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 「音楽の友」6月号に「小さな音楽大国・北欧フィンランド シベリウス音楽院の指揮者教育を探る」(取材・文:池田和秀、97~100ページに掲載)というタイトルのシベリウス・アカデミーを取材した記事が載っていた。以前「フィンランド人指揮者でシベリウス」の一連の記事を書いた時、このシベリウス・アカデミー指揮科で現在世界で活躍している数多くのフィンランドの指揮者を育てたヨルマ・パヌラ教授は「神」かと書いた。フィンランドは決してクラシック音楽の中心地ではないし、フィンランド自体も小さな国。それなのに次から次へといい指揮者が出てくる。そのシベリウス・アカデミー指揮科には何があるんだ?そう思って読んでみた。

 指揮科の授業はオーケストラを実際に指揮することで行われている。オーケストラを前に授業をするのは、他の音楽学校では珍しいらしい。課題曲があり持ち時間が設定される。その中でどう演奏するかは学生に任せられている。この実際にオケを指揮する授業はパヌラ教授が始めたもの。パヌラ教授は退官してしまったが、ヘルシンキ・フィルの音楽監督レイフ・セーゲルスタムが指導している現在もこの方法は変わらない。演奏が終わった後は、録ったビデオをみて皆で検討する。教授も学生も自由に意見を言い合う。どんな表現をしたかったのか、曲をどう解釈したのか。考えを述べディスカッションする。課題曲は週ごとに変わり、1年間に扱う曲は約50曲。実践力を重視しているようだ。さらに卒業試験ではプロのオーケストラを指揮する。しかも定期演奏会での演奏であり、勿論チケットを売るし観客もいる。とにかく実践力を養われる。

 実践力を養う授業。しかも、「学生が指揮している最中に何度も止めて指導するのではなく、ただ学生にやらせておく」(98ページ中段)と言うルールがあるのだそうだ。間違っても、うまくいかなくてもそのままにしておく。失敗も経験の内、とにかく本物のオーケストラの前で自分の考える指揮を試すチャンスを与えるのがシベリウス・アカデミー指揮科の方針。

 そう言えば、フィンランドは教育の分野でも世界トップクラスにある。特に国語、読解力のレベルはかなり高いと聞いたことがある。指揮もスコアを読まなければならない。文字ではなく、音符や曲想を読み、そこで考えたことを楽員たちに指揮という特殊な「言語」で伝える。うまく伝わらなければ音楽はめちゃくちゃになってしまうし、楽員との信頼関係も崩れてしまう。普段から使っている普通の言葉、日本語であれフィンランド語であれ言葉で意思疎通を図るのにも困難は多い。「こんな時にこう言えば良い」というhow-toを覚えることでは複雑すぎて対応しきれない。指揮は音楽の世界でしか使わないし、通じないのだからもっと大変だ。だからこそ実際にオーケストラの前で指揮する経験を積む必要がある。そう考えてみれば、シベリウス・アカデミーのやり方はいたってシンプルだし当然のことのように思えるけれども、これまでなかなか実現されなかったところを見ると音楽大学のシステムとかに問題があるのかもしれないと考えた。

 フィンランドには音楽大学より先に、ムシーッキオピストという音楽学校があるのだそうだ。小学生から高校生まで、放課後に通い音楽を学ぶ。学校だから入試を受けないと入学できない。この音楽学校に通いながら普通の学校にも通い、卒業後にシベリウス・アカデミーに進学する。フィンランドでプロの音楽家になるための目標なのだそうだ。この音楽学校がフィンランド国内に88校ある。人口の少ないフィンランドでは、これだけあれば国内どこに住んでいても音楽学校に通うことが出来る。音楽学校の運営費は国と自治体が補助する。さすが小学校から大学院まで教育費は無料の北欧民主的福祉国家。そしてこんなに国が音楽教育に力を入れている理由は、シベリウスの音楽がフィンランド独立のシンボルとなり、大きな役割を果たしたからだそうだ。「フィンランド国民にとってシベリウスの音楽は母乳のようなもの」と、NHK音楽祭2005のインタビューでオラモが言っていたのを思い出した。国民的文化となっている音楽の教育に国が力を入れないわけがない。国が小さいから、隅々までいきわたり易く効果が出やすいというのもあるんだろうなぁ。

