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 シベリウスの交響曲第4番。大好きな交響曲です。最近聴いた演奏で、思ったことを。

BR-KLASSIK : Live aus der Philharmonie im Münchner Gasteig : Konzert des Symphonieorchesters des Bayerischen Rundfunks : Leitung: Herbert Blomstedt
(配信期間は1週間。水曜頃まで聴けると思います)

 ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮、バイエルン放送交響楽団の演奏会の録音です。プログラムは、シベリウス:交響曲第4番、ステーンハンマル:カンタータ「歌」より「間奏曲」、メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」。聴きましたが、いい演奏でした。ステーンハンマルの「間奏曲」これがまたじんわりと沁みる作品で、もっと聴きたいなと思う。

 1曲目のシベ4.1曲目にシベ4を持ってくるとは意外。内省的な、どこまでも暗い曲。バイエルン放送響の少し厚めの音が、北欧オケの音とは違ってまた面白い。チェロのソロがいい味出しています。
 第4楽章では、グロッケン(鐘)で演奏する箇所があります。でも、ほとんどの演奏では、グロッケンシュピールで演奏していて、私もその音に慣れていました。しかし、この演奏では、グロッケンシュピールとは違う、聴き慣れた音とは違う楽器で演奏されています。

 チューブラーベル。そうだ、そういえばそうだった。ブロムシュテットさんは、以前からグロッケンシュピールではなく、チューブラーベルで演奏してきました。サンフランシスコ交響楽団との全集で録音があります。その録音を聴くとあれ…?ああそうだったと思うのですが、今でもチューブラーベルを採用していると思わなかったので驚きました。

 調べてみると、コリン・ディヴィスとユージン・オーマンディはグロッケンシュピールとチューブラーベルの両方を用いていたとのこと。オーマンディ盤(フィラデルフィア管弦楽団)を聴いてみたら、確かに併用されている。響きが全く違う。

 今まで当たり前のようにグロッケンシュピールで聴いてきたが、まだまだ足りないようだ。普段は聴き慣れた演奏を聴いているが、まだ手を出していない演奏も聴いてみないとわからないなと思いました。
by halca-kaukana057 | 2019-06-03 23:28 | 音楽
 ネットラジオで興味深い演奏会を聴きました。
BBC Radio3 : Radio 3 in Concert : Prankster, Adventurer and Rogue
 ミルガ・グラジニーテ=ティーラ:指揮、バーミンガム市交響楽団の2月の演奏会です。

・エサ=ペッカ・サロネン:Dona Nobis Pacem(我らに平和を与えたまえ)
・ラウタヴァーラ:カントゥス・アルクティクス(Cantus arcticus 極北の歌)op.61
・シベリウス:ラカスタヴァ(恋する人) op.14
      :エン・サガ op.9

・グリーグ:劇付随音楽「ペール・ギュント」
 /クララ・エク(Klara Ek,ソプラノ)、CBSOユース合唱団、CBSO合唱団、ミルガ・グラジニーテ=ティーラ:指揮、バーミンガム市交響楽団

 前半はフィンランド、後半はグリーグの「ペール・ギュント」を組曲版ではなく、劇音楽版の抜粋です。合唱や独唱も入ります。以前、劇付随音楽「ペール・ギュント」のCDを聴いたことがあったのだが、それは全曲版ではなく抜粋だったことに気づいた。今回の演奏会も抜粋版ですが、曲目は以前聴いたCDよりも多いです。
・第1幕:前奏曲:婚礼の場で
・第2幕:前奏曲:花嫁の略奪、イングリッドの嘆き
山の魔王の宮殿にて
・第3幕:オーセの死
・第4幕:朝
アラビアの踊り
アニトラの踊り
ソルヴェイグの歌
・第5幕:前奏曲:ペール・ギュントの帰郷
聖霊降誕祭の賛美歌のコラール
ソルヴェイグの子守唄

 「ペール・ギュント」の物語は、ペールが荒唐無稽でなかなか理解しにくい…。でも、音楽があるとこんな場面なのかなと想像しやすい。荒唐無稽な物語を、ドラマティックな物語と感じられる。不思議です。
 音楽を音楽として純粋に楽しめる、コンパクトな組曲版も好きですが、独唱や合唱の入る劇付随音楽版も好きです。劇をイメージさせるけれども、音楽としても聴ける。オペラではなく劇なので、音楽の性格もオペラとは違うんだな、と今聴くと実感できます。快活な「婚礼の場で」で始まり、花嫁を略奪しペールの大冒険が始まる。「山の魔王の宮殿にて」はやっぱり合唱が入った方が迫力が増していい。同じく合唱とソプラノ独唱が入る「アラビアの踊り」も。ソプラノ独唱のエクさんの澄んだ歌声がきれいです。女声合唱も美しい。「イングリッドの嘆き」や「オーセの死」「ソルヴェイグの歌」といった静かな曲も聴き入ってしまいます。「精霊降誕祭の賛美歌のコラール(Whitsun Hymn)」は初めて聴きました。無伴奏の合唱です。とてもきれいですそこから、最後の「ソルヴェイグの子守唄」へ。波乱万丈のペールの人生が静かに終わるのが感じられます。よかったです。

 演奏会前半もとても楽しいです。サロネンの合唱曲は不思議な音の流れが面白い。2010年の作品だそうです。ラウタヴァーラの「カントゥス・アルクティクス」は大好きな作品。フィンランドの北にある湖畔で録音した鳥のさえずりと管弦楽の協奏曲。鳥たちの鳴き声と、幽玄な管弦楽がとても美しい。音の流れや響きは不思議な雰囲気で、そこに湖や動き回る鳥たちなどの自然を感じられる。以前は、ラウタヴァーラなどフィンランドの現代作曲家の作品を聴いてもピンと来なかった。よくわからなかった。でも今は心から楽しめる。楽しみ方がわかってきたというか、幅が広がってきたのだろう。さらにシベリウスから2曲。「ラカスタヴァ」は無伴奏合唱版で。「恋する人」や「恋人」と訳されるこの曲、可愛らしいし、どこか物悲しくもある。大好きです。「エン・サガ」も大好きな曲。グラジニーテ=ティーラさんの「エン・サガ」はこうなるのかと興味深々で聴いていました。緩急と強弱の幅が広い。どんどん盛り上がっていく部分も好きですが、その後の静かなクラリネットのソロの部分も好きです。「ある伝説」と訳されるこの曲、後半の「ペール・ギュント」へのつなぎにもなっているのでしょうか。

 この記事を書いた時点であと12日、オンデマンドで聴けます。2月16日あたりまで?

・以前の記事:劇音楽としての「ペール・ギュント」
by halca-kaukana057 | 2019-03-04 22:56 | 音楽
 今日は12月8日、シベリウスの誕生日。生誕153年です。なので、シベリウスの話を。

 以前、こんな記事を書きました。
アンスネスのシベリウス!?
 2015年、フィンランドやデンマークなどでのコンサートツアーで、アンスネスがシベリウスのピアノ作品を取り上げ演奏。そのオンデマンド配信を聴いた、という話。その後、来日公演でもシベリウス作品を取り上げ、2017年にシベリウスのアルバムが出ました。



悲しきワルツ シベリウス:ピアノ名曲集 (SIBELIUS)
レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)/ Sony Classical / 2017

