タグ:IKAROS ( 16 ) タグの人気記事

目を覚ました「だいち2号」と「IKAROS」

 先日打ち上げられた陸域観測技術衛星(地球観測衛星)「だいち2号(ALOS-2)」、その後です。人工衛星は打ち上げられ、軌道に載ってからが本番です!

JAXA:陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)のLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)アンテナ展開結果について
ファン!ファン!JAXA!:「だいち2号」から届いた! Lバンド合成開口レーダ展開画像
 「だいち2号」が"自分撮り"した、アンテナの画像。とてもわかりやすいです。

時事ドットコム:だいち2号のアンテナ展開=予定より半日遅れ-宇宙機構
sorae.jp:「だいち2号」、合成開口レーダーのアンテナを展開 不具合乗り越え成功

 「だいち2号」の”眼””瞳”である「Lバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)」アンテナが展開されました。上記リンクの「だいち2号」から送られてきた展開画像を見ると分かりますが、衛星の下にある長方形の板のような部分、これがPALSAR-2アンテナです。これで地上を、昼夜、天候問わず、高精度で観測することが出来ます。
 このアンテナの展開の際、ちょっと不具合が。何らかの原因で展開がうまくいかず、予備の駆動回路で展開完了。何かあった時のために用意しておく(いわゆる「こんなこともあろうかと」)冗長系。用意しておいてよかった予備系統!よかった…。

ファン!ファン!JAXA!:「だいち2号」、機能確認に向けて準備完了!
JAXA:陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)のクリティカル運用期間の終了について
 打ち上げられた人工衛星が実際に観測を始めるまでは、数ヶ月かかります。太陽電池パドルやアンテナを開き、観測機器をひとつずつチェックしてから、観測を始めます。
 アンテナも無事に開き、通信用のアンテナも展開。衛星の姿勢も予定した通りにする。ここまでを「クリティカル運用」期間と呼びます。クリティカル運用も無事クリアしました。「だいち2号」はこれから2ヵ月半かけて、観測機器をチェックし、本格的な観測に備えます。
 さあ、これからです。がんばれ、だいち2号!


 さて、「だいち2号」の一方で…この子が目を覚ましました!
JAXA:ISAS・宇宙科学研究所:IKAROS:3回目の冬眠モード明けについて
ITmedia ニュース:宇宙ヨット「IKAROS」、3度目の冬眠から目覚める
 ソーラーセイル実証機「IKAROS(イカロス)」。昨年9月に3度目に冬眠モードに入っていました。4月あたりからそろそろ冬眠明けするのではないかと予想されていたそうですが、先日5月22日、IKAROSからの電波を受信したそうです!3度目の冬眠明け。世界初のソーラーセイルだというのに次々と予定されていたミッションをクリアし、エクストラミッションも難なくこなし、ミッションコンプリートしても冬眠明けしてくる…なんと恐ろしい子!wしかも、5月21日が「IKAROS」、そして金星探査機「あかつき(PLANET-C)」が打ち上げられて4周年だったのですが、それに合わせたかのように。
 今後、冬眠中のデータを降ろす予定だそうです。「IKAROS」はどんな夢を見ていたのか…なんてね。


 こんなおめでたい報せの一方で、気がかりなことも。
JAXA:第一衛星利用ミッション本部:温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測停止と再開について
 二酸化炭素などの温室効果ガスを宇宙から観測する「いぶき」。その太陽電池パドルの片方が、動かなくなってしまったそうです。先ほどのIKAROSは太陽との位置関係・姿勢によって電力が低下し冬眠モードに入りますが、「いぶき」等の衛星は姿勢や太陽との位置関係に合わせて太陽電池パドルを動かし、常に電力を得ることが出来るようになっています。その太陽電池パドルが動かなくなった…電力が低下し、観測を停止しているとのこと。しかし、電力が半分でも観測は可能なため、原因を解析・究明しつつ、30日には再開するとのこと。
 「いぶき」の設計寿命は5年。2009年1月に打ち上げられ、5年過ぎました。まだ大丈夫だと思うのですが…ちょっと心配です。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2014-05-27 22:07 | 宇宙・天文

「IKAROS」目覚める(2回目)

 プロジェクトチームは解散したものの、まだ旅は続いている、ソーラーセイル実証機「IKAROS(イカロス)」
・以前の記事:「はやぶさ」「イカロス」から「はやぶさ2」へのバトンタッチ

 「イカロス」は2度目の”冬眠中”で、上記の記事では冬眠明けは夏ごろと予測。そのあたりにもう一度電波を捉えられるか運用してみる予定でした。そして…

~翼を広げて~ IKAROS(イカロス)専門チャンネル
 IKAROSは昨年末より2度目の冬眠モード(発生電力低下による搭載機器シャットダウン)に入っていましたが、平成25年6月20日(木)に状態確認運用を開始したところ、IKAROSからのデータ受信ができました。
 これにより、現在IKAROSは冬眠明けの状態であると判断しています。
 なお、IKAROSの状態については引き続きデータ取得を通して確認します。
 今後、将来の宇宙機開発に有益なデータを取得することを目的として、運用を行う予定です。


 イカロスの電波受信、冬眠明けが確認されました!凄い!しかも、2回目です。
 以前、「はやぶさ」が行方不明になった時、「行方不明になって見つかった衛星はない」という話がありました。しかし、それを見事にひっくり返し、見つかった「はやぶさ」。そして「イカロス」も冬眠した後、昨年9月に冬眠明けで電波受信成功。その後再び冬眠してしまいましたが、再び…! 見事な従来の定説ひっくり返し。イカロスの挑戦はまだまだ続く模様です。凄いとしか言いようが無い!
・昨年9月の冬眠明け:「IKAROS」、”冬眠”から目覚める!

