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 今回もシリーズではありませんが、シベリウス「クレルヴォ(クレルヴォ交響曲、クッレルヴォ)」 op.7 を聴いた感想を。9月、パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、NHK交響楽団で「クレルヴォ」を含む演奏会がありました。N響初演なのだそうです。意外。誰かやってるかと思った。コンサートに行けなくても、N響はFM生放送とEテレ「クラシック音楽館」でのテレビ放送があるのでありがたい。そのFM生放送の録音と、「クラシック音楽館」での放送を観ての感想です。
 ちなみに、N響、NHKは「交響曲」はつけない。「クレルヴォ」が交響曲なのか、交響詩なのかは研究されています。

パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、NHK交響楽団
ヨハンナ・ルサネン(ソプラノ)、ヴィッレ・ルサネン(バリトン)
エストニア国立男声合唱団

 以前、パーヴォ・ヤルヴィさんがロイヤル・ストックホルム・フィルと「クレルヴォ」を録音し、そのCDを聴いた記事を書きました。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 この記事で、こんなことを書いている。
現在、50代のパーヴォさんならどんな「クレルヴォ」を描くだろう?シベリウス作品でも規模やフィンランド語による独唱・合唱のため?かなかなか演奏されない「クレルヴォ」。オケや声楽独唱・合唱は変わるでしょうが、現在のパーヴォさんの「クレルヴォ」も聴いてみたいです。
 まさにこれが実現しました。21年後の実現です。聴きたかったものが聴けて嬉しい。

 そして、「クラシック音楽館」でのインタビューでも、興味深いことを仰っていました。
・「カレワラ」で、クレルヴォは「善」か「悪」か判断がつきにくい。シベリウスがクレルヴォの物語を取り上げたのが興味深い。(ちなみに、レンミンカイネンは「善」)
・フィンランドとエストニアは民族、言語的に近い。エストニア語は、フィンランド語の古語に近い。フィンランド語は、エストニア語の古語に近い。
・「クレルヴォ」の詩(「カレワラ」のクレルヴォの章)はフィンランド語の古語で書かれている。エストニア国立男声合唱団は、フィンランド語の古語を完璧に発音できる。
 「カレワラ」の中で、ワイナミョイネンやレンミンカイネン、イルマリネンは通して登場しますが、クレルヴォはクレルヴォの章しか登場しない。しかも、「カレワラ」の中でも他の章とは雰囲気が全く異なる。「悲劇の英雄」。しかも、若い頃のシベリウス、初期の作品。初めて交響曲を書こうとして、選んだのがクレルヴォの物語というのは確かに興味深い。レンミンカイネンよりも先に、何故クレルヴォを選んだのだろう。クレルヴォの何に惹かれたのだろう。
 フィンランドに様々な面で近いエストニア。エストニア語とフィンランド語の関係は初めて知りました。言語的に似ている、フィンランド人とエストニア人がそれぞれの母国語で会話しようとすればできないことはない、と聞いたことはあります。方言のような感じだと。「カレワラ」は古語で書かれているとは大体予想はついていましたが(声楽でも、イタリア歌曲集のイタリア語の歌詞は古い表現で、今のイタリア語ではあまり使わない表現だと学びました)、それがエストニア語に関係しているのは初耳です。パーヴォさんのエストニア国立男声合唱団が歌う「クレルヴォ」の男声合唱への大きな信頼と自信が感じられます。(ならば、これまで、今も「クレルヴォ」を歌い続けている数多くのフィンランドの男声合唱団はどうなんだろう…?と思ってしまいます。現代のフィンランド語を話すフィンランド人の方が弱いのか、と。他の国の男声合唱団は?)

 演奏は、ソフトな感じ。以前のロイヤル・ストックホルム・フィルとの演奏もソフトな感じでしたが、N響ともソフトです。第1・2楽章はこのやわらかさに加えてゆったりと。でも、音の質感は重め。根はずっしり、しっかりと張り、枝葉は柔らかな大樹をイメージします。第1楽章の主題はいつ聴いても胸を締め付けられます。「クレルヴォ」を作曲していた頃は、シベリウスはワーグナーが好きで、ベルリン留学の際に聴いたワーグナーのオペラに強い感銘を受けています。「クレルヴォ」はオペラ風だと感じます。でも、完全にワーグナーや、同じく強い感銘を受けたベートーヴェンの第九とは違う、シベリウスの音になっている。
 第3楽章、男声合唱は表現豊か。語るタイプよりも歌うタイプです。パーヴォさんが仰っていたように無骨、時にやわらかく。ソプラノとバリトンの独唱の2人を引き立てているようにも感じました。独唱は「クレルヴォ」ではお馴染みのルサネンきょうだい。メリハリ、キレがありますが、乱暴ではない。クッレルヴォの妹の告白の箇所が痛切で、かなしい。妹の死の後のクレルヴォの嘆きは、強く重く自分を責める感じ。クレルヴォでお馴染みのきょうだいですが、その時によって歌い方が異なるのは本当に興味深い。それぞれ、指揮者の考え方が違うんだなと感じます。
 第4楽章もソフトな感じ。クッレルヴォがウンタモ一族を滅ぼしに戦争をするのですが、もうちょっと硬い音でもいいかなと思う。金管はバリバリで、勇ましさ、力強さはよく伝わってきました。
 第5楽章、クレルヴォの死。最初は弱音で、じわじわと重く盛り上がる男声合唱に、ぞくぞくします。ソフトな演奏だけど、重めの音がいい味を出しています。ラストはどこか淡々としているけれども重く、力強く。カンテレで歌いつつも語る吟遊詩人のよう。

