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 いよいよこの日がやってきました。

JAXA 宇宙科学研究所:小惑星探査機「はやぶさ 2」の小惑星 Ryugu 出発について
JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星Ryugu出発について

JAXA はやぶさ2プロジェクト:〝さよならリュウグウ〟キャンペーンのお知らせ
 ↑19日まで、リュウグウや「はやぶさ2」へ向けてのメッセージを募集中。

アストロアーツ:「はやぶさ2」がリュウグウを出発、地球帰還へ
NHK:「はやぶさ2」小惑星を出発 地球への帰還目指す

はじめまして、リュウグウ 「はやぶさ2」リュウグウ到着
 昨年6月、「はやぶさ2」は小惑星「リュウグウ」に到着。それから観測、ターゲットマーカー投下、タッチダウン、インパクタを投下し人工クレーターを開けてもう一度タッチダウン、ローバー投下と様々なミッションをこなしてきました。
 リュウグウは当初は丸いなだらかな地形と考えられてきましたが、到着したら予想と違った。コマのような形で、表面は岩だらけでゴツゴツしている。平らなところが見当たらない。一体どこにタッチダウンすればいいんだ…?と考え込んだのはついこの間だったように感じます。これは、実際に行って観測してみないとわからないこと。他の天体まで行って探査・観測する醍醐味であり、意義です。

 その後、プロジェクトチームは念入りに観測、タッチダウンできそうな地点を探し、「はやぶさ2」の制御の精度も高めていきました。そして1回目のタッチダウン。タッチダウンの際、小型モニタカメラ(CAM-H)で撮影した画像をつなげた動画に、とても興奮しました。次はインパクタでクレーターを作って、そこにタッチダウンを目指すも、やはりリュウグウの地形に悩まされます。無事にクレーターを作れたら、また念入りに安全にタッチダウンできる箇所を探して、2度目のタッチダウン。この2度目のタッチダウンは、実際に行うかどうか議論を重ねた上で決行されました。カプセル内には既にサンプルはあるのに、無理にタッチダウンをして機体が壊れてしまったら帰還できない。心配もしましたが、無事に成功しました。
 はやぶさ2には3つの小型ローバーがあります。全て、リュウグウの表面に着陸し、それぞれの観測を行いました。

 予定されていたミッションは全てクリアしました。しかも運用はとても安定していてスムーズに。毎回、すごいなぁと思うばかりでした。

 初代「はやぶさ」では、小惑星「イトカワ」での滞在期間はそれほど長くありませんでした(行方不明の期間もありました…)。なので、リュウグウに到着した頃は1年半もリュウグウに滞在するの?長くない?と思ったものです。でも、やることはたくさんありました。リュウグウの地形が予想と異なり、観測に時間をかけることができた。その観測のデータが、タッチダウンなどの成功に繋がったのだと思います。

 後は無事に帰るだけです。今日、10時過ぎ、「はやぶさ2」は姿勢制御スラスタを噴射し、リュウグウから離れました。18日まで、リュウグウから遠ざかりながら、「お別れ観測」を行います。遠ざかるリュウグウの姿を撮影します。
 20日から、1年5ヶ月運転しないでいたイオンエンジンを試験運転し、12月3日以降、イオンエンジンを本格的に運転して地球帰還軌道へ入ります。
 地球帰還は来年12月頃の予定。1年間、無事にイオンエンジンが運転され続け、帰途が安全であることを祈るばかりです。

毎日新聞:はやぶさ2、リュウグウから「なにもかも皆懐かしい地球」へ JAXA国中氏が談話
 現在はISAS所長の國中先生が「はやぶさ2」帰還にあたりメッセージを発表しました。國中先生と言えば、初代「はやぶさ」では「こんなこともあろうかと」なイオンエンジンの仕掛けに驚かされましたが…今回のメッセージでも「ヤマト」全面推しです。
 一番冒頭にリンクしたJAXA公式のプレスリリースにもプロジェクトチームの先生方のコメントがありますが、どのコメントも濃い1年5ヶ月を感じさせるものでいいなと感じました。

 ありがとうリュウグウ。ドキドキワクワクの連続でした。私の名前も記されたターゲットマーカーはリュウグウがある限りリュウグウに残ります。いつかまた会えるかな?さよならリュウグウ。そして「はやぶさ2」、無事の帰還を待っています。どうぞご安全に!

 あ、シュークリームを買ってくるのを忘れた(1回目のタッチダウンの記事参照)。明日あたり買ってこよう。
受け継いだものと新しい試み しつこく徹底的に 祝! 「はやぶさ2」リュウグウにタッチダウン成功!

by halca-kaukana057 | 2019-11-13 21:57 | 宇宙・天文
 宇宙関係の新書には、なかなか面白い本があります。この本も。


宇宙はどこまで行けるか ロケットエンジンの実力と未来
小泉宏之/中央公論新社、中公新書/2019


 筆者の小泉さんは小惑星探査機 初代「はやぶさ」のイオンエンジン運用に携わり、その後、「はやぶさ2」に相乗りで打ち上げられた小型探査機「プロキオン」小型イオンエンジンの開発メンバー。

 この本は宇宙開発でもエンジンに的を絞って書いてあります。ロケットを打ち上げる、人工衛星を軌道に載せ運用する、探査機を飛ばす…どれにも欠かせないのがエンジン。エンジンがないと宇宙に行けない。でも、ロケットや宇宙機のことはよく知っていても、そのエンジンについてはある程度しか知らなかったりします。「はやぶさ/はやぶさ2」のイオンエンジンの仕組みや、「あかつき」が最初に金星周回軌道投入失敗した時、エンジンに何が起こっていたのか辺りはそれなりに知っている。H2A/H2Bのメインエンジン「LE-7A」についてもある程度は知っている。新しく開発されるH3ロケットの新しいエンジンにも興味がある。だが、宇宙機で気になるのはエンジンそのものよりもミッションについて…。今までエンジンにそこまで注目していませんでした。なくてはならないものなのに。

