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天文学者の江戸時代 暦・宇宙観の大転換

 大分前に読み終わったのに、感想を書かずにいる本のひとつです…。


天文学者たちの江戸時代: 暦・宇宙観の大転換
嘉数 次人 / 筑摩書房、ちくま新書 / 2016


 江戸時代。日本の天文学は、それまでの中国からのものに加え、西洋の天文学も取り入れ、変化していった。暦の作成、日食や月食の観測と予測、月やさまざまな惑星の観測、最新の宇宙論。江戸時代に活躍した天文学者を紹介しながら、江戸時代に日本の天文学がどのような方向に進んでいったのかを俯瞰できる本です。

 江戸時代の天文学者というと、「天地明察」で有名になった渋川春海。歩いて海岸線を測量し、正確な日本地図をつくった伊能忠敬。また、天文学を推し進めた将軍・徳川吉宗などが出てくる。でも、それだけじゃない。江戸時代、日本の天文学はこうなっていたのかと、興味深い内容の本です。

 渋川春海に関しても、「天地明察」の範囲でしか知りませんでした…。史実ではあるけれども小説なのでフィクション、脚色も勿論入っている。この本では、渋川春海がどのように「貞享暦(じょうきょうれき)」や「天文分野之図」などを作っていったのか、ざっと書いてある。中国の暦や星座を用いてきたが、それを日本の地理に合わせたものに作り変えた。事実だけ読んでも、渋川春海のすごさを実感する。

 江戸時代の天文学者が次々と出てきます。以前、このブログでも取り上げたことがある麻田剛立も勿論登場します。数々の業績も素晴らしいのですが、麻田剛立のすごいところは、研究スタイルをオープンにしたこと。当時の学問は閉鎖的で、師に入門すると、学んだことは他人にも家族にも話さない、同門の者にも話さない、師に無断で著作物を出さないなど、門下だけでひっそりと研究を進めていた。一方、麻田剛立は、全てをオープンにしたわけではなかったが、大坂や日本各地の研究者を交流、議論するなど自分の知識を門下以外の人にも伝えていた。月食を観測していた際にも、見物人にも望遠鏡や観測機器を公開して、一緒に観測していたという。今では当たり前のようなことだが、当時は珍しいことだった。

 その、麻田剛立の弟子として紹介されるのが、高橋至時(たかはし よしとき)、間重富(はざま しげとみ)。高橋至時は、伊能忠敬の師匠。寛政の改暦、「ラランデ暦書」の翻訳にあたる。江戸時代、どの科学分野でもネックになったのが、オランダ語からの翻訳だろう。「ラランデ暦書」の翻訳も難航した。
 また、この頃になると、地動説や、彗星の研究、天王星の観測もあった。

 江戸時代、鎖国のため、西洋の学問はなかなか入ってこない、そのため、日本での科学分野での研究もなかなか進まない…というイメージを持っていた。語学の壁もあったが、思った以上に江戸時代の天文学はいきいきしていた。限られた中でも、試行錯誤や工夫、想像力をもって宇宙に挑んでいった先人たちのことを知ることができてよかった。

【過去関連記事】
天地明察
 小説の方です。コミカライズの感想もあります。
月のえくぼ(クレーター)を見た男 麻田剛立
 麻田剛立の児童向けの伝記です。児童向けですが、大人でも楽しめます。この本と合わせてどうぞ。

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by halca-kaukana057 | 2018-03-14 22:05 | 本・読書

カリスマ解説員の楽しい星空入門

 夏にNHKラジオ第1で放送している「夏休み子ども科学電話相談」。大人にも大人気で(むしろ大人が楽しんでいるような…わかる、すごくわかる)この冬は「冬休み」編も放送されたんだとか。その「宇宙・天文」分野の担当の先生のひとり、「コスモプラネタリウム渋谷」の解説員、永田美絵先生の星空入門の本です。




カリスマ解説員の 楽しい星空入門
永田美絵:著/八板康麿:写真、矢吹浩:星座絵/筑摩書房 ちくま新書/2017

 「子ども科学電話相談」での永田先生のお話はとても好きです。小さな子にも分かりやすく宇宙や星のことを、ラジオなので音声だけで伝えるのはかなり難しい…プラネタリウムの解説員だからこそできることだと思います。一方、宇宙が大好きで自分なりに宇宙のことを学んでいる子にはその向学心を満足させ、さらに学びたくなるような話をする。これも、学校とは違うプラネタリウムで働く専門家だからこそ。また、宇宙は謎だらけ…宇宙はどうやってできたの?ブラックホールって何?宇宙が膨らんでいるって本当?宇宙は最後はどうなるの?最近はノーベル賞受賞もあって、重力波って何?という質問もあるかもしれない(全部聞いてないので実際にあったかどうかはわからないのですが…)つまるところ宇宙って何?そんな、誰しもふと思ってしまったことがある、でも説明するのはものすごく難しい質問にも、全力で答えてくれます。

 でも、私が知っているのは、そんな「子ども科学電話相談」での永田先生。「コスモプラネタリウム渋谷」には行ったことがなく、プラネタリウム解説員としての永田先生は知りません。この本を読んでいて、普段永田先生はこんな風にプラネタリウムで解説をしているのかなと感じました。

