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今年もばらの季節

 今年もばらの季節がやって来ました。
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 ピンクのきれいなばら…と画像をPCで確認していたら、蜂も写っていたのに驚きました!確かにばらを見ていた時蜂は飛んでいた記憶はあるのですが、この花を撮影中はわからなかった。一瞬の出来事だったと思います。それをよく捉えた自分…。しかし、蜂に刺されるなど無くてよかった…。

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 色とりどり、きれいです。つぼみを持っているものも多くあったので、まだまだ楽しめそうです。これから雨の季節ですが、雨に映えるばらも好きです。雨の花と言えばアジサイですが、ばらも推します。
by halca-kaukana057 | 2015-06-03 22:32 | 日常/考えたこと

海うそ

 久しぶりに梨木香歩さんの本を。昨年春に出た本です。

海うそ
梨木香歩/岩波書店/2014

 時は昭和のはじめ。人文地理学者の秋野は、亡き主任教授の佐伯が遺した未発表の調査報告書を読んで惹かれた南九州の「遅島」に、夏の休暇を利用してやって来る。かつては修験道の霊山があり、7つの寺院があったが、明治の廃仏毀釈で無くなってしまったという。秋野は遅島に住んでいる人たちと触れ合いながら、島の歴史や地名の由来、民俗、自然について歩いて調べる。豊かな自然と、そこに息づく人々の暮らし。そして伝承。それらを紐解いていくうちに、秋野は遅島の歴史を掴みかける。

 「家守綺譚」や「冬虫夏草」の雰囲気に似ている作品です。地名を調べていく過程は、エッセイ「鳥と雲と薬草袋」が元になったのかな?と思いながら読んでいました。遅島の豊かな自然、昭和10年代の雰囲気に惹き込まれます。

 タイトルの「海うそ」。遅島の言葉で蜃気楼のことを差す。蜃気楼…幻がこの作品のテーマのひとつ。また、幻はすぐに消えてしまう。消える、無くなる…喪失もこの作品のテーマのひとつだと思う。
 秋野は、佐伯教授もだが、両親、そして許嫁も亡くしている。遅島で廃仏毀釈の実際の話を聞き、さらに「モノノミ」という民間宗教についての話を聞く。住民の話を聞くうちに、その意味がわかり始める。

 何か新しいことを始める・つくるためには、古いものをどうするかが問題になる。壊して無くす、うまく共存の道を探る、手をつけない…様々な方法はあるけれども、明治から昭和にかけての時代は壊して無くす時代だったと思う。近代化のため、国家を強くするためには犠牲は不可欠…。遅島は、そんな時代に巻き込まれた舞台だった。その遅島が失ったものと、秋野が失ったものが交錯する。私も私自身が失ったものを思わずにはいられない。

 その一方で、何らかの形で残す方法もあった。それに気付き、見つけた秋野。その当時の時代や社会に抗い、自分たちが生きた証拠を地名に隠した。ここはとても興味深い箇所でもあり、彼らのことを思うとやりきれない気持ちにもなりました。

 そして、どんなに古いものを壊して新しいものをつくっても、変わらないものもある。島に住む山根は、海に面した場所に父が建てた洋館に住んでいる。その洋館からは「海うそ」もよく見える。この「海うそ」は変わらない。蜃気楼…幻のはずなのに。その「海うそ」は更に時を越える。

 50年後、老いた秋野は再び遅島を訪れることになる。その50年後の描写が、かなしくてかなしくてたまらなかった。壊して無くすの繰り返し。これが時代や社会の変化なのだろうが、「壊して無くす」しか新しいことを始める・つくるための方法は無いのだろうかと考えずにはいられなかった。しかし、秋野が再び島へやってきて、かつての遅島を語ることで、次の世代の人々も何かを受け取る。そこに現れた「海うそ」。「海うそ」だけは変わらずに…。
時間(とき)というものが、凄まじい速さでただ直線的に流れ去るものではなく、あたかも過去も現在も、なべて等しい価値で目の前に並べられ、吟味され得るものであるかのように。喪失とは、私のなかに降り積もる時間が、増えていくことなのだった。
 立体模型図のように、私の遅島は、時間の陰影を重ねて私のなかに新しく存在し始めていた。これは、驚くべきことだった。喪失が、実在の輪郭の片鱗を帯びて輝き始めていた。
(186ページ)