 これは再びチーズケーキでお祝いせねば。明日以降やります。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2013-06-25 22:35 | 宇宙・天文

「はやぶさ」「イカロス」から「はやぶさ2」へのバトンタッチ

 この春は、私にとってお別れするものが多過ぎます。先日、このニュースが飛び込んできました。

JAXA:月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC):「はやぶさ」・「イカロス」両プロジェクトチームの解散について

 小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)と、ソーラーセイル実証機「IKAROS(イカロス)」のプロジェクトチームが解散。どちらもプロジェクトは無事完遂。日本の、いや世界の宇宙開発史にとって重要なプロジェクトであることは間違いないこの2つのプロジェクト。沢山の困難を乗り越え、沢山の世界初を成し遂げました。
 この2つのプロジェクトは、私もずっと応援してきたので、思い出も想い入れも沢山ありますし、解散となると少しさみしいですが、困難なミッションをやり遂げての解散。本当にお疲れ様でした!

 「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰ったサンプルの維持・管理は宇宙科学研究所に移管されます。

 一方の「イカロス」。プロジェクトチームは解散とはいえ、「イカロス」は今も宇宙空間を飛行中。しかも、再び冬眠中。冬眠から”目が覚める”タイミングを待っている状態。冬眠中…どうするのだろう?今のミッションは、予定されたミッションを完遂したエクストラミッションだからだろうか。冬眠したまま終わっちゃうの?それは心残りがある…
と思ったら。
IKAROS blog:今日の IKAROS(03/29) - Daily Report - Mar 29, 2013

 「イカロス」のプロジェクトブログ。冬眠明けは初夏に予測されており、その時に再び電波を捉えられるかの運用があるそうです。電波を捉えることができれば、また「イカロス」のデータを調べ、次のソーラーセイル計画に活用できる。
 これを知って、ほっとしました。「イカロス」、夏にまたいい報せを聞ければいいなと思っています。

*****

 さて、「はやぶさ」には、次があります。「はやぶさ2」。初代「はやぶさ」は小惑星探査とサンプルリターンに必要な技術習得のための試験機だったわけですが、今度の「はやぶさ2」は小惑星探査とサンプルリターンを目的とした探査機。今度が本番です。

 そんな「はやぶさ2」から、2つの報せが。
 1つ目は少し前の話なのですが、
JAXA: 寄附金:募集特定寄附金使用実績の公表について
 昨年始まった、JAXAへの寄付金。私も微力ながら送らせていただきました。その寄付金で、「はやぶさ2」では小型モニタカメラを製作することに。「はやぶさ2」のサンプラーホーン(小惑星にタッチダウンして、サンプルを採取する筒)の動きを確認するカメラです。上記サイトでは、プロジェクトマネージャーの國中均先生からのメッセージもあります。
 寄附金の使途は勿論のこと、「はやぶさ2」だけでなく他のプロジェクト・部門でもプロジェクトに関わる方々からのお礼のメッセージを読めるのは嬉しいです。
 寄附金は現在も募集しています。寄附方法は以下から。
JAXA:寄附金

 2つ目は、初代「はやぶさ」でも行われたあの企画が「はやぶさ2」でも実現します!
JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」に載せる名前・メッセージ募集キャンペーンの実施について ~星の王子さまに会いにいきませんかミリオンキャンペーン2~

 探査機に名前やメッセージを載せて、探査機と一緒に宇宙を旅することが出来るこの企画。「はやぶさ2」でも勿論やります!募集の報せを待ってました!
 初代「はやぶさ」でも応募し(しかも家族友人の名前も事後承諾で半強制的に応募…w)、その名前はターゲットマーカー(タッチダウンをする時の目印となる機器)に刻印され、今も小惑星イトカワの上にあります。その後、金星探査機「あかつき」や「イカロス」でも募集したので、毎回送っています。

 今回の「はやぶさ2」では、小惑星の表面に留まるターゲットマーカーと、地球に帰還するカプセルにも名前とメッセージを送れます。更に、帰還カプセルには、寄せ書きやイラストも搭載でき、送れます。これは楽しみが2倍です。小惑星にタッチダウンする時に大切な役目をするターゲットマーカー、小惑星のサンプルを入れ「はやぶさ2」と一緒に地球を目指し、地球に帰ってくるカプセル。どちらも「はやぶさ2」にとって大事な存在。そこに、自分や大切な人たちの名前や、メッセージ、カプセルには寄せ書きやイラストも搭載できる。「はやぶさ2」と一緒に宇宙を旅して、応援も出来る。この企画、本当にいいなと思います。

 募集は4月10日から7月16日まで。応募方法は、名前とメッセージはどちらもウェブから応募できます。寄せ書き・イラストは所定の用紙に書いて郵送。詳しいことは、続報をお待ちください。
JAXA:月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC):星の王子さまに会いにいきませんか ミリオンキャンペーン2
 ここをチェックしてください。

 さて、メッセージも考えねばな…。

 「はやぶさ」「イカロス」から、「はやぶさ2」へのバトンタッチ。そして、更にもっと先へ!
[PR]
by halca-kaukana057 | 2013-03-31 21:16 | 宇宙・天文

「IKAROS」、”冬眠”から目覚める!

