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 ロンドンで開催中の大音楽祭、BBC Proms (プロムス)、9月の私の選んだプロムリストです。もう9月。今年のお祭りもそろそろ終わりです。でも、ラストナイトのAuld Lang Syneを歌い終わるまでがプロムスです。楽しんでいきましょう。
 8月下旬から、その他の音楽祭…バルト海フェスティバルとか、ラハティ・シベリウスフェスティバルなどが始まります。各オーケストラのシーズンオープニングも。聴きたいオンデマンド配信がどんどん増える中で、プロムスと両立する…この時期は大変です。

・7月の各プロムの記事BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その1 [7月] (随時追記中)
・8月前半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その2 [8月前半] (随時追記中)
・8月後半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その3 [8月後半] (随時追記中)


 今年の大きなテーマのひとつが、プロムスの創始者、サー・ヘンリー・ウッドの生誕150年。それを記念して、ウッドが初演(世界初演、イギリス初演、プロムス初演など)した作品を数多く取り上げています。公式サイトでは、ウッドの初演した作品には「Henry Wood Novelties」と表記があります。とにかく多いです。
 もうひとつの大きなテーマが宇宙。アポロ11号月面着陸から50年を記念してのプログラムです。宇宙に関する作品も多く演奏されます。

 プロムスの全公演は、BBC Radio3で放送されます。生放送を聴けなくても、30日間のオンデマンド配信があるので時間のある時にゆっくり楽しめます。再生はBBC Radio3の各プロムのページでどうぞ。今年はプロムス公式サイトで再生できない、リンクもないので、Radio3へのリンクを貼っておきます。
 パソコンからはそのままブラウザで。スマートフォンからは「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うと便利です。無料でダウンロードできます。
 通常の放送だけでなく、Radio3の番組「Afternoon Concert」はプロムス期間中、各プロムの再放送をしています。オンデマンドの配信が期限切れで聴き逃してしまった、日本時間の22時からの放送でちょうど聴ける、という方はこちらもどうぞ。放送されないプロムもあるので注意。
BBC Radio3:Afternoon Concert

 今年も、バイノーラル・サウンドでの配信もしています。一部公演ですが、立体音響で楽しめます。普通のヘッドホンで構いませんので聴いてみてください。随時追加されていくと思います。配信公開期限はいつまでなのかわかりません。通常のオンデマンド公開期限の30日を一応目安にしておくと安心かと思います。
 期限が切れて聴けなくなっている曲が増えています。聴きたい曲はお早めに。
BBC Proms:Binaural Proms 2019

 去年のバイノーラル・サウンド配信もまだ残っているのでリンクしておきます。
BBC Proms 2018:Immerse yourself in music with spatial headphone mixes from the Proms


 では、9月の各プロムを見ていきましょう。

◇9/1 Prom 57: Mozart, Rachmaninov & Qigang Chen
   ◇(Prom57:Radio3)
 ・陳其鋼(チェン・チーガン/Qigang Chen):Wu Xing (五行/The Five Elements)
 ・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488
 ・ラフマニノフ:交響的舞曲 op.45
  / Eric Lu エリック・ルー(ピアノ)、余隆(ユー・ロン Long Yu):指揮、上海交響楽団

 アジアからの指揮者、オーケストラが登場です。プロムス初登場の上海交響楽団。日本以外のアジアのオーケストラはあまり聴いたことがないので楽しみ。1曲目、チェン・チーガンはメシアンの弟子。中国の伝統音楽を取り入れた作品。


◇9/1 Prom 58: Tchaikovsky, Janáček, Szymanowski and Linda Catlin Smith
   ◇(Prom58:Raio3)
 ・リンダ・カトリン・スミス Linda Catlin Smith:Nuages(世界初演)
 ・ヤナーチェク:ヴァイオリン弾きの子ども JW VI/14
 ・シマノフスキ:ハーフィズの愛の歌 op.26
 ・チャイコフスキー:交響曲第2番 ハ短調 op.17 「小ロシア」
  / ジョージア・ジャーマン(ソプラノ)、イラン・ヴォルコフ:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 東欧、ロシアの民謡音楽にちなんだプロムです。ヤナーチェク「ヴァイオリン弾きの子ども」はヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。チャイコフスキー2番は「小ロシア」と呼ばれています。ウクライナの民謡を用いています。私にとってはあまりなじみのない作品ばかりなので楽しみ。


◇9/2 Proms at … Cadogan Hall 7: Silesian String Quartet
   ◇(Proms CH7:Radio3)
 ・ヴァインベルク:弦楽四重奏曲 第7番 op.59
 ・グラジナ・バツェヴィチ Grażyna Bacewicz:ピアノ五重奏曲 第1番
  / ヴォイチェフ・シヴィタワ Wojciech Świtała(ピアノ)、シレジアン弦楽四重奏団 Silesian String Quartet

 今年生誕100年のヴァインベルクの室内楽作品を。ヴァインベルクは弦楽四重奏曲を17曲作曲しています。もうひとり、ポーランドの作曲家でヴァイオリニストのバツェヴィチ。ヴァインベルクより10歳年上。主に室内楽作品を作曲しています。ピアノのシヴィタワさんとシレジアン四重奏団は、ヴァインベルクもバツェヴィチも演奏してたスペシャリスト。CDも出ています。


◇9/2 Prom 59: Benvenuto Cellini
   ◇(Prom59:Radio3)
 ・ベルリオーズ:歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」
  / マイケル・スパイアーズ(ベンヴェヌート・チェッリーニ/テノール)、ソフィア・ブルゴス(テレーザ/ソプラノ)、マシュー・ローズ→マウリツィオ・ムラーノ(バルドゥッチ/バス)、タレク・ナズミ Tareq Nazmi(教皇クレメンス7世/バス)、クリスティアン・アダム→ヴィンセント・デルハウム Vincent Delhoume(フランチェスコ/テノール)、リオネル・ロート Lionel Lhote(フィエラモスカ/バリトン)、アデル・シャルヴェ Adèle Charvet(アスカーニオ/メゾソプラノ)、アシュリー・リッチズ(ベルナルディーノ/バリトン)
 Monteverdi Choir、ジョン・エリオット・ガーディナー:指揮、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック

 今年のプロムス2作目のオペラは、アニバーサリー・イヤーのベルリオーズの作品。全く知らない作品です。イタリア・ルネサンス期の彫刻家、ベンヴェヌート・チェッリーニが主人公。1938年初演されましたが、反応は不評。演奏頻度は少ないですが、徐々に演奏されることが増えてきているそうです。
 キャスト変更が2人ありましたので、追記しています。


◇9/3 Prom 60: Vienna Philharmonic and Bernard Haitink
   ◇(Prom60:Radio3)
 ・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58
 ・ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 (ノヴァーク版)
  / エマニュエル・アックス(ピアノ)、ベルナルト・ハイティンク:指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 今年はウィーンフィルの年です(ウィーンフィルとベルリンフィルが交互にやって来る)。指揮のハイティンクさん、引退を表明され、このプロムが引退公演の1つ前。つまり、最後のプロムスです。ハイティンクさんは1966年にプロムスに初登場。2016年にはプロムス出演50周年記念プロムもありました。初登場の際はBBC響を指揮。その時もブルックナー7番でした。最後もブルックナー7番で。
◇その時の記録:1966年8月22日、Prom27
 ベートーヴェンのピアノ協奏曲4番は、ペライアさんの予定でしたが、アックスさんに変更です。ペライアさんの体調が心配です。アックスさんの演奏はとてもよかったです。


◇9/4 Prom 61: Vienna Philharmonic and Andrés Orozco-Estrada
   ◇(Prom61:Radio3)
 ・ドヴォルザーク:交響詩「真昼の魔女」op.108
 ・コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
 ・ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 op.95 「新世界より」
  / レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン)、アンドレス・オロスコ=エストラーダ:指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 ウィーンフィル2日目は、オロスコ=エストラーダさん。南米出身の指揮者の、アメリカに縁のある作曲家、ドヴォルザークとコルンゴルトを。ドヴォルザークの「真昼の魔女」は初めて聞きました。ヘンリー・ウッドがイギリス初演しています。チェコの詩人エルベンの詩集の中の作品を元にした曲で、遊んでいた子どもがぐずり、泣き始めてしまい、母親が「泣き止まないと真昼の魔女が来る」と脅すと、本当に魔女が来て不気味な踊りを踊り、子どもを殺してしまう…という話。怖いよ…。
 コルンゴルトはユダヤ系で、ナチスから逃げアメリカに亡命。オペラ「死の都」を以前テレビで観て、印象に残っています。ヴァイオリン協奏曲もまだそんなに聞き込んでいないのでしっかり聴きたい。

◇9/5 Prom 63: Yuja Wang plays Rachmaninov
   ◇(Prom63:Radio3)
 ・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op.30
 ・ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 op.73
  / ユジャ・ワン(ピアノ)、チョン・ミョンフン:指揮、シュターツカペレ・ドレスデン

 ウィーンフィルの次はシュターツカペレ・ドレスデン。まずはユジャ・ワンさんのピアノでラフマニノフの3番コンチェルト。後半はブラームス2番。


◇9/7 Prom 65: Mozart, Beethoven & R. Strauss
   ◇(Prom65:Radio3)
 ・モーツァルト:後宮からの誘拐 K.384 序曲
        :レチタティーヴォとアリア K.316(レチタティーヴォ「テッサリアの民よ」とアリア「不滅の神々よ、私は求めず」)
        :カッサシオン 第1番 ト長調 K.63
        :アリア「いいえ、あなたにはできません(No, no, che non sei capace) K. 419
        :交響曲第35番 ニ長調 K.385 「ハフナー」
 ・リヒャルト・シュトラウス:歌劇「カプリッチョ」より前奏曲(弦楽六重奏)
              :歌劇「ナクソス島のアリアドネ」より「偉大なる王女さま!(Grossmächtige Prinzessin!)」
 ・ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92
  / ダナエ・コントラ Danae Kontora(ソプラノ)、コンスタンティノス・カリディス:指揮、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団

 ギリシャ出身のソプラノと指揮者による、オペラと交響曲のプロム。とても華やかな選曲です。最後はベートーヴェン7番で。これはどんなベト7になるのか。


◇9/8 Prom 66: John Luther Adams's In the Name of the Earth
 ・ジョン・ルーサー・アダムズ:In the Name of the Earth(ヨーロッパ初演)
  / BBCシンフォニーコーラス、Crouch End Festival Chorus、Hackney Empire Community Choir、London International Gospel Choir、ロンドン・フィルハーモニック合唱団、ロンドン交響楽団合唱団、LSO Community Choir、Victoria Park Singers
 ネヴィル・クリード Neville Creed,ニール・フェリス Neil Ferris,サイモン・ホールジー Simon Halsey,デイヴィット・テンプル David Temple:指揮

 アメリカの作曲家、ジョン・ルーサー・アダムズの新曲です。8つの合唱団、総勢600人…すごい。そんな大人数での合唱…どんな曲なんだろう…?初演は2018年、ニューヨークの音楽祭「モーストリー・モーツァルト・フェスティバル」にて。この時もでしたが、今回も観客も最後のテーマを一緒に歌っていいとのこと。ラストナイトの大合唱みたいなことになるのか…?想像がつかない。聴くしかあるまい。映像も観てみたい。600人の大合唱。
 指揮者も4人います。BBC Proms公式のリハーサル画像を見てみたら、合唱団をいくつかに分けて、それぞれ指揮者が付いているみたいです。



◇9/8 Prom 67: Sakari Oramo conducts Sibelius
   ◇(Prom67:Radio3)
 ・ムソルグスキー(リムスキー=コルサコフ:編曲):はげ山の一夜 ニ短調
 ・ルイ・アンドリーセン Louis Andriessen:The Only One(イギリス初演)
 ・ジュディス・ウィアー Judith Weir:森
 ・シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82 (1919年、現行版)
  / ノラ・フィッシャー(歌)、サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団

 テーマは森、自然のプロム。しかも、他のプロムで演奏された作品と関連がある作品が並びます。「はげ山の一夜」はヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。1867年、ムソルグスキー自身による原典版を発表しますが不評。その後、ロシア五人組の合作でオペラを作曲する計画が持ち上がり、ムソルグスキーは合唱を加えて書き換えます。オペラは完成前に中断されてしまいました。その後、リムスキー=コルサコフが単独で「ムラダ」を作曲しますが、それがProm41で演奏された「ムラダ」です。「はげ山の一夜」は登場しません。リムスキー=コルサコフが編曲したのは、ムソルグスキーの死後でした。
 アンドリーセンはオランダの作曲家。ジュディス・ウィアーはProm35のブラビンズさんのための新「エニグマ」に参加。「森」を描いた作品に続くのはシベリウスの5番。Prom20で1915年初稿を演奏しましたが、このプロムでは現行版を。シベ5をどちらも聴けるなんて今年のプロムスはいいなぁ。Prom20の初稿は、バイノーラルサウンドであればまだ聴けます(9月10日現在。曲の前に、前奏曲のような形でシベ5の断片やフィンランド民謡をカンテレなどでの演奏、歌が入ります。)。上記リンク先からどうぞ。
 今年のBBC響は全11公演。これが10公演目。次はラストナイトです。


◇9/9 Prom 68: Wagner Night
   ◇(Prom68:Radio3)
 ・ウェーバー:魔弾の射手 序曲
 ・ワーグナー:「ジークフリート」 より 「森のささやき」
 ・フランク:呪われた狩人
 ・ワーグナー:「神々の黄昏」より「夜明けとジークフリートのラインへの旅」
       :        デュエット「新たな武勲へ向かう、大事な勇士よ」
       :        「ジークフリートの死と葬送行進曲」
       :        「ブリュンヒルデの自己犠牲」
  / クリスティン・ゴアーク(ソプラノ)、ステファン・グールド(テノール)、マルク・アルブレヒト:指揮、ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団

 自分のことを書いてしまうが、マーラーやブルックナーよりも、ワーグナーの方が苦手意識が強いかもしれない。物語も音楽も壮大すぎてついて行けない。聴けばいい音楽だなと思うのだが、自分から聴こうとは思わない…。ワーグナーの楽劇はすごいとか言われても、正直よくわからない…(声楽やってるのにそれでいいのかと思うが…)。そんなワーグナーのプロム。これを聴いて、少しは親しめるようになるか…?
 ワーグナーの他にもウェーバーとフランクの、印象的な物語の音楽。


◇9/10 Prom 69: Smetana, Shostakovich & Tchaikovsky
   ◇(Prom69:Radio3)
 ・スメタナ:売られた花嫁 序曲、3つの踊り
 ・チャイコフスキー:エフゲニー・オネーギン 手紙の場
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ハ短調 op.65
  / エレーナ・スティヒナ Elena Stikhina(ソプラノ)、セミヨン・ビシュコフ:指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

 Prom33でBBC響を指揮したビシュコフさんが、今度はチェコフィルを連れてきました。チャイコフスキーとショスタコーヴィチは、ヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。スメタナの「売られた花嫁」は、序曲はよく聴きますが「3つの踊り」は初めて聴きます。「エフゲニー・オネーギン」からは、オネーギンに恋したタチアーナが、オネーギンへの思いをしたためるアリア「私は死んでもいいの」を含む「手紙の場」を。最後はショスタコーヴィチ8番。7番に続く戦争交響曲。


◇9/11 Prom 71: Bach Night
   ◇(Prom71:Radio3)
 ・J.S.バッハ:管弦楽組曲 第4番 ニ長調 BWV1069
 ・ニコ・マーリー Nico Muhly:Tambourin (世界初演)
 ・J.S.バッハ:管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV1066
 ・スティーヴィー・ウィッシャート Stevie Wishart:The Last Dance?(世界初演)
 ・Ailie Robertson:Chaconne シャコンヌ (世界初演)
 ・J.S.バッハ:管弦楽組曲 第2番 ロ短調 BWV1067
 ・スチュアート・マクレー Stuart MacRae:Courante クーラント (世界初演)
 ・J.S.バッハ:管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068
  / ジョン・バット:指揮、Dunedin Consort

 バッハの作品と現代作品(しかも全部世界初演)を組み合わせたプロム。以前もこういうプロムがありましたね。「管弦楽組曲」全4作に現代の作曲家、しかも若手、ジャンルの垣根を越えた活動をしている作曲家も参加しています。タイトルはバッハの作品と同じように、舞曲になっている。どんな音楽になるんだろう。


◇9/12 Prom 72: Symphonie fantastique
   ◇(Pom72:Radio3)
 ・ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14
  / ニコラス・コロン:指揮、オーロラ管弦楽団 他

 アニバーサリーイヤーのベルリオーズの代表作、幻想交響曲。このプロムではただオーケストラが演奏するだけではなく、様々な演出、解説があります。そして、オーロラ管弦楽団といえば暗譜での演奏。こういうプロムは映像で観たい。
 ちなみに、指揮のコロンさんは、フィンランド放送響の次期首席指揮者に決まりました。フィンランド放送響始まって以来の、フィンランド人以外の首席指揮者です。


◇9/13 Prom 74: Beethoven Night
   ◇(Prom74:Radio3)
 ・ヘンデル(マンゼ:編曲):王宮の花火の音楽 HWV 351
 ・ベートーヴェン:ああ、不実なる人よ op.65
 ・J.S.バッハ(エルガー:編曲):幻想曲とフーガ ハ短調 BWV 537
 ・ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」序曲
         :        「人間の屑! かかってきなさい、希望は捨てないわ、最後には星が出る」(Abscheulicher! …Komm, Hoffnung, lass den letzten Stern)
         :交響曲第5番 ハ短調 op.67
  / エリザベス・ワッツ(ソプラノ)、アンドリュー・マンゼ:指揮、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