 過去と現在と未来、時間、その中で変化してゆくもの。変化を否定、批判はしない。その変化をどう受け入れたらいいのか。喪失の無い人生など無いわけで、喪失とどう向き合ったらいいのか。そんなことを、読んだ後の今、考えています。
by halca-kaukana057 | 2015-05-28 22:52 | 本・読書

海とドリトル 2

 漫画の感想を数ヵ月後に書くのはもう定例になってしまったのか…?磯谷友紀先生の新連載「海とドリトル」2巻です。
・1巻:海とドリトル 1


海とドリトル 2
磯谷友紀/講談社・KC KISS/2015

 小笠原での烏丸研の合宿中、クジラにロガーをつけようとした七海は、ロガーはつけられたものの船から海に転落してしまう。海の中で観た大きなクジラの姿、瞳。無事助けられた七海だが、翌日、海に向かうも足が震えて船に乗れない。海に落ちた恐怖で、海に出られなくなってしまった。烏丸や陸男、戌飼は、船に乗らずにもできる研究や作業を七海にさせ、七海も気遣ってくれていると感謝する。数日後、七海が海に落ちた時につけたロガーが回収され、初めてとった自分のデータに感激する。その映像を観た七海は…。


 あわや、海に落ちてしまった七海。その海の中で七海が観たクジラがとても大きく、印象的に描かれていて、私も海はきれいだけど怖い、そう思ってしまった。じっと見つめ返すクジラの大きな瞳。その瞳で観たであろう海の映像を、後に観る七海。怖い。でもきれいで、惹かれる。思えば、七海がこの烏丸研に入ったのも、失恋し鬱屈した日々を送っていたところで、烏丸先生たちと出会い、クジラに魅せられ、烏丸研に編入した。1巻で「ここのところ ずっとにごった水たまりのようなところにいて 浮上できない。キラキラした 水面に出たい」(1巻8ページ)と思い悩んでいた七海。クジラと出会って、「水面に出られた」。七海を変えたきっかけになったクジラと、そう簡単に離れられない、離れたくない、やっぱり惹かれる。

 そこに辿り着くまでの、海に出られなくなってしまった七海がまた辛い。でも、烏丸研の人々は気遣って、海洋生物の研究はクジラだけじゃない、海に出るだけじゃない、と教えてくれる。ウミガメのところは、私も興味深く読みました。七海の烏丸研での、海洋生物の研究は始まったばかり。そんな七海に、ウミガメの調査を一通りやらせた後、海洋生物研究の奥深さとこれからの研究生活の長さを語る烏丸先生がいい。

 海に落ちた恐怖を何とかしようと、元心理学専攻の七海はトラウマを客観視する心理療法を試してみる。これには、その時その場にいなかった相手が必要。七海は、密かに想いを寄せている戌飼に頼む。七海が海に落ちたのはこれが初めてではなかった。1度目のこともあったから、尚更…。戌飼さん、優しい。

 そして、海に戻ることが出来た七海。よかった…。そんな七海を見て、複雑な思いの万里子。研究は一筋縄ではいかない。ポスドクの戌飼も、これからどうしようか悩んでいる。烏丸研にこのままいるか、それとも…。そんな悩む戌飼に、烏丸がこんな言葉を。
未来にとらわれて現実を失ったら
そこからつながる未来がなくなるぞ
(149ページ)