 昨年買って聴いたのですが、音楽を聴いてもずっと感想を書けない状態で…1年後になりました。

 帯には「シベリウス没後60年」とあります。収録曲は以下。


 ・即興曲 第5番 ロ短調 op.5-5 (6つの即興曲 op.5より)
 ・即興曲 第6番 ホ長調 op.5-6 (6つの即興曲 作品5より)
 ・キュリッキ (3つの抒情的小品) op.41 第1曲 ラルガメンテ-アレグロ,第2曲 アンダンティーノ,第3曲 コモド-トランクイロ
 ・ロマンス 変ニ長調 op.24-9 (ピアノのための10の小品 op.24より)
 ・舟歌 op.24-10 (ピアノのための10の小品 op.24より)
 ・羊飼い op.58-4 (ピアノのための10の小品 op.8より)
 ・悲しきワルツ op.44-1 [ピアノ独奏版] (劇音楽「クオレマ」 op.44より)
 ・ソナチネ 第1番 嬰ヘ短調 op.67-1 第1楽章 アレグロ,第2楽章 ラルゴ,第3楽章 アレグロ・モデラート
 ・白樺 op.75-4 (ピアノのための5つの小品 (樹木の組曲) op.75より)
 ・樅の木 op.75-5 (ピアノのための5つの小品 (樹木の組曲) op.75より)
 ・ロンディーノ op.68-2 (ピアノのための2つのロンディーノ op.68より)
 ・エレジアーコ op.76-10 (ピアノのための13の小品 op.76より)
 ・ピアノのための6つのバガテル op.97より 第5曲 即興曲,第4曲 おどけた行進曲,第2曲 歌
 ・5つのスケッチ op.114 第1曲 風景,第2曲 冬の情景,第3曲 森の湖,第4曲 森の中の歌,第5曲 春の幻影

 2015年のツアーで演奏された作品も、来日公演で演奏された作品もあります。シベリウスは幼い頃からヴァイオリンを演奏し、ヴァイオリニストを目指していた。ピアノは、それほどうまくなかった(アイノ夫人はピアノが得意だった)。シベリウスのピアノ曲は、シベリウスが経済的理由のために作曲したものが多い。交響曲のスコアよりも、家庭で気軽に演奏できるピアノ曲の楽譜の方が売れる。それでも、というか、だからこそ、シベリウスの心の中が反映されているように思えます。勿論、交響曲や管弦楽曲からもシベリウスの作風は伺えるし、シベリウスはシンフォニストだと思う。ピアノ曲を聴いていても、シベリウスらしいオーケストレーションを感じられます。この部分はこの楽器だろうか、とか。一方で、交響曲や管弦楽曲に縛られずに、自由な実験をピアノ曲で試みていたようにも思えます。何より、シベリウスが愛した自然が描かれることも多く、個性豊か。シベリウスにとって身近な楽器はヴァイオリンであり、ピアノは身近な楽器ではなかったかもしれないが、そっと静かに聴きたい、もし弾けるなら弾きたい曲ばかり。

 CDのライナーノートに、アンスネスの言葉があるので引用します。
It inhabits a private world.
It is almost not for the public,
but something to play for friend, or even alone.
シベリウスの音楽は内面世界を映し出しています。
コンサートの聴衆ではなく、
友人のために、あるいは一人で弾くために書かれた音楽であるかのようです。
 同感です。

 アンスネスの選曲は、有名曲から、ちょっとマイナーな曲まで幅広い。有名曲、例えば作品75の「樹の組曲」が「白樺」と「樅の木」だけになってしまったのは寂しいと言えば寂しいが、他の作品が充実しているからいいか、と思える。最初に即興曲op.5から、第5曲だけでなく第6曲も入れてくれたのは嬉しかった。私が唯一弾けるシベリウスのピアノ曲、即興曲op.5-6(今は大分弾けなくなっているが…)。アンスネスならこう演奏するんだ、と思って聴いていました。繰り返しも忠実に(私は省略しました)。この曲を練習していた時に聴きたかったなぁ(今からでも遅くない?)。

 シベリウスのピアノ曲は色々と聴いてきましたが、このアルバムを聴いて好きになった曲も多い。作品97「ピアノのための6つのバガテル」第2曲:歌、第4曲:おどけた行進曲、第5曲:即興曲の3曲だけだが、シベリウスの様々な面が伺える。これまで聴いてきたアルバムに、作品97はあまり入っていなかったのもある。第2曲「歌」は他のCDにも入っていたが、改めて聴いてみるとのびのびと自然体で、きれいな曲だなと思う。
 作品114「5つのスケッチ」が全曲入っているのは、このアンスネス盤の強みだと思う。ツアーでも部分的に演奏してたこの作品。作曲は1929年。交響曲第6番や第7番、「タピオラ」よりも後。後期作品独特のシンプルさ、透明感を感じられる。タイトルは、冬の景色に関係している。後期作品からは冬や寒さ、冷たさ、暗闇をイメージするのだが、そのイメージのまま。第3曲「冬の湖」、第4曲「森の中の歌」の冷たさ、暗さ、透明感はとても好きです。最後、第5曲「春の幻影」で春の気配を感じられるのが、また抒情的。アンスネスの透明なタッチが、それをささやかに伝えてくれます。

 これまで好きだった「キュッリッキ」や「舟歌」op.24-10もいい。そして、「悲しきワルツ」のピアノソロ版。ピアノになると、こんなにお洒落な雰囲気も感じられるのかと思いました。シンフォニックではあるけれども、それを全部ピアノで表現しようとするのではなく、ピアノだからこそ出来る表現をしているように思います。

 シベリウスのピアノ曲は、もっと広まっていいと思うし、演奏機会も増えて欲しいと思っています(その割には日本で気軽に入手出来る楽譜はあまり出版されていない…)。アンスネスのシベリウスが聴けて、本当に嬉しい。感想はこれに尽きます。


・私が演奏した「即興曲」op.5-6の記事まとめはこちら:Satellite HALCA:シベリウス:即興曲op.5-6
by halca-kaukana057 | 2018-12-08 22:21 | 音楽

不思議なシベリウス2番

 秋も深まり、冬の入り口。そろそろ初雪も降りそうです。シベリウスをもっと聴きたくなる季節がやって来ました(1年中聴いてますが)。
 BBC Radio3のオンデマンドに、シベリウス:交響曲第2番の演奏があったのですが、いつものシベ2と少し違います。
BBC Radio3 : Radio3 in Concert : Nordic Summer Nights
 Tristan Gurney(トリスタン・ガーニー):ヴァイオリン、指揮、Royal Northern Sinfonia(ロイヤル・ノーザン・シンフォニア)による演奏。ロイヤル・ノーザン・シンフォニアはイギリスの室内オーケストラ。1曲目が「アンダンテ・フェスティーヴォ」、スヴェンセンやニールセンといった北欧の作曲家のプログラムです。

 メインがシベリウス2番(上記リンク先1時間7分過ぎから)なのですが、聴いてみると、普段のオーケストラ編曲とは違う。調べると、Iain Farrington(イアン・ファリントン)という方が編曲している。ファリントンさんはピアニスト。オルガン演奏や作曲、編曲活動もしている。ファリントンさんのホームページに編曲作品リストがありました。
Iain Farrington : Arrangements
Sibelius, Jean: Symphony No. 2 - flute, oboe, clarinet, bassoon, horn, trumpet, trombone, timpani, strings (minimum 2, 2, 2, 2, 1)
 シベリウスの交響曲第2番についても載っています。こちらが編成。チューバがいない。管楽器はそれぞれ1人ずつ。弦楽器はコントラバス以外は最低2人いればよい。コントラバスは1人。シベリウスの交響曲は番号が進むにつれてどんどん編成が小さくなりますが、2番は大きい方。弦楽器はそれぞれ10人ぐらいはいるし、管楽器はホルンは4人。トランペットとトロンボーンは3人。第4楽章の大円団は、編成が大きい方で聴いた方が迫力もあるし、華やか、煌びやかでのびのびとしている。一方このファリントンさんの編曲はとても小さい。シベリウスの後期作品よりも小さい。室内オーケストラのための編成です。そのため、通常の演奏とは楽器の使い方が違う箇所がいくつもある。最初はあれ?と思いながら聴いていたのですが、だんだんハマってきました。

 シベリウスの2番はシベリウス作品の中でも明るく迫力があって華やか。でも、第1楽章は小川、というよりは雪解けの水がちろちろと小さく流れるようなささやきで始まる。そして、暗と明、陰と陽を繰りかえしながら大円団の第4楽章へ進む。大円団とは言え、第4楽章でも最後は金管の朗々とした歌で盛り上がって締めくくられ、胸も熱くなるが、途中ではやっぱり陰影が感じられる。この陰影や、寂寥感を表現するのに、この小さな編成は向いているんじゃないかなぁと思いながら聴いていました。3番以降からの編成の小ささへの経過も感じられます。