 「クラシック音楽館」で、日本語字幕付きで聴けたのはよかったです。なかなかありません、初めてです。いつもは記憶しているクレルヴォの章のあらすじを思い出したり、歌詞カードを見たりしているのですが、途中でどこかわからなくなることもあります。歌詞の詳細と一緒に聴けるのはいいなぁと感じました。N響で演奏されてよかった。

 歌詞の詳細を追いながら聴けたので、今回はこの話も書きます。第3楽章、第5楽章の歌詞は「カレワラ」のクレルヴォの章からとられていますが、シベリウスが変更した部分があります。クレルヴォが妹を誘い、きれいな宝物…金銀や布地を妹に見せるところの男声合唱の部分。
Verat veivät neien mielen,
Raha muutti morsiamen,

(布地は娘の心を揺るがせ
お金は花嫁の気持ちを変えた)
 「カレワラ」原詩ではこのようになっていますが、シベリウスは「Raha(お金)」を、「Halu(願望、憧れ)」に変えています。しかし、何者かがシベリウスの自筆譜を無断で書き換え、「Raha」に戻してしまいます。その後、ずっとこの箇所は「Raha」で歌われてきたのですが、2005年のブライトコプフ社「ジャン・シベリウス作品全集」ではシベリウスによる「Halu」に戻されています。今回の演奏では、N響機関紙「フィルハーモニー」に載っている歌詞では「Raha」でしたが、「クラシック音楽館」の訳では「憧れ」となっていました。結局、どっちで歌ったんだろう?

 今回のコンサート前半では、「レンミンカイネンの歌」op.31-1、「サンデルス」op.28、「フィンランディア」op.26(男声合唱つき)も演奏されました。「レンミンカイネンの歌」(NHKでは「レンミンケイネンの歌」と表記)は、「カレワラ」のレンミンカイネンを題材に、ユリヨ・ヴェイヨの詩を歌っています。「レンミンカイネン組曲(四つの伝説)」op.22のドラマティックさとは少し違う牧歌的な詩です。曲は、「レンミンカイネンの帰郷」と同じ楽想が活用されています。「サンデルス」は詩はスウェーデン語。ルーネベルイの詩です。1808年、ロシア-スウェーデン戦争のスウェーデンの将軍、ヨハン・サンデルスを歌っています。スウェーデン語系フィンランド人であるシベリウス、ルーネベルイがうかがえます。どちらもあまり聴かない歌で、「クレルヴォ」とは異なる雰囲気で興味深い。滅多に演奏されない曲が演奏されて嬉しいです。「フィンランディア」は男声合唱の入れ方は色々あるんだな、と感じました。

 昨年はハンヌ・リントゥさんが東京都交響楽団で「クレルヴォ」を演奏。今年はパーヴォさんとN響。日本でもどんどん「クレルヴォ」を演奏して、もっと広まればいいなと思います。やっぱりフィンランド語の歌詞が壁になるかとは思いますが…。
 「クレルヴォ」の記事が多くなってきたので、タグを作りました。これからも、「クレルヴォ」を聴いたら書いていこうと思います。



【これまでの「クレルヴォ」シリーズ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう サロネン&ロスフィル
 エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう オラモ&BBC響
 サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団(2015年プロムスでのライヴ録音)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう リントゥ&フィンランド放送響
 ハンヌ・リントゥ:指揮、フィンランド放送交響楽団(2017年、フィンランド放送響のフィンランド独立記念日コンサートより)
まだまだ、シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ダウスゴー & BBCスコティッシュ響
 トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
by halca-kaukana057 | 2018-10-15 22:39 | 音楽
 今回はシリーズではありませんが、シベリウス「クレルヴォ(クッレルヴォ)」op.7の演奏会のオンデマンドがあります。

◇オンデマンドはこちらから:BBC Radio3 : BBC Scottish Symphony Orchestra
 放送後30日間の公開です。6月16日頃まで。
BBC Scottish Symphony Orchestra : Closing Night - Composer Roots 7: Sibelius’s ‘Kullervo’ + Post-Season Party

トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
ヘレナ・ユントゥネン (Helena Juntunen ソプラノ)
ベンジャミン・アップル (Benjamin Appl バリトン)
ルンド大学男性合唱団 (Lunds Studentsångare / Lund Male Choir)

 プログラムは「クレルヴォ」と「フィンランディア(フィンランド讃歌の部分)」なのですが、面白いのは冒頭。「Prelude with excerpts from Kullervo」と題して、「クレルヴォ」のメロディーと、フィンランド民謡などのメロディーをミックスした前奏曲(のようなもの?)が演奏されます。編曲は指揮のダウスゴーさんともう一方によるものだそうです。「クレルヴォ」の断片が出てきては消えて、フィンランド民謡(タイトルがわからない。聴いたことがあるような…)も出てきて、カンテレの音も聴こえる。でもすぐ消えて行く。不思議な音楽です。その後、「クレルヴォ」全曲が始まります。(17分から「クレルヴォ」です)