 マンゼさんとNDRエルプフィルの登場です。ベートーヴェンを中心にしたドイツプログラム。1曲目のヘンデル「王宮の花火の音楽」は、マンゼさん自身による編曲。バッハの「幻想曲とフーガ」もエルガーの編曲。歌曲に、オペラ「フィデリオ」のアリアも。最後は5番「運命」。
 来年はベートーヴェンのアニバーサリーイヤー。たくさん聴けそうですね。
 さて、残すプロムはあとひとつ。ラストナイトです。


◇9/14 Prom 75: Last Night of the Proms
   ◇(Prom75:Radio3)
 ・ダニエル・キダン Daniel Kidane:Woke (世界初演)
 ・ファリャ:バレエ組曲「三角帽子」第2組曲
 ・ローラ・マヴーラ Laura Mvula:Sing to the Moon
 ・マコンキー:輝かしきテムズ
 ・エルガー:ソスピーリ(ため息) op.70
 ・ビゼー:歌劇「カルメン」 より 「恋は野の鳥」(ハバネラ)
 ・サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」 より 「あなたの声に私の心も開く」('Mon coeur s'ouvre à ta voix')
 ・ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」 より「むごい運命よ」(O don fatale)
       :歌劇「アイーダ」 より 凱旋行進曲
 ・オッフェンバック:歌劇「天国と地獄(地獄のオルフェウス)」序曲
 ・グレインジャー:マーチングソング・オブ・デモクラシー
 
 ・ハロルド・アーレン:「オズの魔法使い」 より 「虹の彼方に(Over the Rainbow)」
 ・ガーシュイン:アイ・ガット・リズム
 ・ヘンリー・ウッド:イギリスの海の歌による幻想曲
 ・アーン(サージェント:編曲):ルール・ブリタニア!
 ・エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 「希望と栄光の国(Land of Hope and Glory)」
 ・パリー(エルガー:編曲):エルサレム
 ・ブリテン:編曲:イギリス国歌
 ・スコットランド民謡(Paul Campbell:編曲):Auld Lang Syne
  / ジェイミー・バートン(メゾソプラノ)、BBCシンガーズ、BBCシンフォニーコーラス
  サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団

 ラストナイトです。今年の指揮はオラモさん。「ルール・ブリタニア」他、声楽ソロはメゾのバートンさん。メゾが活躍するオペラアリアをたくさん聴けるのが嬉しい。
 エルガーの「ソスピーリ」は、1914年のファーストナイトでヘンリー・ウッドが世界初演しました。今年を含めて、意外にも3回しか演奏していません。
1914年8月15日:Prom 01 - First Night of the Proms 1914
 当時は、現在ではラストナイトの定番曲の「イギリスの海の歌による幻想曲」や「威風堂々第1番(Land of Hope and Glory)」をファーストナイトでやっていたんですね。ヘンリー・ウッドを称える今年のプロムスのラストナイトは、「イギリスの海の歌による幻想曲」は欠かせません。
 ラストナイトも女性作曲家が活躍。月面着陸50年のプロムスを締めくくるのは、シンガー・ソングライターとして活躍しているローラ・マヴーラさんの「Sing to the Moon」.もう1曲、エリザベス・マコンキーの作品も。ロンドンの情景が浮かんでくる作品。
 ミュージカル「オズの魔法使い」の「虹の彼方に」も入っています。今年で80周年。これも皆で大合唱かな。
 ラストナイトの曲順変更、追加曲がありました。ガーシュインの「アイ・ガット・リズム」も。これは元々はミュージカル「ガール・クレイジー」の歌だったんですね。これはバートンさんの歌が炸裂しそう。ミュージカルソングが2曲になりました。これは楽しいぞ。

 ラストナイトは音声だけ聴いても楽しいですが、映像を観てこそ…今年もテレビ放送お願いしますNHKさん。
 ラストナイトは終演後に公式の画像や映像の一部がアップされると思うので、また追記します。楽しみだなぁ。

【ラストナイト追記】
 ラストナイトは第2部を生中継で聴きました。第1部はこれから。
 Proms公式による、ラストナイトのまとめです。
BBC Proms 2019:What happened at Last Night of the Proms 2019
 ツイッターで映像もツイートされていて、少し観ることができます。この他にもBBC Proms公式アカウントには映像付きのツイートがあるので見てみてください。

BBC News:'Queer girl with a nose ring' rocks the Last Night of the Proms
 ラストナイトに関してのニュース記事です。

 今年のラストナイト。「ルール・ブリタニア」では、メゾソプラノのジェイミー・バートンさんが歌ったのですが、歌いながら虹色の旗を振っていました。LGBTのシンボルの虹色。バートンさんもLGBTなのだそうです。その前に歌った「オズの魔法使い」の「虹の向こうに」もそういう意味があったのか。
Rule, Britannia! (excerpt) with Jamie Barton and rainbow flag (BBC Proms 2019)


 1分で振り返る今年のラストナイト。編集上手い。
Best moments from Last Night of the Proms 2019


 ラストナイトの舞台裏写真集。かっこいいなぁ。
BBC Proms 2019:Backstage at the Royal Albert Hall during Last Night of the Proms 2019


 ということで、2019年のプロムス、私の選んだプロムリストでした。オンデマンドは30日間、ラストナイトなら10月14日ごろまで聴けるので、何回でもどうぞ。

by halca-kaukana057 | 2019-08-30 21:22 | 音楽
 ロンドンで絶賛開催中の「BBC Proms」。8月後半の私が選んだプロムリストです。8月後半も盛りだくさんです。そろそろ、オンデマンドを聴くのに遅れが出てきました…。
 7月はじめの頃のプロムのオンデマンド配信が終わりに近づいているものもあります。聴き逃しのないよう確認を。バイノーラル・サウンド配信の楽曲も増えています。


・7月の各プロムの記事BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その1 [7月] (随時追記中)
・8月前半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その2 [8月前半] (随時追記中)


 今年の大きなテーマのひとつが、プロムスの創始者、サー・ヘンリー・ウッドの生誕150年。それを記念して、ウッドが初演(世界初演、イギリス初演、プロムス初演など)した作品を数多く取り上げています。公式サイトでは、ウッドの初演した作品には「Henry Wood Novelties」と表記があります。とにかく多いです。
 もうひとつの大きなテーマが宇宙。アポロ11号月面着陸から50年を記念してのプログラムです。宇宙に関する作品も多く演奏されます。

 プロムスの全公演は、BBC Radio3で放送されます。生放送を聴けなくても、30日間のオンデマンド配信があるので時間のある時にゆっくり楽しめます。再生はBBC Radio3の各プロムのページでどうぞ。今年はプロムス公式サイトで再生できない、リンクもないので、Radio3へのリンクを貼っておきます。
 パソコンからはそのままブラウザで。スマートフォンからは「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うと便利です。無料でダウンロードできます。
 通常の放送だけでなく、Radio3の番組「Afternoon Concert」はプロムス期間中、各プロムの再放送をしています。オンデマンドの配信が期限切れで聴き逃してしまった、日本時間の22時からの放送でちょうど聴ける、という方はこちらもどうぞ。放送されないプロムもあるので注意。
BBC Radio3:Afternoon Concert

 今年も、バイノーラル・サウンドでの配信もしています。一部公演ですが、立体音響で楽しめます。普通のヘッドホンで構いませんので聴いてみてください。随時追加されていくと思います。配信公開期限はいつまでなのかわかりません。通常のオンデマンド公開期限の30日を一応目安にしておくと安心かと思います。
BBC Proms:Binaural Proms 2019

 去年のバイノーラル・サウンド配信もまだ残っているのでリンクしておきます。
BBC Proms 2018:Immerse yourself in music with spatial headphone mixes from the Proms

 では、8月後半の各プロムを見ていきましょう。

◇8/16 Prom 40: Queen Victoria's 200th Anniversary
   ◇(Prom40:Radio3)
 ・アーサー・サリヴァン:バレエ音楽「ヴィクトリア朝とメリー・イングランド」組曲
 ・メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 第1番 ト短調 op.25
 ・サクス=コバーグ=ゴータ公子アルバート:歌曲集
 ・メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 op.56「スコットランド」
  / アレッサンドロ・フィッシャー(テノール)、スティーヴン・ハフ(ピアノ)、アダム・フィッシャー:指揮、エイジ・オヴ・インライトゥンメント管弦楽団

 ヴィクトリア女王生誕200年を記念してのプロムです。サリヴァンはオペレッタ「ミカド」の作曲家。ヴィクトリア女王はメンデルスゾーンがお気に入りでした。ピアノ協奏曲1番と、「スコットランド」交響曲を。ヴィクトリア女王の夫、プリンス・コンソート・アルバートは作曲もしていました。その作曲した歌曲も。プロムスのメイン会場、ロイヤル・アルバート・ホールは、アルバート公に捧げられたホール。2017年のラストナイトのテレビ放送で、ロイヤル・アルバート・ホールの歴史を紹介していましたね。
 ピアノ協奏曲のピアノですが、ヴィクトリア女王のエラールのピアノなのだそうです。公式の写真を見ましたが、金ぴかのとても豪華なピアノ。音色も現代のピアノとは違う音色。アルバート公の歌曲集は、このピアノで伴奏をしています。ピアノ演奏はピアノ協奏曲に続きハフさん。アルバート公に捧げられたホールで、ヴィクトリア女王のピアノを演奏し、アルバート公の作曲した歌曲を演奏する。こういう趣向のプロムもいいですね。
 ラジオ録音で聴いているからいいのだが、実際のコンサートではあの大きなホールであのピアノはどう響いたんだろう。後ろの席、一番上のバルコニーまで音は届いたのだろうか。

 ハフさんのアンコールの映像がYouTubeに上がっていました。すごいピアノだ…。
Proms encore played on Queen Victoria's golden piano (BBC Proms 2019)
 ショパン:ノクターン 第2番 変ホ長調 op.9-2


◇8/17 Proms at … Holy Sepulchre London
   ◇(Proms at … Holy Sepulchre London:Radio3)
 ・ウォルトン:Where does the uttered music go? 絶対音楽はどこへ行くのか
 ・ブリテン:Sacred and Profane op.91 神聖と世俗
 ・アイアランド:聖なる少年
 ・シア・マスグレイヴ Thea Musgrave:Rorate coeli
 ・エリザベス・マコンキー Elizabeth Maconchy:Three Donne Songs – No. 1: A Hymn to God the Father
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:真理のために勇敢に Valiant for truth
 ・ジュディス・ウィアー Judith Weir:Missa del Cid エル・シッドのミサ
 ・ジョアンナ・リー Joanna Lee:At this man’s hand (世界初演)
  / ソフィ・イェアンニン Sofi Jeannin:指揮、BBCシンガーズ

 BBCシンガーズの無伴奏合唱プロム。イギリスの宗教合唱曲を集めています。


◇8/17 Prom 41: Rimsky-Korsakov, Rachmaninov, Lyadov & Glazunov
   ◇(Prom41:Radio3)
 ・リムスキー=コルサコフ:歌劇「ムラダ(Mlada)」組曲
 ・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調 op.1 (1891年初稿)
 ・リャードフ:バーバ・ヤガー op.56、キキーモラ op.63、ヨハネの黙示録より op.66
 ・グラズノフ:交響曲第5番 変ロ長調 op.55
  / アレクサンドル・ギンジン Alexander Ghindin (ピアノ)、ウラディミール・ユロフスキ:指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

 ユロフスキさんとロンドン・フィルのオール・ロシア・プロムです。しかも、全曲ヘンリー・ウッドが初演しました。リムスキー=コルサコフとラフマニノフは世界初演。リャードフとグラズノフはイギリス初演。すごい。
 ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番は1917年に改訂されています。今回演奏するのは初稿です。ラフマニノフが卒業試験のために作曲しました。
 Prom18でも書きましたが、ロンドン・フィルの次期首席指揮者が、エドワード・ガードナーさんに決定しました。


8/18 ◇Prom 42: Youthful Beginnings
   ◇(Prom42:Radio3)
 ・ベートーヴェン:交響曲第1番 ハ長調 op.21
 ・クララ・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.7
 ・ソフィア・グバイドゥーリナ Sofia Gubaidulina:おとぎ話の詩
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第1番 ヘ短調 op.10
  / マリアム・バタシヴィリ(ピアノ)、ラファエル・パヤーレ:指揮、アルスター管弦楽団

 作曲家たちの若き日の作品を集めました。ベートーヴェンの1番は、全音のソナチネアルバム1巻に第2楽章が収録されていますね。注目はクララ・シューマンのピアノ協奏曲。ロベルト・シューマンの妻で、ピアニストとして活躍したクララ。作曲作品も残っています。ロベルトのピアノ協奏曲と同じイ短調。ピアノソロのバタシヴィリさんは先日来日してましたね。ショスタコーヴィチも交響曲第1番。


◇8/19 Proms at … Cadogan Hall 5: Louise Alder
   ◇(Prom CH5:Radio3)
 ・シューベルト:糸を紡ぐグレートヒェン D118、夜と夢 D827、ます D550
 ・メンデルスゾーン:歌の翼に op.34-2、月 op.86-5、新しい恋 op19a-4
 ・ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル:山の喜び op.10-5、なぜばらはこんなに青ざめているの op.1-3、南へ op.10-1
 ・リスト:喜びでいっぱい、そして悲しみでいっぱい S.280、おお愛せよ、お前が愛しうるかぎり S.298、もし素敵な芝生があれば FWV.78、おお!私が眠る時 S.282、「どうやって」彼らは尋ねた S.276
 ・ショパン:願い op.74-1、素敵な若者 op.74-8
 ・ロッシーニ:スペインのカンツォネッタ
  / ルイーズ・オルダー(ソプラノ)、ゲイリー・マシューマン(ピアノ)

 カドガンホールシリーズ、5回目はロマン派の歌曲を。ファニー・メンデルスゾーンはフェリックスの姉。リストやショパンの歌曲はあまり聴かないので聴いてみる。ドイツリートは今私も取り組んでいるものがあるので、作品は違いますがドイツリートの発音や歌の雰囲気などを学べたら。
 リストの「おお愛せよ、お前が愛しうるかぎり」は、ピアノ曲「愛の夢 第3番」として有名なあの曲です。


◇8/19 Prom 43: Beethoven’s Ninth Symphony
   ◇(Prom43:Radio3)
 ・ジョナサン・ダウ:We Are One Fire (世界初演)
 ・ディーター・アマーン Dieter Ammann:ピアノ協奏曲 (世界初演)
 ・ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱付き」
  / アヌ・コムシ(ソプラノ)、ヒラリー・サマーズ(コントラルト)、ミカエル・ヴェイニウス Michael Weinius(テノール)、ミカ・カレス Mika Kares(バス)
アンドレアス・ヘフリガー(ピアノ)
BBCシンフォニーコーラス
ネイル・フィリス、サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団

 8月19日は声楽回か。第九も毎年どこかのオケが演奏するプロムス定番曲。今年はオラモさん指揮、BBC響です。その前に世界初演作品を2つ持ってくるのがプロムスらしい。1曲目のダウさんの作品は合唱曲。BBC響の合唱監督のフィリスさんが指揮します。アマーンさんのピアノ協奏曲新曲と第九はオラモさん。昨年のロイヤル・ストックホルム・フィル来日(日本・スウェーデン国交樹立150年記念演奏会)で、第九もあり、聴きに行きたいなと思ったのですが行けず。オケは違いますが(あと、プロムスという舞台も特殊だと思う)オラモさんが指揮する第九を聴いたことがないので聴いてみたい。


◇8/20 Prom 44: Belshazzar’s Feast
   ◇(Prom44:Radio3)
 ・シャルル・ケクラン Charles Koechlin:レ・バンダール・ログ
 ・ヴァレーズ:アメリカ(1921年初稿)
 ・ウォルトン:ベルシャザールの饗宴
  / ジェラルド・フィンリー(バリトン)、Orfeó Català、Orfeó Català Youth Choir、ロンドン・シンフォニー・コーラス、サイモン・ラトル:指揮、ロンドン交響楽団

 ラトルさんとロンドン響の登場です。1曲目のケクランについては初めて知りました。小説「ジャングル・ブック」を基に作曲されたそう。ヴァレーズの「アメリカ」は初稿。現行版は何度か聴いたことがあるのですが、初稿は初めて。メインはウォルトンの方の「ベルシャザールの饗宴」。シベリウスではない。バリトンソロは、昨年のラストナイトで大活躍したフィンリーさん。


◇8/22 Prom 46: City of Birmingham Symphony Orchestra
 ・ドロシー・ハウエル Dorothy Howell:交響詩「ラミア」
 ・エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 op.85
 ・オリヴァー・ナッセン:ヤンダー城への道 op.21a
 ・ヴァインベルク:交響曲第3番 (ロンドン初演)
  / シェク・カネー=メイソン(チェロ)、ミルガ・グラジニーテ=ティーラ:指揮、バーミンガム市交響楽団

 グラジニーテ=ティーラさんとバーミンガム市響(CBSO)の登場です。1曲目、ドロシー・ハウエルはイギリスの女性作曲家。バーミンガムの生まれだそうです。この「ラミア」は、ウッドが世界初演しています。どんな曲だろう。エルガーのチェロ協奏曲のソロは、ヘンリー王子の結婚式で演奏したことで有名になったカネー=メイソンさん。昨年プロムス直前に亡くなったナッセンさんの作品も取り上げます。メインは再び登場ヴァインベルク。これもロンドン初演。