 編成が小さくても、シベリウスの音楽に聴こえるのは、シベリウスの個性だからかもしれない。編成は小さいけれども、描いているものはもっとスケールの大きな普遍的なもの…様々な自然の姿やその変化。身近にあるけど、大きな世界に繋がっているような。よくフィンランドの自然を描いているとも言われますが、それは地球全体に繋がっていた、ような(よくわからない)。

 ファリントンさんは5番も同じ編成に編曲しています。5番は2番よりも編成が小さいので、違和感はなさそう。ホルンが1人となると、第3楽章の白鳥の飛翔のホルンはどうするんだろう。あれは4人いるからこそ演奏できるんだけど…。

 シベ2だけじゃなくて、上記の他のプログラムもいいです。「アンダンテ・フェスティーヴォ」はいつ聴いてもいいです…。オンデマンド配信は11月29日あたりまでです。
by halca-kaukana057 | 2018-11-15 22:15 | 音楽
 今回もシリーズではありませんが、シベリウス「クレルヴォ(クレルヴォ交響曲、クッレルヴォ)」 op.7 を聴いた感想を。9月、パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、NHK交響楽団で「クレルヴォ」を含む演奏会がありました。N響初演なのだそうです。意外。誰かやってるかと思った。コンサートに行けなくても、N響はFM生放送とEテレ「クラシック音楽館」でのテレビ放送があるのでありがたい。そのFM生放送の録音と、「クラシック音楽館」での放送を観ての感想です。
 ちなみに、N響、NHKは「交響曲」はつけない。「クレルヴォ」が交響曲なのか、交響詩なのかは研究されています。

パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、NHK交響楽団
ヨハンナ・ルサネン(ソプラノ)、ヴィッレ・ルサネン(バリトン)
エストニア国立男声合唱団

 以前、パーヴォ・ヤルヴィさんがロイヤル・ストックホルム・フィルと「クレルヴォ」を録音し、そのCDを聴いた記事を書きました。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 この記事で、こんなことを書いている。
現在、50代のパーヴォさんならどんな「クレルヴォ」を描くだろう?シベリウス作品でも規模やフィンランド語による独唱・合唱のため?かなかなか演奏されない「クレルヴォ」。オケや声楽独唱・合唱は変わるでしょうが、現在のパーヴォさんの「クレルヴォ」も聴いてみたいです。
 まさにこれが実現しました。21年後の実現です。聴きたかったものが聴けて嬉しい。

 そして、「クラシック音楽館」でのインタビューでも、興味深いことを仰っていました。
・「カレワラ」で、クレルヴォは「善」か「悪」か判断がつきにくい。シベリウスがクレルヴォの物語を取り上げたのが興味深い。(ちなみに、レンミンカイネンは「善」)
・フィンランドとエストニアは民族、言語的に近い。エストニア語は、フィンランド語の古語に近い。フィンランド語は、エストニア語の古語に近い。
・「クレルヴォ」の詩(「カレワラ」のクレルヴォの章)はフィンランド語の古語で書かれている。エストニア国立男声合唱団は、フィンランド語の古語を完璧に発音できる。
 「カレワラ」の中で、ワイナミョイネンやレンミンカイネン、イルマリネンは通して登場しますが、クレルヴォはクレルヴォの章しか登場しない。しかも、「カレワラ」の中でも他の章とは雰囲気が全く異なる。「悲劇の英雄」。しかも、若い頃のシベリウス、初期の作品。初めて交響曲を書こうとして、選んだのがクレルヴォの物語というのは確かに興味深い。レンミンカイネンよりも先に、何故クレルヴォを選んだのだろう。クレルヴォの何に惹かれたのだろう。
 フィンランドに様々な面で近いエストニア。エストニア語とフィンランド語の関係は初めて知りました。言語的に似ている、フィンランド人とエストニア人がそれぞれの母国語で会話しようとすればできないことはない、と聞いたことはあります。方言のような感じだと。「カレワラ」は古語で書かれているとは大体予想はついていましたが(声楽でも、イタリア歌曲集のイタリア語の歌詞は古い表現で、今のイタリア語ではあまり使わない表現だと学びました)、それがエストニア語に関係しているのは初耳です。パーヴォさんのエストニア国立男声合唱団が歌う「クレルヴォ」の男声合唱への大きな信頼と自信が感じられます。(ならば、これまで、今も「クレルヴォ」を歌い続けている数多くのフィンランドの男声合唱団はどうなんだろう…?と思ってしまいます。現代のフィンランド語を話すフィンランド人の方が弱いのか、と。他の国の男声合唱団は?)

 演奏は、ソフトな感じ。以前のロイヤル・ストックホルム・フィルとの演奏もソフトな感じでしたが、N響ともソフトです。第1・2楽章はこのやわらかさに加えてゆったりと。でも、音の質感は重め。根はずっしり、しっかりと張り、枝葉は柔らかな大樹をイメージします。第1楽章の主題はいつ聴いても胸を締め付けられます。「クレルヴォ」を作曲していた頃は、シベリウスはワーグナーが好きで、ベルリン留学の際に聴いたワーグナーのオペラに強い感銘を受けています。「クレルヴォ」はオペラ風だと感じます。でも、完全にワーグナーや、同じく強い感銘を受けたベートーヴェンの第九とは違う、シベリウスの音になっている。
 第3楽章、男声合唱は表現豊か。語るタイプよりも歌うタイプです。パーヴォさんが仰っていたように無骨、時にやわらかく。ソプラノとバリトンの独唱の2人を引き立てているようにも感じました。独唱は「クレルヴォ」ではお馴染みのルサネンきょうだい。メリハリ、キレがありますが、乱暴ではない。クッレルヴォの妹の告白の箇所が痛切で、かなしい。妹の死の後のクレルヴォの嘆きは、強く重く自分を責める感じ。クレルヴォでお馴染みのきょうだいですが、その時によって歌い方が異なるのは本当に興味深い。それぞれ、指揮者の考え方が違うんだなと感じます。
 第4楽章もソフトな感じ。クッレルヴォがウンタモ一族を滅ぼしに戦争をするのですが、もうちょっと硬い音でもいいかなと思う。金管はバリバリで、勇ましさ、力強さはよく伝わってきました。
 第5楽章、クレルヴォの死。最初は弱音で、じわじわと重く盛り上がる男声合唱に、ぞくぞくします。ソフトな演奏だけど、重めの音がいい味を出しています。ラストはどこか淡々としているけれども重く、力強く。カンテレで歌いつつも語る吟遊詩人のよう。

 「クラシック音楽館」で、日本語字幕付きで聴けたのはよかったです。なかなかありません、初めてです。いつもは記憶しているクレルヴォの章のあらすじを思い出したり、歌詞カードを見たりしているのですが、途中でどこかわからなくなることもあります。歌詞の詳細と一緒に聴けるのはいいなぁと感じました。N響で演奏されてよかった。

 歌詞の詳細を追いながら聴けたので、今回はこの話も書きます。第3楽章、第5楽章の歌詞は「カレワラ」のクレルヴォの章からとられていますが、シベリウスが変更した部分があります。クレルヴォが妹を誘い、きれいな宝物…金銀や布地を妹に見せるところの男声合唱の部分。
Verat veivät neien mielen,
Raha muutti morsiamen,

(布地は娘の心を揺るがせ
お金は花嫁の気持ちを変えた)
 「カレワラ」原詩ではこのようになっていますが、シベリウスは「Raha(お金)」を、「Halu(願望、憧れ)」に変えています。しかし、何者かがシベリウスの自筆譜を無断で書き換え、「Raha」に戻してしまいます。その後、ずっとこの箇所は「Raha」で歌われてきたのですが、2005年のブライトコプフ社「ジャン・シベリウス作品全集」ではシベリウスによる「Halu」に戻されています。今回の演奏では、N響機関紙「フィルハーモニー」に載っている歌詞では「Raha」でしたが、「クラシック音楽館」の訳では「憧れ」となっていました。結局、どっちで歌ったんだろう?

