽しさがより伝わってくる、ということ。そして映像で観て安心します…(2015年のをNHKが放送しなかった過去が…)

BBC Proms 2018 公式サイト:Prom 75: Last Night of the Proms
BBC Radio3 : BBC Proms : Prom 75: Last Night of the Proms

・今年のラストナイトについて記述のある過去記事:BBC Proms ( プロムス ) 2018 私選リスト その4 [9月] [随時追記あり]

 今年のプログラムは以下でした。NHKでの表記に合わせました。日本語訳がわからなかったものも日本語訳されるのはありがたい。

・ヒンデミット:歌劇「今日のニュース」序曲
・ベルリオーズ:レリオ、あるいは生への回帰 op.14bis 第6曲:シェイクスピアの「テンペスト」にもとづく幻想曲
・ロクサンナ・パヌフニク(Roxanna Panufnik):暗闇の歌、光の夢(Songs of Darkness, Dreams of Light)(※世界初演)
・チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード(Charles Villiers Stanford):海の歌 op.91(1,ドレイク提督の太鼓/2,港を離れて/3,デヴォン ああデヴォン 雨よ風よ/4,家路/5,オールド・スーパーブ号)
     :青い鳥
・パリー:恵みを受けし二人のセイレーン

・サン=サーンス:アルジェリア組曲 op.60 第4曲:フランス軍隊行進曲
・ミヨー:スカラムーシュ
・リチャード・ロジャース:回転木馬 より 独白
・アン・ダドリー(Anne Dudley)編曲:第一次大戦時の流行歌(World War 1 Songs):Roses of Picardy(ピカルディーのばら) , It's a long, long way to Tipperary(はるかなティペラリー) , Keep right on to the end of the road(道の果て) , Keep the home fires burning(その日まで / 炉の火を絶やさず)

・ヘンリー・ウッド:イギリスの海の歌による幻想曲(小粋なアレトゥーザ/トム・ボウリング/ホーンパイプ/ホーム・スウィート・ホーム/見よ、勇者は帰る)
・アーン(サージェント:編曲):ルール・ブリタニア!
・エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 op.39-1 "Land of Hope and Glory"
・パリー(エルガー:編曲):エルサレム
・ブリテン編曲:イギリス国歌(God Save The Queen)
・スコットランド民謡(ポール・キャンベル:編曲) :Auld Lang Syne

  / ジェス・ギラム(Jess Gillam サクソフォーン)、ジェラルド・フィンリー(バリトン)
  BBCシンガーズ、BBCシンフォニー・コーラス
  アンドリュー・ディヴィス:指揮、BBC交響楽団

 9月の記事でも書いた通り、アンドルー・デーヴィス(NHKはこの表記)さんが、ラストナイトの指揮台に18年ぶりに立ちます。12回目。ベテランです。デーヴィスさんがBBC響の首席指揮者で、ラストナイトを指揮していた頃、私はまだプロムスを知らなかった。クラシック音楽にも親しんでいなかった。久々に帰って来るデーヴィスさんの指揮を観て、当時の雰囲気を味わえたなら良いなと思っていました。

 デーヴィスさんは通して指揮棒を持たず指揮。オープニングの映像で、指揮棒がパスされていくのですが(テレビ放送案内役のケイティ・ダーハムさん、裏方さん、常連のプロマーさん、今回出演するギラムさんにフィンリーさん、サイモン・ラトルさんまで!)、最後、指揮棒を受け取ったデーヴィスさんは指揮棒を放り投げてしまう。その後、お茶目な笑顔でw指揮棒はいらないよ、というメッセージだったのでしょうか。
 デーヴィスさん、18年ぶりとはいえさすがはベテランといった感じです。指揮も年齢を感じさせず軽快に。うまい感じに盛り上げています。「威風堂々第1番(Land of Hope and Glory)」の1回目が終わった後のコメントがよかった。スピーチの雰囲気などから、お茶目で陽気な校長先生というイメージを持ちました。沸く観衆を笑顔で静めていた。常連プロマーさんたちに「また会えたね」という感じなんでしょうか

