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夏の宇宙ゼリー ローソンのリュウグウイメージ水ゼリーを食べてみた

 先日、目的地の小惑星「リュウグウ」に到着した、小惑星探査機「はやぶさ2」。
はじめまして、リュウグウ
 この記事でも書いたのですが、ローソンから、「はやぶさ2」のリュウグウ到着を記念した、リュウグウをイメージしたというデザートが発売されました。

ローソン:ローソン研究所:小惑星「リュウグウ」をイメージしたぷるるん水ゼリーがいよいよ登場!
ローソン:バタフライピーティーのぷるるん水ゼリー(レモン)

 というわけで、私もローソンに行って買ってきました。
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 こんな丸いパッケージに入ってます。お値段180円。
 パッケージには、「はやぶさ2」とも、「リュウグウ」とも、「JAXA」とも書いていません。JAXAの了解は得ているのだろうけど、JAXAとコラボというわけではない模様。事前にネットで情報を得ないと、リュウグウをイメージしたデザートとわからない。ただの宇宙っぽいゼリーになってしまう。ローソンさん、宣伝を大々的にお願いします。

 蓋を開けると、ふわりと甘いいい香りが漂ってきました。
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 下手な画像ですみません。もっときれいに見えます。ただ均一に黒いわけじゃない。グラデーションがあって、金粉もきらきらしている。銀河だ。星雲だ。
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パッケージの黒いトレーを外して、白いお皿に乗せると、一気に雰囲気が変わります。薄紫のきれいなゼリーです。バタフライピー(チョウマメ)のお茶は元々は青い色。それに酸(この場合はレモン)を加えると、こんな薄紫に色が変わるんだそうです。

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 スプーンで掬おうとすると、弾力が強くてなかなかスプーンがはいらない。堅い。でも、ぷるぷるしています。スプーンを入れる際、「はやぶさ2」がリュウグウにインパクターを打ってクレーターを作るのをイメージしましたw
 金粉が入っているのが分かりやすくなりました。豪華な雰囲気。
 味は、レモンの爽やかさ(でもすっぱさはない)とさっぱりした甘さで美味しい。バタフライピーティーは飲んだことは無いのですが、こんな味なのかなぁ?これは美味しい。暑い日にキンキンに冷やして食べたい。

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 トレイはこんな宇宙柄です。

 「はやぶさ2」はリュウグウ上空で、本格的な探査に向けて準備中。順調だそうです。これを食べて応援します。いつぐらいまで販売しているんだろうなぁ。タッチダウンの秋にはもう終わってるかなぁ。売ってる間食べます。

【こちらもどうぞ】
Gigazine:金粉が輝く水ゼリーで「はやぶさ2」の目的地を表現したローソンの「バタフライピーティーのぷるるん水ゼリー(レモン)」を食べてみた
sorae:”そこ”に銀河が広がっていた。リュウグウをイメージした水ゼリー

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by halca-kaukana057 | 2018-07-11 22:09 | 宇宙・天文

無伴奏ソナタ [新訳版]

 あらすじを読んで気になって、しばらく前に買って、積読にしておいた本です。そろそろ読もうかなと。


無伴奏ソナタ 新訳版
オースン・スコット・カード:著、金子浩、金子司、山田和子:訳/早川書房、ハヤカワ文庫SF/2014


 異星人に攻撃されている地球。11歳のエンダー・ウィッギンズはバトル・スクールの指揮官。竜(ドラゴン)隊を率いている。指揮官たちの中では最年少だが、戦闘では連戦連勝、成績はずば抜けて優秀だった。そんなエンダーを、大人の大尉や中尉たちは…「エンダーのゲーム(短編版)」。
 生後6ヶ月でリズムと音程への才能を認められ、2歳で音楽性、創造性の天才と評されたクリスチャン・ハロルドセン。両親と離れ、森の中にある一軒家で、自然の音や鳥のさえずりだけを聴いて過ごし、「創り手(メイカー)」として特殊な「楽器」を使って作曲するようになった。何十年も経ったある日、クリスチャンの前にある男が現れ…「無伴奏ソナタ」他11編。


 オースン・スコット・カードは著名なSF作家だそうですが、私は何も知らずに読みました。あらすじを読んで気になっていたのが、表題作の「無伴奏ソナタ」。音楽が題材の作品であることはあらすじからわかったのですが、読んで、まさかこんな作品だとは思いませんでした…いい意味です。私たちは生まれてから、様々な音に囲まれて暮らしているし、沢山の音楽も聴こうとしなくても耳に入って来る。それを、シャットダウンできたら…? これまでの歴史で、作曲家が他の作曲家に師事していたり、尊敬していたり、影響を受けたりするというのはいくらでもある。そういうのが一切なかったら?そして、音楽を創るな、演奏するな、歌うな、と禁止されたら?優れた音楽の才能がなくても、音楽がないのは退屈だ。演奏したり歌ったりできないのもつまらない。体調不良で一時そんな状態だったのですが、少しでもよくなってくると音楽を聴きたくなる。歌いたくなる。私のような凡人でさえもそうなのだから、優れた音楽の才能のあるクリスチャンにとっては、もっと自然なことだろう。クリスチャンが出会う街の人々もそうだ。ちょっと音程が外れていても、音楽を奏でずにはいられない。最後のギターで歌う少年たちのシーンがグッと来る。クリスチャンの音楽は、何があってもクリスチャンの音楽なのだと。

 11の短編集ですが、どれも面白かった。「エンダーのゲーム」はワクワクして、エンダーやビーンの成長が面白くてたまらない。のに、最後、そういう展開になるとは…!「王の食肉」「磁器のサラマンダー」は、最初、これもSF?と思ったが、見事にSFでした。不条理で、グロテスクな作品も少なくないので、そういう作品に慣れていない私には辛い表現もありましたが、面白い。「深呼吸」「四階共有トイレの悪夢」「解放の時」はホラーっぽくもある。「四階~」は完全にホラーですこれ。「死すべき神々」も面白かった。こういう異星人とのコンタクトがあっても面白い。