 星空観望の入門本…というのは、実は扱う範囲が広い。まず天球上の星や太陽、月などの動き(日周運動)の話をしないといけない。それから、公転により季節によって見える星座が違うことを理解してもらわないといけない。そして、メインとなるのが星座の話。星座の成り立ちやギリシア神話などの星座物語(何バージョンもあるのでどれを選ぶか悩む)、星座を形作る恒星で明るい星の名前や由来、エピソードなど。その星座にある星団、星雲、銀河などの天体。それらをどうやったら観ることが出来るか、双眼鏡や望遠鏡の解説。その次に月、惑星、彗星、小惑星など太陽系の天体。ここでは探査機の活躍にも触れるとその天体の詳しい姿を伝えることが出来る。話題になりやすい流星、流星群も忘れてはいけない。最近、天文学上の大発見があったら触れておきたい。
 大体このくらい。文章だけだとわかりにくいので、写真や星座絵で、ビジュアルから入れるようにする。この通り、入門本とは言えど、侮るなかれ。しかも、入門本なので、宇宙・天文・星空のことを、一から、わかりやすく書かないといけない。星空観望の入門本を書くのはとても大変なのです。
 というのは、以前、私も星仲間のサークルで作っていた「○月の星空」みたいなお知らせで、星座の話を書いていた。その月に見えやすい、代表的な星座をひとつ取り上げて、解説する。ひとつだけでも結構大変。紙面は限られているのであまり長々と書けない。上に書いた、星座物語がいくつもある星座はどれを書いたらいいか迷う。むしろ、こんなお話もありますし、こんなお話も伝わっていますと全部書きたい。星座物語はギリシア・ローマ神話だけとは限らない。野尻抱影の収集した日本や世界各地の星座物語や星・星座の呼び名も書きたい。厳選して、文章にして、何度も書き直して、編集を取りまとめている人に見てもらって…書く星座のことを調べて内容を考えるのは楽しかったけれども、正直大変でした。

 この本を読んで、プロは違うなと思う。きれいにまとめている。入門書だから、もっと知りたくなったらプラネタリウムに来てほしいし、もっと詳しい本もある。まずは、実際に星空を観ること。その観る上でのポイントがわかりやすくて、なるほど~と思いながら読んでいました。新書なので文章が多め。写真や図はそんなに多くはありません。でも、それが、プラネタリウムでの解説を聞いているようでいい。

 永田先生は、「五島プラネタリウム」の解説員でした。日本のプラネタリウムの代表となったプラネタリウム。2001年に閉館。閉館前、渋谷に行くことがあって、五島プラネタリウムのドームを外から眺めて通り過ぎ、その後閉館となってしまい、あの時行けばよかったと今でも思います。永田先生がどんな経緯でプラネタリウムで働くようになったのか。プラネタリウム解説員のお仕事はどんなお仕事か。失敗や苦労、思い出も語られます。プラネタリウムは、当然のことながら投影が始まると真っ暗。解説員はコンソール(解説台)に立ったら、全部一人でやり遂げないといけない。台本も暗記。機材の操作も一人で。もし機材などのトラブルがあっても、基本的には一人で対応しないといけない。投影を観にきているお客さんが星空を楽しめるように、トラブルがあっても臨機応変に。プラネタリウム解説員がこんなに大変な仕事をしているとは思いませんでした。機材の不調でとっさに取った行動が大ウケしたり、その日2回目のお客さんがいる場合は話す内容を変えたり。「夏休み子ども科学電話相談」で同じく宇宙・天文の担当で、五島プラネタリウムで永田先生の大先輩だった国司真先生の、伝説といえる投影。このエピソードにはすごいと思いました。国司先生のお話も大好きです。やっぱり五島プラネタリウムは凄かった…。勿論、今はその五島プラネタリウムで活躍した解説員さんたちが、あちこちのプラネタリウムでがんばっている。途絶えず、引き継がれています。

 冬は当地は夜は曇る、雪が降っていることが多いので、あまり星空を観られていません。雲間にオリオン座を観たぐらい。31日は皆既月食もありますし、冬の星座は煌びやかで見どころ満載。星空をとても観たくなりました。曇っているならプラネタリウム。しばらく行っていません。久しぶりに行けたらいいな…(投影時間と今の生活リズムが合わない)

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by halca-kaukana057 | 2018-01-16 22:18 | 本・読書

物語 フィンランドの歴史 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年

 100年目のフィンランド独立記念日に、ぴったりの本を読みました。こういう本が読みたかった。


物語 フィンランドの歴史 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年
石野 裕子/中央公論新社・中公新書/2017
 フィンランドは帝政ロシアから独立して100年。しかし、その前にも歴史があり、独立後、現代に至るまで苦難も多々あった。人口500万人、ロシアとスウェーデンに挟まれた小さな国。それでも、しっかりとした存在感を示し、特徴ある文化などで世界に注目されてきた。そんなフィンランドはどのように生まれ、どんな道を辿ってきたのか。

 フィンランドの歴史というと、私もよくわかっていなかった。スウェーデンに支配された後、帝政ロシアに支配される。独立しようというナショナリズムが興り、「カレワラ」といったフィンランド固有の文化が注目される。ロシア革命のドサクサにまぎれて独立し、その後白衛隊と赤衛隊で内戦が起きる。ようやく国が統一されたと思ったら、冬戦争に継続戦争。敗戦国となったが、戦後は産業、経済面での復興を遂げ、その中からフィンランドデザインの製品が生まれた。トーヴェ・ヤンソンの「ムーミン」シリーズが人気となり、今では様々な面で世界から注目される国である…ぐらい。ざっくりと。

 この本は、フィンランドの起源から始まります。紀元前、フィンランドに人が住み始め、鉄器時代には定住、貿易も始まっていた。スウェーデンにどのように統治されていたのか。その時代に、戦争も三度あった。その後、知識人も生まれたが、ロシアとスウェーデンが対立。フィンランドはロシアに渡ってしまう。

 独立100年と聞くと、新しい国なんだなと思う。でもそれは、フィンランド共和国となってから。独立前にも、他の国に組み込まれていてもフィンランドはあった。そこで暮らしている人たちがいた。フィンランドは小さいながらたくましい国と言われる。そのルーツは、独立のずっと前から育まれていたのだろう。