 どうやらシベリウス音楽院の強さは教育制度(教育方針)と音楽に対する国民の意識にあるらしい。フィンランド特有の環境も一因となっている。他の国で真似しようとしても、そのまま導入するのではうまくいかないかもしれない。でも、国が何を大切にするべきなのかという意識は参考にした方がいいと思った。音楽に限らず、様々な分野においても。

 ちなみに、この「音楽の友」の記事を書いた池田さんのブログはこちら。その取材した時のことを書いた記事もありました。
by halca-kaukana057 | 2006-08-08 18:14 | 音楽
 私の持っている楽譜「ピアノ名曲120選 初級編」(音楽の友社)の中に、グリーグのピアノ曲「アリエッタ」が収録されている。曲は聴いたことはないがずっと気になっていた。グリーグは北欧・ノルウェーの作曲家。ピアノを生涯の楽器とし、この全10集66曲という「抒情小品集」も生涯にわたって書き続けた曲集でグリーグの日記のようなもの…。その最初の曲がこの「アリエッタ」。グリーグの原点なのかな?と自分で勝手に思っていた。

 
その「抒情小品集」、探せばCDは結構あって図書館でも見つかった。それがこのCD。先日ブラームスでも取り上げた、グリーグと同じノルウェーの若手ピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスの演奏(EMI)。抜粋版だが、ノルウェー・ベルゲンのグリーグの家のグリーグが使っていたピアノで録音したというもの。そう言えば、シベリウスでも舘野泉さんがシベリウスの家「アイノラ」のシベリウスが使っていたピアノで録音したCDが出ていたっけ。

 グリーグに話を戻して、その「アリエッタ」をまず聴いてみた。素朴で緩やかな曲。これは弾いてみたい。初級のピアノ曲集にあるのだから私でも頑張れば弾けるはず…。他の曲に関しては「まさにノルウェー」と思う曲ばかり。例えば第5集第3曲の「小人の行進」。原題は「Troldtog」、つまりノルウェーの伝説に出てくる妖精トロルのこと。妖精といってもこんなのなのでちょっと不気味。トロルたちがぞろぞろと早足で歩いている激しさが楽しい。第1集第6曲「ノルウェーの旋律」はノルウェーの民族舞踊スプリンガル(跳躍舞曲)が元になっているのだそう。

 第8集第6曲「トロルドハウゲンの婚礼の日」はグリーグ夫妻の銀婚記念に合わせて出版された(最初は友人の50歳の誕生日を祝って作られた曲なのだが、同じ年にグリーグ夫妻の銀婚式もあったため、出版社の意向でタイトルを変更したらしい)。「トロルドハウゲン」はグリーグが住んだ所でノルウェーらしい海と丘陵のある自然が美しいところなんだそうだ。その美しい自然を前に結婚を祝う人々の歌や踊りが感じられる曲。他にも「ワルツ」や「メロディー」、「夜想曲」等ロマン派のキャラクター・ピースによくあるタイトルの曲は多いのだけれど、実際に曲を聴いてみるとショパンやシューマンとは全然違う。そして最後の第10集第7曲「回想」、最初の「アリエッタ」のメロディーがワルツ風になって終わる。最後は原点に返る。または原点を思い返す。その人の人生が見えてくるよう。と言うわけでぜひ全曲聴いてみたいのだが、全曲版は少ない。


 なので同じく抜粋版のミハイル・プレトニョフ盤(ユニバーサル・ミュージック/DG)ので補足。有名な第3集第1曲「ちょうちょう」、同じ第3集第6曲「春に寄す」なんて北欧の待ちわびた春らしい。この盤とアンスネスの演奏を聴き比べると、アンスネスは迫力のあるタッチが得意なのかも。ベートーヴェンとか弾いてくれませんかねと勝手に思っているのでした。
by halca-kaukana057 | 2006-07-07 21:05 | 音楽

人形の夢と目覚め選手権

 留衣さんのブログ「ピアノもっかい始めたけえね。」にて、「DOLLYカップ」というものが開催されていることを知りました。「DOLLYカップ」とは、「おっとーのピアノ修行日記」のおっとーさん主催による「人形の夢と目覚め」を皆で弾いて皆で聴き合おうという企画です。詳しくはおっとーさんのブログの詳細にてどうぞ。

