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オリオンの季節

 今シーズン初のオリオン座です。
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 寒く、雪に閉ざされた季節が始まります。暗く、気持ちも沈みがちになります。
でも、冬の凍るような澄んだ空気は、清々しい気持ちにさせてくれます。ほどよい緊張感。雪は自然を美しく魅せてくれます。そして冬の星座は豪華絢爛。王者オリオンを見ると、冬も素敵なんだと思います。
 冬、自分の立ち位置を確認するものは、冬の星空、オリオン座なのかもしれないと思いました。
 ただ、雪雲で夜空が見えないことも多いのですが…。吹雪の合間に見える星空はとても美しいです。
by halca-kaukana057 | 2019-11-22 22:31 | 宇宙・天文

星の文人 野尻抱影伝

 野尻抱影の伝記があったなんて知らなかった。しかも、著者は抱影の弟子で天文学者の石田五郎先生。そんな本があったのか!文庫化に感謝。


星の文人 野尻抱影伝
石田五郎/中央公論新社、中公文庫/2019
(底本は「野尻抱影 ――聞書"星の文人"」(1989、リブロポート))


 星座の解説や天文エッセイ、日本や世界各地の星の呼び名を収集した野尻抱影(本名:正英(まさふさ))。横浜に生まれた。星に興味を持ったのは14歳の時、しし座流星群を観測したこと。ただ、流星群は現れなかった。15歳の時、「星三百六十五夜」にも記述がある、オリオンとの出会いがある。修学旅行後に病気で入院し、病室から三つ星を見た。以前友人が描いてくれた星図でオリオン座を知り、他の星座も知っていった。退院後はその星図を描いてくれた友達と一緒に天文にのめり込んだ。
 当時、星座や天文学の本は少なかった。今でこそ、子ども・中高生向けの宇宙や天文の本は充実している。私が子どもの頃、中高生の頃も、抱影の時代よりはずっと豊かになったが、本は限られていた。私が本の探し方を知らなかったからかもしれない。新しいことはテレビの科学番組を観て学んだ。子ども・中高生の頃に自分が興味を持っていることにどうやって出会うか、どうやったらもっと知ることができるのか。抱影もそんな中で天文に触れていったことがうかがえて嬉しい。

 しかし、抱影は大学では英文学を学びたいと思った。抱影は、専門的に天文学を学びたいと思ったことはないのだろうか。
 早稲田大学に進学し、英文学を学ぶが、抱影は星や星座の神話には興味を持ち続けていた。卒業すると甲府中学の英語教師になる。抱影の授業はとても豊かなものだったそうだ。授業の導入に様々なジャンルに渡る話をした。
 授業の傍ら、やはり星がそばにあった。甲府の空は天体観測には適していて、しかも学校には口径5cmのドイツ製の望遠鏡があった。明治43年のハレー彗星は甲府で思う存分観測したそうだ。また、寄宿生を集めて天体観望会を開いた。素敵な先生だ。

 その後、東京で教師をし、結婚を経て、教師を辞め、ジャーナリストになる。少年向け雑誌で、「肉眼星の会」を始める。星空を観て、宿題の星座をスケッチし、目立っている星も記入せよ、というもの。それを抱影宛てに送ってほしいと。この雑誌への投書がきっかけで、抱影には弟子ができる。そして、抱影は「科学者でないペンの人が書いた星の話をつくるつもりでいます。」(107ページ)と、本格的に星についての本を書くことを決意している。これが出来上がったのが、「星座巡礼」。天文学の専門書ではない、星が好きな人のための本。科学だけでなく、文学としても楽しめる星の本。抱影の「星座巡礼」(後に「新星座巡礼」)はありそうでなかった本だった。私が抱影の本に出会ったのは大人になってからだが、星に興味を持ち始めた子どもの頃に出会っていたら、きっと夢中になって読んだだろう。抱影は天文学を目指さなかったのか、と上に書いたが、ここにたどり着くためだったのかもしれない。その後も「星三百六十五夜」、「星戀」も出版される。抱影の本を読んでいると、星の楽しみ方はひとつではない、様々な楽しみ方があるのだなと思う。一般の人も、星にもっと親しめるのだと思う。それを、抱影は著書で示してくれた。