 「クレルヴォ」は、ゆったりとした演奏で、壮大な世界観にぴったりです。第3楽章の男声合唱、ソプラノ、バリトン、は暗めのトーン。ずっしり、というよりは、しっとりという感じ。ウェットな空気の暗い森の中のような。「クレルヴォの嘆き」の部分も落ち着いています。あと、金管の存在感が強いなと感じました。図太い。全体的に骨太な演奏だと感じました。

 まだまだ聴けるので、何度か聴き込みたいです。

【これまでの「クレルヴォ」シリーズ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
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[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう サロネン&ロスフィル
 エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう オラモ&BBC響
 サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団(2015年プロムスでのライヴ録音)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう リントゥ&フィンランド放送響
 ハンヌ・リントゥ:指揮、フィンランド放送交響楽団(2017年、フィンランド放送響のフィンランド独立記念日コンサートより)
by halca-kaukana057 | 2018-05-22 22:53 | 音楽
 シベリウス「クッレルヴォ」第2シリーズは今回が最後。第1シリーズの記事でも触れていたのですが、この演奏会に行きたかった。
都響:第842回 定期演奏会Aシリーズ
 東京都交響楽団の11月8日の演奏会。ハンヌ・リントゥ:指揮で「クッレルヴォ」。フィンランド独立100年記念です。男声合唱はポリテク合唱団。日本のプロオケが「クッレルヴォ」を演奏するなんて何十年ぶり?アンコールには「フィンランディア」の男声合唱つき!行きたかったのですが、都合が合わず行けませんでした。

 でも、オーケストラは違いますが聴けます。12月6日、フィンランド放送交響楽団の独立記念日コンサートで、声楽ソロ、男声合唱は同じで演奏されました。フィンランドYLEのオンデマンド配信で聴けます、観られます。
ハンヌ・リントゥ:指揮、フィンランド放送交響楽団
ニーナ・ケイテル(メゾソプラノ)、トゥオマス・プルシオ(バリトン)
ポリテク合唱団
◇音声のみ(1月6日ごろまで公開):YLE Areena:Radio:Konsertteja : RSO:n itsenäisyyspäivän konsertissa Sibeliuksen Kullervo sekä Wennäkosken ja Lindbergin teosten kantaesitykset
◇映像:YLE Areena:TV:RSO Musiikkitalossa : Itsenäisyyspäivän konsertti
 演奏会前半はフィンランドの現代作曲家、ロッタ・ヴェンナコスキとマグヌス・リンドベルイの作品。後半が「クッレルヴォ」です。最後は「フィンランディア」男声合唱つきもあります。独立100年の「フィンランディア」、感慨深いです。休憩時間には、「クッレルヴォ」の解説があります。フィンランド語で何を言っているのかわからないのが残念ですが、ピアノで「クッレルヴォ」を弾いているのは新鮮でした。「クッレルヴォ」ピアノ版を演奏、録音を出しているピアニストっていないのだろうか。大変だろうけど。
 「クッレルヴォ」演奏後、案内役のアナウンサーさんが都響に触れていました。


 フィンランド放送響は、弦の高音がスカッと軽やかなのが印象的なオーケストラ。今回の「クッレルヴォ」では、重厚な音を出しています。高音はスカッと響かせるのですが、低音部はずっしりと太く重い。フィンランドの100年の節目の演奏会。気合や想いがこもらずにはいられません。管もバリバリ吹いていて、聴いていて気持ちがいいです。

 男声合唱のポリテク合唱団。映像を観て驚いた。随分多い。日本に来たのはもっと少ない人数だったらしいけど…。これがフルメンバーなのでしょうか。やわらかく、ハーモニーが心地いいです。今回のクッレルヴォの妹役、ケイテルさんはメゾソプラノ。ソプラノ音域もきれいで、メゾソプラノならではの低音もしっかりしている。クッレルヴォの妹だと明かす部分は、ソプラノとメゾのバランスがいい。不穏なオケに合います。バリトンのプルシオさんは、やわらかめの、テノール寄りな感じ。「クッレルヴォの嘆き」の部分はその前までのクッレルヴォの様子と打って変わって、ゆっくりと、ずっしりと重いです。「クッレルヴォの嘆き」に入る前、かなり休符を取りました。シベリウスは静寂を大事にしたという話が残っていますが、そんな静寂であり、嘆きへの緊張感が湧き上がる静寂だと思います。
 ケイテルさんもプルシオさんも初めて聴きました。また若い「クッレルヴォ」歌いが増えました。
 合唱と声楽ソロは、映像を観ると、歌詞の字幕が入っています。「Kullervo Kalervon poika」と最初は一緒に口ずさんでしまうのですが、この歌詞字幕を見ながら歌えませんでした。フィンランド語難しい!

 第4楽章、金管が大活躍、バリバリとものすごい勢いで吹いています。これ息大変だろう…音程を当てるのも大変だろう…すごいなと聴いていました。弦も負けてはいない。まさに、狂ったように戦に赴くクッレルヴォです。途中、かなしげな部分があるのを、印象的に聴かせています。

 第5楽章、徐々に感情を込めて盛り上がる男声合唱が心を打ちます。いい演奏です。生で聴きたくなるなぁ…。
 フィンランド放送響には日本人楽団員が4人いますが、映像で観ると活躍しているのがわかります。フィンランド独立100年のお祝い演奏会に、日本人も参加できたのは嬉しいことです。都響での公演と同じく、「フィンランディア」も是非聴いてくださいね。