 この本では、現在使われているエンジンから、開発中の未来のエンジン、SFの世界のエンジンも出てきます。代表的なロケットや宇宙機を例に、エンジンに焦点を当てて解説しています。「はやぶさ」も、ミッションではなくイオンエンジンについて。

 面白いと思ったのが、この箇所。「プロキオン」の小型イオンエンジンの開発の箇所です。
 人工衛星の研究者と一口に言っても、「推進機屋」「衛星屋」など、いくつかのグループがある。小型エンジンを衛星に載せる際に課題となったのが、これらのあいだにある"溝"の存在だ。
 イオンエンジンは、それだけでは当然動かない。エンジンに電気やガスを送って制御する必要がある。直列4気筒の立派なエンジンだけを作って、さあドライブに行こう、とならないのと同じである。ただ、大学や研究所で人工衛星のエンジンを研究している我々、推進機屋の興味は、一般的に「直列4気筒のエンジン」のところだけだ。エンジンを動かすための電気やガスを送るローテクな装置は研究対象とは見なされない。
 一方、小型衛星を研究している衛星屋からしてみれば、「得体の知れないイオンエンジンを動かす専用の電気とガスを送って制御する装置」など、さらに得体の知れない代物だ。手が出るような物ではない。
(132ページ)
 イオンエンジンの研究者はエンジンだけを作って、エンジンを動かす装置は作らないのか!と驚いた。一方で、衛星屋からしてみれば新しく開発したイオンエンジンを動かす装置を作れと言われても困るだろうなぁ…と気持ちがわかるような気がした。宇宙機開発ではこういうところでチームワークが大事になってくるんだろうなぁ、両者の間に入ってうまく結びつけるリーダーの存在が重要なんだろうなと思いました。エンジンがないと宇宙には行けないけど、エンジンが動かなかったら宇宙には行けない。エンジンができて、そのエンジンが動く。しかも計画通りに、うまく制御できるのは並大抵のことではないのだなと思いました。今なら、「はやぶさ2」がリュウグウまで順調にイオンエンジンで飛行し到着し、リュウグウでも今度は姿勢制御のためのスラスタを使ってタッチダウンしたり、カメラで撮影したり…どれも順調に進んでよかったよかったと喜んでいた。が、そのためには打ち上げ前に初代の反省を生かしたエンジンとエンジンを動かす装置を作り、組み立て、何度も試験をして、打ち上げ後は気が抜けない状態だったんだろうなと思い知りました。

 有人火星探査のための計画を立ててみる第6章も面白い。ここでも、私は現実を思い知りました。今、無人の火星探査が進んでいて、そのうち有人も…と思っている。火星に行くのは月に行く以上に大変だ。時間も、費用も、開発しなければならないものも。必要なものの計算が書いてあるが、それを見て愕然とした。本当に人類は火星に行けるのだろうか、と。予算もとんでもない額だ。有人なので安全にも気をつけなければならないが、絶対100%はない。現実の宇宙開発はとても厳しい物なのだなと実感した。

 それでも、有人火星探査の計画を考えている研究者はいるし、無人だけどももっと向こう…木星や土星、更に遠くの惑星、太陽系の外の探査もできる。ボイジャー1・2号やカッシーニ、ニューホライズンズはよくやったなぁと思う。
 外惑星探査でソーラーセイルも登場します。「イカロス」は元気かなぁ。

 そして、太陽系外…。SFの世界のようにしか思えないが、それは私の考え方が今現在の人類の時間と距離の感覚に縛られているからだろうかと感じた。30年前、昭和から平成になった時、まだ携帯電話は分厚くて大きな辞書みたいだったが、今では電話機能だけではない高性能のコンピュータが手のひらサイズで、多くの人が利用している。30年で技術は随分と進歩した。次の30年で更に進んでいるのでは…と思いたい。

 宇宙開発の現実、現時点を知るのにちょうどよい本でした。思っているよりも甘くはないし、簡単にいかないけれども、エンジンが次はどんな宇宙に連れて行ってくれるのだろうかと楽しみになります。私は研究者ではないので他力本願ですが…。
by halca-kaukana057 | 2019-10-28 21:53 | 本・読書
 国際宇宙ステーション(ISS)で食べられる「宇宙日本食」も種類がどんどん増えています。ヤマザキのようかんや、森永の「ベイク」のように一般に発売されているものが宇宙日本食になったケースも少なくありません。宇宙日本食の認定を受けたもののひとつに、亀田の柿の種があります。その亀田の柿の種の、宇宙日本食認証記念の限定味が出たので食べてみました。

sorae:JAXA認証の宇宙日本食「柿の種」記念商品。『亀田の柿の種 ギャラクシーミックス』限定発売
亀田の柿の種:宇宙への道

デイリーポータルZ:ハイチュウと柿の種はJAXA認証済みの宇宙食である

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その名も「ギャラクシーミックス」。燃える隕石をイメージしたホットチリ味の柿の種、ブラックホールをイメージした黒こしょう味の豆。宇宙ってそんなイメージか…。

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パッケージ裏には、柿の種が宇宙日本食に認証されたことと、その記念企画について書かれています。

 食べてみた。私は辛いものはあまり得意ではないのです。でも食べられました。確かに辛いけどおいしい。ホットチリ味の柿の種は刺激が強い。黒こしょうの豆は、こしょうの味は好きなので気に入りました。

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小袋には宇宙、宇宙飛行、ISSにまつわる豆知識コラムがあります。全部で10種類あるらしい。

 第2弾ではスペシャルパッケージでの柿の種を発売するらしい。

 それよりも、宇宙日本食として認証された、宇宙日本食と同じフィルムパウチ包装の柿の種の発売を検討してくださいませんか亀田さん。科学館など限られた場所でいいですから。