 帝政ロシアの支配化での状況、独立までの経緯も詳しく書かれています。そして独立はしても、内戦が起きる。他国と戦うならまだしも、同じフィンランド人同士なのに、戦わなければならない状況というのはどんな状況だろう…胸が痛む。

 この本で初めて知ったのが「大フィンランド」構想。カレリア地方も広くフィンランドに組み込もう、領土を拡大しようという動きだ。これが、継続戦争で目指すものとなる。冬戦争は独立を保つために巻き込まれて戦争することになったが、現在、継続戦争は領土拡大の意図があったことがわかっているそうだ。また、スウェーデン語系フィンランド人やサーミの人々などに対して、フィンランドへの「同化」政策もあった。今でこそ福祉国家と呼ばれるフィンランドでも、そんな歴史があったのだ。だからこそ、今のフィンランドがあるのかもしれない。

 大戦後も、ソ連に翻弄されつつも、したたかに、たくましく冷戦下をしのいでいく。資源がないので産業を興そうと、マリメッコやアルテック、イッタラ、ノキアなどが躍進し始める。「ムーミン」もこの頃生まれた。資源のなさは、教育の充実にも繋がった。100年は短いように思えるが、たくさんのことがあった。

 今も、フィンランドからは新しいものが生まれ続けている。アップルの躍進でノキアは下火になっても、また新しい分野で伸び始めた。IT分野での、ベンチャー企業の躍進もめざましい。柔軟さや多様性も、フィンランドにはある。

 この本は主に政治、経済の面を中心に書かれているが、フィンランドはどの時代でも興味深い国だ。面白いことをやっている。芸術や文化面に関しても、コラムがある。フィンランド語とスウェーデン語。サウナにムーミンにサンタクロース。この本には書ききれなかった魅力もある。どんな切り口から見ても、フィンランドは面白い。そんなフィンランドを支えてきたのは、フィンランドの人々のたくましさとしたたかさなのだろう。「sisu(シス)」と呼ばれる、「フィンランド人魂」なのだろうか。

 フィンランドの歴史(特に政治経済面)について知りたいと思ったら、この本をオススメします。政治経済が苦手でも、新書なのでそんなに分厚い本でもないので、ゆっくりと読んでいけると思います。いい本が出ました。

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by halca-kaukana057 | 2017-12-06 23:17 | 本・読書

泣きたい日のぼのぼの

 先日、ニコニコ生放送でアニメ「ぼのぼの」全48話を2日に分けて放送していました。アニメ「ぼのぼの」を全話観たことが無かったので観てました。全話は観られませんでしたが、楽しかった。面白かった。とにかく笑ってました。「ぼのぼの」は原作漫画もアニメも面白い。ジャイアンみたいなアライグマくん。時に腹黒くなるシマリスくん。弟のシマリスくんをいじめるアライグマくんとケンカばかりだけど、実は気が合う(?)ショーねえちゃん。ぼのぼのものんびりしているけど、時に鋭い。37話「洞くつの恐怖」…あの”しまっちゃうおじさん”回は、ニコニコ動画のコメントを打ちながら、皆で観るのが楽しいんだなぁと思いながら満喫しました。他の回にもちょこちょことしまっちゃうおじさんは登場していました。

 驚いたのは、「ぼのぼの」の世界には天文学に基づいた暦があるということ!第32話「アライグマくんの誕生日」。何故アライグマくんが自分の誕生日をわかるのか。そう疑問に思っていたら、アライグマくんの説明が。目印の木と赤い星があって、一年に一度その木の上に赤い星が来ると誕生日…星の年周運動を理解していたアライグマくん…!!凄い。…ということは、「ぼのぼの」の世界はこの地球上のどこかにあるということか…?(待てw)
 34話「流れ星さんのお引っ越し」では、流星群は流れ星のお引越しなのだそう。こちらはファンタジー。しかし、満月の夜…満月だと流星群観測には条件悪くないですかとツッコんでたのは私ですw「ぼのぼの」の世界では光害なんてないから、満天の星空を堪能できるんだろうなぁ。いいなぁ、ぼのぼのたちと星見・天体観測したい…そっちじゃないw話が大幅にずれました。

 以前、「ぼのぼの」の名言集が出ていましたが、その続編が出てました。こういうタイトルのものはあまり好きではないのですが、本屋で目にした時、まさにそんな気持ちだったのと、「ぼのぼの」は別、と思って手にとってしまいました。
・以前の記事:ぼのぼの名言集(上・下)

泣きたい日のぼのぼの
いがらし みきお/竹書房・竹書房新書/2014

 「ぼのぼの」はいわゆる「泣ける」作品・漫画ではないと思う。ホロリとさせられる部分はある。しかし、ぼのぼのたちの哲学的な思索(妄想)で、ふんわりと終わる。そして物語が「開かれている」状態で、読後の読者に繋げる、バトンを渡すような。「こう思うこと、あるなぁ」とか、「自分ならこう思うかなぁ」と、続きを読むのを一旦止めて、ふっと考えてみる。そんな速さ、ゆとりで楽しめるのが「ぼのぼの」の面白いところ。

 この本には、6つのお話がおさめられています。上記「名言集」と被るところもあります。好きなのは「ボクの景色」「冬が来る」「ウマちゃん」。「ウマちゃん」はいつもは暴れん坊なアライグマくんが、”ウマちゃん”という虫をペットにする。最後のアライグマくんは、”いい奴”の一言では片付けられないような味わいを出している。「ボクの風景」はぼのぼのの哲学的思索全開。途中、シマリスくんとのギャグを効かせつつも、どこか遠く、一生かかっても手の届かないところを思う…それが生きるってこと、生きる面白さ、なのかなぁ、と。