 「クッレルヴォ」は、救いようのない悲劇で、シベリウスは好きでもずっと敬遠していました。でも、そんな悲劇だからこそ伝えられるものがある。そう思いました。
 出来るだけ、色々な指揮者やオーケストラで聴こうと思ってシリーズにしてきましたが、やはりフィンランドがメインになってしまった(フィンランド指揮者が多過ぎる!w)これからも、色々な演奏を聴いていこうと思います。ということで、第2シリーズはこれまで。


【これまでのの「クレルヴォ」特集まとめ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
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もうひとつの「クレルヴォ」
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 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
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 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう サロネン&ロスフィル
 エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう オラモ&BBC響
 サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団(2015年プロムスでのライヴ録音)

by halca-kaukana057 | 2017-12-20 22:51 | 音楽
 フィンランド独立100年の記念日を過ぎましたが、まだ聴いた「クッレルヴォ」があるので続けます。寒波襲来で、「クッレルヴォ」は猛吹雪に合う気がします。



 今回もCDなのですが、ちょっと普通のCDとは違います。
サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団
ヨハンナ・ルサネン=カルタノ(ソプラノ)、ワルテッリ・トリッカ(バリトン)、
ポリテク合唱団、BBCシンフォニーコーラス(男声合唱)

 2015年のBBCプロムス、ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音です。BBC Music Magazine 2017年9月号で付録のCDになりました。一般に販売しているCDではないですが、CDではある。BBC Music Magazine は聴きたいCDが付録の時や、興味のある記事の時買います。読み込めてないですが…。

◇公式サイト:classical-music.com:September 2017
◇HMVならまだ買えるみたいです。:HMV:BBC Music Magazine 2017年 9月号

・その時のプロムス シベリウスプログラムまとめ:Proms2015 シベリウスプログラム&シベリウス音楽祭 まとめ
 2015年はシベリウス生誕150年。その記念の公演。その時、BBC radio3 のオンデマンド配信も聴きました。改めてCDで聴いてみて、その時の印象とはまた違った感想を持ちました。
 ちなみに、前回はアメリカのオーケストラ。今回はイギリスのオーケストラ。イギリスオケはベルグルンド&ボーンマス響以来です。

 最初に聴いた時は、まだ「クッレルヴォ」をそんなに聴いたことがなく、私にとっては目新しいものとして聴きました。「カレワラ」のクッレルヴォの章は、救いがない。でも、クッレルヴォは悲劇の「英雄」。「英雄」なんです。過酷な運命に毅然と力強く立ち向かうクッレルヴォの姿を思い浮かべました。

 というイメージは変わってはないのですが、付け足された感想がいくつか。テンポは速めですが、すごく速いというわけでもない。第3楽章は結構速いなとは感じます。それよりも、演奏時間約71分、流れに勢いよく乗って、クッレルヴォの章、ドラマを紡いでいく印象です。でも、さらさらと流しているわけではなく、語るところは語る。急緩も全部流れに乗っている。例えば第2楽章の「ジャーン!ジャジャジャジャン!」と強いところがありますが、その後休符が数秒。その無音、休符で何を語っているのだろう?強弱もコロコロと変わる。アクセントも随所につける。それらも全部ひとつの、この演奏全体の「流れ」に感じます。自然に思える。それが、ドラマティックに思う所以なのかなと思いました。若干響きがソフトに感じるのはあの大きなホール、録音のせいだろうか?

 第3楽章、ポリテク合唱団とBBCシンフォニーコーラスの合唱は滑らかでアクセントも効いている。役者寄りの合唱かな、と。ヨハンナ・ルサネンさんはもうお馴染みのクッレルヴォの妹役。澄んだソプラノはどの録音でも素敵です。クッレルヴォに自分のことを明かす部分は悲痛。バリトンのワルテッリ・トリッカさんは、フィンランドの若手バリトン。クラシックだけでなく、ポップス歌手とのコラボなど、多方面で活躍しているバリトンさんです(Spotifyでソロアルバムを聴けます。いい感じです)。「クレルヴォの嘆き」の部分が結構速いです。ショックで叫び、悲しみ、自分を責めているような歌い方。伴奏のオケも強い鋭い音を出して、クッレルヴォの叫びを代弁しています。若々しく、たくましいバリトンです。若手のクッレルヴォ歌手がこれからどんどん増えて、育ってきて欲しいなと思いました。



 ちなみに、「クッレルヴォ」から少し離れますが、シベリウス繋がりなので。今シーズンのオラモさんとBBC響はシベリウス・チクルスをやっています。BBC radio3のオンデマンドで現在聴けるものがあるので、リンク貼っておきます。
BBC radio3 : Radio 3 in Concert : Sakari Oramo Sibelius Cycle: Symphony No 6
 4番、6番。その間にスウェーデンの作曲家・ヒルボルイのヴァイオリン協奏曲第2番。12月29日ごろまで配信。
BBC radio3 : Radio 3 in Concert :Sakari Oramo Sibelius Cycle: Symphony No 1
 報道の日 祝賀演奏会のための音楽(イギリス初演)、2つの荘重な旋律 Op.77、1番。「Finland Awakes」と銘打って、フィンランド独立100年記念日の12月6日が演奏会でした。1月6日あたりまで配信。
 残る2番と7番、加えて「ルオンノタール」は1月6日(日本時間7日早朝)。

 それと、オラモさんとBBC響で忘れちゃいけない、BBCプロムス ラストナイトが放送されます!今週日曜深夜です!
NHK : プレミアムシアター
NHK番組表:プレミアムシアター プロムス2017/NHK音楽祭「ドイツ・レクイエム」
 12月18日 午前0時30分から。お忘れなく!