 そして抱影は、全国からの投書を通じて、日本各地に伝わる星の和名を収集し始める。こういうものは普通なら、自分が出向いていって収集するが、抱影は投書の形を取った。「肉眼星の会」のやり方、ネットワークが生きたのだと思う。抱影以外の星の和名を収集していた研究者たちのやり方も書かれていて興味深い。日本には独自の星の文化がある。その先駆者にもなった。

 抱影の周囲には様々な人々がいた。文筆家、天文学者、弟子たち。抱影は気性の荒いところもあった。

 文学方面からの星の研究は裾野が広がった。星の和名の研究も、抱影の説は違うのではないかという検証も行われている。抱影ひとりだけで終わらず、今も続いている。死んだらオリオン座で眠りたいと言っていた抱影は、オリオンからそんな現代を見ているかもしれない。


・著者の石田五郎先生の本:天文屋渡世
 師匠の抱影とのことも書いてあります。
by halca-kaukana057 | 2019-09-08 21:33 | 本・読書
 今年もこの季節がやってきました。ペルセウス座流星群。

アストロアーツ:【特集】ペルセウス座流星群 2019年

 今年の極大は13日。しかし、お天気がよくなかった。しかも、今年は月明かりがあり条件が悪い。諦めて寝ていました。

 今日未明、夜中に目が覚めた。もしかしてと外を見たら、晴れている。快晴。満月直前の月も大分西に傾いて、東の空なら大丈夫そう。極大は過ぎてしまったが、やっぱり今年もペルセ群が観たい。ということで、月明かり等が目に入らないようにして、東の空を中心に、午前2時半頃~3時半過ぎまで観測することにしました。

 東の空には、おうし座が大きく見えました。「すばる」プレアデス星団もはっきりと見えました。徐々にオリオン座、ふたご座も上ってきています。本当に快晴で空も澄んでいて、観測には申し分ない夜空でした。これで月明かりがなかったら、もっとたくさんの星が見えただろうに…。
 極大を過ぎたため、なかなか流れないなと観ていたら、オリオン座で火球クラスの明るい流星が。とても明るかったです。その後はぽつぽつ小さいのが流れていました。多分どれもペルセ群の流星だったと思う。もうひとつ明るい流星も観られました。
 約1時間で5個程度。流れ星の観測も楽しかったですが、徐々に上ってくるオリオン座やふたご座を観るのが楽しかった。地球は自転しているのだなと実感しました。3時半を過ぎると、東の空がぼんやりと明るくなってきた。昼間のためにもう一眠りしようとここで切り上げ。流星観測はどこで切り上げるかに迷います。あと1個流れたら…を繰り返すw

 今年はふたご座流星群も月明かりで条件が悪いらしい…。ペルセ群よりも、ふたご群の方が見やすいのだが…。
by halca-kaukana057 | 2019-08-15 21:34 | 宇宙・天文

真夏の夕涼みのISS

 夏真っ盛りです。当地も昼間は暑いですが、朝夕は涼しい風が心地よく感じます。そんな夕涼みのISSです。
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 まだ空が明るい時間だったので、30秒の撮影だと長かった。ISSは、うしかい座のアルクトゥールスの下を通過。アルクトゥールスから上へ、ネクタイのような形に星が並んでいるのがうしかい座。うしかい座は春の星座ですが、この時間にはまだ見えています。この後、南の空に明るく輝く月、木星、土星のそばを通り過ぎて行きました。


 今の季節になると、気になるのがペルセウス座流星群。お天気がよくなさそうなのと、月明かりで条件が悪いので、あまり期待できなさそう。台風が3つも…被害が何もないことを祈ります。

 明日、8月7日は伝統的七夕です。
国立天文台:ほしぞら情報:スター・ウィーク、伝統的七夕(2019年8月)
アストロアーツ:【特集】七夕/伝統的七夕

 今年は仙台の七夕祭りに代表される月遅れの七夕と同じ日にちになりました。7月の七夕と違って、夜の早い時間に織姫(こと座ベガ)と彦星(わし座アルタイル)が見えます。月が沈んで暗くなれば、空の暗いところでは天の川も見えるかもしれません。


by halca-kaukana057 | 2019-08-06 21:31 | 宇宙・天文

天文台の古切手

 先日、アンティークもののイベントでこれを見つけました。
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 東京天文台…国立天文台の前身です。その創立75周年の記念切手。天文台の切手だ、と惹かれてそのまま買いました。

