人気ブログランキング |

タグ:シューマン ( 44 ) タグの人気記事

 シューマンの「こどものためのアルバム(ユーゲントアルバム)op.68」には、「音楽の座右銘 Musikalschen Haus-und Lebensregeln」という音楽を学ぶ若い人が大切にしておきたいことがまとめられている。美しい演奏をするために必要なことは何か、音楽とは何か。その言葉を読んで私なりの解釈をしてみようと思う。

 この「音楽の座右銘」は短い文が約70個並べられている。分類してみるとこうなる。


1.演奏に関すること
 演奏する際に注意しておかなければならないことを説いている。すぐに実践できるように具体的な言葉で書かれているものが多い。基礎練習、拍子、丁寧に生き生きと演奏すること、過剰な表現はしないこと等。また、和声やフーガの勉強も必要であると述べている。さらに、楽器で演奏するだけでなくその曲を歌うこと、つまりソルフェージュの勉強をすることも薦めている。これによって、音楽を総合的なものとして捉えることが出来るようになるだろうと配慮したと考えられる。
「やさしい曲を、上手に、美しくひくように努力しなさい。難しい曲をいい加減にひくよりはずっとましです。」

これはこの「こどものためのアルバム」のモットーではないかと思う。


2.曲に関すること
 流行を追い求め、悪い曲を演奏することの愚かさを説いている。
「悪い作品を演奏してはいけません。またしかたのないとき以外は、それを聞くこともいけません。」

 「しかたのないとき」と断っているのは、音楽評論の先駆けとなったシューマンらしい言葉と受け止められる。


3.人前で演奏することに関して
 人前で演奏することは良いが、「社交の場で演奏することは、利益になるよりも害になります」と述べている。「社交の場」は今ではあまり想像出来ないが、そのような場では流行の曲がもてはやされる。それに意味があるのかと問うているのだろう。


4.音楽仲間とかかわる事について
「でも、どうすれば音楽的になれるのでしょう?
 (中略)
一日じゅう隠者のように閉じこもって、機械的な勉強ばかりしていないで、はつらつとした多方面にわたる音楽的交際を獲得し、特に合唱団やオーケストラの人びとと、終始つき合ってこそ、音楽的になれるのです。」

 この項から分かるように、音楽仲間と関わりその人々から学ぶことによって、自己の音楽性を高めることが出来ると説いている。また他の人と演奏すること大切だと述べているが、仲間になるのはなにも人間だけではない。
「だんだんに、あらゆる重要な大家のあらゆる重要な作品と知り合いにならなければなりません。」
「あなたがもっとおとなになったら、名演奏家とよりもスコアと交際しなさい。」

 作品に触れ、より深く理解することも一つの音楽とのかかわりである。


5.楽器に関して
 この「こどものためのアルバム」はピアノのための曲集であるが、ピアノ以外の楽器に関してもアドバイスがある。
「もしみんなが第1ヴァイオリンをひきたがったら、オーケストラはまとまらなくなってしまうでしょう。ですから、それぞれの持場にいる音楽家を尊敬なさい。」

 この「音楽の座右銘」にはオルガンや合唱、オーケストラで学ぶことが大切だと述べている項が多い。音楽の形態は一つではない。出来る限り多くの形態に触れ、小さな頃からそれぞれの良さを肌で感じることが大切だと述べている。特に、シューマンが生きた19世紀は現代のようにCDもレコードもなく、コンサートに行くことができたのは限られた人々だったと考えられる。だからこそ様々な種の音楽に触れることは貴重であり、その機会を大切にして欲しいと思ったのだろう。


6.音楽を聴くことに関して
 ピアノだけではなく、オーケストラや合唱、教会のオルガン、民謡などありとあらゆる楽器の音を聞き、その特徴を理解すること。また、聞いた音楽・作品を評価、批判することに関しても注意を促している。
「はじめて聞いただけで、作品に判断をくだしてはいけません。ひと目で気に入ったものが、かならずしも最良のものとは限りません。大家はつねに、わたくしたちの研究心をかきたてるものです。ひじょうに年を取ってみてはじめてわかることだって沢山あるでしょう。」
「作品を批判する場合には、それが芸術そのものに属するものか、それともたんに、愛好家の娯楽を目的としているのかを区別しなければなりません。第1の種類には味方すること、そして第2の種類にたいしては腹をたてないこと!」



