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 以前読んだ「日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ」。大好きな本です。この本が映画にもなりました。単行本が出たのが2002年、文庫化されたのが2008年。出版から15年以上経っても読み続けられる、素敵な本です。映画化をきっかけに、続編が出ました。これは嬉しい。(ちなみに映画は観ていません)

・以前の記事:日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ


好日日記―季節のように生きる
森下典子 / PARCO出版 / 2018

 今作も、著者の森下さんが40年も続けてきたお茶のお稽古で感じたこと、日常のことや季節の移り変わりについて綴られている。フリーランスの文筆家・エッセイイストとして活躍しているが、毎日色々な難題や苦悩に直面する。なかなか書けない原稿、迫る締め切り。生活の場が仕事場でもあるので、仕事と暮らしの切り替えが難しい。部屋に閉じこもって原稿を書いていると心身の調子にも影響が出てくる。仕事も途切れることもあり、将来に不安も感じる。人間関係に悩むこともある。そんな森下さんにとって、お茶のお稽古は仕事からも日常からも離れて頭を切り替えられる場所、時間だ。
 お茶碗を押し頂き苔のような深い緑色に、ゆっくりと口を付ける。抹茶の香ばしさが鼻を打ち、さわやかな苦みと、深いうまみが口に広がる。
「スッ」と音をたてて飲み切り、茶碗から顔を上げると、緑色の風のようなものが、サーッと体を吹き抜けていく。
「ふぅーっ」
 気持ち良くて、おなかの底から長い息を吐く。目を上げると、向こうに見える庭の椿の葉が、雨に洗われたように輝いている。
(わぁ、きれい……)
 その時、私の中には、気がかりな仕事も、将来の不安も、今日帰ったらしなければならないことも、何もない。
 抱えている問題が解決したわけではない。現実は相変らず、そこにある。……だけど、その時、私は日常から離れた「別の時間」の中にいるのだ。

 目指しても目指しても、お点前は完璧にならない。けれど、「別の時間」にスルリと滑り込むことはいつの間にか上手くなっていた。
(7~8ページ)

 その時だけ、今目の前にあることに集中する。目の前にあることだけをじっくりと味わう。近年話題になっている、私も興味を持っている「マインドフルネス」の考え方だなと思う。仕事と日常生活がすぐ隣り合わせ、というよりもお互いが重なり合うことも少なくない森下さんの生活には、お茶のお稽古の時間がかけがえのないものになっているのだと思う。

 お茶の先生の家に週1でお稽古に行くが、お稽古場には季節を感じることの出来る演出・工夫がいくつも施されている。茶道は季節と密着に関わっている。花や掛け軸、玄関先にある色紙、お茶の道具も、お茶といただくお菓子にも季節のものが使われている。お稽古で季節を感じることもあれば、お稽古がきっかけで身の回りの季節に気づくこともある。お茶のお稽古を通じて、季節に敏感になることができたのだろう。この本は章が二十四節気に分かれていて、その季節のことが描かれる。森下さんの住む東京と、私の住む地域では季節に差があるし、同じ日本とはいえ自然・草花や樹木にも違いがある。でも、森下さんが感じる季節の姿や変化の感じ方に共感する。自然の姿、有様はその時だけのもの。次の年に同じ季節が巡ってきても、決して全く同じにはならない。その時しか存在しない自然を慈しむ。自然に逆らうことはせず、受け入れる。自然に学ぶ。大切なことだと思う。

 茶道にはたくさんの作法がある。釜でお湯を沸かすために炉の炭をおこすところから始まる。この「炭点前」は難しい。難しいからと尻込みしていると、
「できるなら稽古しなくてもよろしい。できないから、稽古するんです」
と先生が仰る。先生の口癖だそうだ。その通りだなと思った。出来ないから稽古に通っている。こんな箇所があった。
 手順を間違えなくとも、先生の指摘は尽きることがなかった。上手に見せようとてらわないこと、自然にさらりとすること。はしばしまでおろそかにしないこと……。
 何十年やっても課題は尽きず、稽古に終わりはない。このごろ思う。目指しても目指しても終わりのない道を歩くことは、なんて楽しいのだろう。
 いくつになっても正面から叱り、注意してくれる人がいるということは、なんて楽しいのだろう。
 お茶を習い始めた頃は、早く完璧なお点前ができるようになりたかった。先生が「よくできました」と言ってくれないのが嫌だった。
(173ページ)
 私も声楽を始めた。私も、「早く上手くなりたい、技術を身に付けたい。たくさんの歌を歌いたい」と思っている。練習をしていくのも、怒られるのが嫌でしているところがある。この箇所を読んで反省した。声楽、音楽も「終わりがない」。目指しても目指しても終わりがない。そんな道に進んでしまったことに気が遠くなる、途方に暮れることもある。でも、終わりがないから、どこまでも歩いていけるから面白い。最近、先生からそんな課題を与えられた。難しいと思うが、そこで何を学べるだろう。ワクワクする気持ちもある。そして、できないから稽古しているということも。もっと素直になろう。叱られてナンボだ。成長の糧になる。(でも、これは決して練習をサボってもいいという理由ではない。練習はすること。足りない部分をレッスンで学ぶ)
 森下さんは40年もお稽古に通っている。私も、そんなに長い間学び続けることが出来るだろうか。声楽もだし、稽古・レッスンに通っているわけではないが宇宙・天文について学ぶこと、星見もだ。まだ始めて間もないこぎん刺しや編み物も。長く続けていることがあるって素敵だ。