 世界初のソーラーセイル実証機「IKAROS(イカロス)」。昨年秋の逆スピン運用の後、太陽電池のついているセイル(膜)が、太陽の方向ではなく進行方向を向いている状態に。太陽の方向を向いていないと、発電できない。さらに、イカロスは太陽から最も離れる遠日点を通過。発生電力が低下しているので、新たな挑戦として、”冬眠”に入りました。

・その時の記事:IKAROSの新たなる挑戦は、”冬眠”

 予定では、セイルが太陽の方向を向き、遠日点を通り過ぎる春には”冬眠”から”目覚める”のではないかと思われていたのですが、なかなか起きない。電波が見つからない。「IKAROS」運用チームが懸命になって探しますが、なかなか確認できない。どうしたのかなぁ、どこへ行ってしまったかなぁ…と運用ブログを読みながら思っていました。
IKAROS blog
 イカロス捜索について、詳しく書かれています。「イカロス」は確認できない間も太陽光圧で動いているため、位置が特定できない…という困難も。

 ところが、今日、twitterの宇宙クラスタが次々と、「イカロス」が冬眠から覚めた!?と騒いでいる。この数日前にも、
(..ふにゃ?)
Twitter:イカロス君 ‏@ikaroskun 2012年9月8日 - 10:32

 イカロス君の公式アカウントで、こんなつぶやきが。あれ?と思いました。もしかして?

 そしたら、今日、来ました!
2012年9月10日[更新] IKAROSの冬眠モード明けについて

IKAROSは、平成24年1月6日までに冬眠モード(発生電力低下による搭載機器シャットダウン)に移行したことが確認されていました。
冬眠モード移行後、月2回の運用ペースでIKAROSの探索を続けてきた結果、平成24年9月6日(木)にIKAROSらしき電波を発見し、同8日(土)にIKAROSであることを確認しました。
このことにより、IKAROSは冬眠モードから明けた(復旧)ことが確認できました。

現在のIKAROSの状態については、確認中です。
~翼を広げて~ IKAROS(イカロス)専門チャンネル


 おおお!!よかった!機体の状態は確認中ですが、見つかってよかった。起きてくれた!これで、また「イカロス」は世界初を成し遂げましたね。この宇宙機の挑戦魂はものすごいです。

 今日はもう夜中なので、明日、チーズケーキでお祝いします。
◇イカロスとチーズケーキの関係:IKAROS blog:IKAROS軌道投入成功祝い

 「イカロス」について詳しく知りたい方は、この本をどうぞ!

イカロス君の大航海

澤田 弘崇 / 日経印刷


・私の感想:イカロス君の大航海
 絵本です。小学生からどうぞ。

宇宙ヨットで太陽系を旅しよう――世界初! イカロスの挑戦 (岩波ジュニア新書)

森 治 / 岩波書店


・私の感想:宇宙ヨットで太陽系を旅しよう 世界初!イカロスの挑戦
 岩波少年文庫さんさすがです!小学校高学年~中学以上かな。大人も勿論どうぞ!

 さらに、もっと親しみやすく、「イカロス君のうた」があるんです。公式です。
イカロス君のうた

◇ニコニコ動画:イカロス君のうた大百科
 JAXAのポッドキャストでイカロス君役だった間宮くるみさんが歌います。豪華だなぁ…。可愛くて、たくましい。

 この「イカロス君のうた」は、この秋CD&DVDが出ます!
イカロス君のうた 特設サイト
Twitter:イカロス君のうた @ikaroskunnouta
 
[PR]
by halca-kaukana057 | 2012-09-10 23:07 | 宇宙・天文

宇宙ヨットで太陽系を旅しよう 世界初!イカロスの挑戦

 世界初のソーラーセイル「IKAROS(イカロス)」。「イカロス」プロジェクトマネージャー・森治先生の本が出ていたのですが、ようやく読みました。岩波ジュニア新書を取り揃えている書店が少ないっ!!


宇宙ヨットで太陽系を旅しよう――世界初! イカロスの挑戦
森 治/岩波書店・岩波ジュニア新書/2011


 ジュニア向け(大体中学から。科学好きな子なら小学校高学年からでも)の本なので、柔らかい文体で丁寧に書かれています。勿論、それ以上の方にも、わかりやすいのでお勧めです。ソーラーセイルとは何なのか、「イカロス」の仕組み、「イカロス」を支える技術や運用、開発・打ち上げからフルサクセスまで、「イカロス」開発段階での工夫と挑戦、そして、森プロマネが宇宙の仕事に就くまでのことが語られています。

 私が面白いなと思ったのは第2章の、「イカロス」計画が始まって、開発段階での話。世界初のソーラーセイル打ち上げを目指していた頃、ちょうど金星探査機「あかつき」を打ち上げるH2Aロケットに、相乗りする形で打ち上げが決まる。「あかつき」は元々、宇宙科学研究所(宇宙研・ISAS)が、M-Vロケットで打ち上げる予定で、M-Vロケットのサイズで設計されていた。しかし、M-Vロケットは廃止になってしまう。そこで、JAXAに統合したのでH2Aロケットを使うことになったが、H2Aロケットにとって「あかつき」は小さ過ぎるし軽過ぎる。これでは、打ち上げている間に強い振動を受け、「あかつき」は壊れてしまう。そこで、おもりになる衛星を載せることになり、「イカロス」や大学などの小型衛星が相乗りすることになった。この時、まだ「イカロス」は形も出来ていない。打ち上げまで2年半。その間に、機体を作らなければ。間に合わなかったら、ただのおもり…。ここからが面白い。実際に打ち上げる本物・フライトモデルと同じ、試験用のプロトタイプモデルを作らずそれによる耐久試験も省略。新しい技術となるセイル以外の部分は既存のものを使い、セイルの開発に尽力する。プロジェクトチームが柔軟に動けたからこそ、「イカロス」は間に合ったし、見事な成功を収めることも出来たのか。