 「シマリスくんのクノー」は、重い。ぼのぼのやシマリスくんたちは成長している。そして、シマリスくんの両親も齢を取り、シマリスくんが”介護”する。「治してあげたい」234・235ページでグッと来てしまった。
 こういう漫画では、物語の世界のキャラクターたちは齢をとらない、年月は進まないものもある。でも、「ぼのぼの」の世界では、進んでいる。見た目は変わらないように見えるけど、心は成長している。そんな「ぼのぼの」をちゃんと読みたいと思いました。単行本、20巻ぐらいまで読んで、そこで止まっているので…。

 泣きたい日に、泣かせてくれる…かどうかはわからない。が、ぼのぼのたちも私たちと同じように生きて、悩んで、笑って、怒って、遊んで、泣いて…そんな身近さがいいなと思うのです。「ぼのぼの」の森の仲間たちも、泣いて、思い悩んでる…一緒だよ、一緒に生きているんだよ。そんな風に感じます。
 泣きたい時、ギャグで大笑いして吹き飛ばす、という方法もありますね。それが出来るのも「ぼのぼの」です。

 巻末の書き下ろしの詩は、まさに泣きたい時向けだと思います。じんわり来ます。


癒されたい日のぼのぼの (竹書房新書)

いがらし みきお / 竹書房


 癒されたい時バージョンもあります。こっちは読んでない。こっちも読んでみようかな。それよりも本編全巻読んだほうがいいかな。
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by halca-kaukana057 | 2014-08-24 22:47 | 本・読書

ぼのぼの名言集(上・下)

 先日本屋で偶然見つけて、これは読みたいと思って手にとってました。

ぼのぼの名言集(上) 「今日は風となかよくしてみよう」

いがらし みきお / 竹書房・竹書房新書/2012


ぼのぼの名言集(下) 「理由はないけど すごくさびしくなる時がある」

いがらし みきお /竹書房・竹書房新書/2012



 いがらしみきおの漫画「ぼのぼの」。大好きな漫画です。学生時代はずっと読んでいました。可愛らしいぼのぼのやシマリスくん、ちょっと乱暴だけど憎めないアライグマくん、哲学者のようなスナドリネコさんに、スナドリネコさんのライバルヒグマの大将、面白いことを考えているフェネギーくん…のんびりしていて、腹の底から爆笑できて、シュールで、時に哲学的なお話が大好きです。しばらく単行本も読んでおらず(連載はまだ続いています!)、今はどんなお話になっているのかわからないのですが、「ぼのぼの」好きだなと思いながら読んでいました。

 「ぼのぼの」の作品中の「名言(迷言)」を集めたこの本。ことばと、その言葉が登場する「ぼのぼの」の各シーンの漫画と、シーンの簡単な解説が書いてあります。その言葉を深く掘り下げようとか、意味を持たせようという解説はありません。各シーンの漫画を読んで、その流れからこの言葉が生まれたのだなぁという感じで読めます。それなのに、どの言葉も響いてくる。自分や自分の周囲のことに置き換えることもできるし、自分に足りなかった・求めていた言葉にも出会える。あまりにもシンプルな、ストレートでその通りな言葉もあって、こんがらがった頭の中にさーっと清らかな水が流れるような気持ちにもなる。そして、笑える。どんな”名言”を言っても、アライグマくんやアライグマくんのお父さんがぶち壊すこともあるし、シマリスくんの家族がひっくり返すことも多い。ぼのぼのやぼのぼののおとうさんが自滅(?)する時もあり、クズリ親子はマイペースだし…。哲学的な内容と、笑いがちょうどいい塩梅で共存している。「ぼのぼの」の森は本当に楽しそうでいいなぁ。

 ぼのぼのたちの視点も、この漫画の好きなところ。海や森の中で、仲間の動物たちと、自然に触れ、自然と遊び、自然を見つめ、自然に学び、自然の中で生きて暮らしている。ぼのぼのたちの住む海・森では、時に奇妙なことも起こる。不思議なものもある。その自然をどう捉えるか、その言葉の数々が忘れていたことを思い出させてくれる。自然をありのまま、仲間をありのまま受け入れる。素直に感動する。その視点・様子に頷いてしまう。シンプルなのがいい。

 以前単行本を読んでいたとは言え、読んでいない巻も多かったので、単行本が気になって仕方ありませんでした。そして、下巻はまだ読んでいない巻のネタバレにもなる…いや、気になってますます読みたくなります。下巻の30巻以降の展開が特に気になります。随分変わってきたのかな。これは、読むしかあるまい…?

 上巻では、いがらしみきお先生と東野幸治さんの対談。下巻は哲学者・内山節(たかし)さんが哲学的に「ぼのぼの」を読み込みます。この「ぼのぼの」を哲学的に読解すると、こうなるのか…面白かったです。「ぼのぼの」の世界の時間の流れ・時間の捉え方になるほどと思いました。

 「ぼのぼの」の魅力がつまった2冊です。

 この本を読んでいるタイミングで、こんなニュースが…。
ねとらぼ:ぎゃあああああ! 「ぼのぼの」みんなのトラウマ「しまっちゃうおじさん」が15年以上ぶりに再登場
 しまっちゃうおじさん!wアニメでは原作以上に強烈なインパクトで描かれた「しまっちゃうおじさん」。何と再登場だそうです…。アニメのしまっちゃうおじさんは、MADも沢山作られ、私も爆笑して観ていました。アニメ「ぼのぼの」もまた観たいなぁ。漫画を読んでいた時にはテレビアニメは観てませんでした(放送局がなかった)。アニメも観たいなぁ。アニメはテーマソング「近道したい」「Love Two Love」(須賀響子)もいい歌だったなぁ。

 ちなみに、「ぼのぼの」には絵本もあります。

クリスマスのこと (ぼのぼのえほん)