【これまでのの「クレルヴォ」特集まとめ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
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 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう サロネン&ロスフィル
 エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック

by halca-kaukana057 | 2017-12-13 22:16 | 音楽
 今日、12月8日はシベリウスのお誕生日。今年で152年目です。150年から2年経ったんだな。去年は何を書いたっけと過去記事を見てみたら、書いてなかった。去年は忙しくて聴いて記事を書けなかった。聴いてはいた。今年は聴いている。そして書こう。お誕生日おめでとうございます!! Hyvää syntymäpäivää !!

 「クレルヴォ(クッレルヴォ)」を聴こうシリーズを続けます。今日はCD。
エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック
マリアンネ・ローホルム(Marianne Rörholm)(ソプラノ)、ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)
ヘルシンキ大学合唱団

 1992年の録音です。ジャケットのサロネンが若いです。来年還暦の今も若々しいです。

 テンポは全体的に速め。重厚にクッレルヴォの物語を語るというよりも、次々とクッレルヴォを襲うかのような過酷な運命を鋭く突き刺すように提示していきます。でも、ここぞというところで溜める。ここぞというところで弱音にする。その力加減が絶妙だなと思いました。クッレルヴォの運命を重々しく語ることも出来るし、サスペンスドラマのようにショッキングに語ることもできる。

 第3楽章、ヘルシンキ大学合唱団による男声合唱はソフトな印象です。第5楽章も。合唱は「カレワラ」のクッレルヴォの章を歌詞にして歌っていますが、少し離れた位置からナレーションのような合唱なのかなと思いました。盛り上がる部分は熱っぽく歌っています。朗読するような合唱もあるし、オペラのように役者として演じているような合唱もある。ヒュンニネンによる「クッレルヴォの嘆き」の部分は重々しい。バスかと思うぐらいの低さ、重さです。クッレルヴォが犯してしまった罪を劇的に歌っています。

 ロスアンジェルス・フィル(ロサンゼルス、ロサンジェルス、LA…有名だけれども表記に悩む地名です)の演奏も巧み。これまで、このシリーズではフィンランドと北欧のオーケストラばかり取り上げていたことに気がつきました。アメリカのオーケストラは初めて。サロネンといい関係だったんだなと思えます。ティンパニの響きが印象的です。
 サロネンのシベリウスの録音は少ない(実演は多いです)ので、この録音が残っていてよかったなと思いました。

 ちなみに、シベリウスの誕生日の12月8日は、フィンランドでは「フィンランド音楽の日」とされています。フィンランドYLEのクラシック専門ラジオ YLE Klassinen では一日中フィンランド作曲家の作品を放送しています。初めて聴く曲も多いので楽しいです。何か音楽を聴きたいけど何を聴くか決まっていない方は、是非どうぞ。
YLE Klassinen ←リンクに飛ぶと、再生が始まります。


【これまでのの「クレルヴォ」特集まとめ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)

by halca-kaukana057 | 2017-12-08 22:14 | 音楽
 フィンランドの独立記念日が明後日に迫っています。シベリウス:クレルヴォ交響曲(クッレルヴォ)を聴こうシリーズ。今日も演奏会のオンデマンド配信のものです。
サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団
ヨハンナ・ルサネン=カルタノ(ソプラノ)、ヴィッレ・ルサネン(バリトン)
オルフェイ・ドレンガル
GSOplay:Sibelius’ sibling drama
◇上の動画が重い場合は:SIBELIUS Kullervo - Rouvali

 この秋から、エーテボリ響の新首席指揮者に就任したロウヴァリさん。5月にはタンペレ・フィルと来日してましたね。聴きに行きたかった…。以前のシリーズでエーテボリ響は、ネーメ・ヤルヴィ指揮のCDを取り上げましたが、あれは1985年の録音。あれから30年以上。若い指揮者とどう演奏するのか楽しみです。声楽ソロは、前回のラハティ響と同じルサネンきょうだい。

 動画を再生して視聴していたのですが、最初から驚きます。いきなりテンポを遅くする。えっ、ここで?とびっくりする。他のところでも、えっ、こうするの?と驚く箇所があちこちに出てくる。でも、ずっと聴いていると、説得力がある。「クレルヴォ」の物語ってこうだったんだ、と思う。いつの間にかロウヴァリさんの「クレルヴォ」の世界に入っている。すごい。完全にやられました。
 ロウヴァリさんの指揮はご存知の通り個性的。華奢で小柄な身体をいっぱいに使って、踊るような、大きな動きをする。こちらも最初はびっくりするのですが、オーケストラ側からのアングルで見てみると、わかりやすい指示だなと思う。しなやかに、力強く、ゆるやかに、決然と…多彩。自由自在。本当に面白い。

 声楽ソロは前回スロボデニューク&ラハティ響と同じルサネンきょうだいなのですが、歌い方が全然違う。まず、登場の演出に驚きました。まさに、クレルヴォと妹が森の中で出会うような。歌も力強い。クレルヴォが森で出会った女性(この時はまだ妹と知らない。妹も兄とは知らない)を誘うところで、最初は妹が思いっきり罵倒するのですが、力強い口調で早口で罵る。その後も2人の掛け合いや、告白、嘆きなどは力強く、ただ歌うだけじゃない、セミステージ方式のオペラを観ているかのよう。
 男声合唱のオルフェイ・ドレンガルのうまさにも驚きました。揃ったハーモニー。層が厚い。さすがです。これもまた、オペラのように感じます。