 先日、BS1「Cool Japan」でも、「イカロス」のセイルに使われた日本の折り紙技術が紹介されていました。「イカロス」を支えた、「イカロス」・ソーラーセイルを実現させた折り紙。更に、セイルの膜・ポリイミド膜に使う接着剤も重要なのだと。

 更に、興味深いと思ったのが、「小型プロジェクト」こそ難しいということ。「イカロス」の正式名称は「小型ソーラー電力セイル実証機」。この「小型」を、私はずっと「イカロスが小さいから」と覚えていたのですが、大きな間違い!「小型プロジェクト」が正解。なんて間違いを!!(反省)
 「小型プロジェクト」は「小規模」「安い」「早く出来る」という特徴があります。大きなプロジェクトの前に、小さなプロジェクトで実証実験。これが成功したら、今度は大きなプロジェクトを…と考えがち、私もそう考えていたのですが、実際は違う。プロジェクトチームの人数も少ない、予算も少なく小さいものを作るので何かあった時のバックアップ機能(冗長系)を削らなくてはならない。これは、リスクが非常に高い。そして、いくら小さいプロジェクトだからといって、失敗しても構わない、のではない。もし失敗したら、チャンスをもう1回、は無い。無謀なことだったと、そこで終わってしまう。誰もやったことのない挑戦的なことをしたいのに、リスクの高い環境に置かれ、失敗は許されない。これでは、新しいことに挑戦しよう、という気持ちや場が生まれない。無難な、ありきたりなことばかりすることになってしまう。宇宙開発にとって、新しいものを作ることが、宇宙への新たな視点や発見につながる。それなのに。宇宙開発に限ったことでもない。新しいことをやってみるために、挑戦するために(勿論、しっかりと準備をして)、それらを歓迎するような環境を作ることが大事なんだ。

 第3章では「イカロス」がどのように宇宙を飛び、どんなことをしたかについて書かれていますが、「深宇宙では物理の理論がそのままに起きる」ことに面白さを感じた森プロマネの言葉に、そういえばそうだなぁと思いました。中学生の頃、理科で物理法則を学んで、実験してみても、「地球では重力があるから」「空気抵抗があるから」と理論通りにならない。真空なら、無重量なら理論通りになると聞いても、そう簡単に宇宙には行けないしなぁ…と思ったことを、思い出しました。自分が宇宙に行かなくても(行こうと思えば、宇宙飛行士になろうと思えば…)、宇宙機で実験・再現出来る。確かにその通りなのだけれども、自分にその考え方・視点が無かった!

 第4章では、森プロマネが宇宙の仕事を目指した経緯や、JAXAで出会った人々について書かれています。第5章、終わりは、挑戦すること。ジュニア向け、子どもたち、若い学生さんに読んで欲しいと思います。一方、自分は…読んでため息。何があっても、まっすぐの道を進めなくても、夢を諦めない、持ち続ける。自分にため息をついてばかりの章でした…。でも、今からでも挑戦してみようかな。そんな気持ちにもなれます。

 「イカロス」は、以前にも書いたとおり、現在”冬眠中”。一度”冬眠”した宇宙機と、再び交信出来るのか。「イカロス」と、森先生はじめプロジェクトチームの挑戦は、まだまだ続きます。「イカロス」が終わっても、木星・トロヤ群小惑星への飛行を目指すプロジェクトもあります。ソーラーセイルは、まだまだ始まったばかりです。

 尚、BS1「Cool Japan」は再放送があります。「たたむ」の回です。森先生も出てきます。
NHK:COOL JAPAN 発掘!かっこいいニッポン
 2月18日(土)午後12時~/2月19日(日)午前5時~
[PR]
by halca-kaukana057 | 2012-02-13 23:24 | 本・読書

IKAROSの新たなる挑戦は、”冬眠”

 予定されていたミッションを完遂し、現在はエクストラ・ミッションでも順調に飛行中の、ソーラーセイル実証機「IKAROS(イカロス)」。先日は、セイルの膜を遠心力で開くため飛行から続けてきた回転を、逆方向にしてみるという難しい技に挑戦し、大成功。その「イカロス」が、また新たなことに挑みます。それは、”冬眠”。

IKAROS(イカロス)専門チャンネル:小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の逆スピン運用実施結果と 冬眠モード移行について

 まずは逆スピンの結果から。その逆スピンに挑戦したことで、「イカロス」に試練が。まず、「イカロス」のセイル(膜)に太陽電池パネルも付いているのですが、逆スピン実験を終え回転速度がどんどん上がってきている今現在、膜が太陽のほうを向かず進行方向を向いてしまっている。これでは、太陽電池パネルで発電ができない。また、「イカロス」は楕円軌道で飛んでいて、現在は太陽から遠い位置にあるため、ますます発電が難しい。ということで、発生電力が低下しているため、搭載機器をシャットダウンする”冬眠”に入りました。

 今年の春以降に、太陽電池パネルのある膜が太陽方向を向き、太陽との距離も縮まり、電力復活の可能性が期待されています。その”冬眠”明けに、再び交信を試みるとのこと。一度搭載機器をシャットダウンして、再び運用を再開出来るか。まずは、冬眠中の飛行も安泰であることと、無事に冬眠から”目覚めて”ほしいと願っています。次々と難易度の高い技に挑戦し、あっさり(?)成功させてしまう「イカロス」。今度もきっと大丈夫!