【過去関連記事】
宇宙日本食羊羹を食べてみた
地上で食べる宇宙食まつり 宇宙日本食羊羹続編
地上で食べる宇宙食まつり スペースカレー編
 スペースカレー、また食べたいな。
by halca-kaukana057 | 2019-10-05 21:53 | 宇宙・天文
 昨日深夜、H2Bロケット8号機が打ち上げに成功しました。

JAXA:宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機(HTV8)の打上げ結果について

朝日新聞:H2Bロケット打ち上げ成功 「こうのとり」をISSへ
  ↑毎度おなじみ朝日新聞のロケット打ち上げ空撮動画もあります。ただ、夜のため、ロケットの炎しか見えません…。
NHK:「こうのとり」8号機 打ち上げ成功

 ロケットの打ち上げは夜中なので観られないだろうと思っていたら、偶然その日はなかなか眠れなかった。ちょうど打ち上げ時間になったので生中継を観ていました。いつもより心配して観ていたと思います。でも、そんな不安を吹き飛ばすきれいな打ち上げでした。お天気もよくよかった。
 
 周知の通り、この8号機の打ち上げは11日に行われる予定でした。しかし、打ち上げ数時間前、射点に移動したロケットの発射台から火災が発生。打ち上げは中止になりました。発射台で火災なんて初めて、一体何があったんだ!?ロケットの機体と「こうのとり(HTV)」は無事なのか?とても心配でした。

 その後、原因を調査、解明しました。
マイナビニュース:H-IIBロケットの発射台火災はなぜ起きたのか? - MHIが調査結果を公表
日本経済新聞:三菱重、ロケット火災は断熱材発火が原因と発表

 火災が何故、どのようにして起こったのか。まとめると、

・メインエンジンの噴射ガスを煙道方向へ逃がす役割をする、ロケットの下部にあたる位置に設けられている発射台の「開口部」という空洞から火災が発生。
・開口部の壁面には断熱材が貼られている。これが燃えた。
・H2Bロケットのメインエンジン「LE-7A」は、液体酸素でエンジンを予冷している。エンジンは2基あるが、そのうちの1基から排出された液体酸素が、この開口部の壁面に吹きかかっていた。
・H2Bロケットは、LE-7Aを2基並べて装着しているため、各エンジンの排出口と開口部壁面までの距離が20cmと非常に近い。なので液体酸素が開口部の壁面に吹きかかりやすい。LE-7A1基のH2Aロケットでは問題になっていなかった。
・予冷に使った液体酸素はエンジンのノズルの脇にある排出口から外へ放出されるが、この日はほぼ無風で開口部にたまっていた。
・断熱材は耐熱材によって覆われているものの、耐熱材は低温に弱く、冷たい酸素によって時々割れることがあるという。今回も、耐熱材が低温で割れた結果、中の断熱材が外に露出した。
・液体酸素が空気に触れ、液体と気体が混ざった状態で発射台の耐熱材に吹きかかり続けることで静電気が発生した。この静電気が発火源となった。しかもほぼ無風だったため、静電気はより強くなった。
・その静電気が、耐熱材が低温で割れて外に露出した断熱材に触れ、発火した。
・対策として、断熱材にアルミシートを施行する。

 というのが、火災が起こった流れです。H2Bロケット特有の問題、気象の条件が複雑に組み合わさり、火災につながった。この複雑な要因を短い期間で突き止め、次の打ち上げでは問題なく成功させたのはすごいと思います。改めて、ロケットは大きくても繊細な技術でできているのだと実感しました。H2Bも今回で8号機。初号機から成功し続け、安定していることに安心していましたが、その場になってみないとわからないことがあるのだなと思いました。今回の対応の件で、H2Bはさらに信頼性を上げたのではないかと思っています。

 「こうのとり」8号機は28日夜にISSに到着予定です。把持、結合、ハッチオープンまでご安全に!
by halca-kaukana057 | 2019-09-26 21:59 | 宇宙・天文
 この7月で、アポロ11号の月面着陸から50年。私も月やアポロ関係の本を読んでいますが、この本は読まねばならないだろうと思って読んだ。映画の原作ですが、映画は観ていません(上映館がない)

ファースト・マン 上: 初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生

ジェイムズ・R. ハンセン:著、日暮雅通、水谷淳:訳/河出書房新社、河出文庫/2019


ファースト・マン 下: 初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生

ジェイムズ・R. ハンセン:著、日暮雅通、水谷淳:訳/河出書房新社、河出文庫/2019



 ポルノグラフティが歌う「アポロ」の歌詞…「ぼくらが生まれてくるずっとずっと前には…」普段は、自分は生まれていなくても実際にあったこと、歴史上の事実、人類は月まで行って月に降り立ったことは変わらない、と思ってきたのだが、この本を読んでいたら何故かその歌詞に共感してしまった。自分は生まれていなかった時代に、宇宙開発は黎明期から月を目標にした時代になり、月へ向けて奮闘してた人々がいた。とても遠い時代のことに思えてしまった。自分に関係がないわけじゃないけど、遠い世界、遠い時代のことなんだな…と思ってしまった。それは、私が今までアポロ計画や、その前のジェミニ計画、そしてアポロ計画で一番有名な人物と言っていいニール・アームストロングという人について知らないことがたくさんあったことに気づいたからだ。

 アームストロングは、自分のことをあまり語ろうとしなかった。アームストロングの自伝を出すことに対しても、彼はとても慎重だった。ちなみに、この本は2005年に最初の版が出版され、2012年、アームストロングが亡くなった後第2版が出版された。そして、2018年アームストロングが亡くなった時のことなどを加筆、アポロ11号月面着陸50年を記念して2018年新版が出版された。