 今回のコンサート前半では、「レンミンカイネンの歌」op.31-1、「サンデルス」op.28、「フィンランディア」op.26(男声合唱つき)も演奏されました。「レンミンカイネンの歌」(NHKでは「レンミンケイネンの歌」と表記)は、「カレワラ」のレンミンカイネンを題材に、ユリヨ・ヴェイヨの詩を歌っています。「レンミンカイネン組曲(四つの伝説)」op.22のドラマティックさとは少し違う牧歌的な詩です。曲は、「レンミンカイネンの帰郷」と同じ楽想が活用されています。「サンデルス」は詩はスウェーデン語。ルーネベルイの詩です。1808年、ロシア-スウェーデン戦争のスウェーデンの将軍、ヨハン・サンデルスを歌っています。スウェーデン語系フィンランド人であるシベリウス、ルーネベルイがうかがえます。どちらもあまり聴かない歌で、「クレルヴォ」とは異なる雰囲気で興味深い。滅多に演奏されない曲が演奏されて嬉しいです。「フィンランディア」は男声合唱の入れ方は色々あるんだな、と感じました。

 昨年はハンヌ・リントゥさんが東京都交響楽団で「クレルヴォ」を演奏。今年はパーヴォさんとN響。日本でもどんどん「クレルヴォ」を演奏して、もっと広まればいいなと思います。やっぱりフィンランド語の歌詞が壁になるかとは思いますが…。
 「クレルヴォ」の記事が多くなってきたので、タグを作りました。これからも、「クレルヴォ」を聴いたら書いていこうと思います。



【これまでの「クレルヴォ」シリーズ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう サロネン&ロスフィル
 エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう オラモ&BBC響
 サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団(2015年プロムスでのライヴ録音)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう リントゥ&フィンランド放送響
 ハンヌ・リントゥ:指揮、フィンランド放送交響楽団(2017年、フィンランド放送響のフィンランド独立記念日コンサートより)
まだまだ、シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ダウスゴー & BBCスコティッシュ響
 トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
by halca-kaukana057 | 2018-10-15 22:39 | 音楽
 今日、9月20日はシベリウスの御命日。61年目です。普段ならCDについて書いていましたが、今年は本。シベリウスに関するとても興味深い本を読みました。昨年、シベリウス没後60年、フィンランド独立100年に合わせて出版されました。

シベリウス (作曲家 人と作品)
神部 智/ 音楽之友社 /2017

 シベリウスの伝記と、作品解説に関する本です。
 日本語でのシベリウスの伝記というと、今まで数は多くなかった。1967年、菅野浩和氏による「シベリウス 生涯と作品」が最初。私もこの本は持っていますが、やはり古い。資料が少なかったのだ。他にもいくつかありますが、本当にいくつかだけ。他の作曲家はもっと沢山出てるのに…。ようやく、シベリウスの伝記の決定版が出ました。それだけ資料も出てきて、研究も進んだということだ。シベリウスの生涯と、その頃に作曲された作品の作曲経緯などが書かれ、「作品篇」ではそれぞれの作品の解説があります。

 まず、Sibeliusという姓に疑問を持っていた。当時、スウェーデン語系フィンランド人はラテン語風の姓を名乗ることはあったが、ではなぜ「Sibelius」なのか。その謎にも答えがあります。家系や家族も詳しく解説されています。「ジャン」というフランス語の名前・ペンネームは船乗りだった伯父が「ジャン」と名乗っていたのに由来しているが、その伯父さんや、シベリウスが幼い時に亡くした父・クリスティアンについても詳しく記載されています。シベリウス家は家計が苦しく、アイノ夫人は大変だったそうだが、それはシベリウスが幼い頃からもそうだったと…。音楽以外のことに関しても本当に詳しいです。

 そして、シベリウスはスウェーデン語系フィンランド人、という存在、立場もシベリウスの生涯でも、作曲においても、重要な要素となります。フィンランド語および文化の地位向上を目指した「フェンノマン」、スウェーデン語および文化の推進者の「スヴェコマン」。この両者は対立、せめぎ合い、フィンランド社会を二分してしまう。スウェーデン語を話すも(シベリウスはフィンランド語は話せるけれども苦手だった)、「カレワラ」などフィンランドの文化に関心があり、それを題材にした作品を作曲したシベリウス。シベリウスのアイデンティティは揺れ動いていた。「カレワラ」にちなんだ作品を発表する一方で、歌曲はスウェーデン語のものが圧倒的に多い(詩はルーネベルイなど、スウェーデン語系フィンランド人によるものが多いため)。「フェンノマン」と「スヴェコマン」はシベリウスにとって重要なキーワードになります。

 シベリウスは孤高の作曲家と言われる。特に後期の作風が、他の同時代の作曲家とは異なる技法、表現を使っていた。また、徐々に作曲しなくなり、アイノラで静かな晩年を送ったのも理由にあるだろう。でも、シベリウスは全く孤高ではなく、音楽家同士の交流もあったし、他の作曲家の作品に感銘を受けたこともあった。若い頃はワーグナーに傾倒していたが、バイロイト詣出をした後、目指す音楽はワーグナーではないと明言する。ヘルシンキ音楽院(現在のシベリウス・アカデミー)の教授だったブゾーニや、指揮者のロベルト・カヤヌス、リヒャルト・シュトラウス、シベリウスを尊敬し交響曲を献呈するほどだったレイフ・ヴォーン=ウィリアムズなど、様々な音楽家や人々と交流があった。シェーンベルクの作品を聴いて高く評価していたのには驚いた。音楽界は時代の過渡期、調性のない音楽が生まれる一方で、シベリウスは独自の道を歩んだとされるが、シベリウスは社会と断絶していたわけではなかった。

 各作品の作曲の背景も、知らなかったことが多く勉強が進んだ。交響曲第8番の作曲、破棄の経緯も記載されている。スコアを暖炉で燃やしてしまったと言うが、それは事実なのか。

 これまで、イメージや憶測で語られてきたシベリウス。勝手なイメージを持ってしまっていたと思う。

 菅野さんの別の本も面白いです。

シベリウスの交響詩とその時代 神話と音楽をめぐる作曲家の冒険

神部 智/音楽之友社


 「作曲家 人と作品」シリーズよりは難しいですが、こちらもおすすめです。
by halca-kaukana057 | 2018-09-20 22:19 | 本・読書
 毎年恒例、ラハティのシベリウスホールにて、9月6日から9月9日まで、シベリウス音楽祭(Sibelius Festival/Lahden Sibelius-festivaali)が開催されました。シベリウスだけの音楽祭。ラハティ交響楽団がホストオーケストラ。今年は、エストニア独立100年を記念して、ネーメ・ヤルヴィ指揮 エストニア国立交響楽団も参加しました。既にフィンランド国営放送(YLE)では演奏会の録音が放送され、オンデマンド配信されています。また、ラハティ響の演奏会動画を中心にアップしているサイトにも、後で動画がアップされる、かもしれません(まだ断言できません。例年通りであれば、アップされます)。まとめます。

◇9/6 SIBELIUS HALL : Sibelius Festival Concert
 ・序曲 イ短調 JS144:動画
 ・ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47:動画
 ・組曲「白鳥姫」 op.54:動画
 ・アンコール:ペレアスとメリザンド op.46 第1曲:城門にて
  / バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)、ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団
◇YLE Areena radio : Lahden Sibelius-festivaali 2018: Sinfonia Lahden konsertti

◇9/7 SIBELIUS HALL : Sibelius Festival Concert
 ・弦楽のためのロマンス ハ長調 op.42:動画
 ・「クオレマ」より 「悲しきワルツ」op.44-1 , 「鶴のいる情景」op.44-2
 ・交響曲第3番 ハ長調 op.52
 ・交響曲第4番 イ短調 op.63:動画
 ・アンコール:アンダンテ・フェスティーヴォ
  / ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エストニア国立交響楽団
◇YLE Areena radio : Lahden Sibelius-festivaali 2018: Viron kansallisen sinfoniaorkesterin konsertti