「研究者は研究が第一だが、100%それだけだと行き詰まる」とこの直後も戌飼の言葉も、その通りだな…と。研究者だけでなく、一般の人間でも、何かに100%だと行き詰まる。かつて、私もそんなことがあった。これをやらなきゃいけないから、他のことなんてやるのは(自分としては)許されない、と。最初は勢いもあるし、熱心に取り組んでどんどん成果を出せるが、のちに、悩みも出てきて苦しみ、自分ではどうしようも出来ないことも起こり、行き詰ってしまった。未来をみるのは大事だけど、そこには今ここにある現実が繋がっている。生物の進化や繁栄から考えると、環境の変化などに適応するために可能性をたくさんつくっている(結果として)。戌飼さんが出した答え…「今を動かす」。七海も思い切ったことをしたが、戌飼さんも粋なことを…。

 この2巻では、烏丸先生の過去もまた少し語られています。離婚したこと。その奥さんも研究者だったこと。普段は飄々としている烏丸先生ですが、何か変化がある、かな?

 3巻の展開が楽しみですが、新キャラが登場?この人、烏丸研にとってどんな人になるのか…。
by halca-kaukana057 | 2015-05-12 22:22 | 本・読書

2015:春

 今年はまだ春の花、桜の画像をアップしていなかった。まとめてアップします。


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まずソメイヨシノ。咲き始めの頃は雨続き、晴れた、満開だと思ったら強風で花ごと飛ばされる始末…。今年はソメイヨシノはあまり楽しめなかったです。

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ヤマザクラの方が楽しめました。 
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八重桜。ふんわり豪華な花が好きです。
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ヤエベニシダレ。

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菜の花も。

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オマケ。公園に行ったら、カモのつがいがのんびり仲良く草をついばんでいました。そーっと近づいて撮影。ある程度までなら逃げない。カモが公園を歩いている…初めて見ました。
 他の画像ははてなフォトライフにアルバムを作りましたのでどうぞ:halca-kaukana's fotolife:春2015
by halca-kaukana057 | 2015-05-05 21:37 | 日常/考えたこと

梅は咲いた、桜はまだか

 外歩きの途中、公園でひと休み。今日はまだ春秋もののコートを着ていましたが、外にいても寒くない気温。目の覚めるちょうどいい冷たさでした。

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 梅が咲いていました。まだつぼみも多かったので咲き始めです。
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 こちらは紅梅。高いところにしか花が無く、撮影するのが難しかった。

 梅は咲いた、桜は…
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 まだつぼみ。でも、ピンク色の花が見えています。もう少し。

 梅を眺めながらベンチでひと休みしていたのですが…30分以上は無理でした。やっぱりまだ寒いですw
by halca-kaukana057 | 2015-04-10 22:10 | 日常/考えたこと
 今日は全国的に春めいた一日でした。当地も気温が上がり、このまま春に…いやまだ雪は降ります。

日本郵便:特殊切手「野菜とくだものシリーズ 第3集」の発行

 そんな春めいた日に、春っぽい切手と特印を。野菜とくだものシリーズ第3集。
・第2集・夏の野菜とくだもの:夏の野菜と果物切手&特印
 このシリーズの続きです。

 野菜はキャベツにアスバラガス、さやえんどう、レタス、タマネギ。果物はいちごにデコポン、マンゴーも。このシリーズはみずみずしいイラストがとても気に入っています。
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 特印はイチゴ。可愛いです。切手はデコポンにしたのは、デコポンが好きなので。スーパーに出回りはじめましたね。まだ今年の初物を食べていないので食べたいです。
by halca-kaukana057 | 2015-02-23 22:33 | 興味を持ったものいろいろ