 どの物語も、面白いけれども、根底にかなしげな雰囲気が漂っている。「無伴奏ソナタ」の「シュガーの歌」のように。地球は、宇宙は、歴史は人間の力ではどうしようもできない。できないけれども、その時の人々が「よりよく」生きようと毎日を過ごしている。科学技術を駆使したり、宇宙へ出て行ったり、最悪な状況を避けようと逃げたり。人間はなんてちっぽけで、どんな優れた才能や能力を持っていて何かを成し遂げても、不条理なことが待っていたりする。それがわからなくても、わかっていても、毎日を生きる。人間は不思議な生き物だとも思う。

 こんな多彩な作品を創造するオースン・スコット・カードがSFの名手というのも納得できました。いいSFを読みました。
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by halca-kaukana057 | 2018-06-30 21:49 | 本・読書

重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

 去年のノーベル賞受賞式の近辺に書きたかった記事です…。
 2017年のノーベル物理学賞は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のライナー・ワイス(Rainer Weiss)博士、カリフォルニア工科大学のバリー・バリッシュ(Barry C. Barish)博士、キップ・ソーン(Kip S. Thorne)博士に授与されました。
Nobelprize.org : The Nobel Prize in Physics 2017

日経サイエンス:2017年ノーベル物理学賞:超大型干渉計「LIGO」を構築,宇宙から来る重力波を初めて観測した3氏に
 ↑LIGOの仕組みの解説もあり、わかりやすいです。
アストロアーツ:重力波検出に貢献した研究者3名、ノーベル物理学賞を受賞

 重力波を検出したレーザー干渉計型重力波検出器「LIGO」のプロジェクトに携わってきた3氏をはじめとする重力波観測と「LIGO」建設のノンフィクションです。


重力波は歌う――アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち
ジャンナ ・レヴィン:著、田沢恭子、松井信彦:訳/早川書房、ハヤカワ文庫 NF/ 2017(単行本は2016)

 アインシュタインによる一般相対性理論で、存在すると言われていた重力波。しかし、重力波による空間のゆがみは非常に小さく、アインシュタイン自身も観測出来るかどうかには不可能と考えていた。だが、重力波は存在する、観測することができる、という科学者たちが、少しずつ観測装置を考え出し、観測に向けて動いていた。
 その中のひとり、ジョセフ・ウェーバーは重力波に共鳴して振動するという「ウェーバー・バー」を作った。また、ジョン・ホイーラーやロナルド・ドレーヴァーという科学者も重力波検出に乗り出した。「ウェーバー・バー」では重力波を検出することはできず、ウェーバーは責め立てられた…。ウェーバーの最期がまたかなしい。

 国籍、出身、ルーツも異なる科学者たち。彼らがどのように科学者人生を歩み始めたのか、どこで重力波の研究と出会ったのか、それらを読むのは面白い。皆個性的だ。だが、重力波を検出する機器はどうやったらできるのか、どう建設するのか。なかなかプロジェクトは進まない。レーザー干渉計型重力波検出器のプロトタイプは作られるが、複雑な仕組みで、コントロールするのが難しい。ひとつひとつ、問題を解決していき、一方で、プロジェクトが正式に認められ、予算が出るように尽力する。科学者は、実験や研究だけやっているわけではないというのは、他の宇宙・天文プロジェクトでも読んだ。政治家や役人たちにわかるようにプロジェクトを説明し、予算を得られるようにしないと、肝心の実験も機器の開発も研究もできない。未知の世界に乗り込んでいく科学者というのは、マルチな才能を持っているのだなと本当に思う。

 途中、「LIGO」ってどういう仕組みだったっけ…?と何度も思うことがあった。この本を読むために、もう1冊重力波と「LIGO」に関して解説した本が欲しいと思ったほどだ。
 ノーベル物理学賞を受賞した3氏の中で、バリー・バリッシュ博士は一番後、1990年代になって「LIGO」プロジェクトの統括責任者になった。受賞したのは3氏だが、ホイーラーやドレーヴァー、ウェーバーらたくさんの科学者が重力波観測を目指していた。志半ばで亡くなったのが残念だ。重力波を観測し、ノーベル賞も受賞したことを天国で喜んでいるだろうか。喜んでいてほしいと思う。この「LIGO」プロジェクトでも、志を引き継いでいくという熱いものに触れることができた。

 ノーベル賞を受賞するのは、その成果が出てからしばらく経ってから、というのが多い(スーパーカミオカンデの故・戸塚洋二博士を思い出さずにはいられない)。今回の受賞は、重力波検出の報せが出てすぐの受賞。本当によかったと思う。「LIGO」だけでなく、日本の「KAGURA」も含めて、重力波天文学はこれからますます盛り上がる。その黎明期を伝える本として、とてもいい本だと思います。

 あと、先日亡くなられたスティーヴン・ホーキング博士についても少し出てきます。キップ・ソーン博士とは友人で、科学関係の賭けをするが、ホーキング博士は賭けに弱い、と。答えが出そうもない妙な賭けもしている。科学者同士のこんな話題も面白い。

・「LIGO」の重力波検出の際に書いた記事:重力波天文学が始まる
 重力波は「聞く」。この本にも込められています。

 ちなみに、この本を買ったは、ノーベル賞受賞直後。帯がこれでした。
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 もし、2017年に受賞しなかったらどうなっていたんだろう…。現在は「ノーベル賞受賞!」になってます。

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by halca-kaukana057 | 2018-04-16 22:36 | 本・読書

カリスマ解説員の楽しい星空入門

 夏にNHKラジオ第1で放送している「夏休み子ども科学電話相談」。大人にも大人気で(むしろ大人が楽しんでいるような…わかる、すごくわかる)この冬は「冬休み」編も放送されたんだとか。その「宇宙・天文」分野の担当の先生のひとり、「コスモプラネタリウム渋谷」の解説員、永田美絵先生の星空入門の本です。