・ツイッターでも、「イカロス君」と仲間たちがご挨拶と励ましの言葉を:Togetter:イカロス冬眠開始に際してのJAXA宇宙機アカウントのやりとり
 ↑「みちびき」さんが何も言わないのが気になる…。アイコンでは「イカロス君」凧を上げているのに…。

アストロアーツ:宇宙ヨット「イカロス」、冬眠モードに移行

・過去記事:IKAROSの新技! 逆スピン
[PR]
by halca-kaukana057 | 2012-01-10 23:30 | 宇宙・天文

IKAROSの新技! 逆スピン

 映画公開で小惑星探査機「はやぶさ」は再び(私の中では常に)脚光を浴び、噴射試験によって機体の状態が明らかになった金星探査機「あかつき」は厳しい状況でも一歩ずつ(宇宙空間を飛ぶ宇宙機に”一歩”という表現はイメージが異なるかもしれないけど、心境としてはそのイメージ)金星にたどり着くために問題に立ち向かっています。その一方で、「あかつき」とともに打ち上げられた小型ソーラーセイル実証機「IKAROS(イカロス)」は、目標としていたミッションを全て完遂し、現在はエクストラミッション中。ソーラーセイルという新しい宇宙機が、どんな運用・飛行に耐えられるのか、可能なのか、限界まで飛び続けています。

 その「イカロス」に、新たなミッションが与えられました。「イカロス」は回転することでセイルの膜を遠心力で開き、その回転(スピン)で姿勢を制御しています。その回転を、逆まわりにしてみたらどうなるだろうか。逆まわり、逆スピン運用が、「イカロス」の新たな挑戦です。

IKAROS(イカロス)専門チャンネル:小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の逆スピン運用実施について

 逆まわりにするということは、その途中で回転を一度止める必要があります。これまで、「イカロス」は回転速度(スピンレート)ゆっくりにしてみることもしてみました。回転速度をゆっくりにすることで、遠心力が弱くなり膜がたわんでしまう可能性がある。それは、太陽光圧を利用して飛行・姿勢制御している「イカロス」にとって、結構リスクの高いこと。でも、「イカロス」の回転速度をゆっくりにしても、順調に飛行を続けてきました。では、回転を止めると、遠心力はゼロになる。太陽光圧で膜がたわんでしまったり絡まってしまうリスクがある。それでも、逆回転することはできるのか。また、太陽との角度でどう異なるのか。リスクはあるけれども、「イカロス」は技術実証機。実際の宇宙空間で実験してみなければ、やってみなくちゃわからない!(NHK教育「大科学実験」の細野さんのナレーションでw 考えてみれば、「イカロス」は大科学実験そのものだ。スケールは半端なくでかいw)

 さて、やってみました。
IKAROS(イカロス)専門チャンネル:小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の逆スピン運用実施結果について(速報)
 ↑公式による速報です。
アストロアーツ:宇宙ヨット「イカロス」、逆スピン運用実験に成功!

 見事、成功しました。凄い!現在、逆スピンを行った時の「イカロス」のデータを解析中だそうです。ソーラーセイルの実用化に向けて、ソーラーセイルではこんな飛行・運用も出来るということを実際にやってみて実証した「イカロス」。ソーラーセイルの可能性、深宇宙へ向かう可能性がまた広がりました。おめでとう、イカロス!

 イカロスブログでは、運用チームのこんなこぼれ話も…。
IKAROS-blog:10/1916:04:06: 今日の IKAROS(10/19) - Daily Report - Oct 19, 2011
ところで,昨日逆スピン状態に移行したことが確認できた後の運用室の雰囲気は,
万歳三唱・・・ではなく,なぜか微妙な「うーん・・・」というものでした.
逆スピンコマンドを送信するときは,
「イカロス,お前のうめき声を聞かせてみろっ!」というくらいの悲壮な覚悟でいたのが
「逆スピン? いいよー!」「えいっ!!」「あ,できたよ.で,次は?」
という感じであっさりとイカロス君が返事をしてきたために,
拍子抜けしたというのか,何か呆れたというのか,
歓喜する瞬間を逸してしまいました.

 難易度の高い技を、あっさりとやってのけてしまったイカロス君。…凄い。これまでも何度も私たちを驚かせてきた宇宙機ですが、意気込んでいた運用チームをも驚かせるこの子。…恐ろしい子!(某マンガのセリフでw褒め言葉ですw

 そんな「イカロス」の本が出ましたよ!