冬虫夏草

 久しぶりに梨木香歩さんの小説を。昨年出版されたのをようやく読めました。


冬虫夏草
梨木香歩/新潮社/2013

 駆け出しの物書き・綿貫征四郎は、亡き友・高堂の家に住んでいる。その家や家の周りには、様々な動植物が生き、棲み、それらに囲まれて綿貫は仕事をしていた。
 飼い犬のゴローが、何日もの間帰ってこない。綿貫は学生時代の友人で菌類の研究者である南川に相談する。また、編集者の山内から、ゴロー探しに行こうと思っていた山・鈴鹿の山にイワナの夫婦が宿屋を営んでいるという話を聞く。興味を持った綿貫は、ゴローを探しに山への旅に出る。

 以前書かれた「家守綺譚」の続編です。連載されているという話は聞いていて、書籍化されないかなぁと待っていました。よかった、単行本化されて。綿貫と、亡き友・高堂、そして綿貫の身の回りの自然が静かに、でも活き活きと描かれるのは変わらず。「家守綺譚」の続編なので、ここ数年の梨木さんの作品は様々な方向に広がっていてそれも面白かったのですが、初期の雰囲気に戻った感じがして、これも梨木作品の面白さだなぁと思いながら読んでいました。

 ただ、今回は綿貫が旅に出ます。旅先でも、やはり綿貫の周りには不思議なものが集まってくる。山の中ということで、「家守綺譚」よりももっと深い自然を感じます。その自然を尊び、崇める山の人々。植物にも、水・川にも、生き物にも…全てのものに「生命」を見出し、慈しむ。その慈しみ方はちょっと奇妙なところもあり、綿貫の視点を通すと滑稽でもある。でも、自分も含めて全てが自然、「生命」である、という見方なんだろうなぁ。「家守綺譚」は、「村田エフェンディ滞土録」と繋がっている物語なのですが、この「冬虫夏草」でも、「村田エフェンディ~」で出てきたあるものが出てきて、ああ、ここに繋がるのか!と納得しました。

 それにしても、ゴローも不思議な存在だ。様々な生き物や不思議な存在たちを結びつけたり、現実と非現実の境目のようなところにいて、行き来しているような。この物語は、綿貫がゴローを探しているというよりも、ゴローが綿貫を不思議な世界に導いている、と読んだほうが面白いかもしれない。

 「冬虫夏草」というタイトルも不思議だ。幼虫のうちに菌糸に感染し、内部で増殖、冬場は虫として活動しているが、サナギになる夏になると体表を破って菌糸が外に現れる。動物だったものが、植物になる。ただ、「生命」であって、動物か植物かの分類が通用しないこともある。梨木作品の、この境界の曖昧さがとても好きです。ただ、ラストの綿貫が感じたことはわかる。大自然の中にいて、私もその自然を満喫しているけれども、自分は「その向こう」には行けない。ただ、感じることしかできない。それが、自然への畏敬なのかなぁ。

 「家守綺譚」、「村田エフェンディ滞土録」を読んでない方は、まずこの2作を読んでからどうぞ。
【過去感想記事】
家守綺譚
村田エフェンディ滞土録
by halca-kaukana057 | 2014-10-15 22:26 | 本・読書
 夜のニュースはH2Aロケット&「ひまわり8号」で決まり!と思ったら…ノーベル賞もいいですが、「ひまわり8号」のことも報道してください…。
・予告記事:ロケット打ち上げの秋 「ひまわり8号」&「はやぶさ2」

JAXA:H-IIAロケット25号機による静止気象衛星「ひまわり8号」(Himawari-8)の打上げ結果について
 今回も予定時刻通りのオンタイム打ち上げ。おめでとうございます!打ち上げシーケンスの実測値も、予測値とほぼ一緒。H2A、安定していますね。

朝日新聞:「ひまわり8号」打ち上げ成功 H2A、予定軌道に投入
 毎回恒例の空撮動画が、今回はいつも以上にきれいです!!快晴のせい?台風の後で、大気が澄んでいたせい?まっすぐに伸びるロケットロードが、とても美しい。「プラネテス」のアニメでこんなシーンがあったような、そんなことを思いました。