カリスマ解説員の 楽しい星空入門
永田美絵:著/八板康麿:写真、矢吹浩:星座絵/筑摩書房 ちくま新書/2017

 「子ども科学電話相談」での永田先生のお話はとても好きです。小さな子にも分かりやすく宇宙や星のことを、ラジオなので音声だけで伝えるのはかなり難しい…プラネタリウムの解説員だからこそできることだと思います。一方、宇宙が大好きで自分なりに宇宙のことを学んでいる子にはその向学心を満足させ、さらに学びたくなるような話をする。これも、学校とは違うプラネタリウムで働く専門家だからこそ。また、宇宙は謎だらけ…宇宙はどうやってできたの?ブラックホールって何?宇宙が膨らんでいるって本当?宇宙は最後はどうなるの?最近はノーベル賞受賞もあって、重力波って何?という質問もあるかもしれない(全部聞いてないので実際にあったかどうかはわからないのですが…)つまるところ宇宙って何?そんな、誰しもふと思ってしまったことがある、でも説明するのはものすごく難しい質問にも、全力で答えてくれます。

 でも、私が知っているのは、そんな「子ども科学電話相談」での永田先生。「コスモプラネタリウム渋谷」には行ったことがなく、プラネタリウム解説員としての永田先生は知りません。この本を読んでいて、普段永田先生はこんな風にプラネタリウムで解説をしているのかなと感じました。

 星空観望の入門本…というのは、実は扱う範囲が広い。まず天球上の星や太陽、月などの動き(日周運動)の話をしないといけない。それから、公転により季節によって見える星座が違うことを理解してもらわないといけない。そして、メインとなるのが星座の話。星座の成り立ちやギリシア神話などの星座物語(何バージョンもあるのでどれを選ぶか悩む)、星座を形作る恒星で明るい星の名前や由来、エピソードなど。その星座にある星団、星雲、銀河などの天体。それらをどうやったら観ることが出来るか、双眼鏡や望遠鏡の解説。その次に月、惑星、彗星、小惑星など太陽系の天体。ここでは探査機の活躍にも触れるとその天体の詳しい姿を伝えることが出来る。話題になりやすい流星、流星群も忘れてはいけない。最近、天文学上の大発見があったら触れておきたい。
 大体このくらい。文章だけだとわかりにくいので、写真や星座絵で、ビジュアルから入れるようにする。この通り、入門本とは言えど、侮るなかれ。しかも、入門本なので、宇宙・天文・星空のことを、一から、わかりやすく書かないといけない。星空観望の入門本を書くのはとても大変なのです。
 というのは、以前、私も星仲間のサークルで作っていた「○月の星空」みたいなお知らせで、星座の話を書いていた。その月に見えやすい、代表的な星座をひとつ取り上げて、解説する。ひとつだけでも結構大変。紙面は限られているのであまり長々と書けない。上に書いた、星座物語がいくつもある星座はどれを書いたらいいか迷う。むしろ、こんなお話もありますし、こんなお話も伝わっていますと全部書きたい。星座物語はギリシア・ローマ神話だけとは限らない。野尻抱影の収集した日本や世界各地の星座物語や星・星座の呼び名も書きたい。厳選して、文章にして、何度も書き直して、編集を取りまとめている人に見てもらって…書く星座のことを調べて内容を考えるのは楽しかったけれども、正直大変でした。

 この本を読んで、プロは違うなと思う。きれいにまとめている。入門書だから、もっと知りたくなったらプラネタリウムに来てほしいし、もっと詳しい本もある。まずは、実際に星空を観ること。その観る上でのポイントがわかりやすくて、なるほど~と思いながら読んでいました。新書なので文章が多め。写真や図はそんなに多くはありません。でも、それが、プラネタリウムでの解説を聞いているようでいい。

 永田先生は、「五島プラネタリウム」の解説員でした。日本のプラネタリウムの代表となったプラネタリウム。2001年に閉館。閉館前、渋谷に行くことがあって、五島プラネタリウムのドームを外から眺めて通り過ぎ、その後閉館となってしまい、あの時行けばよかったと今でも思います。永田先生がどんな経緯でプラネタリウムで働くようになったのか。プラネタリウム解説員のお仕事はどんなお仕事か。失敗や苦労、思い出も語られます。プラネタリウムは、当然のことながら投影が始まると真っ暗。解説員はコンソール(解説台)に立ったら、全部一人でやり遂げないといけない。台本も暗記。機材の操作も一人で。もし機材などのトラブルがあっても、基本的には一人で対応しないといけない。投影を観にきているお客さんが星空を楽しめるように、トラブルがあっても臨機応変に。プラネタリウム解説員がこんなに大変な仕事をしているとは思いませんでした。機材の不調でとっさに取った行動が大ウケしたり、その日2回目のお客さんがいる場合は話す内容を変えたり。「夏休み子ども科学電話相談」で同じく宇宙・天文の担当で、五島プラネタリウムで永田先生の大先輩だった国司真先生の、伝説といえる投影。このエピソードにはすごいと思いました。国司先生のお話も大好きです。やっぱり五島プラネタリウムは凄かった…。勿論、今はその五島プラネタリウムで活躍した解説員さんたちが、あちこちのプラネタリウムでがんばっている。途絶えず、引き継がれています。

 冬は当地は夜は曇る、雪が降っていることが多いので、あまり星空を観られていません。雲間にオリオン座を観たぐらい。31日は皆既月食もありますし、冬の星座は煌びやかで見どころ満載。星空をとても観たくなりました。曇っているならプラネタリウム。しばらく行っていません。久しぶりに行けたらいいな…(投影時間と今の生活リズムが合わない)

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by halca-kaukana057 | 2018-01-16 22:18 | 本・読書

青い海の宇宙港 春夏篇 秋冬篇

 久しぶりに川端裕人さんの作品を読みました。最新作でいいんだっけ?しかも、宇宙ものです。


青い海の宇宙港 春夏篇
川端裕人 / 早川書房 / 2016










青い海の宇宙港 秋冬篇
川端裕人 / 早川書房 / 2016










 時は2020年代。小学6年生の天羽駆(あもう・かける)は「宇宙遊学生」として、東京を離れ宇宙港のある多根島で1年間暮らすことになった。「宇宙遊学生」と言っても、駆はあまり宇宙には興味が無く、生き物が好きで、島の生き物に興味を持っていた。同じく「宇宙遊学生」の小学6年、北海道出身の本郷周太は宇宙が大好き。小学5年の「宇宙遊学生」橘ルノートル萌奈美は母親がフランス人、父が日本人で、フランスからやって来た。そして地元の小学6年大日向希実の4人で、「宇宙探検隊」を結成。ロケットの打ち上げを見たり、夏休みに小型のロケットを作って飛ばすロケット競技会に参加したり…。さらに、島の自然、島の大人たちに囲まれて、駆たちは成長してゆく…


