人気ブログランキング |

タグ:シベリウス ( 99 ) タグの人気記事

 今日、12月8日はシベリウスのお誕生日。154回目です。おめでとうございます!また、シベリウスの誕生日を記念して、フィンランドではこの日を「フィンランド音楽の日」としています。

 フィンランド国営放送(YLE)のクラシック専門チャンネル「YLE Klassinen」は今年もフィンランドの作曲家の作品を放送しています。1日中。有名なものからマイナーなものまで。演奏者もフィンランド人ばかり。こういうのを見ると、フィンランドすごいなぁ、と思います。ちなみにおととい12月6日はフィンランド独立記念日。この日もフィンランド作曲家特集をやっていました。

 今年はあまり長い時間聴けずにいます。記録として、シベリウスの交響曲の放送まとめを残しておこうと思います。シベリウスの誕生日なので、交響曲は全曲放送します。今年は「クレルヴォ」は入っていません。

1番:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ/エーテボリ交響楽団
2番:レイフ・セーゲルスタム/ヘルシンキ・フィル
3番:エサ=ペッカ・サロネン/フィンランド放送響 (Live)
4番:パーヴォ・ベルグルンド/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 (Live)
5番:パーヴォ・ベルグルンド/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 (Live)
6番:オスモ・ヴァンスカ/ラハティ交響楽団
7番:サカリ・オラモ/フィンランド放送響 (Live)

 以上です。「アムステルダム・コンセルトヘボウ」は番組表の表記に従いました。今年はフィンランド放送響の割合が少ない気がする。ベルグルンド指揮のコンセルトヘボウは、多分毎年出てきていると思う。ベルグルンドの他のオーケストラでのライヴ録音は、YLEにはしっかり残っていそうな気がする。サロネンがフィンランド放送響で3番というのはレア?かなり昔のもの?録音年のアナウンスもありましたが、フィンランド語の数詞は難しい…年号なんて無理…。
 1番は今年出たばっかりの新譜、ロウヴァリ指揮エーテボリ響のもの。CDでも聴きました。そのうち話題にできれば。

 交響曲の他にシベリウスの作品は1作品放送されました。
・ベルシャザールの饗宴(サカリ・オラモ/BBC交響楽団)
 これも今年出た新譜です。はいCDでも聴きました。こちらもそのうち話題にできればな。交響曲の他に1作品だけというのは少ない気がする。2015年の生誕150年、2017年のフィンランド独立100年でたくさん放送したからか?

 番組表は分割されていますが以下をどうぞ(フィンランド現地時間です。フィンランドとの時差は7時間。時間が間に合った方は是非聴いてみて)
7:00~ YLE Klassinen: Suomalaisen musiikin Aamuklassinen.
10:00~ YLE Klassinen: Suomalainen Aamupäivän klassinen.
13:00~ YLE Klassinen: Suomalaisen musiikin Päiväklassinen.
18:00~ YLE Klassinen: Suomalaisen musiikin Iltaklassinen.
23:10~ YLE Klassinen: Suomalaisen musiikin Yöklassinen

 シベリウス以外で気になった作曲家、作品…今年はあまり聴けてないからわからない…。コッコネンやクラミ、マデトヤ、もう少し現代だとラウタヴァーラやサーリアホもまだまだ聴けていない作品があるので聴きたいなぁと思っています。
by halca-kaukana057 | 2019-12-08 22:37 | 音楽
 11月30日、指揮者のマリス・ヤンソンスさんが亡くなられました。あまりにも突然で、驚きました。ショックです。今もまだ感情をどう表現したらいいかわからずにいます。ただただかなしいです。

 ヤンソンスさんというと、まず出てくるのがショスタコーヴィチ。CDでもライヴでもヤンソンスさんのショスタコーヴィチは楽しみに聴いていました。その他ロシアもの、ドイツもの、レパートリーの幅が広い。私としては、やっぱりシベリウスも外せません。聴いたのはオスロ・フィル時代の録音。

Spotify :Sibelius :Symphonies No.1,2,3,5
Spotify :Sibelius :Symphonies No.2,3,5 etc
 他にフィンランディア、悲しきワルツ、トゥオネラの白鳥、アンダンテ・フェスティーヴォが収録されています。アンダンテ・フェスティーヴォはまだこの曲があまり知られていない時期の録音だったと思います。

 交響曲は1番、2番、3番、5番。シベリウスの交響曲の中ではマイナーな3番も入っているのが嬉しい。どれも重め、暗めの演奏です。特に1番と2番は聴いていて、「北の孤高の巨人」という表現がぴったりだと思った。時々シベリウスはそういう表現をされることがあるが、ヤンソンス盤にぴったりの表現でないかと思う。暗く、凍てつくような感触で、容易く人間を寄せ付けないような。毅然としている。
 管楽器がうまいなぁと思う。それぞれの管楽器がどんなフレーズを奏でているのか、はっきりとわかる。弦もなめらかで、管と弦のバランスがちょうどいい。1番の冒頭のクラリネットソロの音色が印象的。ほの暗い、でも堂々としている。独りで黙って前を見据えているよう。若いシベリウスの様々な感情が聞こえてくる。でもそれは全体的には暗い。
 2番は他の演奏を聴いていると、明と暗が入り混じりながら第4楽章へ進んでいく…感じなのだが、ヤンソンス盤は暗さが強い。でも重くのしかかってくるわけではなく、かといって軽いわけではない。ただ、遠くまでずっと暗さに包まれているような感じだ。第1楽章は弦のささやきが印象的だが、とても静かに、美しい。2番はティンパニを印象的に使っていると感じました。目立つ。いい目印、いいアクセントになっている。

 3番、5番でも暗め。テンポの揺らし方が面白い。どの曲でも、こんな表現があったんだな、こんな聴かせる箇所があったんだなと思う。シベリウスは聴き慣れているはずなのに。聴き慣れているからこそ、新たな発見を見いだしやすいのかも知れない。