いがらし みきお / 竹書房


 世の中に数多あるクリスマス絵本の中でも、この絵本は特に好きです。
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by halca-kaukana057 | 2014-01-21 22:54 | 本・読書

ぼくらの中の発達障害

 先日、NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられた発達障害。よく聞くけれども、よく知らない。話を聞くと、「これは自分にも当てはまる?」と思ってしまうこともある。そんな中で、この本を読みました。

NHK:クローズアップ現代:“大人の発達障害” 個性を生かせる職場とは?
 ↑番組の全文を掲載しています。


ぼくらの中の発達障害
青木省三/筑摩書房・ちくまプリマー新書/2012

 まず、この本で主に扱っている「発達障害」は、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群といった「広汎性発達障害」「自閉症スペクトラム障害」と呼ばれているもの。注意欠如・多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)も少し紹介されています。

 先述した「クローズアップ現代」や、そのほかの場面で、発達障害と定型発達(障害が無い人のことを、この本では「定型発達」と表記しています)はどう違うのだろう?どこが境界なのだろう、何が障害で何が障害ではないのだろう…?と疑問に思ったことがある。

 そのことに関しての記述がとても興味深く、またわかりやすかった。人と交わることや集団に入ることがうまくできない対人関係・社会性の障害。言葉を中心としたコミュニケーションや、いわゆる「空気を読む」といったことがうまくできないコミュニケーションの障害。こだわりが強く新しいことや状況の変化に強い不安や恐怖を抱くこだわり、想像力の障害。これらを主とする障害が、強めに出ているか。発達障害と定型発達は連続しているもの、と書いているところになるほどと思った。発達障害かと思う場合でも、グレーゾーンのような場合も多いそうだ。程度の軽い人、はっきりしない人、発達障害の特徴を持っていても普通に社会生活を送っている人もいる。境目はなく連続していると著者は考えていて、「これは自分にも当てはまる?」と思ったこともこれで納得。

 しかし一方で、発達障害の人々のものの見方や考え方は、定型発達の人のものとは全く異なるということも忘れてはならない、と。「自分とは異なった思考・行動・生活の様式を持っている」という意味での「文化」という表現を使っているのにもなるほどと思えた。

 更に中身を読んでいくと、広汎性発達障害を持つ人は他者との交流を避けがち、ひとりでいるほうがいいと思っていたのだが、そうとも限らないそうだ。著者が出会った発達障害をもつ人々の例を読んでいて、痛切な気持ちになった。「いつもひとりでいるのが好き」というわけでもなく、「友達とうまく話せない、友達の中にうまく入っていけない」、ひとりでいるほうが楽という意味でひとりがいいと思う。でも実際は、学校でできた友達と音楽など好きなものを共有し楽しんだり、同級生が話している冗談が分からず苦しかったが、先生や友達のサポートで楽になり学校が楽しくなったといったように、友達との交流を発達障害を持つ人も求めていて、その交流で穏やかに生活できるようになったということもある。ただ、定型発達の人とは異なる「文化」を持っていて、友達を作りたい、友達の輪に入りたいけど、うまく出来ずに悩む。これは定型発達の人でも思い悩むこと。やはり発達障害と定型発達は連続していて、でも異なる「文化」を持っているのだなと思う。

 第6章「発達障害を持つ人たちへのアドバイス」は、発達障害を持っている人にも、定型発達の人にも読みやすくわかりやすい内容になっていて、急いでいる時はここから読むことも出来る。本当にわかりやすい。筆者がイギリスに留学した時、英語でのコミュニケーションがうまく取れなかったこと、イギリス独特の文化になかなか馴染めなかったことと発達障害を関連付けて話しているのが、身近に感じられて分かりやすい。

 読んでいて、「クローズアップ現代」でも論じられていたように、異なる「文化」として、受け入れる、そこから学ぶ、共生する姿勢が必要なのだなと感じました。異なる「文化」として捉えることは、これまでにない新しいものと考えることにもなる。実際、発達障害の人に出会ったら、最初は驚くと思う。その言動に、イライラするかもしれない。そんな時、またこの本を読んで、少しずつ異なる「文化」と共生できたらと思う。


 そういえば、Eテレ・NHK教育でも、発達障害の子どもや先生・家庭向けの番組があります。
NHK:NHK for school:スマイル!
 この番組は小学校低学年向け。中学年~中学生向けだった「みてハッスル☆きいてハッスル」、「コミ☆トレ」が終わってしまったのが残念。「コミトレ」は時々観ていたのですが、やはり「これは発達障害じゃなくても悩むことだよなぁ…」と思ったことが何度も。
 
 ちくまプリマー新書は、中学生高校生向けの新書なので読みやすいです。大人の方も是非。
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by halca-kaukana057 | 2013-04-19 22:50 | 本・読書

宇宙ヨットで太陽系を旅しよう 世界初!イカロスの挑戦

 世界初のソーラーセイル「IKAROS(イカロス)」。「イカロス」プロジェクトマネージャー・森治先生の本が出ていたのですが、ようやく読みました。岩波ジュニア新書を取り揃えている書店が少ないっ!!