 勉強については、こんな箇所もある。
「あのね、あなたたちは、道具の褒め方をもっと練習しなきゃだめよ。それには、場数を踏むことね」
「場数?」
「そうよ。お茶会にどんどん行って、亭主と正客のいろいろなやりとりを見て勉強するのよ。そして、自分も正客になってみて、いっぱい恥をかくの。それが勉強よ」
 その「勉強」という言葉に、一人の美しい老婦人を思い出した。昔、従姉と一緒に、初めてお茶会に連れて行っていただいたとき、その人は先生と言葉を交わした後、
「さっ、もう一席、お勉強してくるわ。お勉強って、本当に楽しいわね」
と、言って立ち去った。
 あれから何十年もたっている。けれど、私はまだ本当の勉強にたどり着いていない気がする。
(198~199ページ)

 続編のこの本も、何度も何度も「同感!」と思いながら読んでいた。やはり読後は清々しい。今この時を大切にしたくなる。
 森下さんのお茶のお稽古にも変化があった。お茶の先生も高齢になり、体力的にお稽古が難しくなってきた。ずっとこのままは続かない。ずっとこのままではいられない。だからこそ、一回一回を大事にするようになった、と。寂しい変化だが、いつかは訪れること。そういう意味でも、今この時を大事にしたい。
by halca-kaukana057 | 2019-03-21 23:12 | 本・読書
 最新の国連による「世界幸福度ランキング」によると、フィンランドが1位らしい。2位はノルウェー、3位はデンマーク、4位はアイスランドと北欧諸国が名を連ねる(スウェーデンは9位)。この他にも、様々な「幸せ」に関する調査を行うと、大体北欧諸国がトップに来る。デンマークの「ヒュッゲ(Hygge)」やスウェーデンの「ラゴム(Lagom)」、最近だとフィンランドの「シス(Sisu)」も「幸せ」に繋がる「ウェルビーイング」や「心地よさ」を表現する言葉として紹介されてきている。この本は、フィンランドに焦点を当てて、フィンランドの「幸せ」を紐解いている。

ノニーン! フィンランド人はどうして幸せなの?
スサンナ・ペッテルソン、迫村 裕子/ネコ・パブリッシング/2018

 フィンランド人のペッテルソンさんと、フィンランドでの仕事、生活経験の長い迫村さんが、フィンランドの様々な面についておしゃべりしながら紹介していきます。ペッテルソンさんは美術史家。フィンランド国立アテネウム美術館の館長を務めたこともある方。現在は、スウェーデン国立美術館館長で、各地の大学でも教えている。
 迫村さんは文化プロデューサー。展覧会、セミナー、イベント企画などの仕事をしていて、90年代からフィンランドに関わり、フィンランドと日本を行ったり来たりしている。

 本の帯を見ると、煽ってるなぁ…という印象。
「世界幸福度ランキング2018」第1位フィンランド!日本は54位…
この差って何だろう?
 こんな煽る帯なので、フィンランドはこんなところがあるから幸せ、日本にはない…という内容なのだろうな、と思ったら、違いました。
 基本は、フィンランドの人々のライフスタイルや文化、生活習慣、国民性・考え方、自然、子育て・教育、社会制度、仕事の仕方、女性の社会進出などを2人のおしゃべりの形で紹介している。別に、フィンランドを持ち上げて、日本を下げる、ということはしていない(フィンランドにはあるけど日本にはない、という言い方はしているけど)。このタイトルと煽り帯で損してるんじゃないかと思う…。

 確かに、社会制度や仕事の仕方、女性の社会進出、ライフスタイルでは、日本とフィンランドは大きく違うところがある。フィンランドに学ぶところはある。でも、日本がダメということは書いていない。日本は日本の歴史がある。国民性はフィンランドと似ているところはあるけれども、違うところもある。フィンランドの教育が注目を浴びた時も思ったが、フィンランドと日本を単純に比べるのは無理だと思う。バックグラウンドが違うのだから。

 タイトルの、「ノニーン」(「no niin」)以前読んだ、「FINNISH NIGHTMARES(日本語題:マッティは今日も憂鬱)」でも出てきた、「便利なフィンランド語」。「そうだね、そうですね」「うーん」「ちょっと」「さあ」などに当たる。声のトーンや場面によって、色々な使われ方をする。日本の「すみません」にも似ているかもしれない。

 この本を読んでいて、別に特別なことは書いてはいない。
 毎日の生活や仕事を丁寧に、時に効率よく手抜き(いい意味で)して、ウェルビーイングを感じながら暮らす。家族や友人を大事にして、美味しいものを味わって、自分を大切にする。森や海などの自然の中で気分転換したり、恵みを味わったり。持続可能な運動や趣味を大事にして、自分をケアする。仕事とプライベートを分けて、コンディションよく仕事できるように休む時は休む。学ぶことを大事にする。挑戦もどんどんする。失敗から学び、うまくいかない、思い通りにいかない時は自分を見つめ直す。感謝の心を大事にする。正直でいる。
 やろうと思えば、日本でも出来ることはたくさんある。毎日忙しいとないがしろにしていることも多く省みる。やはり、「今、ここ」を大事にして、自分も周囲の人も大事な存在だと思い行動するのがポイントだろうか。

 毎日忙しくしていると、忘れそうになることが、この本には書かれています。著者の2人はこう考えているけれども、他のフィンランドの人々もそうなのだろうか?2人とも、文化的な仕事をしている。もっと色々な立場のフィンランド人の声を聞きたいと思った。


・関連記事
フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)
マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議
マッティ、旅に出る。 やっぱり今日も憂鬱 FINNISH NIGHTMARES 2

by halca-kaukana057 | 2019-01-19 22:48 | 本・読書
 強い寒波の襲来で、とても寒いですね。年末年始は寒さが続く模様。こんな時にぴったりの漫画が出ました。しかも舞台はフィンランド!