 一緒に収録されている悲しきワルツ、トゥオネラの白鳥はまさに追悼にはぴったりで…ぴったりになってしまったのがかなしい。アンダンテ・フェスティーヴォも「フェスティーヴォ」=「祝祭」なのに、どこかもの悲しい。いい演奏だなと思います。

 シベリウス以外のことも書くと、以前、ネットラジオでマーラーの7番を聴いて、いいなと思いました。マーラーの7番はなかなか親しめず、難しく、途中で止めてしまう演奏もありましたが、ヤンソンスさんの演奏は最後まで聴いて、いいなと思えました。

 最後に取り上げたいのが、ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの名演の数々。ヤンソンスさんのニューイヤーは楽しくて大好きです。お茶目な演出も多く、楽しませてもらいました。笑顔で指揮しているのが忘れられません。
Vienna New Years Concert 2006, Telephon, Eduard Strauss

 2006年の「電話ポルカ」ユーモアたっぷりです。

2012 New Year Concert - Josef Strauss -- Feuerfest (Polka francaise, op. 269)

 2012年の「鍛冶屋のポルカ」ウィーン少年合唱団も共演です。楽しそうに金床を叩くヤンソンスさん。

Mariss Jansons, Wiener Philharmoniker - Radetzky-Marsch, Op. 228

 2016年のラデツキー行進曲。観客の指揮がうまい。

 たくさんの素敵な音楽をありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。
by halca-kaukana057 | 2019-12-04 23:08 | 音楽
 今年も、9月5日から8日まで、ラハティのシベリウスホールでシベリウス音楽祭(Sibelius Festival/Lahden Sibelius-festivaali)が開催されました。ラハティでシベリウス音楽祭が始まったのは2000年のこと。今年で20回目です。ホストオーケストラのラハティ交響楽団と、今年はロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団がゲスト。ストックホルム・フィルは交響曲第7番をシベリウス自身の指揮で世界初演したオーケストラです。

Sinfonia Lahti : SIBELIUS FESTIVAL 5.-8.9.2019

 演奏会の録音は、現在フィンランドYLEのラジオでストックホルム・フィル回がオンデマンド配信中。そのうち、ラハティ響の演奏会の録画を公開しているサイト Classic live で映像が公開されると思います。公開されたらまた追記します。
 では、今年のプログラムを。

◇9/5 Thu 05.09. at 19.00 Sibeliustalo KULLERVO
  ※演奏会動画(プログラム通して)
 ・お前に勇気があるか op.31-2
 ・渡し守の花嫁たち op.33
 ・火の起源 op.32
 ・クレルヴォ(クッレルヴォ)(交響曲) op.7
  / マルユッタ・テッポネン Marjukka Tepponen (ソプラノ)、トンミ・ハカラ Tommi Hakala(バリトン)、ポリテク合唱団
   ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団

 初日から「クレルヴォ」。いいなぁ。早く聴きたいなぁ。前半の「お前に勇気があるか」「渡し守の花嫁」は男声合唱とオーケストラの作品。「火の起源」はカレワラからの作品で、バリトン独唱と男声合唱、オーケストラの作品。「火の起源」と「クレルヴォ」が一緒のプログラムというのがとても魅力的。

◇9/6 Fri 06.09. at 19.00 Sibeliustalo SYMPHONIES 5, 6 & 7
   ※2日目演奏会動画(プログラム通して)
 ・交響曲第5番 変ホ長調 op.82
 ・交響曲第6番 op.104
 ・交響曲第7番 op.105
  /トーマス・ダウスゴー:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団

 ◇YLEでのラジオ放送オンデマンド:YLE Areena Radio : Konsertteja : Lahden Sibelius-festivaali: Tukholman kuninkaallinen filharmoninen orkesteri
 放送後30日間聴けます。「○○pv」が残り日数。

 2日目は後期交響曲を3作品。一度でいいから、一気に生で聴いてみたい…。ちなみに、指揮のダウスゴーさんはプロムスで5番の1915年初稿を指揮しましたが、シベリウス音楽祭では1919年版現行版です。

◇9/7 Sat 07.09. at 17.00 Sibeliustalo SIBELIUS´S SONGS
 ・吟遊詩人 op.64
 ・アリオーソ op.3
 ・春はいそぎ過ぎゆく op.13-4
 ・もはや私は尋ねなかった op.17-1
 ・3月の雪の上のダイヤモンド op.36-6
 ・秋の夕べ op.38-1
 ・夜の騎行と日の出 op.55
 ・エン・サガ op.9
  / カリタ・マッティラ(ソプラノ)、ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団

 3日目は管弦楽伴奏の歌曲の回。フィンランドの名ソプラノ、マッティラさんが歌います。聴いたことのないものも。シベリウスは歌曲やピアノ曲を数多く作曲していて、まだ全部把握できてない。もっと聴きたいなと思います。
 この回。「吟遊詩人」「夜の騎行と日の出」「エン・サガ」が入っているのが嬉しい。この3曲が同じ演奏会で聴けるなんて。

◇9/8 Sun 08.09. at 11.30 Sibeliustalo SIBELIUS ON A SUNDAY MORNING Choral and organ works by Sibelius
 ・イントラーダ op111a
 ・6つの歌 op.18 より
   1.失われた声/3.舟の旅/6.わたしの心の歌/4.島の火
 ・つぐみのように慌ただしく JS129
 ・祖国に JS98a
 ・ラカスタヴァ(愛する人) JS160c
 ・葬送曲 op.111b
 ・夢 JS64
 ・嘆くことなく JS69
 ・空気中に立ち昇る JS213
 ・1897年ヘルシンキ大学祝典のためのカンタータ JS106 より
   1.われらスオミの若者/3.Tää valon nuori vartiasto (These Young Guardians of Light)/10.Soi kiitokseksi Luojan (We Praise Thee, our Creator)/12.Oi Lempi, sun valtas ääretön on (O Love, Your Realm is Limitless)
 ・Herr Du Bist Ein Fels (Lord, You Are A Rock)
 ・フィンランディア賛歌
  / セッポ・ムルト Seppo Murto:指揮、オルガン、ドミナンテ合唱団、フォルケ・グラスベック:ピアノ

