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 アニメを観ました(もう1週間経っていますが)。面白かった!!

◇アニメ公式:TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト
◇NHK公式:NHKアニメワールド:ヴィンランド・サガ
 7月25日~27日、再放送あります!

 アニメは、原作の1話からではなく、トルフィンの幼少時代から始まります。以後、原作ネタバレありで書きます(原作の感想をずっと書いてきたんだし)。

・原作1巻(少年マガジン版):注目の漫画2選
・原作2巻(少年マガジン版/アフタヌーン版の追記あり):ヴィンランド・サガ2
・原作3巻(アフタヌーンに完全移籍):ヴィンランド・サガ 3

 連載が開始されたのが2005年。もう10年以上も前なんですか!その間ずっと読んできたのか私…。ずっと読んできた作品がアニメ化されて、全部カラーだし動くししゃべるし…感慨深いものがありました。キャラクターの動きや背景の美しさに魅了されていました。アニメ1話の冒頭、これは原作にはなかったような…。トルケルが出てくるのはまだ先ですが、ここでトルケルが出てきて嬉しかった。大塚明夫さんのトルケルを楽しみにしていました。イメージぴったりです!戦闘シーンの動きもすごい。3話一気に観られたのもよかった。1話だけだと1週間待ちきれなかったと思う。

 アイスランドの村に暮らす少年トルフィン。父トールズ、母ヘルガ、姉ユルヴァと、平和に、慎ましく暮らしていた。商人で冒険家のレイフ・エイリクソンが話してくれた「ヴィンランド」…アイスランドのように寒くなく、草木が茂る豊かな土地が海のずっと向こうにある。ヴァイキングとは違う人間が暮らしているらしい。その「ヴィンランド」に想いを馳せる。少年時代の無邪気で好奇心旺盛なトルフィンの豊かな表情がとても可愛かった。その一方で、トルフィンは何故ご先祖様たちがアイスランドに住むようになったのかをレイフのおっちゃんから聞く。寒さが厳しく、土地も痩せている。こんな厳しい島に何故住んでいるのか。重なるように、ハーフダンの屋敷から逃げてきた奴隷、父トールズの過去…ヴァイキングの戦士たちの中でも最強と呼ばれるヨーム戦士団で、最も強いと言われていた男・トールズが何故このアイスランドにいるのか。
 ヴァイキングの男は戦い、人を殺すことが美徳と北欧神話では信じられてきた(原作の感想でも書いているのですが、ヴァイキングにとって北欧神話は宗教だった)。そのヴァイキングの社会の中で、戦うこと、人を殺すことが嫌な人はどうしたらいい?できなくなった人はどうなる?
 「逃げる」のは、「弱い」から?「弱い」とは、「強い」とは?生きるために「逃げる」のか?
 現代にも通じるテーマを、もっと厳しい北欧のヴァイキングたちで描く。骨太で屈強なヴァイキングの戦士たちの戦闘シーンと、繊細だけれども芯の強さと心の奥深さを感じる内面。これがアニメでもそのまま描かれていて、「ヴィンランド・サガ」の原点に立ち返った気持ちになりました。

 父トールズの言葉「剣は人を殺す道具だ」「お前に敵などいない」「本当の戦士に剣などいらぬ」。不戦の誓いをしたトールズの信念も再確認しました。原作22巻では、トルフィンがその信念を再確認するシーンがいくつかある。ヨーム戦士団のその後も描かれる。22巻の感想になってしまうのですが、ヨーム戦士団から逃げたトールズと、そのヨーム戦士団であることをしたトルフィン。父から息子に受け継がれた想いが通じてよかったな…と、アニメを観て最新刊の深さを実感しました。

 アニメではトルフィンの幼少時代、アイスランドから物語が始まります。一方、原作の1話はその後の成長したトルフィンやアシェラッドが大暴れするところから始まります。原作の1話は、ヴァイキング、トルフィン、アシェラッドの強さを見せつけられます(まさにあのキャラクターのように呆然としてしまう)。アニメだと、「ヴィンランド」の存在と「逃げる」こと、トールズの信念が強調されているように感じます。アニメがもう少し進めば、これから長い物語、「サガ」が始まるのだと実感できると思います。もう始まっているのですが。

 アニメのよかったシーン…もう全部wヘルガさんもユルヴァちゃんもレイフのおっちゃんもイメージそのまま。あのユルヴァちゃんが動いてしゃべっている…嬉しいです。ハーフダンは以前は悪党と思っていましたが、アニメで見返して、原作も読み返すと、ちょっと違うなと。法は守る。法を貶す者は、自分の手下であっても容赦しない(このシーンも痛々しくて辛いけど割愛されなくてよかった)。とはいっても、トールズとの取引きは酷いものですが…。フローキは最新刊のイメージの方が新しかったので、始まりの頃のフローキに、そうだった…と思い出しました。そしてアシェラッド。声が軽い感じがして、あれ?と思ったのですが、それは8巻あたりのイメージだからだと思う。1巻あたりのアシェラッドはこのぐらい軽くていい。後から渋みや重み、狡賢さが加わればいい。ビョルンもいい感じです。

 原作を8巻まで読み返したのですが、最新刊に繋がるシーンが多いなと感じました。これから新キャラも出てくるのですが、どう描かれるのだろう。気になるのはクヌート。2~3話はある理由で、観ているとやきもきするんじゃないかとw

 音楽もよかった。オープニングはトルフィンの心の叫びか…トルフィンだけではないな。エンディングのAimerさんの「Torches」、とても良かった。気に入りました。CD発売を楽しみに待とう。
 
 本当にこれからが楽しみです。24話。じっくり観ます。どこまで進むのかな。

by halca-kaukana057 | 2019-07-15 22:41 | 本・読書

ヴィンランド・サガ 22

 アニメ放送開始直前で新刊が出ました。アニメ開始前に感想を書いてしまおう。


ヴィンランド・サガ
幸村誠/講談社、アフタヌーンKC/2019


 ヨムスボルグでのヨーム戦士団とトルケル軍の戦いは続いていた。ヨムスボルグの要塞から逃げ出すために、パルドルを人質にとったフリをしていたトルフィン。そこにガルムがやってきてトルフィンを攻撃。矢に撃たれながらも、シグルドがパルドルを人質にとる。門の外では、味方のトルケル軍が迫ってきていた。逃げろと言うシグルドに、一緒にいたグズリーズは…。
 一方、一騎討ちになったトルフィンとガルム。ガルムの攻撃をかわし続けていたトルフィンだが、戦争をゲームだと言うガルムの言葉に、トルフィンは…。