ケサランなにがしとスープ屋さん 1
堀井 優 / マッグガーデン、BLADE COMICS pixiv / 2018

 フィンランドの田舎町。妹のティナはスープ屋さんを営んでいる。兄のニコラスは図書館司書。そんな2人の家に、ある冬の夜、不思議な白い物体が入って来る。博学のニコラスによると、ケサランパサランみたいだ、と。捕獲し、エサとしてマタタビをあげてみると…。2人は、育った生物を「ケサランなにがし」と名づけ、飼い始めた…。


 まず感想を一言。可愛い。そして癒される。
 ケサランなにがしがとにかく可愛い。ふんわり、モフモフで、のんびりしている。仕草も可愛い。ケサランパサランは日本の伝承だったのか。日本語の本を読んでいるらしいニコラスは、日本語がわかるのか?
 そして、ティナも可愛い。一人でスープ屋さんを営み、毎日スープやパン(フィンランドはライ麦パンと、「プッラ」と呼ばれる菓子パンやお馴染みシナモンロール)を仕込み、売っている。ニコラス曰く、よく働く。その通りで、毎日けなげに働いている。でも、苦しい感じは全く無く、スープ作りも楽しんでいる。そんなティナのもとにやってきて、ティナに懐いたケサランなにがし。ティナもケサランなにがしに癒され、可愛がっている。そんな2人の様がほんわかしていてまた癒される。アナログ(なのだろうか?デジタルでもアナログっぽく描けるんだろうか)な絵がまたいい感じです。

 舞台がフィンランドということで、フィンランドの食や生活、文化や自然も漫画の中にも、各話の合間のコラムにも出てきます。ここまでフィンランドの文化やライフスタイルを取り入れた日本の漫画(しかも最近の)はなかなか見ない。スープは「Keitto」このブログでもよく出てくる「Lohikeitto(サーモンスープ)」は定番。木曜日に食べるのが習慣の「Hernekeitto(豆のスープ)」は気になっていたんだ。スープは冬だけでなく夏も食べる。夏に合った「Kesäkeitto」の中身を決める話には、夏も夏らしいスープを食べるんだと知らなかったことも知れたり。ティナのお店でスープを食べたいと思ってしまった。フィンランド語も少し出てきます。のんびりとしたフィンランドの田舎町に、ケサランなにがしのふんわりとした雰囲気がとてもよく似合う。時に、森や湖などフィンランドの自然を感じられるシーンもあって、美しい。特に、湖で釣りをして、ケサランなにがしが空から湖と森を見ているシーン。ああ、フィンランドだなと思います。

 兄のニコラスもいいキャラしています。図書館の司書で、とにかく本が好き。夜は遅くまで本を読んでいるし、休みの日もやっぱり本。そんなに本を読んでいるニコラスなので、先述した日本語がわかっても不思議じゃない…。ニコラスとケサランなにがしは、ティナほど懐いている感じではないのですが、いい距離感でいい雰囲気。落ち着いて面倒も見て、ニコラスも癒されている。妹思いのいい兄です。
 ティナの友達のミルッカもちょっとだけしか登場しませんが、可愛い。ミルッカとケサランなにがしの関係もまたいい。

 今後、ティナがスープ屋さんを始めるきっかけや、フィンランドの文化などももっと紹介されればいいなと思います。この漫画は寒い日に、ストーブが効いたあたたかい部屋で、コーヒーを飲みながら読みたい。心もあたたまります。
 1巻の最後、ケサランなにがしに変化が…?このまま癒し系ほんわか路線で行って欲しいんだが…

 表紙カバーを外すと、Lohikeitto(サーモンスープ)のレシピもあります。私の作っているレシピとは少々違いますが、ほぼ同じです。ディルは乾燥したものが輸入食品店のスパイスコーナーに売っていると思うので、是非入手してください。ディルのある、なしで風味が全く変わります。
 一応、私のレシピはこちら:フィンランドのサーモンスープ「Lohikeitto」を作ってみた
 その時によって、材料の分量は変化します。
by halca-kaukana057 | 2018-12-27 21:53 | 本・読書
 前の記事でフィンランドの「SISU(シス)」について書いた際、デンマークの「Hygge(ヒュッゲ)」にも言及しました。というのは、「Hygge」に関する本も読んでいたのです。
・前の記事:フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)

日本とデンマークの150年切手&特印
 「Hygge(ヒュッゲ)」という言葉を初めて知ったのはこの記事を書いた時。日本・デンマーク国交樹立150年記念切手のテーマが「Hygge(ヒュッゲ)」でした。

HYGGE ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方
マイク・ヴァイキング:著、ニコライ・バーグマン:解説、アーヴィン香苗:訳/三笠書房/2017

 巷には「ヒュッゲ」に関する本が次々と出ていますが、その火付け役になったのが多分この本じゃないでしょうか。本屋で「Hygge」のタイトルのついた本で、この本を一番最初に見た記憶があります。
 「Hygge(ヒュッゲ)」とは、「人との温かいつながりをつくる方法」「心の安らぎ」「不安がないこと」「心地よい一体感」…この本でも日本語に定義、言い換えるのが難しいようです。何か存在する「もの」ではなく、「その場の空気や経験」が「ヒュッゲ」に近いのだそう。