 BBC交響楽団は、3月に来日公演を聴きに行きました。その時も、ラストナイトで見たことある楽団員さんが何人もいらっしゃったのですが、今度は反対に、来日公演で見た楽団員さんたちがいる!と思いました。リーダー(コンマス)のブライアントさん・立派なおひげのフルートのコックスさん。コックスさんの隣には日本人楽団員のフルート・向井知香さん。私が行った公演ではありませんが、ラジオで放送されたマーラーの5番で見事なソロを聴かせてくれたトランペットのトーマスさん。ブリテン「ピーター・グライムズ」パッサカリアで素敵なソロを聴かせてくれたヴィオラの男性はいらっしゃらなかったなぁ。シベリウス5番、第3楽章で、美しい白鳥の飛翔を聴かせてくれたホルンの皆さん…。ラストナイトでのBBC響による演奏は、生で聴いたのと同じように元気でピュアで、金管は迫力のあるブリティッシュブラス。特にチューバはロータリーではなくピストンであるところがまたイギリスらしい。嬉しくなります。

 第1部は、初めて聴く作品が多く興味深々。ヒンデミット「きょうのニュース」序曲はサックスがかっこいい。ベルリオーズ「レリオ」より「シェイクスピアのテンペストによる幻想曲」は、合唱がメインの部分と、オーケストラがメインの部分の対比がいい。今年のプロムスは、女性作曲家の作品を多く取り上げました。ロクサンヌ・パヌフニクの新曲「暗闇の歌、光の夢」は合唱がとても美しい。歌詞も孤独と光のような人への想いが切ない。素敵な曲です。今後、世界各地でどんどん演奏されるといいなぁ。CDも出るといいなぁ。スタンフォードの「海の歌」は海洋国家イギリスらしい、海の男の歌。ジェラルド・フィンリーさんの落ち着いていて表情豊かなバリトンが素敵でした。フィンリーさんが歌う「海の歌」は、オーケストラはBBCウェールズ交響楽団ですがCDが出ています。かっこいい曲だなぁ。一方の「青い鳥」は、無伴奏合唱。BBCシンガーズの合唱で。青い湖の上を飛ぶ鳥。静かな、凍りつくような情景をイメージできました。スタンフォードの作品は初めて聴きましたが、気に入りました。第1部最後はスタンフォードの友人で、第2部の定番曲「エルサレム」の作曲者・パリーの「恵みを受けし二人のセイレーン」。イギリスらしい威厳あるメロディーと響きが魅力的です。合唱もきれい。第1部からたっぷり楽しみました。

 第2部。お祭り騒ぎの第2部です。会場では風船を飛ばして歓声が上がっている。いつも通り、指揮台もリボンや国旗などでデコレーションされてる。18年ぶりに帰って来たデーヴィスさんへのメッセージとして、指揮台と譜面台に「Welcome Home」の文字が。愛されてます。第2部の目玉は、19歳のサックス奏者・ジェス・ギラムさん。ミヨー「スカラムーシュ」を披露。3曲からなる組曲ですが、曲間で盛大な歓声が。すごい。若きスターです。演奏もかっこよかった。フィンリーさんも、第1部とはうってかわってリチャード・ロジャーズのミュージカルから。失業し無一文になったが、もうすぐ父親になる男の、生まれてくる子どもへの想い。男の子だったら?女の子だったら?楽しい想像は尽きない。そんなコミカルで、真剣で、愛情あふれる男を表情豊かに歌い上げたフィンリーさん。素敵なバリトンさんだなぁ。フィンリーさんにはもうひとつ、大仕事が待っています。後ほど。

 今年は、第一次世界大戦が終結して100年。プロムスでは、第一次大戦中に作曲された作品、現代作曲家が第一次大戦を振り返る作品が数多く演奏されました。第1部のパヌフニクの新曲も第一次大戦終結を記念して作曲。第2部では、第一次大戦中に作られ、人々の心を支え、流行した4つの歌をメドレーで、各野外会場を結んで歌います。故郷にいる恋人を想う歌、故郷への歌、故郷で残された人々の想いの歌。ヨーロッパ中を巻き込んだ大戦の間、人々がどんな気持ちでいたのか、どんな気持ちでいようとしたのか。「はるかなるティペラリー」は明るく軽快なメロディーなのに、歌詞を読んでいるとうるっときてしまいます。この曲の前に、野外会場でのプロムスと、野外会場の連携についてのVTRがありましたが、これもよかった。本当に、イギリス全国で盛り上がっているんだなぁと。雨でも来る。ウェールズ、スコットランド、北アイルランド、それぞれの文化は異なりますが、それぞれの文化を大事にしようとしているんだなと感じました。こんな国全体で盛り上がる歴史ある音楽祭があるっていいなと思いました。