 ヨムスボルグでの戦いもクライマックスです。まずシグやん。自らを犠牲にしてやるべきことをやろうと思ったが…グズリーズの"一発"が効きました。ここだけでなく、22巻ではちょうどいいところでグズリーズの"一発""一撃"が効きます。このグズリーズは戦士たちから見れば弱いですが、"強い"です。

 そしてトルフィンとガルムの一騎討ち。それは、ガルムとトルフィンの戦争に対する考え方の違いでもある。少年時代、多くの人を殺して、戦いのない世界を作りたい、戦いなぞ意味がないと考えるトルフィン。戦争は娯楽、ゲーム、遊び、楽しむもの。本当にトルケルと似た者、同じです。
戦争に意味とかいうなよ
命なんざぶつけ合って遊ぶ以外に使い道なんかねーんだから
(53ページ)
ガルムの言葉なのですが、ガルムにしてはシンプルで深いことを言うな…と。命を武器でぶつけ合って命そのものを賭けるのが戦争なら、トルフィンは命を武器ではない別のものでぶつけ合って、別のものに懸けることを考えているのかもしれません。11世紀、戦うことが美徳とされたヴァイキングの戦士たちには、その別のものは存在しない=意味がない…そういう社会だから仕方がない。それ以外のものを求めて、トルフィンたちはヴィンランドを目指しているのでありますが。
 この言葉の後、トルフィンが一変します。挑発的に、好戦的になります。自らを「上級者」、ガルムは「初心者くん」「お子様」とバカにする。武器なしで勝つと。どうしたトルフィン…と思いますが、答えはすぐにわかります。面白い。こんなトルフィンはあまり見たことがない(少年時代とも違う)ので、かっこいいなと思ってしまいました。

 それから、トルケル、バルドル、フローキ。トルケルは戦争を心底から楽しんでいます。もう何というか…ここまで突き抜けてくれると、逆に面白い。これが戦バカのトルケルだからいいんです。ガルムとトルケルは似た者と上述、これまでも書いてきましたが、雰囲気はちょっと違うかもしれない。トルケルはとにかく戦争が楽しくて仕方がない。ガルムも戦争が楽しくて仕方ないのは同じなのだが、青臭いところがあるというか…トルフィンが言っていた「初心者くん」「お子様」なのかもしれない。
 バルドル君は、ちょっと病んでます…。でもあのフローキの元で育てられたら、病んでしまうのも仕方がない。そしてトルケルとフローキがついに対面…と思ったら、何か出てきた。別の漫画を読んでいるのかと思ったwこんなの…いたのかな。トルケルにはいい相手です。

 そして、戦争は終わりへ…。158話冒頭の名もなき戦士2人のやりとりがいい。この戦争だけでなく、これまでの戦争でも、感じることはあったのだなと思います。トルフィンの取った言動は、まさにトルフィンのやり方。あのヨーム戦士団相手に。でも、トルフィンの立場、トルフィンの血統やクヌート王との繋がりがあったからこそ出来ることでもある。その後のバルドル君、いきいきしてます。

 160話では、「ヴィンランド・サガ」の原点に戻るシーンや言葉があってよかった。アニメ化のタイミングにちょうどいいと思う。
だーれも戦争と縁なんか切れねェよ
どこだろうと人間が3人いりゃア戦争にならァな
トルフィンよ お前の作る国…びんらんど?
そこでも戦争は起きるぜ
専門家のオレが言うんだ 間違いねェ
(174ページ)
トルフィンがヴィンランドで戦争のない国を作るという話を聞いたトルケルが言った言葉です。トルケルとガルムの違いはここなのかもしれない。どちらも戦争バカだけど、トルケルはこんな考えを持っている。戦争、とまではいかなくても、「どこだろうと人間が3人いりゃァ戦争にならァな」説得力がある。いじめ、陰口、仲間外れ、対立やケンカ、マウンティング…。このような人間関係のもつれで、命を奪う・失うことだってある。いじめられたら訴えるなり、別のコミュニティに逃げてもいい。対立やケンカをしても、話し合いで分かり合えることもある。でも、やはり人間関係で負った心の傷はなかなか癒えない。このトルケルの言葉をずっと覚えておきたいです。もちろん、今回の戦争やヨーム戦士団のこと、このトルケルの言葉を受けて、これからトルフィンがどうするのか。楽しみにしています。

 この160話で出た、グズリーズの"一発"。やっぱりグズリーズは強いです。でも、これでシグやんとトルフィンはどうなってしまうのか…いいところで23巻へ。

 その前にアニメです!7月8日、午前0時10分(関西地方は0時45分)から、NHK総合で放送です!初回は3話連続一気に放送します!NHK総合と聞いて、地方でも問題なく観られると安心しました。「プラネテス」もNHKでの放送でしたし、幸村先生の作品はNHK好みなのか。でも、この戦闘シーン、血だらけ残虐シーンばかり(しかもトルフィン少年時代は特に)の原作を公共放送でアニメ化できるんだろうか…深夜だし、手加減しないでやってほしいです。
 ちなみに、アマゾンプライムでも配信。海外からも観られるそうです。「ヴィンサガ」は海外のファンも多いとのこと。公式サイトも英語でも書いてあって、すごいなぁ。


◇アニメ公式:TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト
◇NHK公式:NHKアニメワールド:ヴィンランド・サガ


 アニメ化のためか、幸村先生のインタビューも。
ライブドアニュース:漫画が読めるって、ありがたい奇跡! 幸村誠(『ヴィンランド・サガ』作者)が推さずにいられない、今最高に面白い漫画とは
 幸村先生が漫画への愛を熱く熱く語ります。漫画を読むのが大好きな幸村先生。イチオシの漫画は…?幸村先生のこの言葉がいいなと思いました。
漫画家に限らず、どんな人でも、それぞれ脳内に独自の世界が広がっているはず。その人だけの物語が眠っているはず。そして、それらはすべて絶対に面白い。そんな確信を僕は持っています。どんな人でも、です。

漫画家は、たまたま外にアウトプットする技術を身につけているので、頭の中の世界を形に残せます。けれど、多くの人は漫画家ではないですよね。ということは、形にならないまま失われていく素晴らしい物語が、この世にはものすごく多いんです…!