 最終日は合唱とオルガン作品。JS106はその後作品23として残りましたが、JS106は失われてしまいました。カレヴィ・アホが補完しており、BISのシベリウス全集にも入っています。この回、マニアックです。これでこそラハティのシベリウス音楽祭。


by halca-kaukana057 | 2019-09-11 22:55 | 音楽
 シベリウスの交響曲第4番。大好きな交響曲です。最近聴いた演奏で、思ったことを。

BR-KLASSIK : Live aus der Philharmonie im Münchner Gasteig : Konzert des Symphonieorchesters des Bayerischen Rundfunks : Leitung: Herbert Blomstedt
(配信期間は1週間。水曜頃まで聴けると思います)

 ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮、バイエルン放送交響楽団の演奏会の録音です。プログラムは、シベリウス:交響曲第4番、ステーンハンマル:カンタータ「歌」より「間奏曲」、メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」。聴きましたが、いい演奏でした。ステーンハンマルの「間奏曲」これがまたじんわりと沁みる作品で、もっと聴きたいなと思う。

 1曲目のシベ4.1曲目にシベ4を持ってくるとは意外。内省的な、どこまでも暗い曲。バイエルン放送響の少し厚めの音が、北欧オケの音とは違ってまた面白い。チェロのソロがいい味出しています。
 第4楽章では、グロッケン(鐘)で演奏する箇所があります。でも、ほとんどの演奏では、グロッケンシュピールで演奏していて、私もその音に慣れていました。しかし、この演奏では、グロッケンシュピールとは違う、聴き慣れた音とは違う楽器で演奏されています。

 チューブラーベル。そうだ、そういえばそうだった。ブロムシュテットさんは、以前からグロッケンシュピールではなく、チューブラーベルで演奏してきました。サンフランシスコ交響楽団との全集で録音があります。その録音を聴くとあれ…?ああそうだったと思うのですが、今でもチューブラーベルを採用していると思わなかったので驚きました。

 調べてみると、コリン・ディヴィスとユージン・オーマンディはグロッケンシュピールとチューブラーベルの両方を用いていたとのこと。オーマンディ盤(フィラデルフィア管弦楽団)を聴いてみたら、確かに併用されている。響きが全く違う。

 今まで当たり前のようにグロッケンシュピールで聴いてきたが、まだまだ足りないようだ。普段は聴き慣れた演奏を聴いているが、まだ手を出していない演奏も聴いてみないとわからないなと思いました。
by halca-kaukana057 | 2019-06-03 23:28 | 音楽
 ネットラジオで興味深い演奏会を聴きました。
BBC Radio3 : Radio 3 in Concert : Prankster, Adventurer and Rogue
 ミルガ・グラジニーテ=ティーラ:指揮、バーミンガム市交響楽団の2月の演奏会です。

・エサ=ペッカ・サロネン:Dona Nobis Pacem(我らに平和を与えたまえ)
・ラウタヴァーラ:カントゥス・アルクティクス(Cantus arcticus 極北の歌)op.61
・シベリウス:ラカスタヴァ(恋する人) op.14
      :エン・サガ op.9

・グリーグ:劇付随音楽「ペール・ギュント」
 /クララ・エク(Klara Ek,ソプラノ)、CBSOユース合唱団、CBSO合唱団、ミルガ・グラジニーテ=ティーラ:指揮、バーミンガム市交響楽団

 前半はフィンランド、後半はグリーグの「ペール・ギュント」を組曲版ではなく、劇音楽版の抜粋です。合唱や独唱も入ります。以前、劇付随音楽「ペール・ギュント」のCDを聴いたことがあったのだが、それは全曲版ではなく抜粋だったことに気づいた。今回の演奏会も抜粋版ですが、曲目は以前聴いたCDよりも多いです。
・第1幕:前奏曲:婚礼の場で
・第2幕:前奏曲:花嫁の略奪、イングリッドの嘆き
山の魔王の宮殿にて
・第3幕:オーセの死
・第4幕:朝
アラビアの踊り
アニトラの踊り
ソルヴェイグの歌
・第5幕:前奏曲:ペール・ギュントの帰郷
聖霊降誕祭の賛美歌のコラール
ソルヴェイグの子守唄

 「ペール・ギュント」の物語は、ペールが荒唐無稽でなかなか理解しにくい…。でも、音楽があるとこんな場面なのかなと想像しやすい。荒唐無稽な物語を、ドラマティックな物語と感じられる。不思議です。
 音楽を音楽として純粋に楽しめる、コンパクトな組曲版も好きですが、独唱や合唱の入る劇付随音楽版も好きです。劇をイメージさせるけれども、音楽としても聴ける。オペラではなく劇なので、音楽の性格もオペラとは違うんだな、と今聴くと実感できます。快活な「婚礼の場で」で始まり、花嫁を略奪しペールの大冒険が始まる。「山の魔王の宮殿にて」はやっぱり合唱が入った方が迫力が増していい。同じく合唱とソプラノ独唱が入る「アラビアの踊り」も。ソプラノ独唱のエクさんの澄んだ歌声がきれいです。女声合唱も美しい。「イングリッドの嘆き」や「オーセの死」「ソルヴェイグの歌」といった静かな曲も聴き入ってしまいます。「精霊降誕祭の賛美歌のコラール(Whitsun Hymn)」は初めて聴きました。無伴奏の合唱です。とてもきれいですそこから、最後の「ソルヴェイグの子守唄」へ。波乱万丈のペールの人生が静かに終わるのが感じられます。よかったです。