 川端裕人さん知ったのは、小説「夏のロケット」。この本を読んだ時のワクワク、興奮を、今も覚えています。前代未聞のロケット作り、ロケット開発の光と影。ロケットについて、よりよく知った本でもありました。この「青い海の宇宙港」は、その「夏のロケット」の後の時代のお話。多根島は、名前の通り種子島をモデルとした想像上の島。現在は、種子島宇宙センターはJAXAの、国の施設ですが、この物語、2020年代では打ち上げ施設は民間宇宙港となり、民間のロケットもここから打ち上げられる。実在の民間の宇宙ベンチャー企業をモデルとした企業も登場します。実在する人工衛星・探査機をモデルにしたものも。私が気に入ったのは、宇宙マイクロ波背景放射探査機。実在する宇宙機では「WMAP」「プランク」を引き継いでいる。日本もそんな観測のできる探査機を上げている未来が来るといいなと思う。それだけじゃなくて、この作品に出てくる宇宙機がある、宇宙港がある、そんな未来にあと10年、20年後になっていればいいなと思った。

 駆、周太、希実、萌奈美の4人が、学校の授業・行事や、放課後や休みの活動で、宇宙、宇宙開発を学び、主体的に関わっていく。最初は宇宙はそれほど興味のなかった駆も、徐々に宇宙に興味を持っていく。周太は大の宇宙好き、とりわけ深宇宙が大好きというだけでなく、宇宙工学に詳しい父の影響で、父が開発したプログラムで軌道計算もこなしてしまうツワモノ。萌奈美が「宇宙遊学生」になって日本、多根島に来たのには、ある理由があった。地元民の希実は、これまで当たり前のように宇宙港がある島で宇宙に接し、暮らしてきたけれど、駆たちが来たことで、自分の将来に真剣に向き合い、やりたいことを形にしていく。
 1年の間に、かなしい出来事、辛い出来事もある。それでも、4人はロケットのように道を切り拓いてゆく。周太が言い出した「宇宙探検隊」は秋冬篇で、あるプロジェクトを立ち上げる。それぞれの願い、想いを胸に、島の人たちを巻き込んで、大プロジェクトはどうなるのか…読んでのお楽しみです。

 島の大人たちもいい。「宇宙遊学生」は島の家庭に預けられ、生活する。「里親さん」だが本当の家族同然だ。学校の先生、宇宙機関の職員・エンジニアたち。島に住み着いた外国人もいる。彼らがあたたかく、時には厳しく、変に子ども扱いしていないのがいい。守るべき時は守るけれども、子どもだからと見下さない。怒る時はちゃんと理由があるし、教え諭す時もある。大人が子どもたちに引っ張られることもある。川端裕人さんは学校と地域が連携して教育に携わることや、PTAについても以前から詳しく取材し、著書もあります。川端さんだからこそ、多根島の地域社会、コミュニティが活きている作品になっていると思う。

 島では、宇宙だけでなく、歴史や民俗・風習についても触れられます。駆は島の自然、生き物にも魅せられる。その代表が、「ガオウ」と呼ばれる神聖な場所。神様が降りてきた場所と言われているが、謎は多い。その謎も、徐々に明かされていくのが興味深い。

 私は、常々、宇宙がもっと身近になればいいと考えている。地上の延長線に宇宙があって、その延長線がどんどん短く、宇宙を身近に感じられるものになればいいと思っている。多根島は、宇宙港があるだけでなはく、様々な面で宇宙を身近に感じられる場所だ。地上と宇宙の延長線が短い。それに駆が気づくところがいい。学校の標語に、「ガッカチチウ(学校・家庭・地域・地球・宇宙の略)」と出てくるが、まさにすべてが宇宙と繋がっていると感じられる。多根島だからだろうか。多根島はより強く、より身近に感じられるだろうが、日本のどこでも、身近に感じられるようになればいいと思った。

 読んでいて、こんな未来が来ればいいのに。こんな未来を作ることができればいいのにと何度も思った。私も何か出来るだろうか。日本の宇宙開発の未来が明るいものであるように…。

 「夏のロケット」に影響を受けた、あさりよしとお先生の漫画「なつのロケット」も少し関連してきます。そのシーンを使うとは…卑怯です…!

 1年間を描いていますが、やはりロケットは夏のイメージがあります。夏の読書に是非どうぞ。

【過去関連記事】
夏のロケット(川端裕人)
なつのロケット(あさりよしとお)
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by halca-kaukana057 | 2017-07-10 22:58 | 本・読書

重力波天文学が始まる

 報道から数日経ってしまいましたが、これを書かないわけにはいかない。

国立天文台:LIGOによる重力波の直接検出について
アストロアーツ:アインシュタインの予測から100年、重力波を直接検出
ナショナルジオグラフィック 日本版:重力波、世紀の発見をもたらした壮大な物語 ノーベル賞級発見の手法と意義、天文学の新たな広がりを詳しく解説

東京大学宇宙線研究所:【コメント】LIGO-Virgoの重力波発見に関するKAGRAグループからのコメント
 ノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章先生が計画代表をされています。梶田先生の先輩・恩師である故・戸塚洋二先生も喜んでいらっしゃるに違いない…。

 何か大きな発表があるとあり、もしかして重力波を観測したのでは?と噂されていたはちらりと耳にしたのですが、本当でした。マジでした。驚いた。こんなに早く重力波を観測できたなんて!!もっと先のことだろうと予想してました…。

 「重力波」とは、アインシュタインの一般相対性理論で予測された「時空のゆがみの伝播」。質量を持った物質が存在・運動すると時空にゆがみができ、光の速さで広がっていく。ブラックホールや超新星爆発、中性子星の連星の合体などから発生すると考えられてきたが、直接の観測例は無かった。
 アメリカの重力波観測所「LIGO(ライゴ)」で、昨年、約13億年前に起こったブラックホールの合体によって放出された重力波を観測。人類初の観測例となりました。