 宇宙開発の黎明期のNASAの宇宙飛行士というと、明るく快活、おおらかな性格で、アメリカの英雄という輝きを上手に纏う人をイメージする。しかし、アームストロングは違った。根暗なわけではない。引っ込み思案なわけでもない。明るく快活ではある。しかし、思慮深く、控えめで、言葉を慎重に選んで話し、物事を緻密に考えてから行動する人だった。ジョークを言って場を和ませることはするので、堅物というわけではない。愛想もよく人に好かれていた。機転が利き、トラブルが起こっても慌てない。月着陸訓練機(LLTV)での訓練中、制御不能となり、アームストロングは脱出装置で脱出し一命を取り留めたことがあった。しかしその約1時間後、アームストロングは何事もなかったかのようにオフィスで仕事をしていた。事故のことを知った他の宇宙飛行士は平然としているアームストロングにとてお驚いたそうだ(当然だ)。そして、月面着陸をした後も、隠遁生活をしたわけではなかったが、「ファースト・マン(月面に初めて降り立った男)」と権力を振りかざすことも、出しゃばることはしなかった。不思議な魅力の人だなと感じた。

 アームストロングは、根っからのパイロットだった。子どもの頃から飛行機が大好きで、自動車免許を取るより先に飛行機を操縦するようになった。大学在学中、兵役で海軍に所属し、実戦にも赴いた。大学卒業後はNASAの前身、NACAのテストパイロットになり、超音速での飛行を繰り返した。今まで誤解していたのだが、アームストロングは宇宙飛行士になった時、軍人ではなく民間人だった。民間人初の宇宙飛行士だった。テストパイロットというと、映画「ライト・スタッフ」を思い出すが、あの映画で描かれていることは事実と反することも知ってショックだった。違うのか…。
 そんなアームストロングが何故宇宙を目指すようになったのか。詳しくは書かれていない。ただ、関係することがいくつか書かれている。あるとても悲しい出来事について書かれているが、それがアームストロングを宇宙に向かわせたのだろうか。

 アームストロングはアポロ11号の船長。でも、その前の宇宙飛行の実績については知らなかった。1966年のジェミニ8号での飛行。トラブルにより、予定されていた全てのミッションを行うことができず、アームストロングは残念がっていた。その帰還の数日後には現場に戻り、後続のミッションを支えた。ジェミニ計画の箇所も興味深かった。まさに宇宙飛行黎明期。

 そして、アポロ計画へ。アームストロングが11号の船長になったことは決まっていたが、11号で月面に着陸、EVA(船外活動、つまり、月の上を歩くこと。EVAというと私にとってはシャトルやISSでの船外活動のイメージなので、アポロ計画の月面での活動もEVAと呼ぶのに驚いた)を行うのは最初から決まっていたわけではないのに驚いた。1969年になってから、月着陸を行うかもしれない、と告げられる。その後の、誰が最初に月に降りるのか。アームストロングとオルドリンの反応が正反対。アームストロングの性格だったからこそ、様々なものに耐えられたのかもしれない。アポロ11号のクルー3人の関係は不思議な関係だ。宇宙飛行士というと、誰とでも仲良くできて、チームワークを大切にする。意見が違うことがあっても冷静に話し合って理解し合う。何が起こるかわからない、命の危険もある宇宙空間。お互いの命を預けても構わないぐらいに信頼し合うことを大事にするイメージがある。この3人はちょっと違う。信頼していないわけではないけど…。これで耐えることができた3人はすごいと思う。

 月着陸の箇所も、知らなかったことがいくつもあった。そういえば、アポロ計画、ならびに11号の飛行を支えたジョン・ハウボルトとマーガレット・ハミルトンの名前が出てこなかったのが残念。アームストロングの伝記だから仕方ないか。
 残念なのは、月面での写真にアームストロングの写真はほぼないということだ。写真はほとんど全てオルドリンのものだった。アームストロングの控えめな性格のせいなのだろうか。それとも、そこまでのことを想定していなかったということなのだろうか。6分の1の重力は、歩くこと以外でも不便なことがある。無重力(微小重力)ではないのだから、ISSほどの慣れと苦労はしないのだろうと思っていたが、どうも違うらしい。月面での生活を描いたSF作品を見る目が変わりそうだ。
 アポロ11号の月面着陸というと、星条旗を月面に立てたのも印象的で、その意味を考えてしまう。その一方で、国に関係なく宇宙に挑んできた人たちへの敬意を示した記念品を月面に残していた。

 帰還後、アポロ11号のクルーは地球の英雄となった。注目されればされるほど、各々の利害のためにデマを流して利用しようという人もいる。メディアは追いかけ回す。しかし、アームストロングの性格や考えはぶれることはなかった。アームストロング個人を勝手に英雄視する商品などに対しては抗議をした。少しも舞い上がることもなく、謙虚であり続けた。そして、アームストロングはパイロットであった。これは現代も変わらないのだが、読んでいて、アポロ11号の船長である宇宙飛行士のアームストロングと、一個人のニール・アームストロング。これを切り離して報道なり、捉える、認識することは人類にはできないのだろうか。人類は月まで行ったというのに。現代なら、できている国や地域はあると思う。しかし、日本はできていないと思う。読んでいて悲しくなった。

 映画はどんな感じなのだろうか。この原作から映画を作るのは難しそうだ。「Hidden Figures(邦題:ドリーム)」みたいになっているのだろうか。こちらも原作はとても堅いノンフィクションだった。
 この本のこの堅さ。これこそが、アームストロングなのだと思う。
 
by halca-kaukana057 | 2019-08-22 23:09 | 本・読書
 今日もこのニュースで持ちきりです。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」第2回目タッチダウン成功について

NHK:はやぶさ2 着陸成功 世界初のミッションで
NHK:はやぶさ2 研究総主幹「大成功と言っていい」
はやぶさ2 着陸に成功 「この喜び皆さんと」

毎日新聞:「100点満点の1000点」 はやぶさ2成功で関係者喜びの会見
 津田先生はじめ、プロジェクトチームの皆さんの笑顔が本当に晴れやかでいい。おめでとうございます!!着陸運用の前に、「はやぶさ2にリュウグウをもう一度触らせてあげたい」という津田先生の言葉が印象的でした。もう一度触れたよ!