宇宙ヨットで太陽系を旅しよう――世界初! イカロスの挑戦
森 治/岩波書店・岩波ジュニア新書/2011


 ジュニア向け(大体中学から。科学好きな子なら小学校高学年からでも)の本なので、柔らかい文体で丁寧に書かれています。勿論、それ以上の方にも、わかりやすいのでお勧めです。ソーラーセイルとは何なのか、「イカロス」の仕組み、「イカロス」を支える技術や運用、開発・打ち上げからフルサクセスまで、「イカロス」開発段階での工夫と挑戦、そして、森プロマネが宇宙の仕事に就くまでのことが語られています。

 私が面白いなと思ったのは第2章の、「イカロス」計画が始まって、開発段階での話。世界初のソーラーセイル打ち上げを目指していた頃、ちょうど金星探査機「あかつき」を打ち上げるH2Aロケットに、相乗りする形で打ち上げが決まる。「あかつき」は元々、宇宙科学研究所(宇宙研・ISAS)が、M-Vロケットで打ち上げる予定で、M-Vロケットのサイズで設計されていた。しかし、M-Vロケットは廃止になってしまう。そこで、JAXAに統合したのでH2Aロケットを使うことになったが、H2Aロケットにとって「あかつき」は小さ過ぎるし軽過ぎる。これでは、打ち上げている間に強い振動を受け、「あかつき」は壊れてしまう。そこで、おもりになる衛星を載せることになり、「イカロス」や大学などの小型衛星が相乗りすることになった。この時、まだ「イカロス」は形も出来ていない。打ち上げまで2年半。その間に、機体を作らなければ。間に合わなかったら、ただのおもり…。ここからが面白い。実際に打ち上げる本物・フライトモデルと同じ、試験用のプロトタイプモデルを作らずそれによる耐久試験も省略。新しい技術となるセイル以外の部分は既存のものを使い、セイルの開発に尽力する。プロジェクトチームが柔軟に動けたからこそ、「イカロス」は間に合ったし、見事な成功を収めることも出来たのか。

 先日、BS1「Cool Japan」でも、「イカロス」のセイルに使われた日本の折り紙技術が紹介されていました。「イカロス」を支えた、「イカロス」・ソーラーセイルを実現させた折り紙。更に、セイルの膜・ポリイミド膜に使う接着剤も重要なのだと。

 更に、興味深いと思ったのが、「小型プロジェクト」こそ難しいということ。「イカロス」の正式名称は「小型ソーラー電力セイル実証機」。この「小型」を、私はずっと「イカロスが小さいから」と覚えていたのですが、大きな間違い!「小型プロジェクト」が正解。なんて間違いを!!(反省)
 「小型プロジェクト」は「小規模」「安い」「早く出来る」という特徴があります。大きなプロジェクトの前に、小さなプロジェクトで実証実験。これが成功したら、今度は大きなプロジェクトを…と考えがち、私もそう考えていたのですが、実際は違う。プロジェクトチームの人数も少ない、予算も少なく小さいものを作るので何かあった時のバックアップ機能(冗長系)を削らなくてはならない。これは、リスクが非常に高い。そして、いくら小さいプロジェクトだからといって、失敗しても構わない、のではない。もし失敗したら、チャンスをもう1回、は無い。無謀なことだったと、そこで終わってしまう。誰もやったことのない挑戦的なことをしたいのに、リスクの高い環境に置かれ、失敗は許されない。これでは、新しいことに挑戦しよう、という気持ちや場が生まれない。無難な、ありきたりなことばかりすることになってしまう。宇宙開発にとって、新しいものを作ることが、宇宙への新たな視点や発見につながる。それなのに。宇宙開発に限ったことでもない。新しいことをやってみるために、挑戦するために(勿論、しっかりと準備をして)、それらを歓迎するような環境を作ることが大事なんだ。

 第3章では「イカロス」がどのように宇宙を飛び、どんなことをしたかについて書かれていますが、「深宇宙では物理の理論がそのままに起きる」ことに面白さを感じた森プロマネの言葉に、そういえばそうだなぁと思いました。中学生の頃、理科で物理法則を学んで、実験してみても、「地球では重力があるから」「空気抵抗があるから」と理論通りにならない。真空なら、無重量なら理論通りになると聞いても、そう簡単に宇宙には行けないしなぁ…と思ったことを、思い出しました。自分が宇宙に行かなくても(行こうと思えば、宇宙飛行士になろうと思えば…)、宇宙機で実験・再現出来る。確かにその通りなのだけれども、自分にその考え方・視点が無かった!

 第4章では、森プロマネが宇宙の仕事を目指した経緯や、JAXAで出会った人々について書かれています。第5章、終わりは、挑戦すること。ジュニア向け、子どもたち、若い学生さんに読んで欲しいと思います。一方、自分は…読んでため息。何があっても、まっすぐの道を進めなくても、夢を諦めない、持ち続ける。自分にため息をついてばかりの章でした…。でも、今からでも挑戦してみようかな。そんな気持ちにもなれます。

 「イカロス」は、以前にも書いたとおり、現在”冬眠中”。一度”冬眠”した宇宙機と、再び交信出来るのか。「イカロス」と、森先生はじめプロジェクトチームの挑戦は、まだまだ続きます。「イカロス」が終わっても、木星・トロヤ群小惑星への飛行を目指すプロジェクトもあります。ソーラーセイルは、まだまだ始まったばかりです。

 尚、BS1「Cool Japan」は再放送があります。「たたむ」の回です。森先生も出てきます。
NHK:COOL JAPAN 発掘!かっこいいニッポン
 2月18日(土)午後12時~/2月19日(日)午前5時~
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by halca-kaukana057 | 2012-02-13 23:24 | 本・読書

宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎

 新聞や書店の売れ筋ランキングに、この本が何週にもわたってトップ3、トップ5、トップ10内に入っていた。宇宙論の本がベストセラー?タイトルにある通り、「素粒子物理学」・宇宙論は天文・宇宙の話の中でも一筋縄ではいかない、難しい分野。それの本が、何故こんなに売れているの?気になって、私も読んでみました。


宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎
村山 斉(むらやま・ひとし)/幻冬舎・幻冬舎新書/2010

 内容は、宇宙はどうやって始まったのか、星や天体は何でできているのか、宇宙はこれからどうなっていくのかという未だ解けない謎を、極小の宇宙…素粒子のミクロの世界から読み解く研究がどう進んできたのか。何がわかって、何がまだわからないのか。それについて、解説した本です。著者の村山先生は、「東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU)」の初代機構長。IPMUでは、数学と物理学の垣根を取り払って、両者の側から宇宙の誕生・進化・未来の謎を解こうと研究が続けられています。