そう思うと、たまたま漫画を描ける人がいて、それを読むことができるなんて、ありがたい奇跡じゃないですか。だから、せっかく形になったのに知られないというのが、残念で仕方がないんですよね。


現代ビジネス:他人と自分を比べてつらくなったら?競争の激しい漫画家さんに聞いた
 幸村先生がとてもいい人すぎて…こんな方が描いているんだ…。幸村先生の漫画に出てくるキャラクターが、どんな人間でも憎めない理由がわかる気がします。漫画業界は競争社会。でも幸村先生は競争は嫌い。それでも漫画を描き続ける理由とは?自分と他者を比べて落ち込んだ時に読み返したいインタビューです。

ヴィンランド・サガ 21
by halca-kaukana057 | 2019-07-03 22:22 | 本・読書

宇宙めし! 1

 新しい宇宙漫画が出ていました。

宇宙めし! 1
日向なつお/小学館、ビッグコミックス/2019

 久世晴可は宇宙に憧れていたが、身長が低いため宇宙飛行士になることを諦めていた。就活中に、「誰もが行ける宇宙」を目指して」というキャッチコピーに惹かれてJAXAを受験。合格する。JAXAで配属されたのは、「宇宙食開発グループ」。主任の畠山、研究開発員の茅野、晴可と同じ新人の早坂未央が主なメンバー。宇宙日本食の紹介をされた晴可と未央は、宇宙食の献立を考え作ってくるという課題を出される。その宇宙食を、ISSに滞在中に日本人宇宙飛行士にプレゼンする。宇宙食の条件、何が求められるのか、美味しいものを作りたい…悩む晴可。そして晴可が思いついたのは…


 「宇宙」と書いて「そら」と読みます。「そらめし!」。あと、晴可は男性です。同期の未央よりも背が低い。

 宇宙を舞台、テーマにした作品は色々とありますが、宇宙食グルメ漫画は初めてではないかと思う。作者の日向さんはこれまでもグルメ漫画を描いて来られた方だそう。グルメ漫画…「クッキングパパ」とか、「ワカコ酒」あたりを少し読んだぐらい…。普段はあまり読まないジャンルです。NHK教育(Eテレ)で放送していた「味楽る!ミミカ」のコミカライズは入りますかね?


 色々とツッコミたいところはあります。晴可は宇宙が好きなはずなのに、何故最初にJAXAに応募しなかったのか。宇宙に関わる仕事ができるところと言えば真っ先にJAXAが出てくるはずなのに。あと、宇宙食に関する知識が乏し過ぎる。1話でサバの缶詰を見て、「これで、宇宙に行けるのかな?」(16ページ)…宇宙日本食のサバの缶詰やカレーは市販もされているのに…。
 あと、5話で宇宙飛行士の設楽が登場するが、その設楽が中学生の頃から筑波宇宙センターの「スペースドーム」にやって来ていたという話。スペースドームが開館したのは2010年。この物語は未来ではなく現代が舞台の模様(宇宙日本食の数がまだ少ない)なので、計算が合わなくないか?さすがに20代前半で宇宙飛行士になるのは無理じゃないか?(宇宙飛行士選抜試験に応募するためには3年以上の実務経験が必要)
 読むのは宇宙マニアだけじゃない、むしろ宇宙にそんなに詳しくない一般の人がターゲットだろうから、主人公が学んでいく形の方が読者も一緒に学べて親近感も沸くと思う。が、ちょっと設定が緩くないかな…厳し過ぎるかな…。

 その辺は置いておくことにして、晴可は普段はあんパンが好物で、昼ごはんもカップめんで節約。美味しいものを食べ歩いているという感じではないが、料理はそれなりに出来る。食べることや味覚に関しては独特のセンスや感覚がある模様。宇宙食を食べた時の表現がファンタジックで独特。現実よりもアイディアやイメージを大事にしているが、晴可のこんな空想家なところは面白いなと思った。

 今年はアポロ11号の月面着陸から50年。宇宙開発黎明期や、アポロの時代では、宇宙での食はそれほど重視されなかった。栄養が取れればいい、食べられればいい。それが、アメリカはスペースシャトル、ロシアはミール、そして現在のISSと宇宙での活動の幅が広がり、時間も伸びるにつれて、宇宙での衣食住も重視されるようになってきた。宇宙医学の進歩に連れて、宇宙空間・微小重力下での身体の変化や地上と異なる必要な栄養素についてもわかってきた。さらに、国籍や文化の異なる宇宙飛行士たちが一緒に、閉鎖環境で長期にわたって共同生活する上で、食は心の支えであり、コミュニケーションツールでもある。出来るだけ地上と変わらないものを食べたい。宇宙でも美味しいものを食べたい。宇宙開発に携わる国が増えれば、その国の食文化も新しく入ってくる。宇宙日本食もそのひとつであるし、イタリア人宇宙飛行士がISSに滞在することになった時、エスプレッソマシーンと無重力でも使えるカップも開発されたほど。現在、宇宙で食事は重要な要素となっている。

 私は、NHKの「サラメシ」という番組が好きだ。サラメシ=働く大人の昼ごはん。日本各地の様々な現場で働く人たちのお昼ご飯を取材する。街角の通りすがりの働く大人たちにお昼に何を食べたか取材する。その仕事らしいランチもある。職場の個性が出るまかないも美味しそう。気合を入れたい時や、大事な仕事が終わってお祝いしたい気持ちの時に食べるものもある。食べて、働いて…。番組を観た後、私もこんなお昼にしようとか思う。
 宇宙食はいわば、宇宙の、宇宙飛行士の「サラメシ」だ。

 自由な発想から始まった晴可の宇宙食。研修を終え実際に宇宙食の開発に携わるようになると、現実にぶち当たる。特に、同期の未央は健康オタクで宇宙食の現実を重視している。普段は忙しくてあまりいない宇宙食開発グループの糸川主任は、保守的で無駄なことが大嫌い。それでも、地上と変わらない、且つ、宇宙にいると実感できる宇宙食を作ろうと工夫する。赤飯のある"プラスアルファ"の開発は、食品会社の三浦も一緒になって奮闘。
 晴可のこの言葉が好きだ。
美味しい物食べたり好きな物食べると元気になるし、食べることって"生きる"ってことなんだなーって。
それって絶対地上でも宇宙でも変わらないですよね。
いろんな人に美味しく楽しく食べてもらいたい。(143~144ページ)

 私はずっと、宇宙がもっと身近になればいいと考えてきた。地上の生活の延長線上に宇宙での暮らしがあって、その延長線がどんどん短くなっていけばいい。宇宙食は、それを叶えるものだと思う。