宇宙ヨットで太陽系を旅しよう――世界初! イカロスの挑戦 (岩波ジュニア新書)

森 治 / 岩波書店


 プロジェクトマネージャー・森先生による、ジュニア向けの本です。早速読みたいです!(本屋に行かねば!)岩波ジュニア新書から出たのも、いいなぁ。ジュニア・児童向け新書の老舗・名門のひとつですね(あとは岩波少年文庫、講談社青い鳥文庫だと私は思っています)。
 「イカロス」くんの本といえば、こちらもどうぞ!どちらも子どもたち・これからの宇宙開発・科学を担うであろう若い世代へ向けた本であるところが、またいいなぁと思います。この本を読んだ子が、将来本格的なソーラーセイルの開発・運用に携わるかもしれない。私もそれを願っています。

イカロス君の大航海

澤田 弘崇 / 日経印刷


・私の感想記事:イカロス君の大航海

 現在、「イカロス」は推進剤が少なくなっており、今後通信も難しくなってくるそうです。それでも、限界まで飛び続ける。イカロス君、応援してるよ。


 最後に、ツイッターの「あかつき」と「イカロス」公式アカウントが、「toi toi toi」で盛り上がっている件について。「あかつき」君は毎日のようにtoi toi toi とつぶやいている。幸運あれ!
 「あかつき」と「イカロス」にtoi toi toi!!
「あかつき」ツイッター
「イカロス」ツイッター
[PR]
by halca-kaukana057 | 2011-10-20 22:30 | 宇宙・天文

祝・フルサクセス! IKAROSの挑戦はまだ続く

 HTV「こうのとり」2号機関連のことばかり書いて、こちらを書いていませんでした!

JAXA:小型ソーラー電力セイル実証機(IKAROS)の定常運用終了報告
JAXA:宇宙科学研究所:小型ソーラー電力セイル実証機(IKAROS)の定常運用終了

NHKニュース:“イカロス 全ての目標達成”
毎日新聞:JAXA:「イカロス」撮影の金星公開 8万キロの地点
マイコミジャーナル:【レポート】JAXA、IKAROSの定常運用を終了し2012年3月までの予定で後期運用に移行

 世界初のソーラーセイルとして、飛行を続けてきた「IKAROS(イカロス)」。その予定されていたミッションが全て成功した、とのこと。「イカロス」のミッション帰還は主に2つに分けられています。太陽光の圧力を受ける帆を展開し、帆に付いている太陽電池で発電する「ミニマムサクセス」。その後、帆で太陽光圧を受けて推進・加速、軌道・姿勢制御をする「フルサクセス」の2つ。この全てが、達成されたと報告されました。おめでとうございます!!

 「イカロス」は金星探査機「あかつき(PLANET-C)」と共に打ち上げられ、共に金星へ向かう軌道に載っていました。「あかつき」が金星に最接近した(残念ながら金星周回軌道に載ることは出来ませんでしたが…)翌日、「イカロス」も金星に最接近し通過(「フライバイ」といいます)。そして、少し軌道を変えて、現在も飛行中です。JAXAの資料には、金星通過後8万km離れたところから撮影した、金星の画像も。画像には「イカロス」自身の帆の一部も写っています。小型分離カメラ「DCAM1」「DCAM2」から撮影した、帆を広げた「イカロス」の画像でも「イカロス」がしっかりと帆を広げて飛行しているのがわかりますが、今もその帆を保ったまま飛行しているのだと思うと、よくやった!!とガッツポーズをしたくなります。

 さて、今後の「イカロス」ですが、まだまだ飛行を続けます。なんと、あと1年以上も。来年3月までを予定しています。今後は、姿勢制御などでさらに挑戦的なことをしたいとのこと。「イカロス」は回転の遠心力で帆を広げました。回転の速さは変化していますが、回転はし続けています。では、回転を止めたらどうなるか。また、「イカロス」は地球からどんどん遠ざかっています。地球から離れる=交信に時間がかかり、指令を送るのが困難になる。それでも、そのような環境でどの程度交信を続けられるのか。また、長期間運用することへも挑戦します。紫外線などに直接さらされる過酷な宇宙空間で、「イカロス」はどれだけ耐えられるのか。そこもポイントです。

 「イカロス」が目指すのは、木星など遠い惑星への飛行。ソーラーセイルなら太陽光の圧力で推進できるので燃料も少なくて済む。また、化学エンジンやイオンエンジンを使うよりも、最終的に速く飛ぶことが出来る。そこで、遠い惑星へ向かうにはソーラーセイルが適しているのですが、そのためには帆をもっと大きくしなければならない。今の10倍程度。「イカロス」の大きさでも、薄い帆を本体に巻きつけるのに苦労しましたが、それ以上の大きさの帆が必要となると、帆の強度ももちろんのこと、打ち上げの際に本体にどう巻きつけるかもポイント。それでも、木星や氷や水、有機物があるのではないかと考えられている木星の惑星へ向かうには、ソーラーセイルが効率的。これからの「イカロス」の挑戦が、新たな宇宙探査を切り拓きます。

 「イカロス」の後継機が、更なる太陽系の謎を解き明かす日が来ることを願うばかりです。「イカロス」、限界まで飛べ!


イカロス君の大航海

澤田 弘崇 / 日経印刷


[PR]
by halca-kaukana057 | 2011-02-01 23:50 | 宇宙・天文

イカロス君の大航海

 今年は沢山の宇宙開発関連のニュースがありましたが、その中で特に印象が強く嬉しかったもののひとつが、小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」。こんなに早くソーラーセイルが実現するなんて!そんな「イカロス」のことを、多くの人、こどもたちに知ってほしい…。そんな想いで作られたのが、この本。