 ここからはお馴染みの定番曲。「イギリスの海の歌による幻想曲」。やっぱりこれがないと。「小粋なアレトゥーザ」は、ユーフォニアムの魅せどころ。「トム・ボウリング」のチェロソロが沁みます。会場ではお約束の涙を拭く仕草もいつも通り。「ホーンパイプ」の直前、盛り上がる観衆に静かに、と指示するデーヴィスさん。リーダーのブライアントさんのソロを聴いて、と。そのソロのアドリブが面白かったwヴァイオリンのコミカルなソロの後、フルートのソロに受け渡されますが、フルートのコックスさんはあくまで通常のメロディーを演奏する。でもまたブライアントさんに戻ってきて、ヴァイオリンでちょっと違うメロディーを演奏する…楽しいwコックスさんの隣の向井さんが、笑いをこらえているようにも見えましたw離れてたら笑ってるねこれ。今年は先ほどの第一次大戦時の流行歌メドレーで各野外会場を結んだので、こちらでの野外会場民謡メドレーはなし。でも、「ホーム・スウィート・ホーム」が戻ってきました。オーボエのソロが沁みます。オーボエさん、心なしか目が潤んでいるように見えます…。「見よ、勇者は帰る」の後はお待ちかねの「ルール・ブリタニア」。フィンリーさんは特に仮装などはしていませんが、何か隠してる…。お腹に巻き付けていたユニオンジャック…と思ったら、裏返したらフィンリーさんの祖国のカナダ国旗!2つの旗は縫い合わせてあって、最後は2つ一緒に平和的に振りながら歌う。会場では皆それぞれの国の国旗を振っている。出演者だって国旗を振りたいですよねw歌は伸び伸びとした堂々とした「ルール・ブリタニア」でした。
 続けて、「威風堂々第1番」。「ルール・ブリタニア」もですが、一緒に歌っちゃいます。

 この後で、指揮者スピーチ…出演者コールと、寄付金総額発表をカットしましたね…。2014年も寄付金総額発表とスピーチの一部をカット。BBC Radio3では英語の音声だけで、わからないところも多い。それをわかるための日本語訳付きの放送なのだから、カットしないでくださいよ…NHKか?BBCの元映像そのものがカットされてたのか…?
 デーヴィスさんのスピーチがとてもよかったです。一部引用します。
今夜 私たちがここに集った理由は 聴き手も出演者も心から信じているからです
音楽はただの娯楽ではなく 世の中を豊かにする力を持つ と
人は音楽に笑い 泣き 心を寄せ合います
あらゆる事が境界線に支配されたこの世の中で 音楽は人々を元気づけ 癒し 希望を与えてくれます
美しさと精神的な強さの下に 私たちを1つにしてくれます
今夜だけでもホールや野外会場をはじめ 世界中の人々が1つになりました

創始者のウッドがプロムスで目指したのは "誰にでも親しめるクラシック音楽祭"でした
その貴重な遺産は今も引き継がれ プロムスは音楽の力で 人々の心を豊かにしています
 このラストナイトだけでも、笑い、目頭が熱くなり、様々な音楽に魅了され、いいなと思えました。最初にラストナイトを見た時から、イギリスの愛国精神の強さが全面に押し出されているのに、どこか「世界はひとつ」という感覚を覚えています。振られている国旗が世界各国のものであるのもあるし、演奏される作品も様々な国の音楽。「音楽はただの娯楽ではなく 世の中を豊かにする力を持つ」からこそ、そう感じるのだと思います。さすがベテランのスピーチです。

 最後、「エルサレム」「イギリス国家(God Save the Queen)」「Auld Lang Syne」この3曲で、毎年また涙腺が緩くなる…。「Auld Lang Syne」、またしても「蛍の光」と訳されてた。日本語歌詞の「蛍の光」と「Auld Lang Syne」は別物でしょう。だから「マッサン」でやってたじゃないですかNHK!以前の「昔なじみ」の訳の方がいいと思う…。