 この作品はJAXAが取材協力しているという。全面協力でいいと思います。あまり現実に近過ぎると、漫画として面白くないのかな?どこまでノンフィクションで、どこからフィクションにするか…難しい。今後に期待です。
 晴可が作った宇宙食の簡単なレシピも載っています。夜など、飯テロにはご注意を…。1巻の中ではサンドイッチが美味しそう…。
by halca-kaukana057 | 2019-05-23 23:42 | 本・読書
 アニメが放送されてから1年経ちました。コミック版も完結を迎えます。


宇宙よりも遠い場所 3
よりもい:原作 / 宵町めめ:漫画 / KADOKAWA メディアファクトリー、MFコミックス アライブシリーズ / 2019

 南極・昭和基地に到着した「南極チャレンジ」一行。快適な基地での滞在に心躍らせるキマリたち。到着後、結月は母からのメールを受信し、その内容をキマリたちに伝える。出発前に受けたドラマのオーディションに合格し、役をもらえた。日本に帰って、ドラマの撮影が始まればキマリ、報瀬、日向と会えなくなる…。そんな結月にキマリが言った一言「もうみんな親友なんだし」結月はいつから親友になったのか、何をもって親友になったのか、わからず混乱してしまう。考えた末、結月はあるものをキマリたちに差し出した…。

 アニメだと10話~13話(最終回)。2巻では語られなかった6話のエピソードもあります。この辺りは毎回ボロ泣きしていたのですが、漫画で読んでもボロ泣きでした。南極で、4人がそれぞれ過去や悩んできたことと向き合う。報瀬が南極を去る際のスピーチで話していた「すべてがむきだしの場所」。押し込めていた感情や想いをさらけ出して向き合った。それには4人の友情が不可欠だった。友情に支えられ、後押しされ、でも最終的に決着をつけるのは自分自身。その様は痛みを伴い辛い。でも、決着をつけた4人の姿はとても爽やかだ。

 4人が過去や悩みと決着をつけられたのは、長い旅をしてきたからだと思う。目指すのは南極という地球の果てにある場所。基地の中にいれば基本的に快適だが、極地の自然は日本とは大きく違う。基地を離れ内陸へも旅をしたが、内陸は基地のあるところよりも寒さが厳しく、激しいブリザードに襲われる。そこで、報瀬の母・貴子は消息を絶った。厳しい環境で生きるには、協力し支えあわなければならない。ケンカをしていがみ合っていたら危険な状況になった際、命を落としかねない。また、集団生活で行動も制限される。同じ基地で生活している人とは協調しなければならない。その一方で、協調が大事だから不満や本音があっても心の中に押し込んでいよう…と思っても、イライラが溜まって爆発してしまっては意味がない。相手を思いやり受け止められるように、不満や本音の言い方を工夫して伝えていく。
 脱線するが、極地での生活は宇宙での生活と似ている。国際宇宙ステーションで生活し日々のミッションをこなす宇宙飛行士も、一緒に滞在する他の仲間のやり方に疑問や改善点があれば伝えていく。対話の時間を重視する。そうしないと、半年にもわたる閉鎖環境での生活に耐えられない。

 キマリたち4人も相手に対して疑問や言いたいことがあれば伝えていく。10代ゆえ、そのやり方は少し乱暴だったり、ぎこちなかったりする。でも、相手を思いやる気持ちは通じているので分かり合える。友情に悩む結月、高校在学時代の陸上部のチームメイトに対するわだかまりを抱えている日向、母・貴子への想いを確かめに南極にやってきた報瀬。キマリはめぐみのこと、青春することそのものだろうか。それぞれの問題に対して思うことを伝える。長い旅をして、南極に滞在し、長い時間を一緒に過ごしてきた。日本を経つ前にも、事あるごとに4人で集まった。長い時間一緒にいることで、よりお互いに思うことを伝えやすくなったのだろう。たとえ、報瀬の母の死という重い問題でも、重いからこそ一緒に報瀬の気持ちを汲み取ろうとした。南極に着いて、母が消息を絶った場所に行っても何も変わらなかったら…と不安になる報瀬の気持ちを汲み取っていたからこそ、キマリたち3人はあの行動に出られたのだと思う。

 そんな4人の友情ですが、いいなと思うのは、必要な時はひとりにしてあげること。ひとりで考える時間が持てるように放っておけること。日向の「何かをするのが思いやりではない 何もしないのも思いやりである!」(100ページ)の名言や、弓子さんの「お互いほっとけるっていうのは いい友達の証拠だよ」(101ページ)のように。最終的には自分で結論を出せるように。それがあのラストシーンに繋がったのだと思う。

 キマリたち4人もいいのですが、吟さんやかなえさん、弓子さんなど大人たちもいい。吟も報瀬と一緒に貴子への想いを抱え、もがいている。内陸への出発前のバーベキューで、2人で静かに一緒にいるシーンがすごくいい。

 どのシーンがいいとかを語ろうとすると、全て挙げたくて止まらないのでこのぐらいにしておきます。よりもいはいい作品です。

 この漫画版では、アニメでは出てこなかったシーンが特別編と、ラストに追加されています。どちらもじんわりとする内容でした。

 これで、漫画も完結…終わってしまって寂しい…。でも、この余韻のまま終わってよかったなと思うので、私は続編はなくてもいいかなと。4人はまた旅に出るのでしょう。それだけで十分です。素晴らしい作品をありがとうございました!

・2巻:【アニメ コミカライズ】宇宙よりも遠い場所 2
by halca-kaukana057 | 2019-04-10 21:57 | 本・読書
 強い寒波の襲来で、とても寒いですね。年末年始は寒さが続く模様。こんな時にぴったりの漫画が出ました。しかも舞台はフィンランド!