アストロアーツ:「はやぶさ2」2回目のタッチダウンに向け降下中
 今回のタッチダウンは、4月にインパクタをぶつけて作ったクレーターの縁のあたりにタッチダウンし、1度目と同じようにサンプルを採取します。1度目のタッチダウンの際舞い上がった小石や塵が、光学カメラについてしまった。カメラをきれいに拭くワイパーやブラシはありません。これは考えてなかった…。カメラの性能が低下してしまったため、前回よりも低い高度で水平移動しターゲットマーカーを探します。
 2回目のタッチダウンを行うか。プロジェクトチームもかなり悩み、議論を重ねたそう。「はやぶさ2」は既に1回目のタッチダウンでサンプルを手に入れている。リュウグウはゴツゴツの岩だらけで、機体を損傷する危険性がある。機体を損傷したら帰還できなくなるかもしれない。なら、安全な方をとって2度目のタッチダウンは行わなくてもいいのではないか…。私も心配しました。が、プロジェクトチームは2度目のタッチダウンを行うと決めました。ならば、私は応援するしかありません。

 昨日の午前10時過ぎから降下開始。タッチダウンは今日の午前10時過ぎ。生中継は見られなかったので、そろそろかな…と時計を見ながら心の中で応援していました。11時前に携帯をチェックできる時間があったのでチェックしてみたら、タッチダウン成功、と。管制室の拍手によかった、よかった…本当におめでとうございます!


NHK:はやぶさ2 着陸の画像を公開 JAXA
 タッチダウンの際、小型モニタカメラ(CAM-H)で撮影した画像が届きました。もう届いたのか!まだホームポジションに戻ってないのに。早いよ!!
 タッチダウン4秒前、タッチダウンの瞬間、タッチダウン4秒後の3枚。今回も迫力のある画像です。タッチダウン前の画像を見ると、やはりここもゴツゴツしています。タッチダウン後、小石が舞い上がる…1回目のタッチダウンのものと比べると、粒が小さめで白っぽい印象。人工クレーターの内部の岩石だからなのか、リュウグウの位置によって岩石のタイプが違うのか。帰還後に1回目と2回目のサンプルを比較するのが楽しみになります。

 今回、ちょっと思ったのが、せっかくインパクタでクレーターを作ったのに、何故クレーターの中に降りないのか?縁にもインパクタをぶつけた際に吹き飛んで積もった内部の岩石があるので、縁の部分にタッチダウンする…のは理解できるのですが、クレーターの中ならもっと深いところのサンプルが採れるのでは?
 この答えは、今日の管制室生中継にありました。
小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星リュウグウへの第2回タッチダウン運用(19/7/11)ライブ配信

 1時間13分ごろです。ツイッターで寄せられた質問に答えているのですが、その質問の中に同じ質問がありました。答えは、危ないから。リュウグウは岩がゴロゴロ、ゴツゴツした地形。クレーターの深いところに降りると、「はやぶさ2」の太陽電池パネルがぶつかってしまうおそれがある。光学カメラも完全ではない状態、何が起こるかわからない。安全な道を通りつつも、でも挑戦はする。初代だけでなく、1度目のタッチダウンからも変更、進化させたところもあります。安定しているのに、冒険をしている。不思議な感じです。

 「はやぶさ2」の大きなミッションはクリアしました。あとは小型ローバーの分離などをして、11月ごろリュウグウの軌道を離れ帰途につきます。帰還するまでがミッション。今後もご安全に!

 あ、シュークリーム買ってくるの忘れた。明日買って食べよう。(1度目のタッチダウン記事参照)

 おまけ。フィンランド語で「はやぶさ2」の記事を読んでみよう。
Helsingin Sanomat : Hayabusa 2 -avaruusluotain laskeutui onnistuneesti asteroidin pinnalle
 フィンランドの最大手紙、ヘルシンギン・サノマット紙の記事です。


【はやぶさ2 過去記事】
受け継いだものと新しい試み しつこく徹底的に 祝! 「はやぶさ2」リュウグウにタッチダウン成功!
タッチダウン、舞い上がる「はやぶさ2」
リュウグウにクレーターを作れ 「はやぶさ2」の新たな挑戦
by halca-kaukana057 | 2019-07-11 22:59 | 宇宙・天文
 夏至が近づくと、ISS・国際宇宙ステーションの可視パスの機会が増えてきます。先日から見頃だったのですが、なかなかタイミングやお天気が合わず。今日、ようやく合いました。

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 ISSが天頂方向へ昇りながら(画像の下から上へ進んでいます)、影に入り見えなくなったところを撮影できました。このすーっと消えゆくISSの軌跡が撮影できるととても嬉しいです。ISSの左側(南)には、北斗七星のひしゃくの部分も写っています。
 この前も見えていて、撮影もしていたのですが、カメラの角度が合ってなかった…失敗写真でお蔵入り。
 ISSが見えている途中、ISSの近くでパッと明るい発光がありました。ISSとは別のもの。何だったんだろう…。何かの人工衛星のフレアか(でも、フレアの前の軌跡は見えていなかった)、流星か、飛行機か何かか、はたまた…。

 今日のISSは西の空に見えていたのですが、同じ西側の空には、しし座が見えていました。春の星座の代表のしし座。もう西の空に傾く季節になってしまいました。もうすぐ6月。星空は夏の星座に切り替わろうとしています。