 1953年10月に発行されたものだそうです。図案は、国立天文台三鷹キャンパスにある、「第一赤道儀室」。
国立天文台:第一赤道儀室
ドーム内にあるのは口径20cmの望遠鏡。黒点のスケッチ観察のために使われました。もう10何年も前に、三鷹キャンパスに見学に行ったことがあるのですが、その時にこの建物を見た記憶があります。また行きたいなぁ。

 図案は、天文台側は電波望遠鏡を候補に挙げたらしいのですが、当時の一般市民にはわかりにくいというので却下。さらに、星座も描いてほしいという要望もあり、北斗七星、カシオペア座、北極星が描かれています。

 現在のカラフルでかわいい切手もいいですが、このモノクロでシンプルな古い切手も味があって素敵です。古い切手はハードルが高いように思っていたのですが、チャンスがあればまた探してみようと思います。
by halca-kaukana057 | 2019-08-04 22:25 | 宇宙・天文

ISSと夏の小さな星座たち

 今度の20日はアポロ11号の月面着陸から50年。記念の特集が様々なメディアで組まれています。明日が満月で部分月食があります(九州・沖縄、中国地方と四国の一部で満月が欠けたまま沈みます。それより東の地域では見られません)。今夜は満月直前の大きな月がきれいに見えています。1969年7月20日の月齢を調べてみたら、5.5、ほぼ半月。月を見て、その月に初めて人類が降り立つのを、地上の人々はどんな気持ちで見ていたのだろう。まだ生まれていなかった私は、当時の記録を見たり聞いたり読んだり、想像するしかありません。でも、今、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウにタッチダウンするのをワクワク、緊張しながら応援しているのを思うと、同じような気持ちだったのかな、と思います。

 今、人類は国際宇宙ステーションで長期滞在し、微小重力下で様々な実験をしています。そのISSを久々に見られました。ほぼ満月の光にも負けず、明るく輝いて飛んでいきました。

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 久々に解説を入れてみました。というのは、見どころがあちこちにあるから。
 ISSの軌跡のすぐ上、細長いY字の星の並びが横になっています。これが「や座」。矢座です。矢を放つ「いて座」は南の空、天の川の中にありますが、矢座は夏の大三角の中にあります。
 ISSの下に小さなひし形の星座があります。これが「いるか座」。特に好きな星座のひとつです。とても可愛らしい星座です。夏の小さな星座が2つも撮影できて嬉しい。
 わし座の一等星、彦星・アルタイルに、はくちょう座のくちばしの二重星・アルビレオも写っています。ああ望遠鏡を向けたい。アルビレオの2つの星の青とオレンジの色の対比を観たい。ISSの軌跡の辺りにはこぎつね座があるのですが、暗くて星の並びがよくわかりません…。

 南の空には木星が明るく輝いています。月がとても明るいですが、そのすぐそばにぽつんと星が。土星です。今年の夏もこの2惑星が見頃です。こっちも望遠鏡を向けたい(土星は月明かりが邪魔でうまく見られなさそう)。
by halca-kaukana057 | 2019-07-16 21:58 | 宇宙・天文
 国立天文台の縣先生の新刊です。


ヒトはなぜ宇宙に魅かれるのか ― 天からの文を読み解く
縣 秀彦/経済法令研究会、経法ビジネス新書/2019 


 宇宙・天文に関する様々な話題が増え、宇宙・天文に関心を持つ人が増えている。人類は古代から星空を見つめ、星、天体とは何なのか、宇宙とは何なのか、何があるのかと読み解こうとしてきた。20世紀になると人類は宇宙に行く手段、技術を得、無人・有人で宇宙を探査したり、宇宙空間を利用するようになった。21世紀になると、宇宙を舞台にしたビジネスも加速的に始まった。
 宇宙と人間の歴史と関わりについて、様々な視点から解説している本です。