 一度だけで無く、2度3度聴くとハマってきます。まだコンビを組んだばかりなのに、こんな面白い演奏をするなんて、これからのロウヴァリ&エーテボリ響が楽しみになります。エーテボリ響とも来日しないかなぁ。


【これまでのの「クレルヴォ」特集まとめ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団(2017年 シベリウス音楽祭より)
by halca-kaukana057 | 2017-12-04 22:40 | 音楽
 今年はフィンランド独立100年。夏のBBCプロムスの記事でも何度も書きました。独立記念日は12月6日。もうすぐじゃないか!独立100年記念企画を何かやろう…と考えていました。音楽面なら、シベリウスだけじゃなくて、フィンランドの音楽全般について書きたい、と思っていたのですが、勉強不足な部分が多く、記事にならない(そこまで完成された記事にしないといけないのか、とも思いますが)。色々と考えて、シベリウス生誕150年の時にやった、「クレルヴォ交響曲」op.7の演奏色々について、さらに取り上げることにしました。あれ以来、クレルヴォ(クッレルヴォ)はさらに聴きました。前回はCDとして出ているものをメインに書きましたが、今回はコンサートのオンデマンド配信になっているものも取り上げたいと思います。フィンランド独立100年記念で、「クレルヴォ(クッレルヴォ)」を取り上げるオーケストラも増えています。いいことだ。

 最初に取り上げるのはこちら。
ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団
ヨハンナ・ルサネン=カルタノ(ソプラノ)、ヴィッレ・ルサネン(バリトン)
YL男声合唱団

◇演奏会動画:classic Live:Lahti Symphony Orchestra Sibelius:Kullervo
 今年のラハティ シベリウス音楽祭での演奏です。ラハティ響は、前回の特集でヴァンスカとの録音を取り上げましたが、今回は現在の音楽監督 ディーマ・スロボデニュークによる指揮です。声楽ソロは、「クレルヴォ」ではお馴染みのルサネンきょうだい。男声合唱はYL男声合唱団。シベリウスホールは本当にきれいなホールですね。行ってみたい。

 「クレルヴォ」はシベリウスの初期、若い頃の作品、さらに「クレルヴォ」の物語からも、荒々しいイメージがあります。この演奏を聴いていると、「カレワラ」の世界の、黎明期のスオミの原野をイメージします。荒々しいというよりは、素朴で、素朴と言ってもほっこりしたイメージではなく、荒涼としていて素に近い。弦はざらざらという感じではなく、でも絹のような滑らかさというわけでもない。ウールの毛糸と麻と綿が混じったような手触り(難しい…)。金管はクレルヴォのむき出しの強い感情を代弁するかのように時々吼える。男声合唱は力強く、クレルヴォの世界観を語る。力強いけれども、弱音をとても大事にしている。最初は霧の中から音楽が聴こえてくるような感じ。随所で弱音を効かせている。今もラハティ響の魅力は弱音ですね。最後、「ジャーン ジャン!!」と勢いよくならず、残響を長く響かせるように終わるのも、この演奏に合っているなと感じました。

 声楽ソロのルサネンきょうだいも、さすがの落ち着き。ヨハンナさんの澄んだソプラノ。ヴィッレさんの、「クレルヴォの嘆き」の部分、時々内面を打ち明けるように歌う(語っているようにも聴こえる)のが印象的です。


【前回の「クレルヴォ」特集まとめ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

by halca-kaukana057 | 2017-12-03 14:59 | 音楽
 昨年からゆっくりと進めてきた、シベリウス「クレルヴォ交響曲」op.7 聴き比べ企画。今回で一旦最終回です。このシリーズの最初に、「クレルヴォ」の世界初の録音となったパーヴォ・ベルグルンド:指揮 ボーンマス交響楽団で始めたのですが、最後もベルグルンドで締めたいと思います。今度は地元フィンランドのヘルシンキフィルとの演奏です。

パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
エーヴァ=リーサ・サーリネン(メゾソプラノ)、ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)
ソヴィエト・ロシア国立アカデミー・エストニア男声合唱団
ヘルシンキ大学男声合唱団


 ボーンマス響との録音が1970年。このヘルシンキ・フィルとは1985年の録音です。以前取り上げたネーメ・ヤルヴィ&エーテボリ響と同じ年です。第3楽章、クレルヴォの妹役のサーリネンさんはメゾソプラノ。バリトンのヒュンニネンさんは他の録音でも大活躍。フィンランドの名バリトンであり、名クレルヴォ・バリトンです。

 初録音から15年。速度はそんなに変わりありません。しかし、1楽章は引きしまった感じがしますし、強音から弱音までの幅が広くなった。冒頭はゆっくりめに始まるのはボーンマス響もヘルシンキ・フィルも変わりないのですが、弦が澄んでいる。静寂を大事にするところは長く取って次の音をより印象的に。特に第2楽章後半で弱音からじわじわと強音へ上げてくるところは息をのみます。
 第4楽章はこれまでヒロイックな金管に注目していましたが、管楽器の高音も弦楽器のうねりも印象に残ります。それから、4分40秒あたり、金管の2音の連打からの、うまく言葉に出来ないのですが…この部分がロックな音をしているなと感じました。ウンタモを滅ぼそうと出征し、怒りで感情が制御できないような。
 男声合唱はヘルシンキ大学男声合唱団と、当時はまだソヴィエトだったエストニアの男声合唱団と2つの合唱団が参加。力強い合唱。クレルヴォとクレルヴォの妹の歌も悲痛。クレルヴォの妹は今回メゾソプラノですが、ソプラノのような澄んだ高音も出せていて、悲痛だけど美しいと感じました。クレルヴォの嘆きは重々しく。この重々しさから第4楽章、そして第5楽章へ進むのに、物語を感じます。スケールの大きな演奏です。