 演奏会前半もとても楽しいです。サロネンの合唱曲は不思議な音の流れが面白い。2010年の作品だそうです。ラウタヴァーラの「カントゥス・アルクティクス」は大好きな作品。フィンランドの北にある湖畔で録音した鳥のさえずりと管弦楽の協奏曲。鳥たちの鳴き声と、幽玄な管弦楽がとても美しい。音の流れや響きは不思議な雰囲気で、そこに湖や動き回る鳥たちなどの自然を感じられる。以前は、ラウタヴァーラなどフィンランドの現代作曲家の作品を聴いてもピンと来なかった。よくわからなかった。でも今は心から楽しめる。楽しみ方がわかってきたというか、幅が広がってきたのだろう。さらにシベリウスから2曲。「ラカスタヴァ」は無伴奏合唱版で。「恋する人」や「恋人」と訳されるこの曲、可愛らしいし、どこか物悲しくもある。大好きです。「エン・サガ」も大好きな曲。グラジニーテ=ティーラさんの「エン・サガ」はこうなるのかと興味深々で聴いていました。緩急と強弱の幅が広い。どんどん盛り上がっていく部分も好きですが、その後の静かなクラリネットのソロの部分も好きです。「ある伝説」と訳されるこの曲、後半の「ペール・ギュント」へのつなぎにもなっているのでしょうか。

 この記事を書いた時点であと12日、オンデマンドで聴けます。2月16日あたりまで?

・以前の記事:劇音楽としての「ペール・ギュント」
by halca-kaukana057 | 2019-03-04 22:56 | 音楽
 今日は12月8日、シベリウスの誕生日。生誕153年です。なので、シベリウスの話を。

 以前、こんな記事を書きました。
アンスネスのシベリウス!?
 2015年、フィンランドやデンマークなどでのコンサートツアーで、アンスネスがシベリウスのピアノ作品を取り上げ演奏。そのオンデマンド配信を聴いた、という話。その後、来日公演でもシベリウス作品を取り上げ、2017年にシベリウスのアルバムが出ました。



悲しきワルツ シベリウス:ピアノ名曲集 (SIBELIUS)
レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)/ Sony Classical / 2017

 昨年買って聴いたのですが、音楽を聴いてもずっと感想を書けない状態で…1年後になりました。

 帯には「シベリウス没後60年」とあります。収録曲は以下。


 ・即興曲 第5番 ロ短調 op.5-5 (6つの即興曲 op.5より)
 ・即興曲 第6番 ホ長調 op.5-6 (6つの即興曲 作品5より)
 ・キュリッキ (3つの抒情的小品) op.41 第1曲 ラルガメンテ-アレグロ,第2曲 アンダンティーノ,第3曲 コモド-トランクイロ
 ・ロマンス 変ニ長調 op.24-9 (ピアノのための10の小品 op.24より)
 ・舟歌 op.24-10 (ピアノのための10の小品 op.24より)
 ・羊飼い op.58-4 (ピアノのための10の小品 op.8より)
 ・悲しきワルツ op.44-1 [ピアノ独奏版] (劇音楽「クオレマ」 op.44より)
 ・ソナチネ 第1番 嬰ヘ短調 op.67-1 第1楽章 アレグロ,第2楽章 ラルゴ,第3楽章 アレグロ・モデラート
 ・白樺 op.75-4 (ピアノのための5つの小品 (樹木の組曲) op.75より)
 ・樅の木 op.75-5 (ピアノのための5つの小品 (樹木の組曲) op.75より)
 ・ロンディーノ op.68-2 (ピアノのための2つのロンディーノ op.68より)
 ・エレジアーコ op.76-10 (ピアノのための13の小品 op.76より)
 ・ピアノのための6つのバガテル op.97より 第5曲 即興曲,第4曲 おどけた行進曲,第2曲 歌
 ・5つのスケッチ op.114 第1曲 風景,第2曲 冬の情景,第3曲 森の湖,第4曲 森の中の歌,第5曲 春の幻影

 2015年のツアーで演奏された作品も、来日公演で演奏された作品もあります。シベリウスは幼い頃からヴァイオリンを演奏し、ヴァイオリニストを目指していた。ピアノは、それほどうまくなかった(アイノ夫人はピアノが得意だった)。シベリウスのピアノ曲は、シベリウスが経済的理由のために作曲したものが多い。交響曲のスコアよりも、家庭で気軽に演奏できるピアノ曲の楽譜の方が売れる。それでも、というか、だからこそ、シベリウスの心の中が反映されているように思えます。勿論、交響曲や管弦楽曲からもシベリウスの作風は伺えるし、シベリウスはシンフォニストだと思う。ピアノ曲を聴いていても、シベリウスらしいオーケストレーションを感じられます。この部分はこの楽器だろうか、とか。一方で、交響曲や管弦楽曲に縛られずに、自由な実験をピアノ曲で試みていたようにも思えます。何より、シベリウスが愛した自然が描かれることも多く、個性豊か。シベリウスにとって身近な楽器はヴァイオリンであり、ピアノは身近な楽器ではなかったかもしれないが、そっと静かに聴きたい、もし弾けるなら弾きたい曲ばかり。

 CDのライナーノートに、アンスネスの言葉があるので引用します。
It inhabits a private world.
It is almost not for the public,
but something to play for friend, or even alone.
シベリウスの音楽は内面世界を映し出しています。
コンサートの聴衆ではなく、
友人のために、あるいは一人で弾くために書かれた音楽であるかのようです。
 同感です。