 宇宙関連の話題がいくつかあります。まず、NASAが火星ローバーに名前を載せようというキャンペーンをやっています。
sorae:あなたの名前が火星へ!NASAが火星探査車「マーズ2020」に乗せる名前を世界中から募集
 NASAが来年打ち上げる予定の火星探査ローバー「マーズ2020」.このローバーには無人ヘリコプターも搭載されます。このローバーに搭載される小さな小さなシリコンチップに、送られた名前を刻みます。
 記入出来るのは、ファーストネーム、姓(Last Name)(アルファベットのみ)、国、郵便番号、メールアドレス。メールアドレスを登録すると、他の名前を登録したミッションを確認できるようになるらしいです。
 名前を登録すると、搭乗券の画像をダウンロードできます。
 この手の名前応募に今まで一体いくつ応募したのか…覚えてませんw


 現在進行形の小惑星探査機「はやぶさ2」も、今日、先月作った人工クレーターへのタッチダウンに向けて、降下し、目印となる2個目のターゲットマーカーを投下、成功しました。この辺りは正式なプレスリリースが出てからもう一度。このターゲットマーカーにも私の名前が載せてあります。全てのターゲットマーカーに名前は載せてあるそうで、これで2個目です。
by halca-kaukana057 | 2019-05-30 22:42 | 宇宙・天文

宇宙めし! 1

 新しい宇宙漫画が出ていました。

宇宙めし! 1
日向なつお/小学館、ビッグコミックス/2019

 久世晴可は宇宙に憧れていたが、身長が低いため宇宙飛行士になることを諦めていた。就活中に、「誰もが行ける宇宙」を目指して」というキャッチコピーに惹かれてJAXAを受験。合格する。JAXAで配属されたのは、「宇宙食開発グループ」。主任の畠山、研究開発員の茅野、晴可と同じ新人の早坂未央が主なメンバー。宇宙日本食の紹介をされた晴可と未央は、宇宙食の献立を考え作ってくるという課題を出される。その宇宙食を、ISSに滞在中に日本人宇宙飛行士にプレゼンする。宇宙食の条件、何が求められるのか、美味しいものを作りたい…悩む晴可。そして晴可が思いついたのは…


 「宇宙」と書いて「そら」と読みます。「そらめし!」。あと、晴可は男性です。同期の未央よりも背が低い。

 宇宙を舞台、テーマにした作品は色々とありますが、宇宙食グルメ漫画は初めてではないかと思う。作者の日向さんはこれまでもグルメ漫画を描いて来られた方だそう。グルメ漫画…「クッキングパパ」とか、「ワカコ酒」あたりを少し読んだぐらい…。普段はあまり読まないジャンルです。NHK教育(Eテレ)で放送していた「味楽る!ミミカ」のコミカライズは入りますかね?


 色々とツッコミたいところはあります。晴可は宇宙が好きなはずなのに、何故最初にJAXAに応募しなかったのか。宇宙に関わる仕事ができるところと言えば真っ先にJAXAが出てくるはずなのに。あと、宇宙食に関する知識が乏し過ぎる。1話でサバの缶詰を見て、「これで、宇宙に行けるのかな?」(16ページ)…宇宙日本食のサバの缶詰やカレーは市販もされているのに…。
 あと、5話で宇宙飛行士の設楽が登場するが、その設楽が中学生の頃から筑波宇宙センターの「スペースドーム」にやって来ていたという話。スペースドームが開館したのは2010年。この物語は未来ではなく現代が舞台の模様(宇宙日本食の数がまだ少ない)なので、計算が合わなくないか?さすがに20代前半で宇宙飛行士になるのは無理じゃないか?(宇宙飛行士選抜試験に応募するためには3年以上の実務経験が必要)
 読むのは宇宙マニアだけじゃない、むしろ宇宙にそんなに詳しくない一般の人がターゲットだろうから、主人公が学んでいく形の方が読者も一緒に学べて親近感も沸くと思う。が、ちょっと設定が緩くないかな…厳し過ぎるかな…。

 その辺は置いておくことにして、晴可は普段はあんパンが好物で、昼ごはんもカップめんで節約。美味しいものを食べ歩いているという感じではないが、料理はそれなりに出来る。食べることや味覚に関しては独特のセンスや感覚がある模様。宇宙食を食べた時の表現がファンタジックで独特。現実よりもアイディアやイメージを大事にしているが、晴可のこんな空想家なところは面白いなと思った。

 今年はアポロ11号の月面着陸から50年。宇宙開発黎明期や、アポロの時代では、宇宙での食はそれほど重視されなかった。栄養が取れればいい、食べられればいい。それが、アメリカはスペースシャトル、ロシアはミール、そして現在のISSと宇宙での活動の幅が広がり、時間も伸びるにつれて、宇宙での衣食住も重視されるようになってきた。宇宙医学の進歩に連れて、宇宙空間・微小重力下での身体の変化や地上と異なる必要な栄養素についてもわかってきた。さらに、国籍や文化の異なる宇宙飛行士たちが一緒に、閉鎖環境で長期にわたって共同生活する上で、食は心の支えであり、コミュニケーションツールでもある。出来るだけ地上と変わらないものを食べたい。宇宙でも美味しいものを食べたい。宇宙開発に携わる国が増えれば、その国の食文化も新しく入ってくる。宇宙日本食もそのひとつであるし、イタリア人宇宙飛行士がISSに滞在することになった時、エスプレッソマシーンと無重力でも使えるカップも開発されたほど。現在、宇宙で食事は重要な要素となっている。

 私は、NHKの「サラメシ」という番組が好きだ。サラメシ=働く大人の昼ごはん。日本各地の様々な現場で働く人たちのお昼ご飯を取材する。街角の通りすがりの働く大人たちにお昼に何を食べたか取材する。その仕事らしいランチもある。職場の個性が出るまかないも美味しそう。気合を入れたい時や、大事な仕事が終わってお祝いしたい気持ちの時に食べるものもある。食べて、働いて…。番組を観た後、私もこんなお昼にしようとか思う。
 宇宙食はいわば、宇宙の、宇宙飛行士の「サラメシ」だ。