 このCD(国内版)、2枚組で、第1~3楽章が1枚目、第4・5楽章が2枚目と分かれています。わざわざCDを入れかえる必要があるのが面倒です…。でも、2枚目にはカンタータ「故郷(祖国)」op.92、「火の起源」op.32と男声合唱とオーケストラのための作品が入っています。どちらも大好きな作品。これが入っているのが嬉しいです。「火の起源」は「クレルヴォ」と同じく「カレワラ」に基づく作品。「故郷(祖国)」は、その名の通り、フィンランドの美しい自然や「カレワラ」を讃える歌。美しいです。

 ということで、今回で「クレルヴォ」聴き比べは一旦終わり。新しい演奏を聴いたら、また書くと思います。

 なかなか演奏機会も少ない「クレルヴォ」ですが、来年、日本で演奏されます。生で聴けるチャンスです!
東京都交響楽団:2017年ラインナップ発表
東京都交響楽団:第842回 定期演奏会Aシリーズ
2017年11月8日(水) 19:00開演

指揮:ハンヌ・リントゥ
ソプラノ:ニーナ・ケイテル
バリトン:トゥオマス・プルシオ
男声合唱:フィンランド ・ポリテク男声合唱団

シベリウス:クレルヴォ交響曲 op.7

 昨年フィンランド放送交響楽団と来日したリントゥが、都響で「クレルヴォ」をやります!!シベリウス没後60年&フィンランド独立100年の2017年、ぴったりのプログラムです。
 日本のプロオケが「クレルヴォ」を演奏するのは何年ぶり、何十年ぶりなんだろう…?(昨年新田ユリ:指揮で演奏したアイノラ交響楽団はアマオケ)。男声合唱はプロムスでも歌ったポリテク合唱団。まだまだ先ですが、いいなぁこれ。
 ちなみに、リントゥはフィンランド放送響では「クレルヴォ」を指揮してない…おそらく、2017年秋から始まる2017-18年シーズンの始めでフィンランド放送響で演奏して、それを都響に持ってくるかと思います。まだ予定が出てないので予想です。シベリウス生誕150年の昨年も多かったですが、来年はまた「クレルヴォ」の演奏が増えるんだろうなぁ。嬉しいです。
by halca-kaukana057 | 2016-10-18 22:13 | 音楽
 今日はシベリウスの命日。59回目です。来年は没後60年(&フィンランド独立100年).この頃、プロムスの溜まっているオンデマンドばかり聴いて、シベリウスをあまり聴いていませんでした。今年のプロムス、シベリウスは1公演1曲しかなかった…(去年たくさんやったでしょうが)。来年は没後60年だからまた増えるといいな。

 まだ続いている「クレルヴォ」交響曲を聴こうシリーズ。まだあるんです。店頭で見つけて、指揮者の名前にこれは聴いてみたい!と思い買ったCDです。

ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
ヨハンナ・ルサネン(ソプラノ)、エサ・ルーットゥネン(バリトン)
ラウルン・イスタヴァト男声合唱団


 指揮は、今世界各地で活躍しているフィンランド指揮者たちを育てた、元シベリウス音楽院指揮科教授のヨルマ・パヌラ。パヌラ先生が指揮をしている録音をあまり聴いたことがなかったので、これは聴きたいと思いました。男声合唱は前回のネーメ・ヤルヴィ&エーテボリ響と同じくラウル・イスタヴァ男声合唱団。1996年の録音です。

 シベリウスの番号つきの交響曲と、「クレルヴォ交響曲」の違いは、はっきりとした基づくものがあるかどうか。番号つきの交響曲は、それぞれの作曲の際のエピソードやシベリウス自身の言葉も残されていて、聴く手がかりにはなりますが、自由に想像します。
 一方の「クレルヴォ交響曲」は、「カレワラ」の「クレルヴォ」の章に基づいている。悲劇の英雄クレルヴォを描いている。第3・5楽章では「カレワラ」から引用した声楽独唱と男声合唱が入る。明確に、クレルヴォのこの章とわかる。
 でも、これまで様々な「クレルヴォ交響曲」を聴いてきて、悲劇の英雄クレルヴォも一様ではないなと感じた。きっと幼い頃から「カレワラ」に親しんできたフィンランドの人たちの抱くクレルヴォと、日本語訳の「カレワラ」を読んで私が抱くクレルヴォのイメージは異なる。また、「カレワラ」は叙事詩。語り口調や表現は普通の物語とは違う。1,2,4楽章は副題から、クレルヴォの章のこの部分とわかるけど、その章全部を描いているのか、ある一部分だけど描いているのか(すみません勉強不足なだけです)、わかりにくいところもある。それぞれの演奏を聴いて、それぞれのクレルヴォ像に触れられるのが興味深い。