 縣先生は国立天文台で広報やアウトリーチの活動を行っています。天文や科学を一般市民にもっと知ってもらう…というよりは、税金を使っているので「成果を還元していく」。この本では、人間が宇宙や天文、科学に対してどんなアプローチが出来るのか、様々な例を挙げています。宇宙は遠い彼方のことで、日常生活には直結しない。でも、宇宙や天文は「文化」にもなりつつあり、もっと身近にあるものなんだ。例えば、昨日は七夕(月遅れの8月7日、「伝統的七夕」もお忘れなく。新暦は邪道、というよりも、3回やってもいいじゃんと私は思います。ちなみに今年は伝統的七夕も8月7日)。他にも十五夜、十三夜もあり、日本には天文にちなんだ風習がある。流星群が見られるかもしれないとよくニュースで取り上げている。月が普段より大きいとか赤いとかというのでも話題になるし、日食、月食となればさらに話題になる。こんなに宇宙や天文が話題になりやすく、関心をもたれやすいのに、「宇宙は遠い」「身近じゃない」のだろうか…。どんどん身近になりつつあり、文化になっていっていると思う。

 私はこれまで、宇宙がもっと身近になればいいと思ってきた。このブログでも、何度も、「地上の延長線上に宇宙があって、その延長線がどんどん短くなればいい」と書いてきた。それは、主に宇宙開発でのことでした。地上とISSでの暮らしぶりだとか、意識的な距離感だとか。でも、天文でも同じことが言える。重力波やブラックホールは遠い存在のようで、原理は身近にある物理法則と変わらない。重力波やニュートリノは、私たちの身体に感じられない規模で通り過ぎ、すり抜けていっている。それが天文学的規模になると大発見になる。まだまだ分からない宇宙の成り立ちや構造の謎がひとつひとつ解き明かされれば、もっと宇宙は身近になるのではないだろうか。

 宇宙と天文の歩み、歴史、現在についての概論もあるので、宇宙の入門書にもおすすめです。ブラックホールの縁の観測までは載っていませんが、重力波観測など、新しい話題も多いです。
by halca-kaukana057 | 2019-07-08 21:52 | 本・読書

ISSと春の星座

 数日前に撮ったISSの画像を何枚か。

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 ISSの軌跡の右側(北)に北斗七星が。ISSも長い時間撮影できました。とても明るかったのではっきり写っています。

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 ISSの画像としては失敗です。見切れてる。ISSはうまく撮影できなかったですが、画像の真ん中、Cを裏返した星の並びがわかるでしょうか。かんむり座です。小さな星座ですが、星の並びはわかりやすいです。好きな星座のひとつです。
 ギリシア神話では、クレタ島の女王アリアドネが結婚の際に贈られた冠とされています。アラビアでは、欠けた皿に見えていたそうです。シベリウアではホッキョクグマの足。ドイツでは花輪。アボリジニはブーメラン…世界各地で色んな形に見られていた星座です。
 昨年のNHKラジオ第1、「夏休みこども科学電話相談」で、「からあげ座を作りたい」という質問?がありました。答えたのはコスモプラネタリウム渋谷の永田美絵先生。星を自由につないで、自分だけの好きな星座を作ってもいいんだよという答えで、からあげ座を作るなら、このかんむり座の形が似ているのではないかな、と。かんむり座を見て、そのからあげ座のことを思い出しました。
 画像の右上の明るいオレンジ色の星は、うしかい座のアルクトゥールス。春の星空の一等星のひとつです。

 梅雨入りする前に、たくさん星見したいです。
by halca-kaukana057 | 2019-06-05 22:07 | 宇宙・天文

初夏のさそり座

 昨日寝る前、晴れていたので夜空を眺めていました。東の空からは、もうこと座のベガが昇ってきています。南東の空に目をやると、この星座が見えました。
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 夏の星座の代表のひとつ、さそり座です。オレンジ色のアンタレスが目立っています。アンタレスの上下に星がひとつずつ。上の星をさらに上に伸ばしていくと、横に並んだ3つの星にぶつかります。ここがサソリのはさみの部分。さそり座の形が釣り針に見えることから「ウオツリボシ」「タイツリボシ」「ツリボシ」などと呼ぶ方言もあります。が、この画像では釣り針の下の曲がった針の部分は見えません。

 さそり座を見て、もうさそり座が見えるのか!と思いました。夏の夜明け前にオリオン座を見た時のような気持ち。でも、もう初夏。夏はじきにやってきます。星空を見ていると、季節は確実に巡るのだと感じます。
 こんなことを書いていて、何となく思い出したのが、My Little Loverの「Hello, Again」の歌詞。「夜の間でさえ 季節は変わって行く」