ケサランなにがしとスープ屋さん 1
堀井 優 / マッグガーデン、BLADE COMICS pixiv / 2018

 フィンランドの田舎町。妹のティナはスープ屋さんを営んでいる。兄のニコラスは図書館司書。そんな2人の家に、ある冬の夜、不思議な白い物体が入って来る。博学のニコラスによると、ケサランパサランみたいだ、と。捕獲し、エサとしてマタタビをあげてみると…。2人は、育った生物を「ケサランなにがし」と名づけ、飼い始めた…。


 まず感想を一言。可愛い。そして癒される。
 ケサランなにがしがとにかく可愛い。ふんわり、モフモフで、のんびりしている。仕草も可愛い。ケサランパサランは日本の伝承だったのか。日本語の本を読んでいるらしいニコラスは、日本語がわかるのか?
 そして、ティナも可愛い。一人でスープ屋さんを営み、毎日スープやパン(フィンランドはライ麦パンと、「プッラ」と呼ばれる菓子パンやお馴染みシナモンロール)を仕込み、売っている。ニコラス曰く、よく働く。その通りで、毎日けなげに働いている。でも、苦しい感じは全く無く、スープ作りも楽しんでいる。そんなティナのもとにやってきて、ティナに懐いたケサランなにがし。ティナもケサランなにがしに癒され、可愛がっている。そんな2人の様がほんわかしていてまた癒される。アナログ(なのだろうか?デジタルでもアナログっぽく描けるんだろうか)な絵がまたいい感じです。

 舞台がフィンランドということで、フィンランドの食や生活、文化や自然も漫画の中にも、各話の合間のコラムにも出てきます。ここまでフィンランドの文化やライフスタイルを取り入れた日本の漫画(しかも最近の)はなかなか見ない。スープは「Keitto」このブログでもよく出てくる「Lohikeitto(サーモンスープ)」は定番。木曜日に食べるのが習慣の「Hernekeitto(豆のスープ)」は気になっていたんだ。スープは冬だけでなく夏も食べる。夏に合った「Kesäkeitto」の中身を決める話には、夏も夏らしいスープを食べるんだと知らなかったことも知れたり。ティナのお店でスープを食べたいと思ってしまった。フィンランド語も少し出てきます。のんびりとしたフィンランドの田舎町に、ケサランなにがしのふんわりとした雰囲気がとてもよく似合う。時に、森や湖などフィンランドの自然を感じられるシーンもあって、美しい。特に、湖で釣りをして、ケサランなにがしが空から湖と森を見ているシーン。ああ、フィンランドだなと思います。

 兄のニコラスもいいキャラしています。図書館の司書で、とにかく本が好き。夜は遅くまで本を読んでいるし、休みの日もやっぱり本。そんなに本を読んでいるニコラスなので、先述した日本語がわかっても不思議じゃない…。ニコラスとケサランなにがしは、ティナほど懐いている感じではないのですが、いい距離感でいい雰囲気。落ち着いて面倒も見て、ニコラスも癒されている。妹思いのいい兄です。
 ティナの友達のミルッカもちょっとだけしか登場しませんが、可愛い。ミルッカとケサランなにがしの関係もまたいい。

 今後、ティナがスープ屋さんを始めるきっかけや、フィンランドの文化などももっと紹介されればいいなと思います。この漫画は寒い日に、ストーブが効いたあたたかい部屋で、コーヒーを飲みながら読みたい。心もあたたまります。
 1巻の最後、ケサランなにがしに変化が…?このまま癒し系ほんわか路線で行って欲しいんだが…

 表紙カバーを外すと、Lohikeitto(サーモンスープ)のレシピもあります。私の作っているレシピとは少々違いますが、ほぼ同じです。ディルは乾燥したものが輸入食品店のスパイスコーナーに売っていると思うので、是非入手してください。ディルのある、なしで風味が全く変わります。
 一応、私のレシピはこちら:フィンランドのサーモンスープ「Lohikeitto」を作ってみた
 その時によって、材料の分量は変化します。
by halca-kaukana057 | 2018-12-27 21:53 | 本・読書

Im ~イム~ 11 [最終巻]

 好きな漫画がラストを迎えるのは、感慨深くて、寂しいですね…。「イム」完結です。

Im ~イム~ 11
森下真/スクウェア・エニックス、ガンガンコミックス/2018

 ジェゼルのミイラ(遺体)を得て、復活したアポフィス。地上では、「マガイ・エネアド」が世界中を壊し、多くの人々が死んでいた。さらに、アポフィスは晴吾や稲羽、神官団の人々をマガイにしてしまった。皆を助けたいが何もできず、混乱するイム。しかし、陽乃芽だけはマガイにならなかった。陽乃芽は怒りセクメトの炎をアポフィスに放つ。陽乃芽は逆に攻撃されてしまうが、アポフィスは身体に違和感を覚える。一方、トトはアポフィスとの友情について考えていた。表に出てきたトトは、アポフィスと戦う、「絶交」することを決意する。

 ついに復活したアポフィス。しかも地上には巨大なマガイがいて、世界を破壊しまくっていた。ここまで来た神官団の者たちもマガイ化され、打つ手もなく…。マガイ・エネアド、勝てる気がしない…。しかし、陽乃芽という希望がいました。古代エジプト神話は、ひとつの物語にまとまっていない。様々な物語・説があり、神々もその物語ごとに数多く出てくる。アポフィスとセクメト神の共通点をうまく取り入れた感じです。アポフィスがジェゼル、セクメトは陽乃芽で、2人ともイム(トト)の友達。似た者でもある。イム・トトと友達になる対の存在のようにもなっています。この2人は後で重要な立場になります。陽乃芽の優しさと強さに爽やかな気持ちになります。

 イムにはまだ友達がいます。神官団の仲間たち。マガイにされてしまいましたが…その手があったか。全員で総攻撃する様はかっこいい。しかも、クレオパトラとラムセスまで。クレオパトラの言葉にじんと来ます。

 「絶交」からの仲直り。ジェゼルとイム、アポフィスとトト。ジェゼルとイムは、本当にここまで長かった。そして、11巻冒頭でも語られているのですが、ジェゼルは最後までジェゼルだった。アポフィスのことを、忘れられなかったのが切ない。

 もう1組、放っておいてはならない関係の者がいました。コンスとアトゥムの「器」。コンスは覚えていたんですね。

 壊滅状態の世界をどうするか…ラスト。平和な日常は、誰かによって守られている…。お別れのシーンはじんと来ます。そして…。以前出せなかった陽乃芽の「進路希望」がどうなってるか。嬉しくなりました。

 王道な友情と真正面からのぶつかり合い。友情の隣には、孤独があった。様々な理由で自ら孤独を選ぶ人は少なくないと思う。私もそんなことを思ったことがあった。でも、誰かが近くにいて、そのただならぬ孤独に気づいていることも少なくない。手を差し伸べれば、その手を受け止めれば、孤独は薄れるかもしれない。様々な友情のかたちを、見せてもらいました。後半、情報量が多くてついて行けない、何度か読まないと状況が読み込めないところもありました。あのスピードも必要だとは思いますが、付いていくのは大変だった…。古代エジプト神話が題材になっている、という理由で読み始めた漫画ですが、古代エジプト神話の幅の広さ、奥の深さも実感しました。普段はあまり読まない王道友情少年漫画ですが、楽しめました。ありがとうございます。