 最後、今年のプロムスのダイジェスト映像が流れました。ああ、これがあのプロムで…思い出します。途中でスタッフクレジットが入ってしまいましたが…。この映像、以前に公式サイトとYouTubeにアップされているものと微妙に違います。
BBC Proms: The 2018 Proms season in a thrilling 4 minutes
 ↑ページに飛ぶと自動的に動画が始まるので注意してください
◇YouTube:BBC Proms 2018 in 4 minutes
 Relaxed Prom(小さなお子さんやさまざまな障碍などを持っていても楽しめる演奏会)、室内楽のあたりが追加されています。見比べてみてください。

 その他、細か過ぎる気づいたところを。
・デーヴィスさんは元オルガン奏者だったんですね。その後指揮でプロムスに。
・コーラスに、いつもターバンを巻いている男性がいらっしゃるのですが、今年はターバンを巻いていません。どうしたんだろう。
・イスラエルのご出身なのか、合唱団にイスラエル国旗のデザインのタイの人がいた。
・スタンフォード「青い鳥」で、天井からぶら下がっている円形のもの(マッシュルーム)も青色に。きれい。
・第2部、デコレーションされた指揮台に、ねこのぬいぐるみが。デーヴィスさん、なでてたw
・第2部では例年通り、トランペットセクションはお揃いのユニオンジャックカラーのタイです。
・バルコニー席からの映像がいい。アングルがいい。
・今年はアリーナに大きな日の丸を振っている人がいない。でも、客席に日の丸の小旗とスペイン国旗を一緒に振っている人がいた。
・「イギリスの海の歌による幻想曲」の前、クラッカーの音にびっくりするデーヴィスさんw
・誰かわからないのですが、顔写真のお面を被ったプロマーさん…ちょっと怖いw
・「トム・ボウリング」では今年はボックスティッシュを回して涙を拭き合います。鼻もかみます。
・「威風堂々第1番」で、トロンボーンの若い男性楽団員さんが、ユニオンジャックの小旗で触角!!?カチューシャみたいなものをつけていたwオモシロイことしているんだから、カメラさんもっと撮ってあげてよ(違う?w
・デーヴィスさんが指揮者スピーチで話していた「マーガレット」さん…奥さん?照れくさそうにしていましたw
・「来なきゃ損するよ」…行きたい…。ラジオで聴きます…。
・毎年、気になっている、「We ♥ BBC」の垂れ幕。ファーストナイトでは見ましたが、ラストナイトではなかった。来られなかった?
・ファゴットが2人とも女性というのが、女性の多いBBC響らしい。
・今年は昨年よりもEU旗が多かった。EU旗のデザインのベレー坊をかぶった人も。合唱団でも、EU旗デザインのタイをしている人が。EU旗をイメージさせるような青のタイも多かったな。
 来年のプロムスは、イギリスがEUから離脱した後。EUから離脱しても、プロムスはいつものプロムスで、盛り上がっていてほしい。

・9月の記事でも書いたのですが、その年のプロムス公式メモリアルブックを出してほしいです。毎年、公式ガイドブックは出るのに、その後出演者やプログラム変更が合って変わってしまう。演奏会の画像もネットにアップされるけど、検索しにくい。オリンピックなどのスポーツイベントが終わった後、写真集・記録集が出ますが、そんな感じでプロムスも本を出してほしい…。

 以上でした。また来年!
 その前に、年末年始、プロムスの再放送があると思います。大晦日(日本時間だと元日)にはラストナイト。イギリスで年が変わる直前に、「Auld Lang Syne」…紅白かw(プロムスが先だ ※放送予定が出ました。この記事の下へどうぞ。


【公式のまとめいろいろ】
All the biggest and best moments from the Last Night of the Proms
The Proms 2018 in 19 unmissable moments

【過去記事】
・2014年:こんなクラシックコンサート観たことない! 「Proms(プロムス)」ラストナイトコンサート2014
・2016年:一緒に音楽を楽しもう Proms(プロムス)2016 ラスト・ナイト・コンサート
・2017年:クラシック音楽の最前線で BBC Proms(プロムス) ラスト・ナイト 2017 まとめ

・3月のBBC響来日公演:これがプロムスオーケストラ! オラモ & BBC交響楽団 @仙台

◇ちょうど、BBC radio3で、3月の来日公演の名古屋公演(ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、マーラー:交響曲第5番)をオンデマンド配信中:BBC radio3 : Afternoon Concert : The BBC Symphony Orchestra on tour in Japan