◇9/8 SIBELIUS HALL : Sibelius Festival Concert
 ・イン・メモリアム op.59:動画
 ・6つのユモレスク:動画
 ・交響曲第6番 ニ短調 op.104
 ・交響曲第7番 ハ長調 op.105:動画(6番、7番続けて)

 ・アンコール:2つの小品 op.111 第1番 イントラーダ(管弦楽版、編曲:Luukas Hiltunen):動画
        ↑シベリウスのオルガン曲、珍しい作品です。初めて聴きました。しかもオーケストラ編曲。
       :フィンランディア op.26:動画
        ↑シベリウス音楽祭の締めのアンコールといえば、フィンランディアです。 
  / バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)、ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団

 YLEのオンデマンドは放送から30日間。プレーヤーの上の砂時計マークの「○○pv」が残り日数です。期限が近くなると赤く表示されます。
 また追加されたら追記します。
【追記】
 ラハティ響の演奏動画をアップしているサイトに、今年のシベリウス音楽祭の動画が一部アップされました。リンクを貼っています。

【追記2】
 シベリウス音楽祭はオーケストラだけではありません。室内楽、器楽・声楽作品もあります。1日目のオーケストラの演奏会後に、室内楽の演奏会もありました。

SIBELIUS HALL : Sibelius Festival Concert
Late Evening Chamber Concert
・ピアノ三重奏曲 イ短調 JS207 "Hafträsk(ハフトレスク)":動画
 / Wellamo Trio (アヌ・シルヴァスティ Anu Silvasti, piano, ロッタ・ニュカセノヤ Lotta Nykäsenoja, violin, イルッカ・ウールティモIlkka Uurtimo, cello)


by halca-kaukana057 | 2018-09-11 22:43 | 音楽
 今回はシリーズではありませんが、シベリウス「クレルヴォ(クッレルヴォ)」op.7の演奏会のオンデマンドがあります。

◇オンデマンドはこちらから:BBC Radio3 : BBC Scottish Symphony Orchestra
 放送後30日間の公開です。6月16日頃まで。
BBC Scottish Symphony Orchestra : Closing Night - Composer Roots 7: Sibelius’s ‘Kullervo’ + Post-Season Party

トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
ヘレナ・ユントゥネン (Helena Juntunen ソプラノ)
ベンジャミン・アップル (Benjamin Appl バリトン)
ルンド大学男性合唱団 (Lunds Studentsångare / Lund Male Choir)

 プログラムは「クレルヴォ」と「フィンランディア(フィンランド讃歌の部分)」なのですが、面白いのは冒頭。「Prelude with excerpts from Kullervo」と題して、「クレルヴォ」のメロディーと、フィンランド民謡などのメロディーをミックスした前奏曲(のようなもの?)が演奏されます。編曲は指揮のダウスゴーさんともう一方によるものだそうです。「クレルヴォ」の断片が出てきては消えて、フィンランド民謡(タイトルがわからない。聴いたことがあるような…)も出てきて、カンテレの音も聴こえる。でもすぐ消えて行く。不思議な音楽です。その後、「クレルヴォ」全曲が始まります。(17分から「クレルヴォ」です)

 「クレルヴォ」は、ゆったりとした演奏で、壮大な世界観にぴったりです。第3楽章の男声合唱、ソプラノ、バリトン、は暗めのトーン。ずっしり、というよりは、しっとりという感じ。ウェットな空気の暗い森の中のような。「クレルヴォの嘆き」の部分も落ち着いています。あと、金管の存在感が強いなと感じました。図太い。全体的に骨太な演奏だと感じました。

 まだまだ聴けるので、何度か聴き込みたいです。

【これまでの「クレルヴォ」シリーズ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう サロネン&ロスフィル
 エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう オラモ&BBC響
 サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団(2015年プロムスでのライヴ録音)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう リントゥ&フィンランド放送響
 ハンヌ・リントゥ:指揮、フィンランド放送交響楽団(2017年、フィンランド放送響のフィンランド独立記念日コンサートより)
by halca-kaukana057 | 2018-05-22 22:53 | 音楽
 昨日予告したコンサートの記事を。
 3月4日(日)、来日中のサカリ・オラモ指揮、BBC交響楽団の仙台公演に行ってきました。このブログでは、BBCプロムス ( Proms ) で聴いてきたコンビ。特に、「Last Night of the Proms」ラストナイトは毎年放送されるのを楽しみにしています。ラストナイトの放送を観て、楽しいコンビだなぁと思ってきました。オラモさんに関しては、CDなどでバーミンガム市響、フィンランド放送響の頃から聴いてきたのでその点でも思い入れはあります。生で聴けるのは嬉しいです。

東芝グランドコンサート 2018

【仙台公演 プログラム】
・ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」より
 4つの海の間奏曲 op.33a
(第1曲:夜明け(Dawn)、第2曲:日曜の朝(Sunday Morning)、第3曲:月光(Moonlight)、第4曲:嵐(Storm)
パッサカリア op.33b
※「パッサカリア」は第3曲「月光」と第4曲「嵐」の間に演奏されました。
・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
・シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82

ヴァイオリン:アリーナ・ポゴストキーナ
 サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団
(2018年3月4日 イズミティ21)


 シベリウス5番ですよ、シベ5!来日公演について発表になり、シベリウス5番が広島と仙台のみの公演と知って、迷わず仙台に行くことに決めました。距離的な問題でも仙台だったのですが。今シーズンのBBC響は、オラモさんとシベリウスチクルスを行い(2017年のフィンランド独立100年記念)、その一番最初に演奏したのが5番でした。オラモさんのお国ものですし、イギリスオケはシベリウスが生きていた時代からシベリウスを演奏してきた。BBC radio3で聴いて、これは来日が楽しみだと思っていました。
 1曲目も、イギリスオケのご挨拶のようなお国ものブリテン、コンチェルトはチャイコフスキー。ポゴストキーナさんはシベリウスヴァイオリンコンクールの優勝者で、ならばシベコン…と思ったのですが、チャイコフスキーも好きです。プログラムからして好きです。

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 ホールの入り口には立派なこんな看板?が。
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 公演パンフレット。オールカラーで内容は充実しています。お値段の分だけあると思います。東芝がスポンサー(主催はフジテレビ)のコンサートシリーズで、東芝の招待客が多かった。入場前、係員さんが、「東芝の招待券をお持ちの方~」と何度も呼びかけていた。その招待客には、パンフレットは袋入りで配布されます。なので、ホールに入ると招待客か一般客かわかります。
 お客の入りは、空席もちらほらありますが、概ね入っていたと思います。
 開演前まで、コントラバスさんがステージの上でさらっていたり(最初1人だったのが、2人になっていた)、舞台裏からフルートなどの管楽器の音が聞こえてきたり。

 開演、楽団員さんたちがステージへ。この時、楽器を持っていないけど、きちんと燕尾服を着た男性が3人、楽団員さんたちやステージの様子を見渡していました。スタッフさん、ステマネさん?そんなにオーケストラのコンサートには行けていませんが、こんな風に開演時にスタッフがステージにいるのは、国内オケでも海外オケでも見たことがありません。よくあることなんでしょうか?楽団員さんたちが全員座ったのを見届けて、スタッフさん3人は舞台裏へ。リーダー(コンマス)席の隣のヴァイオリンさんがチューニングを促して、終わった後、リーダーのStephen Bryantさんが入ってきます。プロムス ラストナイトでもこの形ですね。そしてオラモさん登場。プロムスコンビが目の前に。