◇8/23 Prom 47: Leipzig Gewandhaus Orchestra
   ◇(Prom47:Radio3)
 ・J.S.バッハ:幻想曲とフーガ ト短調 BWV542
       :カンタータ147番 BWV147「心と口と行いと生活で」
       :前奏曲 BWV552 「聖アン」
       :シュープラー・コラール集 第1曲「目覚めよと呼ぶ声あり」 BWV645 より「主よ、人の望みの喜びよ」
       :フーガ BWV 552 「聖アン」
 ・ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 (1890年版 ノヴァーク版)
  / ミヒャエル・シェーンハイト Michael Schönheit(オルガン)、アンドリス・ネルソンス:指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

 ネルソンスさんとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の登場です。前半はバッハの作品を、ライプツィヒのオルガニスト、シェーンハイトさんの演奏で。バッハがオルガンを弾いていたのライプツィヒ。後半はブルックナー8番。Prom31でも書きましたが、今年のプロムスは、演奏する版・稿を明記しています。


◇8/24 Prom 48: Rachmaninov, Prokofiev & Silvestri
   ◇(Prom48:Radio3)
 ・コンスタンティン・シルヴェストリ Constantin Silvestri:弦楽オーケストラのための3つの小品
 ・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 op.16
 ・ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 op.27
  / チョ・ソンジン(ピアノ)、クリスティアン・マチェラル:指揮、BBC交響楽団

 指揮のマチェラルさんは、新シーズンからケルンWDR交響楽団の首席指揮者になる方。サラステさんの後継です。1曲目のシルヴェストリ。シルヴェストリはルーマニアの指揮者で作曲家。今年、没後50年です。ボーンマス響の首席指揮者で、イギリスに帰化しました。2曲目からはロシアの作曲家たちを。


◇8/26 Proms at … Cadogan Hall 6: Amatis Trio
   ◇(Prom CH6:Radio3)
 ・シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 op.70
 ・クララ・シューマン:3つのロマンス op.22
           :ピアノ三重奏曲 ト短調 op.17
  / Amatis Piano Trio

 シューマン夫妻の室内楽作品を。元々はピアニストを目指したシューマン、ピアニストのクララ。ピアノとは相性がいい2人です。クララの「3つのロマンス」はピアノとヴァイオリンのための作品。


◇8/26 Prom 50: Orchestre de Paris
   ◇(Prom50:Radio3)
 ・シューマン:ゲノフェーファ 序曲 op.81
 ・イェルク・ヴィトマン Jörg Widmann:バビロン組曲 (ロンドン初演)
 ・ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 op.68 「田園」
  / ダニエル・ハーディング:指揮、パリ管弦楽団

 ハーディングさんは先日パリ管の首席指揮者を退任。でも、パリ管とプロムス登場です。2曲目のヴィトマンは、作曲家で指揮者でクラリネット奏者。今回演奏するのは、自作のオペラ「バビロン」からの組曲。ロンドン初演です。メインは「田園」。来日公演でも演奏していましたね。


◇8/27 Prom 51: The Magic Flute
   ◇(Prom51:Radio3)
 ・モーツァルト:歌劇「魔笛」 K.620
  / デイヴィット・ポーティロ David Portillo(タミーノ)、ソフィア・フォミナ Sofia Fomina(パミーナ)、ビョルン・ブルガー Björn Bürger(パパゲーノ)、アリソン・ローズ Alison Rose(パパゲーナ)、ブラインドリー・シャラット Brindley Sherratt(ザラストロ)、Caroline Wettergreen(夜の女王)、イェルク・シュナイダー Jörg Schneider(モノスタトス)、他
Glyndebourne Chorus、ライアン・ウィッグルスワース:指揮、エイジ・オブ・エンライトゥメント管弦楽団

 今年のプロムスのオペラ1作品目。聞き所がたくさんの「魔笛」。楽しみたいと思います。


◇8/28 Prom 52: Mozart, Tchaikovsky, Stravinsky & Ryan Wigglesworth
   ◇(Prom52:Radio3)
 ・モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365
 ・チャイコフスキー:組曲第4番 ト長調 op.61 「モーツァルティアーナ」
 ・ウィッグルスワース:ピアノ協奏曲 (世界初演)
 ・ストラヴィンスキー:妖精の口づけ
  / マルカンドレ・アムラン(ピアノ)、ライアン・ウィッグルスワース:指揮・ピアノ、Britten Sinfonia

 ウィッグルスワースさんが2日連続の登場。モーツァルト「魔笛」の翌日は、モーツァルトと、モーツァルトに影響を受けたチャイコフスキー、チャイコフスキーに影響を受けたストラヴィンスキーというインスパイアの連鎖プログラムです。面白い。ストラヴィンスキーはバレエ音楽。
 ウィッグルスワースさんは作曲家でもあり、ピアニストでもあります。1曲目のモーツァルトの協奏曲、3曲目のウィッグルスワースさん自身のピアノ協奏曲でソロを務めます。モーツァルトでは、アムランさんが共演。元々はポール・ルイスさんでしたが変更です。
 ウィッグルスワースさんは9月9日、カドガンホールシリーズ8でも登場します。


◇8/29 Prom 53: Elgar's The Music Makers
   ◇(Prom53:Radio3)
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
 ・ヒュー・ウッド Hugh Wood:コーモスからの場面 op.6
 ・エルガー:ミュージック・メイカーズ op.69
  / ステーシー・タッパン Stacey Tappan(ソプラノ)、サラ・コノリー(メゾソプラノ)、アンソニー・グレゴリー Anthony Gregory(テノール)、BBCシンフォニーコーラス、アンドリュー・デイヴィス:指揮、BBC交響楽団

 アンドリュー・デイヴィスさんとBBC響のイギリスプログラムです。ヒュー・ウッドもイギリスの作曲家。ジョン・ミルトンの詩を、ソプラノとテノールが歌います。デイヴィスさんとBBC響でCDが出ています。
 エルガー「ミュージック・メイカーズ」はメゾソプラノと合唱と管弦楽のための作品。エルガーの過去の作品がいくつも引用されます。


◇8/30 Prom 55: Handel's Jephtha
   ◇(Prom55:Radio3)
 ・ヘンデル:イェフタ HWV70
  / アラン・クレイトン(イェフタ:テノール)、Jeanine De Bique(イフィス、ソプラノ)、ヒラリー・サマーズ(ストルゲ、メゾソプラノ)、ティム・ミード(ハモル、カウンターテナー)、コーディ・クアトルバウム(ゼブル、バスバリトン)、ローワン・ピアース(天使、ソプラノ)
 スコティッシュ室内合唱団、リチャード・エガー:指揮、スコティッシュ・室内管弦楽団

 ヘンデルのオラトリオ。初めて知る作品です。聖書の「士師記」(ヨシュアの死後、サムエルが登場するまでのイスラエル人の歴史の物語。他民族に侵略されるイスラエル人を救済する英雄たちが登場する)第11章のエフタの話に基づいています。エフタもその英雄の一人。アンモン人に虐げられてきたイスラエル人を救おうとするイェフタ、娘のイフィスが犠牲となるのか…というお話。


◇8/31 Prom 56: Henry Wood Tribute
   ◇(Prom56:Radio3)
 ・ラヴェル:スペイン狂詩曲
 ・ジョン・アイアランド:ピアノ協奏曲
 ・ドブリンカ・タバコヴァ Dobrinka Tabakova:Timber & Steel (世界初演)
 ・ドビュッシー(ウッド:編曲):前奏曲 第1巻 第10曲「沈める寺」
 ・グラナドス(ウッド:編曲):スペイン舞曲集 アンダルーサ(祈り) op.37
 ・ワーグナー(ウッド:編曲):ヴェーゼンドンク歌曲集 より第5曲:夢
 ・グレインジャー(ウッド:編曲):ストランド街のヘンデル
 ・ラヴェル:ラ・ヴァルス
  / ナサニエル・アンダーソン=フランク Nathaniel Anderson-Frank (ヴァイオリン)、レオン・マッコウリー Leon McCawley (ピアノ)、ブラムウェル・トヴェイ Bramwell Tovey:指揮、BBCコンサートオーケストラ

 ヘンリー・ウッド生誕150年を記念してのプロム。ラヴェルはイギリス初演、アイアランドは世界初演でした。さらに、ウッドが編曲した作品も並びます。ウッドはどのような音使いをしていたのだろう。グレインジャーの「ストランド街のヘンデル」は、木靴踊りを模して作曲された、元はピアノ曲。


Online ジャーニー:世界最大級の音楽の祭典 BBC Proms、今年の見どころは?
 何故かこの8月後半からのプロムが多めのプロムス紹介記事です。

 9月に続きます。もう9月…。

・9月のプロムリスト:BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その4 [9月] (随時追記中)
by halca-kaukana057 | 2019-08-12 21:43 | 音楽
 8月のBBC Proms (BBC プロムス)の私が選んだプロムリストです。8月は多いので前半と後半に分けます。8月はバラエティに富んだプロムが続きます。毎日聴くので大変というか、いやいや楽しみというか…。

・7月の各プロムの記事:BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その1 [7月] (随時追記中)


 今年の大きなテーマのひとつが、プロムスの創始者、サー・ヘンリー・ウッドの生誕150年。それを記念して、ウッドが初演(世界初演、イギリス初演、プロムス初演など)した作品を数多く取り上げています。公式サイトでは、ウッドの初演した作品には「Henry Wood Novelties」と表記があります。とにかく多いです。
 もうひとつの大きなテーマが宇宙。アポロ11号月面着陸から50年を記念してのプログラムです。宇宙に関する作品も多く演奏されます。

 プロムスの全公演は、BBC Radio3で放送されます。生放送を聴けなくても、30日間のオンデマンド配信があるので時間のある時にゆっくり楽しめます。再生はBBC Radio3の各プロムのページでどうぞ。今年はプロムス公式サイトで再生できない、リンクもないので、Radio3へのリンクを貼っておきます。
 パソコンからはそのままブラウザで。スマートフォンからは「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うと便利です。無料でダウンロードできます。
 通常の放送だけでなく、Radio3の番組「Afternoon Concert」はプロムス期間中、各プロムの再放送をしています。オンデマンドの配信が期限切れで聴き逃してしまった、日本時間の22時からの放送でちょうど聴ける、という方はこちらもどうぞ。放送されないプロムもあるので注意。
BBC Radio3:Afternoon Concert

 今年も、バイノーラル・サウンドでの配信もしています。一部公演ですが、立体音響で楽しめます。普通のヘッドホンで構いませんので聴いてみてください。随時追加されていくと思います。配信公開期限はいつまでなのかわかりません。通常のオンデマンド公開期限の30日を一応目安にしておくと安心かと思います。
BBC Proms:Binaural Proms 2019

 去年のバイノーラル・サウンド配信もまだ残っているのでリンクしておきます。
BBC Proms 2018:Immerse yourself in music with spatial headphone mixes from the Proms

 では、8月前半の各プロムを見ていきましょう。

◇8/1 Prom 18: Mahler & Britten
   ◇(Prom18:Radio3)
 ・ブリテン:ピアノ協奏曲 op.13(1945年版)
 ・マーラー:大地の歌
  / レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)、クラウディア・マーンケ Claudia Mahnke(メゾソプラノ)、スチュアート・スケルトン Stuart Skelton(テノール)、エドワード・ガードナー:指揮、BBC交響楽団

 どちらも、ヘンリー・ウッドが初演した作品です。ブリテンのピアノ協奏曲は、1938年のプロムス(8月18日)で、ブリテン自身のピアノ、ウッド指揮BBC響による世界初演でした。当時のプロム記録:Proms 1938: Prom11 その後改訂され、今回演奏されるのは1945年版です。今回のピアノソロはアンスネス。先日の来日の際は故障していましたが、もう大丈夫なのかな。
 マーラー「大地の歌」は、1914年ウッドがイギリス初演しました。
 ちなみに、エドワード・ガードナーさんはロンドン・フィルの次期首席指揮者に決まりました。おめでとうございます!と言うことは、同じロンドンに本拠地があるBBC響を指揮することはなくなるのかなぁ。


◇8/2 Prom 19: Strauss, Schumann & MacMillan
   ◇(Prom19:Radio3)
 ・リヒャルト・シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき op.30
 ・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
 ・ジェイムズ・マクミラン James MacMillan:イゾベル・ゴーディの告白
  / アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)、トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
 
 ダウスゴーさんとBBCスコティッシュ響の2日連続プロムの1日目。秋の「BBC Proms JAPAN」で来日するコンビです。
 「ツァラトゥストラはかく語りき(こう語った)」と言えば、「2001年宇宙の旅」。宇宙をイメージする音楽の代表的存在です。2曲目のシューマンのピアノ協奏曲は、「ウルトラマンセブン」の最終回で印象的に使われており、これも宇宙をイメージしますが…通じるのは日本だけか…?ピアノソロはメルニコフさん。
 マクミランの「イゾベル・ゴーディの告白」は、宗教改革以後のスコットランドで行われた魔女狩りによって、多数の女性が犠牲となった史実に基づく作品。1990年のプロムスで初演されました。

◇8/3 Prom 20: Pekka Kuusisto and the BBC SSO
   ◇(Prom20:Radio3)
 ・シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47
 ・シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82(1915年初稿)
  / ペッカ・クーシスト(ヴァイオリン)、タイト・ホフレン Taito Hoffrén(歌)、イロナ・コルホネン Ilona Korhonen(歌)、ミンナ・リーサ・タンメラ Minna-Liisa Tammela(歌)、ヴィルマ・ティモネン Vilma Timonen(カンテレ)、ティモ・アラコティラ Timo Alakotila(ハルモニウム)、トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 ダウスゴーさんとBBCスコティッシュ響(BBCSSO)の2日目はオール・シベリウス・プログラム。ヴァイオリン協奏曲はペッカ・クーシストさんがソロ。続くシベリウス5番は初稿です!プロムスでもシベリウス5番初稿が演奏されるとは感慨深い。ちなみに、今年のプロムスではシベ5は現行版、1919年版も演奏されます(9月8日、Prom67)。初稿、現行版、どちらも聴けます。
 シベコンやシベ5にはない歌やフィンランドの民族楽器・カンテレなどがあるのは…前奏曲のようにフィンランド民謡を演奏するのだと思います。ペッカ・クーシストさんは2016年、プロムスデビューの際、アンコールにフィンランド民謡を演奏、観客をリードして歌いました。プロムスではありませんが、ダウスゴーさんとBBCSSOは「クレルヴォ(交響曲)」の演奏前にフィンランド民謡と「クレルヴォ」のモティーフをミックスした前奏曲のようなものを演奏したことがあります。多分それと似ているはず。予測ですが…。
 ・その「クレルヴォ」の記事:まだまだ、シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ダウスゴー & BBCスコティッシュ響


◇8/4 Prom 21: Olivier Latry
   ◇(Prom21:Radio3)
 ・ハチャトゥリアン(キヴィニエミ:編曲):「ガイーヌ」より「剣の舞」
 ・ファリャ(ラトリー:編曲):「恋は魔術師」より「火祭りの踊り」
 ・ベートーヴェン:からくり時計のためのアダージョ ヘ長調 WoO 33-1(オルガン編)
 ・J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565
 ・ウジェーヌ・ジグー Eugène Gigout:Air célèbre de la Pentecôte
 ・リスト:バッハの名による幻想曲とフーガ S.260
 ・シャルル=マリー・ヴィドール Charles-Marie Widor:バッハの思い出 より 第4曲:Marche du veilleur de nuit
 ・サン=サーンス(ルメア:編曲):死の舞踏
  / オリヴィエ・ラトリー(オルガン)

 ロイヤル・アルバート・ホールの大きなオルガンの演奏会です。演奏するのは、ノートルダム大聖堂のオルガニストのラトリーさん。ノートルダム大聖堂…4月に火災が起きましたが、このプロムはその火災が起きる前に決まっていたもの。今年のプロムスのプログラム発表は火災の直後だったはず。まさかの事態になってしまいました。ノートルダム大聖堂のことを思わずにいられないプロムになりそうです。


◇8/4 Prom 22: Rachmaninov, Shostakovich & Outi Tarkiainen
   ◇(Prom22:Radio3)
 ・ラフマニノフ:死の島 op.29
 ・オウティ・タルキアイネン Outi Tarkiainen:Midnight Sun Variations(世界初演)
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 ト短調 op.103 「1905年」
  / ヨン・ストルゴールズ:指揮、BBCフィルハーモニック

 フィンランド出身、ストルゴースさん(いつも日本語表記に悩む)とBBCフィルです。ラフマニノフ「死の島」はヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。2曲目のタルキアイネンさんはフィンランドの女性作曲家。新作を演奏します。メインはショスタコ11番。ラフマニノフもショスタコーヴィチも死をイメージさせるプロムです。タルキアイネンさんはどんな作品だろう。好みのプロムです。


◇8/5 Prom 23: Swan Lake
   ◇(Prom23:Rsdio3)
 ・アーノルド:ピータールー 序曲 op.97
 ・ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 op.43
 ・チャイコフスキー:白鳥の湖 (抜粋)
  / フアン・ペレス・フロリスタン Juan Perez Floristan(ピアノ)、ベン・ジャーノン:指揮、BBCフィルハーモニック

 BBCフィル2日連続、2日目はベン・ジャーノンさん。ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」のソロはガヴリリュクさん…でしたが、いつの間にか変更。スペイン出身のフロリスタンさん。初めて聞きます。どんなラフマニノフになるか楽しみ。組曲版の「白鳥の湖」はヘンリー・ウッドが1901年にイギリス初演しました。

 ラフマニノフとチャイコフスキーは、8月6日のProm24:Relaxed Promと同じプログラム、出演者です。解説などがあり、小さな子どもも、様々な障碍がある方も一緒に楽しめるプロムです。今年もあります。