 ビッグバン宇宙論によって、宇宙が膨張していることがわかった。そして、遠くの天体・宇宙を観ることは、過去の天体・宇宙を観ることに繋がっている。更に遠くを観れば、宇宙が誕生した頃のことがわかる…けれども、遠くを観る技術には限界がある。そこで、ビッグバンの頃の宇宙は、ミクロの素粒子の世界だったことに注目して、素粒子物理学の側から、宇宙の始まりについてアプローチしていく。最近の身近な宇宙・天文の話題に始まり、ニュートリノ、ニュートリノの研究へ。そこからわかった宇宙全体の96%の重さのものはまだ観測できていない。その観測できていない「暗黒物質(ダークマター)」とダークエネルギー、波であり粒子でもあるという光の研究から始まった量子力学、そして陽子・中性子よりも小さくそれらを構成する素粒子・クォークの研究、そのクォークがどんな力に支配されて動いているのか、それらの力学をひとつにする法則はあるのか…と新書ですが、内容は本格的な宇宙論・素粒子物理学の本です。

 宇宙論の本は、何度読んでも飽きない。難しいので何回も読まないと理解できないというのもあるし、次から次へと出てくる謎と研究者たちの発想と計算、理論に興味津々。そして、実際に加速器などでクォークの存在が証明され、また新たな謎やわからないこと、見つかっていないけれどもそれが無いと今の宇宙は成り立たない物質を予想し、理論が組み立てられ、発見を待つ…の繰り返し。それにワクワクする。とてつもなく昔の、とてつもなく小さな世界を知るために、こんな研究がされている。それは、私たちの生きる宇宙を知ることであり、元をたどれば宇宙にあった物質で私たちの身体・生命も生まれた。素粒子は宇宙を、私たち自身を構成する物質の大本で、素粒子が無ければ、素粒子に働く力がなければ、私たちは生きてはいられない。そんなところにも魅力を感じます。

 アインシュタインの一般相対性理論と、光が粒子でもあり光がエネルギーを持つ粒子のかたまりだという「光電効果」から、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士や、南部陽一郎博士、そして小林誠・益川敏英両博士の研究内容も出てきます。読むと、当時は奇抜とも思える発想で、凄い研究をされていたのだな…と実感します。

 内容は、正直なところ難しいです。クォークの種類と特徴、4つの力の働き方について、以前も本で読んで勉強したのに、なかなか自分の中で理解できない。書かれている内容をひとつひとつ整理していかないと、難しいかと思います。しかし、難しいけど「もっと読みたい」と思ってしまう。内容は難しいけれども、書かれている文章・言葉が身近なことを例に挙げていたり、説明も順を追って丁寧にしてあります。もちろん初級~中級レベルの新書なので、これを読めば全部がわかるわけではないですが、宇宙論・素粒子物理学はこんなにも面白いんだよ!という興味のともし火を心につけてくれる本です。最後に、「何がまだわかっていないのか」で終わるのもいい。宇宙論・素粒子物理学はまだまだこれからが面白い分野。大型加速器で新たなクォークや反物質の発見、スーパーカミオカンデなどでのニュートリノの発見、ダークマターの観測。どれも発見・観測できれば、宇宙の謎にまた一歩近づける大発見です。IPMUで研究をしている方々をはじめ、世界中の研究者たちの手で、その一歩一歩が切り拓かれる日が待ち遠しくなります。もちろん、この本をきっかけに、宇宙の謎解きに参加することを目指すもよし!

 ちなみに、この本の印税はIPMUに寄付され、研究などの活動資金にあてられます。しがない文系の私でも、小さくても研究の力になれる。そして、その本を読んで勉強させてもらえる。新しい出版の形だなと感じました。

 で、結局、何故この本が売れているのか。…皆謎だらけの宇宙に興味がある、宇宙が好きだってことでいい、かな?(強引wでも、それならとても嬉しい。

 IPMUには非公式ブログもあります。
IPMU semi-official blog
 イベントも行われているので、興味のある方、お近くの方は是非どうぞ。千葉県柏市にある柏キャンパスでは、一般公開もあるそうです。
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by halca-kaukana057 | 2011-01-08 23:17 | 本・読書

音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

 気になっていたので読んでみた。


音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉
岡田 暁生/中公新書・中央公論新社/2009


 「音楽の聴き方」というタイトルから、音楽を聴く上でのマニュアルのように読めますが、私はひとつのヒントとして受け取りました。メインはクラシック音楽についてですが、ジャズなどについても語られています。読んでいて、難しい内容だと感じました。古今東西の音楽に関する文献の引用や参考文献が多いです。一言で言ってしまえば、「はじめてのクラシック」(黒田恭一/講談社現代新書・講談社/1987)を難しくしたような本だと感じました(ちょっと乱暴なまとめ方ですが)。ただ、黒田さんの本と違う点は、「音楽についてもっと語ろう」と述べている点。

 まず、「いい音楽」とは何なのかという問いから始まり、それがこれまで個々人が置かれてきた環境やその環境とどう関わってきたか、好みや価値観などからなる「内なる図書館」によって左右される。「いい音楽」と感じるのは、その音楽と相性が合った時であり、それはこれまでの音楽体験がベースになっている。確かにそう思う。好きな音楽の傾向というのはある。

 そして、音楽を語ること。音楽を演奏する、聴く、語ることは、18世紀には繋がっていた。しかし、相当のテクニックを要求される作品が増え始めた19世紀になると、自分で演奏はするけれどもプロの演奏家の演奏を聴き、評論家が音楽を語る。演奏すること、聴くこと、語ることが分裂してしまった。