 このさそり座の左側、アンタレスより少し低い位置に木星が位置しているはずです。が、この画像では雲に隠れて見えません。残念。

【追記】
 翌日は晴れて、木星も見えました。
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 空が明るく、暗い星が見えないのが残念。ベストな画像はなかなか撮れません…
by halca-kaukana057 | 2019-05-08 21:12 | 宇宙・天文
 このニュースを読む度にとても興奮しています。昨日放送された「コズミックフロント☆NEXT」も観ました。
国立天文台:史上初、ブラックホールの撮影に成功 ― 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る
アルマ望遠鏡:史上初、ブラックホールの撮影に成功 ― 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る
EHT-Japan:史上初、ブラックホールの撮影に成功! 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜むブラックホールに迫る

NHK:世界初 ブラックホールの輪郭撮影に成功
史上初、ブラックホールの撮影に成功!

sorae:人類が新たに開いた扉。「ブラックホールの直接撮影」に成功。”シャドウ”を捉える
毎日新聞:究極の「目」、視力300万の解像力 電波望遠鏡6カ所連携 ブラックホール初撮影

国立天文台:(プレスキット)史上初、ブラックホールの撮影に成功:画像
  ↑このページの一番下にある、解説漫画がとてもわかりやすくて面白いです。あの画像、どう見てもドーナツ…ということで、登場するキャラクター、研究者たちが皆ドーナツを持っているwドーナツが食べたくなったじゃないかwニュースを見た翌日、買っちゃいましたよ食べちゃいましたよドーナツw

 「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」プロジェクトについて知ったのはこの記事、最近のことでした。
sorae:ついにその影を掴んだか!?ブラックホールに関する観測成果を4月10日に発表

 本にもネットにも当たり前のように書いてあり、天文学者も当たり前のように口にしている「ブラックホール」という言葉。電波望遠鏡での観測や、ブラックホール同士が衝突して重力波を観測した、というニュースもあり、ブラックホールの存在は確認、証明されているんじゃないの?と思っていました。でも、違った。勉強不足でした。ブラックホール「の存在を示すと考えられているクエーサー」、「から飛び出すジェット」で、間接的にブラックホールがあるのではないか、ということをこれまで観測してきたのです。私のこのブログの過去記事を書き直さねばならぬかもしれん…。
 
 今回、EHTプロジェクトが目指すのは、「事象の地平線」を観測すること。ブラックホールは光をも飲み込んでしまうため、光(電磁波)でそのものは観測できません。その光が脱出できない半径ギリギリの面のことを「事象の地平線」と呼び、事象の地平線の外側には強い重力によって高温になったガスなどがあり、それを電波観測できれば、ブラックホールの輪郭、影も観測できるのではないか。それを目指します。そのためには、高解像度の電波望遠鏡が必要。ブラックホールは意外とコンパクトな天体で、月面にあるテニスボールを見分けられる程度の解像度が必要。現在世界最強のアルマ(ALMA)望遠鏡だけでは足りません。いくつかの電波望遠鏡を組み合わせれば、より大きい=解像度の高い架空の電波望遠鏡で観測することができる、電波望遠鏡の特性(VLBI:超長基線電波干渉計)を利用して観測します。

 そして、一昨日発表された、上記リンク先のニュースの数々。今まで観測されてきたブラックホールのジェットやクェーサーの画像とは違います。丸いリングに、黒くぽっかりと開いた穴。この暗い穴がブラックホールの影、縁の部分。リングの部分は、事象の地平線の外側にある高温のガスです。
 電波望遠鏡での観測は、可視光のように天体の姿が見たまま見えるわけではありません。膨大な観測データを計算して、画像に処理します。今回はVLBIを使って地球サイズの電波望遠鏡として観測しましたが、電波望遠鏡の間の部分は観測できていない。その数値を補う必要もあります。その画像に処理する様子が昨日の「コズミックフロント」で放送されましたが、なかなか思ったとおりの画像にならず苦戦。この画像に至るまでは本当に大変だったんだなと思いました。