◇8/6 Prom 25: Tchaikovsky, Sibelius & Weinberg
   ◇(Prom25:Radio3)
 ・シベリウス:カレリア組曲 op.11
 ・ヴァインベルク:チェロ協奏曲 ハ短調 op.43(ロンドン初演)
 ・チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74「悲愴」
  / ソル・ガベッタ(チェロ)、ダリア・スタセヴスカ:指揮、BBC交響楽団

 指揮のスタセヴスカさんは、キエフ出身のフィンランドの女性指揮者(シベリウス・アカデミーで学び、夫はシベリウスの曾孫でベーシストのラウリ・ポッラ Lauri Porra)。今年、BBC響の首席客演指揮者に就任しました。BBC響は、首席指揮者も首席客演指揮者もフィンランド(フィルハーモニア管もですが)。そのスタセヴスカさんのプロムスデビューです。
 カレリア組曲は1906年、ヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。2曲目のヴァインベルク。ポーランド出身のユダヤ人で、旧ソ連で活躍した作曲家。ショスタコーヴィチによって旧ソ連へ。私はあまり聴いたことがありません。しかも、今回演奏するチェロ協奏曲はロンドン初演。どんな作曲家、作品、作風なんだろう。ソロはガベッタさん。メインはチャイコ6番「悲愴」。


◇8/7 Prom 26: Mozart's Requiem
   ◇(Prom26:Radio3)
 ・ブラームス:悲劇的序曲 op.81
 ・ワーグナー:トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死
 ・モーツァルト:レクイエム ニ短調 K626
  / ファトマ・サイード Fatma Said(ソプラノ)、キャスリン・ラッジ Kathryn Rudge(メゾソプラノ)、サニーボーイ・ドラドラ Sunnyboy Dladla(テノール)、デイヴィッド・シップリー David Shipley(バス)、BBCウェールズ合唱団、ナタリー・シュトゥッツマン:指揮、BBCウェールズ交響楽団

 コントラルトのナタリー・シュトゥッツマンさんが歌わず、指揮します。3曲とも死をイメージする作品。


◇8/8 Prom 28: Rachmaninov, Borodin & Huw Watkins
   ◇(Prom28:Radio3)
 ・武満徹:Twill by Twilight(トゥイル・バイ・トワイライト)
 ・ヒュー・ワトキンス Huw Watkins:The Moon(世界初演)
 ・ラフマニノフ:合唱交響曲「鐘」 op.35
 ・ボロディン:「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」
  / ユーリ・サモイロフ(バリトン)、Natalya Romaniw(ソプラノ)、オレグ・ドルゴフ Oleg Dolgov(テノール)、BBCウェールズ合唱団、フィルハーモニア合唱団、尾高忠明:指揮、BBCウェールズ交響楽団

 尾高忠明さんがプロムスに帰ってきました。春からがんの治療のため休養していましたが、先日公演活動に復帰されたとこのこと。よかった!尾高さんの演奏をプロムスで聴きたいです。
 1曲目は武満徹の1988年の作品。2曲目は月をイメージした新曲。3曲目のラフマニノフは、あの前奏曲の方ではなく、合唱交響曲。歌詞はエドガー・アラン・ポーの詩をロシアの詩人、コンスタンチン・バリモントがロシア語に訳したものが元になっています。1921年、ヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。最後の「だったん人の踊り」もウッドが1897年にイギリス初演。合唱つきのはかっこよく、楽しみ。


◇8/10 Prom 31: Brahms, Bruckner & Strauss
   ◇(Prom31:Radio3)
 ・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
 ・リヒャルト・シュトラウス:4つの歌 op.27
 ・ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調 「ロマンティック」(1878/1880年稿ノヴァーク版)
  / リゼ・ダヴィドセン(ソプラノ)、エサ=ペッカ・サロネン:指揮、フィルハーモニア管弦楽団

 サロネンさんとフィルハーモニア管です。R.シュトラウスの「4つの歌」は、4曲目が「明日!(明日の朝!)」の歌曲集。「明日!」は大好きなのですが、他の3曲をあまり聴いてないかも…聴きます。サロネンさんがブルックナーの4番を。しかも、今年のプロムスはブルックナーの版・稿が明記されています(今までは何も書いていなかった)。
 ちなみに、Prom25で書きましたが、フィルハーモニア管も首席指揮者も首席客演指揮者もフィンランド。その首席客演指揮者のサントゥ=マティアス・ロウヴァリ(フィンランド語に近い発音だと「サンットゥ」)さんが次期首席指揮者に決まったとのこと。2代続けてフィンランド。


◇8/11 Prom 33: Mahler, Schubert & Glanert
   ◇(Radio3:Prom33)
 ・デトレフ・グラナート Detlev Glanert:Weites Land ('Musik mit Brahms' for orchestra)(イギリス初演)
 ・シューベルト(グラナート:編曲):孤独に D620(ソプラノとオーケストラのための)
 ・マーラー:交響曲第4番 ト長調
  / クリスティーナ・ガンシュ Christina Gansch(ソプラノ)、セミヨン・ビシュコフ:指揮、BBC交響楽団

 1曲目のグラナートの作品は、ブラームスの作品を元にしたもの。CDがオラリー・エルツ:指揮ヘルシンキフィルで出ています。2曲目もグラナート編曲。シューベルトの「Einsamkeit」は「冬の旅」の12曲目かと思ってましたが違いました。訂正します。D620の「Einsamkeit/孤独に」です。演奏時間も原曲と同じです。
 メインはマーラー4番。1905年にウッドがイギリス初演しています。その頃、マーラーは生きていたから、その演奏を聴いたのだろうか。


◇8/12 Proms at … Cadogan Hall 4: Aris Quartet
   ◇(Prom CH4:Radio3)
 ・シューベルト:弦楽四重奏曲 第1番 ハ短調 D18
 ・マッダレーナ・ラウラ・ロンバルディーニ=ジルメン Maddalena Laura Lombardini-Sirmen:弦楽四重奏曲 第5番 ヘ短調
 ・ハイドン: 弦楽四重奏曲 第78番 変ロ長調 op.76-4 Hob.3-77 「日の出」
  / アリス四重奏団 Aris Quartet

 カドガン・ホール・シリーズ4回目は弦楽四重奏。シューベルトとハイドンに挟まれているのは、18世紀のイタリアの女性作曲家でヴァイオリニストのロンバルディーニ=ジルメン(シルメン)。弦楽四重奏を6つ、その他ヴァイオリン・ソナタや協奏曲などを残しています。


◇8/12 Prom 34: West–Eastern Divan Orchestra
   ◇(Prom34:Radio3)
 ・シューベルト:交響曲第7(8)番 ロ短調 D.759 「未完成」
 ・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ長調 op.23
 ・ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
  / マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)、ダニエル・バレンボイム:指揮、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団

 お馴染み、バレンボイムさんとウェスト=イースタン・ディヴァン管。今年はアルゲリッチさんと共演です。メインのルトスワフスキ、Lutosławskiの綴りがいつも読めない…。演奏頻度は多いのですが、私はあまり聴いたことがない。聴きます。


◇8/13 Prom 35: Enigma Variations
   ◇(Prom35:Radio3)
 ・カレヴィ・アホ、サリー・ビーミッシュ、ハリソン・バートウィッスル、リチャード・ブラックフォード、ギャヴィン・ブライアーズ、ブレット・ディーン、藤倉大、ウィム・ヘンドリックス、コリン・マシューズ、アンソニー・ペイン、ジョン・ピッカード、デイヴィット・ソウワー、イリス・テル・シフォルスト、ジュディス・ウィアー
   :Pictured Within: Birthday Variations for M. C. B. (世界初演)
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:音楽へのセレナード
 ・ブラームス:運命の歌 op.54
 ・エルガー:エニグマ変奏曲 op.36
  / Idunnu Münch(メゾソプラノ)、William Morgan(テノール)、Nadine Benjamin(ソプラノ)、David Ireland(バスバリトン)、イギリス国立オペラ合唱団、BBCシンガーズ、マーティン・ブラビンズ:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 この8月13日は、マーティン・ブラビンズさんの60歳のお誕生日。その記念に、世界初演の新曲をプレゼント。存命の14人の作曲家が、エルガーの「エニグマ変奏曲」をもとにブラビンズさんの変奏曲を合作しました。14人の現代作曲家、何人わかるか…書きながらチェックしていました。藤倉大さんも参加しています。どんな曲になるんだろう。
 ヴォーン=ウィリアムズ「音楽へのセレナード」はお気に入りの曲。1938年、ウッドが世界初演しました。最後には「エニグマ変奏曲」原曲も演奏します。


◇8/14 Prom 37: The Childhood of Christ
   ◇(Prom37:Radio3)
 ・ベルリオーズ:キリストの幼時 op.25
  / ジュリー・ブーリアンヌ Julie Boulianne(メゾソプラノ)、アラン・クレイトン Allan Clayton(テノール)、ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)、ニール・デイヴィス(バス)、Britten Sinfonia Voices、Genesis Sixteen、マキシム・パスカル Maxime Pascal:指揮、ハレ管弦楽団

 今年アニバーサリーイヤーのベルリオーズ。この「キリストの幼時」、一度聴いたことがあります。もう一度聴こう。
 メゾソプラノはサラ・コノリーさんでしたが、ブーリアンヌさんに、指揮はマーク・エルダーさんでしたが、マキシム・パスカルさんに変更になりました。


◇8/14 Prom 38: Solomon’s Knot
   ◇(Prom38:Radio3)
 ・J.S.バッハ:カンタータ 第130番 「主なる神よ、われらはみな汝をたたえん」 BWV130
      :カンタータ 第19番 「いさかいは起れり」 BWV19
      :カンタータ 第149番 「人は歓びもて勝利の歌をうたう」 BWV149
      :カンタータ 第50番 「いまぞ救いと力は来れり」 BWV 50
  / Solomon's Knot

 8月14日はもう1公演。夜遅い時間にバッハのカンタータをどうぞ。


◇8/15 Prom 39: Elgar, Errollyn Wallen, Mendelssohn & Mussorgsky
   ◇(Prom39:Radio3)
 ・メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟 序曲 op/26
 ・エルガー:海の絵 op.37
 ・エロリン・ウォレン Errollyn Wallen:THIS FRAME IS PART OF THE PAINTING (世界初演)
 ・ムソルグスキー(ラヴェル:編曲):展覧会の絵
  / Catriona Morison(メゾソプラノ)、エリム・チャン 陳以琳 Elim Chan:指揮、BBCウェールズ交響楽団

 前半は海がテーマのような選曲。いや、情景を「絵」のように描くプロムだろうか。「フィンガルの洞窟」は「ヘブリディーズ諸島」が原題。交響曲第3番「スコットランド」を着想したスコットランド旅行中に、嵐の夜、ヘブリディーズ諸島へ。そこでフィンガルの洞窟を見て、この曲を着想したのだそう。エルガーの「海の絵」。メゾソプラノのための連作歌曲。声域がメゾなのがいい。
 「展覧会の絵」はラヴェル編曲で。調べてみたら、ヘンリー・ウッドも編曲しているらしい。今年はウッド生誕150年のプロムスなのに…?この機会だからウッド編曲版を演奏したらいいのに。最近だと2010年のプロムスで演奏しています(ロト指揮BBCウェールズ管)。他に「展覧会の絵」の編曲というと、プログレのエマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)とか、冨田勲さんのシンセサイザー版とか。


 追記事項があれば随時追記します。8月後半に続きます。

・8月後半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その3 [8月後半] (随時追記中)
・9月BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その4 [9月] (随時追記中)
by halca-kaukana057 | 2019-07-30 22:07 | 音楽
 今年もやって来ました。BBC Proms(プロムス)開幕です。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール(RAH)を中心に、2ヶ月に渡って開催される大音楽祭。今年は、7月19日~9月14日(グリニッジ夏時間)。演奏会は全てBBC Radio3で放送、30日間のオンデマンド配信もあるので、日本からでも楽しめます。
 毎日の各公演(Prom プロム)は聴いているだけでも勉強になりますが、作曲家や作品について調べてみるともっと面白い。ということで、今年も私の選んだPromについて書いていこうと思います。

BBC Proms 公式サイト

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 今年の公式ガイドブックです。今年は公演カレンダーのポスターが付いていない模様。

 今年は、プロムスの創始者、サー・ヘンリー・ウッドの生誕150年。プロムス期間中、RAHのステージに銅像があり、ラストナイトでは万歳三唱して頭を拭いてあげているあの方。記念に、ヘンリー・ウッドがイギリス初演、プロムス初演した作品が数多く演奏されます。ガイドブックに「Henry Wood Novelties」と書いてあるものがそれなのですが、その数の多さに驚きます。
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 ガイドブックではこんな風に書いています。蛍光オレンジの字…。

 更に今年はアポロ11号月面着陸から50年。宇宙に関係する作品も特集して演奏されます。宇宙をイメージした作品から、映画などで取り上げられた作品、SF作品の音楽まで。宇宙をテーマに新曲も作曲されています。

 日本から放送を聴く場合、公式サイト、もしくはBBC Radio3から聴けます。スマートフォンからは、「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うととても便利です。ブラウザからも聴けますが、その場合は「BBC Media Player」のアプリが必要です。アプリストアからダウンロードしてご利用ください。これで、いつでもどこでもプロムスが聴けます。

 例年はプロムス公式サイトからもオンデマンドが聴けるようになっていましたが、今年はない…。BBC Radio3のサイトでないと聴けないようです(そこから更にBBC Soundsというサイトで聴く…ややこしいw)。なので、今年はRadio3の各プロムのページにのリンクも貼っておきます。

 また、Radio3の番組「Afternoon Concert」はプロムス期間中、各プロムの再放送をしています。オンデマンドの配信が期限切れで聴き逃してしまった、日本時間の22時からの放送でちょうど聴ける、という方はこちらもどうぞ。放送されないプロムもあるので注意。
BBC Radio3:Afternoon Concert

 今年も、バイノーラル・サウンドでの配信もしています。一部公演ですが、立体音響で楽しめます。普通のヘッドホンで構いませんので聴いてみてください。随時追加されていくと思います。配信公開期限はいつまでなのかわかりません。通常のオンデマンド公開期限の30日を一応目安にしておくと安心かと思います。
BBC Proms:Binaural Proms 2019

 去年のバイノーラル・サウンド配信もまだ残っているのでリンクしておきます。
BBC Proms 2018:Immerse yourself in music with spatial headphone mixes from the Proms

 では、各公演(Prom プロム)を見ていきましょう。

◇7/19 Prom 1: First Night of the Proms
   ◇(Radio3:Prom1)
 ・ゾーシャ・ディ・カストリ (Zosha Di Castri) :Long Is the Journey – Short Is the Memory (世界初演)
 ・ドヴォルザーク:交響詩「金の紡ぎ車」 op.109
 ・ヤナーチェク:グラゴル・ミサ
  / アスミック・グレゴリアン(Asmik Grigorian)(ソプラノ)、ジェニファー・ジョンストン(メゾソプラノ)、ラディスワフ・エルグル (Ladislav Elgr) (テノール)、ヤン・マルチニーク(Jan Martiník)(バス)、ピーター・ホルダー(オルガン)
   BBCシンガーズ、BBCシンフォニー・コーラス、カリーナ・カネラキス:指揮、BBC交響楽団

 ファーストナイトです。今年の指揮はカネラキスさん。ファーストナイトを女性が指揮するのは初めてのことだそうです。1曲目はカナダ出身の女性作曲家による新曲。アポロ11号月面着陸50年を記念しての作品です。ドヴォルザーク、ヤナーチェクと東欧の作曲家を取り上げるファーストナイト。ヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」はオルガンも入る大作。


◇7/20 Prom 2: Bohemian Rhapsody
   ◇(Prom2:Radio3)    
 ・ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 op.53
 ・スメタナ:我が祖国
  / ジョシュア・ベル(ヴァイオリン)、ヤクブ・フルシャ:指揮、バンベルク交響楽団

 2日目も東欧もの。ボヘミアの音楽を。ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲の方が演奏されますがヴァイオリン協奏曲も好きです。後半は「我が祖国」全曲。指揮は日本でもお馴染みのフルシャさん。2日目からいいPromです。


◇7/21 Prom 4: The Planets
   ◇(Prom4:Radio3)
 ・ジョン・アダムズ:Short Ride in a Fast Machine
 ・バーバー:ヴァイオリン協奏曲 op.14
 ・ホルスト:惑星 op.32
  / ネマニャ・ラドゥロヴィチ(Nemanja Radulović)(ヴァイオリン)、Trinity Boys Choir、キリル・カラビッツ:指揮、ボーンマス交響楽団

 宇宙プロムです。1曲目のジョン・アダムズは、まさに未来というイメージ。バーバーのヴァイオリン協奏曲…初めて聴きます。バーバーというと、「弦楽のためのアダージョ」。「ノックスヴィル、1915年夏」も好きな作品。メインはプロムス定番曲「惑星」。毎年どこかしらのオケが演奏します。今回は最後の海王星の合唱が少年合唱団の模様。ボーイソプラノの合唱だとどんな感じになるんだろう。楽しみ。