 それで、無謀にも私も参加させていただくことが出来ました。独学のためピアノを弾いても聴くのは自分自身(と家族)。いくら自分に厳しく(でも、かつ楽しく)練習しようと思っても、自分の独りよがりな考えだけではいつか限界が来てしまう。そんな理由でピアノを辞めたくない。ならば、ネット上で皆さんに聴いて頂こう。そして、皆さんの演奏も聴いて勉強しよう…といういきさつ。ただ単に人前で弾くつもりで度胸試しをしたいのもありますが…。

 前置きはこれぐらいにしておいて、メインエーベンツ。

 オースティン(T.Oestin)「人形の夢と目覚め」演奏はこちらから
・Cradle song~Dolly sleeps(眠る人形):up!
・Dolly's dream(夢を見ている人形):up!
・Dolly awakes~Dolly dances(人形は目覚め、軽快に踊りだす):up!

 これで全て録音完了しました。ドリーカップは7月末まで開催されているため、それまでに全て通したものをもう一度録音する予定。
あと、「人形の夢と目覚め」の超個人的解釈は「人形が見ている夢はどんな夢?」の記事で。
by halca-kaukana057 | 2006-06-24 15:24 | 奏でること・うたうこと

ブラームス…その後

 以前ブラームスの曲がよくわからないと書いた。(以前の記事:「ブラームスはお好き?」) ヴァイオリン・ソナタが気に入ったので、少しずつ聴いていこうと思い私なりに色々手を出してみたり聴きなおしてみたり。するとだんだん好きな曲が増えてきた。うん、嬉しい。


 その中でもとにかく気に入っているのが「間奏曲op.117」。前回の記事でピアノ曲もよくわからないと書いたけど、そんなこと無かった申し訳ない! 「私の苦悩の子守唄」とブラームスが表現した通り、穏やかでしんみりとした私好みの曲。特に1曲目の変ホ長調のじんわりとした情景がたまらない。

ちなみにお気に入りの演奏はノルウェーのピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネス。公式サイトはこちら。ゆったりとしていて丁寧、落ち着いていて好印象。カップリング(こっちの方がメイン)のピアノ協奏曲第1番ニ短調(サイモン・ラトル指揮バーミンガム市交響楽団、EMI)はもう少し聴き込んでみる。アンスネスの他のディスクも聴いてみたら本当に気に入ってしまった。そのうちグリーグについても感想を載せる予定。関係ないけどこの頃「書く予定」って多いな、自分。どんどん溜まる…。

 この間奏曲だけでなく、交響曲第2番、第4番、ヴィオラ・ソナタも好き。じっくり聴いていこう。
by halca-kaukana057 | 2006-06-09 20:41 | 音楽

モーツァルトの協奏曲

 モーツァルトは結構好きだ。しかし、ピアノソナタや室内楽ばっかりでオペラや交響曲などオーケストラものはほとんど聴いていない。相変わらず偏った聴き方をしているなぁ…。それじゃあんまりだと思って、協奏曲から聴いてみることした。でも、数が多い。どれから聴いたらいいか分からない…。ええい、何となく目に付いたものを聴いてしまえと図書館から借りてきた。

 まずピアノ協奏曲。



「20世紀の偉大なるピアニストたち~ヴィルヘルム・ケンプ2」の中から「ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488」(フェルディナント・ライトナー指揮バンベルク交響楽団)

 ケンプは結構お気に入りのピアニスト。素朴な演奏が和むんだよなぁ。このCDに入っているバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」と「目覚めよ、と呼ぶ声が聞こえ」がいい。モノラル録音はあまり聴き慣れていないのだけど、それが素朴さをさらに高めている感じがして気にならない。この曲も和む。第3楽章のはつらつとした感じもいい。買うならこっちの27番とのカップリングでどうぞ。私も欲しい。





今度は木管楽器の協奏曲。

「クラリネット協奏曲イ長調K.622」(クラリネット:ジャック・ブライマー)、「オーボエ協奏曲ハ長調K.314」(オーボエ:ニール・ブラック)、「バズーン協奏曲変ロ長調K.191」(バズーン:マイケル・チャップマン)(サー・ネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ、Philips)