 100年も前に発表されたアインシュタインの一般相対性理論が、実際の宇宙での光の動き、天体の動き、時空で本当に有効だったことが証明されました。計算と理論だけで、遠く広い宇宙での目に見えない重力と時空の関係について、計算と理論だけで予測していた。本当に凄い。

 重力波を観測することは今後の天文学の課題とされてきました。今回の観測はアメリカの「LIGO」だけでしたが、ヨーロッパや、日本でも「KAGRA(かぐら)」がこれから稼動・観測を始めます。今回は1つの観測所だけだったので、そのブラックホールの詳しい方向を調べることはできませんでした。これが、複数の観測所で観測できれば、詳しい方向、位置を特定できます。重力波の観測はこれから、今スタートしたばかりなのです。そんな瞬間に立ち会えた…感激です。

 これまで、人類は様々な方法を使って宇宙を観測してきました。可視光の天体望遠鏡。X線、赤外線、紫外線、電波などの様々な波長。さらに、望遠鏡や観測装置を宇宙に打ち上げ、空気が邪魔をしない、より鮮明で精密な観測を目指してきました。でも、それらの波長を使っても、観測できないものがありました。ブラックホールはX線や電波で観測はしていましたが、説明しきれないものがありました。ところが、重力波は、ブラックホールから直接発せられたもの。重力波の観測で、これまで説明できなかったものが説明できるようになりましたし、ブラックホールのことがより詳しくわかるようになりました。重力波を観測することは、新たな天文観測のはじまりです。望遠鏡には見えませんが、重力波観測装置は、「宇宙のさざ波」を観測する望遠鏡です。その装置も有効であることも証明されました。もう一気に沢山のことが証明され、スタートしました。興奮せずにはいられません!!

 この発表があった日、2月12日は、日本の電波天文衛星「はるか」(MUSES-B)が打ち上げられた日でした。電波望遠鏡のパラボラアンテナは、組み合わせるとその距離分の直径の仮想の電波望遠鏡で観測しているのと同じデータを得ることができます(「干渉計」といいます)。地球上の電波望遠鏡を組み合わせても、宇宙は広く、電波を発する天体は遠い。精度が足りない…。そこで考え出されたのが、電波望遠鏡を宇宙に飛ばして、地球よりも大きな干渉計をつくろう!という壮大な計画でした。その技術を実証するため「はるか」は打ち上げられ、地球上の電波望遠鏡と一緒に、電波を発するブラックホールなどの天体を観測し、実際に出来ると証明しました。スペースVLBI、「VSOP」のはじまり、新しい天文観測の方法がスタートしました。しかし、本番となる「はるか」の後継機(ASTRO-G)は、目標とする精度を達成できるアンテナをつくることができず、予算も足りず、計画中止になってしまいました。現在はロシアの「スペクトルR」・「ラジオアストロン」計画で進められています。

 また、X線では、新しい日本のX線天文衛星「ASTRO-H」が水曜に打ち上げ予定。本当はこの12日だったのですが、天候不良で延期になりました(重力波検出で大騒ぎになっている時に打ち上げられていたら正直追いきれない…延期でよかったとちょっと思っています…)。X線天文学は日本のお家芸。重力波を観測できるようになりましたが、電波観測やX線観測も宇宙の謎を解くために重要な手段です。

 そして始まった「重力波天文学」。「宇宙のさざ波」は「観る」、というより「聴く」という言葉が合うでしょうか。時空がゆがんで、それが波のように伝わってくる。それをキャッチすれば、大元の天体のことがわかる。考えただけでワクワクします。重力波を観測することで、また新しい謎も出てくると思います。教科書も図鑑も一気に書き変わる。それがたまらなくワクワクします。

129. 重力波検出の意義と今後の進展(2016/2/12)
 今回の観測がどういうものなのか、わかりやすく解説しているサイトがありました(でもちょっと難しいです。2,3回読んでみてください)。「太陽質量」という単位がある。初めて知りました。質量が大きいものほど観測されやすいが、地上では地震などの「ノイズ」があり影響を受けてしまうので、あまり巨大過ぎると検出できない、というのがまた面白い。
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by halca-kaukana057 | 2016-02-15 22:27 | 宇宙・天文

2015恭賀新年

 あけましておめでとうございます!

 例年通り、ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートを堪能した元日の夜。今年の指揮はズービン・メータ。「ウィーンの科学」をテーマに、シュトラウス一族が書いた科学や工学に関する選曲が多くありました。ヨハン・シュトラウス(父)「常動曲」、「加速度ワルツ」、「電磁気ポルカ」、エドゥアルト・シュトラウスのポルカ「蒸気をあげて」。「美しき青きドナウ」の前には「爆発ポルカ」なんて曲も。曲の最後、花吹雪が本当に大爆発して、びっくりするとともに大笑いしましたwシュトラウス一族は、当時の社会や世相を反映させた曲をたくさん書いていたのだなぁと実感しました。「加速度」に「電磁気」…名前だけ聞くと一体どんな曲なんだ?と思ってしまいます。実際は楽しいポルカ、優雅なワルツ。面白いです。ウィーンフィル・ニューイヤーで音楽からシュトラウス一族が生きた当時のことがわかる。本当に興味深いです。

 年明けは初詣に行っていたのですが、東急ジルベスターコンサートを録画していきました。カウントダウンはシベリウス「フィンランディア」。しかも「フィンランディア讃歌」の合唱付き。いいカウントダウンでした(リアルタイムじゃないけど)
 そう、今年はシベリウス生誕150年です!フィンランドでは既に企画サイトもいくつか立ち上がっています。私もいつも聴いてますが、有名曲からあまり演奏されないマニアックな曲まで、大好きなシベリウスをとことん聴こうと思います!「フィンランディア讃歌」も歌いたいなぁ。ピアノは「樅の木」(「5つの組曲」op.75-5)に挑戦出来るかなぁ…?シベリウスのピアノ曲は「樅の木」の他にも魅力的で、レベルも様々。ただ、日本で出ている楽譜が少ない…。生誕150年で、出版増えないかなぁ。声楽曲も!日本版のシベリウス声楽作品の楽譜は皆無なのです…。