 番外編は、ジェゼル王子の事件簿。人々を助ける立派な王(ファラオ)になりたいジェゼル王子が、エジプトのある村のミステリーにイム(イムはあくまで「大神官イムホテプ」)と共に挑みます。イムは勿論、ジェゼルの未来を知っている。ジェゼルは知らない。無邪気で国民思いの優しいジェゼルが、切なくなります。

 表紙カバーは、全部読んだ後に外して下さい。読む前に外すとネタバレします…。

・10巻:Im ~イム~ 10
by halca-kaukana057 | 2018-11-30 22:33 | 本・読書

ヴィンランド・サガ 21

 そろそろこの間読んだ「ヴィンランド・サガ」最新刊の感想を書こうかな…と思ったら、発売したのは8月下旬だったことに驚きました。そんなに前だったっけ?!本を買っても読まずに積んでおくことを「積読」と言いますが、私の漫画の場合、読んだ後そのまま積んでおいてます…。


ヴィンランド・サガ 21
幸村誠/講談社、アフタヌーンKC/2018

 戦いの中にある、ヨーム戦士団の本拠地、ヨムスボルグ。砦から脱出する途中に傷を負ったレイフ。レイフを戦場から遠ざけるためトルフィンとエイナルはトルケルに話すが、相手にしてもらえない。砦の中にはグズリーズが取り残されている。グズリーズを助けるために再び秘密の井戸の通路から砦に侵入するトルフィンとエイナル、ヒルド。その後を、トルケルの手下であるアスゲートに命じられ、シグルドが追っていた。砦の中に侵入したトルフィンたちとシグルド。トルフィンたちはバルドルのもとへ案内され、グズリーズと再会する。どうやって砦を抜け出すか…そこへ、フローキがやって来る。一方、シグルドは…。砦の外では、ガルムが…。


 21巻の山場はトルフィンとフローキの対面。トルフィンは19巻で、父・トールズを殺したのはフローキだと知ります。トルフィンの表情、感情が一気に変化する。もう自分から人を殺す戦はしない。仲間を守るためであっても人を殺すことはしない。どんな時も、そういう立場だったトルフィンですが…。アシェラッドのもとでトールズの仇を討とうとしていた少年の頃のトルフィンとも違う。あの頃も殺気に満ちていたが、このフローキに会ったトルフィンは全然違います。これまで積もり積もった父への想い、真実を知った衝撃。その全てが、恨み、怒りとして暴走している。こんなトルフィンは初めて見る。バルドルの言葉も重い。まだ少年だというのに、祖父がどんな人間か知っている。知っているからこそ、バルドルも戦士団を継ぎたくないし、戦もしたくないのだと思う。

 「元気君」シグルドは、トルフィンの後を追って砦の中へ。しかし、兵士に見つかってしまい大変なことに。コミカルな部分もあるのですが、かなりやばい状況です。そんな状況で、シグルドの手下の太っちょさん(名前がわからない…すみませんw)が、鋭い質問を。シグルドは本当はグズリーズのことを好きではないと指摘。それに続く言葉。
シグやんが本当に望んでいることはなに?
本当に望んでいることをしなよ
そのほうがグズリーズさんもシグやん自身も幸せになれるよ
たぶんね
(78ページ)
 この言葉が、後半、終盤のシグルドを変えた、のか…?

 砦から脱出する方法を探り、ある手に出たトルフィンたち。砦の中は大変なことに。でもうまくいくんじゃ…と思っていたら、この人の登場…ガルムです。本当にタイミング悪い奴だな!シグやんピンチ。どうなる!

 シグルドへの鋭い質問もそうですが、砦の中で処刑された名もなきヴァイキングの兵士の会話もポイントです。20巻同様、ヴァイキングたちの中にも、自分たちの生活、生き様について、「これでいい」と思っていない者もいる。これが、トルフィンたちをヴィンランドへ向かわせる動機となるはずなのですが…まだまだ長そうです。まずは、ヨムスボルグを無事に脱出できるのか?21巻に続く。

・20巻:ヴィンランド・サガ 20

 ところで、帯にも書いてあるのですが、「ヴィンランド・サガ」アニメ化決定です!!
コミックナタリー:「ヴィンランド・サガ」WIT STUDIO制作でTVアニメ化、幸村誠も歓喜
◇アニメ公式サイト:アニメ「ヴィンランド・サガ」
 いつかはアニメ化するだろう…でも、血がいっぱい流れる、残虐なシーンが沢山、物語も長い(トルフィンの少年時代だけで終われない)ので、アニメ化は難しいだろうと思っていたのですが…本当にアニメ化しますか!来年放送予定。動くトルフィンやアシェラッド、少年時代の美少年クヌートを観たいです!ユルヴァちゃんも観れますね!
 アニメ公式サイトでは、幸村誠先生と、籔田修平監督の釣りをしながらの対談が面白いです。

by halca-kaukana057 | 2018-10-31 22:47 | 本・読書
 4月からの再放送もしっかり観ていました。「宇宙(そら)よりも遠い場所」漫画2巻です。


宇宙よりも遠い場所 2
よりもい:原作 / 宵町めめ:漫画 / KADOKAWA メディアファクトリー、MFコミックス アライブシリーズ / 2018

 キマリたちが南極に出発する日が近づいてきた。報瀬や日向、結月と準備を進めるキマリ。一方、キマリの幼馴染のめぐみは南極へ行くことを決め、準備に励むキマリを見てもどかしい想いをしていた…。いよいよキマリが南極に出発する朝、めぐみがキマリの家の前にいた…。
 南極への玄関口、オーストラリアのフリーマントルに着いた4人。そこでは、「南極チャレンジ」の南極観測船・ペンギン饅頭号と、隊長の吟やかなえが待っていた。南極で行方不明の母と親しく、「南極チャレンジ」を共に立ち上げた吟たちにたいして、報瀬の態度は…。