 アンスネスの選曲は、有名曲から、ちょっとマイナーな曲まで幅広い。有名曲、例えば作品75の「樹の組曲」が「白樺」と「樅の木」だけになってしまったのは寂しいと言えば寂しいが、他の作品が充実しているからいいか、と思える。最初に即興曲op.5から、第5曲だけでなく第6曲も入れてくれたのは嬉しかった。私が唯一弾けるシベリウスのピアノ曲、即興曲op.5-6(今は大分弾けなくなっているが…)。アンスネスならこう演奏するんだ、と思って聴いていました。繰り返しも忠実に(私は省略しました)。この曲を練習していた時に聴きたかったなぁ(今からでも遅くない?)。

 シベリウスのピアノ曲は色々と聴いてきましたが、このアルバムを聴いて好きになった曲も多い。作品97「ピアノのための6つのバガテル」第2曲:歌、第4曲:おどけた行進曲、第5曲:即興曲の3曲だけだが、シベリウスの様々な面が伺える。これまで聴いてきたアルバムに、作品97はあまり入っていなかったのもある。第2曲「歌」は他のCDにも入っていたが、改めて聴いてみるとのびのびと自然体で、きれいな曲だなと思う。
 作品114「5つのスケッチ」が全曲入っているのは、このアンスネス盤の強みだと思う。ツアーでも部分的に演奏してたこの作品。作曲は1929年。交響曲第6番や第7番、「タピオラ」よりも後。後期作品独特のシンプルさ、透明感を感じられる。タイトルは、冬の景色に関係している。後期作品からは冬や寒さ、冷たさ、暗闇をイメージするのだが、そのイメージのまま。第3曲「冬の湖」、第4曲「森の中の歌」の冷たさ、暗さ、透明感はとても好きです。最後、第5曲「春の幻影」で春の気配を感じられるのが、また抒情的。アンスネスの透明なタッチが、それをささやかに伝えてくれます。

 これまで好きだった「キュッリッキ」や「舟歌」op.24-10もいい。そして、「悲しきワルツ」のピアノソロ版。ピアノになると、こんなにお洒落な雰囲気も感じられるのかと思いました。シンフォニックではあるけれども、それを全部ピアノで表現しようとするのではなく、ピアノだからこそ出来る表現をしているように思います。

 シベリウスのピアノ曲は、もっと広まっていいと思うし、演奏機会も増えて欲しいと思っています(その割には日本で気軽に入手出来る楽譜はあまり出版されていない…)。アンスネスのシベリウスが聴けて、本当に嬉しい。感想はこれに尽きます。


・私が演奏した「即興曲」op.5-6の記事まとめはこちら:Satellite HALCA:シベリウス:即興曲op.5-6
by halca-kaukana057 | 2018-12-08 22:21 | 音楽

不思議なシベリウス2番

 秋も深まり、冬の入り口。そろそろ初雪も降りそうです。シベリウスをもっと聴きたくなる季節がやって来ました(1年中聴いてますが)。
 BBC Radio3のオンデマンドに、シベリウス:交響曲第2番の演奏があったのですが、いつものシベ2と少し違います。
BBC Radio3 : Radio3 in Concert : Nordic Summer Nights
 Tristan Gurney(トリスタン・ガーニー):ヴァイオリン、指揮、Royal Northern Sinfonia(ロイヤル・ノーザン・シンフォニア)による演奏。ロイヤル・ノーザン・シンフォニアはイギリスの室内オーケストラ。1曲目が「アンダンテ・フェスティーヴォ」、スヴェンセンやニールセンといった北欧の作曲家のプログラムです。

 メインがシベリウス2番(上記リンク先1時間7分過ぎから)なのですが、聴いてみると、普段のオーケストラ編曲とは違う。調べると、Iain Farrington(イアン・ファリントン)という方が編曲している。ファリントンさんはピアニスト。オルガン演奏や作曲、編曲活動もしている。ファリントンさんのホームページに編曲作品リストがありました。
Iain Farrington : Arrangements
Sibelius, Jean: Symphony No. 2 - flute, oboe, clarinet, bassoon, horn, trumpet, trombone, timpani, strings (minimum 2, 2, 2, 2, 1)
 シベリウスの交響曲第2番についても載っています。こちらが編成。チューバがいない。管楽器はそれぞれ1人ずつ。弦楽器はコントラバス以外は最低2人いればよい。コントラバスは1人。シベリウスの交響曲は番号が進むにつれてどんどん編成が小さくなりますが、2番は大きい方。弦楽器はそれぞれ10人ぐらいはいるし、管楽器はホルンは4人。トランペットとトロンボーンは3人。第4楽章の大円団は、編成が大きい方で聴いた方が迫力もあるし、華やか、煌びやかでのびのびとしている。一方このファリントンさんの編曲はとても小さい。シベリウスの後期作品よりも小さい。室内オーケストラのための編成です。そのため、通常の演奏とは楽器の使い方が違う箇所がいくつもある。最初はあれ?と思いながら聴いていたのですが、だんだんハマってきました。

 シベリウスの2番はシベリウス作品の中でも明るく迫力があって華やか。でも、第1楽章は小川、というよりは雪解けの水がちろちろと小さく流れるようなささやきで始まる。そして、暗と明、陰と陽を繰りかえしながら大円団の第4楽章へ進む。大円団とは言え、第4楽章でも最後は金管の朗々とした歌で盛り上がって締めくくられ、胸も熱くなるが、途中ではやっぱり陰影が感じられる。この陰影や、寂寥感を表現するのに、この小さな編成は向いているんじゃないかなぁと思いながら聴いていました。3番以降からの編成の小ささへの経過も感じられます。

 編成が小さくても、シベリウスの音楽に聴こえるのは、シベリウスの個性だからかもしれない。編成は小さいけれども、描いているものはもっとスケールの大きな普遍的なもの…様々な自然の姿やその変化。身近にあるけど、大きな世界に繋がっているような。よくフィンランドの自然を描いているとも言われますが、それは地球全体に繋がっていた、ような(よくわからない)。