 配置は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの対抗配置。第2ヴァイオリンの後ろにコントラバスが並んでいます。
 1曲目、ブリテン「4つの海の間奏曲」と「パッサカリア」。イギリス音楽の中でも好きな曲です。
Britten - Four Sea Interludes from Peter Grimes, Op 33a - Oramo
 2013年プロムス ファーストナイトでの演奏。このファーストナイトが、オラモさんのBBC響新首席指揮者御披露目演奏会になりました。
この演奏も聴いて行ったのですが、今回の演奏は、これよりも現代的な音がしました。微妙に不安定な音だったり、尖っていたり。管楽器が現代的なのに対して、弦楽器は滑らかにそれをしっかりと支えている。おもしろい。「ピーター・グライムズ」のオペラは、イギリスの小さな漁村で、疎外されて暮らしている漁師・ピーター・グライムズが主人公。村にある事件が起き、グライムズが容疑を疑われる。グライムズはだんだん錯乱状態になっていって…。そんな暗いお話です。音楽に明るい部分があっても、根底に暗いものがあって、きれいなんだけど何か不吉な予感がする。第1曲「夜明け」の木管とかチューバとか、第2曲「日曜の朝」の鐘の音とか。この鐘は教会の鐘の音なのだそうですが、不吉な音。第3曲「月光」→「パッサカリア」→第4曲「嵐」、この流れが自然で、面白かった。普段は「パッサカリア」は別に聴いているのに、この流れで聴いてもおかしくない。「月光」で美しい穏やかな海の情景が描かれる。弦の弱音がとてもきれいで。でも、徐々に重々しくなっていく。きれいなままというのがまたいい。「パッサカリア」は、ヴィオラのソロが美しくてよかった。このヴィオラのソロから、他のパートにも広がっていく。金管がバッチリ決めて、弦の静かな部分が。また盛り上がる。「パッサカリア」も現代的な音、曲です。20世紀のオペラなんだなぁ、と。その後に第4曲「嵐」全パートが全力、荒々しい。金管は特にバリバリいってます。弦もめまぐるしい。明るい曲ではないですが、現代的な響きが「おもしろい、楽しい」と感じました。トリルというか、音が行ったり来たりするのはハマります。ハープや多彩な打楽器など、楽器の種類も多いのも面白いですね。オラモさんの指揮も、プロムスのまんま。ああ、この指揮だ、と思いました。左手のアクションを見てると楽しい。特定の楽器に指示を出したり、曲想を伝えたり。
 1曲目から、仙台のお客さんは大喝采。1曲目なのに、オラモさん、カーテンコールしてました。
 ちなみに、調べてみたら、リボル・ペシェク:指揮、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団の演奏のCDでは、この第3曲と第4曲の間に「パッサカリア」が入る順番でした。曲順を知った時、オペラの順番でもないし、何の意味があるんだろう?と思っていましたが、謎は解けていません。ただ、流れとしては自然な気がしました。
 この曲は、編成が結構大きいです。イズミティ21のホールは小~中規模のホール。ステージもそんなに広くなく、BBC響の皆さん、ギッシリという感じでした。

 メンバーの入れかえや編成を減らしたりして、プログラム2曲目。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。実は、ピアノ以外の協奏曲を生で聴くのは初めてです。地元のコンサートでは、いつもピアノ協奏曲。ヴァイオリンやチェロもやってほしいとアンケートに書いてるのに、やっぱりピアノ協奏曲。遠征してようやく聴けました。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、編成が随分小さいんですね。トロンボーンもいない。第1ヴァイオリンも、コントラバスも大幅に減っている。フルートに、日本人楽団員の向井知香さんが入りました。
 オラモさんとポゴストキーナさん登場。ポゴストキーナさんは緑のドレスでした。きれい、かわいい。お写真からもそんな印象を持っていたのですが、本当にきれいでかわいらしい方。
 でも、ヴァイオリンは芯が強くて、でもつややかでした。最初のヴァイオリンソロの一音を聴いて、すごい音だと感じました。あの小さなヴァイオリンから、こんな音が出るんだ。オーケストラのヴァイオリンとは違う。聴き入りました。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、好きな曲ですが、そんなにCDなどで数多くは聴いていません。聴くと、映画「ライトスタッフ」のテーマ曲を思い出します。似てますよね。
 ヴァイオリンソロの後、オケも主題を演奏しますが、この音がさっきのブリテンとは違って、明るくて、元気で、のびのびしていて、ピュアな音をしていました。完全に楽しんでる音。そして、チャイコのヴァイオリン協奏曲は、ヴァイオリンだけが目立つ曲ではないな、と。オーケストラにも美味しい部分がいっぱいあって、ヴァイオリンソロとの掛け合いが楽しい曲。「協奏」です。ソロを聴いても楽しいし、オケを聴いても楽しい。いいですね。ポゴストキーナさん、オラモさんとアイコンタクトを取ったり、リーダーのブライアントさんを見て演奏しているところも。いい共演だなと思いました。
 ブリテンからは編成が小さくなりましたが、オケはよく鳴ります。ラストまで、本当に楽しかった。こういう演奏を聴くと、これまでそんなに聴いていなかったチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ももっと聴きたくなりますね。
 演奏後、大喝采。オラモさんとポゴストキーナさん、何回カーテンコールしたか数えてませんw5回はしたと思う。仙台のお客さん、ノリがいいのか?大拍手に応えて、アンコール。

・チャイコフスキー (グラズノフ:編曲):「なつかしい土地の思い出」 より メロディ
 オーケストラも一緒に演奏です。これは豪華。郷愁を誘うきれいな曲。好きな曲です。アンコールでもポゴストキーナさんとオケの息はぴったりでした。ちなみに、オラモさんは指揮棒なし。やわらかな指揮でした。
 もっと生でヴァイオリン協奏曲も聴きたいですね。地元のコンサートホールのアンケートにまた書こう。または遠征しよう。

 休憩へ。休憩中、フルートさんが、ずっと次のシベリウス5番をさらっていました。シベ5だ!と反応。これからシベ5を生で聴けると実感。嬉しいです。シベリウスは大好きですが、なかなか生演奏に接したことはない。交響曲は初めて。初めて生で聴くシベリウスの交響曲が5番。いいですね。編成はチャイコフスキーよりは少し大きいです。

 休憩後、楽団員さんたちが舞台へ。この時も、スタッフさん3人がステージに出てきて見守っていました。休憩後の楽団員さんたちは、前半よりもリラックスした表情をしていました。笑顔で談笑したり。スタッフさんとも談笑している楽団員さんもいました。後半では、リーダーのブライアントさんも他の楽団員さんと一緒に出てきていました。チューニングが終わって、スタッフさんたちは舞台裏へ。オラモさん登場。シベ5です。