NHK:ひまわり8号 打ち上げ成功
NHK:ひまわり8号 何に役立つのか
 ↑タイトルが残念な表現ですが…、パワーアップした「ひまわり8号」の観測技術についての説明です。

 打ち上げは、中継を観ていたのですが、色々あって…楽しめきれなかった…。でも、快晴の種子島、「世界一美しいロケット発射場」の、その中でも特に美しい打ち上げだったと思います。

 「ひまわり8号」は今後、36000km上空の静止軌道に入り、試験を続けます。運用開始は、現在運用中の「ひまわり7号」が運用停止になる来年の夏ごろ。「ひまわり7号」はバックアップにまわります。また、2016年には「ひまわり9号」も打ち上げ予定です。

 毎日見ている天気予報。「ひまわり」シリーズは、私たちの生活に最も身近な人工衛星。精度や技術の向上した「ひまわり8号」からの観測データで、もっと詳しい予報が実現すると思います。

 一方、気象衛星の無かった時代も…
Togetter:正しい気象情報があれば……60年前の洞爺丸の悲劇
 「洞爺丸台風」のことは、体験した家族からその時のことを教えてもらったことがあります。相当な台風だったそう。でも、観測技術が十分でなく、悲劇に繋がってしまった。「ひまわり」が打ち上げられたのは1977年。打ち上げはアメリカ・ケネディ宇宙センターからでした。2号機からは種子島からの打ち上げになりました。
 1999年11月、H2ロケット8号機が打ち上げに失敗、「MTSAT-1」は失われ、「ひまわり5号」が寿命をこえて運用するも、2003年5月に運用停止。「ひまわり」シリーズは途絶え、アメリカの「GOES-9」を代用。そして2005年2月「ひまわり6号」が打ち上げられ、6月から運用開始、「ひまわり」シリーズが復活。

 そんな悲劇や、空白期間を思うと、「ひまわり」シリーズの存在が心強く感じられます。パワーアップした8号で、更に心強く。8号の運用開始が楽しみです。無事に静止軌道に到着できますように。

 記念に書いた(描いた)。
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 「ひまわり8号」はこれまでの「ひまわり」シリーズと随分形が違います。そして色もほとんど黒。描きやすいといえは描きやすい…?

 さて、明日は皆既月食。明日夜、日本全国天気になーれ!!
・月食準備記事:【2014.10.8 皆既月食】準備編 皆既月食をもっと楽しく観るために
by halca-kaukana057 | 2014-10-07 22:56 | 宇宙・天文
 先日読んだ漫画「海とドリトル」(磯谷友紀)で参考文献になっていた本を読んでみました。この本の著者の佐藤克文先生が取材協力、モデルになっているのだそうです。
海とドリトル 1

サボり上手な動物たち 海の中から新発見!
佐藤克文・森阪匡道/岩波書店・岩波科学ライブラリー/2013

 イルカやクジラ、ペンギン、アザラシ、ウミガメ、カツオドリやオオミズナギドリなどの海鳥といった海洋生物たちが、海の中で一体どんな行動をとっているか…実はよくわかっていない。水族館に行けば観察は出来るけれども、実際の広い深い海の中で、どう行動し、仲間とコミュニケーションをとり、エサをさがしているのだろうか。実際にその姿を「見る」ことは難しい。そこで、登場したのが「バイオロギング」という方法。動物にカメラなどの機器をつけて、その行動データを記憶させ、そのデータを分析する。その手法で、海洋生物たちのこれまで「見えなった」姿が見えてきた。

 テレビの自然ドキュメンタリー番組では、海中に潜ったカメラが海洋生物たちが悠々と泳ぐ姿がよく放送される。この本からはちょっとずれるけれども、NHKスペシャルで一躍有名となったダイオウイカが泳いでいる姿を撮影するために、潜水艇で深海へ潜る映像も興味深かった。ダイオウイカもだが、見たことも無い深海の生き物に驚いた。
 イルカやクジラなどの海洋生物でも、そんな風に何らかの方法でカメラを海中に潜らせて調べているのかなと思った。でも、人間が潜れる深さや領域には限りがあるし、第一海は広い。広い海をあちらこちらへ泳ぐ生き物を追うのは難しい。撮影できたとしても一部分だけ。テレビ番組ならそれだけでもいいかもしれないけど、実際の研究となるともっとしっかりとしたデータが必要。これでは足りない。