 もうひとり、生誕150年の作曲家が。デンマークのニールセン。昨年交響曲全集を図書館から借りたのですが、まだ全部聴いていません。折角なので聴きます。
 あと、昨年好きになって聴き始めたフォーレも生誕170年(ちなみに昨年は没後90年でした)。今年も聴きます。

 宇宙関係も、今年も色々あります。油井亀美也宇宙飛行士の初飛行は5月の予定。JAXA宇宙飛行士5期生から初飛行。そういえば今年だった!と先日気がつきました。衛星はX線天文衛星「ASTRO-H」の打ち上げがあります。X線天文観測は日本のお家芸。「すざく」の後継機、楽しみです。
 星見も今年もたくさん楽しめたらと思っています。


 趣味の面ではこんな感じですが、実生活の方は様々な山を越えなければならない年になります。今は意気込んで山と感じているけれども、近くまで行ってみたら坂道程度かもしれない。気負い過ぎず(気負い過ぎて逆にストレス溜めて自滅すること多し)、今年が終わる頃、自分成長したなと思える一年にしたいです。

 どうぞ本年もよろしくお願いいたします。新年のご挨拶を、手書きで。
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by halca-kaukana057 | 2015-01-01 22:48 | 日常/考えたこと

思惟する天文学 宇宙の公案を解く

 アイソン彗星が見られないので、天文関係の本を読む。かなり深い本です。


思惟する天文学 ― 宇宙の公案を解く
佐藤勝彦、池内了、佐治晴夫、渡部潤一、高柳雄一、平林久、寿岳潤、大島泰郎、的川泰宣、海部宣男/新日本出版社/2013

 この豪華執筆陣!天文雑誌「スカイウォッチャー」に1994年から2000年にかけて掲載された「宇宙の公案Ⅰ」と、「スカイウォッチャー」の後継誌である天文雑誌「星ナビ」(アストロアーツ)に2012年に掲載された「宇宙の公案Ⅱ」を書籍化したもの。「星ナビ」で読んで、とても面白いなと思っていたのですが、読み逃がした記事もあり、書籍化されたらいいなぁと思っていました。書籍化して嬉しいです。

 「思惟(しい)」とは、「思考」、哲学では感性や意欲とは区別される。「公案」とは禅宗において修行者が悟りを開くための課題として与えられる問題のこと。禅の祖師達の具体的な行為・言動を例に取り挙げて、禅の精神を究明するための問題。これを、宇宙・天文に置き換えて、宇宙天文の様々な分野で活躍する研究者・専門家の先生たちがそれぞれに問題を提示し、それについて考えを書き綴ったのが「宇宙の公案Ⅰ」。その10数年後、再び同じテーマ・問題について考え書き綴ったのが「宇宙の公案Ⅱ」。
 10数年も経つと、肩書きも研究している大学や機関にも変化があるし、世の中も、宇宙・天文についても変化している。寿岳先生は、2011年に他界されてしまった。そんな変化の中で、天文学者・宇宙科学・工学者たちは、宇宙をどう捉え、何を考えているのか。それを垣間見ることのできる本です。

 宇宙・天文は、とても幅の広い学問だ。天文学から宇宙科学・宇宙工学・宇宙開発まで。天文学も、観測するものから、スーパーコンピューターの計算で星や銀河、宇宙の成り立ちを研究する理論天文学、宇宙がどのようにできたか、何で出来ているのかを探る宇宙論、ニュートリノやヒッグス粒子などのミクロの世界からマクロな宇宙を探る素粒子天文学…細分化しようと思えばどんどん出てくる。地球以外の星に生命はいるのか、異星人はいるのか…これは宇宙生物学の研究対象。観測方法も、可視光から赤外線、X線、電波と専門は細分化されている。宇宙・天文とひとくくりにはできるけど、その中は、まさに広大な宇宙のように広く、深い。全てを包んでいる。

 読んでいて思うのが、宇宙を研究していると、つまるところ、「人間とは何か」「生命、いのち、生きているとは何か」「過去、現在、未来…時間とは何か」「宇宙はどこから始まって、どこへ行くのか」「この宇宙の中で人間とはどういう存在なのか」「科学とは何か」「宇宙を見るとは何か、どういうことか」「自分自身は何者か」…こんな哲学的な問題に行き着いてしまう。人間は宇宙の中では、ちっぽけな存在なのに、宙を見上げて、沢山の星ぼしを見上げては、そんなことを考えてしまう。広い宇宙の片隅で、ちっぽけな存在の人間が、宇宙の謎に近づこうと日々研究を続けている。新しい発見の度に「宇宙の謎の解明に一歩近づいた」という言葉が出てくる(私も使っている)。でも、新しい発見が見つかれば見つけるほど、また新しい謎も見つかっている。どんどん宇宙の深いところへ進んで行っているような気持ちになる。その先に、何があるのかは、わからない。

 宇宙は、私たち人間が住んでいるところ。空間も、過去・現在・未来の時間も、全てこの宇宙の中にある。宇宙の外側がどうなっているのかなんて、観測もできないし捉えることもできない。宇宙の中で、宇宙のことを考えている。宇宙の様々な姿を見ようと、新しい観測機器を開発して、様々な方向から観測も続けている。ただ、この宇宙がどうなっているのかを知りたいだけ。それは、すぐには役に立たない、それで生活は何も変わらないかもしれないけれど、渡部先生が書いている通り「長期的かつ巨視的な視点を与えてくれる」(107ページ)。

 広大な宇宙を前にして、自身の問題に取り組んでいる先生方の思考の言葉の深さ。読んだ後、私の「宇宙の公案」は何だろう?と思う。私は宇宙天文の専門家でもない。アマチュア天文家というレベルではない。星を見るのが好き。星座の成り立ちや、星や天文の文化史…野尻抱影に代表される星の民俗学にも関心がある。広範囲な天文学に興味があり、宇宙開発・宇宙工学にも興味がある。ただ、宇宙のこと、天文のことをもっと知りたい。面白いから。星・天体を観るのは楽しい。彗星や流星群、オーロラや日食・月食を観られるなら観たい。星空の中、探すのも楽しい。ロケットの打ち上げも観たい(あの轟音、空気感を味わいたい)。行けるなら、宇宙に行ってみたい(でも加重力が苦手…不安ではある)。ただ、宇宙天文が好きなだけ。