 今回観測したのはおとめ座にあるM87銀河。もうひとつ、天の川銀河の中心にあるブラックホールも観測しています。その観測結果は追って発表とのこと。楽しみです。


 このニュースを見ていて、嬉しかったのがVLBIという言葉が一般のニュースに大々的に出てきたこと。可視光、赤外線、X線など様々なタイプの望遠鏡があり、それぞれ見えるもの、観測できるものが違います。個性が違う。電波も、その他の波長とは違うものを観測することが出来る。そして、電波望遠鏡にはいくつかの電波望遠鏡を組み合わせて、その分の大きさの仮想の望遠鏡を作ることが出来るという仕組みがある。ALMA望遠鏡は66基もの電波望遠鏡が並んでいる。ALMA望遠鏡ができたことで、電波観測は一気に飛躍しました。EHTプロジェクトも、ALMA望遠鏡ができたからこそ実現できた(ちなみに、日本の電波望遠鏡が参加しなかったのは、ALMA望遠鏡のあるチリとは地球の反対側にあるため)。

 そして、VLBIと聞くと、あの電波望遠鏡を思い出さずにはいられません。宇宙電波望遠鏡衛星「はるか」(MUSES-B)。今回は地球サイズの電波望遠鏡を作ってしまおうというプロジェクトでしたが、電波望遠鏡が遠くにあればあるほど、もっと大きな、解像度の高い電波望遠鏡を作ってしまえる。ならば、宇宙に電波望遠鏡を打ち上げてしまえばいいじゃないか!!ということで始まったのが、「スペースVLBI(VSOP)」プロジェクト。その技術を実証するために、「はるか」は打ち上げられました。実際に、世界各地の電波望遠鏡と協力して様々な観測を行いました。今回観測したM87銀河のブラックホールから出るジェットも詳しく観測しました。
ISASニュース 1999.8 No.221 「はるか」特集号
 「はるか」は私が特に、一番大好きな衛星。何度も書いてますが、私のハンドルネールはこの「はるか」に由来しています。その位好きです。お花のようなアンテナが個性的で美しい衛星でもあります。
 「はるか」は2005年11月30日に運用を終了しました。「はるか」で実証された技術は、後継機の「ASTRO-G」に引き継がれる予定でした。しかし、電波望遠鏡として機能するアンテナの開発が難航、予算もなくなり、計画は中止になりました。この中止になった時は非常に残念に思いました。

 もし、今回のEHTプロジェクトに「はるか」の後継機が参加できていたら、もっと解像度の高い画像になっただろうに…。現在のEHTプロジェクトの解像度では、比較的地球に近い大きなブラックホールのM87と天の川銀河のブラックホールしか観測できません。プロジェクトチームの記者会見で、今後はもっと解像度を上げたいとありましたが、そのためには電波望遠鏡を宇宙や月に持っていく必要があります。現在、宇宙にある電波望遠鏡は、ロシアの「ラジオアストロン」。しかし、不具合が起きてしまっています。これを機に、もう一度、VSOP計画が復活しないかと思っています。技術的に困難だから仕方がないと、あの時は中止になりました。中止は2011年の話。現在、技術はもっと進歩しているかもしれない…楽観的過ぎるかな…。
 でも、EHTプロジェクトもここで止まってしまうのはもったいないと思います。時間はかかりますが、人類が開いた宇宙への扉を、ここまでで終わりにはしたくありません…。重力波観測と同じように、ブラックホール観測もさらに推し進めて行って欲しい。そのために、VSOP計画が復活してほしい…。そう願うばかりです。

◇ASTRO-Gについてはこのページをどうぞ:JAXA: 特集:果てしない宇宙の謎にせまる ~日本が誇る天文観測衛星の成果と未来~:活動銀河核の真の姿を見てみたい

【「はるか」「ASTRO-G」過去記事】
電波天文観測衛星「はるか」に想う
  ↑「はるか」について拙いですが解説した記事です。

無念… 電波天文衛星「ASTRO-G」開発中止
2月12日は「はるか」記念日
こことは違う世界に出会う時 読んだ本2冊
超巨大ブラックホールに迫る 「はるか」が創った3万kmの瞳
  ↑「はるか」VSOPプロジェクトの集大成として出た本です。この本はおすすめです。
by halca-kaukana057 | 2019-04-12 22:39 | 宇宙・天文

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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