 と、ここであれ?と。指揮台の上に椅子が置いてあって、オラモさん、椅子に座っての指揮です。前半は普通に立って指揮していました。どこか痛めたのかなぁ…まだまだツアーは長い、これからなのに…大丈夫かなぁ…と心配になっていました。
 第1楽章。ホルンのあの音…まろやかで優しい。木管もやわらかい音で応えます。ああ、この音だ。弦の弱音のざわめき。弱音をうまく生かしていました。ファゴットのソロ。そして明るいトランペットソロ。シベリウスの交響曲を聴くと、さまざまな情景がイメージ出来ます。でも、それは「何となく」「ぼんやりとした」もの。でもこの演奏を聴いた時は、はっきりとこんな風景だとイメージできました。「名曲アルバム」を観ているみたいな。明瞭、はっきりとした、明るめの5番です。オラモさんは椅子に座っていましたが、そんなことは関係ないと思わせるダイナミックな指揮。上半身を大きく動かして振っています。オーケストラもそれに応えての熱演。全力です。でも、シベリウス特有の冷たさ、寒さ、透明感は存分に感じられます。いい音を出すなぁBBC響!と思っていました。指揮もオケも、どちらもこの曲を知り尽くしている、堂々ともしていました。第1楽章の最後で、ティンパニが思い切り強い音を出して、盛り上げ、引き締めていました。第1楽章の最後のカオスな箇所からの金管の朗々とした歌が出てきて、ジャジャジャジャン!という終わり方が好きなのですが、キッパリと見事に揃っていました。
 第2楽章、弱音がたまりません。こんな小さな音でも、ちゃんと聴こえて来る。ただ弱い音にすればいいんじゃないんだな、と自分の演奏…声楽やかつてのピアノでのことを思い出したりしていました。ゆっくり溜めたり、休符を少し長めにとって、じっくりと演奏していました。アイノラで静寂を大事にしていたシベリウスのことを思い出します。ワルツみたいな第2楽章も好きです。かわいらしく明るいようで、ほの暗さもあるんですよね。
 あっという間に第3楽章。疾走する弦、コントラバスはソフトな感じがしました(私の席の位置のせいだろうか)。ホルンが奏でる白鳥の飛翔。本当に美しくて、じわじわとこみ上げてくるものが。どのパートものびのびと演奏していました。さっき、休憩が終わって、リラックスしていた表情の楽団員さんたち。そのままの雰囲気で演奏していました。2つの主題の対比を聴くのも楽しかったです。5番、まだまだ知らない、気づかない部分がありました。CD(動画その他)でばかり聴いてきましたが、生で聴いて、目でも各パートの動きを見て、気づくことっていっぱいあるんだなと思いました。徐々に暮れゆくように、終わりへ近づいていく。このあたりのほの暗さがまたいい。じわじわきます。目頭が…。最後は、あのフライング拍手危険箇所の和音。誰もフライングしないでくれ…と祈りながら聴いていました。和音の間に一呼吸一呼吸入れても、客席はシーンとしている。最後のジャン、ジャン!の後、ちゃんと終わってから盛大な大拍手とブラボー。よかった。フライングなかった。よかった…。圧倒されたシベ5でした。
 やっぱりノリのいい?仙台のお客さん。大拍手に、オラモさんは何度もカーテンコール。どこも痛いようには見えず…。でも、ツアーはまだ前半戦なので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください…(ツアー後半には、マーラー5番も控えていますし)。何度もリーダーのブライアントさんと握手をしたり、楽団員を立たせて挨拶したり。ソロを担当したファゴットさん、金管、全員という形で立たせていました。左胸に手を当ててお辞儀するオラモさん…ラストナイトそのまんまだ!w
 盛大な拍手に応えてアンコール。オラモさんのアンコールのコールが、これもまたラストナイトっぽいw

・シベリウス:ペレアスとメリザンド op.46 第7曲:間奏曲
 「ペレアスとメリザンド」!なかなか演奏されないけど、アンコールにいい曲ですね!かわいらしい、牧歌的な曲。BBC響の明るい、朗らかな、のびのびとした音が全開でした。シベリウスを続けて聴けるなんて嬉しい。
 アンコールの後もまだまだ大拍手は続きます。何と、もう1曲演奏してくださいました!

・シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ JS 34b
 「アンダンテ・フェスティーヴォ」!!シベリウスもう1曲、5番と合わせたら3曲!!もうたまりません。爽やかで滑らかな弦楽合奏、本当に美しかった。ふっと溜めを入れるのもいい。最後はティンパニも入って荘厳に。この曲を聴けるのは本当に嬉しい。ありがとうございます!Kiitos!!
 「アンダンテ・フェスティーヴォ」を生で聴いたのは2度目。前回は、ストルゴーズ指揮N響。
・2015年、オールベートーヴェンプログラムのアンコールでした:フィンランド人指揮者でベートーヴェン+α N響演奏会に行ってきた
 どちらも、指揮はフィンランド人で、公共放送のオーケストラで、アンコールで…何だこの共通点。

 アンコール2曲は、指揮棒なし。やはり、やわらかでしなやかな指揮でした。あまりにも拍手が続くせいか、オラモさんがブライアントさんを促して一緒に退場、楽団員さんたちも退場。退場の際も、まだ拍手が続いているところもありました。太っ腹アンコールにも本当に大満足です。遠征して本当によかった。最高でした。演奏会、堪能しました。
 あたたかく、朗らかで、のびのびしてて、決めるところはバシッと決めて、BBCSO,とても素敵なオーケストラだと実感しました。オラモさんとの息もぴったりで。いいコンビです。
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 アンコールの掲示。手書きの「ペレアスとメリザンド」は急遽決まったのかな?

 思ったのが、イズミティ21のホール、ステージは、BBC響には小さいなということ。シベリウスでも、編成は小さいですが、よく鳴っていました。オーケストラの個性に対して、箱が小さい。やっぱり、ロイヤル・アルバート・ホール(RAH)の大きなホール、ステージのイメージが強いですし、この鳴りは、RAHで演奏しているオーケストラなんだなといい意味で実感しました。普段の本拠地のバービカン・センターはどうなんだろう?バービカンセンターでの演奏会の映像を観たことがないのでなんとも言えず。BBCは、音声はネットで日本からも聴けますが、映像はない。テレビ収録もすればいいのになぁ…と思いました。でも、放送、オンデマンドはイギリス国内限定なんだろうな…きっと…。やっぱりラストナイトしかないのか…?
 今後、BBC響を聴くのが楽しみになりました。普段のバービカンセンターでも、プロムスでも。今年のプロムスのプログラムは、4月19日発表です。楽しみです!

 オラモさんとBBC響のツアーはまだまだ続きます。全10公演(8公演+クローズド2公演)。長いですが、盛況になりますように。

 11日は東京、サントリーホールでのコンサートですが、そのコンサートがNHKFMで放送予定です。
NHKFM:ベストオブクラシック:3月19日:BBC交響楽団 演奏会
 3月19日、夜7時30分から。
 プログラムは、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(小菅優)、マーラー:交響曲第5番。
 このプログラムも聴きたいと思っていたので、放送は嬉しいです。しかも、演奏会から約1週間後に放送…こんな早く放送するのはなかなか珍しい。
※ラフマニノフは第3楽章のみの放送です。アンコールも、「アンダンテ・フェスティーヴォ」のみ(小菅さんのソロアンコール、ラフマニノフ「リラの花」と、オーケストラアンコール2曲目「ペレアスとメリザンド」間奏曲は省略…)。時間が足りない…。完全版はBBC radio3でそのうち放送でしょうか。待ちます。
 でも、この来日はフジテレビが主催…東芝がアレなので、NHKに放送権売ったとか?むしろ大歓迎です。
 あと、BBCはBBCのオーケストラの海外公演もradio3で後ほど放送するのですが、この日本ツアーも放送されるだろうか。このサントリーホール公演は放送されるはず。他のAプログラム(ブラームス1番)、このBプログラム(シベリウス5番)も、どこかで収録していればいいのですが…。
【追記 180308】
 BBC radio3で、広島公演(ブリテン、チャイコフスキー、シベリウス)の模様が放送されました。早いよ!まだBBC響はツアー中だよ!
BBC radio3 : Radio 3 in Concert : BBC Symphony Orchestra's Japan Tour 2018 - Ueno Gakuen Hall, Hiroshima
 30日間オンデマンド配信してます。期間中はいつでも何度でも聴けます。スマートフォンからは、「BBC iPlayer Radio」をダウンロードして聴いてください。
 演奏だけでなく、休憩中には、広島の街中の音、平和記念公園、広島交響楽団のことも紹介されました。あと、BBC響の日本人楽団員、フルートの向井知香さんのインタビューもあります。広島公演は仙台と同じプログラムですが、ポゴストキーナさんのソリストアンコールがない、オーケストラアンコールは「アンダンテ・フェスティーヴォ」だけという違いがありました。仙台もよかったけど、同じプログラムでも違う公演地の様子も聴けるのは嬉しいです。

 NHKFMでの東京公演の放送の前に、BBC radio3にこんなのがありました。
BBC radio3 : Through the Night : BBC Proms 2016: Sakari Oramo conducts Mahler and Haydn symphonies
 2016年のプロムスの再放送です。オラモさんとBBC響のマーラー5番です。一昨年の演奏と、今年の日本ツアーでの演奏に違いはあるのか。聴き比べてみるのも面白いと思います。
 ちなみに、これが放送されたのは、東京公演の数時間前。BBCさん、わかって放送したのか、どうなのか…。