 ファリントンさんは5番も同じ編成に編曲しています。5番は2番よりも編成が小さいので、違和感はなさそう。ホルンが1人となると、第3楽章の白鳥の飛翔のホルンはどうするんだろう。あれは4人いるからこそ演奏できるんだけど…。

 シベ2だけじゃなくて、上記の他のプログラムもいいです。「アンダンテ・フェスティーヴォ」はいつ聴いてもいいです…。オンデマンド配信は11月29日あたりまでです。
by halca-kaukana057 | 2018-11-15 22:15 | 音楽
 今回もシリーズではありませんが、シベリウス「クレルヴォ(クレルヴォ交響曲、クッレルヴォ)」 op.7 を聴いた感想を。9月、パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、NHK交響楽団で「クレルヴォ」を含む演奏会がありました。N響初演なのだそうです。意外。誰かやってるかと思った。コンサートに行けなくても、N響はFM生放送とEテレ「クラシック音楽館」でのテレビ放送があるのでありがたい。そのFM生放送の録音と、「クラシック音楽館」での放送を観ての感想です。
 ちなみに、N響、NHKは「交響曲」はつけない。「クレルヴォ」が交響曲なのか、交響詩なのかは研究されています。

パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、NHK交響楽団
ヨハンナ・ルサネン(ソプラノ)、ヴィッレ・ルサネン(バリトン)
エストニア国立男声合唱団

 以前、パーヴォ・ヤルヴィさんがロイヤル・ストックホルム・フィルと「クレルヴォ」を録音し、そのCDを聴いた記事を書きました。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 この記事で、こんなことを書いている。
現在、50代のパーヴォさんならどんな「クレルヴォ」を描くだろう?シベリウス作品でも規模やフィンランド語による独唱・合唱のため?かなかなか演奏されない「クレルヴォ」。オケや声楽独唱・合唱は変わるでしょうが、現在のパーヴォさんの「クレルヴォ」も聴いてみたいです。
 まさにこれが実現しました。21年後の実現です。聴きたかったものが聴けて嬉しい。

 そして、「クラシック音楽館」でのインタビューでも、興味深いことを仰っていました。
・「カレワラ」で、クレルヴォは「善」か「悪」か判断がつきにくい。シベリウスがクレルヴォの物語を取り上げたのが興味深い。(ちなみに、レンミンカイネンは「善」)
・フィンランドとエストニアは民族、言語的に近い。エストニア語は、フィンランド語の古語に近い。フィンランド語は、エストニア語の古語に近い。
・「クレルヴォ」の詩(「カレワラ」のクレルヴォの章)はフィンランド語の古語で書かれている。エストニア国立男声合唱団は、フィンランド語の古語を完璧に発音できる。
 「カレワラ」の中で、ワイナミョイネンやレンミンカイネン、イルマリネンは通して登場しますが、クレルヴォはクレルヴォの章しか登場しない。しかも、「カレワラ」の中でも他の章とは雰囲気が全く異なる。「悲劇の英雄」。しかも、若い頃のシベリウス、初期の作品。初めて交響曲を書こうとして、選んだのがクレルヴォの物語というのは確かに興味深い。レンミンカイネンよりも先に、何故クレルヴォを選んだのだろう。クレルヴォの何に惹かれたのだろう。
 フィンランドに様々な面で近いエストニア。エストニア語とフィンランド語の関係は初めて知りました。言語的に似ている、フィンランド人とエストニア人がそれぞれの母国語で会話しようとすればできないことはない、と聞いたことはあります。方言のような感じだと。「カレワラ」は古語で書かれているとは大体予想はついていましたが(声楽でも、イタリア歌曲集のイタリア語の歌詞は古い表現で、今のイタリア語ではあまり使わない表現だと学びました)、それがエストニア語に関係しているのは初耳です。パーヴォさんのエストニア国立男声合唱団が歌う「クレルヴォ」の男声合唱への大きな信頼と自信が感じられます。(ならば、これまで、今も「クレルヴォ」を歌い続けている数多くのフィンランドの男声合唱団はどうなんだろう…?と思ってしまいます。現代のフィンランド語を話すフィンランド人の方が弱いのか、と。他の国の男声合唱団は?)

 演奏は、ソフトな感じ。以前のロイヤル・ストックホルム・フィルとの演奏もソフトな感じでしたが、N響ともソフトです。第1・2楽章はこのやわらかさに加えてゆったりと。でも、音の質感は重め。根はずっしり、しっかりと張り、枝葉は柔らかな大樹をイメージします。第1楽章の主題はいつ聴いても胸を締め付けられます。「クレルヴォ」を作曲していた頃は、シベリウスはワーグナーが好きで、ベルリン留学の際に聴いたワーグナーのオペラに強い感銘を受けています。「クレルヴォ」はオペラ風だと感じます。でも、完全にワーグナーや、同じく強い感銘を受けたベートーヴェンの第九とは違う、シベリウスの音になっている。
 第3楽章、男声合唱は表現豊か。語るタイプよりも歌うタイプです。パーヴォさんが仰っていたように無骨、時にやわらかく。ソプラノとバリトンの独唱の2人を引き立てているようにも感じました。独唱は「クレルヴォ」ではお馴染みのルサネンきょうだい。メリハリ、キレがありますが、乱暴ではない。クッレルヴォの妹の告白の箇所が痛切で、かなしい。妹の死の後のクレルヴォの嘆きは、強く重く自分を責める感じ。クレルヴォでお馴染みのきょうだいですが、その時によって歌い方が異なるのは本当に興味深い。それぞれ、指揮者の考え方が違うんだなと感じます。
 第4楽章もソフトな感じ。クッレルヴォがウンタモ一族を滅ぼしに戦争をするのですが、もうちょっと硬い音でもいいかなと思う。金管はバリバリで、勇ましさ、力強さはよく伝わってきました。
 第5楽章、クレルヴォの死。最初は弱音で、じわじわと重く盛り上がる男声合唱に、ぞくぞくします。ソフトな演奏だけど、重めの音がいい味を出しています。ラストはどこか淡々としているけれども重く、力強く。カンテレで歌いつつも語る吟遊詩人のよう。