7.作曲に関して
 作曲する際の留意点について述べている。作曲の手順についても説明してあり、作曲をしたことのない若い世代に向けてのアドバイスとなっている。


8.音楽を学ぶ心構えに関して
 うぬぼれることなく熱心に、根気強く。その心構えがより素晴らしい音楽家になるために必要である。

9.音楽以外の生活に関して
 心身を健康に保ち、音楽だけでなく文学やそのほかの学問からも学ぶことがあると説いている。
「1日の音楽の日課を終えて疲れを感じたら、もうそれ以上は無理をしないように。喜びも生気もなしに働くよりは、休息するほうがましです。」

「せっせと詩人の本を読んで、音楽の勉強の疲れをいやしなさい。またときどき戸外を散歩するように!」

 精神病に悩み苦しんだ経験ゆえの言葉だろうか。また、シューマンは自然の中を散歩することが好きだったようで、それがこの「音楽の座右銘」にも反映されている。



 そして最後はこうまとめられている。

「学ぶことに終りはありません。」


 今では生涯学習の考えも普及しているが、それを19世紀にシューマンは既に大切なものとしていた。シューマンは職業として音楽と関わることを想定していたと考えられる。しかし、この言葉は音楽だけと限定したものではないと私は考える。

「他の芸術や学問においてもそうですが、生活の中でも自分の身辺をよく見回しておきなさい。」

 また、シューマンは「音楽家にならなかったら作家になっていた」と言うほど文学を愛していた。「音楽の座右銘」というタイトルだが、これらの心構えは音楽に限ったものではないと自覚していたのではないのだろうか。
by halca-kaukana057 | 2006-10-02 17:29 | 奏でること・うたうこと
 先日読んだ川端裕人の小説「川の名前」。読んでいたら川にまつわる曲を聴きたくなった。川にまつわる曲といえばスメタナの「わが祖国」より「モルダウ」。とにかく好きな曲だ。川の流れと、その流域の人々の暮らし、文化、歴史。川と人間の物語そのものだ。で、私が好きな川の曲といえばもう一曲。シューマンの交響曲第3番「ライン」だ。

 シューマンが生きたドイツの川といえばライン川。シューマンが住むことになったデュッセルドルフの町をライン川が流れていた。シューマンは川のそばをよく散歩していたようだ。同じくライン川が流れるケルンにも足を運び、ケルン大聖堂を見て作曲が始まったらしい。基本的に交響曲なので、交響詩の「モルダウ」とは違って川の様子そのものを描いた曲ではない。でも、第1楽章のあの雄大なメロディーはライン川そのものだ。聴いてすぐに好きになってしまった、「ひと聴き惚れ」の曲だ。この曲、ティンパニの使い方が印象的。普通の曲とはちょっと違うなと感じた。

 ドイツでは、ドナウ川を「母なるドナウ」と呼ぶ一方で、ライン川は「父なるライン」と呼んでいるのだそうだ。上流はドイツに位置し、東欧を流れて黒海に注ぐドナウ川。一方、フランクフルトやボン、ケルンなど大都市を流れオランダへ続き北海へ注ぐライン川。ボンより下流では流れは穏やかになるため、大型船が行き来し昔からドイツの産業を支えてきた。また、流れの急な中流のそばには沢山の城が建てられ、今では観光船から古城の風景を楽しむことが出来る。きっとその城に住んでいた貴族たちもライン川の流れを見て楽しんでいたのだろう。

 後で気づいたのだが、この「ライン」というタイトルをつけたのはシューマンではないらしい。でも、ライン川のそばで作曲された曲なのだからこの標題はぴったりなのではないかと言われている。雄大さ、荘厳さ(4・5楽章はケルン大聖堂で行われた式典からイメージしたそうだ)。川の名前がついていても不思議じゃない。

 ただその後、シューマンとライン川の関係はそれだけでは終わらなかった。精神病を患っていたシューマンは、晩年ライン川に飛び込んで自殺しようとする。運よく助かったけれどもその後精神病院に入院、そのまま病院で一生を終えることになる。何だか皮肉のような哀しさだ。とにかく切なくなってくる。