 そこで登場するのが、「バイオロギング」。海洋生物にカメラや音声センサー、更には加速度センサーをつけて、その行動を記憶させ追うという方法。カメラだけじゃないのは、映像では追えないもの・場合もあるため。濁った水の中に棲む生物もいる。そこではカメラは使い物にならない。また、イルカの仲間は「エコーロケーション」といって、「カチカチ」とか「ギー」という「クリックス」という音で距離を測ったり、仲間とコミュニケーションしている。音を使って「見て」いる。人間は視覚から得る情報が圧倒的に多いが、イルカは音から得る情報が多い。そんな音で「見える」世界…どんな世界だろうなと想像すると楽しくなる。しかし、この音を出すことが、逆に自分を身の危険にさらすこともあるそうだ。イルカやクジラの天敵・シャチもエコーロケーションを使う。「盗み聞き」されて、襲われることもあるのだとか…。なんという…。なので、いつも音を出しているわけで無く、適度に「サボって」いる。ほかの仲間のクリックスを「盗み聞き」することもあるのだそうだ。結構ちゃっかりしている。
 この本のタイトルにあるとおり、生き物たちは適度に「サボる」のが上手いらしい。人間は「サボる」とバツが悪く思われがちだが、人間でもボーっとしていたり、回り道していることもある。生き物たちも同じなのだなと感じた。

 また、私たちは動物達の最大能力を調べようとする。時速何kmで走れる/泳げるのか、一番深く潜れるのは何mか、最高何時間潜っていられるのか…など。でも、動物たちはいつもその最大値・全力を出しているわけではない。日々の暮らしは平均値で表現される。生き物たちの暮らしぶりを知りたいなら、平均値に着目しよう、という内容になるほどと思った。研究者も、私たち一般人も、普段の暮らしを知りたい、見たいのだ。

 バイオロギングを使っても、なかなか思い通りにデータ収集できないことも多いのだそうだ。相手は生き物、自然。人間の思った通りにはいかない。地道な、地味なフィールドワークの積み重ね。いつも効率よく動いているわけでもない。人間も含めて、生き物は無駄なこともするし、遊ぶし、サボるし…一筋縄でいかない、だから興味深い、研究したくなるのだなと感じました。

 この本にあることが、今後「海とドリトル」にも出てくるのかなと思うと楽しみです。漫画と一緒に楽しめる。
by halca-kaukana057 | 2014-09-01 22:46 | 本・読書

海とドリトル 1

 「本屋の森のあかり」の磯谷友紀先生の新連載です。思ったよりも早く単行本が出て嬉しい。

海とドリトル 1
磯谷友紀/講談社・KC KISS/2014

 大学2年の亀山七海は、彼氏に振られ、その彼と行くはずだった富士山にひとりで来ていた。寒さに震えながら、七海は好きな海を思っていた。その時、不思議なアンテナを持った2人の男に遭遇する。ひとりの男はクジラ、クジラと言いながら、倒れてしまった。クジラと言っていたことが気になった七海はその2人の男たちの機材を持って、一緒に下山する。倒れてしまったのは准教授の烏丸重行、もう一人は博士課程の佐藤陸男。2人は海洋生物を研究していて、クジラにつけたデータロガーという行動を観察する装置を探すために富士山に登り、アンテナで受信していた。海にやってきた3人は、データロガーを回収、その時、一頭のクジラがやって来る。そのクジラにロガーをつけようとした2人、だがうまくいかない。七海はとっさにロガーをつけた棒を持ち、クジラを狙い…。