 「Hygge」の言葉が生まれたと推測されるのは1800年頃。当時、デンマークとひとつの国だったノルウェー語の「Hug(フーグ:抱きしめる)」から派生した言葉と考えられています。デンマーク語もいくらでも単語を付け足して複合語を作ることのできる言語。「ヒュッゲな~」というように、「Hygge」から派生した言葉が沢山あるそうだ。

 「ヒュッゲ」な幸せを感じるために必要なことは、シンプルさ、公平・平等や調和、一体感、平和や安らぎ、「今」「ここ」など。そんな「ヒュッゲ」をつくるために、デンマークの人たちがしていることを紹介しています。料理やファッション、インテリア、身近にあるもの、季節ごとの過ごし方、シンプル、お手軽でお財布にもやさしく「ヒュッゲ」を感じられる方法。北欧の人たちが特に大切にしているクリスマスと夏の過ごし方。この本の著者のヴァイキングさんはコペンハーゲンにあるリサーチ会社のCEO。ヴァイキングさんの会社がデンマークの人々に、「ヒュッゲ」について調査した結果も多く載っています。著者の主観だけじゃない。

 前の記事のフィンランドの「SISU」に共通するものが多いなと感じました。シンプルさ、自分でつくること、ウェルビーイング(心身の充足感)に気を配ること、持続可能性、「今」「ここ」に集中する「マインドフルネス」を大事にしていること。毎日少しずつ感じる幸せ。デンマークとフィンランドは民族的にも言語でも異なる国。でも、共通するものがあるのは、北欧諸国が大事にしているものが似ているのかもしれないと感じました。

 この本では、デンマークの人たちが「ヒュッゲ」を感じるためにしていることが紹介されます。でも、私はこれはあくまで一例だと思いました。これを日本で全く同じように実践しようとしても無理。デンマークでこれができるのは、こういう伝統・文化・ライフスタイルがあるから。例えば北欧デザインの家具を日本で揃えようとしたら大変なことになるが、デンマークなら身近にある。それがデンマークの文化であり歴史だから。それらを揃えたからといって「ヒュッゲ」を感じられるとは限らない。先述したとおり、何か存在する「もの」ではなく、「その場の空気や経験」が「ヒュッゲ」だから。

 興味深い一節がありました。
 デンマーク人にとってはヒュッゲがすべて。場所も値段も品質も、この際、関係ありません。
 私の住むコペンハーゲンはカフェが多く、マンションの向かいにも1軒あります。そこのコーヒーはじつにひどくて、魚くさい味がするうえに1杯5ユーロ(約650円)もします。それでも、私はこのカフェの常連です。なぜなら、囲いのない暖炉があって、ヒュッゲな場所だからです。(25ページ)
 さらに、こんな言葉も。
 ヒュッゲボクサー(Hyggebukser)
人前ではけっしてはけないズボンのこと。ただ、はき心地は最高なので、こっそり愛用することも。
 1日中ひとりきりで過ごす時間がどうしても必要だったから、ヒュッゲボクサーをはいて家にこもり、すっぴんで朝から晩までひたすらシリーズものの映画を見ていたわ(38ページ)
日本で言ったら、着古した愛用のジャージかスウェットを着て、という感じでしょうか。「ヒュッゲ」は誰かと一緒に過ごす、人と人の繋がりからうまれるものと解釈されているようですが、1人でもヒュッゲを感じられればそれでいいみたいです。

 というように、立派な、高価なものに囲まれてなくてもいい。自分で、これが心地いい、「ヒュッゲ」なんだと思えばそれでいいのだと思います。日本なら、畳やカーペット、ソファの上でごろごろして、日本茶を飲んでてもいい。和食を食べてもいい。
 「Chapter14 ヒュッゲと幸福」を読むと、幸せ、「ヒュッゲ」を感じる条件が大体わかってきます。シンプルであること。「今」「ここ」で前向きであること。
 現実を直視すると、私たちの生活はバラ色の天国というわけではありません。しかしヒュッゲとは、むずかしい状況の中でも、今持っているものを上手に活かすことであり、日々の生活にしっかりと根を下ろすことなのです。(281ページ)
 困難があっても、毎日の生活を大事にして前向きに暮らしたい。フィンランドは「SISU」でしなやかに強く立ち向かっていきますが、デンマークは「ヒュッゲ」でやわらかいあたたかさを誰かと一緒に心に保つ。やり方は少々違いますが、北欧の2国のライフスタイルには共通するものがあるようです。

 これから寒い冬になります。私の住む地域は深い雪に閉ざされます。そんな冬の楽しみは、自分なりにいくつか持っているのですが、「Hygge」と「SISU」、フィンランドとデンマークのやり方も参考にしたいと思っています。フィンランドは天候に関係なく外に出て行く、デンマークはあたたかい家の中で心地よいと感じるものに囲まれて引きこもる…この対比が面白い。

by halca-kaukana057 | 2018-11-06 22:37 | フィンランド・Suomi/北欧
 この本が出版されると知って、絶対読もうと思いました。
 このブログでも、フィンランドの話になるとよく出てくるフィンランドの言葉「Sisu(シス)」についての本です。でも、「シス」が「幸せメソッド」?北欧の幸せになる考え方といえば、デンマークの「ヒュッゲ(Hygge)」が有名。「シス」はちょっと違うんじゃないの?と思いながら読み始めました。


フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)
カトヤ・パンツァル:著、柳澤はるか:訳 / 方丈社 / 2018