 そんな私にとっても、「宇宙の公案」はあるような気がしている。実際上記したような、つまるところ哲学的な疑問を、星を見ながら、天文学の本を読みながら考えることはある。例えば、アイソン彗星は、今地球から見える位置までやってきたが、また遠ざかっていってしまったら、もう二度と再会できない(非周期彗星)。アイソン彗星がこれまで飛行し続けてきた時間と距離、そして近日点を通過して、まだ彗星が残っていたら、これからどこへ向かうのか。そこへ向かうまで、どのくらいの時間がかかるのか。また、遠くの天体の光は、今のものではなく過去のもの。100光年先なら、光の速さで100年かかる距離。100年前の光を私たちは今観ているのだけれども、でも私たちにとっては”今”でしかない。過去と今現在が一度に”存在している”。この時間の不思議さ。宇宙を見れば見るほど、様々な謎が見つかる。それは、「自分自身とは何か」という問いに繋がるように思える。

 天文学について高度なことも書いてありますが、哲学的な視点からも楽しめる本です。第一線で活躍されている先生方の日常のひとコマのような写真もあって、親しみやすくも感じます。先生方と一緒に、「宇宙の公案」について考えてみる。その答えは、この本を読んだだけでは出ないと思うけれども、宇宙の深さ・広さの中に自分も生きているんだと思えます。それが答えなのかもしれない。
 この本はどうぞゆっくりと読んでください。
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by halca-kaukana057 | 2013-11-23 23:06 | 本・読書

果しなき流れの果に

 2011年7月26日、ちょうど2年前。SF作家の小松左京氏が亡くなりました。小松先生の作品をそれまで読んだことが無かったので、読みたいと思っていたのですが、代表作「日本沈没」は震災後には重過ぎて読めず。それからしばらく経って、この本を手に取りました。ようやく小松作品を読みました…(遅い


果しなき流れの果に
小松左京/角川春樹事務所・ハルキ文庫/1997(単行本は早川書房、1966年)

 理論物理学の研究所で助手をしている野々村と、教授の大泉のもとに、大泉教授の友人の番匠谷(ばんしょうや)教授がやって来る。番匠谷教授が持ってきた”珍しいもの”を野々村にも見てもらうために。番匠谷教授が出したのは、少し変わった形をしている砂時計。しかし、よく見ると、砂は落ち続けているのに、上の砂溜めの砂は減らず、下の砂溜めの砂も増えない、永遠に砂の落ち続ける砂時計だった。しかも、番匠谷教授はこの砂時計を、中生代・白亜紀の地層から発掘したというのだ。砂時計の謎を探るべく、出土した現場へ向かう。その途中、野々村は不思議な青年に話しかけられる。「”クロニアム”はどうしました?」と。その青年は、発掘現場の古墳にも現れる。古墳の中を調べてみると、これも不思議な構造をしていた。それから、野々村たちは奇妙で不可解な出来事に次々と巻き込まれ続ける。大泉教授も番匠谷教授も、砂時計のことを知っている人々も、そして野々村も…。


 このあらすじの部分まで読んで、さてこの後どうなるのだろう?砂時計と、野々村たちの行方の謎を解く物語が始まるのだろう…と思いきや、物語は予想もしない方向に。第3章からの展開に「なんだこれは!」と驚くばかりでした。読んでも、しばらくは事態と展開がつかめず、よくわからないまま、でもどうなるのか楽しみで、どんどん読んでしまいました。

 宇宙を舞台に、壮大な時間と、時間の中で生きる人々のたたかい。宇宙の中では、人間の寿命なんてちっぽけなもの。でも、もしその宇宙の中で生き続けることの出来る”別次元の命”を手に入れたら?更に、今私たちがいる時間軸とは別の時間軸・次元をも行き来できるなら?一体この人は何とたたかっているのだろう、誰が敵で、誰が味方なのだろう?もう壮大過ぎて頭がパンクしそうですが、でも面白い。

 時空を飛びまわる壮大な舞台で、野々村の恋人である佐世子の存在に、ほっとします。佐世子は「今、ここ」にいる。最初の地点であり、還るべき地点であることを教えてくれる。佐世子の登場するラストが、切なくかなしくも、しあわせだと感じました。

 ページを開く度に頭がパンクしそうな状態が続いているので、何度でも読みたいです。

 ところで、この作品が書かれたのは、1965年(翌年単行本化)。そんな昔にこんな凄いSFがあったのか!とまた驚きました。まだ人類が月に立っていない時代。いや、ジュール・ヴェルヌやH・G・ウェルズ、アーサー・C・クラークやアイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインラインは更に前の時代ですが…いや、まだ現実の科学・技術がSFに追いついていない時代だからこそ、自由に想像して書けるのかもしれない。でも、リアリティもある…。やっぱり凄いです。

 「日本沈没」はこの「果しなき~」の後の作品。「日本沈没」も、読める精神状態になったら読みます。
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by halca-kaukana057 | 2013-07-26 22:18 | 本・読書

都会の星

 「この本は出て欲しかった」「出版、待ってました!」「本当に書籍化したんだ!」この本が出ると知った時、手に取った時の心の叫びです。

都会の星
石井ゆかり:文/東山正宜:写真/洋泉社/2012
 
 以前読んだ「星をさがす」の著者・石井ゆかりさんと、朝日新聞の記者(2010年6月14日、朝日新聞朝刊1面の小惑星探査機「はやぶさ」の帰還の写真を撮影した方)・東山正宜(まさのぶ)さんによる、星景写真集です。



 この写真集は、元々東山さんの星景写真の展覧会から生まれました。
RING CUBE | Ricoh Japan:doughnuts企画 写真展「都会の星 -写真:東山正宜 ナビゲート:石井ゆかり-」
 ↑写真展のサイト
アストロアーツ:都会の空にも星は巡る 銀座で比較明星景写真展が開催中(2012.7.13)
 ↑「星をさがす」で星空観測、天文学について監修したアストロアーツでも記事になりました。