 パヌラ先生の「クレルヴォ」は、繊細なところもはっきりと聴こえる。強いけれども、憎しみや苦しみで心に暗い影のひだを沢山を持っているようなクレルヴォ。第1楽章はゆっくりめに始まるけれども、第3楽章の始めのほうでは速めで、独唱部分になるとゆっくりになり、よく語り歌う。ソプラノのルサネンさんの透明な声がきれい。ルーットゥネンさんのバリトンは、オケとのバランスがあまりよくなくて残念ですが、悲痛な叫び。第3・5楽章の男声合唱も、北欧らしい澄んだ、やわらかい、繊細さを持っている。先ほども書いたように、豪快で「爆演」なネーメ・ヤルヴィ&エーテボリ響のと同じ合唱団。録音された年は10年ほど違いますが、これ同じ合唱団?と思ってしまう。第5楽章、最後は、オーケストラはジャン!ジャーン!と強い音で劇的に終わるのですが、パヌラ盤はソフト。あれ?と思ってしまう。消え入るようなクレルヴォの死。これはこれで印象深い。

 「クレルヴォ交響曲」がますます興味深くなる演奏です。
 ちなみに、演奏のトゥルク・フィルの現在の首席指揮者はレイフ・セーゲルスタム。シベリウスの管弦楽曲を次々と録音していて、こちらも興味深いです。

 「クレルヴォ」シリーズ、あと1回で区切りをつけようと思います。


【これまでの記事】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
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[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
by halca-kaukana057 | 2016-09-20 22:13 | 音楽
 忘れてませんよこのシリーズ。シベリウス「クレルヴォ交響曲」聴き比べシリーズ。ゆっくりゆっくりですが進めます。来月、シベリウスの命日の9月20日には一区切りできればいいなぁ(その後は2017年になれば今度は没後60年)

 先月、Eテレ「クラシック音楽館」で、ネーメ・ヤルヴィ指揮N響の演奏会が放送されていました。以前このシリーズで、ご長男のパーヴォ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル盤を取り上げましたが、ネーメパパも「クレルヴォ交響曲」を録音しています。今回はネーメパパ(ムーミンパパみたいな…w)の演奏です。

 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
 カリタ・マッティラ(ソプラノ)、ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)
 ラウル・イスタヴァ男声合唱団


 1985年の録音。古めの分類に入ってきました。
 まず、この演奏のいいところは、シベリウス:交響曲全集の中に入っていること。ネーメさんは、エーテボリ響と2回シベリウス交響曲全集を出していますが、これは1回目のBISからのもの。交響曲全集の中に「クレルヴォ」も入ってるのは嬉しいなと。最近のシベ全は、純粋に交響曲だけで、「フィンランディア」も「タピオラ」も「悲しきワルツ」も「トゥオネラの白鳥」も入ってないのが多い…別に管弦楽曲集を出していればいいのだが、交響曲だけでちょっと寂しいなと思います。せめて「フィンランディア」と、最後の大き目の規模の管弦楽曲(第8交響曲と呼ばれることもある)「タピオラ」は入れてほしいです。ちなみにこの全集には、「クレルヴォ」の他に管弦楽曲は入ってません。後にグラモフォンから管弦楽曲集を出しています。

 演奏は、一言で言うと「爆演」です。この演奏を聴いてから、他の演奏を聴くと大人しく聴こえてしまいます。テンポも速い、1・2楽章は特に速いです。全体で67分。前回取り上げたヴァンスカ&ラハティ響の演奏は遅めでしたが、対照的。

 荒っぽいところはあります。でも、その荒っぽさが、クレルヴォの荒々しい面…第1楽章の序章:クレルヴォの悲劇の始まり、第2楽章「クレルヴォの青春」恵まれず苦渋を味わい続けた少年~青年時代の乱暴な面や胸に秘めた敵討ちが表現されているように聴こえます。第4楽章「クレルヴォの出征」も速め、荒々しさが出ています。
 第3楽章、冒頭の男声合唱は速めで、ピッチも高めです。あれ?と思います。でも、クレルヴォの妹のソロ、続くクレルヴォのソロはたっぷり重々しく。第5楽章も、ゆっくりめでところどころ弱音に落としたり、死に向かうクレルヴォの悲痛さを歌う男声合唱を、じわじわと聴かせてくれます。ただ「爆演」「豪快」なだけでなく、テンポを落すところは落として、迫力は維持したままじっくり聴かせるネーメさん、うまいなぁと思います。オケも気迫があっていいなと思います。


 ちなみに、現在のエーテボリ響ですが、首席指揮者が不在でした。が、2017-18年シーズンからの新首席指揮者が決まりました。フィンランドの若手・サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ(Santtu-Matias Rouvali)さん。今年で31歳。トゥルク・フィルハーモニーの首席指揮者でもあります(来年5月、来日決定してます)。以前、YLEでトゥルクフィルとのシベリウス4番を聴いたが、とてもよかった。エーテボリ響というと、このシベリウス全集だけでなく、他にもネーメさんとの録音がとても多いです。ロウヴァリさんとのこれからも楽しみです。落ち着いたら「クレルヴォ」演奏、録音してほしいなぁ。
 ネーメパパもどこかでまた「クレルヴォ」演奏しないかなぁ。

【これまでの記事】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。(動画はもう観られなくなりました)
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団

シベリウス誕生日記念、管弦楽曲特集
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ響のシベリウス管弦楽曲集(グラモフォン)
by halca-kaukana057 | 2016-08-03 22:26 | 音楽

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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