 木管楽器ののんびりとした音とメロディーが合う合う。クラリネット協奏曲は結構はまりやすい曲らしいが私もはまった。これは聴き込んだら楽しいぞ。元々はバセットクラリネットという普通のクラリネットとは違うクラリネットで演奏されていたため、現在のクラリネットで演奏すると結構大変らしい。バセットクラリネットでの録音もあるそうなので是非聴き比べてみたい。

 漫画「のだめカンタービレ」でも演奏されたオーボエ協奏曲。のだめは「ピンク色のモーツァルト」と言っていたけれども私にはよくわからなかった…。これも聴きこむ必要あり。そのうち「ピンク色」の演奏にめぐり会えるか?

 どちらかと言うとバズーン協奏曲の方が私の好み。普段はあまり表舞台に出てこないバズーン(ファゴット)のソロ演奏を堪能できる。とはいえファゴットの音色が元々好きというだけの理由なのだが。

 図書館で借りた程度なので今日はこの辺で。ピアノソナタでもそうなんだが、モーツァルトははまるとどこまでもずるずる引き込まれてしまう。聴き易いのもある。モーツァルトイヤーで皆騒いでいるのはそのせいなんだろうか…?
by halca-kaukana057 | 2006-06-05 21:52 | 音楽
 
今回はパーヴォ・ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団の交響曲全集。(Warner classics/FINLANDIA)。交響曲全7曲の純粋な交響曲全集です。

 今まで取り上げてきた指揮者のシベリウスも好きだけれど、私にとってこの全集の演奏は“原点”だと感じる。と言うのは、この全集が私が初めて聴いたシベリウスの音楽だったから。「シベリウスの交響曲(特に後期交響曲)がいい」と聞いてどんなものかと図書館でCDを探したらちょうどこの全集があった。指揮者もオーケストラも知らなかったけれども、全曲一気に聴けるならいいやと思って借りたのがこのCD。しかも、どれから聴こうかと考えた時に、聴き易そうなものがいいと思って演奏時間が一番短い第7番から聴いた。なんていい加減…。でも、それまで交響曲と言えばベートーヴェンやブラームス等の重厚で難解なものを想像していた私にとって、シベリウスの7番は新鮮だった。静かで、音が澄んでいる。こういう交響曲もあるんだと感じた。その後に聴いた2番も、冒頭の弦楽器のささやきの美しさにやられてしまった。5番もいい。第3楽章の白鳥のエピソードも好きだ。このエピソードを知って以来、白鳥を見かけるとこの曲を思い出してしまっている。

 最初に聴いた演奏だからか、その後他の指揮者・オケの演奏を聴く時にはこのベルグルンドのものと比べてしまっている。4番はもうちょっと暗めのほうが好きだとか、6番はもっと軽快な方が好きだとも感じるけれども、やっぱりベルグルンドはいいなぁと思う。私にとっては和む演奏なんです。余計な装飾が無くシンプルで、どこまでも透明なところに惹かれる。(こうやって書くと、何だかカイ・フランクのデザインしたグラスみたい)

 ベルグルンドにとってこれは3度目のシベリウス交響曲全集。一度目のボーンマス交響楽団、二度目のヘルシンキ・フィルの全集もあって、また違う響きがするそうだ。是非聴いてみたい。

 ちなみに、来年はシベリウス没後50年。(50年前にはまだ生きていたと思うと、シベリウスは本当に長生きだったんだと思う) きっとフィンランドではあちこちのオーケストラが気合入れて演奏するに違いない。さらにグリーグ没後100年でもある。北欧クラシック好きにはたまりません。ああ、フィンランド…行きたい。

 そんなこんなでこのシリーズはここで一区切り。また違うCDを見つけたら書くかもしれません。
by halca-kaukana057 | 2006-05-24 20:56 | 音楽
 
3回目はサカリ・オラモ指揮バーミンガム市交響楽団の交響曲全集(Warner Classics/ERATO)。交響曲全7曲に「フィンランディア」「カレリア組曲」「ポホヨラの娘」(「ポヒョラ」とも表記される)「吟遊詩人」「タピオラ」も入れたかなりお得な全集です。