 磯谷先生の新作、楽しみにしていました。今度は海洋生物学、海洋生物の行動を研究している研究室が舞台です。海洋生物…クジラだけでなく、アザラシやカメ、海鳥も出てきます。
 海は好きです。これまでの人生のほとんどは海のある町で暮らし、職場も海が近いところで働いたこともありました(仕事内容は海とは関係ない)。もやもやした気持ちになったり、落ち込んだりすると、よく海を見に行きます。青い海を眺め、海風と波の音を聴きながらぼんやりしていると、頭の中が整理されてきます。海洋生物も、あまり詳しくはありませんが好きです。クジラ、イルカ、カメ…水族館にはしばらく行っていませんが、海の生き物には興味があります。少し前に海を見に行った時には、イルカの群れが泳いでいました。遠くからだったので背びれしか見えませんでしたが、野生のイルカに遭遇できて感激していました。

 そんな海洋生物を研究する…どんなことをしているのだろう。烏丸と陸男、そしてクジラに出会った七海は烏丸の研究室に編入する。地道なフィールドワークもあれば、ゼミでの発表もあり、研究資金を出してくれそうな企業に向けてプレゼンもする。各々の研究対象も様々。第1話のクジラもハードですが、第3話の海鳥のフィールドワークもハード。完全にアウトドア。自然が相手の研究は大変だ…と思いながら読んでいたインドア派です。大学3年で編入した七海の視点がありがたい。海洋生物の研究の仕方もだが、大学院…修士→博士→ポスドクと歩む研究者と、研究者を取り巻く厳しい環境・受け入れ態勢が整っていないところにも、なるほどそうだったのかと思いながら読みました。これまで、宇宙天文分野でそんな話を聞いてはきたものの、いまいちピンと来ていなかった。研究職は憧れの存在であるのですが、難しいのだな…。

 それでも、興味がある、興味が尽きない、好きだから…そして覚悟もあるから、研究の道を歩んでいるのだろう。彼氏に振られ、鬱屈した日々を過ごしていた七海。
ここのところ ずっとにごった水たまりのようなところにいて 浮上できない
キラキラした 水面に出たい
(8ページ)

 富士山で七海が思っていたことなのですが、これがまさに今の自分そのもので、ああ、私も浮上したい、水面に出たいと思っている。そしてクジラに出会い、魅せられ、猛勉強の末烏丸研に編入する。編入した時はすぐに辞めるだろうと見ていた烏丸。でも、七海は本気。烏丸研で海鳥を研究しているポスドク・戌飼に出会い、心が揺れる。そんな揺れる想いでモヤモヤしていても、海でクジラに会うと吹っ切れる。「やばい、超たのしい」と(5話より)。落ち込んで、モヤモヤしていても、本気で惹かれているものの前では、そんな迷いも落ち込みも忘れてしまう。それが、浮上した瞬間、水面に出た瞬間なんだろうな。その瞬間に、心の動きに気付いて、バシッと捉えたい。

 タイトルの「ドリトル」…ヒュー・ロフティングの「ドリトル先生」シリーズが元ネタですね。「本屋の森のあかり」でも登場、それをきっかけに私も読み、大好きな作品になりました。その「ドリトル先生」シリーズや、「ニルスのふしぎな旅」が鍵となる第4話。七海と戌飼が話していた内容がとても気に入りました。鳥やクジラの目線でこの世界を見られたら、とても面白いのだろうな。このあたりは、さすが磯谷先生です。

 この烏丸研にはモデルがあり、その先生の本も出ています。読んでみようかな。

サボり上手な動物たち――海の中から新発見! (岩波科学ライブラリー)

佐藤 克文 / 岩波書店


 あとがきで紹介されていたのがこの本です。ほかにも色々出ています。夏の読書にピッタリだ。
by halca-kaukana057 | 2014-08-11 22:19 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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