イカロス君の大航海
澤田 弘崇:監修・文/宇宙航空研究開発機構:編さん/日経印刷/2010

 「イカロス」のマスコットキャラクター「イカロス君」を主人公にした、絵本です。絵本といっても、こどもたちだけでなく、大人も「イカロス」の詳しいことを知ることが出来る構成になっています。というのは、この本は3つの部分に分かれています。最初に「イカロス君」がどうやって作られたのか、宇宙への旅立ち、帆の展開、帆を展開した姿を分離カメラ「DCAM1ちゃん」と「DCAM2君」に撮影してもらう…あたりを絵本調で語る絵本パート。セイル君とソーラーちゃんが、ハカセにソーラーセイルのこと、「イカロス」のことを尋ねるQ&Aパート。そして、「イカロス」の詳細なデータやプロジェクトチームからのメッセージを載せた詳細解説パート。絵本パートは小学生向け、Q&Aパートは中学生以上向け、詳細解説パートは高校生以上向け、と文体や説明の度合いも変えられていて、薄い本ながらも小学生から大人まで楽しめる内容になっています。「イカロス」本体には様々な工夫がされていますが、この本にも工夫やユーモアがいっぱい。ちなみに、監修と文を担当した澤田弘崇さんは、「イカロス」プロジェクトチームのひとり。テレビにも出演されて、「イカロス」のことを解説していました。

IKAROS-blog:「イカロス君の大航海」発行のお知らせ


 絵本パートはtwitterの「イカロス」アカウントでのツイートがもととなっています。それを更に詳しく、でも平易な言葉で「イカロス君」の挑戦日々が語られます。イラストをよく見ると、twitterで出てきた様々なユーモア・ネタがあちこちにw 「そうだったなぁ」とこれまでの「イカロス」の航海を振り返りながら読みました。

 Q&Aパートは、中学生以上向けとなっていますが、イラストや語り口調の雰囲気だと、これも小学生向け?と思ったのが第一印象でした。ちょっとイラストと文章がごちゃっとしていて読みにくいかな…とも。それでも、絵本パートには無かった探査機の違いによるエンジン・燃料と噴射の仕方の違い、「イカロス」他日本の宇宙機にとって欠かせない存在となっている臼田と内之浦のパラボラアンテナ(「うすださん」と「うっちーさん」)のことも詳しく書かれています。今年6月、「はやぶさ」が帰還する時はアンテナの分担に苦労した、とも。「はやぶさ」だけでなく、天文衛星「すざく」「あかり」「ひので」等もあるしなぁ。文章中の「新しいアンテナを作ってもらわなきゃ」の一言に、全く同感でした。日本にもですが、海外局があれば、NASAのアンテナを借りることも少なくなり、運用がしやすくなるのに…と痛切に感じました。

 詳細解説パートは、「イカロス」資料集として使えます。更に、プロジェクトチームの方々の一言メッセージも。監修・文担当の澤田さんのメッセージに、幼少の頃にご両親が手作りしてくれた宇宙の絵本が、宇宙に興味を持つきっかけになった、と。この絵本が出来たのは、澤田さんが、ご両親が作ってくれた絵本を澤田さん自身も作りたい。世界初のソーラーセイルという偉業を達した「イカロス」のことを、今度は澤田さんがこどもたちに伝えたい。そんな想いから作られたのかもしれません。そして、澤田さんのように、宇宙に興味を持ち、将来研究者となる子が出てくることを願って…。

 そのメッセージの下には、「イカロス」の発案者でもある川口淳一郎先生のメッセージも。川口先生をはじめ、ISAS川口研究室の学生さんたちも、「イカロス」には欠かせない存在となっています。本の中でも、学生さんたちが帆を折りたたみ巻きつける作業を担当したことが書かれています。その、川口先生の結びの言葉を引用します。
イカロスのように高く飛ぶと、いままで見えてこなかった遠くかなたまで見渡すことができます。それは、遠い場所かもしれませんが、遠い将来なのかもしれません。この本を読むみなさんには、イカロスのように高く飛び出し、おもいっきりかなた、将来を見て、新しいことに挑戦する勇気をもってほしいと思います。

 この一節を何度も読み返しています。この本がこどもたちに届き、「イカロス」を超える宇宙機が彼らの手で作られることを、それで宇宙大航海時代を更に切り拓かれることを、願ってやみません。

 最後に、この本の各ページの下部分にも、Q&A方式で小さく解説があります。さらに、右下には…。これは読んでのお楽しみ。

 あと、この本は書店などでも販売されていますが、私は「サイエンスグッズ工房 コンセント」ネットショップで購入。というのは、オリジナル缶バッヂとポストカード付き特別セットがあったから。バッヂもポストカードも、可愛くて素敵です。まだ在庫ありのようです。
サイエンスグッズ工房 コンセント:絵本「イカロス君の大航海」限定セット


 タグは「絵本・児童書」と迷いましたが、「専門書」に入れておきます。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2010-12-31 07:36 | 本・読書

まだ諦めないよ! あかつき

 報道の通り、金星探査機「あかつき(PLANET-C)」の金星周回軌道投入ですが、残念な結果になってしまいました…。

JAXA:金星探査機「あかつき」の金星周回観測軌道投入(VOI-1)の結果について
JAXA:金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入結果について
 ↑宇宙開発委員会への報告書類(PDF)です。詳しい内容が書かれています。

マイコミジャーナル:金星探査機「あかつき」の周回軌道への投入は失敗、6年後の再投入を目指す
 ↑一番わかりやすく詳しい記事です。

 まず、昨日、軌道投入のための噴射後に、セールホールドモードになり、低利得アンテナ(ローゲインアンテナ)で交信を試みていた。今日、セーフホールドモードから、通常の姿勢を保てるようになり、高利得アンテナ(ハイゲインアンテナ)も使えている。