◇7/22 Proms at … Cadogan Hall 1: VOCES8
   ◇(Proms Cadogan Hall 1:Radio3)
 ・ヒルデガルト・フォン・ビンゲン Hildegard von Bingen:聖霊は生の源の火よ(Spiritus Sanctus vivificans vita)
 ・ペロティヌス Pérotin:地上のすべての国々は(Viderunt omnes)
 ・ジョスカン・デ・プレJosquin des Prez:アヴェ・マリア 清らかな乙女よ(Ave Maria … Virgo serena)
 ・ジャン・ムートン Jean Mouton:処女なる御母は男を知らず (Nesciens mater virgo virum)
 ・トマス・ルイス・デ・ビクトリア Tomás Luis de Victoria:天の女王、喜びませ(5声)(Regina coeli)
 ・ジョナサン・ダウ Jonathan Dove:私は急ぎ、市民を包囲しよう (Vadam et circuibo civitatem)
 ・ラッスス:ミサ曲「美しきアンフィトリット」より Gloria
 ・ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ Giovanni Pierluigi da Palestrina:Magnificat primi toni
 ・ウィリアム・バード:神に向かいて喜びもて歌え (Sing joyfully unto God our strength)
 ・Alexia Sloane:Earthward (世界初演)
 ・オーランド・ギボンズ Orlando Gibbons:手を打ち鳴らせ (O clap your hands together)
  / VOCES8

 ロイヤル・アルバート・ホールでの大規模な演奏会もプロムスの醍醐味ですが、室内楽や声楽アンサンブル、古楽も楽しみ。カドガンホール・シリーズの1回目はイギリスの声楽アンサンブル「ヴォーチェス・エイト」。古楽をメインにした演奏会です。現代作曲家による作品もあります。
 ちなみに、このカドガン・ホール。4月に日本フィルがヨーロッパツアーのロンドン公演を行ったのがこのホール。プロムスでの室内楽のイメージが強かったので、このホールで普通のオーケストラもコンサートできるんだ、と驚きました。


◇7/22 Prom 6: The Rite of Spring
   ◇(Prom6:Radio3)
 ・アンナ・ソルヴァルドスドッティル Anna Thorvaldsdóttir:Metacosmos (イギリス初演)
 ・ブリテン:ヴァイオリン協奏曲 op.15
 ・ストラヴィンスキー:春の祭典
  / ジェイムズ・エーネス(James Ehnes)(ヴァイオリン)、エドワード・ガードナー:指揮、Orchestra of the Royal Academy of Music and the Juilliard School

 1曲目のアンナ・ソルヴァルドスドッティル(発音が大変)はアイスランドの女性作曲家。ブリテンの協奏曲はどれも好きです。メインは春の祭典。オーケストラはイギリスのロイヤル・アカデミーとアメリカのジュリアード音楽院の学生によるスペシャルオーケストラ。


◇7/23 Prom 7: Schumann, Schoenberg & Mozart
   ◇(Prom7:Radio3)
 ・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第15番 変ロ長調 K.450
 ・パウル・ベン=ハイム(Paul Ben-Haim):交響曲第1番
 ・シェーンベルク:5つの管弦楽曲 op.16 (1909年初稿)
 ・シューマン:交響曲第4番 ニ短調 op.120(1851年改訂稿)
  /ヨン・ソルム(Yeol Eum Son)(ピアノ)、オメール・メイア・ヴェルバー(Omer Meir Wellber):指揮、BBCフィルハーモニック

 BBCフィルの新首席指揮者が決まりました。イスラエル出身、オメール・メイア・ヴェルバーさん。2曲目のパウル・ベン=ハイムは20世紀のイスラエルの作曲家。ワルターやクナッパーツブッシュのアシスタントをしていたのだそう。シェーンベルクの「5つの管弦楽曲」は、ヘンリー・ウッドが世界初演しました。1922年に改訂されていますが、初演と同じ1909年初稿で演奏します。


◇7/24 Prom 8: Invitation to the Dance
   ◇(Prom8:Radio3)
 ・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
 ・ペーテル・エトヴェシュ:アルハンブラ(ヴァイオリン協奏曲)(イギリス初演)
 ・バルトーク:舞踏組曲
 ・ストラヴィンスキー:火の鳥(1919年版)
  / イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)、ペーテル・エトヴェシュ:指揮、BBC交響楽団

 ダンスがテーマのこのプロム。「牧神の午後への前奏曲」「舞踏組曲」「火の鳥」どれもヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。ペーテル・エトヴェシュ(エトヴェシュ・ペーテル)さんが自作を指揮します。



◇7/25 Prom 10: Public Service Broadcasting
   ◇(Prom10:Radio3)
 ・Public Service Broadcasting:The Race for Space
  / Public Service Broadcasting、London Contemporary Voices、Christopher Stark:指揮、The Multi-Story Orchestra

 クラシックじゃないプロムを。Public Service Broadcastingはイギリスのバンド。歴史的な放送音源とロック、テクノ音楽をミックスした作風で人気なんだそうです。2015年にリリースしたアルバム「The Race for Space」は、1960年代のアメリカと旧ソ連の宇宙開発競争がテーマ。アポロ宇宙船とNASAの交信の音声に音楽をミックス。アポロ月面着陸50年の今年のプロムスでライヴです。Spotifyにその「The Race for Space」のアルバムがあったので聴いてみたのですが面白い。最初はよくわからないプロムでスルーしていたのですが、アルバムを聴いた後聴いてみた。当時の宇宙開発のミュージックビデオみたいな雰囲気。かっこいい。会場もノリノリです。
 知らなかったたくさんの魅力的な音楽に出会える、プロムスのこんなところが大好きです。
 BBC公式が公演の一部の映像をYouTubeにあげています。こういうプロムはやっぱり映像で観たいなぁ。
 ◇Public Service Broadcasting - Go! (BBC Proms 2019)
   ↑音楽をのせる音源が、NASAのロケット打ち上げ前の各部門の「GO/NO GO」コールだった。スペースシャトルの打ち上げ生中継を観ていた頃、このGO/NO GOコールを聴いて、いよいよ打ち上げだとワクワクしたのを思い出しました。それがこんな音楽になるとは。
 ◇Public Service Broadcasting - Gagarin (BBC Proms 2019)


◇7/28 Prom 13: ‘From the Canyons to the Stars …’
   ◇(Prom13:Radio3)
 ・メシアン:峡谷から星たちへ…
  / マーティン・オーウェン Martin Owen(ホルン)、デイヴィッド・ホッキングス David Hockings、アレックス・ニール Alex Neal(打楽器)、ニコラス・ハッジス Nicolas Hodges(ピアノ)、サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団

 メシアンの「宇宙」を表現した大作を。メシアンは鳥類学者として鳥の声を録音し続け、それを作曲にも用いました。この作品はユタ州を旅した際に見た情景と、鳥の声と、星…宇宙を描いています。様々な打楽器が多種用いられます。こういう作品は音声だけより、映像も一緒の方がさらに楽しめるのですが…テレビ収録予定がないので映像はなさそう。

◇7/29 Proms at … Cadogan Hall 2: A Celebration of Barbara Strozzi
   ◇(Proms Cadogan Hall 2:Radio3)
 ・バルバラ・ストロッツィ Barbara Strozzi:秘密の恋人 (L'amante segreto)(カンタータ、アリエッタと二重唱曲集 op.2 より 第14曲)
 ・アントニア・ベンボ Antonia Bembo:Ercole amante 'Mingannasti in verità'
 ・ストロッツィ:何ができようか (Che si può fare)(アリアとカンタータ op.8より)
 ・ベンボ:Ercole amante 'Volgete altrove il guardo'
 ・ストロッツィ:死がわれらを分かつまで (Sino alla morte)
 ・フランチェスコ・カヴァッリ Francesco Cavalli:歌劇「恋するヘラクレス」(Ercole amante)より 'E vuol dunque Ciprigna'
 ・ストロッツィ:私の涙 (Lagrime mie) (「エウテルペの遊戯」op.7 より)
  / マリアーアン・フローレス Mariana Flores(ソプラノ)、レオナルド・ガルシア・アラルコン Leonardo García Alarcón:指揮、カペラ・メディテラネア Cappella Mediterranea

 カドガン・ホール・シリーズ2回目も古楽です。このプロム、ちょっと面白い。バルバラ・ストロッツィは17世紀イタリアの声楽家で作曲家。アントニア・ベンボも17世紀~18世紀イタリアの歌手で作曲家。バロックの時代にも女性作曲家が活躍していたとは知りませんでした。作曲して自分で歌っていたらしい。今も作品が残っていて、演奏されていることが嬉しい。情報は少ないですが…。このプロムは楽しみです。


◇7/29 Prom 14: The Creation
   ◇(Prom14:Radio3)
 ・ハイドン:天地創造 Hob.XXI-2
  / サラ・ジェーン・ブランドン Sarah-Jane Brandon(ソプラノ)、ベンジャミン・ヒューレット Benjamin Hulett(テノール)、クリストフ・ポール Christoph Pohl(バリトン)、BBCプロムス・ユース合唱団、オメール・メイア・ヴェルバー:指揮、BBCフィルハーモニック

 BBCフィルとオメール・メイア・ヴェルバーさんの2回目のプロムは、大作「天地創造」。これも「宇宙」ものに入りますよね。あまり親しめていない作品なので、今回はしっかり聴きたい。
 ちなみに、ソプラノのサラ・ジェーン・ブランドンさん。イギリスの人気ドラマ「刑事モース(原題:ENDEAVOUR)」のCase2「泥棒かささぎ(Girl)」で流れた、モーツァルト:大ミサ曲 ハ短調 K427 より「キリエ」を歌っていたらしい。調べたら出てきました。でも、この曲でソプラノソロはないよなぁ…?正しい情報なのかどうかはわからないのですが、「刑事モース」の物語の中でプロムスが話題に出てくる回があります。そのプロムはちゃんと実際に行われたプログラムになっていて驚いたことがあります。ドラマと現実のプロムスで、こういう繋がりもあったとは。「刑事モース」ファンとして嬉しい。でも実際どうなのか、この情報は正しいのか?
「刑事モース」とプロムス


◇7/30 Prom 15: Bavarian Radio Symphony Orchestra – 1
   ◇(Prom15:Radio3)
 ・ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 op.36
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47
  / ヤニック・ネゼ=セガン:指揮、バイエルン放送交響楽団

 バイエルン放送響が2夜連続で登場です。その1日目。元々はヤンソンスさんが指揮をする予定でしたが、病気のためキャンセル。2曲目のショスタコーヴィチも、10番から5番に変更になりました。残念…。5番も大好きです。
 ベートーヴェンの2番はあまり…いや、ほとんど聴かない。なのでこの際聴きます。


◇7/31 Prom 17: Bavarian Radio Symphony Orchestra – 2
   ◇(Prom17:Radio3)
 ・シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 op.39
 ・プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 op.63
 ・リヒャルト・シュトラウス:ばらの騎士 組曲
  / ギル・シャハム(ヴァイオリン)、ヤニック・ネゼ=セガン:指揮、バイエルン放送交響楽団

 バイエルン放送響2日目。今年のプロムスで初のシベリウスが来ました(今年は全部で5作品)。シベ1も、ヘンリー・ウッドがイギリス初演した作品です。1903年のことでした。シベリウスが生きていた頃から、イギリスはシベリウス作品を積極的に演奏してきました。プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番も同じくヘンリー・ウッドがイギリス初演。プロコ作品にもっと親しみたい。最後は「ばらの騎士」。
 ヴァイオリンソロが、リサ・バティアシュヴィリから、いつの間にかギル・シャハムに変わっていたので変更しました。

 追記があればどんどん書いていきます(追加情報がないわけがない)。この記事は8月前半に続きます。
・8月前半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その2 [8月前半] (随時追記中)
・8月後半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その3 [8月後半] (随時追記中)
・9月BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その4 [9月] (随時追記中)
by halca-kaukana057 | 2019-07-17 21:25 | 音楽

BBC Proms Dubai 2019 まとめ

 この秋、日本でBBC Promsが開催されますが、ドバイでは2回目のプロムスが開催されました(3月19日~22日)。その録音は、BBC Radio3で聴けます。BBC Proms JAPANに行く方も、行かない方も、本家のロイヤル・アルバート・ホール以外でのプロムスの雰囲気を聴いてみてください。

◇Prom1 (3月19日):Radio3 in Concert : BBC Proms Dubai 2019 - The First Night
 ・ブシュラ・エル=トゥルク (Bushra El-Turk):トメシス(Tmesis)
 ・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
 ・プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」第1、第2組曲(抜粋)
  /五明カレン(Karen Gomyo)(Vn)、ベン・ジャーノン (Ben Gernon):指揮、BBC交響楽団
 チャイコフスキーのソリストの五明カレンさん。東京のご出身だそうで、知らなかった。「ゴムヨ・カレン」とも表記されています。

◇Prom2 (3月20日):Afternoon Concert : BBC Proms Dubai 2019
 ・ブリテン:歌劇「グロリアーナ」 op.53 より 合唱舞曲集
 ・モーリス・デュリュフレ:グレゴリオ聖歌による4つのモテット op.10
 ・ローラ・マヴーラ(Laura Mvula):Love Like a Lion
 ・ボブ・チルコット(Bob Chilcott):We are
 ・ビリー・ジョエル(Billy Joel)(チルコット:編曲):そして今は…(And So It Goes)
 ・フランダース アンド スワン(Flanders and Swann)(Stephen Jeffes , Grace Rossiter:編曲):「At the Drop of a Hat」より 合唱曲集
 ・ローラ・マヴーラ:Sing to the Moon
 ・ベニー・アンダーソン(Benny Andersson)、ビョルン・ウルヴァース(Björn Ulvaeus)(Stephen Jeffes , Grace Rossiter:編曲):ABBAメドレー
 ・アンドリュー・ゴールド(Andrew Gold)(Jonathan Wikeley:編曲):Never Let Her Slip Away
  /ソフィ・イェアンニン(Sofi Jeannin):指揮、BBCシンガーズ、Dubai English-speaking College Chamber Choir
 BBCシンガーズによる、合唱曲回です。
 当初のプログラム:BBC Singers:BBC Proms Dubai: Contemporary Choral Classics
 これと随分違います。プーランクとガーシュウィンはどこに行った。

◇Prom3(3月21日):Afternoon Concert : BBC Dubai Proms 2019
 ・ウォルトン:チェロ協奏曲
 ・ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱つき」
  /ニコラ・アルトシュテット (Nicolas Altstaedt)(vc)
  エリザベス・アサートン(Elizabeth Atherton)(ソプラノ)、イヴォンヌ・ハワード(Yvonne Howard)(メゾ・ソプラノ)、 マーク・ルブロック(Mark Le Brocq)(テノール)、ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)、BBCシンガーズ、Dubai Opera Festival Chorus、リチャード・ファーネス(Richard Farnes):指揮、BBC交響楽団
 イギリスもののウォルトンと、プロムス定番曲の第九。Prom2でもそうですが、現地の合唱団も一緒に舞台に立っているのがいいなと思います。

◇Prom4(3月22日):The Last Night of BBC Proms Dubai 2019
 ・ワーグナー:「さまよえるオランダ人」序曲
 ・チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード:海の歌 op.91
 ・シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
 ・ピアソラ(John Lenehan:編曲):リベルタンゴ
 ・アンナ・クライン(Anna Clyne):Masquerade
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:音楽へのセレナード
 ・カルロス・ガルデル(Paul Campbell:編曲):Por una cabeza
 ・ヴェルディ:「運命の力」序曲
 ・トマス・アーン(マルコム・サージェント:編曲):ルール・ブリタニア
 ・エルガー:威風堂々 第1番
 ・スコットランド民謡(Paul Campbell):Auld Lang Syne
  /ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)、ヨハンナ・ユホラ(Johanna Juhola)(アコーディオン)、BBCシンガーズ、Dubai Festival Chorus、リチャード・ファーネス:指揮、BBC交響楽団
 ラストナイトもやります。昨年のラストナイトで演奏したスタンフォードの「海の歌」が入ってます。2016年のラストナイトで演奏されたヴォーン=ウィリアムズ「音楽へのセレナード」も。声楽ソロは、バリトンのロデリック・ウィリアムズさん。2014年のラストナイトに出演されてました。ガルデルのタンゴ「Por una cabeza」を聴いてみたのですがかっこいい。

 オンデマンド配信期限は、それぞれのページの「○ days left to listen」を参考にしてください。

 ちなみに、本日、今年のプロムスのプログラムが発表されました。
BBC Proms
 7月19日から、9月14日まで開催です。今年は、ヘンリー・ウッド生誕150年。ヘンリー・ウッドが初演した作品がいくつも登場します。あと、今年はアポロ11号月面着陸から50年。プロムスでも宇宙に関する作品や、SF映画の音楽を取り上げます。これがすごく楽しみ。他にも、アニバーサリーイヤーの作曲家の作品も取り上げます。全てのプログラムを見てみましたが、楽しみなプロムばかり。公式ガイドブックは注文済みなので、届くのを待ちます。
 7月になったら、また私選リストをやりたい、やれればいいな。
BBC Media Centre : Media packs : Unveiling the 2019 BBC Proms
by halca-kaukana057 | 2019-04-17 22:57 | 音楽
 12月に発表された、「BBC Proms JAPAN」。私も毎年開催を楽しみにしている、ロンドンでの世界最大級の音楽祭が日本にやってくる!と、昨年12月に発表されました。詳細なプログラムが発表されました。

BBC Proms JAPAN 公式ウェブサイト

・発表の際の記事:プロムスが日本にやってくる!?