 「クラシック音楽館」で、日本語字幕付きで聴けたのはよかったです。なかなかありません、初めてです。いつもは記憶しているクレルヴォの章のあらすじを思い出したり、歌詞カードを見たりしているのですが、途中でどこかわからなくなることもあります。歌詞の詳細と一緒に聴けるのはいいなぁと感じました。N響で演奏されてよかった。

 歌詞の詳細を追いながら聴けたので、今回はこの話も書きます。第3楽章、第5楽章の歌詞は「カレワラ」のクレルヴォの章からとられていますが、シベリウスが変更した部分があります。クレルヴォが妹を誘い、きれいな宝物…金銀や布地を妹に見せるところの男声合唱の部分。
Verat veivät neien mielen,
Raha muutti morsiamen,

(布地は娘の心を揺るがせ
お金は花嫁の気持ちを変えた)
 「カレワラ」原詩ではこのようになっていますが、シベリウスは「Raha(お金)」を、「Halu(願望、憧れ)」に変えています。しかし、何者かがシベリウスの自筆譜を無断で書き換え、「Raha」に戻してしまいます。その後、ずっとこの箇所は「Raha」で歌われてきたのですが、2005年のブライトコプフ社「ジャン・シベリウス作品全集」ではシベリウスによる「Halu」に戻されています。今回の演奏では、N響機関紙「フィルハーモニー」に載っている歌詞では「Raha」でしたが、「クラシック音楽館」の訳では「憧れ」となっていました。結局、どっちで歌ったんだろう?

 今回のコンサート前半では、「レンミンカイネンの歌」op.31-1、「サンデルス」op.28、「フィンランディア」op.26(男声合唱つき)も演奏されました。「レンミンカイネンの歌」(NHKでは「レンミンケイネンの歌」と表記)は、「カレワラ」のレンミンカイネンを題材に、ユリヨ・ヴェイヨの詩を歌っています。「レンミンカイネン組曲(四つの伝説)」op.22のドラマティックさとは少し違う牧歌的な詩です。曲は、「レンミンカイネンの帰郷」と同じ楽想が活用されています。「サンデルス」は詩はスウェーデン語。ルーネベルイの詩です。1808年、ロシア-スウェーデン戦争のスウェーデンの将軍、ヨハン・サンデルスを歌っています。スウェーデン語系フィンランド人であるシベリウス、ルーネベルイがうかがえます。どちらもあまり聴かない歌で、「クレルヴォ」とは異なる雰囲気で興味深い。滅多に演奏されない曲が演奏されて嬉しいです。「フィンランディア」は男声合唱の入れ方は色々あるんだな、と感じました。

 昨年はハンヌ・リントゥさんが東京都交響楽団で「クレルヴォ」を演奏。今年はパーヴォさんとN響。日本でもどんどん「クレルヴォ」を演奏して、もっと広まればいいなと思います。やっぱりフィンランド語の歌詞が壁になるかとは思いますが…。
 「クレルヴォ」の記事が多くなってきたので、タグを作りました。これからも、「クレルヴォ」を聴いたら書いていこうと思います。



【これまでの「クレルヴォ」シリーズ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう サロネン&ロスフィル
 エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう オラモ&BBC響
 サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団(2015年プロムスでのライヴ録音)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう リントゥ&フィンランド放送響
 ハンヌ・リントゥ:指揮、フィンランド放送交響楽団(2017年、フィンランド放送響のフィンランド独立記念日コンサートより)
まだまだ、シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ダウスゴー & BBCスコティッシュ響
 トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
by halca-kaukana057 | 2018-10-15 22:39 | 音楽
 今日、9月20日はシベリウスの御命日。61年目です。普段ならCDについて書いていましたが、今年は本。シベリウスに関するとても興味深い本を読みました。昨年、シベリウス没後60年、フィンランド独立100年に合わせて出版されました。

シベリウス (作曲家 人と作品)
神部 智/ 音楽之友社 /2017

 シベリウスの伝記と、作品解説に関する本です。
 日本語でのシベリウスの伝記というと、今まで数は多くなかった。1967年、菅野浩和氏による「シベリウス 生涯と作品」が最初。私もこの本は持っていますが、やはり古い。資料が少なかったのだ。他にもいくつかありますが、本当にいくつかだけ。他の作曲家はもっと沢山出てるのに…。ようやく、シベリウスの伝記の決定版が出ました。それだけ資料も出てきて、研究も進んだということだ。シベリウスの生涯と、その頃に作曲された作品の作曲経緯などが書かれ、「作品篇」ではそれぞれの作品の解説があります。

 まず、Sibeliusという姓に疑問を持っていた。当時、スウェーデン語系フィンランド人はラテン語風の姓を名乗ることはあったが、ではなぜ「Sibelius」なのか。その謎にも答えがあります。家系や家族も詳しく解説されています。「ジャン」というフランス語の名前・ペンネームは船乗りだった伯父が「ジャン」と名乗っていたのに由来しているが、その伯父さんや、シベリウスが幼い時に亡くした父・クリスティアンについても詳しく記載されています。シベリウス家は家計が苦しく、アイノ夫人は大変だったそうだが、それはシベリウスが幼い頃からもそうだったと…。音楽以外のことに関しても本当に詳しいです。