 自由な発想から始まった晴可の宇宙食。研修を終え実際に宇宙食の開発に携わるようになると、現実にぶち当たる。特に、同期の未央は健康オタクで宇宙食の現実を重視している。普段は忙しくてあまりいない宇宙食開発グループの糸川主任は、保守的で無駄なことが大嫌い。それでも、地上と変わらない、且つ、宇宙にいると実感できる宇宙食を作ろうと工夫する。赤飯のある"プラスアルファ"の開発は、食品会社の三浦も一緒になって奮闘。
 晴可のこの言葉が好きだ。
美味しい物食べたり好きな物食べると元気になるし、食べることって"生きる"ってことなんだなーって。
それって絶対地上でも宇宙でも変わらないですよね。
いろんな人に美味しく楽しく食べてもらいたい。(143~144ページ)

 私はずっと、宇宙がもっと身近になればいいと考えてきた。地上の生活の延長線上に宇宙での暮らしがあって、その延長線がどんどん短くなっていけばいい。宇宙食は、それを叶えるものだと思う。

 この作品はJAXAが取材協力しているという。全面協力でいいと思います。あまり現実に近過ぎると、漫画として面白くないのかな?どこまでノンフィクションで、どこからフィクションにするか…難しい。今後に期待です。
 晴可が作った宇宙食の簡単なレシピも載っています。夜など、飯テロにはご注意を…。1巻の中ではサンドイッチが美味しそう…。
by halca-kaukana057 | 2019-05-23 23:42 | 本・読書
 小惑星探査機「はやぶさ2」の運用は続いています。ニュースの通り、今度は人工のクレーターを作るミッションです。

アストロアーツ:「はやぶさ2」いよいよ明日正午前に人工クレーター実験
 クレーターを作る際の詳しい手順の図解があります(JAXA作成)。リュウグウに降下していき、高度500mでインパクタ(SCI)を分離します。分離したら水平に移動、リュウグウの影にかくれるように降下していきます。その途中、インパクタ分離から18分後に小型分離カメラ(DCAM3)を分離。このDCAM3が、クレーター作成の際の画像を撮影します。はやぶさ2本体は、クレーター作成の際に飛び散る岩石などがぶつかって破損しないように、リュウグウの影に隠れています。インパクタを分離してから40分後にインパクタが爆発。中に入っている金属の板が、衝撃で球状になり、リュウグウの表面に激突、クレーターができます。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」衝突装置の運用状況について
 10時56分ごろの画像です。機体から離れて降下していくインパクタが確認できます。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」衝突装置の作動の確認について
 DCAM3からの画像がもう届きました。明日になる予定のはずだったのに!リュウグウから、V字状に何かが吹き出ているのがわかります。インパクタが爆発した時間、11時36分の画像です。無事にクレーターを作れた模様です。おめでとうございます!はやぶさ2の無事も確認されています。
 はやぶさ2はまずリュウグウの上空20kmの「ホームポジション」という位置に戻ります。その後、降下し、クレーターの露出した内部を観測します。そして、再びタッチダウンを行います。宇宙放射線にさらされていない、リュウグウ内部のサンプルを採取できると期待されています。

NHK:はやぶさ2 人工クレーター実験に成功 JAXA

 今回のミッションは初代はやぶさにはなかったもの。過去には2005年に、NASAの探査機「ディープインパクト」がテンペル第1彗星に衝突体をぶつけ、クレーターができた様子を観測するミッションを行っています。しかし、クレーターができた後、近寄って観測、タッチダウンしてサンプル採取することは世界初のミッション。先日、リュウグウの岩石は含水鉱物だとはやぶさ2の観測でわかりました。1回目のタッチダウンで採取できたであろうサンプルと比べることもできます。2度目のタッチダウンも楽しみです。

 クレーターができた際の画像は小さいですが、岩石がV字のように噴出しているのが確認できます。しかし、右側ははっきり見えますが、左側は小さい。この理由は今後、はやぶさ2が近くでクレーターを観測すればわかるかもしれません。リュウグウは非常にデコボコ、ゴツゴツしている小惑星。先日のNHKスペシャルで、実物大のリュウグウ表面を再現した画像が、どれだけゴツゴツ岩だらけなのかがわかりやすかった。その岩だらけのせいでクレーターにも影響したのかも?(私の予想です)。
 きれいにクレーターができていることを祈るばかりです。クレーターができても岩だらけでタッチダウンの場所に再び困ることになったら嫌だなぁ…。

 本当に画像も撮れた。難しいミッションでしたが、またしても難なく成功させました。おめでとうございます!2回目のタッチダウンはもちろんのこと、今後のミッションが滞りなく進みますように!

 前回、1回目のタッチダウンではお祝いにリュウグウの形のような?シュークリームを食べましたが、今回は何も用意してなかった…。炭酸飲料を飲みながらこの記事を書いていますが…インパクタのような刺激のある…ってことでいいでしょうか…(苦しい)。
by halca-kaukana057 | 2019-04-05 22:05 | 宇宙・天文

宇宙に命はあるのか

 本屋で平積みになっていて気になっていたところに、友人が面白かったと言っていた本。なぜ表紙が「宇宙兄弟」のムッタ?(帯によると作者の小山宙哉先生が絶賛しているとのこと)


宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八
小野 雅裕/SBクリエイティブ、SB新書/2018

 著者の小野さんはNASA、ジェット推進研究所(JPL)で火星探査ロボットの開発をしている技術者。この本の元となるWeb連載があり、原稿を書き上げた後、一般の読者との読書会を4回開き、そこでの意見を取り入れ改訂していった、とのこと。読み手の意見を製作の段階で取り入れているのは珍しいなと思います。