BBC Proms : Proms Christmas repeats on BBC Radio 3※PDF注意
 年末年始の、プロムスの再放送が決まりました。日本からでも聴けます。オンデマンドもあります。
 再放送されるのは、バーンスタイン生誕100年を記念した「ウェスト・サイド・ストーリー」に「On The Town」、来日するダウスゴー指揮、スウェーデン室内管の「The Brandenburg Project」、キリル・ペトレンコ指揮ベルリンフィル、ネルソンス指揮ボストン響など。大晦日の年越し前(日本時間元日)にはラストナイトを再放送します。

by halca-kaukana057 | 2018-11-27 23:48 | 音楽

不思議なシベリウス2番

 秋も深まり、冬の入り口。そろそろ初雪も降りそうです。シベリウスをもっと聴きたくなる季節がやって来ました(1年中聴いてますが)。
 BBC Radio3のオンデマンドに、シベリウス:交響曲第2番の演奏があったのですが、いつものシベ2と少し違います。
BBC Radio3 : Radio3 in Concert : Nordic Summer Nights
 Tristan Gurney(トリスタン・ガーニー):ヴァイオリン、指揮、Royal Northern Sinfonia(ロイヤル・ノーザン・シンフォニア)による演奏。ロイヤル・ノーザン・シンフォニアはイギリスの室内オーケストラ。1曲目が「アンダンテ・フェスティーヴォ」、スヴェンセンやニールセンといった北欧の作曲家のプログラムです。

 メインがシベリウス2番(上記リンク先1時間7分過ぎから)なのですが、聴いてみると、普段のオーケストラ編曲とは違う。調べると、Iain Farrington(イアン・ファリントン)という方が編曲している。ファリントンさんはピアニスト。オルガン演奏や作曲、編曲活動もしている。ファリントンさんのホームページに編曲作品リストがありました。
Iain Farrington : Arrangements
Sibelius, Jean: Symphony No. 2 - flute, oboe, clarinet, bassoon, horn, trumpet, trombone, timpani, strings (minimum 2, 2, 2, 2, 1)
 シベリウスの交響曲第2番についても載っています。こちらが編成。チューバがいない。管楽器はそれぞれ1人ずつ。弦楽器はコントラバス以外は最低2人いればよい。コントラバスは1人。シベリウスの交響曲は番号が進むにつれてどんどん編成が小さくなりますが、2番は大きい方。弦楽器はそれぞれ10人ぐらいはいるし、管楽器はホルンは4人。トランペットとトロンボーンは3人。第4楽章の大円団は、編成が大きい方で聴いた方が迫力もあるし、華やか、煌びやかでのびのびとしている。一方このファリントンさんの編曲はとても小さい。シベリウスの後期作品よりも小さい。室内オーケストラのための編成です。そのため、通常の演奏とは楽器の使い方が違う箇所がいくつもある。最初はあれ?と思いながら聴いていたのですが、だんだんハマってきました。

 シベリウスの2番はシベリウス作品の中でも明るく迫力があって華やか。でも、第1楽章は小川、というよりは雪解けの水がちろちろと小さく流れるようなささやきで始まる。そして、暗と明、陰と陽を繰りかえしながら大円団の第4楽章へ進む。大円団とは言え、第4楽章でも最後は金管の朗々とした歌で盛り上がって締めくくられ、胸も熱くなるが、途中ではやっぱり陰影が感じられる。この陰影や、寂寥感を表現するのに、この小さな編成は向いているんじゃないかなぁと思いながら聴いていました。3番以降からの編成の小ささへの経過も感じられます。

 編成が小さくても、シベリウスの音楽に聴こえるのは、シベリウスの個性だからかもしれない。編成は小さいけれども、描いているものはもっとスケールの大きな普遍的なもの…様々な自然の姿やその変化。身近にあるけど、大きな世界に繋がっているような。よくフィンランドの自然を描いているとも言われますが、それは地球全体に繋がっていた、ような(よくわからない)。

 ファリントンさんは5番も同じ編成に編曲しています。5番は2番よりも編成が小さいので、違和感はなさそう。ホルンが1人となると、第3楽章の白鳥の飛翔のホルンはどうするんだろう。あれは4人いるからこそ演奏できるんだけど…。

 シベ2だけじゃなくて、上記の他のプログラムもいいです。「アンダンテ・フェスティーヴォ」はいつ聴いてもいいです…。オンデマンド配信は11月29日あたりまでです。
by halca-kaukana057 | 2018-11-15 22:15 | 音楽

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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