 

まだ一つの演奏しか聴いたことがないのだけれども(途中までなら2つ)、いいCDを見つけた。クーベリックとベルリン・フィルの演奏。クーベリックの指揮は結構好き。チェコ・フィルとの「わが祖国」(1990年ライブ盤)がお気に入り。



 ブルグミュラー生誕200年記念でブルグ25カップに参加していますが、シューマンも没後150年のメモリアルイヤー。これから何度かシューマンがらみの記事を書いていこうと思います。「楽しき農夫」演奏もアップできたら…いいなぁ。
by halca-kaukana057 | 2006-08-08 22:06 | 音楽
 「シュタイヤー舞曲(スティリアの女)」「楽しき農夫」、両方とも両手で順調に練習中です。楽譜が苦手な私は、どうしてもその曲を聴かないとメロディーがとれず弾けません。どちらももうメロディーは覚えてしまいましたが、実際の演奏を聴いてみようと思って以前図書館で借りたCD(「乙女の祈り/亜麻色の髪の乙女~珠玉のピアノ名曲集Vol.2~」、ユニバーサルミュージック/ドイツ・グラモフォン)を聴いてみた。演奏はブルグミュラーCDと同じくクリストフ・エッシェンバッハ。うーん、やはり響きが違う…と聴いていて、あれ?と思った。

 いつも弾いている音と違う?


 急いで楽譜を見直して弾いてみる。違う。……音を間違えていた!!

f0079085_20261865.jpg

 この部分。「(ド)♭シーラソー ド♭シラソファソー」「ドソーファミー ドソファソファミー」と弾いていた私。明らかに違います。そのおかげ?で指がますます難しくなったんじゃ…?
f0079085_20324936.jpg

右手、「ラソー」の後にある「♭シド」。ソを4の指で押さえながら「♭シド」の和音を弾く。(写真)指が開きません…。うーん、でも頑張る。

 それからもう一つ勘違い。
f0079085_20343428.jpg

このピンクの括弧の部分。薄く赤で印を入れているように、右手の和音は左手の音の後に入れる。これを勝手に両手同時の和音にしていたのです。なんてこった…。やっぱり実際の演奏をちゃんと聴かないと。

 しかし、少し間違えただけで響きや曲の雰囲気ががらりと変わってしまう。不思議なものだ。
by halca-kaukana057 | 2006-06-20 20:40 | 奏でること・うたうこと

ここが難しい

 前回の記事を書いて、ピアノをもっと真面目にやろうと練習している。現在練習しているのはブルグミュラー「シュタイヤー舞曲(スティリアの女)」、シューマン・ユーゲントアルバムより「楽しき農夫」。似たような感じの曲だけれども、「楽しき農夫」は左手がメロディーになっていて面白い。で、練習していると当然弾きにくいところ、必ずつまづく所が出てくる。その点について覚え書き。

<シュタイヤー舞曲>
f0079085_20373170.jpg

 はじめ「長い」と感じていたが、同じところの繰り返しばかりなので見た目ほど面倒ではない。スタッカートの軽快な音を出すのが苦手なので、そこがヤマになりそう。この写真の上の段、装飾符が付いている「ミ♯ファミー」が弾きにくい。装飾符がきれいに出ない。あと、下の段の「レ♯ドド↑ラ↓ラ♯ファ シソシシ」も何故だか弾きにくい。「シソシシ」のリズムが取れなくてしばらく困ってた。
 この曲、「クインテット」でも演奏されている(CDには入っていないけど)。表現はそのアレンジも参考にしよう。


<楽しき農夫>
f0079085_20453949.jpg

 右手の和音が大変。特にメロディーとなる音を抑えつつ和音を弾くのが。あまりこういうのに慣れていないので辛い。写真の部分がまさにそれ。始めは指が届かなくて困った。今は何とか届くけどやはり弾きづらい。右手と指は同じなのに。特に「ファ♭シレファレドー」の二度目のファ、右手で押さえていた鍵盤を左手で押さえることになるところ。手がごっちゃになる。

 どちらも両手は始めたばかり。まずはとにかく弾いて指に覚えさせること。
by halca-kaukana057 | 2006-06-14 20:53 | 奏でること・うたうこと

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31