 アニメでいうと、5話、7~9話です。4話は特別編で、6話は後でじっくり日向回のようです。

 5話(漫画だと5、6話)は何度アニメを観ても、そしてこのコミック版を読んでも、胸に突き刺さるけれども、勇気を貰える。失敗することを恐れて、何かをやりたいと思っても前に進めずにいたキマリ。そんなキマリのお姉さんのような存在のめぐみ。キマリは弱気で怖がり、勇気のない自分を「嫌い」と思っていた。めぐみにいつも背中を押され、一緒にいて、安心を得ていた。それが、報瀬と出会い、南極に行くと決めてからは失敗するかもしれないという現実にもめげずに南極に向かって前に進んでいた。これがキマリの視点。
 一方、めぐみの視点。「頼ってもらっている」自分が安心できる…キマリと一緒にいる時間が減って、それを自覚してしまった。そして、めぐみがとった行動。最初アニメを観た時は許せないと思いましたが、何度も観ている、読んでいるうちにめぐみの気持ちもわかると思った。(でも、悪い噂を流したことは許せない)
 学生時代にしろ、社会人になってからも、先輩でいる、リーダーを務め、「頼られている」のは気分がいい。でも、先輩だから、リーダーだから、自分が動かしているわけではない。後輩たちや他のメンバーも動き、支えている。先輩・リーダーの自分も支えられている。そのうち、後輩が一人前にできるようになったりするとさみしくなる。また頼ってくれないかな、何かあったら助けてあげるよ、なんて思ってしまっている(自分でもなんと傲慢か…)。ここで、考え方を変えられないとずっと傲慢な困った人のままだ。
 めぐみはキマリの出発の日にある決意をする。旅立つキマリのために、自分のために。50ページ、53ページのめぐみのセリフが突き刺さる。そんなめぐみに対するキマリの態度がまた強くてしなやか。キマリは一気に成長していた。
 この箇所で出てくる、日向の名言は事あることに思い出しています。
「人には悪意があるんだ。悪意に悪意で向き合うな。胸を張れ」

 7話から9話(漫画だと7話から9話)は、報瀬と吟を中心に、かなえたち大人の視点、船に乗り込んだキマリたちの視点でも描かれます。吟やかなえが思い出す報瀬の母・貴子のこと。「南極チャレンジ」の置かれている微妙な立場。大人たちの3年ぶりの南極観測への思い。この3年で何があったか。大人社会の現実を突きつけられるけれども、それでも南極に向かう。南極に向かわずにはいられない。そんな大人たちの姿がいい。
 キマリたちも、南極への航海の厳しさにぶちあたるも、102、103ページのキマリのセリフは事あるごとに思い出す。何かに挫けそうになった時、「選択肢はあったけど、自分で選んだんだ」と言い聞かせる。

 報瀬にとっては、母と向き合わねばならない航海。今までは、ただ「お母さんのいる南極に行きたい」という気持ちで突っ走ってきたが、その「南極に行く」ためには、様々なものが報瀬の前にあった。吟の存在もそう。吟から見た報瀬も、貴子のことを思い出さずにはいられない。だが、南極へ向かう厳しい航海、荒れ狂う海、行く手を阻む定着氷。戦い、乗り越える。何度も挑む。吟の中にも、報瀬の中にも、明るく逆境に立ち向かう貴子の姿があるのがじわりとくる。ラミングのシーンは熱いです!

 いよいよ南極到着。漫画を読んでていても、あのセリフを言ってしまいますね(勿論ひとりきりの部屋で) ざまーみろー!!
 それぞれの心の奥底に触れられる2巻、「よりもい」の魅力が詰まっています。

◇1巻:【アニメ コミカライズ】宇宙よりも遠い場所 1
by halca-kaukana057 | 2018-10-02 23:11 | 本・読書

Im ~イム~ 10

 遅れがちになる漫画の感想。発売したのは5月でした。早く書かないと次の巻が出てしまう。


Im ~イム~ 10
森下真/スクウェア・エニックス、ガンガンコミックス/2018

 コンスが、ジェゼルの遺体(ミイラ)を持ち去った。様子がおかしいとコンスの後をつけていたセドも攻撃されてしまった。セドとラトは黒アザを持っているコンスを止める為に護衛に付いていたのだ。コンスは、唯一の肉親、弟を九柱神に奪われ、神官団を憎んでいた…コンスが神官団に入団し、黒アザを発症した頃から、ヘシレはそのことを秘密にして、黒アザの治療法の研究に使っていた。魔法を使うと黒アザが侵食するため、ラトとセドを護衛につけた。一方、トトはミイラのほうを心配していた。アポフィスがジェゼルの肉体を得て、世界中の人々に散らばった心の闇がアポフィスに戻ってしまったら、アポフィスは完全復活する。イムは、以前アトゥムの「器」と話した時のことを思い出していた。アトゥムが言っていた思い出せない「ある人」を探したい…イムはその約束も守ろうと、アポフィスがいる「原初の丘」へ向かう…。


 ミステリアスな存在だったコンス。力はあり、飄々としているけれども、常に何かを隠しているそぶり。イムに協力的なようで、何かありそうな感じではあった。九柱神のことになると憎しみの感情を持つ(でも人前では出さない)。黒アザを持っている。コンスの本性が出てきました。イムがアトゥムの「器」と話をしたのは8巻の最後のほう。神官団本部の街で人々がマガイ化し、そのマガイを回収するのに駆け回っていた途中、イムは力尽きて倒れてしまう。その時、アトゥムの「器」と会い、話した。9巻の最初で、倒れている間、アトゥムの「器」と話した、と言った際、コンスが激しく反応した。ということは…?
 九柱神の「器」というのも、今までよくわからない存在でした。そうか、誰か人に乗り移らせているシステムなのか。アトゥムだけでなく、あとの8人も元々は一般人だったということか。8巻の最後で、セトも、「器」について話していた。神官団のシステムは、よくわからないというか、結構強引で残酷ではある。大きな組織だから、オシリス家のような人たちもいるし、色々な考え方の人がいて、利害や思想で派閥を作ったり、駆け引きしているのだろう。

 そのコンスや、アポフィスからジェゼルのミイラを取り返すため、イムたちは「原初の丘」へ向かう。世界の始まりの場所。行くためにはイムの魔法と、陽乃芽のセクメト神の魔法が必要。陽乃芽ちゃん、がんばりました!他の上位神官たちから陰口を叩かれても動じず、魔法を的確に発動させることに集中している。陽乃芽ちゃんが魔法を発動させる際、セクメト神のお面?を被っている?もしくは、セクメト神の顔になる?んですね。「原初の丘」は不思議なところです。そこで、コンスとのバトル…に対抗したのは、なんとあの人!イムも驚くほどの強さの魔法。改心して戻ってきてくれたのが嬉しいです。

 コンスの魔法も初めて見たが、強い。こんなに強かったんだ。ミイラを奪う際もかなり強い魔法を使った模様。ただ、長く持たない。黒アザに侵食されてしまっている。

 「原初の丘」では、新しい敵が登場します。アクエンアテン。しかも、あの姿で。とってもシュールではある。確かに、史実からしてアメン神官団の敵だもんなぁ。
 コンスとのバトル、アクエンアテンとのバトルだけでなく、クレオパトラにラムセスも再登場します。クレオパトラに対抗するのは、女同士、ラトさん。追いついたイムの、クレオパトラに対する言葉がぐっと来る。敵側ではありますが、同じエジプトの者だからね。さらに、ラムセスは…この人本当に強いです。精神的にも強いです。信念も強い。物事を見据えていました。ラムセス…かっこいいぞ。あの陽乃芽ちゃんとのバトル、そこで陽乃芽ちゃんの言葉を覚えていたんですね。このバトルと、クライマックスで、クレオパトラがどうなったのかわからない。どうなったんだ?