 10月30日から、11月4日までの6日間、毎日開催です。10月31日には大阪でも公演があります。

◇10/30 Prom1(東京)、10/31 Prom2(大阪)
 メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」Op.26
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23
  (ピアノ:ユリアンナ・アヴデーエワ)
 マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

◇11/1 Prom3:JAZZ from America (ジャズ・フロム・アメリカ)

◇11/2 Prom4:Russian and Nordic Breeze (ロシア・北欧の風)
 シベリウス:交響詩「フィンランディア」Op.26
 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
  (ヴァイオリン:ワディム・レーピン)
 シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 Op.43

◇11/3 Prom5:Next-Generations, representative of Japanese Soloists (日本を代表する次世代のソリスト達)
 細川俊夫:「プレリューディオ」 オーケストラのための
 エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85
  (チェロ:宮田大)
 ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26
  (ヴァイオリン:三浦文彰)
 ラフマニノフ:交響的舞曲 Op.45

◇11/4 Prom5:Last Night of the Proms(ラスト・ナイト・オブ・ザ・プロムス)
 P.M.デイヴィス:アン オークニー ウェディング ウィズ サンライズ(An Orkney Wedding, with Sunrise)
 ミヨー: スカラムーシュ Op.165b
  (アルトサクソフォン:ジェス・ギラム)
 プッチーニ:歌劇『ラ・ボエーム』より「私が町を歩けば」
  (ソプラノ:森麻季)
 マルコム・アーノルド:4つのスコットランド舞曲 アレグレット
 H.パーセル:夕べの讃美歌
  (ソプラノ:森麻季)
 ラヴェル:ツィガーヌ
 ワックスマン:カルメン幻想曲
  (ヴァイオリン:ワディム・レーピン)

 エルガー:行進曲「威風堂々」第1番
 スコットランド民謡:蛍の光(Auld Lang Syne) 他

  /トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 メイン会場での6公演はこんな感じ。
 その他に、11月2日~4日まで、渋谷で、「Proms Plus Outdoor Concerts in SHIBUYA(プロムス・プラス・アウトドア・コンサート)」という、無料野外コンサートもあるそうです。
 あと、Prom5の前にプロムスの楽しみ方を出演者が語るプレトーク、学生向け公開リハーサルも。

 うーん…ラストナイトを除くと、海外オーケストラの来日公演とさほど変わりないような…。
 ラストライトには、昨年のラストナイトにも出演した、サックスのジェス・ギラムさんが同じ「スカラムーシュ」を演奏します。マルコム・アーノルドのスコットランドにちなんだ作品があるのはいいな。
 あれ、「イギリスの海の歌による幻想曲」「ルール・ブリタニア」がない。
 というか、合唱団がいない。合唱団がいないということは、まさか、「威風堂々」第1番は歌なし…?最後の「Auld Lang Syne」は観客全員で手を繋いで歌うあれですよね?(歌詞は日本語の「蛍の光」か?)
 ラストナイトの司会は葉加瀬太郎さんとのこと。本家には司会なんてありません…指揮者がMCします。指揮者スピーチもあるかどうか…。ちなみに、ラストナイトでは「もれなくユニオンジャック&ロゴプリント手ぬぐい付(旗の代わりに振ってお楽しみください。もちろん、ご自身でお好きな旗をお持ちになられても歓迎です。)」とのこと。

 ちなみに、間もなく開催される「BBC Proms Dubai」ドバイでのプロムスのプログラムを見てみましょう。こちらはオケはBBC交響楽団。
BBC Symphony Orchestra: BBC Proms Dubai: Tchaikovsky Violin Concerto and Romeo & Juliet
 Prom1:チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、プロコフィエフ:ロメオとジュリエット
BBC Proms Dubai: Beethoven's Symphony No. 9
 Prom2:ウォルトン:チェロ協奏曲、第九
BBC Proms Dubai: Last Night of the Proms
 Prom3:ラストナイト。昨年のラストナイトでも演奏されたスタンフォード、現代ものでアンナ・クライン、ヴォーン=ウィリアムズ、「ルール・ブリタニア」に「Land of Hope and Glory」(BBCシンガーズの合唱があります)

 イギリスものも多いし、本家プロムスで毎年必ず演奏する第九もやります。合唱団もいます。日程は短いけど全然違う。

 HPをよく見ると、主催に、テレビ朝日、BS朝日があります。どちらかで放送があるの?情報番組などでPRもしそう。その他詳しい情報は公式サイトで。

 で、第一報が来た後も考えたのですが、「プロムス」とは。日本でやる意味、意義とは。ただの海外オーケストラの来日公演とどう違うのか。ラストナイトだけがプロムスではない。全てのプロム(公演)が、「誰でも楽しめるクラシック音楽のコンサート」であること。どのプロムもお祭りのようなワクワクした雰囲気があること。
 曲の幅は、他の海外オーケストラの来日公演でも演奏している作品も多いので、広いとはあまり言えない。ジャズの回のProm3や現代作品も扱うProm5はプロムスらしいと思う。ダウスゴーさんの十八番のシベリウスもあるが、「フィンランディア」と交響曲第2番はフィンランドオケもよくやるし…お国もののデンマークのニールセンとかニルス・ゲーゼとかもあったらいいのに。イギリスのオーケストラなのに、イギリスものが少ない…。
 上記のドバイプロムスでは、本家でも毎年演奏する第九がある。ならば同じく毎年演奏されるホルストの「惑星」があったら、イギリスものも増えるからいいのになぁ(女声合唱は日本の合唱団でもいいですし)。ラストナイトに合唱団がいないのが気になる。

 日本であまり馴染みがない作品だと敬遠される?でも、日本で馴染みの作品ばかりだと、また似たような作品ばかり…と言われる。この辺のバランスは難しいな…。
 野外コンサートが「誰でも楽しめる」お祭りの感じになりそうだなと思います。

 今後も色々な情報が発表されると思うので、チェックしたいと思います。第一報記事にも書きましたが、BBCのオーケストラの公演は、海外公演でもBBC Radio3で放送されます(オンデマンドあり)。なので、行けなくても後日放送で楽しめます。

 ちなみに、本家プロムスのプログラムは、グリニッジ標準時4月17日発表です。
by halca-kaukana057 | 2019-03-19 23:08 | 音楽
 信じられないニュースを目にしました。

チケットぴあ:英国発、世界最大級のクラシックミュージックフェス『BBC Proms(プロムス)』日本初開催決定!
PR TIMES:英国発、世界最大級のクラシック・ミュージック・フェス、『 BBC Proms ( プロムス ) 』が、遂に日本で初開催!『 BBC Proms JAPAN 』、2019年秋に日本で開催決定!

 はい!!?プロムス、BBC Promsを日本で開催!!?

◇公式サイト:BBC Proms JAPAN

・期日:2019年10月30日(水)~11月4日(月・振休)
・東京:Bunkamuraオーチャードホール
・大阪:ザ・シンフォニーホール
・出演:トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 まじか、まじか。以前、ツイッターをやっていた頃、「プロムス in Japan」なんてあったらいいね、ラストナイトを日本でもやって、国旗振りながら「ルール・ブリタニア」や「威風堂々 第1番(Land of Hope and Glory)」歌えたらいいね、なんて話していたことがありました。せめて、ラストナイトの野外会場みたいに、日本でもパブリックビューイングできたらいいのに、とか(時差がきついですが…)。
 これは…それが実現するのか…?

 プロムスは、7月から9月までのロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールを中心にしたものとは他に、海外公演も行ってきました。リンクした記事にもあるとおり、オーストラリア、ドバイでも開催しています。ドバイは来年3月19日~22日にも開催予定です。
Dubai Opera : BBC Proms
BBC Symphony Orchestra : BBC Proms Dubai
 ドバイはBBC交響楽団とBBCシンガーズ。(BBCにはオーケストラが5つもある…)
 ドバイでは、あのラストナイトもやります。「ルール・ブリタニア」も「威風堂々 第1番(Land of Hope and Glory)」もあります。(「イギリスの海の歌による幻想曲」、「エルサレム」、イギリス国歌はありません)あのラストナイトあってのプロムスですし。

 公演詳細は、来年3月に発表予定(元祖プロムスは4月にプログラムを発表します)。最新ニュースはメルマガでも受け取れるとのこと。公式サイトにメルマガ登録フォームがあります。

 東京と大阪の日程と配分がどのくらいなのか。他の出演者は?曲目は?料金は?ラストナイトはどうする?まだ不明なところがたくさんありますが、とても楽しみです。あのロイヤル・アルバート・ホールでの雰囲気をそのまま持ってくることは不可能でしょうが(日本の観客のノリによる。あと、立ち見アリーナがあってこそのプロムス。1階席は立ち見にしてくれないかな)、日本でもプロムスを楽しめるなんて、現実のものになるとは思わなかった。大和証券がスポンサーらしいですが、GJです!!

 問題は、私は行けるのかということだ…。

 せっかくならテレビ収録とか、CD、DVD化してくれたらいいなぁ。
BT : BBC Proms to make inaugural trip to Japan in 2019
 BBCのプレスリリースによると、BBC radio3で収録、放送予定だそうです。そうだった、BBCのオーケストラは海外公演も収録、放送があるんだった。

【追記】
Classical-music.com : BBC Proms announces the launch of BBC Proms Japan The inaugural festival will take place in 2019
 BBCの音楽誌「BBC Music Magazine」のサイトのBBC Proms Japanについての記事です。BBCスコティッシュ響は初来日。そうだったのか(BBC交響楽団、BBCフィルハーモニック、BBCウェールズ交響楽団は来日したことがある。スコティッシュとコンサート・オーケストラは来日したことがなかった)。BBCスコティッシュ響のディレクターさんによると、2020年東京五輪を意識している模様。となると2019年1回きりなのかなぁ。観客の入り、反応にもよるのかなぁ。

Fashion Press : 英国発の世界最大級クラシック音楽フェス「BBC プロムス」日本上陸、東京&大阪で開催
 プロムスのモットーは、毎年ラストナイトの指揮者スピーチで出てきますが、「誰でも楽しめるクラシック音楽のコンサート」であること。プロムス期間中は、ロイヤル・アルバート・ホールを中心に毎日毎日コンサート。チケットも、アリーナやバルコニーの立ち見席なら気軽に買うことができます。演奏される曲目も超名曲からちょっとマニアックな作品まで、古楽から現代まで幅広い。世界初演の新曲も多いです。BBCのオーケストラやイギリス国内のオーケストラだけでなく、世界中のオーケストラがやって来る。出演者も幅広い。室内楽や合唱もある。若手演奏家のオーディションで選ばれた若い演奏家の出演もあり、若手の育成もしている。子ども向けのコンサートもあり、また、さまざまな障碍を持っていても楽しめるコンサートもある。全ての演奏会はラジオで生放送され、世界中から聴ける(オンデマンドあり)。クラシックだけではなく、ジャズ、民族音楽、ミュージカル、ロック、テクノまで幅広い。クラシックでも、お祭りの雰囲気があり、盛り上がりが違う。
 ただのコンサートでは無く、「プロムス」である「条件」ってなんだろう?とちょっと考えています。ラストナイトだけがプロムスじゃない。6日間ラストナイトのようなコンサートをやるわけではないですし…。本家プロムスのように、6日間、どのコンサートもワクワクする。その「条件」ってなんだろう?私がプロムスを毎年楽しみにしている理由ってなんだろう?まさかの来日で、ちょっと考えています。

 当ブログのプロムス関連記事は、この記事の下にもある「Proms」タグからどうぞ。

 (ちょっと思ったのですが、今年、BBC交響楽団が来日したのですが(私も聴きに行った)、ならばそこでこのBBC Proms Japanをやればよかったのに、と思ったり…。いや、あれはあれで楽しかった。ブリテンとシベリウス5番聴けたし。)

BBC Proms : Proms Christmas repeats on BBC Radio 3※PDF注意
 年末年始、プロムスの再放送があります。日本からでも聴けます。オンデマンドもあります。再放送されるのは、バーンスタイン生誕100年を記念した「ウェスト・サイド・ストーリー」に「On The Town」、来日するダウスゴー指揮、スウェーデン室内管の「The Brandenburg Project」、キリル・ペトレンコ指揮ベルリンフィル、ネルソンス指揮ボストン響など。大晦日の年越し前(日本時間元日)にはラストナイトを再放送します。

【追記 2019.3.19】
 詳細プログラムが発表されたので、それについての記事を書きました:BBC Proms JAPAN プログラム発表 で、プロムスとは?


by halca-kaukana057 | 2018-12-18 22:01 | 音楽
 今年もNHK BSプレミアムで、BBC Proms(プロムス)ラスト・ナイト・コンサート(Last Night of the Proms)が放送されました。テレビ放送を観ないと、毎年プロムスが終わった気になりません…。9月、BBC Radio3での生放送とオンデマンド配信で聴いていましたが、毎年思うのが、映像で観ると違う!映像で観て、この楽しさがより伝わってくる、ということ。そして映像で観て安心します…(2015年のをNHKが放送しなかった過去が…)

BBC Proms 2018 公式サイト:Prom 75: Last Night of the Proms
BBC Radio3 : BBC Proms : Prom 75: Last Night of the Proms

・今年のラストナイトについて記述のある過去記事:BBC Proms ( プロムス ) 2018 私選リスト その4 [9月] [随時追記あり]

 今年のプログラムは以下でした。NHKでの表記に合わせました。日本語訳がわからなかったものも日本語訳されるのはありがたい。

・ヒンデミット:歌劇「今日のニュース」序曲
・ベルリオーズ:レリオ、あるいは生への回帰 op.14bis 第6曲:シェイクスピアの「テンペスト」にもとづく幻想曲
・ロクサンナ・パヌフニク(Roxanna Panufnik):暗闇の歌、光の夢(Songs of Darkness, Dreams of Light)(※世界初演)
・チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード(Charles Villiers Stanford):海の歌 op.91(1,ドレイク提督の太鼓/2,港を離れて/3,デヴォン ああデヴォン 雨よ風よ/4,家路/5,オールド・スーパーブ号)
     :青い鳥
・パリー:恵みを受けし二人のセイレーン

・サン=サーンス:アルジェリア組曲 op.60 第4曲:フランス軍隊行進曲
・ミヨー:スカラムーシュ
・リチャード・ロジャース:回転木馬 より 独白
・アン・ダドリー(Anne Dudley)編曲:第一次大戦時の流行歌(World War 1 Songs):Roses of Picardy(ピカルディーのばら) , It's a long, long way to Tipperary(はるかなティペラリー) , Keep right on to the end of the road(道の果て) , Keep the home fires burning(その日まで / 炉の火を絶やさず)

・ヘンリー・ウッド:イギリスの海の歌による幻想曲(小粋なアレトゥーザ/トム・ボウリング/ホーンパイプ/ホーム・スウィート・ホーム/見よ、勇者は帰る)
・アーン(サージェント:編曲):ルール・ブリタニア!
・エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 op.39-1 "Land of Hope and Glory"
・パリー(エルガー:編曲):エルサレム
・ブリテン編曲:イギリス国歌(God Save The Queen)
・スコットランド民謡(ポール・キャンベル:編曲) :Auld Lang Syne

  / ジェス・ギラム(Jess Gillam サクソフォーン)、ジェラルド・フィンリー(バリトン)
  BBCシンガーズ、BBCシンフォニー・コーラス
  アンドリュー・ディヴィス:指揮、BBC交響楽団

 9月の記事でも書いた通り、アンドルー・デーヴィス(NHKはこの表記)さんが、ラストナイトの指揮台に18年ぶりに立ちます。12回目。ベテランです。デーヴィスさんがBBC響の首席指揮者で、ラストナイトを指揮していた頃、私はまだプロムスを知らなかった。クラシック音楽にも親しんでいなかった。久々に帰って来るデーヴィスさんの指揮を観て、当時の雰囲気を味わえたなら良いなと思っていました。

 デーヴィスさんは通して指揮棒を持たず指揮。オープニングの映像で、指揮棒がパスされていくのですが(テレビ放送案内役のケイティ・ダーハムさん、裏方さん、常連のプロマーさん、今回出演するギラムさんにフィンリーさん、サイモン・ラトルさんまで!)、最後、指揮棒を受け取ったデーヴィスさんは指揮棒を放り投げてしまう。その後、お茶目な笑顔でw指揮棒はいらないよ、というメッセージだったのでしょうか。
 デーヴィスさん、18年ぶりとはいえさすがはベテランといった感じです。指揮も年齢を感じさせず軽快に。うまい感じに盛り上げています。「威風堂々第1番(Land of Hope and Glory)」の1回目が終わった後のコメントがよかった。スピーチの雰囲気などから、お茶目で陽気な校長先生というイメージを持ちました。沸く観衆を笑顔で静めていた。常連プロマーさんたちに「また会えたね」という感じなんでしょうか

 BBC交響楽団は、3月に来日公演を聴きに行きました。その時も、ラストナイトで見たことある楽団員さんが何人もいらっしゃったのですが、今度は反対に、来日公演で見た楽団員さんたちがいる!と思いました。リーダー(コンマス)のブライアントさん・立派なおひげのフルートのコックスさん。コックスさんの隣には日本人楽団員のフルート・向井知香さん。私が行った公演ではありませんが、ラジオで放送されたマーラーの5番で見事なソロを聴かせてくれたトランペットのトーマスさん。ブリテン「ピーター・グライムズ」パッサカリアで素敵なソロを聴かせてくれたヴィオラの男性はいらっしゃらなかったなぁ。シベリウス5番、第3楽章で、美しい白鳥の飛翔を聴かせてくれたホルンの皆さん…。ラストナイトでのBBC響による演奏は、生で聴いたのと同じように元気でピュアで、金管は迫力のあるブリティッシュブラス。特にチューバはロータリーではなくピストンであるところがまたイギリスらしい。嬉しくなります。