 原題は、「Finding Sisu: In Search of Courage, Strength and Happiness the Finnish Way」
 著者のパンツァルさんは、両親はフィンランド人、フィンランド生まれだが、両親がカナダに移住し育ちはカナダ。カナダでは、マスコミの仕事をしていたが、20代の時にうつ病と診断される。元々健康には無頓着、生活習慣も食生活も乱れ気味で、運動や自然に触れることはほとんどしなかった。ダイエットをしようとすると「話題の○○ダイエット法」「セレブに人気の美容法」などを探した。アメリカのテレビドラマや映画のような、モノに囲まれ、キラキラした生活を望む一方で、
「どんなに痩せても、どんなにきれいになっても、どんなにお金持ちになっても、永遠に満足できないのではないか―――。」(19ページ)
そんな不安を抱えていた。
 そんなパンツァルさんは、フィンランドでの仕事を見つけ、ルーツであるフィンランドで暮らすことになる。そこで出会ったのが、「SISU」という言葉、考え方。さらに、雪の降る冬の初めに、ヘルシンキでバスローブを羽織った青年たちが海に向かって走り、その海で泳ごうをするのを見る。寒い冬の海で泳ぐなんて信じられないと思ったパンツァルさん。しかし、「SISU」とフィンランドの人々が日常楽しんでいる様々な行動に関係があると思い始める。パンツァルさんはこの本で、「SISU」について様々な人、友人や各方面の専門家に話を聞いて、「SISU」とは何か探ります。

 「SISU(シス)」とは、逆境から立ち直る力「レジリエンス」や困難に直面してもくじけない「強い心」を意味する。「大和魂」のように「フィンランド魂」と日本では説明されている。フィンランドの歴史は、「SISU」の連続だった。帝政ロシアからの独立運動、小国のフィンランドが大国ソ連と戦うことになってしまった冬戦争、第二次世界大戦で敗戦後の暗い時代と復興。現代では、福祉大国、教育大国と呼ばれる。それも、戦後の復興期、資源が少ない国であるフィンランドにとって最大の資源は「人」であるという考えに基づいてのことだった。ここにも「SISU」が感じられる。そんな国の歴史や制度といった大きいところだけでなく、先述した冬の海や湖でも泳ぐ「アイススイミング」やサウナ、森の中を歩くこと、食事や運動、まずは何でも自分でやってみること、シンプルとミニマリズムなどフィンランドの日常生活の中にある「SISU」を見つけ、「SISU」について考えています。

 「SISU」は我慢強さとも考えられますが、日本での「我慢強さ」…どんなに困難でも気合や根性を持ってじっと我慢する、また、それを人にも強要する(「がんばれ」「我慢しなさい」などの言葉のような)ものとは違うのだそうだ。例えば、フルマラソンを完走するためにトレーニングを積んで、完走するのも「SISU」だし、健康のために毎日歩く時間を10分でも増やすのも「SISU」。壊れたものを自分で修理しようとやってみるのも「SISU」。程度は関係なく些細なことでいい。自分でこれをやろうと思ってやり遂げることが「SISU」。困ったら人に助けを求めてもいい。不安を人と共有するのも「レジリエンス(立ち直る力)」であり「SISU」。今の状況がもし不幸だとしたら、勇気を持って手放すのも「SISU」。自分で決めること、逆境でもやりとげること、心身の状態や健康、ウェルビーイング(心身の充足感)に気を配ること、シンプルであることが「SISU」なのだそう。特に、ウェルビーイングに気を配ること、シンプルさ、持続可能であることはどの項目においても共通していると思います。

 食生活と運動、健康については、よく食べてよく運動するという考え方がシンプル、潔くていいなと思った。フィンランドにもジムはありますが、それ以前にフィンランドの人々はとにかく歩く、または自転車に乗るらしい。ここがポイントなのだが、どんなに悪天候でも。アイススイミングだって冬の海や湖で泳ぐ。自然の厳しいフィンランドだからこそ、悪天候は存在しないのだそうだ。雨や雪が降っているなら、服装をそれに合わせたものにすればいい、と。フィンランドほどではないが雪の多い寒い地域に住んでいる私にとって、冬になると雪が多いし寒いからあまり外は歩きたくないと思っている。下手すると街中でもホワイトアウトに遭うし、除雪が行き届いていない道は歩きにくいし…と不満ばかりである。一方フィンランドでは、冬でも道路の整備が行き届いているという点があるが、子どもの頃からどんなに寒くても外へ出るのだそうだ。冬は日照時間が短く暗いところから、リフレクター(反射板)も生まれた。厳しい環境でも、くじけないし工夫をして適応していると思う。

 「SISU」は育てられるものである。また、精神的なものだけでなく、肉体的なものでもある。心身が繋がっているという考え方だろう。読書も困難や逆境を乗り越え解決するための力になるので、「SISU」につながり、「SISU」を育てるものなのだそうだ。
 
 「できない」と思わず、「できる」と信じて踏み出してみる。できたらもう一歩進んでみる。
 今までの北欧の幸せになる方法は、シンプルな衣食住環境やライフスタイルを整える、ゆったりと暮らす(何年か前に流行った「スローライフ」のような)、かつ、おしゃれである、だったと思う。この本でもそれらはある(おしゃれは除く。おしゃれ、というよりは、ウェルビーイング、快適さ、実用面を重視している。北欧のものは、日本から見ると「おしゃれ」に見える)。プラス、「SISU」。この本に書いてあることは、日本でできることもあるし、難しいこともある。冬の海で泳ぐのはちょっと…。森へ行くのが難しいなら、緑に触れられる近くの公園でもいい。自分にとって、乗り越えて気持ちよくなりたいものが「SISU」なのだ。

