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暮らしの哲学

 再び、池田晶子さんの哲学エッセイを読んだ。何となく、「これ」と選んだのだが、その選択が大変なことになってしまった。


暮らしの哲学
池田晶子/毎日新聞社/2007

 この本は、週刊誌「サンデー毎日」にて、2006年から2007年にかけて連載されたエッセイをまとめたもの。池田さんは、この頃闘病中で、2007年2月23日、死去。そう、死去する直前まで書いていたものがまとめられている。読んだ後でこのことを知って、まだ池田さんの著書はそんなに読んでいないのに、なんて本を読んでしまったんだ…と思った。

 内容は、池田さんが日々見たもの、聞いたものから、真理とは、世界とは、と問い考える。考えてみると、これまで正反対だと思っていたものが、表裏一枚の関係だったことにも気がつく。そのひとつとして、生と死について書かれてある章もあります。章が季節ごとに分かれていて、季節を追いながら読めるのも、身近に感じる。しかも、連載されていたのが週刊誌。週刊誌で哲学のエッセイを連載することについて、池田さんはこう書いている。
 だけど私は研究者じゃない。哲学論文の制約もない。それなら、世間の真中で、「金、女、権力」の週刊誌上で、哲学するとこ見せようじゃないの。本質が現象を射抜く現場をお見せしようじゃないの。
 じっさい、筋道に沿って正しく考えているのなら、専門用語なんか要らないのである。普通の言葉で言えるのである。言えないなら、正しく考えていない、つまり哲学していない証拠のわけで、世間はそれを真贋の指標にできる。哲学は偉いことなんか何もしていないのだ。
(30~31ページ)

 ここを読んで、池田晶子さんは凄い方だったのだ…と強く感じました。

 この本を読んでいると、何度もドキリとする。自分の胸(心)に手を当てて、自分について問わなければならない、と思ってしまう。実際考えてみる。そしてまた、ドキリとする。読みながら、その繰り返しだった。身近に見ているものや、これまで私が書いてきた”言葉”が、思考によって、真理や世界、そして無限や無にたどり着く。たどり着けるなら、ものを見る眼を、音を聞く耳を、そしてそれらを受け取る心を、思考することを、思考したことを書く言葉を、磨かなければならないなと思う。いや、これでは堅苦しく感じてしまう。背筋を伸ばして、心を済ませて、素直に受け取る。こう書けばいいかな。

 「すべての死因は「生まれたこと」」の章には特にドキリとしました。もし、今池田さんが生きていたら…何を考え、どう書き綴っているだろうか。気になります。

 生きるとはどういうことか、世界とは何か…考え続けた池田さんの言葉を、これからも読んでいこうと思う。この本を読んでも、理解できなかったところがいくつかある。考えるとはどういうことなのか、私も求めてみたい。

・以前読んだ池田さんの著書:人間自身 考えることに終わりなく
 この本も、池田さんの晩期に書かれたもの。そして、池田さんの本を読むのは2009年以来だった。今度は初期の著書を読もう。
by halca-kaukana057 | 2012-03-04 23:45 | 本・読書
人間自身―考えることに終わりなく
池田 晶子/新潮社/2007

 哲学者である池田晶子さんの本を、初めて読みました。雑誌に連載されていたコラム・エッセイをまとめたもので、時事の話題も多く登場します。そのため、辛口エッセイかと思ったのですが、読み進めていくうち、哲学本だと実感しました。

 哲学というと、ソクラテスや孔子、カントやヘーゲルなど、歴史上の哲学者たちがこの世の中をどう考え、どんな言葉で表現したのか、そういう学問だというイメージがある。ところが、池田さんは身近な時事問題から、世の中の、人生・命の本質について追究しようとしている。哲学は身近なところにもあるんだ。そう感じさせてくれた。文章は辛口だけど、ストレートで思い切りがいい。こういう文章を書ける人って、すごいなといつも思う。自分の思うことを余計な媚や婉曲などなしに、スパッと言葉にする。ストレートに表現することで、それをよく思わない人もいたかもしれない。でも、私は好きだ。

 この本を読んでいて、生きるとはどういうことなのか、何を大事にして生きるべきなのか、じっくりと考えさせられた。日々、生活上の様々なごたごたや憂鬱なニュースに一喜一憂する。日常の些細なことに翻弄されがちだが、本当に大切にしなくてはいけないことは何なのか。一文一文が重く、けれども目の前にある生きる上でのもやもやを晴らしてくれるよう。特に「どうすればいいのか」、その通りだと強く感じた。
 世の中これだけ情報が溢れていても、本当に必要なことを、誰も知らない。ケータイ情報の扱い方を知ってはいても、本当に必要なこと、人生の一大事、自分や家族の生きるか死ぬか、そんな時どうすればいいのかは、誰も知らないのだ。そしてうろたえ、互いに問いかけ合っている。「私は、我々は、どうすればいいのでしょうか」。
 むろん私だって、私は、我々は、どうすればいいのかを知らない。知っているわけがない。人生とは、それ自体が、知らないものを生きることだからである。それが何なのか、それがどうなるのか、自分が知らないものを生きるのが人生である。しかし、知らないのでなければ、どうして人は考えるだろうか。知らないからこそ、考えるのだ。
(66~67ページ)

 今後も池田さんの著書を読んでいきたい。若くして亡くなられたのが残念でなりません。
by halca-kaukana057 | 2009-08-26 20:52 | 本・読書

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