 「あかつき」は、セラミックスラスターによる逆噴射の開始には成功。しかし、噴射後2分ほどで探査機が低利得アンテナのある面(X軸)を軸に回転し始めた模様。そして、危険を察知した「あかつき」はセーフホールドモードに移行。噴射もストップし、充分な減速ができなかったため、金星周回軌道に載れず、金星を通り過ぎる軌道に入ってしまった、とのこと。

 今後はまだ詳細なことがわかっていない部分もあるので、「あかつき」から受信したデータを詳しく分析。さらに調査チームを発足させ、原因究明に当たります。

 以上が現在の状況です。今日の昼休みに、ニュースで「あかつき」のこの報せを知りました。残念でなりません。記者会見でISAS・小野田淳次郎所長が「残念です」と言っていましたが、運用チーム・関係者の方々の無念は計り知れないものだと思います。火星探査機「のぞみ」、そして小惑星探査機「はやぶさ」…。月よりも遠い深宇宙・惑星探査の難しさ、厳しさを実感しています。

 ただ、中村正人プロジェクトマネージャーはじめ運用チームはまだ諦めていません。今「あかつき」は金星軌道の近くの軌道に載り、人工惑星となっています。6年後、再び金星と「あかつき」は接近。軌道投入再挑戦のチャンスです。6年という期間は、長いように感じます。が、「はやぶさ」も7年間宇宙を飛び続けましたし、10年以上運用が続いている宇宙機もあります。現在の「あかつき」の機体の状況が心配ですが、6年後の再挑戦まで応援し続けます。

 朝日新聞の記事から引用します。
再度金星に接近するのは6年後になる。中村教授は管制室のメンバーに現状を伝え、「(再接近まで)探査機を守り続けよう」と語りかけると、メンバーは「目指しましょう」と答えたという。

 1998年に打ち上げられた火星探査機「のぞみ」も軌道投入に失敗した。中村教授は「重力が大きい惑星の探査はなかなか難しいもんだなと。原因はまだ分かっていないが、惑星探査は日本としてやらなければならない課題。技術を磨いていかないといけない。今はむしろ闘志をかき立てられている」と語った。
朝日新聞:あかつき、6年後に再挑戦 再接近へ「むしろ闘志」

 6年後、そして更なる惑星探査計画(惑星探査のミッションであるPLANETシリーズの後継機計画が現在出ていないのが心配ですが…技術・運用のノウハウが途切れてしまう)へ繋げるためにも、詳細なデータの解析と反省、技術を更に磨き上げることを願っています。

 今日、暗くなった空に三日月が見えました。あの月の軌道の向こうには、厳しい空間・世界が広がっている。でも、技術者・科学者たちはその宇宙の謎を解きたくて、果敢に挑戦し続ける。まだ終わっていない。「あかつき」は生きている。生きている限り諦めない中村先生の言葉に、胸が熱くなります。 
 帰宅後、私の母も「あかつき」のことを心配していたのですが、「残念だったね…。先生方も悔しいだろうね。でも、何度も何度も失敗して、うまくなっていくんだよ。またがんばってほしい」と言っていました。母も「あかつき」を応援しています。ちなみに、家族の名前を「あかつき」に載せました。

 諦めないで、応援し続けるよ、あかつき。


 一方、「あかつき」と一緒に宇宙へ飛び立ち、世界初のソーラーセイルとして飛行を続けてきた「IKAROS(イカロス)」も、今日金星に最接近。予定していたミッションを完遂しました。フルサクセスです。おめでとうございます!完遂しても、更に飛び続けるイカロス。宇宙技術を今後も切り拓いていってほしいです。

 とりあえず今日はここまで。また追記するかも。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2010-12-08 23:20 | 宇宙・天文


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)

プロフィールを見る

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

お知らせ・別サイト

管理人HN:(はるか)
 熱しやすく冷めにくい、何が好きになるかわからない好奇心のかたまり。このブログでは好きなものを、好き放題に語ってます。

プロフィール
*2014.9.5:更新
はてなプロフィール:遼(halca-kaukana)



web拍手を送る


ブログランキングならblogram


はてなブックマーク
Mielenkiintoinen!

気になること、関心のある記事や参考にしたサイトなどのブックマーク集。コメント多め。

◆ピアノ録音置きブログ:Satellite HALCA

☆「はやぶさ2」、小惑星リュウグウ到着!!☆
管理人・遼も小惑星探査機「はやぶさ2」を応援しています。



あかつき特設サイト
JAXA:金星探査機「あかつき」特設サイト

☆祝!「あかつき」は金星の衛星になりました☆
金星軌道上で観測中!

最新の記事

音楽嗜好症(ミュージコフィリ..
at 2018-09-18 22:09
マーラー 交響曲第8番を聴こう
at 2018-09-13 23:08
ラハティ シベリウス音楽祭 ..
at 2018-09-11 22:43
イプシロンロケット4号機にメ..
at 2018-09-11 22:03
チェロ2挺の知らない世界
at 2018-09-08 22:25
その見ているものは何なのか ..
at 2018-09-04 22:11
灯台150年切手 & 特印
at 2018-09-03 21:45
BBC Proms ( プロ..
at 2018-08-30 21:27
フィンランドの七夕伝説?
at 2018-08-29 21:43
星戀 (ほしこい)
at 2018-08-18 21:42

カテゴリ

はじめにお読みください
プロフィール
本・読書
宇宙・天文
音楽
奏でること・うたうこと
Eテレ・NHK教育テレビ
フィンランド・Suomi/北欧
イラスト・落描き
日常/考えたこと
興味を持ったものいろいろ
旅・お出かけ
information

タグ

以前の記事

2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
more...

検索