 都会は真夜中でもネオンや街頭、家の明かりが明るく、光害が酷いので天体観測、星見は難しい、厳しい。でも、カメラを三脚に固定して、数分~数時間シャッターを開けっ放しにして、その画像を合成すると、星が日周運動をしている軌跡が描かれる。ビルや様々な建築、夜景と一緒に星空を楽しむ「比較明星景」の手法の星景写真を広めたのが、東山さん。朝日新聞で記者をしている傍ら、街角で三脚にカメラを固定し、撮影し続けた星空。その写真展を開催するにあたって、星占いコラムで人気の石井ゆかりさんに、その星空にぴったりのコラムを書いてもらって一緒に展示しよう、というのがこの展覧会でした。「星をさがす」に続き、これも見事な天文と文化の融合。展覧会を観に行きたいと思っていたのですが、東京…地方民には厳しい。写真展で、石井さんのコラムも付くのだから、書籍化されたらいいのにな、と思っていました。そうしたら、本当に書籍化されました。素晴らしい!ありがとうございます!!

 上でも、都会では天体観測、星見は厳しいと書きました。私は田舎に住んでいて、家からは4等星ぐらい、空が暗く澄んでいれば5等星以上、夏なら天の川がぼんやりと見える、ありがたい場所で星見を堪能できています(ただし、天候が変わりやすい)。東京在住の方から2等星も見えない、と聞いた時、私は東京には住めない…と思いました(東京在住の皆様ごめんなさい)。それでも、私の住んでいるところでも、繁華街は夜も明るく、2等星ぐらいまでしか見えないことには驚きました。地方でもこんなに光害が…。家に戻ってきて、夜空を見上げると、見える星の数が違う。やっぱりこっちだよなぁ、とも。同じ空なのに、ちょっと条件が違うだけで見える星の数、星座の数が大きく違ってしまう。光害を憂うばかりです。

 でも、星座を探す時に、星が見え過ぎて逆に探せなくなる、ということもあります。贅沢な、と言えばそうなのですが、実際、そんな星空(プラネタリウムでも)を観ると、ただ圧倒されてしまいます。あれが北斗七星で、北極星があって、おうし座オリオン座、おおいぬ座とこいぬ座、ふたご座。おうし座のプレアデス星団・すばる、オリオンのベテルギウスとリゲルの色の違い、おおいぬ座のシリウスとこいぬ座のプロキオンと、ベテルギウスを結べば「冬の大三角」。おうし座の一等星・アルデバランの近くに見えている明るい星は、星座の星ではなく惑星・木星…と探してゆくには、星が見え過ぎても困るのです。適度に星が見える明るさの夜空。都会だと、明るい星しか見えないので、逆に考えると、目立った星を探しやすい。天文観測入門者には、都会の空で著名な星を探すのがやりやすい。都会でも、星は見えている。星見が出来る。望遠鏡や双眼鏡で天体観測だって出来ます。東京には国立天文台や科学館の観望会も多いし、天文愛好家たちが行っている観望会も多い。田舎だと、満天の星空に圧倒される形ですが、都会だと、明るい星をひとつひとつ確認しながら親しんでいける。星見の形がちょっと異なるけれども、星見は楽しめる。

 そして、東山さんの「比較明星景」は、都会の星空のまた違う一面も見せて(魅せて)くれる。本を手にとって、開いて…圧倒されました。これが、都会、都心で撮影された星空…?明るいビルに、星ぼしの軌跡。圧倒されました。星もそうですが、ビルや建築物と一緒に写っているのがいい。歴史のある建造物や、人気の観光スポット、夜景のきれいな場所。そんな「人工」の世界に、「自然」の星ぼしが軌跡を描いている。飛行機の航跡が写っているものもある。「自然」と「人工」が調和しているように見えます。それは写真と、宇宙が刻んできた時間や、星・天体の名前の由来や伝説についての石井さんのコラムが調和しているからだと思う。そして、人間も、人工のものも、星ぼしも、宇宙というひとつの空間の中にあるから。

 石井さんのコラムと星空の写真を一緒に観ていると、宇宙が身近に感じられる。田舎で見る星空は、崇高で、まさに遠くにある感じもある。確かに自分が立っている地球の大地と、空と繋がっているのだけれども、その宇宙は果てしなく遠い。これ以上光害を酷くしてはならない、守り続けねばならない、そんな気持ちにもなる。一方、都会の星空は、人の暮らしとともにあるような感じがする。歩いていてふと見える明るい星を、「きれいだな」と思う。そんな身近さ。田舎でも同じことは思うのだけれども、以前旅行で東京に行った時、木星が見えていて「ここでも木星が見えている」と安心した気持ちになれた。人ごみで疲れたせいだろうか。

 最後には、国際宇宙ステーション(ISS)の可視パス画像と、冒頭に書いた小惑星探査機「はやぶさ」の帰還の画像もあります。「はやぶさ」の画像を見て、あの帰還の日、帰還までの7年間、帰還後のことを思い返すとともに、石井さんの文章も合わせて涙が出そうになりました。人工の星も星だ。星をつくりたいのだ。これからも、遠くの宇宙を観たくて、宇宙の過去を知りたくて、太陽系や地球がどうやって出来たのかを知りたくて、人工の星をつくり、飛ばす。その遠くへ向かう、遠くを見つめる姿は、美しい。その最後の輝きも。

 「はじめに」を石井さん、「おわりに」を東山さんが書いています。どちらの文章にも共感しました。

 私たちは、星空とともに、宇宙の中で生きている。
 どんなに夜空が明るくて暗い星が見えなくても、星はそこにある。
 見えなくても、そこにある。

 書籍化に心から感謝します。

 最後に、展覧会とこの本が生まれる背景を東山さんのブログからどうぞ。
痛い目みてなんぼ:写真集「都会の星」ついに発売!
 東山さんのブログには、「比較明星景」の写真がアップされています。
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by halca-kaukana057 | 2012-12-27 23:36 | 本・読書


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