 NHK音楽祭2005フィンランド放送交響楽団との演奏を聴いて以来、オラモは気になっていた指揮者。よく分からないので調べてみたら、まぁすごい経歴で。お母様はフィンランドでは屈指の音楽一家・ポホヨラ家の娘さんでピアニストのリーサ・ポホヨラ。お父様は音楽学者でシベリウスアカデミーの教授。フィンランド放送響でコンサートマスターを務めるかたわら指揮も学び、そのフィン放送響に客演で来た指揮者がコンサートの数日前に病気になったのでその代役で指揮者デビューしたら大成功。そしてあちこちのオケに呼ばれるようになり、バーミンガム市響の音楽監督になったのだそう。代役で大成功してしまったというところが何とも言えない。いや、凄い。


 この中からのお薦めは2番、3番、6番、フィンランディア、吟遊詩人。まず2番。2番って有名だけれども難しい曲だと思う。特に第4楽章。雄大なフィナーレだからといってあまり盛上げすぎるとシベリウスのイメージからかけ離れてしまうし、かといって抑えたら物足りない。その微妙なところを上手く調節しつつ、だんだんクレッシェンドしながら最後の最後で盛上げている。すがすがしい演奏です。

 6番の第1楽章はハープがきれい。3番もだけど緩急のメリハリが利いている。それと同じ路線にあるのか、7番は聴いていて冬の夜の日本海側の天候をイメージした。雪かと思うと時折晴れ間が見える。しかし数分後には吹雪になるが長くは続かず、曇ったり晴れたり雪が降ったり。基本的に「寒い・冷たい」のだけれども、揺らぎがあって同じようなシーンを繰り返すことなく絶えず変化している。他の演奏ではもっと穏やかな揺らぎなのだけれども、この演奏は揺れる振幅が広いと感じた。でも、雑には感じない。

 「吟遊詩人」と「ポホヨラの娘」は初めて聴いたのだけれども渋い曲。「吟遊詩人」はフィンランドの民族楽器・カンテレをイメージさせるハープが美しく、わびしい。こういう曲が私は大好き。「ポヒョラの娘」は「カレワラ」から題材をとった曲。老賢人ワイナモイネンが北の地・ポホヨラに住む乙女に求婚するのだが、乙女はワイナモイネンに3つの課題を出し、それが出来たら結婚してもいいと告げる。ワイナモイネンはその課題のうち2つはやすやすと果たしたが、3つ目で大怪我をし求婚は失敗に終わった、と言う話。ワイナモイネンがポホヨラへ向かう部分がカッコイイ。


 と、これまで紹介した3人に共通すること。それはシベリウスアカデミーの指揮科でヨルマ・パヌラ氏に師事していたこと。パヌラ門下は他にもユッカ=ペッカ・サラステとかミッコ・フランクとか。門下生がここまで飛躍を遂げているところを見ると、ヨルマ・パヌラは神ですか…。


 しかし、「オラモ」なんて変な名前だよなぁ。「アホネン」といい勝負だと思うけど…?
by halca-kaukana057 | 2006-05-20 20:25 | 音楽
 

 今回はオスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団(音が鳴るので注意)の交響曲全集(BIS)。以前「幻の協奏曲」でも取り上げたコンビ。それ以来好きになった指揮者とオケで、交響曲も聴きたいなぁと思っていた。収録されているのは交響曲全7曲と交響詩「タピオラ」、そして交響曲第5番初稿版。

 まず何はともあれ5番初稿。初稿を聴けるのは嬉しい。冒頭、現行版では金管があって木管が出てくるのに、初稿ではいきなり木管が出てくるのでびっくり。現行版のほうがはっきりとしていて華やかかな?と感じた。初稿版は少し控えめでぼやけたところがある。そして、初稿版は現行版に比べると暗い。現行版では4番を引きずっているかのように1楽章の途中まではどこか暗い。でも、1楽章の最後で吹っ切れてしまう。一方初稿の方は最終楽章もほの暗い。曲を直している間に、4番の頃の暗さが和らいできたのだろうか。


 演奏は落ち着いたピアニッシモがきれいだなぁと感じた。耳を澄まして聴かないと聞き取れない。音と音の間、音が無いところにも何らかの意味や効果があるのだなと感じる。それなのに、フォルテは大音量でダイナミック。特にティンパニの勢いが物凄い!でも、大盛上げ大会にはならず抑え目なのは、オーケストラの規模が小さいことも関係しているのかな?