 分裂してしまっても、演奏する際、言葉が必要になる時がある。プロのオケの練習の際、指揮者は言葉で様々な指示を出す。その言葉・比喩の巧みさを例に出し、私たち一般の音楽愛好者も、「音楽を語る言葉」を知り、今度は自分なりの音楽を語る言葉を生み出してどんどん語ろう。また、音楽理論も勉強すればもっと音楽を面白く聴き、語れるだろうと述べている。

 私自身、コンサートに行ったり、CDやラジオで聴いたりして、その音楽のよさ、魅力を言葉にしたい、言葉で誰かに伝えたいと強く思うことがある。こうしてブログに書いたり、家族や友達に話してみたり。しかし、「高音がキラキラしていて」「音が繊細で…」「ダイナミックで迫力満点」…なかなか感じたことを表現できる言葉を見つけられず、「凄かった」「素敵だった」で終わることもある。作曲家は音のままで自分の想いを表現し作品にできたが、残念ながら私は言葉でないと表現できない。人に伝える時、語る時も言葉だ。ならば、語彙・表現を増やせばいい。また、音楽理論もその助けとなってくれる。音楽理論を学ぶことで、作品の構造や音・和音、調性などに隠れているその作品の魅力や作曲家のメッセージを読み解くことも出来る。聴いて語るだけでなく、ピアノで演奏する時にも役立つ。やっぱり音楽理論は勉強しておいたほうがいいと実感。さらに、音楽理論だけでなく、その作曲家の時代や国の文化、歴史、言語なども勉強しておくといい、ともある。

 また、語るのを躊躇する理由に、「よくわからない」「あまり好きじゃない」という感想を持ってしまったというのもある。そんな時、判断を保留にしておいている。ドビュッシーがその一例だった。タイトルに惹かれて聴いてみたものの、ピンとこない。とらえどころがない。苦手なのかな…でも、それだけなのかな…と保留にしておいたら、「前奏曲集」で興味を持ち、パラパラとうつろう、とらえどころがないのが魅力なんだと感じ、今では徐々に他の作品も聴いてみています。他にも、ベートーヴェン「交響曲第7番」もあまり好きな作品ではなかったのですが、小林研一郎指揮日本フィルのコンサートで聴いて、好きになった。「炎のコバケン」の熱血で血湧き肉躍る演奏に、他の聴衆と一緒になって魅了された。演奏だけでなく、演奏前に小林さんが作品解説をしてくれたのだが、それがとてもわかりやすく、後で演奏を聴く時のポイントになった。あのコンサートは今でも強烈に記憶している。
 というように、保留にしておいて、また聴く機会があるかもしれない、何かの機会で印象がガラリと変わるかもしれないと、「好き/嫌い・苦手」と結論づけるのはしないようにしている。

 私はこれからも色々な音楽に触れていきたい。演奏することも、聴くことも。そして、語ることも。クラシック音楽だけでなく、ポップスやジャズ、民謡やトラッド、演歌・歌謡曲、アニソン…。世の中には本当にたくさんの、星の数ほど音楽がある。その音楽に少しでも多く触れて、好きな、親しみを持ち続ける音楽に出会いたいなと思う。

 最後に、色々な音楽に触れ、語るという意味で、ある歌の歌詞を引用したい。アニメ「けいおん!」劇中歌「私の恋はホッチキス」から。「けいおん!」(2期「けいおん!!」)で歌われる歌の中でも、特に好きな歌のひとつです。 
今の気持ちをあらわす 辞書にもない 言葉さがすよ

「私の恋はホッチキス」(放課後ティータイム/作詞:稲葉エミ/作曲:前澤寛之/編曲:前澤寛之)より



【過去関連記事】
はじめてのクラシック
とらえどころが無い魅力 ドビュッシー「前奏曲集」
熱血ベートーヴェン
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by halca-kaukana057 | 2010-11-06 22:50 | 本・読書

身近な鳥のふしぎ

 少し前、本屋で平積みされていたので、気になって買った本。


身近な鳥のふしぎ 庭にくる鳥から街中、水辺、野山の鳥まで、魅惑的なさえずりと生態を楽しもう
細川 博昭/ソフトバンク・クリエイティブ/サイエンス・アイ新書/2010

 突然ですが、鳥が好きです。空を自由に飛ぶ鳥には、魅了されます。子どもの頃には、セキセイインコを飼っていました。野鳥も、鳥を見れば何の鳥かすぐわかる…わけではありませんが、身の回りにいる鳥を見て、何と言う名前の鳥だろう?どんな習性なのだろう?と疑問に持つことが多いです。幸い、私の身近な自然には色々な鳥がいます。その鳥について少しでも知りたくて、この本を手にしました。

 オールカラーで、それぞれの鳥の写真とイラストで、わかりやすく解説してあります。スズメやカラスなどの身近な鳥から、野山や水辺、高原の鳥まで幅広く。鳴き方、習性についてもわかりやすく解説してあります。入門書にはいいかと思います。実際、この本で出てきた鳥に出会うと「ああ、あの鳥だ」とじっくり観てしまうし、高山などに暮らす鳥にはなかなか出会えないですが、イラストや写真を見ているだけでも楽しい。いつか出会ってみたいなとも思います。

 ちょっと疲れたときに、眺めていると気持ちがほぐれる本です。鳥って、いいなぁ。飛んでいなくても、それぞれ羽毛の模様や哺乳類とは違う佇まいには、魅了されます。やっぱり、鳥が好きです。

 ちなみに、この中から日本の宇宙ステーション補給船「HTV」の愛称を探したりもしています。空(宙…同じだ!←強引w)を飛ぶものだから、鳥の名前で…と考えてしまいます。締め切りは30日。あと少しです。
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by halca-kaukana057 | 2010-09-27 22:12 | 本・読書


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