 この本を読んで、今まで運動を増やしたいとか、心身のストレスを減らしたいとか、住環境を心地よいものにしたいなどと思ってきました。休みの日に公園でウォーキングをしたり、スナック菓子を減らしたりしています。アイススイミングはできないけど、お風呂に入ったら、冷たいシャワーを浴びるのもやってみています。最初は冷たいのだが、徐々に気持ちよくなる。パンツァルさんやフィンランドのアイススイミング愛好家の気持ちってこれか?と思ってみたり。今はまだいいが、これから冬になって、真冬でもやれるか。冷たいシャワーの後は、湯船に入ってあたたまります。今度温泉に行ったら、サウナにも入りたいな。今、日本でもフィンランド式のサウナが増えてきています。フィンランド式のサウナ愛好家も増えているんだとか。

 ウェルビーイングに気を配り、「今」に目を向けるのは「マインドフルネス」の考え方にも繋がっているなと感じました。「SISU」もマインドフルネスかもしれない。

 この本はパンツァルさんの体験を元に書かれていますが、会った各方面の専門家の話や参考文献も多い。「SISU」をただの「幸せメソッド」としてではなく、学術的な面からもアプローチした自分をよい状態にしてくれるものと考えているのがいいです。

 パンツァルさんのインタビューがありました:ハフポスト:フィンランドにも「根性論」があった。世界一幸せな国で「頑張る」ことの意味とは


 これも、「SISU」?:クーリエ・ジャポン:フィンランド発の新たなるマインドフルネス「パンツ一丁で飲酒」が幸せを呼ぶ


【関連過去記事】
物語 フィンランドの歴史 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年
 フィンランドの「SISU」な歴史を読みたいならこれ。

マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議
マッティ、旅に出る。 やっぱり今日も憂鬱 FINNISH NIGHTMARES 2
 内気でシャイ、無口な典型的なフィンランド人・マッティにとっての憂鬱な出来事、「フィンランド人あるある」を描いたコミック。どんなに憂鬱なことが続いても、くじけないマッティにも「SISU」がある…?訳者は同じ柳澤さん。

 そういえば、この本では「ムーミン」の物語や作者のトーベ・ヤンソンの暮らしにも「SISU」が感じられるとあります。フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」にも「SISU」なところがあるなぁ。「SISU」は1500年前からあるそうです。あと、フィンランドが舞台のアニメ「牧場の少女カトリ」のカトリも、「SISU」を持っているなぁ。働いているお屋敷でどんなことがあってもめげないし、学校に行けないので独学で「カレワラ」を読めるようになるし。
 シベリウスが「『シス』とは、不可能を可能に変える力をくれる、強心剤のようなもの」と言っていたそうなのですが、初めて聞きました。シベリウスの「SISU」…作曲家人生は「SISU」の連続だし、健康と仕事のために静かなヤルヴェンパーの「アイノラ」に引っ越したのも、悪い環境を断ち切る「SISU」だなぁ。
by halca-kaukana057 | 2018-11-03 23:27 | フィンランド・Suomi/北欧
 夏に紹介した、フィンランドでベストセラーのコミックの日本語版「マッティは今日も憂鬱」。フィンランド本国では第2弾が出ている、第2弾も日本語版をよろしくお願いします!と書いたのですが、まさか年内に出るとは思わなかった。第2弾、日本語訳が出ました!



マッティ、旅に出る。やっぱり今日も憂鬱
カロリーナ・コルホネン:著、柳澤はるか:訳/方丈社/2017

 マッティは典型的なフィンランド人。目立つことが苦手。静かなのが好き。パーソナルスペースは大事。馴れ馴れしいのや雑談が苦手。人の平穏を乱したりするのもしたくない。そして照れ屋。
 第2弾では、フィンランドとフィンランド人の夏、旅行先にて、再び買い物にて、その他フィンランド人あるあるを取り上げています。やっぱり、今回も「わかる」「あるある!」「マッティ、もう友達になろうよ」と思ってばかりでした。マッティが相変らずかわいい。第2弾では、マッティの家族も出てきます。奥さんはアイノさん。フィンランド人の女性の名前ではポピュラーな名前です。そう、「カレワラ」に出てくるアイノ。シベリウス夫人もアイノ。

 そして今回も、日本、日本人と似ていると思うところがいくつも。旅行の飛行機での座席の話は、全くその通り。わかる。新幹線やバス、コンサートホールや映画館などでもあるあるです。道に迷った時の行動も。フィンランドに旅行に行った日本人が迷って困っているけれども、声をかけていいのかわからない…というフィンランド人の話をよく聞きます。助けてあげたいのだけれど、声をかけられない、と。フィンランド人と日本人が遭遇すると、やっぱり似た者同士なんだなと思います。
 他にも、人の性格だけでなく、習慣、文化の面でも似ているところが。チップの習慣がない、家には靴を脱いで入る。そうか、フィンランド人もチップの習慣のある国に行って、チップで困ることがあるのか…。私は海外に行ったことはないですが、もし行くならチップはどうしたらいいんだろう…?と思います。やっぱり行くならフィンランドか。

 今回は、フィンランドの文化や習慣について、さらに詳しく書かれています。サマーコテージは羨ましいなと感じます。湖のほとりの森の中で、静かに夏を過ごすことができたらどんなにいいだろう。バーベキューのソーセージ・マッカラ(Makkara)。フィンランド紀行番組を観るとよく出てきます。ソーセージを火であぶって焼いただけなのに、本当に美味しそう。食べたい。アイスクリームが大好きで、夏になると街中にアイスの屋台が出るそうです。

 第2弾を読んで、更にフィンランドが好きになる。第1弾では夏至の時に書きましたが、今度は独立記念日とクリスマス。100年目の独立記念日は、盛り上がっているのだそう。盛大にお祝いして、あたたかくクリスマスを迎える12月にも、フィンランドの人々に憂鬱なことが起こらないようにと祈るばかりです。