 この中からのお薦めは3番、4番、5番(両方とも)、「タピオラ」。小さな音が丁寧なので、静かで暗めの曲でその良さが出てくる。初めて聴いた時には訳が分からずとっつきにくいと思っていた「タピオラ」も、この演奏を聴いて分かった訳ではないけれども、良いなぁと感じるようになった。ひっそりと始まる冒頭と、最後の天に上るような音(説明不足で申し訳ない)がとにかくきれい。タピオラ、つまり「カレワラ」に出てくる森の神・タピオの領地。人間の力の及ばない畏れ多いひっそりとした森と言えばいいのだろうか。不思議な曲だけれども好きだ。3番・4番も同じく聴き始めた頃はよくわからなかったけれども、今では大好きな曲。私の場合、3番の第2楽章と4番の第3・4楽章は落ち込んだ時によく聴く曲。この暗さ、静けさに慰められるように感じるし、何故か落ち着く。

 このコンビで聴きたいCDは色々あるのだが、BISのCDは高いのでなかなか手が出ないのが困ったところ。

 ちなみに、ヴァンスカが音楽監督を務めているミネソタ管との演奏がネットストリーミングで聴けます。(American Public Mediaというサイト。)シベリウスはありませんが、ベートーヴェンやモーツァルト、フィンランドの作曲家のカレヴィ・アホの交響曲などが聴けます。しかもヴァンスカのインタビュー(解説?)付き。ここはお薦めしておきます。インタビューはいいけれども、出来れば日本語がいいという方はAll Aboutのインタビューで。(かく言う私も英会話を聴いて理解するのは苦手…。)あと、ミネソタ管のサイトは動画も多く、充実していて面白い。“Vänskä”の発音についてラジオで解説?している動画なんてのもあって笑った。(ここの一番下。)


 ところで、全くの駄文で蛇足なのですが、ラハティ響でこれをやってみました…。

結果はこっち
by halca-kaukana057 | 2006-05-17 20:12 | 音楽
 フィンランドのクラシック音楽を詳しく調べていくと、フィンランド出身の指揮者が物凄く頑張っていることに気付く。よくもまぁこう何人も。人口の多い国ならまだしも、500万人の小さな国からこれだけ出てくるのだから、恐ろしく思えるほど。それで、聴くならやっぱりシベリウスでしょと色々借りたり買ったりしたものを紹介してみます。フィンランドにはシベリウス以外にも色々な作曲家がいるらしいのですが、初心者ゆえにまだよく分からないので後々。



 今回取り上げるのはエサ=ペッカ・サロネンとジョシュア・ベルが共演したヴァイオリン協奏曲(ロスアンジェルス・フィルハーモニック)(Sony classical)。何ですか、このイケメンコンビは。そういう類のディスクなのかなぁ…と思ったらそんな事無かった。良いじゃん。ヴァイオリンも指揮も活き活きしていて、聴いていてワクワクする。特に第3楽章。♪ドンドコドンドコ…というこのリズム、病み付きになりそう…いえ、既に病み付きです。か細い部分と力強い部分のメリハリも効いているし、オケも好きだ。


 このヴァイオリン協奏曲の話が出ると、シベリウスのこんなエピソードが語られることが多い。シベリウスが14歳ぐらいの時ヴァイオリンを手にしてから演奏に夢中になり、ヴァイオリニストになることを目指して懸命に練習した。「森と湖の国」フィンランドらしく、舟をこいで誰もいない湖の中にある島で練習していたそうだ。姉がピアノ、弟はチェロを弾いて兄弟で室内楽も楽しんでいた。その後、音楽大学(今のシベリウスアカデミー)ではトップの腕前を持つ程にもなったのに、極度のあがり症で人前で演奏できなかった。ある時はメンデルスゾーンの協奏曲を演奏しようとステージに立っても、何も演奏できずそのままステージから降りてきたほどだとか。さらに、ウィーンフィルのオーディションを受けたが勿論惨敗。それで作曲家に転向したという話。実は私はこのエピソードがとても好きだ。写真ではいかにも堅物そうなシベリウスにもこんな愛らしい(?) エピソードがあったと思うと微笑ましく、どこか嬉しくなる。とはいえ、この曲自体は微笑ましくない。身を裂くような第1楽章が特に。夢を諦めざるを得なかったシベリウスの想いを象徴するかのように。でも、シベリウスが作曲家にならなかったらこの曲も、そして他の曲も無かった…と思うとちょっと複雑。