 一言で言うと、人類の宇宙開発、宇宙探査の歴史を描いた本です。SFだった宇宙飛行が、ロケットの開発により現実のものになっていく。そして宇宙へ飛んだ人類は、更に遠くへ…月、火星、もっと遠くの惑星へ、更にもっと遠くを目指していく。何のために?それは何故?何故そこまでして人類は宇宙へ向かっていっているのか。

 文章は易しく、読みやすいです。ドラマティックな、物語のような雰囲気で書かれているので、宇宙開発・宇宙探査のノンフィクションと思って読んだ私は最初驚きました。ちょっと脚色強くないか?とか。でも、この文体が、この本全体に通じるテーマである「あるもの」を印象付けるのに効果的だなとも感じました。この「あるもの」は読んで実感してください。ネタバレしません。

 何かを知りたくて読む、というよりは、この本の雰囲気、この本全体に通じる「あるもの」を感じながら、宇宙開発・宇宙探査の進んできた道とこれから進む道を味わう本かなと思いました。「コズミックフロント」のようなテレビ番組、「ライトスタッフ」「アポロ13」「遠い空の向こうに(October Sky)」「ドリーム(Hidden Figures)」、「はやぶさ」を描いた数々の作品などの映画を観ているような感じ。ノンフィクションではなく完全なSFだけど、「コンタクト」とかも。映画じゃないけど「プラネテス」も当てはまる(原作漫画もアニメも)。あと、表紙になっている「宇宙兄弟」もか。この本で初めて知ったこともあります。アポロ計画を支えたジョン・ハウボルトとマーガレット・ハミルトン。彼らがいなければ、アポロ計画は実現していなかったし、成功もしていなかった。ボイジャー計画のゲイリー・フランドロと彼の計画に賛同し引き継いだJPLの技術者たち。ボイジャー計画は最初から現在の計画ではなかったのか。あのアメリカでもこの大冒険に消極的だったのか。これには驚きました。

 私が何故宇宙や天文に興味を持っているのか…?その理由を問われているような本でもありました。

 この本には書かれませんでしたが、つい先日の「はやぶさ2」の小惑星リュウグウへのタッチダウン成功。ワクワクして仕方なかったし、成功の報せに喜び、届けられたタッチダウンの連続画像には興奮しました。リュウグウは、最初は丸い平坦な小惑星と考えられていた。ところが、実際に行ってみたらそろばん玉のような形で、ゴツゴツ岩だらけなことがわかった。リュウグウには、原始の太陽系の成分や、もしかしたら水、有機物があるかもしれない。地球のような惑星が初期の頃はどんな星だったのか、生命の起源はもしかしたら宇宙から来たのかもしれない。それを解く鍵を探しにはるばるリュウグウまで向かいました。「はやぶさ2」計画は予算などの関係で実現が危ぶまれたこともあります。宇宙・科学ライターの方々の呼びかけで、宇宙ファンが実現してほしいと関係機関へメールを送ることもしました。私も協力しました。そこまでして「はやぶさ2」を実現させたかった理由。初代「はやぶさ」が様々なトラブルに見舞われながらも地球へ小惑星イトカワのサンプルの入ったカプセルを地球に持ち帰ろうとしていた(この時点では、まだ本当にカプセルにサンプルが入っているかわからなかったし、地球に帰還できるかもわからなかった)。その成果を繋いでいってほしい。「はやぶさ」が見せてくれたイトカワの姿。他の小惑星はどうなのか。イトカワと似ているのか、全く違うのか。技術実証機である初代「はやぶさ」はトラブル続きだったが、ここで得られたものを生かして、本番の「はやぶさ2」を飛ばしてほしい。「はやぶさ2」でもっと広い宇宙を見たい。そんな思いからでした。

 「はやぶさ」シリーズだけでなく、他の探査機や宇宙機、様々な望遠鏡は遠い宇宙の姿を見せてくれます。惑星の様々な表情、星雲や銀河、生まれたばかりの星、一生を終えようとしている星。それらの姿にワクワクします。頭の上に広がっている宇宙は、肉眼では小さな星がいくつも輝いているけれども、実際にはどんな姿をしているのだろう。どんな星があるのだろうと星空を観る度に思います。
 また、宇宙から見た地球の姿も興味深いです。自分の姿は鏡に映せばわかるけど(それでも、見落としている部分もあるし、心の中までは全てはわかりません)、地球を見るためには宇宙に行かなくてはいけない。私は宇宙に行けないけれど、ISSに滞在している宇宙飛行士たちが伝えてくれる地球の姿はとても表情豊かで美しく、地上にいてはわからないことばかり。また、地上から400kmしか離れていないけれども、その距離でも宇宙の生活は地上の生活とは違う、宇宙に行くと物体や人体に何が起こるのか、わからないことがたくさんあります。

 私が宇宙・天文に惹かれるのは、見たことのない世界を見たいから。地上の固定概念から離れた、もっと広い世界を見たいから。それがとても楽しいから。好奇心が疼くから。単純だった。でも、その単純な感情がきっかけになって、複雑なロケットや探査機、望遠鏡など宇宙を探る装置を作り出し、どんどん遠くを見ているのだからすごいなと思う。この本に書かれていることも、「あるもの」がきっかけになってどんどん遠くの宇宙を見ようとしてきた。そのうち、ある疑問が出てきた。生命のある星は地球だけなのか。宇宙のどこかに生命はいないのか。地球の生命はどこから来たのか。単純な問題ほど深くて難しくなかなか答えが出ない。

 普段私が読んでいる宇宙に関するノンフィクション、専門書とは違う切り口で面白かったです。
by halca-kaukana057 | 2019-03-13 22:53 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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