・第1弾:マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議
by halca-kaukana057 | 2017-12-05 22:01 | 本・読書
 夏至は21日でしたが、この週末は北欧では夏至祭。フィンランドもユハンヌス(Juhannus)です。いつもは夏至、夏至祭、白夜の季節に聴きたいフィンランド、北欧の音楽について書いてきましたが、今年は本を。


マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議
カロリーナ・コルホネン:著、柳澤はるか:訳 / 方丈社 / 2017

 フィンランドで大人気、ベストセラーのコミック「FINNISH NIGHTMARES」の日本語版です。これまで、何度も海外向けのフィンランドの情報ツイッターアカウントで紹介されていて、気になっていました。日本語訳出版が決まった時はとても嬉しかったです。これ絶対買う、と。

 この本の主人公、マッティは典型的なフィンランド人男性。そんなマッティが日々遭遇する「苦手なこと」「避けたいこと」「憂鬱なこと」「フィンランド人あるある」をコミカルに、時に自虐的ジョークを交えて書かれています。マッティが可愛いです。シンプルな、愛らしいキャラクターです。フィンランドのキャラクターはムーミンだけじゃない!?これからはマッティもよろしく!

 帯に、「なぜか日本人にそっくり!?」とあるのですが、読んでいると、「わかる」「あるある」「マッティ、君は私か」と思うところばかり。これまで、他の本やメディアでも、フィンランド人の性格・国民性と日本人のそれは似ていると言われてきました。この本は日本向けに書かれたものではありません。フィンランド人のコルホネンさんが、フィンランド人を紹介するために書きました。それが、日本でも、日本人に似ているんじゃないかと受け入れられている。それが不思議ですし、嬉しくもあります。

 平穏と静けさと個人的領域(パーソナルスペース、他者と自分との距離。フィンランド人は広め)を大事にしているマッティ。シャイで、照れ屋で、目立つのが苦手。自己主張するのも苦手。多くは書きません。是非ともこの本を手にとって、読んでください。「あるある」「わかる」の意味がわかると思います(多分)

 フィンランド本国で出版されている本も、本文は英語です。でも、サウナやクリスマスのミルク粥など、フィンランドの文化も出てきます。あと、フィンランドのバスの乗り方や、フィンランド人と信号、ハロウィンなど、フィンランドに旅行する際、住む際に注意したほうがいいことも書かれているので、フィンランドに行く予定がある方には是非オススメします。

 森と湖の民と呼ばれるスオミ(Suomi)の民。湖のほとりの森の中で暮らしている(都市で生活している人も休みになれば質素なサマーハウスで暮らす)人々の由縁がわかる気がします。ユハンヌスは、湖のほとりでかがり火を燃やし、なかなか暗くならない、すぐに明ける夜を謳歌します。短い夏を存分に楽しもうと。ユハンヌスのフィンランドの人たちには、この本にある「憂鬱なこと」が起きないで楽しく過ごせるよう、願うばかりです。

 フィンランド本国では第2弾も出版されたそうです。第2弾も日本語訳の出版、よろしくお願いします!
by halca-kaukana057 | 2017-06-23 22:49 | 本・読書
 久々のブログ更新です。諸事情により、ネットにあまり時間をかけられない状態にあります。海外ラジオでのオーケストラ、クラシックコンサートのオンデマンドを聴く時間も、趣味も何も返上、我慢しての多忙な毎日です。読んだ本の感想も書けません。
 落ち着いたら、また元のようにブログ更新したいです。それまでは、激減不定期更新です。

 今日、郵便局に行く時間は何とか持てたので行ってきました。今日はこの切手の発行。
日本郵便:グリーティング切手「冬のグリーティング」の発行

 毎年恒例の「冬のグリーティング」切手です。このシリーズは好きで、毎年買ってしまいます。デザインもいいんだ。今年もいいデザインです。
 発行日に行かないと、これをもらえない。
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 特印です。お鍋にほかほかのシチューです。あたたかくて美味しそうです。冬の楽しみの一つです。

 特印は、今回は押印機印も郵頼しました。また後日続報記事を書きます。
by halca-kaukana057 | 2016-12-02 20:51 | 興味を持ったものいろいろ
 図書館で見つけて、面白そうだと借りてきた本。タイトルだけで気になりました。


フィンランド 白夜の国に光の夢 (世界・わが心の旅)
石井幹子/日本放送出版協会/1996

 NHKBS2で放送された「世界・わが心の旅」シリーズのフィンランド編の書籍化です。番組は見たことはありません。照明デザイナーの石井幹子さんが大学卒業後の1965年、北欧デザインを紹介した本を読んだことがきっかけで、フィンランドで働きながら留学したいと考える。特に気になった女性デザイナー・リーサ・ヨハンソン・パッペさんの下で照明デザインの勉強をしたいとフィンランドへ。ヘルシンキにある、ストックスマン・オルノ社で働きながら、フィンランドの自然や人々、そして光に対するフィンランド人の感性に触れ暮らす毎日。


 本を読んで、これは番組を観たかったなぁ。本にも写真はいくつが掲載されているのですが、季節や時間で変化する光とヘルシンキの町並み、石井さんがどのようにデザインの仕事を手がけていったのか、作られた照明器具などは映像で観たかった。書籍では、石井さんがフィンランドに仕事をしながら留学した時のこと、フィンランド人の光に対する捉え方や暮らし、番組で30年ぶりにフィンランドを訪れたエッセイになっています。