 第1部は、初めて聴く作品が多く興味深々。ヒンデミット「きょうのニュース」序曲はサックスがかっこいい。ベルリオーズ「レリオ」より「シェイクスピアのテンペストによる幻想曲」は、合唱がメインの部分と、オーケストラがメインの部分の対比がいい。今年のプロムスは、女性作曲家の作品を多く取り上げました。ロクサンヌ・パヌフニクの新曲「暗闇の歌、光の夢」は合唱がとても美しい。歌詞も孤独と光のような人への想いが切ない。素敵な曲です。今後、世界各地でどんどん演奏されるといいなぁ。CDも出るといいなぁ。スタンフォードの「海の歌」は海洋国家イギリスらしい、海の男の歌。ジェラルド・フィンリーさんの落ち着いていて表情豊かなバリトンが素敵でした。フィンリーさんが歌う「海の歌」は、オーケストラはBBCウェールズ交響楽団ですがCDが出ています。かっこいい曲だなぁ。一方の「青い鳥」は、無伴奏合唱。BBCシンガーズの合唱で。青い湖の上を飛ぶ鳥。静かな、凍りつくような情景をイメージできました。スタンフォードの作品は初めて聴きましたが、気に入りました。第1部最後はスタンフォードの友人で、第2部の定番曲「エルサレム」の作曲者・パリーの「恵みを受けし二人のセイレーン」。イギリスらしい威厳あるメロディーと響きが魅力的です。合唱もきれい。第1部からたっぷり楽しみました。

 第2部。お祭り騒ぎの第2部です。会場では風船を飛ばして歓声が上がっている。いつも通り、指揮台もリボンや国旗などでデコレーションされてる。18年ぶりに帰って来たデーヴィスさんへのメッセージとして、指揮台と譜面台に「Welcome Home」の文字が。愛されてます。第2部の目玉は、19歳のサックス奏者・ジェス・ギラムさん。ミヨー「スカラムーシュ」を披露。3曲からなる組曲ですが、曲間で盛大な歓声が。すごい。若きスターです。演奏もかっこよかった。フィンリーさんも、第1部とはうってかわってリチャード・ロジャーズのミュージカルから。失業し無一文になったが、もうすぐ父親になる男の、生まれてくる子どもへの想い。男の子だったら?女の子だったら?楽しい想像は尽きない。そんなコミカルで、真剣で、愛情あふれる男を表情豊かに歌い上げたフィンリーさん。素敵なバリトンさんだなぁ。フィンリーさんにはもうひとつ、大仕事が待っています。後ほど。

 今年は、第一次世界大戦が終結して100年。プロムスでは、第一次大戦中に作曲された作品、現代作曲家が第一次大戦を振り返る作品が数多く演奏されました。第1部のパヌフニクの新曲も第一次大戦終結を記念して作曲。第2部では、第一次大戦中に作られ、人々の心を支え、流行した4つの歌をメドレーで、各野外会場を結んで歌います。故郷にいる恋人を想う歌、故郷への歌、故郷で残された人々の想いの歌。ヨーロッパ中を巻き込んだ大戦の間、人々がどんな気持ちでいたのか、どんな気持ちでいようとしたのか。「はるかなるティペラリー」は明るく軽快なメロディーなのに、歌詞を読んでいるとうるっときてしまいます。この曲の前に、野外会場でのプロムスと、野外会場の連携についてのVTRがありましたが、これもよかった。本当に、イギリス全国で盛り上がっているんだなぁと。雨でも来る。ウェールズ、スコットランド、北アイルランド、それぞれの文化は異なりますが、それぞれの文化を大事にしようとしているんだなと感じました。こんな国全体で盛り上がる歴史ある音楽祭があるっていいなと思いました。

 ここからはお馴染みの定番曲。「イギリスの海の歌による幻想曲」。やっぱりこれがないと。「小粋なアレトゥーザ」は、ユーフォニアムの魅せどころ。「トム・ボウリング」のチェロソロが沁みます。会場ではお約束の涙を拭く仕草もいつも通り。「ホーンパイプ」の直前、盛り上がる観衆に静かに、と指示するデーヴィスさん。リーダーのブライアントさんのソロを聴いて、と。そのソロのアドリブが面白かったwヴァイオリンのコミカルなソロの後、フルートのソロに受け渡されますが、フルートのコックスさんはあくまで通常のメロディーを演奏する。でもまたブライアントさんに戻ってきて、ヴァイオリンでちょっと違うメロディーを演奏する…楽しいwコックスさんの隣の向井さんが、笑いをこらえているようにも見えましたw離れてたら笑ってるねこれ。今年は先ほどの第一次大戦時の流行歌メドレーで各野外会場を結んだので、こちらでの野外会場民謡メドレーはなし。でも、「ホーム・スウィート・ホーム」が戻ってきました。オーボエのソロが沁みます。オーボエさん、心なしか目が潤んでいるように見えます…。「見よ、勇者は帰る」の後はお待ちかねの「ルール・ブリタニア」。フィンリーさんは特に仮装などはしていませんが、何か隠してる…。お腹に巻き付けていたユニオンジャック…と思ったら、裏返したらフィンリーさんの祖国のカナダ国旗!2つの旗は縫い合わせてあって、最後は2つ一緒に平和的に振りながら歌う。会場では皆それぞれの国の国旗を振っている。出演者だって国旗を振りたいですよねw歌は伸び伸びとした堂々とした「ルール・ブリタニア」でした。
 続けて、「威風堂々第1番」。「ルール・ブリタニア」もですが、一緒に歌っちゃいます。

 この後で、指揮者スピーチ…出演者コールと、寄付金総額発表をカットしましたね…。2014年も寄付金総額発表とスピーチの一部をカット。BBC Radio3では英語の音声だけで、わからないところも多い。それをわかるための日本語訳付きの放送なのだから、カットしないでくださいよ…NHKか?BBCの元映像そのものがカットされてたのか…?
 デーヴィスさんのスピーチがとてもよかったです。一部引用します。
今夜 私たちがここに集った理由は 聴き手も出演者も心から信じているからです
音楽はただの娯楽ではなく 世の中を豊かにする力を持つ と
人は音楽に笑い 泣き 心を寄せ合います
あらゆる事が境界線に支配されたこの世の中で 音楽は人々を元気づけ 癒し 希望を与えてくれます
美しさと精神的な強さの下に 私たちを1つにしてくれます
今夜だけでもホールや野外会場をはじめ 世界中の人々が1つになりました

創始者のウッドがプロムスで目指したのは "誰にでも親しめるクラシック音楽祭"でした
その貴重な遺産は今も引き継がれ プロムスは音楽の力で 人々の心を豊かにしています
 このラストナイトだけでも、笑い、目頭が熱くなり、様々な音楽に魅了され、いいなと思えました。最初にラストナイトを見た時から、イギリスの愛国精神の強さが全面に押し出されているのに、どこか「世界はひとつ」という感覚を覚えています。振られている国旗が世界各国のものであるのもあるし、演奏される作品も様々な国の音楽。「音楽はただの娯楽ではなく 世の中を豊かにする力を持つ」からこそ、そう感じるのだと思います。さすがベテランのスピーチです。

 最後、「エルサレム」「イギリス国家(God Save the Queen)」「Auld Lang Syne」この3曲で、毎年また涙腺が緩くなる…。「Auld Lang Syne」、またしても「蛍の光」と訳されてた。日本語歌詞の「蛍の光」と「Auld Lang Syne」は別物でしょう。だから「マッサン」でやってたじゃないですかNHK!以前の「昔なじみ」の訳の方がいいと思う…。

 最後、今年のプロムスのダイジェスト映像が流れました。ああ、これがあのプロムで…思い出します。途中でスタッフクレジットが入ってしまいましたが…。この映像、以前に公式サイトとYouTubeにアップされているものと微妙に違います。
BBC Proms: The 2018 Proms season in a thrilling 4 minutes
 ↑ページに飛ぶと自動的に動画が始まるので注意してください
◇YouTube:BBC Proms 2018 in 4 minutes
 Relaxed Prom(小さなお子さんやさまざまな障碍などを持っていても楽しめる演奏会)、室内楽のあたりが追加されています。見比べてみてください。

 その他、細か過ぎる気づいたところを。
・デーヴィスさんは元オルガン奏者だったんですね。その後指揮でプロムスに。
・コーラスに、いつもターバンを巻いている男性がいらっしゃるのですが、今年はターバンを巻いていません。どうしたんだろう。
・イスラエルのご出身なのか、合唱団にイスラエル国旗のデザインのタイの人がいた。
・スタンフォード「青い鳥」で、天井からぶら下がっている円形のもの(マッシュルーム)も青色に。きれい。
・第2部、デコレーションされた指揮台に、ねこのぬいぐるみが。デーヴィスさん、なでてたw
・第2部では例年通り、トランペットセクションはお揃いのユニオンジャックカラーのタイです。
・バルコニー席からの映像がいい。アングルがいい。
・今年はアリーナに大きな日の丸を振っている人がいない。でも、客席に日の丸の小旗とスペイン国旗を一緒に振っている人がいた。
・「イギリスの海の歌による幻想曲」の前、クラッカーの音にびっくりするデーヴィスさんw
・誰かわからないのですが、顔写真のお面を被ったプロマーさん…ちょっと怖いw
・「トム・ボウリング」では今年はボックスティッシュを回して涙を拭き合います。鼻もかみます。
・「威風堂々第1番」で、トロンボーンの若い男性楽団員さんが、ユニオンジャックの小旗で触角!!?カチューシャみたいなものをつけていたwオモシロイことしているんだから、カメラさんもっと撮ってあげてよ(違う?w
・デーヴィスさんが指揮者スピーチで話していた「マーガレット」さん…奥さん?照れくさそうにしていましたw
・「来なきゃ損するよ」…行きたい…。ラジオで聴きます…。
・毎年、気になっている、「We ♥ BBC」の垂れ幕。ファーストナイトでは見ましたが、ラストナイトではなかった。来られなかった?
・ファゴットが2人とも女性というのが、女性の多いBBC響らしい。
・今年は昨年よりもEU旗が多かった。EU旗のデザインのベレー坊をかぶった人も。合唱団でも、EU旗デザインのタイをしている人が。EU旗をイメージさせるような青のタイも多かったな。
 来年のプロムスは、イギリスがEUから離脱した後。EUから離脱しても、プロムスはいつものプロムスで、盛り上がっていてほしい。

・9月の記事でも書いたのですが、その年のプロムス公式メモリアルブックを出してほしいです。毎年、公式ガイドブックは出るのに、その後出演者やプログラム変更が合って変わってしまう。演奏会の画像もネットにアップされるけど、検索しにくい。オリンピックなどのスポーツイベントが終わった後、写真集・記録集が出ますが、そんな感じでプロムスも本を出してほしい…。

 以上でした。また来年!
 その前に、年末年始、プロムスの再放送があると思います。大晦日(日本時間だと元日)にはラストナイト。イギリスで年が変わる直前に、「Auld Lang Syne」…紅白かw(プロムスが先だ ※放送予定が出ました。この記事の下へどうぞ。


【公式のまとめいろいろ】
All the biggest and best moments from the Last Night of the Proms
The Proms 2018 in 19 unmissable moments

【過去記事】
・2014年:こんなクラシックコンサート観たことない! 「Proms(プロムス)」ラストナイトコンサート2014
・2016年:一緒に音楽を楽しもう Proms(プロムス)2016 ラスト・ナイト・コンサート
・2017年:クラシック音楽の最前線で BBC Proms(プロムス) ラスト・ナイト 2017 まとめ

・3月のBBC響来日公演:これがプロムスオーケストラ! オラモ & BBC交響楽団 @仙台

◇ちょうど、BBC radio3で、3月の来日公演の名古屋公演(ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、マーラー:交響曲第5番)をオンデマンド配信中:BBC radio3 : Afternoon Concert : The BBC Symphony Orchestra on tour in Japan

BBC Proms : Proms Christmas repeats on BBC Radio 3※PDF注意
 年末年始の、プロムスの再放送が決まりました。日本からでも聴けます。オンデマンドもあります。
 再放送されるのは、バーンスタイン生誕100年を記念した「ウェスト・サイド・ストーリー」に「On The Town」、来日するダウスゴー指揮、スウェーデン室内管の「The Brandenburg Project」、キリル・ペトレンコ指揮ベルリンフィル、ネルソンス指揮ボストン響など。大晦日の年越し前(日本時間元日)にはラストナイトを再放送します。

by halca-kaukana057 | 2018-11-27 23:48 | 音楽
 NHK BSプレミアムで放送された「刑事モース オックスフォード事件簿」(原題:ENDEAVOUR)、完全にハマりました…。
・前の記事:「刑事モース」が面白い!

 第3シリーズ最終回の第13話(Case13)、面白かったです。「愛のコーダ」(Coda)。何と言ってもサーズデイ警部補がかっこいい。ギャング相手でも尻込みせず、肝が座っている。ギャングを力で抑え込むシーンも。それが、モースとやり方や意見が異なり、一時的に不協和音になってしまったのが、このドラマの根底に流れる哀愁や暗さを感じさせていい。体調不良の原因(Case9で出てくるのですが、Case9を観ていないためどういう状況なのか詳しくは知らない)を自ら解決してしまったのは何と言っていいかすごい。一方のモース。ギャングとはいえ、力で抑え込む、力で白状させる方法には納得できない。サーズデイとは別に、一般人のフリをしてさりげなく怪しい人物に近づき聞き込みをする。検視の部屋に、コンサート帰りなのか黒のボウタイのフォーマルでやって来たのは、本当モースらしいwモースの金銭感覚についても新しい情報が。一体何に金をつぎ込んでいるんだ…コンサートやレコード、酒か…?山場のシーン、まさかこんな展開になるとは。サーズデイの娘のジョアンも父譲りなのか強いです。どんな状況でも周りをよく見て、事件の手がかりになるものをさりげなく見つけるのもモースらしいです。
 それぞれの登場人物もよかった。トゥルーラブ巡査の私服を見れたのは嬉しい。ストレンジがモースより出世が早かった理由も感じられました。ブライト警視正、今回もいい役どころです。物語の山場のシーンで、デブリン医師が取ろうとしたした行動も、デブリン医師らしいなと感じました。
 第4シリーズが早く観たくなる終わり方。サーズデイ家は寂しくなるなぁ…。モースにとって、家族みたいな家だったのに…。

 一方、GYAO!で配信中の第1シリーズ。全部観ました。面白かった。Case5、これも寂しく切なくなるお話。「家族の肖像(Home)」のタイトルの通り、様々な家族が描かれます。サーズデイ家、サーズデイの過去も明らかに。Case13でもそうですが、ジョアンは危険な男や場所に惹かれるのでしょうか…。モースも、実家に戻ります。とはいえ両親は離婚、幼いエンデバーを引き取った母は亡き人。父は再婚したので、モースの実家とは言えないかも。父との確執はあるけれども…実の父である。Case5でもギャングが出てくるのですが、ギャングの家族についての部分も興味深い。

 今回の記事の本題。このCase5で、興味深いシーンがありました。ストーリーそのもののネタバレにはならない範囲で書きます。Case5で、「プロムスに行った」というせりふが出てきます。「プロムス」、勿論、7月から9月までロンドンで開催される音楽祭「BBC プロムス(Proms)」のことです。ここでテンションが上がった私。「「ハフナー」とマーラーの4番」が演目だったそうなのですが、後で、9月3日とわかります。何年の話だ?
Wikipedia:刑事モース〜オックスフォード事件簿〜
 Wikipediaによりますと、Case5は1966年1月。前の年のプロムスなので、1965年9月3日の公演。調べました。

BBC Proms:Prom 42
 ありました!プロムスの公演記録は、全て公式サイトにあります。どんな昔のものも検索できます。
・モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調 K385「ハフナー」
・ブロッホ:ヘブライ狂詩曲「シェロモ」(Schelomo) (チェロ:ジャクリーヌ・デュ・プレ)
・オネゲル:パシフィック231
・マーラー:交響曲第4番 ト長調 (ソプラノ:ヘザー・ハーパー)
 /ノーマン・デル・マー:指揮、ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団
 チェロがデュ・プレ!正式なデビューが1961年だったので、その数年後。プロムスの常連になったころです。多発性硬化症と診断されたのが1971年。人気を集めていた頃だったのか。オネゲル「パシフィック231」が入っているのも面白い。指揮のノーマン・デル・マーはプロムス常連の指揮者。ラストナイトも指揮しています。この頃は、マルコム・サージェントがプロムスの多くの公演を指揮していた。この年のラストナイトもサージェントです。
 これはモースは聴きに行きたかっただろう。モースはプロムスの全公演を記憶していそうだ。毎年その年のプロムスの全公演日程が発表されればチェックするだろうし、この頃はBBCのラジオで放送されていたのだろうか。モースの部屋にはレコードプレーヤーはありますが、ラジオは見たことがない。でも、ラジオ放送があれば聴いていそうだな。

 ドラマはフィクションですが、現実とリンクさせてある。適当にしない。ちょっと感激しました。イギリスのドラマですから、気になる人は調べているだろう。そこまで考えて練った脚本なんだと感じました。Case5の他の部分も練ってあるなぁと感じました。

 さて…第1シリーズも観終わって、第3シリーズの放送も終わって、「モースロス」になりそうだ…。第2シリーズを観たいが、第1シリーズ配信終了後(11月9日まで)、GYAO!でやってくれるのだろうか。やってくれたらいいなぁ。もし配信されないとなると、どこで観られるか…。探してみよう。
 ちなみに、WOWOWでは第4シリーズを放送予定。Case14は無料放送らしい。イギリス本国では、第5シリーズまで放送。現在第6シリーズを制作中とのこと。NHKだとまだまだイギリスには追いつけませんが、頼りはNHKだなぁ。