【追記 20180501】
 BBC radio3にて、残りのAプログラム(川崎 ミューザ)、Cプログラム(東京 サントトリーホール)の録音が放送されました。以下からどうぞ。オンデマンド配信は放送から30日間。
BBC radio3 : Afternoon Concert : BBC Symphony Orchestra
 ミューザ川崎でのAプログラム。ブリテン:「ピーター・グライムズ」より 4つの海の間奏曲 パッサカリア、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調(Vn:アリーナ・ポゴストキーナ)、ブラームス:交響曲第1番
 ブラームスだけが既に放送、配信した広島でのBプログラム(私が聴いた仙台も)ですが、被るブリテンとチャイコフスキーも放送しています。広島ではなかったポゴストキーナさんのアンコール「なつかしい土地の思い出」より「メロディ」はありますね。オーケストラアンコールはシベリウス:ペレアスとメリザンド より「間奏曲」

BBC radio3 : Afternoon Concert : BBC Symphony Orchestra
 東京、サントリーホールでのCプログラム。ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調(P:小菅優)、マーラー:交響曲第5番。この演奏会は、NHKFMで放送されましたが、放送時間に収まらずラフマニノフは3楽章のみでした。今度はフルで聴けます。マーラーももう一度。小菅さんのソロアンコールのラフマニノフ「リラの花」、オーケストラアンコールの「アンダンテ・フェスティーヴォ」も入ってます。「アンダンテ・フェスティーヴォ」は何度聴いてもじわじわ来ます。

 この2つの録音を聴いて、ミューザ川崎と、サントリーホール、響き方が違うなと感じました。くっきりしてるのはミューザ?サントリーホールはやわらかい?どちらも行ったことはない。実際に行って、生で聴いてみたいです。


【追記 181120】
 日本ツアーから半年以上経ちましたが…、BBC radio3にて、また日本ツアーの録音が放送されました。今度は名古屋公演です。
BBC Radio3 : Afternoon Concert : The BBC Symphony Orchestra on tour in Japan
 名古屋はCプログラム。ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、マーラー:交響曲第5番です。小菅優さんのアンコール:ラフマニノフ:リラの花も入っています。マーラーの後のオーケストラアンコールはなかったと話に聞いています。それは残念…。
 放送から30日間のオンデマンドがあります。12月19日ごろまで。



【プロムス ラストナイト過去記事】
・2014:こんなクラシックコンサート観たことない! 「Proms(プロムス)」ラストナイトコンサート2014
2015はNHKが放送せず、観られず。
・2016:一緒に音楽を楽しもう Proms(プロムス)2016 ラスト・ナイト・コンサート
・2017:クラシック音楽の最前線で BBC Proms(プロムス) ラスト・ナイト 2017 まとめ
Promsタグで、このブログの、ラストナイト以外のBBC Proms関連記事を読めます。毎年の注目公演など。

by halca-kaukana057 | 2018-03-06 21:45 | 音楽
 シベリウス「クッレルヴォ」第2シリーズは今回が最後。第1シリーズの記事でも触れていたのですが、この演奏会に行きたかった。
都響:第842回 定期演奏会Aシリーズ
 東京都交響楽団の11月8日の演奏会。ハンヌ・リントゥ:指揮で「クッレルヴォ」。フィンランド独立100年記念です。男声合唱はポリテク合唱団。日本のプロオケが「クッレルヴォ」を演奏するなんて何十年ぶり?アンコールには「フィンランディア」の男声合唱つき!行きたかったのですが、都合が合わず行けませんでした。

 でも、オーケストラは違いますが聴けます。12月6日、フィンランド放送交響楽団の独立記念日コンサートで、声楽ソロ、男声合唱は同じで演奏されました。フィンランドYLEのオンデマンド配信で聴けます、観られます。
ハンヌ・リントゥ:指揮、フィンランド放送交響楽団
ニーナ・ケイテル(メゾソプラノ)、トゥオマス・プルシオ(バリトン)
ポリテク合唱団
◇音声のみ(1月6日ごろまで公開):YLE Areena:Radio:Konsertteja : RSO:n itsenäisyyspäivän konsertissa Sibeliuksen Kullervo sekä Wennäkosken ja Lindbergin teosten kantaesitykset
◇映像:YLE Areena:TV:RSO Musiikkitalossa : Itsenäisyyspäivän konsertti
 演奏会前半はフィンランドの現代作曲家、ロッタ・ヴェンナコスキとマグヌス・リンドベルイの作品。後半が「クッレルヴォ」です。最後は「フィンランディア」男声合唱つきもあります。独立100年の「フィンランディア」、感慨深いです。休憩時間には、「クッレルヴォ」の解説があります。フィンランド語で何を言っているのかわからないのが残念ですが、ピアノで「クッレルヴォ」を弾いているのは新鮮でした。「クッレルヴォ」ピアノ版を演奏、録音を出しているピアニストっていないのだろうか。大変だろうけど。
 「クッレルヴォ」演奏後、案内役のアナウンサーさんが都響に触れていました。


 フィンランド放送響は、弦の高音がスカッと軽やかなのが印象的なオーケストラ。今回の「クッレルヴォ」では、重厚な音を出しています。高音はスカッと響かせるのですが、低音部はずっしりと太く重い。フィンランドの100年の節目の演奏会。気合や想いがこもらずにはいられません。管もバリバリ吹いていて、聴いていて気持ちがいいです。

 男声合唱のポリテク合唱団。映像を観て驚いた。随分多い。日本に来たのはもっと少ない人数だったらしいけど…。これがフルメンバーなのでしょうか。やわらかく、ハーモニーが心地いいです。今回のクッレルヴォの妹役、ケイテルさんはメゾソプラノ。ソプラノ音域もきれいで、メゾソプラノならではの低音もしっかりしている。クッレルヴォの妹だと明かす部分は、ソプラノとメゾのバランスがいい。不穏なオケに合います。バリトンのプルシオさんは、やわらかめの、テノール寄りな感じ。「クッレルヴォの嘆き」の部分はその前までのクッレルヴォの様子と打って変わって、ゆっくりと、ずっしりと重いです。「クッレルヴォの嘆き」に入る前、かなり休符を取りました。シベリウスは静寂を大事にしたという話が残っていますが、そんな静寂であり、嘆きへの緊張感が湧き上がる静寂だと思います。
 ケイテルさんもプルシオさんも初めて聴きました。また若い「クッレルヴォ」歌いが増えました。
 合唱と声楽ソロは、映像を観ると、歌詞の字幕が入っています。「Kullervo Kalervon poika」と最初は一緒に口ずさんでしまうのですが、この歌詞字幕を見ながら歌えませんでした。フィンランド語難しい!

 第4楽章、金管が大活躍、バリバリとものすごい勢いで吹いています。これ息大変だろう…音程を当てるのも大変だろう…すごいなと聴いていました。弦も負けてはいない。まさに、狂ったように戦に赴くクッレルヴォです。途中、かなしげな部分があるのを、印象的に聴かせています。

 第5楽章、徐々に感情を込めて盛り上がる男声合唱が心を打ちます。いい演奏です。生で聴きたくなるなぁ…。
 フィンランド放送響には日本人楽団員が4人いますが、映像で観ると活躍しているのがわかります。フィンランド独立100年のお祝い演奏会に、日本人も参加できたのは嬉しいことです。都響での公演と同じく、「フィンランディア」も是非聴いてくださいね。

 「クッレルヴォ」は、救いようのない悲劇で、シベリウスは好きでもずっと敬遠していました。でも、そんな悲劇だからこそ伝えられるものがある。そう思いました。
 出来るだけ、色々な指揮者やオーケストラで聴こうと思ってシリーズにしてきましたが、やはりフィンランドがメインになってしまった(フィンランド指揮者が多過ぎる!w)これからも、色々な演奏を聴いていこうと思います。ということで、第2シリーズはこれまで。


【これまでのの「クレルヴォ」特集まとめ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう サロネン&ロスフィル
 エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう オラモ&BBC響
 サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団(2015年プロムスでのライヴ録音)

by halca-kaukana057 | 2017-12-20 22:51 | 音楽

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