 北欧デザインというと、フィンランドだとマリメッコのようなカラフルなテキスタイル、アルテックのような木のぬくもりを感じられるシンプルな椅子、イッタラやアラビアのような生活に溶け込む食器を思い浮かべますが、照明も忘れてはいけません。石井さんがフィンランドに留学した後の作品ですが、ハッリ・コスキネンの「ブロックランプ」…氷のようなガラスに電球を閉じ込めたようなライトなど、やわらかくあたたかい光を演出するデザインの照明機器が多いです。シンプルで、木やすりガラスを使っているあたりは日本と似ているような感じもします。そんな照明デザインがどのように生まれたのか。フィンランドの人々の暮らし、フィンランドの気候にヒントがありました。

 春分を過ぎ、昼の時間が長くなってきましたが、夜の時間が長く、さらに雪雲で日照時間も少ない冬場は暗く、冬季うつ病になりやすい…わかります。雪明りでまだ明るいとも思えますが、吹雪の日は本当に暗い。さらに寒い。これだけでもう気分は落ち込み、憂鬱になります。北日本でもこの有様なので、フィンランド・北欧諸国ではもっと厳しいのだろうなと思います。冬をなるべく明るく暖かく過ごそうと、照明やキャンドルで光を演出し、大事にするフィンランドの人々。一方、夏になり、白夜の季節でも、その明るさの中で思う存分楽しむ。自然の中の光と闇の狭間で、フィンランドの人々の光への感性が磨かれていくのだなと感じました。

 その照明も、ただ明るくすればいいというものではない。日本のような蛍光灯の白い明るさの強い照明で部屋を均一に明るく、というのはない。間接照明でやわらかく、本を読む時など明るい照明が必要な時はライトでそこだけを明るくする。闇を全否定しない。暗い冬の長い夜、光で闇を一切なくすのではなく、共存している感じがある。グラデーションを大事にしている。

 フィンランドの人々との出会いや彼らの暮らしにも書かれています。サウナや、家で食事に頻繁に友人たちを招く。現在と同じように、1960年代から既にフィンランドは女性の社会進出が盛んな国だった。また、スウェーデン語系フィンランド人についても触れています。あと、旧ソ連との関係も。1960年代、冷戦真っ只中です。

 30年後に石井さんがフィンランドを訪れて向かったのは、フィンランディアホール。アルヴァ・アアルト設計のヘルシンキの名所です。かつてはフィンランド放送響、ヘルシンキフィルの拠点となっていましたが、音響が悪いとずっと言われてきました…。そこで現在は、サントリーホールの音響も手がけた永田音響設計による、ヘルシンキ・ミュージック・センターが出来、2つのオーケストラの拠点であり、シベリウス音楽院でも利用し、ヘルシンキの演奏会・音楽界の拠点になっています。とはいえ、やはりアアルト設計のあの白い内壁のデザインは美しいなと思います。照明の関係で譜面台にひとつずつライトが付いているのも、演奏する側からはどうかわからないのですが素敵。まさに光と暗さを共存させている。この2つのホールの証明の使い方を見ると、とても対照的だなと感じます。

 石井さんは旅の締めくくりにロヴァニエミ、ラップランドへ。オーロラを見て、「光のシンフォニー」と。フィンランドはやわらかな光と共に暮らしている。そんなフィンランドに、またさらに惹かれました。
by halca-kaukana057 | 2016-03-23 22:27 | 本・読書

シンプルに綴る懐中日記

 10月、そろそろ来年のカレンダーや手帳を考える季節です。手帳にはそんなに凝っていませんが、欠かせないのが日記帳。毎日でなければ小学生から、高校生になると毎日書くようになりました。ノートはコクヨのキャンパスノートA6サイズのB罫。1日1ページですが、書きたいことがある日は2ページ、3ページも使ったりします。1年で4冊。これがちょうどいいです。

 今年から、もうひとつ毎日つけているものがあります。ツイッターでフォロワーさんが書いていた「3good」。その日のよかったことを3つ書くだけ、というもの。何だか面白そうなので私も今年の途中からやってみることにしました。ただ、ツイートはせず、自分用の記録として。最初はスマートフォンのカレンダーアプリで書き始めたのですが、やっぱりノートにも記録したい。でも、日記帳には余裕がないこともある。何かいいのはないか…?とたどり着いたのがこれ。

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 博文館の「懐中日記」。今年のと、来年のも用意しました。表紙に干支の絵が描かれたデザイン。拍子カバーを外すとオレンジ色の表紙が。調べてみたら、日本で最初に出版された日記帳らしいです。最初、ちょっと古めのデザインだな…と思っていたのですが、使っていると飽きない。定番のデザインで落ち着きます。紙は薄め。

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 中身は1ページに2日の日記スペースが。そのほかに、こんな1年間の情報があるのがいい。新月・上弦・満月・下弦の日付や日食・月食の情報もあるのが嬉しい。日記スペースには月の満ち欠けもあります。天体観測・星見にも少し役立ちます。

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 各月にも情報コーナーが。季語は手紙を書く時にも役立ちます。行事や記念日も。ここも古めのデザインなのがいい。巻末にも情報がたっぷりです。
 そして小さいので持ち運んでもかさばらない。キャンパスノートA6サイズとほとんど同じ大きさなので、一緒に机の上に置いても邪魔になりません。

 「3good」を書いていて、どんなに辛いことばかりがあった日にも何かしらいいこともあったと思えるようになります。後で読み返すのもいい。来年もこれでいこうと思います(アプリも同時平行で書いてます)。
by halca-kaukana057 | 2015-10-18 22:29 | 興味を持ったものいろいろ

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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