 神官団に入る前のコンスも、クレオパトラも、ラムセスも、友情や愛情で結ばれた人がいる。でも、引き裂かれてしまう。友情も愛情も邪魔されたり、すれ違ったりで相手に伝わらない、伝えられないことは現実でもある。私もそんな気持ちをずっと抱えている。それが、心の闇になってしまっては困るのだが、自分独りで思えば思う程暗いものになってしまう。何より、イムとジェゼルも、トトとアポフィスもそうだ。相手に伝えて、伝え返してもらえるのか。コミュニケーションとして成立するのか。不安はあるが、相手にぶつかっていくしかない。できないなら、あきらめるしかない。

 クライマックスです。ガンガン本誌の連載では、既に最終回を迎えたそう。読みたい…。9月発売予定の最終巻、11巻を待ちます。

Im ~イム~ 9
Im ~イム~ 8
by halca-kaukana057 | 2018-07-22 22:40 | 本・読書

Im ~イム~ 9

 新刊として出たのは1月だったか…春になる前に感想を書きましょう。


Im ~イム~ 9
森下 真/ スクウェア・エニックス、ガンガンコミックス / 2018

 人間をマガイ化する黒アザの出る薬を仕込まれ、アメン神官団本部の街は大混乱に。それぞれが戦う中、イムは「記憶抹消大魔法(ダムナティオ・メモリアエ)」を使い、街もマガイ化した人々も元通りにする。イムを「救世主」と崇める人々たち。だが、その後イムは倒れ、眠り続けてしまう。再び目覚めたイムを待っていたのは、知らない間に元通りになった街と、イムを「救世主」と呼び讃える人々だった。イムは3000年前、ジェゼルを助けようとした際、「記憶抹消大魔法」を使ったが、それ以後は使わないと決心していた。イムが眠り、記憶を失っている間、何が起きたのか。イムが覚えているのは、九柱神(エネアド)のアトゥムの「器」と会っていたこと。イムは九柱神に会いに行く。そこで、世界創世の神話の真実を知ったイムは…


 9巻も展開が早く、次々と新しい情報が出てきます。一度読んだだけでは覚えきれない、過去のエピソードや伏線を、なんだったっけ…と思い出すのも必要。濃いです。

 イムのおかげで、街も人々も救われた。「何も無かった」ことになった。その結果はよいことですが、イムにとっては信じられない、納得できないこと。イムも覚えていない。記憶に無い。「記憶抹消大魔法」を使ったのは誰…?ということで、その謎解きの旅に。
 その前に、イムはその謎を陽乃芽に話す。もうひとりの自分がいて、それが「記憶抹消大魔法」を使ったのではないか。また、何かが起き、皆の記憶どころか、皆の存在も消されてしまったら…そんな不安を、陽乃芽が吹き飛ばし、背中を押します。大神官で、誰よりも賢く、誰よりも強いイムにも弱みや悩みがあって、それを信頼している人に話すことが出来るようになった。いい友情です(陽乃芽にとっては「友情」ではなく…?)。そして、イムの本心。ジェゼルと仲直りがしたい。これらについては、9巻終盤でも出てきます。

 九柱神と会ったイム。そこで語られるのは、九柱神以前の創世神話。「混沌の八柱神(オグドアド)」、その守護神アポフィスと「記録者」月の神トト。あのアポフィスも神なのか…。そして、「記憶抹消大魔法」の本当の使い道も明かされます。淡々と語るアトゥムに、「神」であるアトゥムに対して怒りをぶつけるイムの言葉がすごくいい。
 イムは今度はトト神に会いに月の宮殿へ。トト神のこれまでと、イムやファラオたちに宰相として仕えていた大神官たちが何なのかが明かされます。そう来たか…。トト神と、イムの対峙。トト神は、あくまで中立で、世界を記録する。しかし、イムホテプは、「親友」ジェゼル王のために、「記憶抹消大魔法」を使った。中立になりきれてなかった…。イムが「お祓い箱」と呼んでいる「月光の魔水晶」の秘密も明かされます。たくさんの謎が明かされるのに、更に新たな謎、情報が出てくる。すごいなぁこの創作世界…。
 再びアポフィス登場。アポフィスがトト神に語ったのは、トト神には信じられないこと。トト神は中立の立場とはいえ、人間と同じように、人格、感情を持っている。イムとジェゼル、トトとアポフィス。「友達」のための戦いが始まります。

 読んでいる側も、イムの真実に混乱しますが、イムの周囲の人々も大混乱。ユート君ですら理解しきれない…。稲羽くんの言う通りなら(これが真実なのですが)、どうやってアポフィスを倒すんだ…?何かアポフィスの弱点、バグでもあるのか?
 そして、上述した、イムの本心、ジェゼルと仲直りしたい、ということも伝えられます。しかし、マガイに肉親を殺された稲羽くんや晴吾たちにとって、それは許せることではない。いくらジェゼルではなくアポフィスの仕業だったとしても、ジェゼルもマガイに関係していた。稲羽くんにとってジェゼルは許すことのできる人ではない。でも、信頼しているイムのことも思うと…。反発しても、「仲間」というつながりがそれを超えていく。かつては晴吾と対立していたイムですが、稲羽くんとも対立し、理解し合えた。ひとりひとりと、こういうシーンがあるのがいいですね。

 ラスト、また非常事態発生。ついにあの人が…!!この人にも悲しい思いのまま終わってほしくない。どうするんだ。10巻を待ちます。ついに10巻まで来たんですねぇ。

・8巻:Im ~イム~ 8
 この9巻は、さらに遡らないとイムの真実や本心にたどり着けません。本当に9巻は濃いです。
by halca-kaukana057 | 2018-03-23 22:27 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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