 ちなみに…。フィンランドでも、「ENDEAVOUR」放送されています。フィンランド語版タイトルは「Nuori Morse」。英語で言えば「Young Morse」です。若いモース、そのままです。
YLE TV1:Nuori Morse – suosikkisarjan viides kausi
 フィンランド国営放送(YLE)で放送中。現在第5シリーズだそうです。日本より進んでる!いいないいなー…。

by halca-kaukana057 | 2018-10-27 22:43 | 興味を持ったものいろいろ
 ロンドンで大盛況開催中の音楽祭、BBC Proms(プロムス)。7月に始まった時は9月なんてまだまだ先…と思っていたら、もう9月です。あんなに盛りだくさんの毎日のプロム(各公演)もあっという間に過ぎていきます。音楽とは儚い。とはいえ、9月も盛りだくさんです。最後のラストナイトまでノンストップです。最後の瞬間まで、プロムスを楽しみつくしましょう!
 現在、何週遅れてるんだと思うぐらいの、オンデマンドを溜めてしまっています。ですが、9月の、私の選んだ、気になる、興味のある、オススメのプロムを紹介します。(あくまで私選です)

BBC Proms 公式サイト

・7月の記事:BBC Proms (プロムス) 2018 私選リスト その1 [7月] [随時追記中]
・8月前半:BBC Proms ( プロムス ) 2018 私選リスト その2 [8月前半] [随時追記あり]
・8月後半:BBC Proms ( プロムス ) 2018 私選リスト その3 [8月後半]


【プロムスについて。どうやって聴くの?】
 公演は、全てBBC radio3で放送します。生中継していますので、BBC radio3のサイトや後述のBBCのアプリ、ネットラジオアプリなどで聴けます。
 放送後30日間はオンデマンド配信もあるので、聴きたい時間に好きなように聴けます。
 スマートフォンからは、「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うととても便利です。ブラウザからも聴けますが、その場合は「BBC Media Player」のアプリが必要です。どちらも、アプリストアからダウンロードしてご利用ください。
 Proms公式サイトの各公演ページ、BBC radio3の各公演放送ページ、どちらからも同じものが聴けます。ただ、双方向へのリンクがありません。この記事ではプロムス公式サイトでのものへリンクしているので、BBC radio3での各公演放送一覧ページをリンクしておきます。
BBC radio3 : BBC Proms : Available now

 映像(BBC4で放送)は、基本的には日本から観ることはできません。イギリス国内のみです。しかし、今年はBBC Music公式がYouTubeで映像をフルでアップしてくれています。ただし、削除されます。削除されています。既に大半は削除されてしまっています…せめてラストナイトまではアップしていてほしかった。アップは遅くなることがありますが、待っていると公開されるかもしれません。また、各プロムのページに、公演の一部(アンコールなど)の映像を公開してくれているものもあります。各プロムのページは隅々まで見ましょう。

 Binaural Sound 立体音響録音もあります。是非、お手持ちのヘッドホン、イヤホンで聴いてみてください。特別なものでなくても構いません。音が違いますよ。
 各公演(プロム)のBBC radio3でのページの「Clips」のコーナーに、Binaural Soundの表示、マークの録音があるのでそれが公開されているものです。配信期間はわかりません。最初に公開していたものがなくなり、徐々に減ってきています。なので、一般の配信と同じように配信から30日を目安に聴いておくことをオススメします。Binaural Soundのものは、普通のオンデマンド配信がスタートしてから、遅れて公開されていますので、チェックをお忘れなく。
 また、イギリス国内のみでしか聴けないものも出てきてしまいました。
 Binaural Soundでの録音をまとめて公開しているページは以下です。
BBC radio3 : BBC Proms : Experience the Proms as if you are really in the audience
 新しいものがどんどん上に表示されていきます。まとめて次々聴きたい方はこちらで。

 本放送の他に、現地時間14時(日本時間22時)からの「Afternoon Concert」で再放送もあります。再放送もオンデマンド配信、30日間あります。もし、オンデマンド配信も聴き逃してしまっても、ここにあるかもしれません。再放送されないプロムもあるので注意(主にロイヤル・アルバート・ホール以外での公演)。22時からなら日本でもリアルタイムで聴けるという方はこちらもチェックを。
◇放送一覧:BBC radio3 : Afternoon Concert

 では、9月の各プロムを見ていきましょう。

◇9/1 Prom 66: Berlin Philharmonic & Kirill Petrenko (I)
     [Binaural Sound あり]

 ・デュカス:ラ・ペリ
 ・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 op.26
 ・フランツ・シュミット:交響曲第4番 ハ長調
  / ユジャ・ワン(ピアノ)、キリル・ペトレンコ:指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 今年はベルリン・フィルの年です。しかも、新音楽監督に就任したばかりのキリル・ペトレンコさんと登場です。ペトレンコさんは昨年バイエルン国立歌劇場管弦楽団と来日、話題になりましたね。先日、ベルリン・フィルハーモニーでシーズン・オープニング・コンサートをしたばかり。どんな演奏になるか楽しみです。
 1回目のプログラムは、デュカスのファンファーレに始まり、ユジャ・ワンのプロコのピアノ協奏曲3番と華やか。後半はフランツ・シュミットの4番…聴いたことがないので予習しておこう。フランツ・シュミットはオーストリアの生まれでブルックナーの弟子。交響曲第4番は、一人娘が亡くなってその追悼のために書いたそう。単一楽章の交響曲ですが、4つの部分に分かれているとのこと。
 シュミット、だけだと、フランツなのか、フローラン・シュミットという作曲家もいるのでややこしい…。

◇9/2 Prom 67: Andris Nelsons conducts the Boston Symphony Orchestra
     [Binaural Sound あり]

 ・マーラー:交響曲第3番 ニ短調
  / スーザン・グラハム(メゾソプラノ)、CBSOコーラス、CBSOユースコーラス、アンドリス・ネルソンス:指揮、ボストン交響楽団
 大御所がもうひとつ、ネルソンスさん指揮のボストン響。しかも大曲マーラー3番。マーラーの3番は好きですが、やはり聴く前はその長さゆえ身構えてしまいます。コーラスはバーミンガム市交響楽団の合唱団。かつて音楽監督をしていたバーミンガム市響の合唱団と共演とは、里帰りしているような感じですね。

◇9/2 Prom 68: Berlin Philharmonic & Kirill Petrenko (II)
 ・リヒャルト・シュトラウス:ドン・ファン op.20
              :死と変容 op.24
 ・ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92
  / キリル・ペトレンコ:指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ベルリンフィル2回目です。リヒャルト・シュトラウスとベートーヴェン。「死と変容」の弦がとても好きです。ベートーヴェン7番はどんな演奏になるのか、楽しみです。

◇9/3 Proms at ... Cadogan Hall 8: Berliner Philharmoniker perform Debussy and Ravel
 ・リリ・ブーランジェ:夜想曲(ヴァイオリンとピアノ版)
 ・ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
 ・ニーナ・シェンク(Nina Šenk):Baca(世界初演)
 ・リリ・ブーランジェ:ピアノのための3つの小品
第1曲:古い庭で (D'un vieux jardin) 
  第2曲:明るい庭で (D'un jardin clair) 
  第3曲:行列 (Cortege) 
 ・ラヴェル:序奏とアレグロ
  / ベルリンフィルのソリストたち
   マヤ・アヴラモヴィチ(Maja Avramović)、樫本大進(ヴァイオリン)、アミハイ・グロス(Amihai Grosz)(ヴィオラ)、ブリュノ・ドルプレール(Bruno Delepelaire)(チェロ)、エマニュエル・パユ(フルート)、アンドレアス・オッテンザマー(クラリネット)、マリー=ピエール・ラングラメ(ハープ)、アラスデア・ビートソン(Alasdair Beatson)(ピアノ)
 ベルリンフィルはまだ帰りません。室内楽もやります。豪華ソリストが集まりました。こうやって見ると、ベルリンフィルも出身国は様々なんですね。ここでもリリ・ブーランジェは演奏されます。ドビュッシーのフルート、ヴィオラとハープのためのソナタはお気に入りの曲です。

◇9/3 Prom 69: Boston Symphony Orchestra Bernstein and Shostakovich
 ・バーンスタイン:セレナード
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 ハ短調 op.43
  / バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)、アンドリス・ネルソンス:指揮、ボストン交響楽団
 ボストン響ももう1公演あります。バーンスタインの「セレナード」の、プロムス公式サイトに載っているタイトル「Serenade after Plato's 'Symposium'」にあれ?と思いました。この作品の正式名称は、「ヴァイオリン独奏、弦楽、ハープと打楽器のためのセレナード(プラトンの『饗宴』による)」なんですね。知らなかった。タイトルの通り、プラトンの「饗宴」に着想を得ています。
 後半はショスタコーヴィチ4番。発表当時はなかなか演奏される機会を得られなった作品です。マーラーの影響を受けているというこの作品。「マーラーを語る」でバーンスタインのマーラー観、ショスタコーヴィチのマーラー好きにについて語られましたが、そんな繋がりのあるプロムですね。この本読んでおいてよかった。

◇9/5 Prom 71: Orchestre Révolutionnaire et Romantique perform Berlioz
 ・ベルリオーズ:海賊 序曲 op.21 H.101
        :クレオパトラの死
        :トロイアの人々 王の狩りと嵐、ディドの死
        :イタリアのハロルド op.16
  / アントワン・タメスティ(Antoine Tamestit)(ヴィオラ)、ジョイス・ディドナート(メゾソプラノ)
   ジョン・エリオット・ガーディナー:指揮、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック
 ガーディナーさんのオール・ベルリオーズ・プログラムです。ベルリオーズは苦手意識あり…あまり聴かないだけです。なので聴きます。以前、ラジオで「海賊」は聴いて、面白いなと思いました。ヴィオラ好きとしても、「イタリアのハロルド」もちゃんと聴きたい。

◇9/6 Prom 72: Britten's War Requiem
 ・ブリテン:戦争レクイエム
  / エリン・ウォール(ソプラノ)、アラン・クレイトン(テノール)、ラッセル・ブラウン(バリトン)、
  ハダースフィールド・コーラル・ソサエティ、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル・オーケストラ・ジュニア・コーラス、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル・オーケストラ・コーラス
  ピーター・ウンジャン:指揮、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル・オーケストラ
 プロムス終盤にふさわしい大曲です。今年のテーマのひとつ、第一次世界大戦終結100年にちなんで、ブリテンによる第二次世界大戦の犠牲者の追悼と祈りの音楽を。

◇9/7 Prom 74: Handel's Theodora
 ・ヘンデル:テオドーラ
  / ルイーズ・アルダー(ソプラノ)、イェスティン・デイヴィス(カウンターテナー)、ベンジャミン・ヒューレット(テノール)、アン・ハレンベリ(メゾソプラノ)
  ジョナサン・コーエン:指揮、アルカンジェロ Arcangelo
 ヘンデル晩年のオラトリオ「テオドーラ」。欧米では演奏されますが、日本ではほとんど演奏されない作品らしい。クリスチャンが迫害され殉教するという物語。聴いてみよう。
 さて、通常のプロムはここまで。残すはあとひとつ、ラストナイトです。


◇9/8 Prom 75: Last Night of the Proms 2018
 ・ヒンデミット:歌劇「今日のニュース」序曲
 ・ベルリオーズ:レリオ、あるいは生への回帰 op.14bis 第6曲:シェイクスピアの「テンペスト」にもとづく幻想曲
 ・ロクサンナ・パヌフニク(Roxanna Panufnik):Songs of Darkness, Dreams of Light(世界初演)
 ・チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード(Charles Villiers Stanford):海の歌 op.91
                                   :青い鳥
 ・パリー:恵みを受けし二人のセイレーン

 ・サン=サーンス:アルジェリア組曲 op.60 第4曲:フランス軍隊行進曲
 ・ミヨー:スカラムーシュ
 ・リチャード・ロジャース:回転木馬 より 独り言
 ・アン・ダドリー(Anne Dudley)編曲:World War 1 Songs:Roses of Picardy(ピカルディーの薔薇) , It's a long, long way to Tipperary(遥かなティペラリー) , Keep right on to the end of the road , Keep the home fires burning

 ・ヘンリー・ウッド:イギリスの海の歌による幻想曲
 ・アーン(サージェント:編曲):ルール・ブリタニア!
 ・エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 op.39-1 Land of Hope and Glory
 ・パリー(エルガー:編曲):エルサレム
 ・ブリテン編曲:イギリス国歌(God Save The Queen)
 ・スコットランド民謡:Auld Lang Syne

  / ジェス・ギラム(Jess Gillam サクソフォーン)、ジェラルド・フィンリー(バリトン)
  BBCシンガーズ、BBCシンフォニー・コーラス
  アンドリュー・ディヴィス:指揮、BBC交響楽団
 ラストナイトです。第1部は世界初演の新曲あり、パリーの作品もあります。リチャード・ロジャースのミュージカルナンバーも。後半第2部はいつも通り、「イギリスの海の歌による幻想曲」、「ルール・ブリタニア」「Land of Hope and Glory」「エルサレム」と大合唱。今年のイギリス国歌はブリテンの編曲(去年はブリス)。最後はAuld Lang Syneで来年また会いましょう…の流れです。「ルール・ブリタニア」を歌うのはバリトンのジェラルド・フィンリーさん。
 今年の指揮は、アンドリュー・ディヴィスさん。ラストナイトは18年ぶりの指揮です。当時はプロムスを知らなかったので、ディヴィスさん時代を思い出させるであろうラストナイトをまた聴けるのは楽しみです。ちなみに、イギリス人指揮者がラストナイトを振るのは、2011年のエドワード・ガードナーさん以来(その間は、前BBC響首席指揮者・チェコ出身ビエロフラーヴェクさん、アメリカ出身・オールソップさん、現BBC響首席指揮者・フィンランド出身オラモさんで繋いできました)。ディヴィスさんがラストナイトを指揮していた時、当時の映像を観ると、ディヴィスさんとBBC響男性楽団員は白ジャケットでした。これも復活なるか。

 当初発表されていたプログラムに何曲か追加されました。Radio3のサイトにあります:BBC Radio3 : Prom 75: Last Night of the Proms
 ベルリオーズの「レリオ」は、以前仙台フィルの演奏会をNHKで放送していたのを観て、いい曲、いい演奏だなと思いました。ラストナイトにも、今年のテーマの第一次世界大戦終結100年の作品があります。2014年のラストナイトの「メリー・ポピンズ」メドレーの編曲をしたイギリスの作曲家アン・ダドリーによる編曲の、「World War 1 Songs」第一次世界大戦の中で生まれた歌のメドレーのようです。日本語訳が広まっていないものもあり、出来る分だけ訳しました。
 さぁ、最後、盛り上がっていきましょう!!5時ぐらいに起きれば、第2部が聴けると思います。

 今年も12月あたりに、BSでテレビ放送しますよね、NHKさん…。映像で観ないと今年のプロムスを終われない!
【追記】New!
 2018年のプロムス ラストナイトは11月26日(月)午前0時(11月25日24時)、NHKBSプレミアムで放送されました。以下、感想記事をアップしました。
・感想記事:18年ぶりの最終夜で BBC Proms(プロムス) ラスト・ナイト 2018

【追記】
 ラストナイトの映像がもうYouTubeにアップされました。ほんの一部ではありますが。
BBC Proms - Roxanna Panufnik: Songs of Darkness, Dreams of Light
BBC Proms - Hubert Parry: Blest Pair of Sirens
BBC Proms - Darius Milhaud: Scaramouche
BBC Proms - Darius Milhaud: Scaramouche (Excerpt)
 ↑20歳のサックス奏者、ジェス・ギラムさんの「スカラムーシュ」(部分だけのアップになってしまいました)。イギリスでデジタル配信チャート1位になったこともあるのだそう。
BBC Proms - Richard Rodgers: Carousel – 'Soliloquy'
BBC Proms - Hubert Parry: Jerusalem (orch. Elgar)

 ロイヤル・アルバート・ホールのお隣、ハイドパークの野外会場での、「威風堂々第1番」
Land Of Hope & Glory - BBC Concert Orchestra & Ensemble (Proms in Hyde Park 2018)

 ラストナイトの流れを、まとめたページもありました。BBC Promsの公式Twitterも引用されています。
All the biggest and best moments from the Last Night of the Proms
 この中にある、4分間で今年のプロムス振り返り動画は必見。
The 2018 Proms season in a thrilling 4 minutes
 ↑※リンク先に飛ぶとすぐ動画が始まるのでご注意ください。スマートフォンからの方は、「BBC Media Player」のアプリを入れてください。リンク先に飛ぶと、アプリが動作して動画が観られます。
◇YouTubeにもアップされました:BBC Proms 2018 in 4 minutes

 今年のプロムス振り返りはこちらにも。こちらは映像収録がなかったプロムも音声で振り返られます。
The Proms 2018 in 19 unmissable moments

 以上、9月のプロムス、私が選んだ公演リストでした。ラストナイトの後も、オンデマンドは引き続き聴けますので、楽しみましょう。私は一体いつ聴き終わるのだろう…。プロムスのオンデマンド以外にも聴きたいオンデマンドやCDはあるし、オーケストラのシーズンオープニングは始まっているし、ラハティのシベリウス音楽祭もやってるし…。本当この時期は大変です。

 最後に、思ったことを。
 プロムスは毎年、公式ガイドブックは出ます。でも、プログラム変更や、出演者変更などがあって、変わってしまう。変更したデータはウェブにはあるけど、本としてまとまったデータが欲しい。あと、公演の写真も撮影しているのに、プロムス公式のSNSなどで発表して終わってしまう。
 よく、スポーツの大会、オリンピックなどで、大会後に大会の記録や写真を載せた本が発売されますよね。あんな風に、プロムスでも全公演終演後に全記録本を出して欲しいなと思いました。各演奏会の録音の中で、出演者のインタビューや作曲家についての講演なども収録されますよね。それも文字起こしして載せる。そんなその年のプロムス集録本、あったら欲しいなぁ。

by halca-kaukana057 | 2018-08-30 21:27 | 音楽

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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