 そして、シベリウスはスウェーデン語系フィンランド人、という存在、立場もシベリウスの生涯でも、作曲においても、重要な要素となります。フィンランド語および文化の地位向上を目指した「フェンノマン」、スウェーデン語および文化の推進者の「スヴェコマン」。この両者は対立、せめぎ合い、フィンランド社会を二分してしまう。スウェーデン語を話すも(シベリウスはフィンランド語は話せるけれども苦手だった)、「カレワラ」などフィンランドの文化に関心があり、それを題材にした作品を作曲したシベリウス。シベリウスのアイデンティティは揺れ動いていた。「カレワラ」にちなんだ作品を発表する一方で、歌曲はスウェーデン語のものが圧倒的に多い(詩はルーネベルイなど、スウェーデン語系フィンランド人によるものが多いため)。「フェンノマン」と「スヴェコマン」はシベリウスにとって重要なキーワードになります。

 シベリウスは孤高の作曲家と言われる。特に後期の作風が、他の同時代の作曲家とは異なる技法、表現を使っていた。また、徐々に作曲しなくなり、アイノラで静かな晩年を送ったのも理由にあるだろう。でも、シベリウスは全く孤高ではなく、音楽家同士の交流もあったし、他の作曲家の作品に感銘を受けたこともあった。若い頃はワーグナーに傾倒していたが、バイロイト詣出をした後、目指す音楽はワーグナーではないと明言する。ヘルシンキ音楽院(現在のシベリウス・アカデミー)の教授だったブゾーニや、指揮者のロベルト・カヤヌス、リヒャルト・シュトラウス、シベリウスを尊敬し交響曲を献呈するほどだったレイフ・ヴォーン=ウィリアムズなど、様々な音楽家や人々と交流があった。シェーンベルクの作品を聴いて高く評価していたのには驚いた。音楽界は時代の過渡期、調性のない音楽が生まれる一方で、シベリウスは独自の道を歩んだとされるが、シベリウスは社会と断絶していたわけではなかった。

 各作品の作曲の背景も、知らなかったことが多く勉強が進んだ。交響曲第8番の作曲、破棄の経緯も記載されている。スコアを暖炉で燃やしてしまったと言うが、それは事実なのか。

 これまで、イメージや憶測で語られてきたシベリウス。勝手なイメージを持ってしまっていたと思う。

 菅野さんの別の本も面白いです。

シベリウスの交響詩とその時代 神話と音楽をめぐる作曲家の冒険

神部 智/音楽之友社


 「作曲家 人と作品」シリーズよりは難しいですが、こちらもおすすめです。
by halca-kaukana057 | 2018-09-20 22:19 | 本・読書
 毎年恒例、ラハティのシベリウスホールにて、9月6日から9月9日まで、シベリウス音楽祭(Sibelius Festival/Lahden Sibelius-festivaali)が開催されました。シベリウスだけの音楽祭。ラハティ交響楽団がホストオーケストラ。今年は、エストニア独立100年を記念して、ネーメ・ヤルヴィ指揮 エストニア国立交響楽団も参加しました。既にフィンランド国営放送(YLE)では演奏会の録音が放送され、オンデマンド配信されています。また、ラハティ響の演奏会動画を中心にアップしているサイトにも、後で動画がアップされる、かもしれません(まだ断言できません。例年通りであれば、アップされます)。まとめます。

◇9/6 SIBELIUS HALL : Sibelius Festival Concert
 ・序曲 イ短調 JS144:動画
 ・ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47:動画
 ・組曲「白鳥姫」 op.54:動画
 ・アンコール:ペレアスとメリザンド op.46 第1曲:城門にて
  / バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)、ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団
◇YLE Areena radio : Lahden Sibelius-festivaali 2018: Sinfonia Lahden konsertti

◇9/7 SIBELIUS HALL : Sibelius Festival Concert
 ・弦楽のためのロマンス ハ長調 op.42:動画
 ・「クオレマ」より 「悲しきワルツ」op.44-1 , 「鶴のいる情景」op.44-2
 ・交響曲第3番 ハ長調 op.52
 ・交響曲第4番 イ短調 op.63:動画
 ・アンコール:アンダンテ・フェスティーヴォ
  / ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エストニア国立交響楽団
◇YLE Areena radio : Lahden Sibelius-festivaali 2018: Viron kansallisen sinfoniaorkesterin konsertti

◇9/8 SIBELIUS HALL : Sibelius Festival Concert
 ・イン・メモリアム op.59:動画
 ・6つのユモレスク:動画
 ・交響曲第6番 ニ短調 op.104
 ・交響曲第7番 ハ長調 op.105:動画(6番、7番続けて)

 ・アンコール:2つの小品 op.111 第1番 イントラーダ(管弦楽版、編曲:Luukas Hiltunen):動画
        ↑シベリウスのオルガン曲、珍しい作品です。初めて聴きました。しかもオーケストラ編曲。
       :フィンランディア op.26:動画
        ↑シベリウス音楽祭の締めのアンコールといえば、フィンランディアです。 
  / バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)、ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団

 YLEのオンデマンドは放送から30日間。プレーヤーの上の砂時計マークの「○○pv」が残り日数です。期限が近くなると赤く表示されます。
 また追加されたら追記します。
【追記】
 ラハティ響の演奏動画をアップしているサイトに、今年のシベリウス音楽祭の動画が一部アップされました。リンクを貼っています。

【追記2】
 シベリウス音楽祭はオーケストラだけではありません。室内楽、器楽・声楽作品もあります。1日目のオーケストラの演奏会後に、室内楽の演奏会もありました。

SIBELIUS HALL : Sibelius Festival Concert
Late Evening Chamber Concert
・ピアノ三重奏曲 イ短調 JS207 "Hafträsk(ハフトレスク)":動画
 / Wellamo Trio (アヌ・シルヴァスティ Anu Silvasti, piano, ロッタ・ニュカセノヤ Lotta Nykäsenoja, violin, イルッカ・ウールティモIlkka Uurtimo, cello)


by halca-kaukana057 | 2018-09-11 22:43 | 音楽

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31