 駄文ですが、以前、この曲を聴きながら雪の中を散歩していたことがあったのだが、あの冒頭部分のヴァイオリンソロで凍りつくかと思った(笑) いや、笑い事じゃなくて正直な話。是非冬になったらやってみて。
by halca-kaukana057 | 2006-05-13 22:04 | 音楽

「芸術力」の磨きかた

 「『芸術力』の磨きかた 鑑賞、そして自己表現へ」(林望、PHP新書、2003年)



 以前、クラシックの聴き所を寄せ集めしたCDが売れていると聞いて、私はあまり好きじゃないなと思ったことがある。部分だけを聴いて何が分かるの?聴き所もそうでないところも、全部聴いて初めて感想が出てくるのではないかと。ある友人にも「クラシックを聴いてみたいのだけれども、そういうCDは買い?」と訊かれた事があった。私は「私はあまりそういうCDは好きじゃないけど、どんな曲かを知るには良いと思う。でも部分だから、気に入ったら全曲入ったCDを買ったほうがいい」と言っておいた。今でも、そういうCDは好きじゃない。でも、私もまだまだ初心者。知らない曲が沢山あって、沢山の曲を知りたい・聴きたいとなるとこの手のCDは便利だなと思ってしまう。

 この本を読んでいてそんなことを思い出した。芸術と言うと堅苦しいものを想像しがちだけれども、嬉しい時に歌ったり踊ったりするなど、芸術は身近に存在する。また、人間は何かを表現したいと思う気持ちを持っている、つまり「芸術欲」を満たすことを望み、人生を豊かにするために欠かせないものだと著者は言っている。

 そんな気持ちがあるからか、時々芸術に関するブームが起きる。今はクラシックブームらしい。だからこそこういうCDが売れているのだろうけど、ちょっと待った。知っている曲を増やす=知識・経験を積むのが芸術の楽しみなのだろうか。

 著者の答えは「NO」だ。知識が増えても自分なりの音楽観・見方が育っていない。だから浅くて広い知識が増えただけのこと。知っている曲は少なくても、好きな曲や作曲家を徹底的に聴いて自分なりの見方を持つ方がいい、と。確かに、何か曲を聴いてただ「いい曲だった。良かった」と思っただけで、あとは記憶の中に放り込まれるのでは面白くない。

私ももっとクラシック音楽について「分かりたい」んだ。だから好きな曲をとにかく何度も聴いてみたり、演奏者で比べてみたり。未だに聴いた後の感想はなかなか深くならないけど、少しずつ速さや音の強弱などに注目して、その結果曲の感じ方がどう変わるのか分かるようになって来た。と言っても、まだまだ分からないことばかりで、聴いたCDの感想を書きたいと思っても言葉が出てこなくて困ってしまっている。本の感想についてならそれなりの言葉が浮かんでくるのに。きっと、本を読むことは子どものころから続けてきたことだから身についている。クラシックはまだ身についていないのだと思う。

 この本では鑑賞するだけでなく、絵を描いたり演奏したり、書道や写真など自分で表現することも薦めている。芸術は完成することがない。自分が望む表現が出来るまでしつこく追求する。その姿勢がアマチュアでもプロに近づくために大切なのだそうだ。「自己満足」という言葉が氾濫しているような今、探求することの楽しさを思い出させてくれるような気がする。私だって、その時だけの「にわかファン」にはなりたくない。性格のせいか、一度興味を持ったらなかなか熱が冷めない、いや冷めたくない。読書も音楽を聴くことも、ピアノを弾くことももっと続けてみたい。ピアノも、ただ曲が弾けるんじゃなくて表現力の幅を広げてみたい。(その前に基礎練習がなってないのでどうしようもないのだが) もっと視野を、興味を、そして自分を広げ、深めたい。私もそういう欲の強い人間なんだな、と読み終わってあらためて感じる本だった。
by halca-kaukana057 | 2006-04-18 20:17 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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